JP4340413B2 - 高分子電解質型燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポータブル電源、電気自動車用電源、家庭内コージェネレーションシステム等に使用される固体高分子電解質を用いた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質を用いた燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと空気など酸素を含有する酸化剤ガスとを電気化学的に反応させることで、電力と熱とを同時に発生させるものである。この燃料電池の基本的な構成要素は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜、および高分子電解質の両面に接合された一対の電極である。電極は、白金族金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とする触媒層およびその外面に形成された通気性と電子導電性を併せ持つ拡散層からなる。
この他、供給する燃料ガスおよび酸化剤ガスが外にリークしたり、両者が互いに混合したりしないように、電極の周囲には高分子電解質膜を挟んでガスシール材やガスケットが配置される。このシール材やガスケットは、電極及び高分子電解質膜と一体化してあらかじめ組み立てられる。これを、電解質膜・電極接合体(MEA)と呼ぶ。MEAの外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するMEAを互いに電気的に直列に接続するための導電性のセパレータ板が配置される。セパレータ板のMEAと接触する部分には、電極面に反応ガスを供給し、生成ガスや余剰ガスを運び去るためのガス流路が形成される。ガス流路はセパレータ板と別に設けることもできるが、セパレータ板の表面に溝を設けてガス流路とする方式が一般的である。
【0003】
この溝にガスを供給するためには、ガスを供給する配管を、使用するセパレータ板の枚数に分岐し、その分岐先を直接セパレータ板の溝につなぎ込む配管治具が必要となる。この治具をマニホールドと呼び、上記のようなガスの供給配管から直接つなぎ込むタイプを外部マニホールドと呼ぶ。このマニホールドには、構造をより簡単にした内部マニホールドと呼ぶ形式のものがある。内部マニホールドとは、ガス流路を形成したセパレータ板に、貫通した孔を設け、ガス流路の出入り口をこの孔まで通し、この孔から直接ガスを供給するものである。
燃料電池は運転中に発熱するので、電池を良好な温度状態に維持するために、冷却水等で冷却する必要がある。通常、1〜3セル毎に冷却水を流す冷却部がセパレータ板とセパレータ板との間に挿入される。セパレータ板の背面に冷却水流路を設けて冷却部とする場合が多い。これらのMEAとセパレータ板および冷却部を交互に重ねていき、10〜200セル積層した後、集電板と絶縁板を介して、端板でこれを挟み、締結ボルトで両端から固定するのが一般的な積層電池の構造である。
【0004】
このような高分子電解質型燃料電池では、セパレータ板は導電性が高く、かつ気密性が高く、更に水素/酸素を酸化還元する際の反応に対して高い耐食性を持つ必要がある。このような理由で、セパレータ板は通常等方性黒鉛や膨張黒鉛などのカーボン材料で構成され、ガス流路もその表面での切削や、膨張黒鉛の場合は型による成型により作製される。
組み上がった燃料電池に燃料ガス、酸化剤ガス及び冷却水を流し、その燃料電池全体での性能及び各単電池の性能を測定する。
【0005】
セパレータ板とMEAを積層した燃料電池においては、セパレータ板は、通常一方の面に燃料ガスの流路を有し、他方の面に冷却水の流路を有するアノード側セパレータ板、一方の面に酸化剤ガスの流路を有し、他方の面に冷却水の流路を有するカソード側セパレータ板、および一方の面に燃料ガスの流路を有し、他方の面に酸化剤ガスの流路を有するセパレータ板の3種類からなる。そして、前記のアノード側セパレータ板とカソード側セパレータ板とは、冷却水の流路を有する面側を向き合わせて接合し、両者間に冷却水を流す冷却部を構成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、アノード側セパレータ板とカソード側セパレータ板の間に冷却水の流路を形成した場合、冷却水が外部へ漏れたり燃料ガスや酸化剤ガスのマニホールド孔へ漏れたりしないように、冷却水面に形成されたシール材塗布用の凹部にシール材を塗布し、あらかじめ貼り合わされていた。この凹部は、2枚のセパレータ板の周縁部間の空隙部で形成され、セパレータ板の端面に開放している。そのため、燃料電池運転時に冷却水の圧力によりシール材が凹部から押し出されて空洞ができ、冷却水が漏れる可能性があった。また、2枚のセパレータ板に位置決めの構造が無いため、セパレータ板貼り合わせ時に位置ずれが発生するという問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池であって、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成するセパレータ板が、前記溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部を有することを特徴とする。
前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記燃料ガスおよび酸化剤ガスの入り口側および出口側の各マニホールド孔を囲む位置に、それぞれシール材を充填する溝を有し、前記溝にシール材が充填されているのが好ましい。
前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、少なくとも一組の嵌合部を有するのが好ましい。
前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板は、一方がシール材を充填する前記溝を有し、他方が前記溝内に収まる突部を有するのが好ましい。
【0008】
また、本発明は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池であって、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、冷却水の流路を有する主面と、この主面を囲み主面と段差のある周縁部を有し、一方のセパレータ板の前記周縁部に前記各マニホールド孔および冷却水の流路の外周を囲むシール材を充填する溝を有し、この溝にシール材が充填されたことを特徴とする。
前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記燃料ガスおよび酸化剤ガスの入り口側および出口側の各マニホールド孔を囲む位置に、それぞれシール材を充填する溝を有し、前記溝にシール材が充填されているのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池において、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成するセパレータ板が、前記溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部を有することを特徴とする高分子電解質型燃料電池に関する。
前記溝に充填したシール材により前記冷却水の流路並びに冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を流れる冷却水が当該セパレータ板間から漏洩するのを防止することができる。充填されたシール材の余剰分は、前記の開放部から外部へ逃げるので、シール材充填用の溝からセパレータ板間にシール材がはみ出し、冷却水の流路へ侵入したり2枚のセパレータ板の密着性を阻害したりすることがなくなる。
【0010】
本発明の好ましい形態において、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記燃料ガスおよび酸化剤ガスの入り口側および出口側の各マニホールド孔を囲む位置に、それぞれシール材を充填する溝を有し、前記溝にシール材が充填されている
【0011】
本発明の他の好ましい形態において、前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、少なくとも一組の嵌合部を有する。これにより2枚のセパレータ板の位置決めができる。
本発明の他の好ましい形態において、前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板は、一方がシール材を充填する前記溝を有し、他方が前記溝内に収まる突部を有する。
また、本発明水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池において、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、冷却水の流路を有する主面と、この主面を囲み主面と段差のある周縁部を有し、一方のセパレータ板の前記周縁部に前記各マニホールド孔および冷却水の流路の外周を囲むシール材を充填する溝を有し、この溝にシール材が充填されていることを特徴とする。シール材の充填された溝の部分と冷却水の流路を有する部分とは段差があるから、その段差部が冷却水の圧力により溝から抜け出すのを防止する。さらに、段差部の嵌合関係により、両セパレータ板の位置決めが容易となる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
《実施の形態1》
図1は高分子電解質膜、この高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、並びに高分子電解質膜の周縁部を支持するガスケットからなる電解質膜・電極接合体(MEA)1を示す。図1はアノード2側から見た斜視図である。ガスケット5は、各々一対の燃料ガスのマニホールド孔6、酸化剤ガスのマニホールド孔7、および冷却水のマニホールド孔8を有する。これらのマニホールド孔は、一方が入り口側、他方が出口側である。
図2および図3はアノード側導電性セパレータ10を示し、図4および図5はカソード側導電性セパレータを示す。アノード側導電性セパレータ10は、各々一対の燃料ガスのマニホールド孔16、酸化剤ガスのマニホールド孔17、および冷却水のマニホールド孔18を有する。セパレータ板10は、MEAのアノードと対向する面側に、一対のマニホールド孔16を連結する燃料ガスの流路12を有し、背面には、一対のマニホールド孔18を連結する冷却水の流路15を有する。カソード側の導電性セパレータ板20は、各々一対の燃料ガスのマニホールド孔26、酸化剤ガスのマニホールド孔27、および冷却水のマニホールド孔28を有する。セパレータ板20は、MEAのカソードと対向する面側に、一対のマニホールド孔27を連結する酸化剤ガスの流路23を有し、背面には、一対のマニホールド孔28を連結する冷却水の流路25を有する。
【0013】
アノード側セパレータ板10は、冷却水の流路を有する面には、冷却水の流路15、およびこの流路15に連なるマニホールド孔18を囲む位置に、シール材を充填するための溝11を有している。図示の例では、さらに、前記の溝11と共働して燃料ガスのマニホールド孔16および酸化剤ガスのマニホールド孔17をそれぞれ囲むための溝14および13を有する。カソード側セパレータ板20は、冷却水の流路を有する面には、冷却水の流路25、およびこの流路25に連なるマニホールド孔28を囲む位置に、シール材を充填するための溝21を有している。図示の例では、さらに、前記の溝21と共働して燃料ガスのマニホールド孔26および酸化剤ガスのマニホールド孔27をそれぞれ囲むための溝24および22を有する。
【0014】
上記のセパレータ板10および20をそれらの冷却水の流路を有する面を向き合わせて組み合わせることにより、冷却部を有する2枚一組のセパレータ板が構成される。MEAを複数積層して積層電池を構成するには、通常前記の冷却部を有する2枚一組のセパレータ板の他に、一方の面に燃料ガスの流路を有し、他方の面に酸化剤ガスの流路を有するセパレータ板が用いられる。このセパレータ板は、アノードに対向する面側は図2、カソードに対向する面は図4にそれぞれ示されるセパレータ板と同様の構造を有する。このセパレータ板を30で表す。
【0015】
図6は上記のMEA1に対して上記の2枚一組のセパレータ板およびセパレータ板30を交互に組み合わせて構成した燃料電池積層体の要部を断面にして示している。2セル毎に冷却部が設けられている。セパレータ板10および20の各々の冷却水の流路15および25が合体された冷却水の流路を形成している。このように2枚一組のセパレータ板で冷却水の流路を形成する際、一方のセパレータ板の流路15または25を省略しても良い。
【0016】
セパレータ板10と20とを組み合わせたセパレータ板の図3のw−w'に相当する部分で切った断面図を図7に示している。セパレータ板10および20の各々の冷却水の流路を囲む溝11および21が合体された空隙部には、シール材が充填され、これにより、冷却水のマニホールド孔から前記の冷却水の流路をとおり他方のマニホールド孔に流れる冷却水がセパレータ板の外側およびガスのマニホールド孔へ漏れるのを防止することができる。シール材を充填するための溝11および21は、一方を省略しても良い。
上記のシール材を充填するための溝11および21は、ガスのマニホールド孔を囲む溝13、14および22、24と連通している。そして、これらの溝は、セパレータ板10および20を組み合わせた状態では、閉ループを形成しているので、充填されたシール材の余剰分は、これらの溝からはみ出すこととなる。そこで、図8に29で示すように、これらの溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部を設ける。充填されたシール材の余剰分は、前記の開放部から外部へ逃げるので、シール材充填用の溝からセパレータ板間にシール材がはみ出し、冷却水の流路へ侵入したり2枚のセパレータ板の密着性を阻害したりすることがなくなる。
【0017】
《実施の形態2》
本実施の形態におけるアノード側セパレータ板10Aおよびカソード側セパレータ板20Aの冷却水の流路を有する面側から見た斜視図をそれぞれ図9および図10に示す。カソード側セパレータ板20Aは、シール材を充填するための溝の部分以外は、実施の形態1のセパレータ板20と同じ構造である。
セパレータ板20Aは、冷却水の流路および冷却水のマニホールド孔28を囲む溝41、燃料ガスのマニホールド孔26を囲む溝44および酸化剤ガスのマニホールド孔27を囲む溝42を有する点では、セパレータ板10と同じである。しかし、これらの溝のなかで、溝41のうち流路25とマニホールド孔26との間に位置する部分41aおよび流路25とマニホールド孔27との間に位置する部分41b、並びに部分41bと連なりマニホールド孔26および27を囲む部分42aは、セパレータ板20Aの主面を構成する凸面40に設けられているが、その他の部分は一段低くなった周縁部49に設けられている。すなわち、シール材を充填するための溝のうち、冷却水の流路および3種のマニホールド孔を囲んでいる、セパレータ板の周縁部に位置する部分のみが一段低くなった周縁部に設けられている。
【0018】
一方、セパレータ板20Aと組み合わされるセパレータ板10Aは、セパレータ板20Aの主面40に対応する主面50の周縁部59が一段高く突出しており、この突出部分で、セパレータ板20Aの周縁部に位置する溝41などを閉鎖する構成となっている。この模様は、セパレータ板10Aおよび20Aを組み合わせたものの図10のx−x'線に相当する部分で切った断面図を示す図11から明らかであろう。このような構成にすると、両者は凹凸の嵌合によりしっかりと位置決めして組み合わせることができるから、セルの積層工程においてセパレータ板10Aおよび20Aの位置ずれなどを生じるおそれはない。この実施の形態において、溝41などに、これらの溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部を設けるのが好ましい。
【0019】
《実施の形態3》
本実施の形態におけるアノード側セパレータ板10Bの冷却水の流路を有する面側から見た斜視図を図13に示す。セパレータ板10Bは、実施の形態1におけるセパレータ板10の溝11、13および14の代わりにリブ51、53および54を設けた他はセパレータ板10と同じ構造である。一方、このセパレータ板10Bと組み合わされるカソード側セパレータ板は、実施の形態1におけるセパレータ板20と同じ構成のものを用いる。これによって、セパレータ板10Bのリブ51、53および54が、セパレータ板20の溝21、22および24に勘合する。この模様は、図13のy−y'線に相当する部分で切った断面図を示す図14および図15から明らかであろう。21などに、これらの溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部29を設ける。
【0020】
本発明によるセパレータ板は、例えば、等方性黒鉛材料よりなる2mm厚みの導電性カーボンシートを大きさ130mm×210mmにカットし、その一方の面の中央部100mm×90mmの領域に、幅約2mm、深さ約0.7mmの溝を2.9mmのピッチで切削加工により形成して酸化剤ガスの流路とする。また、燃料ガスの流路は、前記と同じ幅で、深さが約0.6mmの溝をサーペンタイン形状で切削加工により形成する。冷却水の流路は、幅約2mm、深さ約0.8mmの溝を5.8mmのピッチでカソード側セパレータ板およびアノード側セパレータ板のそれぞれ対応する位置に切削加工により形成する。また、シール材を充填するための溝は、幅約2mm、深さ約1mmで設ける。シール材としては、例えば、米国スリーボンド社より液状ガスケットの名で販売されているもの(Solventless Silicon & Sag Type #1211)が用いられる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によると、冷却部を構成する2枚のセパレータ板間のシール構造の信頼性が向上し、冷却水の圧力によりシール材が外側に飛び出したり、隣接するガスのマニホールド孔へ冷却水が漏れたりすることがなくなる。また、シール材塗布部に段差を設けた嵌合構造にすることで、貼り合わせる2枚のセパレータ板の位置固定を容易にすることができる。さらに、シール材を充填する溝にシール材の余剰分を逃がす開放部を設けることにより、冷却水の流路へのシール材の侵入などを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料電池の実施の形態のMEAの斜視図である。
【図2】 同燃料電池のアノード側セパレータ板の斜視図である。
【図3】 同セパレータ板を背面側から見た斜視図である。
【図4】 カソード側セパレータ板の斜視図である。
【図5】 同セパレータ板を背面側から見た斜視図である。
【図6】 セパレータ板とMEAの積層体の要部の断面図である。
【図7】 冷却部を構成する2枚のセパレータ板の接合体を図3のw−w'線で切った断面図である。
【図8】 冷却部を構成する2枚のセパレータ板の他の接合体を図3のw−w'線に相当する部分で切った断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態の燃料電池のアノード側セパレータ板を背面から見た斜視図である。
【図10】 カソード側セパレータ板を背面から見た斜視図である。
【図11】 冷却部を構成する2枚のセパレータ板を図10のx−x'線で切った断面図である。
【図12】 同セパレータ板を接合した状態の断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態の燃料電池のアノード側セパレータ板を背面から見た斜視図である。
【図14】 冷却部を構成する2枚のセパレータ板を図13のy−y'線で切った断面図である。
【図15】 同セパレータ板を接合した状態の断面図である。
【符号の説明】
1 MEA
2 アノード
5 ガスケット
6、16、26 燃料ガスのマニホールド孔
7、17、27 酸化剤ガスのマニホールド孔
8、18、28 冷却水のマニホールド孔
10 アノード側導電性セパレータ板
11、13、14、21、22、24 シール材を充填する溝
15、25 冷却水の流路
20 カソード側導電性セパレータ板

Claims (6)

  1. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池であって、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成するセパレータ板が、前記溝と連通し、セパレータ板の端面に開口する1または2以上の開放部を有することを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  2. 前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記燃料ガスおよび酸化剤ガスの入り口側および出口側の各マニホールド孔を囲む位置に、それぞれシール材を充填する溝を有し、前記溝にシール材が充填された請求項1記載の高分子電解質型燃料電池。
  3. 前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、少なくとも一組の嵌合部を有する請求項1または2記載の高分子電解質型燃料電池。
  4. 前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板は、一方がシール材を充填する前記溝を有し、他方が前記溝内に収まる突部を有する請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質型燃料電池。
  5. 水素イオン伝導性高分子電解質膜、前記水素イオン伝導性高分子電解質膜を挟むアノードおよびカソード、前記アノードに燃料ガスを供給するガス流路を有するアノード側導電性セパレータ板、前記カソードに酸化剤ガスを供給するガス流路を有するカソード側導電性セパレータ板、前記各導電性セパレータ板に共通に形成された燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔、並びに隣接するアノード側導電性セパレータ板とカソード側導電性セパレータ板の接触面に形成される冷却水の流路を含む冷却部を具備する高分子電解質型燃料電池であって、前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記冷却水の流路並びに冷却水の流路に連なる冷却水の入り口側および出口側のマニホールド孔を囲む位置に、シール材を充填する溝を有し、前記冷却部を構成する2枚一組のセパレータ板が、冷却水の流路を有する主面と、この主面を囲み主面と段差のある周縁部を有し、一方のセパレータ板の前記周縁部に前記各マニホールド孔および冷却水の流路の外周を囲むシール材を充填する溝を有し、この溝にシール材が充填されたことを特徴とする高分子電解質型燃料電池。
  6. 前記冷却部を構成するセパレータ板の少なくとも一方は、他方と対向する面において、前記燃料ガスおよび酸化剤ガスの入り口側および出口側の各マニホールド孔を囲む位置に、それぞれシール材を充填する溝を有し、前記溝にシール材が充填された請求項5記載の高分子電解質型燃料電池。
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