JP4342544B2 - 充填不良判断装置および充填装置 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料、例えばビールが充填された容器、例えばビール樽が充填不良か否かを判断する充填不良判断装置に関する。さらに、本発明は、そのような充填不良判断装置を備えていて、容器、例えばビール樽に飲料、例えばビールを充填する容器の充填装置に関する。
一般的にビールは瓶容器または缶容器に充填された状態で販売される。そのような販売形態に加えて、ビールは、工場においてビール樽または専用タンクに充填され、次いで店舗においてビール樽に取付けられた専用のディスペンサを通じてジョッキまたはコップ等に注出された状態で販売される場合もある。
工場においては、充填装置によってビールがビール樽に充填される。充填装置は複数の充填部を備えており、それぞれの充填部はビールの流量を調整する流量制御弁と充填ヘッドとを主に含んでいる。
ビール樽にビールを充填する際には、プリストレスガス、例えば不活性ガスをビール樽内に予め充填してビール樽内部を所定の圧力に加圧している。プリストレスガスは、ビール内に溶存した炭酸ガスがビール充填時にビールから分離するのを防止すると共に、ビール充填時にビール自体が発泡するのを防止する役目を果たす。ビール充填時には、プリストレスガスは、ビール樽内部の圧力を一定に維持するように、ビールの充填重量に応じてビール樽から徐々に排出される。
ところが、充填部の流量制御弁が例えば全開状態になっている場合には、ビールの充填速度は極端に大きくなる。これにより、本来排出されるべきプリストレスガスがビールの流れに巻込まれて、ビール樽内部に比較的高圧で圧縮される場合がある。
このようなプリストレスガスが圧縮されているビール樽から専用のディスペンサを通じてビールが注出されるときには、ビールと一緒にプリストレスガスも注出されるようになる。従って、ビールの注出速度はかなり速くなり、通常よりも大径の泡が通常よりも多量に生じるようになる。すなわち、この場合には、きめ細かな泡をビール液面に形成することができず、消費者にとって好ましくない。
このようにプリストレスガスが圧縮されている充填不良のビール樽を形成した充填部は、同様な充填不良のビール樽を引続いて形成する可能性が高い。従って、特定の充填部において充填不良のビール樽が形成された場合には、当該充填部を停止させることが想定される。
例えば特許文献1には、商品を生産する包装機と、商品を計量する重量チェッカーと、包装後に商品の包材のシール状態を検査するシールチェッカーとを備えた包装計量検査システムが開示されている。そして、特許文献1に開示される包装計量検査システムにおいてシールチェッカーによる不合格の判定が連続する場合には、包装機による包装動作を停止するようにしている。
特開2000−289720号公報
しかしながら、前述した充填不良が生じる度に充填装置全体の操業を停止し、複数の充填部のうちの充填不良を起こした充填部を特定したのでは生産性が低下するので現実的でない。
また、充填部によりビールが充填されたビール樽が充填不良であったか否かは、ビール樽が市場に出荷された後、飲食店などの店舗で専用ディスペンサを通じてビール樽からビールを実際に注出する際に判明することが多い。このため、店舗で充填不良が発見された場合には、既に多数の充填不良のビール樽が市場に出荷されている可能性が高い。また、充填不良の確認作業はビール工場内で行うことも可能であるが、煩雑である上に、確認のための時間が余分に掛かるという問題がある。
そこで、本発明者は上記課題を克服すべく鋭意研究を重ねた結果、充填時におけるビールの充填速度を測定することにより、ビール樽におけるビールが充填不良であったか否かをビール樽を市場に出荷する前、即ち、ビールの充填時に容易かつ迅速に判断できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、容器、例えばビール樽の充填不良を容易かつ迅速に判断することのできる充填不良判断装置、およびそのような充填不良判断装置を備えた容器の充填装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、不活性ガスにより所定の圧力に予め加圧された複数の容器のそれぞれにビールを所定の充填重量だけ充填する複数のビール充填手段により前記ビールを前記容器に充填する際のそれぞれの充填速度を測定する充填速度測定手段を具備し、該充填速度測定手段は、前記ビールの流れに対して前記容器よりも上流に配置されていて前記ビール充填手段から充填される前記ビールの流量を測定する流量計と、予め設定されたスキャンタイムとに基づいて前記ビールの充填速度を算出しており、該充填速度測定手段により測定された充填速度が、前記容器内の不活性ガスを前記ビールに巻き込むことなしに前記ビールを充填できる充填速度上限値よりも大きい場合には、前記充填速度で前記ビールが充填された前記容器を充填不良と判断する充填不良判断装置が提供される。
すなわち1番目の発明においては、ビールの充填速度が比較的小さい場合には、プリストレスガスがビールに巻込まれることはなく、従って、プリストレスガスは容器内に残留しない。従って、ビールの充填速度が所定の値よりも大きいか否かを判断することにより、容器が充填不良であったか否かを判断し、充填不良容器を容易に発見することができる。なお、充填速度は、ビール充填時における最大値または平均値を採用してよい。
2番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、前記ビール充填手段のそれぞれによってビールが充填された後の前記容器のそれぞれの重量を測定する充填後容器重量測定手段を具備し、該充填後容器重量測定手段によって測定された前記容器の重量が所定の充填後容器基準重量よりも小さい場合には前記容器を充填不良と判断する。
すなわち2番目の発明においては、プリストレスガスが容器内に圧縮されている充填不良のみならず、充填重量が所定量に満たない、充填重量不足の充填不良であったか否かを判断し、充填不良容器を容易に発見することができる。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明における充填不良判断装置を備えた充填装置が提供される。
すなわち3番目の発明においては、市場に出荷する前、即ち、ビールの充填時に容器が充填不良であったか否かを判断し、充填不良容器を容易に発見することができる。
4番目の発明によれば、3番目の発明において、さらに、前記充填不良であると判断された前記容器を前記充填装置から排出する排出手段を具備する。
すなわち4番目の発明においては、充填不良の容器が市場に流通するのを防止できる。
5番目の発明によれば、3番目または4番目の発明において、さらに、前記充填不良であると判断された回数が所定の回数以上である場合には、前記充填不良であると判断された前記容器に対応する前記ビール充填手段によるビールの充填を停止させるビール充填停止手段を具備する。
すなわち5番目の発明においては、充填不良の容器が発生するのを防止するために、単に当該一つのビール充填手段からビールが充填されないようにしている。従って、充填装置全体を停止させる必要性を排除できる。ビール充填停止手段は、例えばビール充填手段に備えられた流量制御弁である。
6番目の発明によれば、3番目から5番目のいずれかの発明において、さらに、前記充填不良であると判断された回数が所定の回数以上である場合には、前記充填不良であると判断された前記容器に対応する前記ビール充填手段に新たな容器を供給するのを停止する容器供給停止手段を具備する。
すなわち6番目の発明においては、充填不良の容器が発生するのを防止するために、単に当該一つのビール充填手段に容器を供給しないようにしている。従って、充填装置全体を停止させる必要性を排除できる。容器供給停止手段は、例えば樽容器を両側から一時的に把持して当該ビール充填手段への供給をスキップさせる手段である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。なお、以下の説明においてはビール樽にビールを充填する場合について説明しているが、これらは一例にすぎず、容器に飲料を充填するあらゆる形態を含むことに留意されたい。
図1は本発明に基づくビール樽用の充填装置の概念図である。図1に示される充填装置10は、複数の樽容器、例えばビール樽40を矢印A方向に順次搬送するコンベヤなどの搬送経路11と、搬送経路11に隣接して配置されていてビール樽40を矢印B方向に順次搬送する環状の回転通路20とを含んでいる。
回転通路20には、ビールをビール樽40に充填するために複数、例えば二十個の充填部Fが周方向に等間隔で設けられている。図1においては、回転通路20上に位置するビール樽40に対応した位置のそれぞれに、充填部Fが設けられているものとする。
図2は図1の線I−Iに沿ってみた充填部の縦断面図である。図2においては、ビール樽40は口金を下方に向けた倒立状態で回転通路20上に配置される。充填装置10の上方には、伸縮自在なロッド52を備えたエアシリンダ51が設けられている。そして、ロッド52の先端には略「+」字形状のクランプハンド53が取付けられている。エアシリンダ51を作動してロッド52を延ばすことによって、ビール樽40はクランプハンド53と回転通路20との間に把持される。
充填部Fは、ビール樽40の樽口(図示しない)に係合可能な充填ヘッド23と、ビール用の貯留タンク(図示しない)から充填ヘッド23まで延びる送液管22とを含んでいる。ビール用の貯留タンク(図示しない)内のビールは、送液管22および充填ヘッド23を通じて樽口からビール樽40内に充填される。
図示されるように、送液管22には、送液管22内を流れるビールの流量を測定する流量計25が設けられている。さらに、ビールの流れに対して流量計25の下流には、ビールの流量を制御する流量制御弁26が設けられている。これら流量計25および流量制御弁26は後述する制御装置30に接続されている。
さらに、図2においては、ビールの充填前にプリストレスガスをビール樽40内に供給する供給管路55と、ビール樽40内のプリストレスガスを排出する排出管路56とが示されている。プリストレスガスは、不活性ガス、例えば二酸化炭素または窒素であり、ビールの液中に溶存した炭酸ガスがビール樽40への充填時に分離または発泡するのを防止する役目を果たす。なお、排出管路56には、プリストレスガスの排出流量を制御する制御弁57が設けられており、この制御弁57も制御装置30に接続されている。詳細には説明しないものの、ビール樽40に供給されたプリストレスガスはビールの充填作用に応じて排出管路56を通じて排出される。
再び図1を参照すると、搬送経路11上に搬送されたビール樽40は、搬送方向Aに対して上流側のスターホイール13およびガイド14によって回転通路20に搬送される。回転通路20に搬送されたビール樽40は回転通路20によって矢印B方向に回転しつつ、一つの充填部Fによってビールが充填される。
言い換えれば、上流側スターホイール13におけるビール樽投入位置から下流側スターホイール15におけるビール樽排出位置まで回転通路20が回転する間に、所定重量のビールがビール樽40に充填される。ビールが充填されたビール樽40は下流側のスターホイール15およびガイド16によって搬送経路11に再び戻る。このような構成であるので、図1においてスターホイール13、15の間に位置している充填部Faにはビール樽40は配置されない。
充填装置10においては、重量測定手段17が下流側スターホイール15の下流において搬送経路11上に設けられている。重量測定手段17は、ビールが充填された後におけるビール樽40の総重量を測定する。
図示されるように、重量測定手段17の下流においては分岐搬送通路18が搬送経路11から分岐している。分岐搬送通路18は通常は動作しておらず、起動部19が起動したときにのみ動作する。重量測定手段17により測定されたビール樽40の総重量が所定値Z2を下回った場合には、起動部19が起動して、そのビール樽40は搬送経路11から分岐搬送通路18に排出される。つまり、分岐搬送通路18はそのようなビール樽40を排出する排出手段としての役目を果たす。さらに、上流側スターホイール13の上流には、後述する停止部材60が設けられている。
重量測定手段17、起動部19および停止部材60も制御装置30に接続されている。ここで、制御装置30はデジタルコンピュータであり、充填装置10全体の制御を行うようになっている。
図1に示されるように制御装置30は、或るビール樽40に充填されるビールの充填速度に基づいて当該ビール樽40が充填不良であるか否かを判定する充填速度式充填不良判断手段31と、ビールの充填後におけるビール樽40の重量に基づいて当該ビール樽40が充填不良であるか否かを判定する重量式充填不良判断手段32とを含んでいる。
さらに、制御装置30は、複数の充填部Fのそれぞれにおいて充填不良を生じさせた回数をカウントするカウンタ33と、各種所定値、各種測定値および後述する動作プログラム100などを記憶した記憶部34とを含んでいる。図示されるように、充填速度式充填不良判断手段31、重量式充填不良判断手段32、カウンタ33および記憶部34は双方向性バス35により互いに接続されている。
図3は本発明の実施形態に基づく充填装置の動作プログラムに関するフローチャートである。以下、図3を参照しつつ、本発明に基づく充填装置の動作について説明する。この動作プログラム100は充填装置10の通常動作時に複数の充填部Fのそれぞれについて実施される。なお、以下の説明においては、複数の充填部Fを充填部Fi(i=1〜20)と呼ぶ。
動作プログラム100のステップ101においては、ビール樽40が供給される充填部Fiの現在のカウンタ値Niを取得する。例えば充填部Fiのうちの或る充填部F5にビール樽40が供給される場合には、充填部F5のカウンタ値N5を取得する。図4に示されるように、カウンタ値Niは複数の充填部Fiのそれぞれに対してマップの形でカウンタ33においてカウントされている。従って、この場合には、マップ内の現在のカウンタ値N5を単に取得すればよい。
次いで、ステップ102においては、空のビール樽40が上流側スターホイール13およびガイド14によって搬送経路11から回転通路20まで移動され、充填部F5によって前述したように把持される。そして、空のビール樽40は回転通路20と共に回転しつつ、供給管路55を通じて所定量のプリストレスガスがビール樽40内に充填される。次いで、プリストレスガスが排出管路56を通じて排出されつつ、充填部F5の充填ヘッド23によって当該ビール樽40へのビールの充填が開始される。
図5は、充填時間とビールの流速(充填速度)に関する信号指令値との関係を示す図である。図5においては、横軸はビールの充填時間を示しており、縦軸は制御装置30から発信されたビールの流速に関する信号を示している。この図面に示されるビールの流速に関する信号指令値に基づいて、ビールの流速は流量制御弁26によって実際に制御される。
図5に示されるように、ビールの流速は時間T0から時間T1にかけて流速QAから最大流速QBまで徐々に増大する。ビールの流速を徐々に増大させる理由は、充填時にビール内の炭酸ガスが分離または発泡するのを防止するためである。次いで、ビールの流速が最大流速QBに到達すると、時間T1から時間T2までビールを最大流速QBで充填し続ける。その後、時間T2になると流量制御弁26を閉鎖してビールの供給を瞬時に遮断するようにしている。
図3を再び参照すると、ステップ103においては、時間T1以降における最大流速QBの信号指令値に対応する実際の充填速度Vを流量計25によって測定する。具体的には、流量計25から制御装置30に送信される流量データと予め設定されたスキャンタイムとに基づいて、実際のビールの充填速度Vが算出される。
ステップ104において所定の充填重量のビールの充填が終了すると、当該ビール樽40が下流側スターホイール15付近まで移動する。次いで、当該ビール樽40は下流側スターホイール15およびガイド16によって回転通路20から搬送経路11まで再び戻される。その後、ステップ105においては、重量測定手段17によって、ビールを充填した後におけるビール樽40の総重量Zが測定される。これら充填速度Vおよび総重量Zは記憶部34内に一時的に記憶される。
次いで、ステップ106においては、充填速度式充填不良判断手段31によって充填速度Vが所定値V0よりも大きいか否かが判定される。所定値V0はプリストレスガスをビールの流れに巻込むことなしにビールを充填することのできる速度上限値であり、実験等により予め求められる。所定値V0は、例えば図5に示される最大流速QB(指令値)の約2倍〜約3倍の大きさである。
ステップ106において充填速度Vが所定値V0よりも大きいと判定された場合には、ビールの充填時にプリストレスガスがビールの流れに巻込まれ、比較的高圧で圧縮されたプリストレスガスがビール樽内部に残留していると判断できる。前述したように、そのようなビール樽40においては、ビールの注出時にビールと共にプリストレスガスが注出され、従って、ビールの液面に大径の泡が多量に生じる可能性が高い。そのようなビール樽40ではビールを良好に注出できない。従って、実際に充填されたビールの充填重量に関係なく、そのようなビール樽40を充填不良であると判断する。
それゆえ、充填速度Vが所定値V0よりも大きいと判定された場合には、ステップ108aにおいて、起動部19によって分岐搬送通路18を起動させる。これにより、当該充填後ビール樽40は搬送経路11から分岐搬送通路18に移送され、充填装置10から排出されるようになる。次いで、ステップ109aにおいて、当該ビール樽40に対応する充填部F5のカウンタ値N5に「1」を加算する(N5←N5+1)。
一方、ステップ106において充填速度Vが所定値V0よりも大きくないと判定された場合には、ステップ107に進む。ステップ107においては、重量式充填不良判断手段32によって、ビール充填後におけるビール樽40の総重量Zが所定値Z2よりも小さいか否かが判定される。所定値Z2は、統計等により予め決定された空ビール樽重量の最大値に充填重量を加算した値である。
ステップ107においてビール樽40の総重量Zが所定値Z2よりも小さい場合には、当該ビール樽40の充填重量が所定の充填重量に満たないので当該ビール樽40は充填不良であると判断できる。その原因は、例えば充填部F5における流量制御弁26が何らかの事情により所望の開度よりも閉鎖方向に維持されていたこと等が挙げられる。
このような充填不足のビール樽40を出荷することはできないので、ステップ108bに進んで、当該ビール樽40を前述したように充填装置10から排出する。これにより、残留プリストレスガスに基づいて注出不良とならない場合であっても、充填不足のビール樽40が市場に出荷されるのを防止することが可能である。さらに、ステップ109bにおいては、当該ビール樽40にビールを充填した充填部F5のカウンタ値N5に「1」を前述したようにさらに加算する(N5←N5+1)。
その後、ステップ110において、充填部F5の最新のカウンタ値N5を読込み、カウンタ値N5が所定値N0以上であるか否かを判定する。所定値N0は1以上の整数である。ステップ110においてカウンタ値N5が所定値N0以上でないと判定された場合には、処理を終了する。
所定値N0は、充填装置10の生産性と充填不良ビール樽の発生率とのトレードオフである。つまり、所定値N0が比較的大きい場合には充填装置10の生産性は高まるが充填不良ビール樽の発生率も増加する。反対に、所定値N0が比較的小さい場合には充填不良ビール樽の発生率は低下するが、充填装置10の生産性も低くなる。所定値N0は、このような関係に基づいて操作者により適宜決定される。
ステップ110においてカウンタ値N5が所定値N0以上である場合、つまり、充填部F5により充填されたビール樽40が充填不良と判断された回数が比較的多い場合には、ステップ111に進む。ステップ111においては、制御装置30によって流量制御弁26を閉鎖し、貯留タンク(図示しない)からのビールが当該充填部F5に供給されないようにする。すなわち、流量制御弁26は特定の充填部Fi、例えば充填部F5においてビール(飲料)の充填を停止させる飲料充填停止手段としての役目を果たす。
これにより、充填装置10が引続いて動作している場合であっても、充填部F5が他のビール樽40にビールを充填することはない。従って、当該充填部F5によって他のビール樽40が連続して充填不良となることを回避できる。それゆえ、本発明においては、充填不良が発生した場合であっても、充填装置10全体を停止させる必要はない。
さらに、ステップ112においては、制御装置30によって停止部材60が所定のタイミングで起動され、それにより、当該充填部F5に空のビール樽40が新たに供給されないようにする。図6(a)および図6(b)は停止部材を説明するために充填装置の一部を拡大して示す部分拡大図である。これら図面においては、停止部材60は、搬送経路11の一側に配置された一対の連接棒62Aと、搬送経路11の他側において連接棒62Aに対面するように配置された他の一対の連接棒62Bとを含んでいる。
図示されるように、一対の連接棒62Aは所定の角度をなして互いに結合されており、一対の連接棒62Aの角部は回動可能な回動軸部63Aとして形成されている。同様に、一対の連接棒62Bの角部も回動可能な回動軸部63Bとして形成されている。図6(a)から分かるように、停止部材60の回動軸部63A、63Bは搬送経路11から離間して配置されている。
図6(b)に示されるように停止部材60が起動されると、各対の連接棒62A、62Bは、回動軸部63A、63B回りに互いに反対方向に回動される。これにより、各対の連接棒62A、62Bの一端61A、61Bが、搬送経路11の長手方向中心線付近まで進出する。従って、搬送経路11上に搬送されるビール樽40は連接棒62A、62Bの一端61A、61Bにより一時的に停止する。それゆえ、停止されたビール樽40は当該充填部F5まで供給されない。そして、回転通路20がさらに回転すると、停止部材60は元位置まで戻ってビール樽40を解放し、ビール樽40が隣の充填部F6に供給される。つまり、停止部材60は問題のある充填部F5にビール樽40を供給するのをスキップできる。
このような場合には、当該充填部F5が他のビール樽40にビールを充填することを確実に防止できる。従って、他のビール樽40が連続して充填不良となることを確実に回避できる。特に、このような停止部材60の使用は、流量制御弁26が例えば固着したためにビールの充填を停止できない場合、つまりステップ111のような処理を行えない場合に特に有利である。
このように本発明においては、充填速度式充填不良判断手段31および/または重量式充填不良判断手段32によってビール樽40が充填不良であるか否かを容易に判断することが可能となる。さらに、特定の充填部Fiによって充填不良のビール樽40が生じた場合であっても、流量制御弁26および/または停止部材60を用いることにより充填不良のビール樽40が連続して発生することが回避される。
図面を参照して説明した実施形態においては流量計25が流量制御弁26よりも上流に配置されているが、流量計25が流量制御弁26よりも下流、例えば充填ヘッド23の内部に設けられていてもよい。この場合には、ビールの充填速度を直接的に測定するので、ビール樽40の充填不良をより厳密に判断できるのが分かるであろう。
当然のことながら、ステップ106、107のいずれか一方およびステップ111、112のいずれか一方を省略するようにしてもよい。また、ステップ106において充填段階における充填速度Vの平均値を他の所定値と比較するようにしてもよい。
また、図示しない実施形態においては、図3のステップ104におけるビールの充填が終了する前に、ステップ106における充填速度Vと所定値V0との判定を行うようにしてもよい。これにより、ビールの充填作業の途中で充填速度Vが所定値V0よりも大きいと判定された場合には、充填作業を強制停止させ、ビールが無駄になる量を少なくすることができる。
さらに、図示しない実施形態においては、ステップ106において充填速度Vの代わりに充填時間を用いることにより充填時間が所定値よりも短い場合に充填不良を判断してもよい。同様にステップ107において総重量Zの代わりに充填時間を用いることにより充填時間が他の所定値よりも長い場合に充填不良を判断してもよい。このような場合であっても、本発明の範囲に含まれるのは明らかであろう。
本発明に基づくビール樽用の充填装置の概念図である。 図1の線I−Iに沿ってみた充填部の縦断面図である。 本発明に基づく充填装置の動作プログラムに関するフローチャートである。 複数の充填部とカウンタ値とのマップを示す図である。 充填時間とビールの流速に関する信号指令値との関係を示す図である。 (a)停止部材を説明するために充填装置の一部を拡大して示す第一の部分拡大図である。(b)停止部材を説明するために充填装置の一部を拡大して示す第二の部分拡大図である。
符号の説明
10 充填装置
11 搬送経路
13、15 スターホイール
14、16 ガイド
17 重量測定手段(充填後樽容器重量測定手段)
18 分岐搬送通路(排出手段)
19 起動部
20 回転通路
22 送液管
23 充填ヘッド
25 流量計
26 流量制御弁(飲料充填停止手段)
30 制御装置
31 充填速度式充填不良判断手段(充填不良判断装置)
32 重量式充填不良判断手段(充填不良判断装置)
33 カウンタ
34 記憶部
40 ビール樽
60 停止部材(樽容器供給停止手段)
61A、61B 端部
62A、62B 連接棒
63A、63B 回動軸部
F、Fi 充填部
V 充填速度
V0 充填速度の所定値
Z 充填後ビール樽総重量
Z2 充填後ビール樽総重量の所定値
Ni カウンタ値
N0 カウンタ値の所定値

Claims (6)

  1. 不活性ガスにより所定の圧力に予め加圧された複数の容器のそれぞれにビールを所定の充填重量だけ充填する複数のビール充填手段により前記ビールを前記容器に充填する際のそれぞれの充填速度を測定する充填速度測定手段を具備し、該充填速度測定手段は、前記ビールの流れに対して前記容器よりも上流に配置されていて前記ビール充填手段から充填される前記ビールの流量を測定する流量計と、予め設定されたスキャンタイムとに基づいて前記ビールの充填速度を算出しており、
    該充填速度測定手段により測定された充填速度が、前記容器内の不活性ガスを前記ビールに巻き込むことなしに前記ビールを充填できる充填速度上限値よりも大きい場合には、前記充填速度で前記ビールが充填された前記容器を充填不良と判断する充填不良判断装置。
  2. さらに、前記ビール充填手段のそれぞれによってビールが充填された後の前記容器のそれぞれの重量を測定する充填後容器重量測定手段を具備し、
    該充填後容器重量測定手段によって測定された前記容器の重量が所定の充填後容器基準重量よりも小さい場合には前記容器を充填不良と判断する請求項1に記載の充填不良判断装置。
  3. 請求項1または2に記載の充填不良判断装置を備えた充填装置。
  4. さらに、前記充填不良であると判断された前記容器を前記充填装置から排出する排出手段を具備する請求項3に記載の充填装置。
  5. さらに、前記充填不良であると判断された回数が所定の回数以上である場合には、前記充填不良であると判断された前記容器に対応する前記ビール充填手段によるビールの充填を停止させるビール充填停止手段を具備する請求項3または4に記載の充填装置。
  6. さらに、前記充填不良であると判断された回数が所定の回数以上である場合には、前記充填不良であると判断された前記容器に対応する前記ビール充填手段に新たな容器を供給するのを停止する容器供給停止手段を具備する請求項3から5のいずれか一項に記載の充填装置。
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