JP4341566B2 - 水性分散体およびそれを用いて処理された無機繊維並びにこの無機繊維を含む無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

水性分散体およびそれを用いて処理された無機繊維並びにこの無機繊維を含む無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、無機繊維の集束剤として有用な不飽和ジカルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂の水性分散体、およびこの水性分散体を用いて処理された無機繊維と、この無機繊維を含む無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物に関する。
従来、樹脂組成物に配合する補強用無機繊維の処理剤(集束剤)としては、樹脂補強効果を高めるために、シランカップリング剤や、ウレタンエマルジョン、エポキシエマルジョン、アクリルエマルションなどが使用されている。
しかし、マトリックス樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合、上記従来の集束剤で処理したものでは、マトリックス樹脂と無機繊維との間の密着強度が不足し、得られる無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品の引張強度、曲げ強さ、衝撃強度などの諸物性が低下する問題があった。
特許文献1には、不飽和ジカルボン酸で変性されたポリプロピレン系樹脂またはその塩を必須成分とする水性分散体からなる無機繊維用集束剤が提案されているが、この無機繊維用集束剤で処理した無機繊維を配合しても、樹脂の強度向上効果は不十分であった。また、特許文献2には、重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩を含む無機繊維用集束剤が記載されているが、この集束剤で処理した無機繊維を配合しても、やはり樹脂の強度向上効果は不十分であった。
特開平6−107442号公報 特開平10−131048号公報
本発明の目的は、上記従来の問題点を解決し、無機繊維の集束性に優れ、かつ無機繊維とマトリックス樹脂との密着性を向上させることができ、これにより機械的強度に優れた無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品を得ることができる水性分散体およびこの水性分散体により処理された無機繊維と、この無機繊維を含む無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明の水性分散体は、不飽和ジカルボン酸類で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂であって、重量平均分子量が20000を超え、酸価が4以上の酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩を含む水性分散体であって、酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩100重量部に対し、アニオン型界面活性剤(B)1〜20重量部を含有した溶融混練物に、水および塩基性物質を添加して、樹脂固形分を、平均粒子径0.01〜1μmの微細分散粒子として転相させてなる、無機繊維用集束剤であることを特徴とする。
本発明の水性分散体において、ポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン樹脂が好ましく、この水性分散体は、水分含有率が3〜90重量%であることが好ましい。
本発明の無機繊維は、このような本発明の水性分散体を用いて処理されたことを特徴とする。
本発明の無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、このような本発明の無機繊維を含むことを特徴とし、そのマトリックス樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好適である。
本発明の水性分散体は、無機繊維の集束性に優れ、かつ無機繊維とマトリックス樹脂との密着性を効果的に向上させることができ、従ってこの水性分散体で処理した無機繊維を用いることにより、無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品の引張強度、曲げ強さ、衝撃強度など機械的特性を著しく向上させることができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<ポリオレフィン系樹脂(A)>
本発明の水性分散体に含まれるポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン系樹脂を不飽和ジカルボン酸類で変性したものである。
このポリオレフィン系樹脂としては、好ましくはプロピレン系樹脂、例えば、プロピレンの単独重合体、ならびにプロピレンとエチレン、他のα−オレフィンまたはビニル化合物から選ばれる1種以上との共重合体が挙げられる。ここで、他のα−オレフィンとしては炭素数4〜18のα−オレフィン、例えば1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、これらの1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらのうちポリオレフィン系樹脂として好ましいものはプロピレンの単独重合体である。
ポリオレフィン系樹脂の変性に用いられる不飽和ジカルボン酸類としては特に制限はないが、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、ならびに無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸の無水物やマレイン酸メチル等の不飽和ジカルボン酸のエステル誘導体などが挙げられる。これらの不飽和ジカルボン酸類は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。不飽和ジカルボン酸類として好ましいものは無水マレイン酸である。
本発明で用いる酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量が20000以下であると、本発明の水性分散体を用いて処理した無機繊維を配合した無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品の衝撃強度等の機械的強度の向上効果が不十分である。従って、本発明では、重量平均分子量が20000を超える酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)を用いる。この酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、過度に大きいと製造された水性分散体の分散粒子径が肥大化し、水性分散体の貯蔵安定性が低下することから、通常150000程度である。酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の重量平均分子量は好ましくは25000〜120000である。
また、本発明で用いる酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の酸価が4未満であると、本発明の水性分散体を用いて処理した無機繊維を配合した無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品の衝撃強度等の機械的強度の向上効果が不十分である。従って、本発明では、酸価が4以上の酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)を用いる。この酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の酸価の上限については特に制限はないが、過度に大きいと水性分散体の分散速度が低下することから、通常200程度である。酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)の酸価は好ましくは10〜160である。
なお、酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)は、ポリオレフィン系樹脂に常法に従って不飽和ジカルボン酸類を反応させることにより製造することができ、その変性基が塩の形態をなしていてもよい。
この酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)は、本発明の水性分散体の製造時において、後述の如く、塩基性物質を添加することにより塩の形態として存在する。
<アニオン型界面活性剤(B)>
本発明の水性分散体は、アニオン型界面活性剤(B)を含、アニオン型界面活性剤(B)を含むことにより、本発明の水性分散体は、見掛け上、固形の微細粒子の水性分散体となる。ここで、アニオン型界面活性剤(B)としては、特に制限はないが、例えば、第一級高級脂肪酸塩、第二級高級脂肪酸塩、第一級高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、第一級高級アルキルスルホン酸塩、第二級高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキルジスルホン酸塩、スルホン化高級脂肪酸塩、高級脂肪酸硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸スルホン酸塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのアルキロール化硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェノールスルホン酸塩、アルキルナフタリンスルホン酸塩、アルキルベイゾイミダゾールスルホン酸塩などが挙げられる。
これらのアニオン型界面活性剤の中で特に好適なものとしては、高級脂肪酸類、特に炭素数10〜20の飽和または不飽和の高級脂肪酸塩、特にアルカリ金属塩が挙げられ、具体的には、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マーガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸、リンデン酸、ツズ酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸、あるいはこれらの混合物のアルカリ金属塩を挙げることができる。
アニオン型界面活性剤(B)はこれらの1種を単独で用いても良く、また2種以上を併用しても良い。
アニオン型界面活性剤(B)は、本発明に係る酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩の100重量部に対して、1〜20重量部好ましくは5〜15重量部の範囲で含まれている。アニオン型界面活性剤(B)の量が1重量部未満であると乳化特性が低下し未乳化物が増加し、20重量部を超えると熱可塑性樹脂に対する補強効果が低下するので、いずれの場合も好ましくない。
<その他の成分>
本発明の水性分散体は、上記酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を含有してもよい。特に水性分散体の粒子径を低下させるために、低分子量酸変性ポリオレフィン(共)重合体の1種又は2種以上を含有させてもよい。ここで、低分子量酸変性ポリオレフィン(共)重合体としては、酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)のポリオレフィン系樹脂と同様のエチレン、プロピレンの単独重合体、ならびにプロピレンとエチレン、他のα−オレフィンまたはビニル化合物から選ばれる1種以上との共重合体が挙げられる。このα−オレフィンとしては炭素数4〜18のα−オレフィン、例えば1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらのうち好ましいものはプロピレンの単独重合体である。
<水性分散体の性状>
本発明の水性分散体は、水分含有率3〜90重量%で、固形分濃度が10〜97重量%特に25〜65重量%であることが好ましい。水分含有率が多く、固形分濃度が少ない場合には、熱可塑性樹脂の補強効果が不足し、逆に水分含有率が少なく、固形分濃度が多い場合には、水性分散体の貯蔵安定性が低下する。
なお、本発明の水性分散体は、通常水分含有率3〜35重量%の範囲において、固体又はペースト状となる。
本発明の水性分散体は、また、ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩に由来する樹脂固形分が微細分散粒子相として存在する。この樹脂固形分の微細分散粒子の平均粒子径は0.01〜1μm、望ましくは0.05〜0.5μmである。微細分散粒子の平均粒子径を過度に小さくするためにはアニオン型界面活性剤の必要添加量が増大することにより無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物の樹脂物性が低下し、大き過ぎると水性分散体の貯蔵安定性が悪化し実用上好ましくない。
<水性分散体の製造方法>
本発明の水性分散体は、例えば前記酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)、アニオン型界面活性剤(B)、および必要に応じて低分子量酸変性ポリオレフィン共重合体やその他の添加剤を溶融混練し、得られた溶融混練物に、水および塩基性物質を添加して樹脂固形分が微細分散粒子となるように転相させることにより製造することができる。なお、塩基性物質は、樹脂固形分を微細分散粒子として転相させる際に、未中和のアニオン型界面活性剤を用いた場合に、これらをケン化するために必要とされる。
ここで、使用される塩基性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、およびアミン等の水中で塩基として作用する物質、アルカリ金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、弱塩基、水素化物等の水中で塩基として作用する物質、これらの金属のアルコキシド等を挙げることができる。
上記塩基性物質は直接添加しても良いが、5〜40重量%程度の水溶液の形態で添加するのが好ましい。塩基性物質の添加量は通常ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩に対して0.4〜8重量部程度である。
なお、前記の溶融混練工程と転相工程とは逐時的に行う。
溶融混練工程で用いる溶融混練手段は公知のいかなるものでも良いが、好適にはニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押出機などを例示することができる。水を逐次滴下して溶融混練し、製造された水性分散体は、その後室温下まで自然または人工的に冷却される。このとき分散粒子は固化し、安定な水性分散体となる。
このようにして水性分散体を製造することにより、酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩に由来する樹脂固形分が微細分散粒子相として存在する水性分散体が得られる。
なお、本発明の水性分散体の製造にあたっては、通常水性分散体に使用することができる各種副資材、例えば乳化剤、安定化剤、湿潤材、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、老化防止剤、可塑剤、充填剤、着色剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を必要に応じて併用することができる。
[無機繊維]
本発明の無機繊維は、上述のような本発明の水性分散体で処理してなるものである。
本発明の水性分散体が適用される無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セラミック繊維、岩石繊維、スラッグ繊維等が挙げられるが、特に炭素繊維、ガラス繊維が好ましい。これらの繊維は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
ガラス繊維としては、具体的なものとしてはガラスロービング、ガラスチョップストランド、ガラスミドルファイバー、ガラスパウダー、ガラスステーブル、ガラスクロス等が挙げられる。
炭素繊維としては、公知の各種炭素繊維、例えばポリアクリロニトリル、レーヨン、ピッチ、炭化水素ガスなどを原料とする炭素繊維、黒鉛繊維、およびこれらにニッケル、アルミニウム、銅などの金属をコーティングした金属被覆炭素繊維等が挙げられる。特に好ましくはポリアクリロニトリル系炭素繊維、および、これから得られる金属被覆炭素繊維である。
炭素繊維としては繊維長0.1〜50mm、繊維径5〜30μm、特に10〜20μmのものが、その補強効果の面から好ましい。
本発明において、無機繊維を水性分散体で処理する方法には特に制限はなく、浸漬法、スプレー法、転写法等いずれでも構わないが、好ましくは浸漬法であり、含浸性を向上させるために浸漬時にローラーを複数介するのが好ましい。例えば、数千〜数十万のフィラメントから構成された無機繊維ストランドを本発明の水性分散体に浸漬した後乾燥し、その後、0.1〜50mmの長さに切断することにより、本発明の水性分散体により集束した無機繊維チョップドストランドを得ることができる。この場合、無機繊維に付着させる本発明の水性分散体の量は特に限定されないが、通常、無機繊維に対して固形分として0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%程度の範囲とすることが好ましい。
なお、この処理に際しては、本発明の水性分散体に水を添加するなどして濃度調整しても良い。処理に好適な固形分濃度は通常30〜650g/L程度である。
[無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物]
本発明の無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、上述のような本発明の無機繊維を含むものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のマトリックス樹脂として用いられる樹脂は特に限定されるものではないが、例えばABS、AAS、AES、エチレン酢酸ビニル共重合体、変性エチレン酢酸ビニル共重合体、塩素化エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ふっ素プラスチック、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリフェニレンエーテル、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。これらのうち、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン系樹脂であり、特に好ましくはポリプロピレン樹脂である。
組成物中の熱可塑性樹脂に対する本発明の水性分散体で処理された無機繊維の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、5〜70重量部、好ましくは10〜50重量部である。無機繊維の含有量が5重量部未満では得られる組成物の機械強度の向上が十分でなく、また70重量部を超える場合には成形性が低下して成形が困難になり、得られる成形品の機械強度も低下する。なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物中には、2種以上の無機繊維が含まれていても良く、異なる水性分散体で処理された無機繊維が含まれていても良い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、さらにその強化または改質を目的として、上記成分以外に他の充填材や強化材、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、増核剤等を含有していても良い。
本発明の無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物は、マトリックス樹脂を、本発明の水性分散体で処理した無機繊維およびその他の任意成分と共に溶融混練することにより製造することができる。ここで、混練方法は公知の技術を適用することができる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、混練ロール、ブラベンダー、ニーダー等の混練機、またはヘンシェルミキサー等の混練機に配合成分を供給し、170〜300℃、好ましくは180〜280℃に加熱溶融することによって行うことができる。
以下、製造例、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を意味する。
製造例1:水性分散体(X−1)の製造
重量平均分子量30000、酸価52の、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体)(三洋化成工業(株)製「ユーメックス1010」)100部、オレイン酸カリウム10部を混合した。次いで、この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼(株)製「PCM−30型」L/D=40)のホッパーより4kg/時間で供給し、水酸化カリウム20%水溶液を110g/時間で連続的に供給しながら、加熱温度200℃で溶融混練して溶融物を押出した。引き続き、溶融物を同押出機先端に取り付けた冷却用一軸押出機に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した固体を80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、分散粒子の平均粒子径0.22μm、固形分濃度45%である水性分散体(X−1)を得た。
製造例2:水性分散体(X−2)の製造
酸変性ポリオレフィン系樹脂として、重量平均分子量40000、酸価26の、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体)(三洋化成工業(株)製「ユーメックス1003」)100部を使用した以外は、製造例1と同様にして水性分散体(X−2)を調製した。この水性分散体(X−2)は、分散粒子の平均粒子径0.25μm、固形分濃度45%であった。
製造例3:水性分散体(X−3)の製造
酸変性ポリオレフィン系樹脂として、重量平均分子量10000、酸価3.5の、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン樹脂(プロピレンの単独重合体)(三洋化成工業(株)製「ユーメックス100TS」)100部を使用した以外は、製造例1と同様にして水性分散体(X−3)を調製した。この水性分散体(X−3)は、分散粒子の平均粒子径0.15μm、固形分濃度45%であった。
製造例4:炭素繊維チョップドストランド(Y−1)の製造
製造例1で得た本発明の水性分散体(X−1)を水で希釈することにより濃度200g/lに調整し、この水性分散体に炭素繊維ストランド(東邦レーヨン(株)製,直径7μm×12000本フィラメント)を浸漬させた後乾燥することにより、炭素繊維ストランドに水性分散体(X−1)を固形分として2.5%付着させた。次いでこの炭素繊維ストランドを繊維長6mmに切断して炭素繊維チョップドストランド(Y−1)を作製した。
製造例5:炭素繊維チョップドストランド(Y−2)の製造
水性分散体として、水性分散体(X−2)を使用した以外は製造例4と同様に行い、炭素繊維チョップドストランド(Y−2)を作製した。
製造例6:炭素繊維チョップドストランド(Y−3)の製造
水性分散体として、水性分散体(X−3)を使用した以外は製造例4と同様に行い、炭素繊維チョップドストランド(Y−3)を作製した。
製造例7:炭素繊維チョップドストランド(Y−4)の製造
炭素繊維処理剤としてビスフェノール型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製「エピコート828」)を使用した以外は製造例4と同様に行い、炭素繊維チョップドストランド(Y−4)を作製した。
製造例8:炭素繊維チョップドストランド(Y−5)の製造
炭素繊維処理剤としてウレタン樹脂乳化物を使用した以外は製造例4と同様に行い、炭素繊維チョップドストランド(Y−5)を作製した。
実施例1、2および比較例1〜3
ポリプロピレン樹脂(東燃化学(株)製「J205」)を44mmφの二軸押出機を用い、230℃、250rpmにて混練し、押出機の途中から重量式フィーダーを用いて製造例4〜8で得た炭素繊維チョップドストランドを各々供給し、炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物を得た。いずれも混合割合はポリプロピレン樹脂75部に対して炭素繊維チョップドストランド25部とした。
得られた炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂組成物の曲げ弾性率、引張破断強度、アイゾット衝撃強度を下記の方法で測定し、結果を表1に示した。
曲げ弾性率:ASTM D−790に準拠して測定
引張破断強度:ASTM D−638に準拠して測定
アイゾット衝撃強度:ASTM D−256に準拠して測定
Figure 0004341566
表1より、本発明によれば、曲げ弾性率、引張破断強度および衝撃強度に優れた無機繊維強化熱可塑性樹脂成形品を得ることができることが分かる。

Claims (6)

  1. 不飽和ジカルボン酸類で変性された酸変性ポリオレフィン系樹脂であって、重量平均分子量が20000を超え、酸価が4以上の酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩を含む水性分散体であって、
    酸変性ポリオレフィン系樹脂(A)及び/又はその塩100重量部に対し、アニオン型界面活性剤(B)1〜20重量部を含有した溶融混練物に、水および塩基性物質を添加して、樹脂固形分を、平均粒子径0.01〜1μmの微細分散粒子として転相させてなる、無機繊維用集束剤であることを特徴とする水性分散体。
  2. ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の水性分散体。
  3. 水分含有率が3〜90重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性分散体。
  4. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の水性分散体を用いて処理されたことを特徴とする無機繊維。
  5. 請求項に記載の無機繊維を含むことを特徴とする無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
  6. 熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項に記載の無機繊維強化熱可塑性樹脂組成物。
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