以下、車両用開閉体制御装置をパワースライドドア装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、開閉体としてのスライドドア1は、図示しない車両の側面に支持されて前後方向に移動することにより、その車両の側面に設けられたドア開口部を開閉する。具体的には、このスライドドア1は、車両前方側(同図中、左側)に移動することにより、そのドア開口部を閉塞する全閉状態となる。そして、車両後方側(同図中、右側)に移動することにより、そのドア開口部を介して乗員が乗降可能な開状態となるように構成されている。
また、このスライドドア1には、車体側に設けられたストライカ(図示略)に係合するラッチ機構4を備えた複数のロック装置5が設けられている。具体的には、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全閉位置で保持する全閉ロックとしてのフロントロック5a及びリアロック5bが設けられている。更に、このスライドドア1には、当該スライドドア1を全開位置で保持するための全開ロック5cが設けられている。そして、本実施形態のスライドドア1には、これら各ロック装置5を構成するラッチ機構4の拘束を解除して、そのスライドドア1を開閉操作するためのドアハンドル(アウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドル)6が設けられている。
即ち、本実施形態のスライドドア1において、そのドアハンドル6に入力された操作力は、各ロック装置5に対し、例えば、ワイヤーケーブルやリンク等の伝達部材を介して接続されたリモコン(リモートコントロール装置)7を経由して機械的に伝達される。そして、本実施形態のスライドドア1は、これにより、そのストライカに対するラッチ機構4の係合を解除、つまりは全閉状態又は全開状態で車体に拘束された状態を解除することで、例えば、そのドアハンドル6を把持部として開閉動作させることが可能な構成になっている。
また、本実施形態のスライドドア1は、利用者が、ドアハンドル6や車室内、或いは携帯機等に設けられた操作入力部8を操作することによっても、そのロック装置5を構成するラッチ機構4の係合状態を解除することが可能になっている。そして、本実施形態のスライドドア1には、モータ10を駆動源として、このスライドドア1を開閉動作させるドアアクチュエータ11が設けられている。
具体的には、このドアアクチュエータ11は、図示しない駆動ケーブルを介してスライドドア1を開閉駆動する開閉駆動部12を備えている。また、本実施形態のドアアクチュエータ11において、この開閉駆動部12とモータ10との間には、電磁クラッチ13が介在されている。更に、本実施形態のスライドドア1において、このドアアクチュエータ11は、制御装置としてのドアECU15によって、その作動が制御されている。そして、本実施形態のスライドドア1は、これにより、そのモータ10の駆動力に基づき開閉動作するパワースライドドア装置20として構成されている。
詳述すると、本実施形態のドアECU15には、その操作入力部8が操作されたことを示す操作入力信号Scrが入力される。そして、本実施形態のドアECU15は、この操作入力信号Scrに示される利用者の作動要求に基づいて、そのスライドドア1の作動を制御する。
具体的には、本実施形態のドアECU15は、その作動要求に示された開閉動作方向にスライドドア1を移動させるべく、ドアアクチュエータ11の作動を制御する(ドア駆動制御)。また、このドアECU15は、全開状態又は全閉状態からスライドドア1を開閉動作させる場合、そのドア駆動制御を開始する前に、先ず、このスライドドア1を車体に拘束するラッチ機構4を解除動作させるべく、ロック制御信号Slkを出力することにより、そのロック装置5の作動を制御する(リリース制御)。そして、スライドドア1が全閉位置に移動した場合には、そのロック制御信号Slkの出力により、ラッチ機構4をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行させるべく、ロック装置5の作動を制御する(クローズ制御)。
また、本実施形態のドアECU15は、そのドアアクチュエータ11に設けられた電磁クラッチ13の作動を制御して、モータ10と開閉駆動部12との間のトルク伝達経路を接断(接続及び切断)する。即ち、ドア駆動制御時には、この電磁クラッチ13がスライドドア1に対する駆動力の伝達経路を接続する状態(オン作動)で、そのモータ10の回転が制御される。また、利用者による手動操作時には、この電磁クラッチ13の作動(オフ作動)によって、その駆動力の伝達経路が切断される。そして、本実施形態のパワースライドドア装置20は、これにより、そのスライドドア1が円滑に、開閉動作するように構成されている。
さらに詳述すると、本実施形態のドアアクチュエータ11には、モータ10の回転に同期したパルス信号Spを出力するパルスセンサ21が設けられており、本実施形態のドアECU15は、このパルス信号Spをカウントとすることによって、そのスライドドア1の開閉動作位置X(及び移動速度)を検出する。更に、本実施形態のドアECU15には、例えば、車速V等の状態量、或いはイグニッション信号Sigやパーキングブレーキ信号Spbk等の制御信号が入力される。そして、本実施形態のドアECU15は、これらスライドドア1や車両に関する各種の状態量及び制御信号に基づいて、そのスライドドア1の作動を制御する。
また、本実施形態のパワースライドドア装置20において、そのロック装置5、詳しくは全閉ロックを構成するリアロック5bには、複数のセンサスイッチ30(30a〜30e)が設けられている。そして、本実施形態のドアECU15は、これら各センサスイッチ30の出力信号Swa〜Sweに基づいて、そのロック装置5の作動状態を検知する。
具体的には、図2に示すように、本実施形態のラッチ機構4は、それぞれ、その支軸32x,33x周りに回動可能に軸支されたラッチ32及びポール33を備えている。本実施形態のラッチ32は、その外周面に開口するストライカ係合溝34を有した略平板状の外形を成している。また、このラッチ32は、図示しないラッチ付勢バネによって、各図中、時計回り方向に回動付勢されている。更に、このラッチ32は、図示しないストッパ部に当接することにより、車体側に設けられたストライカ35に対し、そのストライカ係合溝34の開口端が臨む位置において、ラッチ付勢バネの付勢力に基づく回動が規制されるようになっている。そして、本実施形態のラッチ機構4は、これにより、スライドドア1の閉動作に伴って、そのラッチ32のストライカ係合溝34に対して車体側のストライカ35が係合する構成になっている。
一方、本実施形態のラッチ機構4において、ポール33は、図示しないポール付勢バネによって、各図中、反時計回り方向に回動付勢されている。また、本実施形態のポール33は、このポール付勢バネの付勢力に基づき回動することによって、その先端部33aがラッチ32の外周面に摺接する構成になっている。更に、このポール33は、ストライカ係合溝34にストライカ35が係合した状態において、その先端部33aがラッチ32の外周面に係合するように構成されている。そして、本実施形態のラッチ機構4は、これにより、そのラッチ32のストライカ係合溝34に対してストライカ35が係合する状態を保持することが可能になっている。
即ち、図2及び図3に示すように、ストライカ係合溝34に係合したストライカ35は、ラッチ32を押圧しつつ、そのストライカ係合溝34内を奥側に向かって相対移動する。そして、これにより、そのラッチ付勢バネの付勢力に抗して、各図中、反時計回り方向にラッチ32が回動することになる。
また、このとき、ポール33の先端部33aは、ポール付勢バネの付勢力に基づきラッチ32の外周面に押し当てられた状態で、見かけ上、その当接するラッチ32の外周面上を摺動する。更に、ポール33の先端部33aは、これにより、そのラッチ32の外周面に形成されたラッチ32の第1係合部32aに係合する(ハーフラッチ位置)。そして、本実施形態のラッチ機構4は、これにより、そのラッチ付勢バネによる付勢方向、つまりはストライカ係合溝34からストライカ35が排出される各図中、時計回り方向のラッチ32の回動を規制することで、そのラッチ32に対してストライカ35が係合した状態を保持する構成になっている(ハーフラッチ状態)。
また、図3及び図4に示すように、本実施形態のラッチ機構4において、ラッチ32は、このようなハーフラッチ状態に対応する回動位置から、そのラッチ付勢バネの付勢力に抗して更に回動(各図中、反時計回り方向)することが可能になっている。尚、本実施形態のラッチ機構4は、スライドドア1に入力された利用者の操作力、又はドアECU15が出力するロック制御信号Slkにより作動が制御される後述するクローザ装置(40)の駆動力に基づいて、そのラッチ32がハーフラッチ位置を超えてクローズ方向に回動する構成になっている。更に、このラッチ32の回動によって、そのラッチ32の周面に形成された第2係合部32bにポール33が係合する(フルラッチ位置)。そして、本実施形態のラッチ機構4は、これにより、そのラッチ32のストライカ係合溝34に係合するストライカ35を相対移動不能に拘束するフルラッチ状態に移行する構成になっている。
更に、本実施形態のラッチ機構4は、ドアハンドル6に入力された操作力、又はクローザ装置(40)の駆動力に基づいて、そのポール33がポール付勢バネの付勢力に抗して、各図中、時計回り方向に回動する構成になっている。また、ラッチ32は、これによりポール33との係合による回動規制が解除されることで、そのラッチ付勢バネの付勢力に基づいて、リリース方向(各図中、時計回り方向)に回動する。そして、本実施形態のラッチ機構4は、これによりストライカ35の拘束を解除し、当該ストライカ35をストライカ係合溝34から排出することで、図2に示されるようなアンロック状態に復帰する構成になっている。
図5に示すように、本実施形態の各ロック装置5は、このようなラッチ機構4の係合動作に連動して、そのハーフラッチスイッチ30a、フルラッチスイッチ30b、及びポールスイッチ30cのオン/オフ状態、つまり、これら各センサスイッチ30の出力信号Swa〜Swcが変化するように構成されている。
具体的には、本実施形態のポールスイッチ30cは、ラッチ機構4がアンラッチ状態からハーフラッチ状態に移行する過程(図2及び図3参照)において、ポール33がラッチ32の第1係合部32aに係合する際、そのラッチ32の外周面に摺接するポール33の動作(往復回動)に連動して、オフからオン、更にオンからオフへと変化する。つまり、本実施形態のポールスイッチ30cは、そのポール33がラッチ32から脱離する方向に回動することによりオン状態となるように構成されている。そして、本実施形態のハーフラッチスイッチ30aは、このとき、そのポールスイッチ30cのオンタイミングとオフタイミングとの間のタイミングで、オンからオフに変化するように構成されている。
また、本実施形態のポールスイッチ30cは、ラッチ機構4がハーフラッチ状態からフルラッチ状態に移行する過程(図3及び図4参照)において、ポール33がラッチ32の第2係合部32bに係合する際にも同様に、そのポール33の動作に連動して、オフからオン、更にオンからオフへと変化する。そして、本実施形態のフルラッチスイッチ30bもまた、このとき、そのポールスイッチ30cのオンタイミングとオフタイミングとの間のタイミングで、オンからオフに変化するように構成されている。
本実施形態のドアECU15は、このようなハーフラッチスイッチ30a、フルラッチスイッチ30b、及びポールスイッチ30cのオン/オフ状態を示す各出力信号Swa〜Swcに基づいて、ラッチ機構4の係合状態を検知する。また、本実施形態のドアECU15は、ハーフラッチスイッチ30aがオンからオフに変化し、ポールスイッチ30cがオンからオフに変化したタイミングで、クローザ装置40を作動させる。そして、その後、フルラッチスイッチ30bがオンからオフに変化し、ポールスイッチ30cがオンからオフに変化したタイミングで、そのクローザ装置40によるラッチ32の駆動を停止させる構成になっている。
(ロック装置)
次に、本実施形態のパワースライドドア装置20に設けられたロック装置5、詳しくは、その全閉ロックを構成するリアロック5bについて説明する。
図6に示すように、本実施形態のロック装置5(5b)において、ラッチ機構4は、図示しないスリット状のストライカ入出溝を有するベースプレート41に保持されている。また、このベースプレート41には、保持ブラケット42が固定されている。そして、本実施形態のロック装置5は、この保持ブラケット42に保持されたロックアクチュエータ43を備えている。
具体的には、本実施形態のロックアクチュエータ43は、駆動源となるモータ45と減速機46とが一体に設けられた所謂ギヤードモータとして構成されている。また、このロックアクチュエータ43は、ピニオンギヤ47を出力部として、その減速機46により減速したモータ45の回転を出力する。更に、本実施形態のロック装置5は、このピニオンギヤ47に噛合するギヤ部50aを有したアクティブレバー50を備えている。即ち、このアクティブレバー50は、ロックアクチュエータ43に駆動されることにより、その支軸50x周りに回動する。そして、本実施形態のロック装置5においては、このアクティブレバー50の回動方向に応じて、そのラッチ機構4をクローズ動作及びリリース動作させることが可能なクローザ装置40が形成されている。
詳述すると、図7〜図9に示すように、回動部材としてのアクティブレバー50は、ロックアクチュエータ43の駆動力に基づいて、第1方向(各図中、時計回り方向)及び第2方向(各図中、反時計回り方向)に回動する。そして、本実施形態のクローザ装置40は、このアクティブレバー50が中立位置(待機位置)から第1方向に回動することにより、そのラッチ機構4をクローズ動作させ(図3及び図4参照)、アクティブレバー50が中立位置から第2方向に回動することにより、そのラッチ機構4をリリース動作させる(図4及び図2参照)。
具体的には、図6に示すように、本実施形態のクローザ装置40は、アクティブレバー50が第1方向(図6中、時計回り方向)に回動することにより、このアクティブレバー50に連動して回動するクローズレバー51を備えている。そして、本実施形態のロック装置5は、このクローズレバー51の動作に基づいて、そのラッチ機構4がクローズ動作する構成になっている。
また、本実施形態のクローザ装置40は、アクティブレバー50が第2方向(図6中、反時計回り方向)に回動することにより、このアクティブレバー50に連動して回動するリリースレバー52を備えている。そして、本実施形態のロック装置5は、このリリースレバー52に連動して回動するオープンレバー53を備えている。
本実施形態のロック装置5において、リリースレバー52には、上記リモコン7に延びるワイヤーケーブル54が接続されている。また、オープンレバー53には、そのリモコン7から延びるワイヤーケーブル55が接続されている。即ち、アクティブレバー50を第2方向に回動させるロックアクチュエータ43の駆動力は、リリースレバー52からリモコン7を経由してオープンレバー53に伝達される。そして、本実施形態のロック装置5は、このオープンレバー53の動作に基づいて、そのラッチ機構4がリリース動作する構成になっている。
また、本実施形態のクローザ装置40は、上記のようなクローズ作動及びリリース作動の完了後、ロックアクチュエータ43の作動に基づいて、そのアクティブレバー50が中立位置に復帰する。そして、これにより、次回のクローズ作動及びリリース作動に備える構成になっている。
尚、図5に示すように、本実施形態のドアECU15は、上記のように、フルラッチスイッチ30bがオンからオフに変化し、ポールスイッチ30cがオンからオフに変化することにより、そのラッチ機構4のクローズ動作が完了したことを検知する。また、ラッチ機構4のリリース動作時には、先ず、フルラッチスイッチ30bがオフからオンに変化し、その後、ハーフラッチスイッチ30aがオフからオンに変化する。そして、本実施形態のドアECU15は、この出力信号変化に基づいて、そのラッチ機構4のリリース動作が完了したことを検知する。
さらに詳述すると、図10に示すように、本実施形態のロック装置5には、クローザ装置40を構成するアクティブレバー50の回動位置Pに応じてオン/オフ状態が変化する第1及び第2の中立スイッチ30d,30eが設けられている。そして、図1に示すように、本実施形態のドアECU15は、これら第1及び第2の中立スイッチ30d,30eの出力信号Swd,Sweに基づいて、そのクローザ装置40の作動状態を検知する構成になっている。
具体的には、図7〜図9に示すように、本実施形態のロック装置5は、ロックアクチュエータ43のピニオンギヤ47とともにアクティブレバー50(のギヤ部50a)に噛合するギヤ部56aを有した中立スイッチレバー56を備えている。即ち、この中立スイッチレバー56は、アクティブレバー50に連動して、その支軸56x周りに回動する。そして、本実施形態の各中立スイッチ30d,30eには、それぞれ、この中立スイッチレバー56の回動によりオン/オフ状態が変化するロータリースイッチ57,58が用いられている。
図10(a)に示すように、本実施形態のロック装置5において、第1の中立スイッチ30dは、第1方向側の回動端P1と第2方向側の回動端P2との間となるアクティブレバー50の回動位置Pに2つの状態変化点(第1及び第2の状態変化点Pa,Pb)を有している。具体的には、この第1の中立スイッチ30dは、アクティブレバー50の回動位置Pが第1方向側の回動端P1と第1の状態変化点Paとの間にある場合にはオフとなり、第1の状態変化点Paと第2の状態変化点Pbとの間にある場合にはオンとなる。そして、そのアクティブレバー50の回動位置Pが第2の状態変化点Pbと第2方向側の回動端P2との間にある場合もまた、オフとなるように構成されている。
一方、図10(b)に示すように、本実施形態のロック装置5において、第2の中立スイッチ30eは、アクティブレバー50の回動位置Pが、上記第1の中立スイッチ30dにおける第1の状態変化点Paと第2の状態変化点Pbとの間にある場合、つまりは、その中立領域α0に一つの状態変化点(第3の状態変化点Pc)を有している。具体的には、本実施形態の第2の中立スイッチ30eは、この第3の状態変化点Pcよりも第1方向側、つまりはクローズ領域α1側にある場合にオンとなり、その第3の状態変化点Pcよりも第2方向側、つまりはリリース領域α2側にある場合にオフとなるように構成されている。
本実施形態のロック装置5において、ラッチ機構4は、アクティブレバー50の回動位置Pが第1方向側の回動端P1近傍に移動することによりクローズ動作し、アクティブレバー50の回動位置Pが第2方向側の回動端P2近傍に移動することによりリリース動作する。また、第1の状態変化点Pa、第2の状態変化点Pb、及び第3の状態変化点Pcは、それぞれ、異なる点である。そして、本実施形態のドアECU15は、これにより、その第2の中立スイッチ30eを上記第1の中立スイッチ30dのバックアップとして用いる構成になっている。
即ち、本実施形態のドアECU15は、ラッチ機構4をクローズ動作させるクローズ制御時には、第1の中立スイッチ30dがオンからオフとなる第1の状態変化点Paよりも第1方向側(図9中、左側)の回動位置Pをクローズ領域α1として、クローザ装置40のアクティブレバー50を第1方向に回動させる。そして、ラッチ機構4をリリース動作させるリリース制御時には、第1の中立スイッチ30dがオンからオフとなる第2の状態変化点Pbよりも第2方向側(図9中、右側)の回動位置Pをリリース領域α2として、クローザ装置40のアクティブレバー50を第2方向に回動させる。
また、図11のフローチャートに示すように、ドアECU15は、クローズ制御が完了したことを検知した場合(ステップ101:YES)には、クローザ装置40のアクティブレバー50を第2方向に反転回動させる(クローズ制御後の反転制御、ステップ102)。更に、リリース制御が完了したことを検知した場合(ステップ103:YES)には、クローザ装置40のアクティブレバー50を第1方向に反転回動させる(リリース制御後の反転制御、ステップ104)。そして、ドアECU15は、これにより、その第1の中立スイッチ30dにおける第1の状態変化点Paと第2の状態変化点Pbとの間を中立領域α0として、この中立領域α0の内側、或いは、この中立領域α0に対してより近い位置に、アクティブレバー50の回動位置Pを移動させる構成になっている。
具体的には、図12のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第1及び第2の中立スイッチ30d,30eについて、それぞれ、そのオン/オフ状態の変化を監視しつつ、アクティブレバー50を反転回動させる(ステップ201〜ステップ203)。そして、第1及び第2の中立スイッチ30d,30eの何れにもオン/オフ状態の変化がない場合(ステップ201:NO且つステップ202:NO)には、その反転回動を継続させる(反転制御実行、ステップ203)。
即ち、本実施形態のロック装置5において、第1の中立スイッチ30dは、クローズ制御の完了時及びリリース制御の完了時の何れの場合にもオフ状態となっている(図10(a)参照)。この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、第1の中立スイッチ30dにより第1の状態変化点Pa又は第2の状態変化点Pbを通過するアクティブレバー50の反転回動に対応するオン/オフ状態の変化、つまりオフからオンへの変化を検出した場合(ステップ201:YES)に、その反転回動を停止させる(反転制御終了、ステップ204)。そして、これにより、アクティブレバー50の回動位置Pを、その中立領域α0となる第1及び第2の状態変化点Pa,Pb間に配置する構成になっている。
また、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eにおいて第3の状態変化点Pcを通過するアクティブレバー50の反転回動に対応するオン/オフ状態の変化が検出された場合(ステップ202:YES)にも、その反転回動を停止させる(ステップ204)。即ち、本実施形態のロック装置5において、第2の中立スイッチ30eは、クローズ制御の完了時にはオン、リリース制御の完了時にはオフとなっている。そして、そのオン/オフ状態が切り替わる第3の状態変化点Pcは、中立領域α0を規定する第1及び第2の状態変化点Pa,Pbの間に設定されている。
つまり、本実施形態のドアECU15は、第1の中立スイッチ30dの異常により、クローズ制御後の反転制御において第1の状態変化点Paを通過するアクティブレバー50の反転回動が検出できなかった場合においても、第2の中立スイッチ30eの出力信号Sweがオンからオフに変わることで、その反転回動を停止させる(図10(b)参照)。同様に、リリース制御後の反転制御において第2の状態変化点Pbを通過するアクティブレバー50の反転回動が検出できなかった場合においても、第2の中立スイッチ30eの出力信号Sweがオフからオンに変わることで、その反転回動を停止させる。そして、本実施形態のロック装置5においては、これにより、その高い信頼性が確保されている。
さらに詳述すると、図13のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、クローズ制御後の反転制御時(ステップ301:YES)、アクティブレバー50の回動位置Pがクローズ領域α1にあると判定すると(ステップ302:YES)、続いて、車両が停車状態にあるか否かを判定する(ステップ303)。そして、車両が停車状態にあると判定した場合(ステップ303:YES)には、図12に示すような第1及び第2の中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動を停止させる第1の反転制御を実行する(ステップ304)。
また、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ303において、車両が停車状態にない、つまり走行状態にあると判定した場合(ステップ303:NO)には、その反転カウンタとなる計時カウンタ60aを用いてアクティブレバー50の反転回動を停止させる第2の反転制御を実行する(ステップ305、図1参照)。
即ち、上記ステップ304において実行する第1の反転制御がアクティブレバー50の回動位置Pを中立領域α0内に配置するための通常時の中立復帰制御とすれば、このステップ305において実行する第2の反転制御は、そのクローズ動作時にラッチ機構4に加えられた応力を開放するための応力緩和制御に相当する。つまり、車両が走行状態にある場合には、極力、そのラッチ機構4によるスライドドア1の拘束が解除される可能性を排除することが好ましい。この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、上記第2の反転制御の実行により、アクティブレバー50の回動位置Pが、中立領域α0に近づく方向に移動するように、その計時カウンタ60aを用いた反転回動、つまりは第2の反転制御の継続時間(所定時間T1)を設定する。そして、本実施形態のロック装置5は、これにより、その高い安全性を確保する構成になっている。
具体的には、図14のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第2の反転制御の実行時には(ステップ401:YES)、先ず、計時カウンタ60aをセットする(Ta=0、ステップ402)。そして、そのクローザ装置40のアクティブレバー50を第2方向に反転回動させる(反転制御実行、ステップ403)。
次に、ドアECU15は、計時カウンタ60aのカウント値である継続時間Taを取得して(ステップ404)、その第2の反転制御の継続時間Taが所定時間T1に到達したか否かを判定する(ステップ405)。そして、この継続時間Taが所定時間T1に到達した場合(Ta≧T1、ステップ405:YES)に、そのアクティブレバー50の反転回動を停止させる(反転制御終了、ステップ406)。
また、本実施形態のドアECU15は、この第2の反転制御の実行時においても各中立スイッチ30d,30eの状態変化判定を実行する。具体的には、上記ステップ405において、第2の反転制御の継続時間Taが所定時間T1に到達していないと判定した場合(Ta<T1、ステップ405:NO)には、各中立スイッチ30d,30eについて、上記第1の反転制御と同様(図12参照、ステップ201及びステップ202)に状態変化判定を実行する(ステップ407)。そして、その状態変化判定により反転制御の終了条件が成立したと判定した場合、即ちアクティブレバー50がクローズ領域α1から中立領域α0に移動したと判定される場合(ステップ408:YES)には、継続時間Taが所定時間T1に到達した場合と同様、ステップ406において、そのアクティブレバー50の反転回動を停止させる。
尚、上記ステップ408において、各中立スイッチ30d,30eの状態変化判定に基づいた反転制御の終了条件が成立していないと判定される場合(ステップ408:NO)、ドアECU15は、再び上記ステップ403以降の処理を実行する。即ち、各中立スイッチ30d,30eをバックアップに用いることで、計時カウンタ60aを用いた第2の反転制御による反転回動量、つまりはアクティブレバー50を反転回動させる所定時間T1について、より大きな値を設定することが可能になる。そして、本実施形態のロック装置5は、これにより、次回のリリース制御時、より速やかに、そのラッチ機構4をリリース動作させることが可能な構成となっている。
また、図13のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ302において、アクティブレバー50の回動位置Pがクローズ領域α1にないと判定した場合(ステップ302:NO)には、続いて、そのアクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にあるか否かを判定する(ステップ306)。そして、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にあると判定した場合(ステップ306:YES)には、そのクローズ制御後の反転制御を実行しない構成になっている(ステップ307)。
即ち、ラッチ機構4は、利用者が手動によりスライドドア1を閉めることによっても、クローズ動作する。つまり、各中立スイッチ30d,30eが正常であり、その回動位置Pの検出に誤りがない場合であっても、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50が中立領域α0にある場合が起こり得る。そして、このような場合に反転制御を実行することで、そのアクティブレバー50がリリース領域α2に移動するおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、このような場合には、その反転制御を実行しない。そして、これにより、クローズ動作の完了後、そのアクティブレバー50がリリース領域α2側に移動することによりラッチ機構4がリリース動作する可能性を低減する構成になっている。
尚、本実施形態のドアECU15は、上記ステップ306において、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にないと判定した場合(ステップ306:NO)に、その中立スイッチ30d,30eが異常であると判定する(ステップ308)。そして、本実施形態のロック装置5は、これにより、例えば、ウォーニングランプの点灯等の警告出力を行うことで、車両の乗員に注意を促すことが可能な構成となっている。
(中立スイッチの故障検知)
次に、本実施形態のドアECU15が実行する各中立スイッチ30d,30eの故障検知について説明する。
図15のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転制御を終了した場合(ステップ501:YES)、その反転制御がクローズ制御後の反転制御であるか、或いはリリース制御後の反転制御であるかを判定する(ステップ502)。そして、クローズ制御後の反転制御である場合(ステップ502:YES)に、第1の中立スイッチ30dに生じたクローズ側の異常を検出し(ステップ503)、リリース制御後の反転制御である場合(ステップ502:NO)には、同じく第1の中立スイッチ30dに生じたリリース側の異常を検出する(ステップ504)。
即ち、反転制御の実行時、第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化を検出することなく、第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化を検出したということは、その第1又は第2の状態変化点Pa,Pbをアクティブレバー50が通過する際、オン/オフ状態の切替が行われなかったことを意味する(図10参照)。本実施形態のドアECU15は、このような第1の中立スイッチ30dの異常を、その反転制御前の回動方向、つまりは、クローズ領域α1側に生じた第1の状態変化異常と、リリース領域α2側に生じた第2の状態変化異常とで、それぞれ、独立に検出する。そして、これにより、精度よく、より確実に、その第1の中立スイッチ30dの故障を検知することが可能となっている。
詳述すると、図16のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第1の中立スイッチ30dに第1の状態変化異常を検出した場合(ステップ601:YES、図15参照、ステップ503)には、第1の計数カウンタ70aをカウントアップする(Na=Na+1、ステップ602)。次に、ドアECU15は、この第1の計数カウンタ70aのカウント値、つまりは、その第1の状態変化異常の検出回数Naが所定の閾値N1を超えたか否かを判定する(ステップ603)。そして、第1の状態変化異常の検出回数Naが所定の閾値N1を超えた場合(Na≧N1、ステップ603:YES)に、その第1の中立スイッチ30d、詳しくは、この第1の中立スイッチ30dを構成するロータリースイッチ57が故障したものと判定する(ステップ604)。
同様に、ドアECU15は、第1の中立スイッチ30dに第2の状態変化異常を検出した場合(ステップ605:YES、図15参照、ステップ504)には、第2の計数カウンタ70bをカウントアップする(Nb=Nb+1、ステップ606)。次に、ドアECU15は、この第2の計数カウンタ70bのカウント値、つまりは、その第2の状態変化異常の検出回数Nbが所定の閾値N2を超えたか否かを判定する(ステップ607)。そして、第2の状態変化異常の検出回数Nbが所定の閾値N1を超えた場合(Nb≧N2、ステップ607:YES)にも、上記ステップ604において、その第1の中立スイッチ30dが故障したものと判定する。
また、図17のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化に基づいて、アクティブレバー50の反転制御を終了した場合(ステップ701:YES)、その反転制御がクローズ制御後の反転制御であるか、或いはリリース制御後の反転制御であるかを判定する(ステップ702)。そして、クローズ制御後の反転制御である場合(ステップ702:YES)には、第1の状態変化異常の検出回数Naを初期化し(カウンタクリア、Na=0,ステップ703)、リリース制御後の反転制御である場合(ステップ702:NO)には、第2の状態変化異常の検出回数Nbを初期化する(カウンタクリア、Nb=0,ステップ704)。
例えば、図18に示す参考例のように、クローズ制御後の反転制御において、第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づき反転制御を終了したことをもって、その第1の中立スイッチ30dに生じた異常を検出したとする(図15参照、ステップ503)。しかしながら、この参考例においては、第1の中立スイッチ30dを構成する物理的に一つの構成(ロータリースイッチ57)について、アクティブレバー50の反転回動方向を問わず、その故障判定を行う構成になっている。このため、次回のリリース制御後の反転制御において、第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動が停止した場合には、この第1の中立スイッチ30dが正常であると誤判定してしまう可能性が生ずる。
即ち、ロック装置5のような車両の重要部品については、複数回の異常検出をもって、その構成要素の故障を検知することが多い。このため、上記のように、アクティブレバー50の反転回動方向によって、その検出結果(異常/正常)が交互に入れ替わるような状況となっている場合には、その第1の中立スイッチ30dに生じた故障を正しく検知できない可能性がある。
この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、上記のように、その第1の中立スイッチ30dに生じた第1及び第2の状態変化異常の各検出回数Na,Nbを、それぞれ、専用に設けられた第1及び第2の計数カウンタ70a,70bを用いて独立にカウントする。そして、これにより、その第1の中立スイッチ30dの故障を正しく検知することが可能な構成になっている。
また、図19のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、クローズ制御の完了時(ステップ801:YES)、第2の中立スイッチ30eがオンであるかを判定する(ステップ802)。更に、ドアECU15は、このステップ802において、第2の中立スイッチ30eがオフになっていると判定した場合(ステップ802:NO)には、アクティブレバー50の回動位置Pが、第1の中立スイッチ30dにおける第1及び第2の状態変化点Pa,Pb間にある、即ち中立領域α0にあるか否かを判定する(ステップ803)。そして、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にないと判定した場合(ステップ803:NO)には、その第2の中立スイッチ30eのクローズ領域α1側に生じた第3の状態変化異常を検出する(ステップ804)。
更に、ドアECU15は、リリース制御の完了時(ステップ805:YES)、第2の中立スイッチ30eがオフであるかを判定する(ステップ806)。そして、このステップ806において、第2の中立スイッチ30eがオンになっていると判定した場合(ステップ806:NO)には、その第2の中立スイッチ30eのリリース領域α2側に生じた第4の状態変化異常を検出する(ステップ807)。
即ち、第2の中立スイッチ30e(ロータリースイッチ58)が正常である場合、クローズ制御の完了時にはオンとなり、リリース制御の完了時にはオフとなる(図10参照)。そして、本実施形態のドアECU15は、これを利用して、その第2の中立スイッチ30eのクローズ領域α1側に生じた第3の状態変化異常と、リリース領域α2側に生じた第4の状態変化異常と、を独立に検出する構成になっている。
尚、上記のように、利用者が手動によりスライドドア1を閉めることにより、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にある状態でも、そのクローズ制御が完了する場合がある。この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にある場合(ステップ803:YES)には、その第3の状態変化異常の検出を行わない。そして、これにより、その第3の状態変化異常の検出精度を高める構成となっている。
また、図20のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eに第3の状態変化異常を検出した場合(ステップ901:YES、図19参照、ステップ804)には、第3の計数カウンタ70cをカウントアップする(Nc=Nc+1、ステップ902)。次に、ドアECU15は、この第3の計数カウンタ70cのカウント値、つまりは、その第3の状態変化異常の検出回数Ncが所定の閾値N2を超えたか否かを判定する(ステップ903)。そして、第3の状態変化異常の検出回数Ncが所定の閾値N2を超えた場合(Nc≧N2、ステップ903:YES)に、その第2の中立スイッチ30e、詳しくは、この第2の中立スイッチ30eを構成するロータリースイッチ58が故障したものと判定する(ステップ904)。
同様に、ドアECU15は、第2の中立スイッチ30eに第4の状態変化異常を検出した場合(ステップ905:YES、図19参照、ステップ807)には、第4の計数カウンタ70dをカウントアップする(Nd=Nd+1、ステップ906)。次に、ドアECU15は、この第4の計数カウンタ70dのカウント値、つまりは、その第4の状態変化異常の検出回数Ndが所定の閾値N2を超えたか否かを判定する(ステップ907)。そして、第4の状態変化異常の検出回数Ndが所定の閾値N2を超えた場合(Nd≧N2、ステップ907:YES)にも、上記ステップ904において、その第2の中立スイッチ30eが故障したものと判定する。
更に、図19に示すように、本実施形態のドアECU15は、クローズ制御の完了時(ステップ801:YES)、第2の中立スイッチ30eがオンである場合(ステップ802:YES)には、第3の状態変化異常の検出回数Ncを初期化する(カウンタクリア、Nc=0,ステップ808)。そして、リリース制御の完了時(ステップ805:YES)、第2の中立スイッチ30eがオフである場合(ステップ806:YES)には、第4の状態変化異常の検出回数Ndを初期化する(カウンタクリア、Nd=0,ステップ809)。
即ち、本実施形態のロック装置5において、第2の中立スイッチ30eは、第1の中立スイッチ30dのバックアップとして位置付けられている。このため、従来技術にみられるような2つの中立スイッチが交互にバックアップとなることで互いの異常検出を行う方法は、本実施形態のロック装置5に用いることができない。そして、第2の中立スイッチ30eが故障していた場合、アクティブレバー50が中立領域α0を超えて移動してしまうおそれがある。
更に、第2の中立スイッチ30eは、第1の中立スイッチが形成するアクティブレバー50の第1方向側の回動端P1と第2方向側の回動端P2との間に設定された第3の状態変化点Pcにおいて、そのオン/オフ状態が切り替わる構成となっている。このため、クローズ領域α1側及びリリース領域α2側の一方が異常であっても、他方は正常であることが多い(オン固着又はオフ固着)。
この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、上記のように、その第2の中立スイッチ30eに生じたクローズ領域α1側の異常及びリリース領域α2側の異常を独立に検出する。更に、これら第3及び第4の状態変化異常の各検出回数Nc,Ndを、それぞれ、専用に設けられた第3及び第4の計数カウンタ70c,70dを用いて独立にカウントする。そして、これにより、アクティブレバー50の反転回動方向によって異常検出と正常検出とが交互に入れ替わるような状況を回避する構成になっている。
(再反転制御)
次に、本実施形態のドアECU15が反転制御後に実行する再反転制御について説明する。
図21に示すように、本実施形態のドアECU15は、クローザ装置40のモータ45に対する駆動電力の供給を停止することにより反転制御を終了し、そのアクティブレバー50の反転回動を停止させる。そして、第1の中立スイッチ30dを用いた通常の中立復帰制御時(図13参照、ステップ304、リリース制御時も同様)には、モータ45等の慣性による駆動停止後のオーバーラン(図21中、一点鎖線に示す部分)を考慮して、そのアクティブレバー50を中立領域α0の中間付近、即ち第3の状態変化点Pcの近傍に配置する構成になっている。
また、図22に示すように、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づいて、アクティブレバー50の反転回動を停止させた場合(図12参照、ステップ202:YES、及びステップ204)には、そのアクティブレバー50を逆方向に反転回動させる(再反転制御)。
即ち、第1の中立スイッチ30dの異常により、第2の中立スイッチ30eを用いてアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合には、その駆動停止後のオーバーラン分が過剰となる。これを踏まえ、本実施形態のドアECU15は、このような再反転制御を実行する。そして、これにより、第2の中立スイッチ30eを用いたバックアップ制御時においても、より適切な待機位置にアクティブレバー50を配置することが可能になっている。
具体的には、本実施形態のドアECU15は、クローズ制御後の反転制御において、第2の中立スイッチ30eによりアクティブレバー50の反転回動を停止、つまりはクローズ領域α1側からリリース領域α2側に向かう第2方向の回動を停止させた場合には、その後、このアクティブレバー50を逆向きとなる第1方向に反転回動させる。そして、これにより、より最適な位置にアクティブレバー50を配置する構成になっている。
一方、図23に示すように、本実施形態のドアECU15は、リリース制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合には、その再反転制御を実行しない。
即ち、リリース制御後の反転制御は、リリース領域α2側からクローズ領域α1側へと、そのアクティブレバー50を第1方向に反転回動させるものであり、その後、再反転制御により更に逆向きにアクティブレバー50を反転回動させた場合、そのアクティブレバー50が、クローズ領域α1側からリリース領域α2側に向かうことになる。そして、このリリース領域α2側に向かうアクティブレバー50の反転回動を停止させる位置は、クローズ制御後に行う通常の反転制御(図21参照)において、そのアクティブレバー50の反転回動を停止させるクローズ領域α1と中立領域α0との境界部よりもリリース領域α2に近い位置となる。
つまり、リリース制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eによりアクティブレバー50の反転回動が停止した後、再反転制御を実行した場合には、その駆動停止後のオーバーランによって、アクティブレバー50がラッチ機構4をリリース動作させる位置まで移動してしまう可能性が生ずる。
この点を踏まえ、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eによりアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合において、その反転制御が、クローズ制御後の反転制御であった場合に限り、再反転制御を実行する。そして、本実施形態のロック装置5は、これにより、高い安全性を確保しつつ、より適切な待機位置にアクティブレバー50を配置することが可能となっている。
詳述すると、図24のフローチャートに示すように、本実施形態のドアECU15は、第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転制御を終了した場合(ステップ1001:YES)、その反転制御がクローズ制御後の反転制御であるかを判定する(ステップ1002)。そして、その反転制御がクローズ制御後の反転制御である場合(ステップ1002:YES)には、再反転カウンタとなる計時カウンタ60bをセットして(Tb=0、ステップ1003)、その再反転制御を実行する(ステップ1004)。
また、ドアECU15は、計時カウンタ60bのカウント値である継続時間Tbを取得して(ステップ1005)、その再反転制御の継続時間Tbが所定時間T2に到達したか否かを判定する(ステップ1006)。そして、この継続時間Tbが所定時間T2に到達した場合(Tb≧T2、ステップ1006:YES)に、その再反転制御を終了する(ステップ1007)。
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)反転制御部81aとしてのドアECU15は、ロック装置5に設けられた回動部材としてのアクティブレバー50を第1方向に回動させることによりラッチ機構4にスライドドア1を拘束させるクローズ制御の完了後、反転制御を実行することによりアクティブレバー50を第2方向に反転回動させる(図11参照)。また、位置検出部81bとしてのドアECU15は、ロック装置5に設けられた各中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態に基づいて、アクティブレバー50の回動位置Pを検出する。そして、反転制御部81aとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50の回動位置Pが、第1方向側のクローズ領域α1と第2方向側のリリース領域α2との間の中立領域α0にあると判定される場合(図13参照、ステップ306:YES)には、その反転制御を実行しない(ステップ307)。
即ち、ラッチ機構4は、利用者が手動によりスライドドア1を閉めることによっても、クローズ動作する。このため、各中立スイッチ30d,30eが正常であり、その回動位置Pの検出に誤りがない場合であっても、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50が中立領域α0にある場合が起こり得る。そして、このような場合に反転制御を実行することで、そのアクティブレバー50がリリース領域α2に移動するおそれがある。しかしながら、上記構成によれば、クローズ制御の完了後、アクティブレバー50がリリース領域α2側に移動することによりラッチ機構4がリリース動作する可能性を低減することができる。そして、これにより、高い安全性を確保することができる。
(2)ドアECU15は、その反転制御が継続することによりカウントアップする反転カウンタとしての計時カウンタ60aを備える。また、反転制御部81aとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時、車両が停車状態にある場合(図13参照、ステップ303:YES)には、各中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動を停止させる第1の反転制御を実行する(ステップ304)。更に、ドアECU15は、クローズ制御の完了時、車両が走行状態にある場合(ステップ303:NO)には、その計時カウンタ60aにより計測したクローズ制御の継続時間Taが所定時間T1に到達した場合にアクティブレバー50の反転回動を停止させる第2の反転制御を実行する(ステップ305、図14参照)。そして、ドアECU15は、この第2の反転制御の実行時においても、中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態に基づきアクティブレバー50がクローズ領域α1から中立領域α0に移動したと判定される場合(ステップ408:YES)には、アクティブレバー50の反転回動を停止する(ステップ406)。
即ち、各中立スイッチ30d,30eをバックアップに用いることにより、その計時カウンタ60aを用いて計測するアクティブレバー50の反転回動量に相当する所定値、つまりは、第2の反転制御の継続時間Taの閾値となる所定時間T1について、より大きな値を設定することが可能になる。そして、これにより、次回のリリース制御時、より速やかに、そのラッチ機構4をリリース動作させることができる。その結果、例えば、ラッチ機構4がリリース動作する前にスライドドア1が開動作することで、そのラッチ機構4の解除音が大きくなる等の問題が発生する可能性を低減することができる。
(3)異常判定部81cとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50の回動位置Pがリリース領域α2にあると判定される場合(ステップ306:NO)に、各中立スイッチ30d,30eが異常であると判定する(ステップ308)。
即ち、通常、リリース制御後の反転制御は、各中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態変化に基づいて、その終了判定が行われる。このため、クローズ制御の実行時、アクティブレバー50は、その開始時点から中立領域α0に配置されている。従って、上記構成によれば、精度よく、その中立スイッチ30d,30eの異常を判定することができる。
(4)ロック装置5には、第1方向側の回動端P1と第2方向側の回動端P2との間となるアクティブレバー50の回動位置Pに第1及び第2の状態変化点Pa,Pbを有してオン/オフ状態が変化する第1の中立スイッチ30dが設けられる。また、ロック装置5には、第1及び第2の状態変化点Pa,Pb間との間となるアクティブレバー50の回動位置Pに一つの状態変化点(第3の状態変化点Pc)を有する第2の中立スイッチ30eが設けられる。反転制御部82aとしてのドアECU15は、アクティブレバー50を第1方向に回動させるクローズ制御の完了後、及びアクティブレバー50を第2方向に回動させるリリース制御の完了後、そのアクティブレバー50を反転回動させる。また、反転停止部82bとしてのドアECU15は、第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化又は第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動を停止させる。更に、第1の異常検出部82cとしてのドアECU15は、クローズ制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動が停止された場合(図15参照、ステップ502:YES)に、第1の中立スイッチ30dに生じた第1の状態変化異常を検出する(ステップ503)。そして、第2の異常検出部82dとしてのドアECU15は、リリース制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の反転回動が停止された場合(ステップ502:NO)に、第1の中立スイッチ30dに生じた第2の状態変化異常を検出する(ステップ504)。
即ち、第1の中立スイッチ30dが物理的に一つの構成(ロータリースイッチ57)であっても、必ずしも、そのクローズ領域α1側及びリリース領域α2側の両方が同時に異常になるとは限らない。この点、上記構成によれば、クローズ領域α1側に生じた第1の状態変化異常と、リリース領域α2側に生じた第2の状態変化異常と、を独立に検出することができる。そして、これにより、その第1の中立スイッチ30dに生じた異常に対して、より適切に対処することができるようになる。
(5)ドアECU15は、第1の状態変化異常の検出回数Naをカウントする第1の計数カウンタ70aと、第2の状態変化異常の検出回数Nbをカウントする第2の計数カウンタ70bと、を備える。また、第1の初期化部82eとしてのドアECU15は、クローズ制御後の反転制御において第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の回動部材の反転回動が停止された場合(図17参照、ステップ702:YES)には、第1の状態変化異常の検出回数Naを初期化する(Na=0、ステップ703)。更に、第2の初期化部82fとしてのドアECU15は、リリース制御後の反転制御において第1の中立スイッチ30dのオン/オフ状態変化に基づきアクティブレバー50の回動部材の反転回動が停止された場合(ステップ702:NO)には、第2の状態変化異常の検出回数Nbを初期化する(Nb=0、ステップ704)。そして、第1の故障検知部82gとしてのドアECU15は、第1の状態変化異常の検出回数Na又は前記第2の状態変化異常の検出回数Nbの何れかが所定の閾値N1を超えた場合に(図16参照、Na≧N1,ステップ603:YES、又はNb≧N1,ステップ607:YES)、第1の中立スイッチ30dの故障を検知する(ステップ604)。
上記構成によれば、アクティブレバー50の反転回動方向によって検出結果(異常/正常)が交互に入れ替わるような状況においても、複数回の異常検出をもって、その第1の中立スイッチ30dに生じた故障を正しく検知することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(6)第2の中立スイッチ30eは、アクティブレバー50が第3の状態変化点Pcよりもクローズ領域α1側にある場合にはオンとなり、第3の状態変化点Pcよりもリリース領域α2側にある場合にはオフとなる(図10(b)参照)。第3の異常検出部82hとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時(図19参照、ステップ801:YES)、第2の中立スイッチ30eがオフである場合(ステップ802:NO)に、この第2の中立スイッチ30eに生じた第3の状態変化異常を検出する(ステップ804)。そして、第4の異常検出部82iとしてのドアECU15は、リリース制御の完了時(ステップ805:YES)、第2の中立スイッチ30eがオンである場合(ステップ806:NO)に、この第2の中立スイッチに生じた第4の状態変化異常を検出する(ステップ807)。
上記構成によれば、第2の中立スイッチ30e単独で、そのクローズ領域α1側に生じた第3の状態変化異常と、リリース領域α2側に生じた第2の状態変化異常と、を独立に検出することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(7)ドアECU15は、第3の状態変化異常の検出回数Ncをカウントする第3の計数カウンタ70cと、第4の状態変化異常の検出回数Ndをカウントする第4の計数カウンタ70dと、を備える。また、第3の初期化部82jとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時(図19参照、ステップ801:YES)、第2の中立スイッチ30eがオンである場合(ステップ802:YES)には、第3の状態変化異常の検出回数Ncを初期化する(Nc=0、ステップ808)。更に、第4の初期化部82kとしてのドアECU15は、リリース制御の完了時(ステップ805:YES)、第2の中立スイッチ30eがオフである場合(ステップ806:YES)には、第4の状態変化異常の検出回数Ndを初期化する(Nd=0、ステップ809)。そして、第2の故障検知部82lとしてのドアECU15は、第3の状態変化異常の検出回数Nc又は第4の状態変化異常の検出回数Ndの何れかが所定の閾値N2を超えた場合に(図20参照、Nc≧N2,ステップ903:YES、又はNd≧N2,ステップ907:YES)、第2の中立スイッチの故障を検知する(ステップ904)。
上記構成によれば、アクティブレバー50の反転回動方向によって検出結果(異常/正常)が交互に入れ替わるような状況においても、複数回の異常検出をもって、その第2の中立スイッチ30eに生じた故障を正しく検知することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。特に、第2の中立スイッチ30eは、そのクローズ領域α1側及びリリース領域α2側の一方の出力状態が異常であっても、他方の出力状態は正常であることが多い(オン固着又はオフ固着)。従って、このような構成を採用することで、より顕著な効果を得ることができる。
(8)第3の異常検出部82hとしてのドアECU15は、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50の回動位置Pが第1及び第2の状態変化点Pa,Pb間、つまり中立領域α0にある場合(ステップ803:YES)には、第3の状態変化異常を検出しない。
即ち、ラッチ機構4は、利用者が手動によりスライドドア1を閉めることによっても、クローズ動作する。つまり、アクティブレバー50の回動位置Pが中立領域α0にある状態で、そのクローズ制御が完了する場合もある。従って、上記構成によれば、より精度よく、その第3の状態変化異常を検出することができる。
(9)再反転制御部83aとしてのドアECU15は、クローズ制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eによりアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合(図24参照、ステップ1002:YES)には、当該アクティブレバー50を逆方向に反転回動させる再反転制御を実行する(ステップ1003〜ステップ1007)。そして、リリース制御後の反転制御において第2の中立スイッチ30eによりアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合(ステップ1002:NO)には、その再反転制御を実行しない。
即ち、通常、アクティブレバー50は、モータ45等の慣性により、その駆動停止後も暫くの間、動き続ける。このため、第1の中立スイッチ30dの異常により、第2の中立スイッチ30eを用いてアクティブレバー50の反転回動を停止させた場合には、その駆動停止後のオーバーラン分が過剰となる。しかしながら、上記構成によれば、その再反転制御の実行によって、より適切な待機位置にアクティブレバー50を配置することができる。更に、その再反転制御によりアクティブレバー50を更に逆向きに反転回動させる方向がリリース領域α2側に向かう第2方向となるリリース制御後の反転制御においては、このような再反転制御を行わないことで、その後のオーバーランによりアクティブレバー50がラッチ機構4をリリース動作させる位置まで移動してしまう可能性を排除する。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(10)ドアECU15は、その再反転制御が継続することによりカウントアップする再反転カウンタとしての計時カウンタ60bを備える。そして、再反転終了部83bとしてのドアECU15は、この計時カウンタ60bにより計測した継続時間Tbが所定時間T2に到達した場合(Tb≧T2,ステップ1006:YES)に、その再反転制御を終了させる(ステップ1007)。これにより、各中立スイッチ30d,30eに頼ることなく、その駆動停止後のオーバーランを踏まえて、より適切な待機位置にアクティブレバー50を配置することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、車両の側面に設けられたスライドドア1を開閉作動させるパワースライドドア装置20及びそのロック装置5に具体化した。しかし、これに限らず、スイング式のドア、或いは車両後部に設けられたバックドアやラゲッジドア等、その他のパワードア装置に適用してもよい。そして、ドア以外の開閉体を対象とする車両用開閉体制御装置に適用してもよい。
・スライドドア1に設けられるロック装置5の数及び配置は任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、ロック装置5は、モータ駆動により第1方向及び第2方向に回動するアクティブレバー50を備える。そして、このアクティブレバー50の回動方向に応じて、そのラッチ機構4がクローズ動作及びリリース動作することとした。しかし、これに限らず、第1方向及び第2方向に回動することによりラッチ機構4をクローズ動作及びリリース動作させる回動部材の構成については、任意に変更してもよい。
・上記実施形態では、第1の中立スイッチ30dは、アクティブレバー50の回動位置Pが第1方向側の回動端P1と第1の状態変化点Paとの間にある場合、及び第2の状態変化点Pbと第2方向側の回動端P2との間にある場合にはオフとなり、第1の状態変化点Paと第2の状態変化点Pbとの間にある場合にはオンとなることとした。そして、第2の中立スイッチ30eは、その第3の状態変化点Pcよりも第1方向側、つまりはクローズ領域α1側にある場合にオンとなり、その第3の状態変化点Pcよりも第2方向側、つまりはリリース領域α2側にある場合にオフとなることとした。しかし、これに限らず、これらの各中立スイッチ30d,30eのオン/オフ状態(第1及び第2の出力状態)が逆転した構成であってもよい。
即ち、第1の中立スイッチ30dは、第1の状態変化点Paよりも第1方向側、及び第2の状態変化点Pbよりも第2方向側でオンとなり、第1及び第2の状態変化点Pa,Pb間でオフとなる構成であってもよい。そして、第2の中立スイッチ30eもまた、その第3の状態変化点Pcよりも第1方向側でオフとなり、第2方向側でオンとなる構成であってもよい。
・また、例えば、図25のフローチャートに示すように、ドアECU15は、クローズ制御を開始する際(ステップ1101:YES)、クローズカウンタとなる計時カウンタ60cをセットする(Tc=0,ステップ1102、図1参照)。また、ドアECU15は、クローズ制御の完了時(ステップ1103:YES)、アクティブレバー50の回動位置Pが、中立領域α0にあるか否かを判定し(ステップ1104)、中立領域α0にある場合(ステップ1104:YES)には、計時カウンタ60bのカウント値であるクローズ制御の継続時間Tcを取得する(ステップ1105)。更に、ドアECU15は、このクローズ制御の継続時間Tcを、当該クローズ制御の実行によりアクティブレバー50が中立領域α0からクローズ領域α1に移動したと推定可能な値に設定された所定時間T3以上であるか否かを判定する(ステップ1106)。そして、異常判定部81cとしてのドアECU15は、クローズ制御の継続時間Tcが所定時間T3以上である場合(Tc≧T3、ステップ1106:YES)に、各中立スイッチ30d,30eに異常があると判定する構成としてもよい(ステップ1107)。これにより、簡素な構成にて、その各中立スイッチ30d,30eの異常判定を行うことができる。
・更に、図13に示されるような、クローズ制御の完了時、アクティブレバー50の回動位置Pが、第1方向側のクローズ領域α1と第2方向側のリリース領域α2との間の中立領域α0にあると判定される場合には反転制御を実行しない構成については、上記実施形態とは、異なる中立センサを備える構成に適用してもよい。即ち、この場合、中立センサは、回動部材となるアクティブレバー50の回動位置Pが、クローズ領域α1、リリース領域α2、及び中立領域α0の何れにあるかを検出可能なものであればよい。そして、この場合における中立センサの異常判定(ステップ308)、及び上記別例の中立センサの異常判定(図25参照)についてもまた、上記実施形態とは異なる中立センサを備える構成に適用してもよい。
・上記実施形態では、再反転カウンタとなる計時カウンタ60cを用いて再反転制御の終了判定を行うこととしたが、中立スイッチを用いる構成であってもよい。
・反転カウンタ、再反転カウンタ、及びクローズカウンタとなる各計時カウンタ60a〜60cについては、演算周期毎にカウントアップするものを用いてもよく、フリーランカウンタを用いてもよい。
・また、反転カウンタ、再反転カウンタ、及びクローズカウンタを構成するカウンタ60は、それぞれ、その対応する反転制御、再反転制御、及びクローズ制御の継続によりカウントアップするものであれば、必ずしも計時カウンタ60a〜60cでなくともよい。例えば、そのアクティブレバー50の駆動源となるモータ45の回転に同期してカウントアップするカウンタを用いる構成であってもよい。即ち、この場合、そのカウント値は、アクティブレバー50の移動量となる。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)前記異常判定部は、前記クローズ制御の完了時、前記回動部材の回動位置が前記リリース領域にあると判定される場合には、前記中立スイッチが異常であると判定すること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、通常、リリース制御後の反転制御は、中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づいて、その終了判定が行われる。このため、クローズ制御の実行時、回動部材は、その開始時点から中立領域に配置されている。従って、上記構成によれば、精度よく、その中立スイッチの異常を判定することができる。
(ロ)前記ロック装置には、第1方向側の回動端と第2方向側の回動端との間となる前記回動部材の回動位置に第1及び第2の状態変化点を有してオン/オフ状態が変化する第1の中立スイッチと、前記第1及び第2の状態変化点の間となる前記回動部材の回動位置に第3の状態変化点を有してオン/オフ状態が変化する第2の中立スイッチと、が設けられ、前記反転制御部は、前記クローズ制御の完了後、及び前記ラッチ機構を前記リリース動作させるリリース制御の完了後、前記回動部材を反転回動させる反転制御を実行するとともに、前記制御装置は、前記第1の中立スイッチのオン/オフ状態変化又は前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動を停止させる反転停止部と、前記クローズ制御後の前記反転制御において前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動が停止された場合に、前記第1の中立スイッチに生じた第1の状態変化異常を検出する第1の異常検出部と、前記リリース制御後の前記反転制御において前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動が停止された場合に、前記第1の中立スイッチに生じた第2の状態変化異常を検出する第2の異常検出部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、第1の中立スイッチが物理的に一つの構成であっても、必ずしも、その第1及び第2の状態変化点の両方、つまりはクローズ領域側及びリリース領域側の両方において、同時に、その回動部材が通過する際、オン/オフ状態の切替が行われない異常になるとは限らない。この点、上記構成によれば、その第1のクローズ領域側に生じた第1の状態変化異常と、リリース領域側に生じた第2の状態変化異常と、を独立に検出することができる。そして、これにより、その第1の中立スイッチに生じた異常に対して、より適切に対処することができるようになる。
(ハ)前記制御装置は、前記第1の状態変化異常の検出回数をカウントする第1の計数カウンタと、前記第2の状態変化異常の検出回数をカウントする第2の計数カウンタと、前記クローズ制御後の前記反転制御において前記第1の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動が停止された場合に前記第1の状態変化異常の検出回数を初期化する第1の初期化部と、前記リリース制御後の前記反転制御において前記第1の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動が停止された場合に前記第2の状態変化異常の検出回数を初期化する第2の初期化部と、前記第1の状態変化異常の検出回数又は前記第2の状態変化異常の検出回数の何れかが所定の閾値を超えた場合に、前記第1の中立スイッチの故障を検知する第1の故障検知部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、回動部材の反転回動方向によって検出結果(異常/正常)が交互に入れ替わるような状況においても、複数回の異常検出をもって、その第1の中立スイッチに生じた故障を正しく検知することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(ニ)前記第2の中立スイッチは、前記回動部材が前記第3の状態変化点よりも第1方向側にある場合には、第1の出力状態となり、前記回動部材が前記第3の状態変化点よりも第2方向側にある場合には、第2の出力状態となるものであって、前記制御装置は、前記クローズ制御の完了時、前記第2の中立スイッチが前記第2の出力状態にある場合に、前記第2の中立スイッチに生じた第3の状態変化異常を検出する第3の異常検出部と、前記リリース制御の完了時、前記第2の中立スイッチが前記第1の出力状態にある場合に、前記第2の中立スイッチに生じた第4の状態変化異常を検出する第4の異常検出部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、第2の中立スイッチ単独で、そのクローズ領域側に生じた第3の状態変化異常と、リリース領域側に生じた第2の状態変化異常と、を独立に検出することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(ホ)前記制御装置は、前記第3の状態変化異常の検出回数をカウントする第3の計数カウンタと、前記第4の状態変化異常の検出回数をカウントする第4の計数カウンタと、前記クローズ制御の完了時、前記第2の中立スイッチが前記第1の出力状態にある場合に、前記第3の状態変化異常の検出回数を初期化する第3の初期化部と、前記リリース制御の完了時、前記第2の中立スイッチが前記第2の出力状態にある場合に、前記第4の状態変化異常の検出回数を初期化する第4の初期化部と、前記第3の状態変化異常の検出回数又は前記第4の状態変化異常の検出回数の何れかが所定の閾値を超えた場合に、前記第2の中立スイッチの故障を検知する第2の故障検知部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、回動部材の反転回動方向によって検出結果(異常/正常)が交互に入れ替わるような状況においても、複数回の異常検出をもって、その第2の中立スイッチに生じた故障を正しく検知することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。特に、一つの出力変化点を有する第2の中立スイッチは、そのクローズ領域側及びリリース領域側の一方の出力状態が異常であっても、他方の出力状態は正常であることが多い(オン固着又はオフ固着)。従って、このような構成を採用することで、より顕著な効果を得ることができる。
(ヘ)前記第3の異常検出部は、前記クローズ制御の完了時、前記回動部材の回動位置が前記第1及び第2の状態変化点の間にある場合には、前記第3の状態変化異常を検出しないこと、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、ラッチ機構は、利用者が手動により開閉体を閉めることによっても、クローズ動作する。つまり、回動部材の回動位置が中立領域にある状態で、そのクローズ制御が完了する場合もある。従って、上記構成によれば、より精度よく、その第3の状態変化異常を検出することができる。
(ト)前記ロック装置には、第1方向側の回動端と第2方向側の回動端との間となる前記回動部材の回動位置に第1及び第2の状態変化点を有してオン/オフ状態が変化する第1の中立スイッチと、前記第1及び第2の状態変化点の間となる前記回動部材の回動位置に第3の状態変化点を有してオン/オフ状態が変化する第2の中立スイッチと、が設けられるとともに、前記制御装置は、前記反転制御部は、前記クローズ制御の完了後、及び前記ラッチ機構を前記リリース動作させるリリース制御の完了後、前記反転制御を実行するものであって、前記制御装置は、前記第1の中立スイッチのオン/オフ状態変化又は前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動を停止させる反転停止部と、前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動を停止させた場合に、該回動部材を逆方向に反転回動させる再反転制御部と、を備え、前記再反転制御部は、前記クローズ制御後の前記反転制御において前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動を停止させた場合に、前記回動部材を逆方向に反転回動させる再反転制御を実行し、前記リリース制御後の前記反転制御において前記第2の中立スイッチのオン/オフ状態変化に基づき前記回動部材の反転回動を停止させた場合には、前記再反転制御を実行しないこと、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
即ち、通常、回動部材は、駆動源となるモータ等の慣性により、その駆動停止後も暫くの間、動き続ける。このため、第1の中立スイッチの異常により、第2の中立スイッチを用いて回動部材の反転回動を停止させた場合には、その駆動停止後のオーバーラン分が過剰となる。しかしながら、上記構成によれば、その再反転制御の実行によって、より適切な待機位置に回動部材を配置することができる。更に、その再反転制御の実行により回動部材を逆向きに反転回動させる方向がリリース領域側に向かう第2方向となるリリース制御後の反転制御においては、このような再反転制御を行わないことで、その後のオーバーランにより回動部材がラッチ機構をリリース動作させる位置まで移動してしまう可能性を排除する。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。
(チ)前記制御装置は、前記再反転制御が継続することによりカウントアップする再反転カウンタと、前記再反転カウンタのカウント値が所定値に到達した場合に前記再反転制御を終了する再反転終了部と、を備えること、を特徴とする車両用開閉体制御装置。
上記構成によれば、中立スイッチに頼ることなく、その駆動停止後のオーバーランを踏まえて、より適切な待機位置に回動部材を配置することができる。