JP4341456B2 - 内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法及び劣化判定装置 - Google Patents

内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法及び劣化判定装置 Download PDF

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Description

本発明は内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定方法及び劣化判定装置に関する。
ディーゼルエンジンや希薄燃焼式ガソリンエンジンにおいては、酸化雰囲気で排気中のNOxを吸蔵させ、その後、燃料などによる還元剤を排気中に供給することにより還元雰囲気にして、吸蔵されていたNOxを放出しかつ還元して浄化するNOx吸蔵還元触媒を用いた排気浄化システムが存在する。この排気浄化システムに用いられているNOx吸蔵還元触媒は、長期にわたって使用すると劣化を生じて、NOxを十分に吸蔵できなくなったり、還元雰囲気にて十分にNOxを還元できなくなったりして、NOxを浄化できなくなるおそれがある。
このためNOx吸蔵還元触媒の劣化度を正確に検出することにより上記問題に対処しようとする技術が提案されている。例えばアイドル開始時に触媒の上流側温度に基づいて基準温度を算出し、アイドル時における所定期間経過後に触媒下流の温度と上記基準温度との差に基づいて触媒の劣化度を判定する技術が存在する(例えば特許文献1参照)。
特開2001−221037号公報(第7頁、図5)
しかし上記技術では、アイドル状態などの特定の安定した機関運転状態が継続していなければNOx吸蔵還元触媒の劣化度を高精度に検出できない。すなわち安定運転状態が継続している期間内に劣化度検出を行わないと、所定期間前後で機関運転状態が変化して、基準温度の設定時と触媒下流の温度検出時とで運転状態が異なってしまい、両者を比較しても触媒反応による正確な温度上昇を捉えられなくなるからである。
このためNOx吸蔵還元触媒の劣化検出頻度が低くならざるを得ず、NOx吸蔵還元触媒の劣化度が高くなってNOxを十分に浄化できなくなったとしても、早期に触媒取り替えなどの対策ができなくなるおそれがある。
本発明は、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることを目的とするものである。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法は、排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定方法であって、排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体に対して実測した媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定し、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度を判定する処理を禁止することを特徴とする。
排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定する。これは例えば排気浄化触媒に全く反応物質が供給されていないことにより排気浄化触媒にて反応熱が発生していない状態、あるいは排気浄化触媒が完全に劣化(最大劣化度)していて反応物質が供給されていても排気浄化触媒にて反応熱が発生していない状態に該当する。
このように反応熱を発生していない状態での触媒床温は排気との間の熱伝達のみにより決定される。排気温は内燃機関の運転状態に応じて推定できるので、触媒反応を行っていない排気浄化触媒の触媒床温は、内燃機関の運転状態に応じて容易に推定できることになる。
一方、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体(例えば排気)に対して実測した媒体温度は、触媒での反応熱を反映している。このため前記無反応状態として推定した触媒床温よりも反応熱に応じて高くなっているはずである。
しかし実測した温度が推定した触媒床温に近ければ近いほど、反応物質が排気浄化触媒に供給されているにもかかわらず、実際には反応を生じにくくなっていると判断することができる。すなわち実測した温度が推定した触媒床温に近いほど劣化度が高いと判断できる。このようにして上記推定計算した触媒床温と、上記実測した触媒床温又は媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を高精度に判定することができる。
そして内燃機関の運転状態に応じて排気温が推定できることから、劣化度検出をアイドル時に限る必要が無く、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態であれば良いので、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であっても劣化度検出を行うことが可能である。このようにして内燃機関に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
また、前記反応物質の添加量が少ない場合(即ち、第2の触媒制御モードにおいて)は、排気浄化触媒の劣化度が高くなくても十分な発熱が生じることが無いことから、浄化時排気温検出手段にて測定される排気温が低くなり、不正確な排気温データを用いることになる。したがって前記反応物質の添加量が少ない場合は、劣化度を判定する処理を禁止することで、排気浄化触媒の劣化度の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項2に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項1において、前記推定計算した触媒床温と、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度との差が小さいほど、前記排気浄化触媒の劣化度が高いと判定することを特徴とする。
すなわち推定計算した触媒床温と、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度との差が小さいほど、これに応じて反応物質が排気浄化触媒に供給されても反応がなされていないことになるので、差が小さいほど排気浄化触媒の劣化が進んでいると判定できるからである。
請求項3に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定方法であって、排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体に対して実測した媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定し、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度を判定する処理を禁止することを特徴とする。
排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定する。これは排気浄化触媒に供給された反応物質により所定劣化度に応じた反応熱が排気浄化触媒に発生している状態である。例えば、所定劣化度が最大劣化度と全く劣化していない状態との中間にあるとすれば、全く劣化していない排気浄化触媒にて反応物質の反応により生じる発熱量に対して所定劣化度に応じて少ない発熱量となる。又、全く劣化していない状態を所定劣化度とした場合には、全く劣化していない排気浄化触媒にて反応物質の反応により生じる発熱量と同じとなり、完全に劣化した状態を所定劣化度とした場合には発熱量は「0」である。
このように排気浄化触媒の劣化度が所定劣化度であると仮定すると、同一量の反応物質に対する発熱量は所定劣化度に応じた値になる。そしてこの仮定された発熱量により昇温した触媒床温は、排気との間の熱伝達のみにより決定される。排気温は内燃機関の運転状態に応じて推定できるので、排気浄化触媒の触媒床温は、所定劣化度と内燃機関の運転状態とに応じて容易に推定できることになる。
一方、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体(例えば排気)に対して実測した媒体温度は、触媒での反応熱を反映しているので、反応熱に応じて高くなっているはずである。
しかし実測した温度が推定した触媒床温に近い値、あるいは同等といえる範囲であれば、発熱量は前記仮定した所定劣化度での発熱量に近いかあるいは同じと判断することができる。すなわち実測した温度が推定した触媒床温に近いほど実際の劣化度は所定劣化度に近いと判断できる。
このようにして上記推定計算した触媒床温と、上記実測した触媒床温又は媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を高精度に判定することができる。
そして内燃機関の運転状態に応じて排気温が推定できることから、劣化度検出をアイドル時に限る必要が無く、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態であれば良いので、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であっても劣化度検出を行うことが可能である。このようにして内燃機関に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
また、前記反応物質の添加量が少ない場合(即ち、第2の触媒制御モードにおいて)は、排気浄化触媒の劣化度が高くなくても十分な発熱が生じることが無いことから、浄化時排気温検出手段にて測定される排気温が低くなり、不正確な排気温データを用いることになる。したがって前記反応物質の添加量が少ない場合は、劣化度を判定する処理を禁止することで、排気浄化触媒の劣化度の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項4に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項3において、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合には、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度と前記推定計算した触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定し、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より低い場合には、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合よりも劣化度が高く、かつ前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度と前記推定計算した触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定することを特徴とする。
所定劣化度は、最大劣化度から全く劣化していない状態までの全範囲のいずれに設定しても良いことから、前記実測した温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合には、前記実測した温度と前記推定計算した触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定する。
そして実測した温度が前記推定計算した触媒床温より低い場合には、前記実測した温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合よりも劣化度が高いと判定する。更に、この場合には、前記実測した温度と前記推定計算した触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定する。
請求項5に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であれば、排気浄化触媒が異常であると判定することを特徴とする。
このように基準劣化度を設けて、劣化度が基準劣化度より進んでいれば、排気浄化触媒が異常であると判定しても良い。この排気浄化触媒が異常であるとの判定に基づいて、排気浄化触媒交換などの対処を迅速に実行することができる。
請求項6に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項5において、内燃機関には前記排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられ、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であっても、第2の排気浄化触媒が劣化していなければ排気浄化触媒が異常であると判定しないことを特徴とする。
尚、排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられている場合がある。この場合には、上流の排気浄化触媒が劣化して排気の浄化が不十分となっても、第2の排気浄化触媒が同一の成分、例えばNOxを還元浄化できるため、第2の排気浄化触媒が劣化していない場合には、上流側の排気浄化触媒が異常であると判定しないようにしても良い。このことにより、十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたって内燃機関の運転を継続させることができる。
特に上流側の排気浄化触媒にて目詰まりが生じて触媒反応が偏り、測定位置によっては実測した温度が正確でない場合があり、このことにより異常と判定される状況となることがある。しかし、このような目詰まりの場合には第2の排気浄化触媒が十分に浄化機能を果たしている場合も多いことから、上述のごとく異常であると判定しないことにより、十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたって内燃機関の運転を継続させることができる。
請求項7に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項6において、実測された前記第2の排気浄化触媒の上流側の排気温度と下流側の排気温度との温度差が異常時基準温度差より小さい状態であることを、前記排気浄化触媒を異常であると判定する場合の論理積条件として含むことを特徴とする。
共に実測されている第2の排気浄化触媒の上流側の排気温度と下流側の排気温度との温度差が大きければ、第2の排気浄化触媒は実際に反応熱を生じており、触媒機能は正常であると判断できる。
このように第2の排気浄化触媒が劣化していない場合には、上流側の排気浄化触媒が劣化していても異常と判定しないことにより、上記請求項6にて述べたごとくの作用効果を生じさせることができる。
請求項8に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、NOx吸蔵還元触媒を含むことにより還元剤を前記反応物質として供給されることで該NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxが還元により浄化される触媒であることを特徴とする。
前述した機能により、NOx吸蔵還元触媒の劣化度検出をアイドル時に限る必要が無く、NOxを還元浄化するための還元剤がNOx吸蔵還元触媒に対して供給されている状態であれば良いので、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であっても劣化度検出を行うことが可能である。このようにして内燃機関に用いているNOx吸蔵還元触媒を含んだ触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
請求項9に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項1〜8のいずれかにおいて、第1所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、前記第1所定劣化度と異なる第2所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温との差が基準推定温度差より大きいことを、前記劣化度の判定開始の前提条件とすることを特徴とする。
排気浄化触媒が失活状態、あるいは活性が十分でなくなる内燃機関の運転状態にある時は、排気浄化触媒が劣化していなくても内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と実測した触媒床温又は媒体温度との差は小さくなり、比較による劣化度の判定は誤判定を招きやすくなる。更に、劣化度の判定精度を高めるために、常時、長時間待機してから、推定計算した触媒床温と実測した触媒床温又は媒体温度との差を比較する必要があり、迅速な判定が困難となる。
本請求項では、異なる劣化度であるとして推定計算した触媒床温の差が基準推定温度差より大きいか否かにより、排気浄化触媒にて十分に触媒反応が生じる内燃機関の運転状態にあるか否かを判定している。そして、推定計算した2つの触媒床温の差が基準推定温度差より大きければ、排気浄化触媒にて十分に触媒反応が生じる内燃機関の運転状態にあると判断できるので、劣化度の判定開始を許している。このことにより、比較による劣化度の誤判定は防止される。更に排気浄化触媒にて十分に触媒反応が生じる内燃機関の運転状態にあると判断できれば、直ちに高精度な判定が可能であるので常に長時間待機する必要が無くなる。したがって迅速に高精度な劣化度の判定が可能となる。
請求項10に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法では、請求項9において、前記第1所定劣化度は前記排気浄化触媒が全く劣化してない状態であり、前記第2所定劣化度は前記排気浄化触媒が完全に劣化した状態であることを特徴とする。
このように第1所定劣化度と第2所定劣化度とを設定することにより、反応熱に影響する内燃機関の運転状態の判断が最も鋭敏にでき、より迅速に高精度な劣化度の判定が可能となる。
請求項11に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置は、排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定装置であって、排気浄化触媒から排出される排気温を検出する排気温センサと、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で上記排気温センサにて排気温を測定する浄化時排気温検出手段と、排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定して、内燃機関の運転状態に応じて排気浄化触媒が到達する触媒床温を推定計算する触媒床温推定手段と、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定する劣化度判定手段と、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度判定手段の処理を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とする。
劣化度判定手段は、浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定している。触媒床温推定手段が推定計算している触媒床温は排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定した場合での触媒床温である。このため反応熱を発生していない状態での触媒床温は排気との間の熱伝達のみにより決定されるとともに、排気温は内燃機関の運転状態に応じて推定できることから、触媒床温推定手段は、触媒反応を行っていない排気浄化触媒の触媒床温を、内燃機関の運転状態に応じて容易に推定できることになる。
そして浄化時排気温検出手段にて検出される排気温は、排気浄化触媒での反応熱を反映しているので、触媒床温推定手段が推定計算した触媒床温よりも反応熱に応じて高くなっているはずである。しかしこの排気温が推定計算した触媒床温に近ければ近いほど予定した反応熱がないことになり、この時の反応熱の低さは排気浄化触媒の劣化度の高さを示すことになる。このようにして劣化度判定手段は、上記推定計算した触媒床温と、上記実測した排気温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を高精度に判定することができる。
このように触媒床温推定手段は、内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算していることから、劣化度判定手段による劣化度検出はアイドル時に限る必要が無く、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態であれば良い。したがって広い運転範囲で、しかも運転状態の過渡期であっても劣化度検出を行うことが可能となる。このようにして内燃機関に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
また、前記反応物質の添加量が少ない場合(即ち、第2の触媒制御モードにおいて)は、排気浄化触媒の劣化度が高くなくても十分な発熱が生じることが無いことから、浄化時排気温検出手段にて測定される排気温が低くなり、不正確な排気温データを用いることになる。したがって前記反応物質の添加量が少ない場合は、禁止手段が劣化度判定手段の処理を禁止することで、排気浄化触媒の劣化度の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項12に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項11において、前記劣化度判定手段は、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との差が小さいほど、前記排気浄化触媒の劣化度が高いと判定することを特徴とする。
すなわち上記排気温と上記触媒床温との差が小さいほど、これに応じて反応物質が排気浄化触媒に供給されても反応がなされていないことになる。したがって、劣化度判定手段は、この差が小さいほど劣化度が高いと判定できる。
請求項13に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置は、排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定装置であって、排気浄化触媒から排出される排気温を検出する排気温センサと、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で上記排気温センサにて排気温を測定する浄化時排気温検出手段と、排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定して、内燃機関の運転状態に応じて排気浄化触媒が到達する触媒床温を推定計算する触媒床温推定手段と、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定する劣化度判定手段と、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度判定手段の処理を禁止する禁止手段とを備えたことを特徴とする。
触媒床温推定手段は、排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定している。これは排気浄化触媒に供給された反応物質の内で所定劣化度に応じた反応熱が排気浄化触媒に発生している状態である。このように排気浄化触媒の劣化度が所定劣化度であると仮定すると、同一量の反応物質に対する発熱量は所定劣化度に応じた値になる。そしてこの仮定された発熱量により昇温した触媒床温は、排気との間の熱伝達のみにより決定される。排気温は内燃機関の運転状態に応じて推定できるので、触媒床温推定手段は、所定劣化度である排気浄化触媒の触媒床温を、内燃機関の運転状態に応じて容易に推定できることになる。
一方、浄化時排気温検出手段にて検出される触媒浄化時に排気浄化触媒から排出される排気温は、排気浄化触媒での反応熱を反映しているので、触媒床温よりも反応熱に応じて高くなっているはずである。しかし浄化時排気温検出手段にて検出された排気温が推定計算された触媒床温に近ければ、それだけ実際の排気浄化触媒の劣化度は所定劣化度に近いと判断できる。
したがって劣化度判定手段は、浄化時排気温検出手段にて検出された排気温と触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を高精度に判定することができる。
このように触媒床温推定手段は、所定劣化度及び内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算していることから、劣化度判定手段による劣化度検出はアイドル時に限る必要が無く、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態であれば良い。このため広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であっても劣化度検出を行うことが可能である。このようにして内燃機関に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
また、前記反応物質の添加量が少ない場合(即ち、第2の触媒制御モードにおいて)は、排気浄化触媒の劣化度が高くなくても十分な発熱が生じることが無いことから、浄化時排気温検出手段にて測定される排気温が低くなり、不正確な排気温データを用いることになる。したがって前記反応物質の添加量が少ない場合は、禁止手段が劣化度判定手段の処理を禁止することで、排気浄化触媒の劣化度の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項14に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項13において、前記劣化度判定手段は、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温が前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温より高い場合には、前記排気温と前記推定した触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定し、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温が前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温より低い場合には、前記排気温が前記推定計算された触媒床温より高い場合よりも劣化度が高く、かつ前記排気温と前記推定した触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定することを特徴とする。
所定劣化度は、最大劣化度から全く劣化していない状態までの全範囲のいずれに設定しても良い。この場合に、劣化度判定手段は、浄化時排気温検出手段にて測定された排気温が触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温より高い場合には、前記排気温と前記推定計算された触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定する。
そして前記排気温が前記推定計算された触媒床温より低い場合には、前記排気温が前記推定計算された触媒床温より高い場合よりも劣化度が高いと判定する。更に、この場合には、前記排気温と前記推定計算された触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定する。
請求項15に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項11〜14のいずれかにおいて、前記触媒床温推定手段は、内燃機関の運転状態として、内燃機関回転数及び燃焼用燃料供給量を用いることを特徴とする。
排気浄化触媒に流れ込む排気温は、内燃機関回転数及び燃焼用燃料供給量にて推定できる。したがって例えば予め実験にて内燃機関回転数及び燃焼用燃料供給量と排気温との関係を求めておき、触媒床温推定手段は、この関係に基づいて排気温を求めて触媒床温の推定計算に利用することができる。
請求項16に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項11〜15のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であれば、排気浄化触媒が異常であると判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする。
このような異常判定手段により排気浄化触媒が異常であると判定されれば、この異常判定に基づいて排気浄化触媒交換などの対処を迅速に実行することができる。
請求項17に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項16において、内燃機関には前記排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられ、前記異常判定手段は、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であっても、第2の排気浄化触媒が劣化していなければ排気浄化触媒が異常であると判定しないことを特徴とする。
尚、排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられている場合がある。この場合には、異常判定手段は、上流の排気浄化触媒が劣化して排気の浄化が不十分となっても、第2の排気浄化触媒が同一の成分、例えばNOxを浄化できるため、第2の排気浄化触媒が劣化していない場合には、上流側の排気浄化触媒が異常であると判定しないようにしても良い。このことにより、十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたって内燃機関の運転を継続させることができる。
特に上流側の排気浄化触媒にて目詰まりが生じて触媒反応が偏り、測定位置によっては実測した温度が正確でない場合があり、このことにより異常と判定される状況となることがある。しかし、このような目詰まりの場合には第2の排気浄化触媒が十分に浄化機能を果たしている場合も多いことから、上述のごとく異常判定手段は異常であると判定しないことにより、十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたって内燃機関の運転を継続させることができる。
請求項18に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項17において、前記第2の排気浄化触媒から排出される排気温を検出する第2排気温センサを備えると共に、前記異常判定手段は、前記第2排気温センサにて検出される排気温と、前記排気温センサにて検出される排気温との温度差が異常時基準温度差より小さい状態であることを、前記排気浄化触媒を異常であると判定する場合の論理積条件の一つとしていることを特徴とする。
排気温センサにて実測されている排気浄化触媒から排出される排気温度と、第2排気温センサにて実測されている第2の排気浄化触媒から排出される排気温度との温度差が大きければ、第2の排気浄化触媒は実際に反応熱を生じており、触媒機能は正常であると判断できる。
このように異常判定手段は、第2の排気浄化触媒が劣化していない場合には、上流側の排気浄化触媒が劣化していても異常と判定しないことにより、上記請求項17にて述べたごとくの作用効果を生じさせることができる。
請求項19に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項16〜18のいずれかにおいて、前記禁止手段は、さらに、前記第2の触媒制御モードにおいて、前記異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする。
前記反応物質の添加量が少ない場合は、排気浄化触媒の劣化度が高くなくても十分な発熱が生じることが無いことから、浄化時排気温検出手段にて測定される排気温が低くなり、不正確な排気温データを用いることになる。したがって前記反応物質の添加量が少ない場合は、禁止手段が劣化度判定手段及び異常判定手段の処理を禁止することで、排気浄化触媒の劣化度や異常の判定精度が低下するのを防止できる。
求項20に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項11〜19のいずれかにおいて、前記反応物質は、内燃機関の膨張行程中の燃焼ガス中あるいは排気中に添加した燃料であることを特徴とする。
排気浄化触媒を浄化するための反応物質としては、内燃機関の膨張行程中の燃焼ガス中に添加される燃料、あるいは排気中に添加される燃料が挙げられる。
請求項21に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項20において、内燃機関は、前記燃焼ガス中あるいは排気中への前記反応物質の添加量の異なる触媒制御モードを複数設け、前記排気浄化触媒の状態に応じて上記触媒制御モードから選択した触媒制御モードを実行すると共に、前記禁止手段は前記反応物質の添加量が他の触媒制御モードと比較して少ない触媒制御モードが実行されている場合に、前記燃焼ガス中あるいは排気中への前記反応物質の添加量が少ない場合であるとして、前記劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする。
このように触媒制御モードの内で、反応物質の添加量が他の触媒制御モードと比較して少ない触媒制御モードが実行されている場合に劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止するようにしても良い。このことにより、高精度に排気浄化触媒の劣化度や異常が検出できる触媒制御モードに限って劣化度判定あるいは異常判定を実行することが可能となり、排気浄化触媒の劣化度や異常の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項22に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項21において、前記排気浄化触媒は、NOx吸蔵還元触媒を含むことにより還元剤を前記反応物質として供給されることで該NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxが還元により浄化される触媒であって、前記触媒制御モードは、少なくとも粒状物質再生制御モード、硫黄被毒回復制御モード及びNOx還元制御モードとを備え、粒状物質再生制御モード及び硫黄被毒回復制御モードが前記第1の触媒制御モードであり、NOx還元制御モードが前記第2の触媒制御モードであることを特徴とする。
上記触媒制御モードの内では粒状物質再生制御モード及び硫黄被毒回復制御モード以外のNOx還元制御モードが第1の触媒制御モードと比較して反応物質の添加量が少ない第2の触媒制御モードとして挙げられる。したがって粒状物質再生制御モード及び硫黄被毒回復制御モード時に限って劣化度判定あるいは異常判定を実行することにより、排気浄化触媒の劣化度や異常の判定精度が低下するのを防止できる。
請求項23に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項20〜22のいずれかにおいて、前記触媒床温推定手段は、第1所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算し、更に前記第1所定劣化度と異なる第2所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算すると共に、前記禁止手段は、前記触媒床温推定手段にて推定計算された2つの前記触媒床温の差が基準推定温度差より小さい場合には、前記劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする。
排気浄化触媒が失活状態、あるいは活性が十分でなくなる内燃機関の運転状態にある時は、排気浄化触媒が劣化していなくても内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と実測した触媒床温又は媒体温度との差は小さくなり、比較による劣化度の判定は誤判定を招きやすくなる。更に、劣化度の判定精度を高めるために、常時、長時間待機してから、推定計算した触媒床温と実測した触媒床温又は媒体温度との差を比較する必要があり、迅速な判定が困難となる。
本請求項では、触媒床温推定手段が、異なる劣化度であると仮定して2つの触媒床温を推定計算している。そして禁止手段は、推定計算した2つの触媒床温の差が基準推定温度差より小さければ、排気浄化触媒が失活状態、あるいは活性が十分でなくなる内燃機関の運転状態にあるとして、劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止している。
逆に、推定計算した2つの触媒床温の差が基準推定温度差より大きければ、排気浄化触媒にて十分に触媒反応が生じる内燃機関の運転状態にあると判断できるので、禁止手段は劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を許している。このことにより、比較による劣化度の誤判定は防止される。更に排気浄化触媒にて十分に触媒反応が生じる内燃機関の運転状態にあると判断できれば、直ちに高精度な判定が可能であるので常に長時間待機する必要が無くなる。したがって迅速に高精度な劣化度の判定が可能となる。
請求項24に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項23において、前記第1所定劣化度は前記排気浄化触媒が全く劣化してない状態であり、前記第2所定劣化度は前記排気浄化触媒が完全に劣化した状態であることを特徴とする。
このように第1所定劣化度と第2所定劣化度とを設定することにより、禁止手段は、反応熱に影響する内燃機関の運転状態の判断が最も鋭敏にでき、劣化度判定手段又は異常判定手段の処理では、より迅速に高精度な劣化度や異常の判定が可能となる。
請求項25に記載の内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置では、請求項11〜24のいずれかにおいて、前記排気温センサの代わりに、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温センサを備えて、該触媒床温センサにて検出された触媒床温を前記排気温の代わりに用いることを特徴とする。
尚、排気温を検出する代わりに、触媒床温センサにて排気浄化触媒の触媒床温を直接検出して、請求項11〜24にて排気温の代わりに用いても良く、同様な作用及び効果を生じる。
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された車両用ディーゼルエンジン及び制御装置の概略構成を表すブロック図である。尚、本発明は希薄燃焼式ガソリンエンジンなどのNOx吸蔵還元触媒を用いるエンジンにおいても適用できる。
ディーゼルエンジン2は複数気筒、ここでは4気筒#1,#2,#3,#4からなる。各気筒#1〜#4の燃焼室4は吸気弁6にて開閉される吸気ポート8及び吸気マニホールド10を介してサージタンク12に連結されている。そしてサージタンク12は、吸気経路13を介して、インタークーラ14及び過給機、ここでは排気ターボチャージャ16のコンプレッサ16aの出口側に連結されている。コンプレッサ16aの入口側はエアクリーナ18に連結されている。サージタンク12には、排気再循環(以下、「EGR」と称する)経路20のEGRガス供給口20aが開口している。そして、サージタンク12とインタークーラ14との間の吸気経路13には、スロットル弁22が配置され、コンプレッサ16aとエアクリーナ18との間には吸入空気量センサ24、及び吸気温センサ26が配置されている。
各気筒#1〜#4の燃焼室4は排気弁28にて開閉される排気ポート30及び排気マニホールド32を介して排気ターボチャージャ16の排気タービン16bの入口側に連結され、排気タービン16bの出口側は排気経路34に接続されている。尚、排気タービン16bは排気マニホールド32において第4気筒#4側から排気を導入している。
この排気経路34には、排気浄化触媒が収納されている3つの触媒コンバータ36,38,40が配置されている。最上流の第1触媒コンバータ36にはNOx吸蔵還元触媒が収納されている。このNOx吸蔵還元触媒により、ディーゼルエンジンの通常の運転時において排気が酸化雰囲気(リーン)にある時には、NOxはNOx吸蔵還元触媒に吸蔵される。そして還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)ではNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxがNOとして離脱しHCやCOにより還元される。このことによりNOxの浄化を行っている。
そして中間に配置された第2触媒コンバータ38にはモノリス構造に形成された壁部を有するフィルタが収納され、この壁部の微小孔を排気が通過するように構成されている。このフィルタ表面にNOx吸蔵還元触媒がコーティングされているので、前述したごとくにNOxの浄化が行われる。更に、フィルタ表面には排気中のPM(粒子状物質)が捕捉されるので、酸化雰囲気ではNOx吸蔵時に発生する活性酸素によりPMが酸化が開始され、更に周囲の過剰酸素によりPM全体が酸化される。還元雰囲気(ストイキあるいはリッチ)ではNOx吸蔵還元触媒から発生する大量の活性酸素によりPMの酸化が促進される。このことによりNOxの浄化と共に、PMの浄化も実行している。
最下流の第3触媒コンバータ40は、酸化触媒が収納され、ここではHCやCOが酸化されて浄化される。
尚、第1触媒コンバータ36の上流には第1空燃比センサ42が、第1触媒コンバータ36と第2触媒コンバータ38との間には第1排気温センサ44が配置されている。又、第2触媒コンバータ38と第3触媒コンバータ40との間において、第2触媒コンバータ38の近くには第2排気温センサ46が、第3触媒コンバータ40の近くには第2空燃比センサ48が配置されている。
上記第1空燃比センサ42と第2空燃比センサ48とは、それぞれの位置で排気成分に基づいて排気の空燃比を検出し、空燃比に比例した電圧信号をリニアに出力するセンサである。又、第1排気温センサ44と第2排気温センサ46とはそれぞれの位置で排気温を検出するものである。
第2触媒コンバータ38の上流側と下流側には差圧センサ50の配管がそれぞれ設けられ、第2触媒コンバータ38内部の目詰まりを検出するために、差圧センサ50が第2触媒コンバータ38の上下流での差圧を検出している。
尚、排気マニホールド32には、EGR経路20のEGRガス吸入口20bが開口している。このEGRガス吸入口20bは第1気筒#1側で開口しており、排気タービン16bが排気を導入している第4気筒#4側とは反対側である。
EGR経路20の途中にはEGR経路20のEGRガス吸入口20b側から、EGRガスを改質するための鉄系EGR触媒52が配置され、更にEGRガスを冷却するためのEGRクーラ54が設けられている。尚、EGR触媒52はEGRクーラ54の詰まりを防止する機能も有している。そしてEGRガス供給口20a側にはEGR弁56が配置されている。このEGR弁56の開度調節によりEGRガス供給口20aから吸気側へのEGRガス供給量の調節が可能となる。
各気筒#1〜#4に配置されて、各燃焼室4内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁58は、燃料供給管58aを介してコモンレール60に連結されている。このコモンレール60内へは電気制御式の吐出量可変燃料ポンプ62から燃料が供給され、燃料ポンプ62からコモンレール60内に供給された高圧燃料は各燃料供給管58aを介して各燃料噴射弁58に分配供給される。尚、コモンレール60には燃料圧力を検出するための燃料圧センサ64が取り付けられている。
更に、燃料ポンプ62からは別途、低圧燃料が燃料供給管66を介して添加弁68に供給されている。この添加弁68は第4気筒#4の排気ポート30に設けられて、排気タービン16b側に向けて燃料を還元剤として噴射するものである。この還元剤の噴射により、排気を一時的に還元雰囲気として第1触媒コンバータ36及び第2触媒コンバータ38に吸蔵されているNOxを還元浄化し、更に第2触媒コンバータ38ではPMの浄化も同時に実行する。
電子制御ユニット(以下「ECU」と称する)70はCPU、ROM、RAM等を備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動するための駆動回路とを主体として構成されている。そしてECU70は前述した吸入空気量センサ24、吸気温センサ26、第1空燃比センサ42、第1排気温センサ44、第2排気温センサ46、第2空燃比センサ48、差圧センサ50、燃料圧センサ64及びスロットル開度センサ22aの信号を読み込んでいる。更にアクセルペダル72の踏み込み量を検出するアクセル開度センサ74、及びディーゼルエンジン2の冷却水温度を検出する冷却水温センサ76から信号を読み込んでいる。更に、クランク軸78の回転数を検出するエンジン回転数センサ80、クランク軸78の回転位相あるいは吸気カムの回転位相を検出して気筒判別を行う気筒判別センサ82から信号を読み込んでいる。
そしてこれらの信号から得られるエンジン運転状態に基づいて、ECU70は燃料噴射弁58による燃料噴射時期制御や燃料噴射量制御を実行し、更にEGR弁56の開度制御、モータ22bによるスロットル開度制御、及び後述する触媒状態を判定するための処理を実行する。例えば、EGR率がエンジン負荷(または燃料噴射量)とエンジン回転数NEとに基づいて設定される目標EGR率となるようにスロットル開度センサ22aの信号から検出されるスロットル開度TAとEGR開度(EGR弁56の開度)とが調節されるEGR制御が行われる。更にエンジン負荷(または燃料噴射量)とエンジン回転数NEとに基づいて設定される目標吸入空気量(エンジン2の1回転当たりの目標値)となるようにEGR開度が調節される吸入空気量フィードバック制御が行われる。尚、EGR制御に伴う燃焼モードとしては、通常燃焼モード、低温燃焼モードとの2種類の燃焼モードを実行する。ここで低温燃焼モードとは、大量のEGRガスの導入により燃焼温度の上昇を緩慢にしてNOxとスモークとを同時低減させる燃焼モードである。本実施の形態では低負荷で中高回転領域にて実行している。これ以外の燃焼モードが通常のEGR制御(EGRしない場合も含める)を実行する通常燃焼モードである。
そして触媒に対する制御処理を実行する触媒制御モードとしては、PM再生制御モード、硫黄被毒(以下「S被毒」と称する)回復制御モード、NOx還元制御モード、及び通常制御モードの4種類のモードが存在する。PM再生制御モードとは、特に第2触媒コンバータ38内に堆積しているPMを燃焼させてCO2とH2Oにして排出するモードであり、添加弁68からの燃料添加を継続的に繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)するモードである。S被毒回復制御モードとは、第1触媒コンバータ36及び第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒が硫黄被毒してNOxの吸蔵能力が低下した場合に硫黄を放出させるモードであり、添加弁68からの燃料添加を継続的に繰り返して触媒床温を高温化(例えば600〜700℃)するモードである。NOx還元制御モードとは、第1触媒コンバータ36及び第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxを、N2、CO2及びH2Oに還元して放出するモードである。このモードでは、添加弁68からの比較的時間をおいた間欠的な燃料添加により触媒床温は比較的低温(例えば250〜500℃)となる。これ以外の状態が通常制御モードとなり、この通常制御モードでは添加弁68からの還元剤添加はなされない。
次に第1触媒コンバータ36に収納されているNOx吸蔵還元触媒に対して、ECU70が実行する正常・異常を判定する処理について説明する。この処理のフローチャートを図2,3,4に示す。本処理は一定の時間毎に割り込み実行される処理である。尚、個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
まず触媒状態検出実行条件判定処理(図2)について説明する。本処理が開始されると、まず前提条件が成立しているか否かが判定される(S102)。ここで前提条件とは次の条件である。
(1)第1の触媒制御モードとしてのPM再生制御モード又はS被毒回復制御モード時である。このモードでは、継続的に添加弁68から還元剤添加が繰り返されている状態であり、かつ第2の触媒制御モードとしてのNOx還元制御モードよりも添加量が多い。
(2)触媒コンバータ36,38に収納されたNOx吸蔵還元触媒の触媒床温が基準温度以上である。このことにより触媒活性が生じていることを判定している。この触媒床温は第1排気温センサ44及び第2排気温センサ46により検出される排気温を代替値として用いている。これ以外に、エンジンの運転状態、例えばエンジン回転数と燃料噴射弁58からの燃料噴射量とに基づいて、熱容量による応答遅れを考慮して排気から与えられる熱量により触媒床温を推定計算しても良い。
(3)NOx吸蔵還元触媒の劣化状態が検出可能な燃焼モードである。この燃焼モードとしては、低温燃焼モード以外の燃焼モードが挙げられる。低温燃焼モードでは、特にEGRにより理論空燃比近くまで空燃比を低下させた場合には第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温が大きく変動することがあり、このような変動による検出精度低下を防止するためである。
(4)第2排気温センサ46にて検出される下流排気温が高温限界温度未満である。あまりに高温であると第2排気温センサ46における昇温の検出精度が低下するからである。
(5)目標触媒床温が基準温度以上である。ここでエンジン運転状態によっては添加弁68からの還元剤添加を中止して触媒床温を一時的に低下させる制御が実行される場合があるので、検出精度を維持するために目標触媒床温が基準温度以上であることを条件としている。
(6)第1排気温センサ44及び第2排気温センサ46に異常が検出されていない。別途、ECU70が実行している各排気温センサ44,46の異常検出処理にて、断線などの異常が検出されていないことを判断している。尚、第1排気温センサ44の異常時にはPM再生制御モード及びS被毒回復制御モードは実行しない。このため、前記(1)の条件成立が第1排気温センサ44が異常でないことを示しているので、ここでは第2排気温センサ46のみ異常が検出されていないことを条件としても良い。
(7)排気マニホールド32における付着燃料量が基準値以下である。排気マニホールド32における付着燃料量はECU70が別途実行している付着燃料量算出処理にて周期的に算出されているが、この付着燃料量が大きいと触媒状態の検出精度が低下するからである。
(8)触媒コンバータ36,38内のNOx吸蔵還元触媒の失活現象が生じていない。触媒床温が高くても排気温が低下すると触媒活性が失活することがあるので、触媒活性が失活するような排気温の低下をエンジン運転状態から判断している。
(9)バッテリからの出力電圧が基準電圧以上である。低電圧では各排気温センサ44,46の検出精度が低下するので、検出精度を維持するためである。
(10)添加弁68からの還元剤添加から経過時間をカウントする添加後経過カウンタが基準値以下である。これは添加後に長期間経過してしまうと、NOx吸蔵還元触媒内での反応が終了したり鈍くなったりして、検出精度が低下するからである。
これらの条件(1)〜(10)が全て成立した時に前提条件が成立しているとされる。したがって条件(1)〜(10)が1つでも成立していない場合には(S102で「NO」)、前提条件成立時の継続時間をカウントする前提条件成立カウンタをクリアし(S104)、触媒状態検出を実行するか否かを決定する検出実行フラグを「OFF」に設定する(S106)。こうして一旦本処理を終了する。以後、前提条件が成立しなければ(S102で「NO」)、ステップS104,S106の実行を繰り返すことになる。
前提条件が成立した場合(S102で「YES」)について説明する。まず、前提条件成立カウンタをカウントアップする(S108)。例えばインクリメントすることにより、本処理の制御周期を単位として時間をカウントする。
次に前提条件成立カウンタが基準値以上か否かが判定される(S110)。この代わりに前提条件成立時から積算した吸入空気量が基準量以上となっているか否かにより判定しても良い。ここで前提条件成立カウンタ<基準値であれば(S110で「NO」)、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の正常・異常を検出できないので、検出実行フラグに「OFF」を設定して(S106)、本処理を一旦終了する。
前提条件成立カウンタのカウントアップ(S108)が継続することで、前提条件成立カウンタ≧基準値となれば(S110で「YES」)、検出実行フラグが「ON」に設定される(S112)。こうして一旦本処理を終了する。
次の制御周期では前提条件の成立が継続していれば(S102で「YES」)、前提条件成立カウンタのカウントアップ(S108)が継続し、かつ検出実行フラグ=「ON」(S112)の状態が継続する。
尚、前提条件が成立しなくなれば(S102で「NO」)、前述したステップS104,S106が実行されて、前提条件成立カウンタが「0」に戻され、検出実行フラグは「OFF」に戻される。
次に正常判定処理(図3)について説明する。本処理が開始されると、まず正常条件が成立しているか否かが判定される(S132)。正常条件を次の(1)〜(3)に示す。尚、(1)が成立していなければ直ちにステップS132では「NO」と判定されて、(2),(3)の判定はなされない。
(1)検出実行フラグ=「ON」。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1と推定故障床温thcabとの差「thci1−thcab」が正常時基準温度差dthcn以上である。
(3)推定故障床温thcabが基準温度以内である。
上記推定故障床温thcabは、別途、ECU70にて式1による計算処理により、エンジン2の運転状態に基づいて時間周期で繰り返し算出されている第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温である。ただし、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は、全く触媒反応を行っていない状態と仮定して推定計算している。
[数1]
thcab ←
thcabold + (thex − thcabold)× Kth
… [式1]
上記式1の右辺において、前回推定故障床温thcaboldは、前回の周期で算出された推定故障床温thcabを示している。推定排気温thexは、ここではエンジン2の回転数NEと燃料噴射弁58からの燃料噴射量Qとからマップにより求めた値であり、このマップは実験により求められている。なまし係数Kthは、第1触媒コンバータ36における熱容量に伴い生じる排気温に対する応答遅れを反映した「1.0」未満の係数であり、予め実験にて求められている。
正常条件が成立していなければ(S132で「NO」)、正常条件成立カウンタに「0」を設定して(S134)、一旦本処理を終了する。
正常条件が成立すると(S132で「YES」)、正常条件成立カウンタがカウントアップされる(S136)。例えばインクリメントすることにより、本処理の制御周期を単位として時間をカウントする。
次に正常条件成立カウンタが基準値以上となったか否かが判定される(S138)。正常条件成立カウンタ<基準値であれば(S138で「NO」)、このまま本処理を終了する。正常条件成立カウンタのカウントアップが継続して、正常条件成立カウンタ≧基準値となると(S138で「YES」)、正常判定(第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は正常との判定)がなされる(S140)。尚、このような正常判定が基準回数連続してなされた場合に、初めて正式に正常判定するようにしても良い。
次に異常判定処理(図4)について説明する。本処理が開始されると、まず異常条件が成立しているか否かが判定される(S162)。異常条件を次の(1)〜(5)に示す。尚、(1)が成立していなければ直ちにステップS162では「NO」と判定されて、(2)〜(5)の判定はなされない。
(1)検出実行フラグ=「ON」。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1と推定故障床温thcabとの差「thci1−thcab」が異常時基準温度差dthcb(<dthcn)未満である。
(3)推定故障床温thcabが基準温度以内である。
(4)第1排気温センサ44の実測温thci1が基準値以内である。
(5)第2排気温センサ46の実測温thci2と第1排気温センサ44の実測温thci1との差が基準差以内である。
上記推定故障床温thcabについては前記式1にて説明したごとく、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が全く触媒反応を行っていない状態と仮定して推定計算している触媒床温である。
異常条件が成立していなければ(S162で「NO」)、異常条件成立カウンタに「0」を設定して(S164)、一旦本処理を終了する。
異常条件が成立すると(S162で「YES」)、異常条件成立カウンタがカウントアップされる(S166)。例えばインクリメントすることにより、本処理の制御周期を単位として時間をカウントする。
次に異常条件成立カウンタが基準値以上となったか否かが判定される(S168)。異常条件成立カウンタ<基準値であれば(S168で「NO」)、このまま本処理を終了する。異常条件成立カウンタのカウントアップが継続して、異常条件成立カウンタ≧基準値となると(S168で「YES」)、異常判定(第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は異常との判定)がなされる(S170)。尚、このような異常判定が基準回数連続してなされた場合に、初めて正式に異常判定するようにしても良い。
図5,6,7のタイミングチャートに本実施の形態による処理の一例を示す。図5は正常判定時の例を示している。ここでは前提条件が成立した時点(t0)以後に前提条件成立カウンタが基準値に達すると(t1)、前記正常条件成立判定(S132)では正常条件が成立しているので、以後、正常条件成立カウンタが基準値に達すると(t2)、正常判定がなされる(S140)。図6は異常判定時の例を示している。ここでは前提条件が成立した時点(t10)以後に前提条件成立カウンタが基準値に達すると(t11)、前記異常条件成立判定(S162)では異常条件が成立しているので、以後、異常条件成立カウンタが基準値に達すると(t12)、異常判定がなされる(S170)。図7は第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の劣化が進んでいるが、第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒の浄化機能が十分であることにより異常判定がなされない場合の例を示している。前提条件が成立した時点(t20)以後に前提条件成立カウンタが基準値に達する(t21)。しかし前記異常条件成立判定(S162)では第2排気温センサ46の実測温thci2と第1排気温センサ44の実測温thci1との差が基準差を越えており、(5)の条件が成立しないので(S162で「NO」)、異常条件成立カウンタが基準値に達することはない。このため異常判定がなされることがない。
上述した構成において、触媒状態検出実行条件判定処理(図2)、正常判定処理(図3)及び異常判定処理(図4)が排気浄化触媒劣化判定方法及び排気浄化触媒劣化判定装置としての処理に相当する。ここで推定故障床温thcabが、請求項の「排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温」及び触媒床温推定手段が同様に推定計算した触媒床温に相当する。第1排気温センサ44の実測温thci1が、請求項の「排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温に影響される媒体に対して実測した媒体温度」及び浄化時排気温検出手段が排気温センサにて測定した排気温に相当する。異常時基準温度差dthcbが請求項の基準劣化度に相当する。第1排気温センサ44が請求項の排気温センサに相当する。ステップS132,S162にて条件(2)を判定するために第1排気温センサ44の実測温thci1を検出する処理が浄化時排気温検出手段としての処理に相当する。前記式1にて推定故障床温thcabを算出する処理が触媒床温推定手段としての処理に相当する。ステップS132,S162での条件(2)の判定が劣化度判定手段としての処理に相当する。ステップS162の条件(2),(5)の判定とステップS170が異常判定手段としての処理に相当する。ステップS102での条件(1)が禁止手段としての処理に相当する。エンジン2の回転数NEが内燃機関回転数に、燃料噴射弁58からの燃料噴射量Qが燃焼用燃料供給量に相当する。
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ステップS132,S162にて判定される条件(2)では、第1排気温センサ44の実測温thci1と推定故障床温thcabとの差「thci1−thcab」を計算している。そして、この差が正常時基準温度差dthcn以上か否か、あるいは異常時基準温度差dthcb未満か否かを判定するという手法により、実測温thci1と推定故障床温thcabとを比較している。
この内、推定故障床温thcabは、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定した場合での触媒床温である。この状態は、完全劣化したNOx吸蔵還元触媒に還元剤が供給されている状態、あるいはNOx吸蔵還元触媒は完全劣化していないが全く還元剤が供給されていない状態と同等であり、反応熱が第1触媒コンバータ36のNOx吸蔵還元触媒内で生じていない状態である。このため触媒床温はエンジン2の燃焼室4から排出される排気との間の熱伝達のみにより決定される。そして排気温はエンジン2の運転状態に応じて推定できることから、前記式1により触媒反応を行っていないNOx吸蔵還元触媒の推定故障床温thcabは、エンジン2の運転状態に応じて容易に推定できる。
そして第1排気温センサ44にて検出される第1触媒コンバータ36から排出される排気の実測温thci1は、第1触媒コンバータ36内部のNOx吸蔵還元触媒での実際の反応熱を反映しているので、推定故障床温thcabよりも反応熱に応じて高くなっているはずである。したがって第1触媒コンバータ36内部のNOx吸蔵還元触媒において劣化が進んでいれば、この劣化度の程度に応じて反応熱は小さくなり、実測温thci1に反映されているはずである。
このため前記差「thci1−thcab」を計算し、基準温度差dthcn,dthcbとの大きさを判定することで、反応熱の状態を判断し、劣化度を判定している。
そして差「thci1−thcab」≧正常時基準温度差dthcnであることを条件として正常判定(S140)を行っている。すなわち還元剤供給時に十分な反応熱が第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒に発生しているので、劣化していない、あるいは劣化の進行は問題ない程度として正常と判定している。
一方、「thci1−thcab」<dthcbであることを条件として、異常判定(S170)を行っている。すなわちNOx吸蔵還元触媒の劣化が進んで差「thci1−thcab」が小さくなり、還元剤の供給時に十分な反応熱が第1触媒コンバータ36のNOx吸蔵還元触媒に発生しなくなった場合には、劣化度は進行して排気浄化に問題が生じるおそれがあるとして異常と判定している。
このようにして差「thci1−thcab」の程度により、NOx吸蔵還元触媒の劣化度を高精度に判定することができる。そして推定故障床温thcabは、エンジン2の運転状態に応じて推定計算できることから、NOx吸蔵還元触媒の劣化度検出はアイドル時に限る必要が無く、NOx吸蔵還元触媒を浄化するために還元剤が供給されている状態であれば良い。このため、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であってもNOx吸蔵還元触媒の劣化度検出を行うことが可能である。このようにしてエンジン2に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。
そしてこのことにより異常判定(S170)も高精度にかつ高頻度にでき、この異常判定に基づいて排気浄化触媒交換などの対処を迅速に実行することができる。
(ロ).ステップS162では条件(5)により、第2排気温センサ46の実測温thci2と第1排気温センサ44の実測温thci1との差が基準差以内であることを異常判定の条件にしている。したがって実測温thci2と実測温thci1との差が基準差を越えていれば、異常判定(S170)が行えないことを示している。実測温thci2と実測温thci1との差が大きければ、第1触媒コンバータ36の下流に存在する第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒は触媒反応にて十分に発熱しており、正常にNOxを浄化できることを示している。
したがって第1触媒コンバータ36と第2触媒コンバータ38との総合的な浄化能力はエンジン2から排出されるNOxを十分に浄化できることを示しているので、第1触媒コンバータ36側の劣化が可成り進行していても異常と判定するのを禁止している。このことにより十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたってエンジン2の運転を継続させることができる。
特に第1触媒コンバータ36内にて目詰まりが生じて触媒反応が偏り、第1排気温センサ44による測定位置によっては排気が十分に流れず実測温thci1が低くなり正確でない値が検出される場合があり、このことにより「thci1−thcab」<dthcbと判定されることがある。しかし、目詰まりの場合には第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒が十分に浄化機能を果たしている場合も多い。このことから、上述のごとく条件(5)を、(2)を含めた条件の論理積条件とし、この条件(5)が満足されなければ異常であると判定しないことにより、十分な排気浄化状態を維持しつつ、長期にわたってエンジン2の運転を継続させることができる。
(ハ).本実施の形態では、前提条件(S102)の判定により、PM再生制御モード及びS被毒回復制御モードに限って判定を実行している。このPM再生制御モード及びS被毒回復制御モードは、添加弁68からの還元剤添加が継続的になされてNOx吸蔵還元触媒の劣化が進行していなければ十分に反応熱が発生する触媒制御モードである。これ以外の触媒制御モードであるNOx還元制御モード及び通常制御モードでは還元剤の添加が間欠的であったり、全く添加されなかったりで、十分に反応熱が発生しない。
このように還元剤の添加量が十分である触媒制御モードで判定を実行し、還元剤の添加量が不十分である触媒制御モードでの判定は禁止している。このことで排気浄化触媒の劣化度や異常・正常の判定精度が低下するのが防止できる。
[実施の形態2]
本実施の形態では、全く劣化していないNOx吸蔵還元触媒が第1触媒コンバータ36に収納されているものとして、推定正常床温thcaxを算出し、この推定正常床温thcaxと実測温thci1との比較により、劣化度を判定して、正常・異常判定を行う。
本実施の形態では、前記実施の形態1の図3のステップS132の正常条件が異なり、図4のステップS162の異常条件が異なる。触媒状態検出実行条件判定処理は図2と同じである。又、他の構成についても前記実施の形態1と同じである。したがって前記実施の形態1と同一の符号にて説明する。
本実施の形態における図3のステップS132の正常条件について説明する。この場合の正常条件は、前記実施の形態1に述べた(1)〜(3)の内で、(1)及び(3)については前記実施の形態1と同じである。(2)の条件は次のごとくである。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1と推定正常床温thcaxとの差「thcax−thci1」が正常時基準温度差dthxn以下である。
上記推定正常床温thcaxは、別途、ECU70にて式2による計算処理により、エンジン2の運転状態に基づいて時間周期で繰り返し算出されている第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温である。上述したごとく第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は全く劣化しておらず十分な還元剤の供給(PM再生制御モード又はS被毒回復制御モード)により触媒反応を行っている状態と仮定して推定計算している。
[数2]
thcax ←
thcaxold + thinc
+(thex − thcaxold)× Kth … [式2]
上記式2の右辺において、前回推定正常床温thcaxoldは、前回の周期で算出された推定正常床温thcaxを示している。反応昇温率thincは、PM再生制御モード又はS被毒回復制御モードにおいて劣化していない新品のNOx吸蔵還元触媒に生じる1周期分の昇温を表している。この昇温は第1触媒コンバータ36における熱容量と前回推定正常床温thcaxoldとによりマップから求められる。このマップは実験により求められている。推定排気温thex及びなまし係数Kthについては前記実施の形態1にて述べたごとくである。
したがって推定正常床温thcaxに実測温thci1が近いほど、すなわち差「thcax−thci1」が正常時基準温度差dthxn以下であれば、触媒反応は十分であり、劣化は進行していないと判定できる。
このことにより前記実施の形態1にて述べたと同様に、正常判定処理(図3)にて高精度な判定が可能となる。
図4のステップS162の異常条件について説明する。この異常条件は、前記実施の形態1に述べた(1)〜(5)の内で、(1)及び(3)〜(5)については前記実施の形態1と同じである。(2)の条件は次のごとくである。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1と推定正常床温thcaxとの差「thcax−thci1」が異常時基準温度差dthxb(>dthxn)を越えている。
したがって推定正常床温thcaxから実測温thci1が低温側へ離れているほど、すなわち差「thcax−thci1」が異常時基準温度差dthxbを越えていれば、触媒反応は不十分であり、劣化は進行していると判定できる。
このことにより前記実施の形態1にて述べたと同様に、異常判定処理(図4)にて高精度な判定が可能となる。
図8,9,10のタイミングチャートに本実施の形態による処理の一例を示す。図8は正常判定時の例を示している。前提条件が成立し(t30)、そして前提条件成立カウンタが基準値に達する(t31)。この時、正常条件が成立しているので(S132で「YES」)、正常条件成立カウンタが基準値に達すると(t32)、正常判定がなされる(S140)。図9は異常判定時の例を示している。前提条件が成立し(t40)、そして前提条件成立カウンタが基準値に達する(t41)。この時、異常条件が成立しているので(S162で「YES」)、異常条件成立カウンタが基準値に達すると(t42)、異常判定がなされる(S170)。図10は第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の劣化が進んでいるが、第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒の浄化機能が十分であることにより異常判定がなされない場合の例を示している。前提条件が成立した時点(t50)以後に前提条件成立カウンタが基準値に達する(t51)。しかし前記異常条件成立判定(S162)では第2排気温センサ46の実測温thci2と第1排気温センサ44の実測温thci1との差が基準差を越えており、(5)の条件が成立しないので(S162で「NO」)、異常条件成立カウンタが基準値に達することはない。このため異常判定がなされることがない。
上述した構成において、推定正常床温thcaxが請求項の「排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温」及び触媒床温推定手段が同様に推定計算した触媒床温に相当する。異常時基準温度差dthxbが請求項の基準劣化度に相当する。前記式2にて推定正常床温thcaxを算出する処理が触媒床温推定手段としての処理に相当する。他の構成の請求項との関係は前記実施の形態1にて述べたごとくである。
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態でのステップS132,S162にて判定される条件(2)では、第1排気温センサ44の実測温thci1と推定正常床温thcaxとの差「thcax−thci1」を計算している。そして、この差が正常時基準温度差dthxn以下か、あるいは異常時基準温度差dthxbを越えているか否かを判定するという手法により、実測温thci1と推定正常床温thcaxとを比較している。
この内、推定正常床温thcaxは、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定して推定計算している。具体的には、全く劣化していない新品であると仮定して推定計算している。この状態は反応熱が第1触媒コンバータ36のNOx吸蔵還元触媒内で十分に生じている状態での触媒床温であり、触媒床温はエンジン2の燃焼室4から排出される排気との間の熱伝達と発熱量とにより決定される。そして排気温はエンジン2の運転状態に応じて推定でき、発熱量もPM再生制御モード又はS被毒回復制御モードにおいて還元剤が供給されている状態から予め決定できる。このことから、前記式2によって、触媒反応を行っているNOx吸蔵還元触媒の推定正常床温thcaxは、エンジン2の運転状態に応じて容易に推定できる。
そして第1排気温センサ44にて検出される第1触媒コンバータ36から排出される排気の実測温thci1は、NOx吸蔵還元触媒での実際の反応熱を反映しているので、推定正常床温thcaxよりも劣化度に応じて低くなっているはずである。このため前記差「thcax−thci1」を計算し、「thcax−thci1」≦dthxnであることを条件として、正常判定(S140)を行っている。又、「thcax−thci1」>dthxbであることを条件として、異常判定(S170)を行っている。
このようにして差「thcax−thci1」の程度により、NOx吸蔵還元触媒の劣化度を高精度に判定することができる。そして推定正常床温thcaxは、上述したごとくエンジン2の運転状態に応じて推定計算できることから、NOx吸蔵還元触媒の劣化度検出はアイドル時に限る必要が無く、NOx吸蔵還元触媒を浄化するために還元剤がNOx吸蔵還元触媒に対して供給されている状態であれば良い。このため、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であってもNOx吸蔵還元触媒の劣化度検出を行うことが可能である。このようにしてエンジン2に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。そしてこのことにより異常判定(S170)も高精度にかつ高頻度にでき、この異常判定に基づいて排気浄化触媒交換などの対処を迅速に実行することができる。
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)及び(ハ)と同じ効果を生じる。
[実施の形態3]
本実施の形態では、所定劣化度、ここでは全く劣化していない触媒と完全劣化触媒との中間の劣化度であって、正常と異常との境界にある劣化度状態となっているNOx吸蔵還元触媒が第1触媒コンバータ36に収納されていると仮定して、推定劣化床温thcayを算出している。そして、この推定劣化床温thcayと実測温thci1との比較により、劣化度を判定し、正常・異常判定を行う。
本実施の形態では、前記実施の形態1の図3のステップS132の正常条件が異なり、図4のステップS162の異常条件が異なる。触媒状態検出実行条件判定処理は図2と同じである。又、他の構成についても前記実施の形態1と同じである。したがって前記実施の形態1と同一の符号にて説明する。
本実施の形態における図3のステップS132の正常条件について説明する。この正常条件は、前記実施の形態1に述べた(1)〜(3)の内で、(1)及び(3)については前記実施の形態1と同じである。(2)の条件は次のごとくである。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1≧推定劣化床温thcay+αである。(ここでαは余裕代である。)
上記推定劣化床温thcayは、別途、ECU70にて式3による計算処理により、エンジン2の運転状態に基づいて時間周期で繰り返し算出されている第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温である。上述したごとく第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は、所定劣化度にてPM再生制御モード又はS被毒回復制御モードによる十分な還元剤の供給により触媒反応を行っていると仮定して推定計算している。
[数3]
thcay ←
thcayold + thind
+(thex − thcayold)× Kth … [式3]
上記式3の右辺において、前回推定劣化床温thcayoldは、前回の周期で算出された推定劣化床温thcayを示している。反応昇温率thindは、PM再生制御モード又はS被毒回復制御モードにおいて所定劣化度であるNOx吸蔵還元触媒に生じる1周期分の昇温を表している。この昇温は第1触媒コンバータ36における熱容量と前回推定劣化床温thcayoldとによりマップから求められる。このマップは所定劣化度状態のNOx吸蔵還元触媒を用いて実験により求められている。推定排気温thex及びなまし係数Kthについては前記実施の形態1にて述べたごとくである。
したがって「thci1≧thcay+α」であって推定劣化床温thcayから実測温thci1が離れているほど、すなわち実測温thci1が「thcay+α」より大きいほど、触媒反応は十分であり、劣化は進行していないと判定できる。このことにより前記実施の形態1にて述べたと同様に、正常判定処理(図3)にて高精度な判定が可能となる。
図4のステップS162の異常条件について説明する。この異常条件は、前記実施の形態1に述べた(1)〜(5)の内で、(1)及び(3)〜(5)については前記実施の形態1と同じである。(2)の条件は次のごとくである。
(2)第1排気温センサ44の実測温thci1<推定劣化床温thcayである。
したがって実測温thci1が推定劣化床温thcayより小さいほど、触媒反応は不十分であり、劣化は進行していると判定できる。このことにより前記実施の形態1にて述べたと同様に、異常判定処理(図4)にて高精度な判定が可能となる。
図11,12,13のタイミングチャートに本実施の形態による処理の一例を示す。図11は正常判定時の例を示している。前提条件が成立し(t60)、前提条件成立カウンタが基準値に達する(t61)。この時、正常条件が成立しているので(S132で「YES」)、正常条件成立カウンタが基準値に達すると(t62)、正常判定がなされる(S140)。図12は異常判定時の例を示している。前提条件が成立し(t70)、前提条件成立カウンタが基準値に達する(t71)。この時、異常条件が成立しているので(S162で「YES」)、異常条件成立カウンタが基準値に達すると(t72)、異常判定がなされる(S170)。図13は第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の劣化が進んでいるが、第2触媒コンバータ38内のNOx吸蔵還元触媒の浄化機能が十分であることにより異常判定がなされない場合の例を示している。前提条件が成立し(t80)、前提条件成立カウンタが基準値に達する(t81)。しかし前記異常条件成立判定(S162)では第2排気温センサ46の実測温thci2と第1排気温センサ44の実測温thci1との差が基準差を越えており、(5)の条件が成立しないので(S162で「NO」)、異常条件成立カウンタが基準値に達することはない。このため異常判定がなされることがない。
上述した構成において、推定劣化床温thcayが請求項の「排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温」及び触媒床温推定手段が同様に推定計算した触媒床温に相当する。更に推定劣化床温thcayは請求項の基準劣化度に相当する。前記式3にて推定劣化床温thcayを算出する処理が触媒床温推定手段としての処理に相当する。他の構成の請求項との関係は前記実施の形態1にて述べたごとくである。
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態でのステップS132,S162にて判定される条件(2)では、第1排気温センサ44の実測温thci1と推定劣化床温thcayとの大きさを比較している。推定劣化床温thcayは、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が正常と異常との境界となる基準劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定して推定計算している。したがって余裕代αを加味して「thci1≧thcay+α」であれば正常であり、「thci1<thcay」であれば異常であると容易に判定できる。
このようにして第1排気温センサ44の実測温thci1と推定劣化床温thcayとの比較により、NOx吸蔵還元触媒の劣化度を高精度に判定することができる。そして推定劣化床温thcayは、エンジン2の運転状態に応じて推定計算できることから、NOx吸蔵還元触媒の劣化度検出はアイドル時に限る必要が無く、NOx吸蔵還元触媒を浄化するために還元剤がNOx吸蔵還元触媒に対して供給されている状態であれば良い。このため、広い運転範囲でしかも運転状態の過渡期であってもNOx吸蔵還元触媒の劣化度検出を行うことが可能である。このようにしてエンジン2に用いている排気浄化触媒について、劣化判定の精度を維持しつつ劣化判定実行の頻度を向上させることができる。そしてこのことにより異常判定(S170)も高精度にかつ高頻度にでき、この異常判定に基づいて排気浄化触媒交換などの対処を迅速に実行することができる。
(ロ).前記実施の形態1の(ロ)及び(ハ)と同じ効果を生じる。
[実施の形態4]
本実施の形態では、前記実施の形態1の図2(触媒状態検出実行条件判定処理)のステップS102の前提条件が異なる。他の構成については前記実施の形態1と同じである。したがって図1〜図4を参照し、前記実施の形態1と同一の符号にて説明する。
本実施の形態においてはステップS102の前提条件は、次のごとく7条件が存在する。
(1)PM再生制御モード又はS被毒回復制御モード時である。このモードでは、継続的に添加弁68から還元剤添加が繰り返されている状態であり、かつNOx還元制御モードよりも添加量が多い。
(2)NOx吸蔵還元触媒の劣化状態が検出可能な燃焼モードである。この燃焼モードとしては、低温燃焼モード以外の燃焼モードが挙げられる。低温燃焼モードでは、特にEGRにより理論空燃比近くまで空燃比を低下させた場合には第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温が大きく変動することがあり、このような変動による検出精度低下を防止するためである。
(3)第2排気温センサ46にて検出される下流排気温が高温限界温度未満である。あまりに高温であると第2排気温センサ46における昇温の検出精度が低下するからである。
(4)第1排気温センサ44及び第2排気温センサ46に異常が検出されていない。別途、ECU70が実行している各排気温センサ44,46の異常検出処理にて、断線などの異常が検出されていないことを判断している。尚、第1排気温センサ44の異常時にはPM再生制御モード及びS被毒回復制御モードは実行しない。このため、前記(1)の条件成立が第1排気温センサ44が異常でないことを示しているので、ここでは第2排気温センサ46のみ異常が検出されていないことを条件としても良い。
(5)排気マニホールド32における付着燃料量が基準値以下である。排気マニホールド32における付着燃料量はECU70が別途実行している付着燃料量算出処理にて周期的に算出されているが、この付着燃料量が大きいと触媒状態の検出精度が低下するからである。
(6)バッテリからの出力電圧が基準電圧以上である。低電圧では各排気温センサ44,46の検出精度が低下するので、検出精度を維持するためである。
(7)推定正常床温thcaxと推定故障床温thcabとの差「thcax−thcab」が基準推定温度差dthcx以上である。ここで推定正常床温thcaxは前記実施の形態2において用いられている推定正常床温thcaxと同じものである。すなわち、推定正常床温thcaxは、別途、ECU70にて前記実施の形態2の式2による計算処理により、エンジン2の運転状態に基づいて時間周期で繰り返し算出されている第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒の触媒床温である。前記実施の形態2で説明したごとく推定正常床温thcaxは第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒は全く劣化していない状態で触媒反応を行っていると仮定して推定計算されている。
そして、これらの条件(1)〜(7)が全て成立した時に前提条件が成立しているとされる(S102でYES)。以後の図2(触媒状態検出実行条件判定処理)における処理、及び正常判定処理(図3)と異常判定処理(図4)とについては、前記実施の形態1にて説明したごとくである。
図14,15のタイミングチャートに本実施の形態による処理の一例を示す。図14の場合は、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が十分に活性化されている状態で、前提条件(1)〜(6)までの条件が満足された(t90)場合を示している。PM再生制御モード又はS被毒回復制御モードによる添加弁68からの還元剤添加により第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒にて十分な反応熱が発生することが推定され、二点鎖線にて示すごとく推定正常床温thcaxは急速に上昇する。又、推定故障床温thcabは添加弁68からの還元剤添加によっても第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒にて反応熱が発生しないとしているので、一点鎖線にて示すごとくほとんど変化しない。
このことにより、前提条件(1)〜(6)までの条件が満足された後(t90〜)、早期に推定正常床温thcaxと推定故障床温thcabとの差「thcax−thcab」が基準推定温度差dthcx以上となる(t91)。したがって残りの前提条件(7)が満足されることから(S102でYES)、直ちに前提条件成立カウンタのカウントアップを開始できる(S108)。尚、本実施の形態の場合は、前提条件成立カウンタを判定する基準値を前記実施の形態1の場合よりも小さくしても良い。又、前提条件成立カウンタを設けずに、前提条件が全て成立したら(S102でYES)、直ちに検出実行フラグに「ON」を設定(S112)しても良い。
前提条件の内、特に(7)が成立した状態は、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が故障していなければ十分に反応熱を生じ得ることを示している。したがって図14に示したごとく正常時の第1排気温センサ44の実測温thci1(実線)と、故障時の実測温thci1(破線)とで明確に差が生じることになる。このため正常判定処理(図3)及び異常判定処理(図4)においてなされる実測温thci1と推定故障床温thcabとの差「thci1−thcab」の判定では、高精度に正常か異常かの判定を下すことかできる。
図15の場合のごとく、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が失活しているあるいは活性化が不十分な状態で、前提条件(1)〜(6)までの条件が満足された(ta)場合には第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒では反応熱が全く、あるいは十分に発生しないと推定される(二点鎖線)。したがって図15に示したごとく正常時の第1排気温センサ44の実測温thci1(実線)と、故障時の実測温thci1(破線)とで明確に差が生じないことになる。このため、(thcax−thcab)<dthcxでは前提条件を成立させないようにして(S102でNO)、正常判定処理(図3)及び異常判定処理(図4)においてなされる実測温thci1と推定故障床温thcabとの差「thci1−thcab」の判定にて誤判定がなされることを防止している。
上述した構成において、推定正常床温thcaxを推定計算している第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が全く劣化していない状態が、第1所定劣化度に相当する。推定故障床温thcabを推定計算している第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が触媒反応を行っていない状態、すなわち排気浄化触媒が完全に劣化した状態が、第2所定劣化度に相当する。他の構成の請求項との関係は前記実施の形態1にて述べたごとくである。
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態の前提条件判定(S102)では、NOx吸蔵還元触媒が全く劣化していない状態で算出した推定正常床温thcaxと、NOx吸蔵還元触媒が触媒反応を行っていない状態で算出した推定故障床温thcabとの差が基準推定温度差dthcxより大きいことを条件として含んでいる。すなわち、(thcax−thcab)≧dthcxを、正常判定処理(図3)と異常判定処理(図4)とを開始するための前提条件の一つとしている。
第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が失活している状態あるいは活性が不十分な状態では、NOx吸蔵還元触媒が劣化していなくても実測温thci1と推定故障床温thcabとの差は小さくなり、比較による劣化度の判定は誤判定を招きやすくなる。更に、判定精度を高めるために、常時、長時間待機してから実測温thci1と推定故障床温thcabとを比較する必要があり、迅速な判定が困難となる。
そこで本実施の形態では、異なる劣化度、ここではNOx吸蔵還元触媒が全く劣化していない状態にあると仮定して算出した推定正常床温thcaxと、完全劣化の状態にあると仮定して算出した推定故障床温thcabとを用いて、(thcax−thcab)と基準推定温度差dthcxとを比較している。
そして(thcax−thcab)<dthcxであれば、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒が失活状態、あるいは活性が十分でなくなるエンジン運転状態にあるとして、正常判定処理(図3)と異常判定処理(図4)との処理を禁止している。
一方、(thcax−thcab)≧dthcxであれば、NOx吸蔵還元触媒にて十分に触媒反応が生じるエンジン運転状態にあると判断できるので、正常判定処理(図3)と異常判定処理(図4)との処理を許している。このことにより、比較による劣化度の誤判定は防止される。更にNOx吸蔵還元触媒にて十分に触媒反応が生じるエンジン運転状態にあると判断できれば、直ちに高精度な判定が可能であるので常に長時間待機する必要が無くなる。したがって迅速に高精度な劣化度の判定が可能となる。
(ロ).前記実施の形態1の(イ)、(ロ)及び(ハ)と同じ効果を生じる。
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態において、第1空燃比センサ42にて排気温を検出する代わりに、第1触媒コンバータ36内のNOx吸蔵還元触媒に対して温度センサを設けて、直接、NOx吸蔵還元触媒の触媒床温を検出しても良い。この場合に検出される触媒床温は請求項における「排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温」に相当する。
(b).触媒コンバータ36,38内のNOx吸蔵還元触媒に対する還元剤の供給は添加弁68からの燃料添加により実行していたが、これ以外に、膨張行程時に燃焼室4内にて行われる燃料噴射弁58からの燃焼に寄与しない燃料噴射、いわゆるポスト噴射によってNOx吸蔵還元触媒に還元剤を供給しても良い。この場合も添加弁68から還元剤を供給する上述した構成と同様の効果を生じる。
(c).前記実施の形態3では、基準劣化度状態のNOx吸蔵還元触媒であると仮定して前記式3にて推定劣化床温thcayを計算したが、基準劣化度よりも劣化度が進行しているNOx吸蔵還元触媒、あるいは進行していないNOx吸蔵還元触媒と仮定して計算しても良い。この仮定により求められた推定劣化床温thcayについても基準となるので、推定劣化床温thcayと実測温thci1との相対的関係により、実際のNOx吸蔵還元触媒の劣化度を高精度に判断できる。
すなわち実測温thci1が推定劣化床温thcayより高い場合には、実測温thci1と推定劣化床温thcayとの差が小さいほど劣化度が高いと判定することができる。そして、実測温thci1が推定劣化床温thcayより低い場合には、上記高い場合よりも劣化度が高く、かつ実測温thci1と推定劣化床温thcayとの差が大きいほど劣化度が高いと判定することができる。
(d).前記実施の形態4では、完全未劣化と仮定して推定計算した推定正常床温thcaxと完全劣化と仮定して推定計算した推定故障床温thcabとの差を判定した。これ以外に、完全未劣化と完全劣化との中間の劣化度を、2種類の劣化度(第1所定劣化度及び第2所定劣化度に相当)の内の一方あるいは両方として、それぞれにおいて床温を推定計算して用いても良い。このように一方あるいは両方について、劣化度が中間状態にあると仮定して推定計算した2つの推定床温の差によっても、NOx吸蔵還元触媒の活性状態が反映される。このため2つの推定床温の差の大きさに対する判定を、劣化度の判定開始の前提条件とすることにより、前記実施の形態4と同じ効果を生じさせることができる。
車両用ディーゼルエンジン及び制御装置の概略構成を表すブロック図。 ECUが実行する触媒状態検出実行条件判定処理のフローチャート。 同じく正常判定処理のフローチャート。 同じく異常判定処理のフローチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態1の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態2の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態3の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態4の処理の一例を示すタイミングチャート。 実施の形態4の処理の一例を示すタイミングチャート。
符号の説明
2…ディーゼルエンジン、4…燃焼室、6…吸気弁、8…吸気ポート、10…吸気マニホールド、12…サージタンク、13…吸気経路、14…インタークーラ、16…排気ターボチャージャ、16a…コンプレッサ、16b…排気タービン、18…エアクリーナ、20…EGR経路、20a…EGRガス供給口、20b…EGRガス吸入口、22…スロットル弁、22a…スロットル開度センサ、22b…モータ、24…吸入空気量センサ、26…吸気温センサ、28…排気弁、30…排気ポート、32…排気マニホールド、34…排気経路、36…第1触媒コンバータ、38…第2触媒コンバータ、40…第3触媒コンバータ、42…第1空燃比センサ、44…第1排気温センサ、46…第2排気温センサ、48…第2空燃比センサ、50…差圧センサ、52…EGR触媒、54…EGRクーラ、56…EGR弁、58…燃料噴射弁、58a…燃料供給管、60…コモンレール、62…燃料ポンプ、64…燃料圧センサ、66…燃料供給管、68…添加弁、70…ECU、72…アクセルペダル、74…アクセル開度センサ、76…冷却水温センサ、78…クランク軸、80…エンジン回転数センサ、82…気筒判別センサ。

Claims (25)

  1. 排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定方法であって、
    排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体に対して実測した媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定し、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度を判定する処理を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  2. 請求項1において、前記推定計算した触媒床温と、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度との差が小さいほど、前記排気浄化触媒の劣化度が高いと判定することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  3. 排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定方法であって、
    排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で実測した触媒床温又は該触媒床温に影響される媒体に対して実測した媒体温度との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定し、前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度を判定する処理を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  4. 請求項3において、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合には、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度と前記推定計算した触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定し、
    前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より低い場合には、前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度が前記推定計算した触媒床温より高い場合よりも劣化度が高く、かつ前記実測した触媒床温又は実測した媒体温度と前記推定計算した触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であれば、排気浄化触媒が異常であると判定することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  6. 請求項5において、内燃機関には前記排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられ、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であっても、第2の排気浄化触媒が劣化していなければ排気浄化触媒が異常であると判定しないことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  7. 請求項6において、実測された前記第2の排気浄化触媒の上流側の排気温度と下流側の排気温度との温度差が異常時基準温度差より小さい状態であることを、前記排気浄化触媒を異常であると判定する場合の論理積条件として含むことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒は、NOx吸蔵還元触媒を含むことにより還元剤を前記反応物質として供給されることで該NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxが還元により浄化される触媒であることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかにおいて、第1所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温と、前記第1所定劣化度と異なる第2所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて推定計算した触媒床温との差が基準推定温度差より大きいことを、前記劣化度の判定開始の前提条件とすることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  10. 請求項9において、前記第1所定劣化度は前記排気浄化触媒が全く劣化してない状態であり、前記第2所定劣化度は前記排気浄化触媒が完全に劣化した状態であることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定方法。
  11. 排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定装置であって、
    排気浄化触媒から排出される排気温を検出する排気温センサと、
    排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で上記排気温センサにて排気温を測定する浄化時排気温検出手段と、
    排気浄化触媒が触媒反応を行っていない状態であると仮定して、内燃機関の運転状態に応じて排気浄化触媒が到達する触媒床温を推定計算する触媒床温推定手段と、
    前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定する劣化度判定手段と、
    前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度判定手段の処理を禁止する禁止手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  12. 請求項11において、前記劣化度判定手段は、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との差が小さいほど、前記排気浄化触媒の劣化度が高いと判定することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  13. 排気浄化触媒である吸蔵吸着触媒を浄化するための反応物質の添加量が異なる触媒制御モードを複数設けた内燃機関について、この内燃機関の排気系に設けられた排気浄化触媒の劣化状態を判定する触媒劣化判定装置であって、
    排気浄化触媒から排出される排気温を検出する排気温センサと、
    排気浄化触媒を浄化するための反応物質が排気浄化触媒に対して供給されている状態で上記排気温センサにて排気温を測定する浄化時排気温検出手段と、
    排気浄化触媒が所定劣化度で触媒反応を行っている状態であると仮定して、内燃機関の運転状態に応じて排気浄化触媒が到達する触媒床温を推定計算する触媒床温推定手段と、
    前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温と、前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温との比較により、排気浄化触媒の劣化度を判定する劣化度判定手段と、
    前記反応物質の添加量が第1の触媒制御モードと比較して少ない第2の触媒制御モードにおいて、前記劣化度判定手段の処理を禁止する禁止手段と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  14. 請求項13において、前記劣化度判定手段は、前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温が前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温より高い場合には、前記排気温と前記推定した触媒床温との差が小さいほど劣化度が高いと判定し、
    前記浄化時排気温検出手段にて測定された排気温が前記触媒床温推定手段にて推定計算された触媒床温より低い場合には、前記排気温が前記推定計算された触媒床温より高い場合よりも劣化度が高く、かつ前記排気温と前記推定した触媒床温との差が大きいほど劣化度が高いと判定することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  15. 請求項11〜14のいずれかにおいて、前記触媒床温推定手段は、内燃機関の運転状態として、内燃機関回転数及び燃焼用燃料供給量を用いることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  16. 請求項11〜15のいずれかにおいて、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であれば、排気浄化触媒が異常であると判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  17. 請求項16において、内燃機関には前記排気浄化触媒の下流に同一の反応物質により浄化される第2の排気浄化触媒が備えられ、前記異常判定手段は、前記排気浄化触媒の劣化度が基準劣化度より劣化が進んだ状態であっても、第2の排気浄化触媒が劣化していなければ排気浄化触媒が異常であると判定しないことを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  18. 請求項17において、前記第2の排気浄化触媒から排出される排気温を検出する第2排気温センサを備えると共に、
    前記異常判定手段は、前記第2排気温センサにて検出される排気温と、前記排気温センサにて検出される排気温との温度差が異常時基準温度差より小さい状態であることを、前記排気浄化触媒を異常であると判定する場合の論理積条件の一つとしていることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  19. 請求項16〜18のいずれかにおいて、前記禁止手段は、さらに、前記第2の触媒制御モードにおいて、前記異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  20. 請求項11〜19のいずれかにおいて、前記反応物質は、内燃機関の膨張行程中の燃焼ガス中あるいは排気中に添加した燃料であることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  21. 請求項20において、内燃機関は、前記燃焼ガス中あるいは排気中への前記反応物質の添加量の異なる触媒制御モードを複数設け、前記排気浄化触媒の状態に応じて上記触媒制御モードから選択した触媒制御モードを実行すると共に、前記禁止手段は前記反応物質の添加量が他の触媒制御モードと比較して少ない触媒制御モードが実行されている場合に、前記燃焼ガス中あるいは排気中への前記反応物質の添加量が少ない場合であるとして、前記劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  22. 請求項21において、前記排気浄化触媒は、NOx吸蔵還元触媒を含むことにより還元剤を前記反応物質として供給されることで該NOx吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOxが還元により浄化される触媒であって、前記触媒制御モードは、少なくとも粒状物質再生制御モード、硫黄被毒回復制御モード及びNOx還元制御モードとを備え、粒状物質再生制御モード及び硫黄被毒回復制御が前記第1の触媒制御モードであり、NOx還元制御モードが前記第2の触媒制御モードであることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  23. 請求項20〜22のいずれかにおいて、前記触媒床温推定手段は、第1所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算し、更に前記第1所定劣化度と異なる第2所定劣化度で前記排気浄化触媒が触媒反応を行っている状態であると仮定することで内燃機関の運転状態に応じて触媒床温を推定計算すると共に、
    前記禁止手段は、前記触媒床温推定手段にて推定計算された2つの前記触媒床温の差が基準推定温度差より小さい場合には、前記劣化度判定手段又は異常判定手段の処理を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  24. 請求項23において、前記第1所定劣化度は前記排気浄化触媒が全く劣化してない状態であり、前記第2所定劣化度は前記排気浄化触媒が完全に劣化した状態であることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
  25. 請求項11〜24のいずれかにおいて、前記排気温センサの代わりに、前記排気浄化触媒の触媒床温を検出する触媒床温センサを備えて、該触媒床温センサにて検出された触媒床温を前記排気温の代わりに用いることを特徴とする内燃機関の排気浄化触媒劣化判定装置。
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