JP4342037B2 - エレベータの扉制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータの扉制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、エレベータシステムにおける扉制御装置には、一定時間以上経過しても扉が閉じ切らなかったり開き切らない場合は、扉を通常速度のまま逆方向へ駆動して再度戸開又は戸閉の動作へ移行する機能を有している。本機能は前者をリオープン機能と言い後者をリクローズ機能と言う。
また、リオープン機能及びリクローズ機能は何度も繰り返す訳ではなくて、所定の回数(例えば3回)繰り返しても状態が復旧しない場合は、戸閉側へ制御を移した後扉は待機状態となるように構成されている。
更には、特開平4−59588号(特願平2−167918号)に示されるように、予め定められた速度制御パターンに従ってエレベータ扉開閉制御を行う装置において、前記扉駆動用のモータ電流を検出し、電流値が一定以上の過電流となっている時間を計測した後、エレベータ扉制御を一時停止し、任意にあるいは一定時間後に自動的にエレベータ扉制御を再開すると言う提案がなされている。
一方、エレベータ扉開閉動作中に、利用客の身体や衣服或いは荷物等が、不用意にエレベータ扉戸袋へ巻き込まれたり、ドアやドアシルヘ挟まれたり等のトラブルが発生した場合でも、前記リオープン機能及びリクローズ機能が作動するまでの一定時間は扉動作方向に対しトルクが掛かったままとなってしまい、且つ、特開平4−59588号(特願平2−167918号)に示されるような、エレベータ扉制御の一時停止だけでは、前記巻き込まれや挟まれ等のトラブルが起こった場合、それを簡単に回避することが困難である。
【0003】
更に、前記リオープン機能及びリクローズ機能が、作動した場合、利用客は予期せぬ扉の動きに躊躇することが予想され、しかも通常速度で扉が反転するために、扉にぶつかったり等の二次的なトラブルを招きかねない。
【0004】
【発明が解決しょうとする課題】
上記のように、従来のエレベータ扉制御装置のリオープン機能及びリクローズ機能は、利用客の身体や衣服或いは荷物等が、不用意にエレベータ扉戸袋へ巻き込まれたり、ドアやドアシルヘ挟まれたり等のトラブルを回避する為の機能では無く、風圧やドアシル内のゴミ等により扉が開き切らなかったり閉じ切らなかった場合に対応した機能であることが言え、更に、特開平4−59588号(特願平2−167918号)に示されるような、エレベータ扉制御の一時停止だけでは、前記トラブル発生後の対応を簡単に回避することが困難である。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、エレベータ扉動作中に、利用客の身体や衣服或いは荷物等が、不用意にエレベータ扉戸袋へ巻き込まれたり、ドアやドアシルヘ挟まれたり等のトラブルが生じた場合、迅速且つ安全に扉を制御し、前記巻き込まれや挟まれ等によるトラブルを最小限に食い止めることを可能としたエレベータの扉制御装置を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、扉の開閉動作を、予め定められた速度制御パターンに従って行うエレベータの扉制御装置において、エレベータの扉駆動中に扉に掛かるトルクの負荷を監視し過負荷を検出する過負荷検出手段と、戸開動作中に過負荷検出手段により検出された過負荷信号を受けた場合は、エレベータの扉を所定時間停止させた後、停止前の駆動方向とは逆方向ヘ低速で駆動させ、戸閉動作中に過負荷検出手段により検出された過負荷信号を受けた場合は、エレベータの扉をそれまでの駆動方向とは逆方向ヘ駆動させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0006】
このように、扉駆動の過負荷を検出した場合、速やかにエレベータ扉を停止させることで、不用意にエレベータ扉戸袋への巻き込まれや、ドアシルヘの挟まれ等のトラブルに遭遇した利用客は、落ち着いて適切な対応を取ることが可能となる。更に、エレベータ扉戸袋へ巻き込まれた場合は、エレベータ扉は即時停止して余裕を持って且つ低速にて反転動作する為、その後の対処にゆっくりと落ち着いた行動が取れ、また、ドアやドアシルヘ挟まれた場合は、エレベータ扉は即時反転する為、被害を最小限に食い止めることが出来る。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のエレベータの扉制御装置において、過負荷検出手段により過負荷を検出した場合、扉のリオープン機能またはリクローズ機能を動作させる設定時間を変更する手段を備えたことを特徴とする。
このように、過負荷を検出し、所定の動作へ移行した場合でも、従来からの機能であるリオープン機能及びリクローズ機能に矛盾が生じないよう、リオープン機能及びリクローズ機能を作動させる設定時間を適宜変更することで、過負荷動作時でも確実に扉廻りの異常を検出し対処することが可能となる。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載のエレベータの扉制御装置において、前記過負荷検出手段により過負荷を検出した場合、所定の案内情報を報知する手段を備えたことを特徴とする。
このように利用客に対し所定の案内情報を報知することで、より一層適切な対処が可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの扉制御装置の構成を示すブロック図である。
同図において、運行制御装置1aは、呼び処理装置1bから受け取ったかご呼び及び乗場呼びの発生状況に応じて着床階での扉開閉時間を演算し、扉開閉制御手段1cへ制御信号を伝え、エレベータ扉を開閉する。
過負荷検出手段1dでは、エレベータ扉駆動中の扉に掛かる負荷を監視し、過負荷を検出した場合、扉制御停止手段1e、運行制御装置1a及び扉低速駆動手段1fへその信号を伝える。
これにより扉制御停止手段1eは直ちに扉駆動停止指令を扉開閉制御手段1cへ伝え動作中の扉を停止し、運行制御装置1aでは、扉動作停止に時限を設定し、前記扉動作停止時限経過後にその状態を反転させるべく信号を扉制御停止手段1e、扉開閉制御手段1c及び過負荷検出手段1dへ伝える。
これにより、扉制御停止手段1eは扉の停止を解除し、扉開閉制御手段1cは扉を反転させ、過負荷検出手段1dは過負荷検出信号を一旦解除する。
また、扉低速駆動手段1fでは、前記過負荷検出手段1d及び運行制御装置1aからの過負荷検出信号並びに扉反転信号により、扉駆動を低速にすべく信号を扉開閉制御手段1cへ伝えることで、扉を低速にて開閉させる。
【0009】
更に、過負荷検出手段1dにて扉に対する過負荷が検出された場合、運行制御装置1aよりその旨を報知装置1gへ伝えることで、利用客に対してのガイドアナウンスの報知を行う構成と成っている。
図2は、この一実施形態の動作を示した扉駆動過負荷処理フローチャートである。
まず、呼び処理装置1b等からの戸開閉要求に対し運行制御装置1aは適宜時限選定(例えば、かご呼び2秒、乗場呼び3秒、かご呼び+乗場呼び5秒)を行った後、戸開閉制御指令を扉開閉制御手段1cへ伝え、エレベータ扉を開閉する。この際、過負荷検出手段1dでは、前記エレベータ扉に掛かる負荷を監視し(S2a)、過負荷を検出した場合、即ち扉駆動異常を検出した場合は、その旨を運行制御装置1a、扉制御停止手段1e及び扉低速駆動手段1fへ伝えることで、運行制御装置1aでは、一般的に、エレベータかご扉に取り付くセフティー類(例えば、光電式や静電式や超音波式)の動作を禁止し(S2b)、扉制御停止手段1eでは駆動中のエレベータ扉を即時停止させる指令を扉開閉制御手段1cへ伝え(S2d)、扉低速駆動手段1fでは、エレベータ扉が反転動作した際の扉駆動速度を低速にする準備を行う(S2e)。
【0010】
更に、本処理、即ち扉駆動過負荷処理が完全に終了するまでの間、運行制御装置1aでは、前記呼び処理制御装置1bからの呼び応答指令に対してのエレベータかごスタートを禁止し(但し、呼び登録は可能)(S2f)、加えて扉制御停止手段1e及び扉低速駆動手段1fによる、エレベータ扉の停止及び低速駆動を考慮した、扉繰り返し反転検出の為の時限設定を延長する(S2g)。
また、扉動作停止から一定時間(例えば5秒)経過した後(S2c)、運行制御装置1aでは、扉制御停止手段1e,扉開閉制御手段1c及び過負荷検出手段1dに対し、動作反転の指令を与える(S2h)。これにより、扉制御停止手段1eは停止を解除し、扉開閉制御手段1cは扉を反転され、過負荷検出手段1dは過負荷検出信号を一旦解除し、その後は、本処理、即ち扉駆動過負荷処理が完全に終了するまでの間(S2i)、運行制御装置1aでは、前記呼び処理制御装置1bからの呼び応答指令に対してのエレベータかごスタートを禁止し(但し、呼び登録は可能)(S2f)、加えて扉制御停止手段1e及び扉低速駆動手段1fによる、エレベータ扉の停止及び低速駆動を考慮した、扉繰り返し反転検出の為の時限設定を延長する(S2g)処理を継続し、扉過負荷反転動作が終了した時点で(S2i)、扉低速駆動手段1fは、扉低速駆動指令を解除する(S2j)。
【0011】
更に、運行制御装置1aにて、前記扉駆動停止(S2d)状態となった場合や前記扉動作反転(S2h)させた場合に、適宜、報知装置1gに対しその旨発報する指令を与えるものである。
本実施形態の構成においては、エレべータ扉駆動中に、利用客の身体や衣服或いは荷物等が、不用意にエレベータ扉戸袋へ巻き込まれたり、ドアやドアシルヘ挟まれたり等のトラブルが生じた場合でも、迅速且つ安全に扉を制御し、被害を最小限に食い止める得ることが出来、被害者は落ち着いてゆっくりと対処することが出来る。
【0012】
次に本発明の他の実施形態に係るエレベータの扉制御装置について説明する。上述の実施形態においては、戸開、戸閉のいずれの扉動作中においても、過負荷を検出した場合、一定時間扉動作を停止した後、低速で扉を反転動作させているが、本実施形態は、戸開動作中において過負荷を検出した場合は、一定時間扉動作を停止した後、低速で扉を反転動作させ、一方、戸閉動作中において過負荷を検出した場合は、即時扉を反転動作させるものである。
本実施形態に係るエレベータの扉制御装置の構成は、上述の実施形態の場合と同様、図1に示すとおりであるが、本実施形態の動作を図3に示す。
本実施形態においても、図2のフローチャートの場合と同様に、呼び処理制御装置1b等からの戸開閉要求に対し運行制御装置1aは適宜時限選定(例えば、かご呼び2秒、乗場呼び3秒、かご呼び+乗場呼び5秒)を行った後、戸開閉制御指令を扉開閉制御手段1cへ伝え、エレベータ扉を開閉する。この際、過負荷検出手段1dでは、前記エレベータ扉に掛かる負荷を監視し(S3a)、過負荷を検出した場合、即ち扉駆動異常を検出した場合は、その旨を運行制御装置1a、扉制御停止手段1e、及び扉低速駆動手段1fへ伝えることで、運行制御装置1aでは一般的に、エレベータかご扉に取り付くセフティー類(例えば、光電式や静電式や超音波式)の動作を禁止し(S3b)、エレベータ扉が戸開動作中に前記過負荷検出がなされた場合は(S3c)、扉制御停止手段1eでは駆動中のエレベータ扉を即停止させる指令を扉開閉制御手段1cへ伝え(S3e)、扉低速駆動手段1fでは、エレベータ扉が反転動作した際の扉駆動速度を低速にする準備を行う(S3f)。
【0013】
更に、本処理、即ち扉駆動過負荷処理が完全に終了するまでの間、運行制御装置1aでは、前記呼び処理制御装置1bからの呼び応答指令に対してのエレベータかごスタートを禁止し(但し、呼び登録は可能)(S3g)、加えて扉制御停止手段1e及び扉低速駆動手段1fによる、エレベータ扉の停止及び低速駆動を考慮した、扉繰り返し反転検出の為の時限設定を延長する(S3h)。
また、エレベータ扉が戸閉動作中に前記過負荷検出がなされた場合(S3c)、扉低速駆動手段1fは扉低速駆動を解除し(S3i)、または、戸開動作中に前記過負荷検出がなされ扉動作停止から一定時間経過後(例えば5秒)した後(S3d)、運行制御装置1aでは、扉制御停止手段1e,扉開閉制御手段1c及び過負荷検出手段1dに対し動作反転の指令を与える(S3j)。
これにより、扉制御停止手段1eは扉の停止を解除し、扉開閉制御手段1cは扉を反転され、過負荷検出手段1dは過負荷検出信号を一旦解除し、その後は、本処理、即ち扉駆動過負荷処理が完全に終了するまでの間(S3k)、運行制御装置1aでは、前記呼び処理制御装置1bからの呼び応答指令に対してのエレベータかごスタートを禁止し(但し、呼び登録は可能)(S3g)、加えて扉制御停止手段1e及び扉低速駆動手段1fによる、エレベータ扉の停止及び低速駆動を考慮した、扉繰り返し反転検出の為の時限設定を延長する(S3h)処理を継続し、扉過負荷反転動作が終了した時点で(S3k)、扉低速駆動手段1fは、扉低速駆動指令を解除する(S3l)。
【0014】
更に、運行制御装置1aにて、前記扉駆動停止(S3e)状態となった場合や前記扉動作反転(S3j)させた場合に、適宜、報知装置1gに対しその旨発報する指令を与えるものである。
本実施形態の構成においては、エレべータ扉駆動中に、利用客の身体や衣服或いは荷物等が不用意に、エレベータ扉戸袋へ巻き込まれた場合は、エレベータ扉は即時停止して余裕を持って且つ低速にて反転動作する為、その後の対処にゆっくりと落ち着いた行動が取れ、また、ドアやドアシルヘ挟まれた場合は、エレベータ扉は即時反転する為、被害を最小限に食い止めることが出来る。
次に図4及び図5は、扉繰り返し反転(リオープン及びリクローズ)処理のフローチャート図である。
従来技術で説明したように、図4に示す扉繰り返し反転(リオープン)においては、戸閉動作中に(S4a)、エレベータ扉が完全に閉じきらない状態(S4b)が、一定時間以上(例えば10秒)継続した場合(S4c)で、且つ、リオープン動作の許容回数上限(例えば3回)に達していない(S4d)場合、一旦扉を開くべくリオープン指令をセットし(S4e)、リオープンカウンタを加算する(S4f)ものであり、上記戸閉動作中(S4a)に前記エレベータ扉が完全に閉じた場合(S4b)は、リクローズ指令及びリオープンカウンタをリセットする(S4g、S4h)。
【0015】
また、図5に示す扉繰り返し反転(リクローズ)においても同様に、戸開動作中に(S5a)、エレベータ扉が完全に開ききらない状態(S5b)が、一定時間以上(例えば10秒)継続した場合(S5c)で、且つ、リクローズ動作の許容回数上限(例えば3回)に達していない(S5d)場合、一旦扉を閉じるべくリクローズ指令をセットし(S5e)、リクローズカウンタを加算する(S5f)ものであり、上記戸開動作中(S4a)に前記エレベータ扉が完全に開いた場合(S5b)は、リオープン指令及びリクローズカウンタをリセットする(S5g、S5h)。
ここで、リオープン時の一定時間以上経過(S4c)、及びリクローズ時の一定時間以上経過(S5c)のべースとなる時限を、上述の各実施形態による扉駆動過負荷処理が動作中は、適宜遅延させることで(S2g、S3h)、扉駆動過負荷処理動作中においても、風圧やドアシル内のゴミ等により扉が開き切らなかったり閉じ切らなかった場合に対応した機能が、誤動作なく有効に働くようにしている。
【0016】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明によれば、エレベータ扉動作中に、利用客の身体や衣服或いは荷物等が、不用意にエレベータ扉戸袋へ巻き込まれたり、または、ドアシルヘ挟まれたり等のトラブルが発生した場合、利用客自身が適切な処置を、迅速且つ安全に行うことが出来る為、大きな惨事を招くことなく、エレベータを安全に運行させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るエレベータの扉制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の一実施形態における扉駆動過負荷処理のフローチャート。
【図3】 本発明の他の実施形態における扉駆動過負荷処理のフローチャート。
【図4】 扉繰り返し反転(リオープン)処理のフローチャート。
【図5】 扉繰り返し反転(リクローズ)処理のフローチャート。
【符号の説明】
1a…運行制御装置
1b…呼び処理装置
1c…扉開閉制御手段
1d…過負荷検出手段
1e…扉制御停止手段
1f…扉低速駆動手段
1g…報知装置
Claims (3)
- 扉の開閉動作を、予め定められた速度制御パターンに従って行うエレベータの扉制御装置において、前記エレベータの扉駆動中に扉に掛かるトルクの負荷を監視し過負荷を検出する過負荷検出手段と、戸開動作中に前記過負荷検出手段により検出された過負荷信号を受けた場合は、前記エレベータの扉を所定時間停止させた後、停止前の駆動方向とは逆方向ヘ低速で駆動させ、戸閉動作中に前記過負荷検出手段により検出された過負荷信号を受けた場合は、前記エレベータの扉をそれまでの駆動方向とは逆方向ヘ駆動させる手段とを備えたことを特徴とするエレベータの扉制御装置。
- 請求項1に記載のエレベータの扉制御装置において、前記過負荷検出手段により過負荷を検出した場合、扉のリオープン機能またはリクローズ機能を動作させる設定時間を変更する手段を備えたことを特徴とするエレベータの扉制御装置。
- 請求項1または請求項2に記載のエレベータの扉制御装置において、前記過負荷検出手段により過負荷を検出した場合、所定の案内情報を報知する手段を備えたことを特徴とするエレベータの扉制御装置。
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