JP4339980B2 - 電解メッキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、両面プリント配線板や多層プリント配線板等のプリント配線板を製造するプリント配線板の製造方法の電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板の製造方法としては、代表的には以下に説明するパターン法、パネル・パターン法及びパネル・テンティング法の3つの方法が採られている。
(1)パターン法は、
1A:両面板又は多層板に穴明けする工程
1B:無電解銅メッキ等により、両面板又は多層板の穴明けした内壁及び表面に導電性を付与する工程
1C:両面板又は多層板にプリント配線パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
1D:このレジストパターンをマスクとして、電解銅メッキ・半田メッキを行う工程
1E:レジストパターンを剥離する工程
1F:半田メッキをエッチングレジストとして、露出した銅をエッチング液を用いて除去する工程
からなる方法である。
【0003】
(2)パネル・パターン法は、
2A:両面板又は多層板に穴明けする工程
2B:無電解銅メッキ等により、両面板又は多層板の穴明けした内壁及び表面に導電性を付与する工程
2C:パネル銅メッキを行う工程
2D:両面板又は多層板にプリント配線パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
2E:このレジストパターンをマスクとして、電解銅メッキ・半田メッキを行う工程
2F:レジストパターンを剥離する工程
2G:半田メッキをエッチングレジストとして、露出した銅をエッチング液を用いて除去する工程
からなる方法である。
【0004】
(3)パネル・テンティング法は、
3A:両面板又は多層板に穴明けする工程
3B:無電解銅メッキ等により、両面板又は多層板の穴明けした内壁及び表面に導電性を付与する工程
3C:パネル銅メッキを行う工程
3D:両面板又は多層板にプリント配線パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程
3E:このレジストパターンをエッチングレジストとして、露出した銅をエッチング液を用いて除去する工程
3F:レジストパターンを剥離する工程
からなる方法である。
【0005】
これらの方法のうち、(1)のパターン法の場合、基材銅箔(18μm)上に形成されたプリント配線パターンの上にのみ30μm程度の電解銅メッキを形成するものであるため、不要となる部分、すなわちエッチングにより除去する銅の厚さを薄く、また、エッチング時のサイドエッチングの大きさを小さくできることから、均一な配線パターンの場合には、微細なパターンを形成できるという利点を有する。
しかしながら、配線パターンに疎密がある場合には、疎な部分に電流が集中することになるため、パターン上のメッキ厚さのバラツキが大きくなり、それがパターン形成上問題を生ずると共に、隣接のパターン間のショート発生やソルダーレジスト形成上の問題を生ずる等の不具合を有していた。
【0006】
一方、(2)、(3)のパネル・パターン法やパネル・テンティング法の場合には、一次銅として20〜30μm程度のパネル銅メッキを行うため、疎密パターンの場合のメッキ厚さのバラツキの問題を解決することができるが、反面、不要となる部分の銅厚さが38〜48μm(基材銅箔18μm+パネル銅メッキ厚さ20〜30μm)と厚くなり、このためエッチング時のサイドエッチングの大きさも大きくなり、微細なパターンが形成し難くなる等の問題を有していた。
また、メッキ工程に用いる装置の問題として、キャリア搬送方式の電解メッキ装置の場合、整流器から出力された電流をキャリアバー受け(=給電ブロック)を介してキャリアバーの端部から給電するようにしているため、キャリアバーの長さが長くなる程、長さ方向での電圧低下の影響を大きく受け、キャリアバーの端部では電位が高く、中央部では電位が低くなる。
このため、同じキャリアにラッキングされたプリント配線板の間でメッキ厚さにバラツキが生じ、製品品質が不均一になる問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の問題に対処するためになされたものであり、その第一の課題は、配線パターンに疎密がある場合の電解パターンメッキにおけるメッキ厚さのバラツキ、スローイングパワー、光沢外観等の析出特性をパネルメッキによるものと同等以上にできるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明のもう一つの課題は、疎密の大きなパターンを有するプリント配線板をパターン法で製造することを可能とし、微細なパターンを容易に形成できるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明の更なる課題は、上記のプリント配線板の製造方法の電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置であって、同一キャリアバーにラッキングされた複数のプリント配線板のメッキ厚さのバラツキを解消できる電解メッキ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プリント配線板のプリント配線パターン及びスルーホールに電解メッキを析出させる電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置であって、キャリアバーにラッキングされたプリント配線板に、正電流と負電流からなるパルス電流を給電するパルス電流給電手段として、整流器から出力されたパルス電流をキャリアバーにラッキングされたプリント配線板に給電するために、前記整流器とキャリアバー及び陽極ブスバー間に接続する陽極ケーブル及び陰極ケーブルをツイスト配線構造とすると共に、前記陽極ケーブル及び陰極ケーブルの長さを同じ長さとしたことを特徴とするもので、かかる構成によって整流器から出力されたパルス電流をなまらせる(平滑化する)ことなく、キャリアバーにラッキングされた複数のプリント配線板に対して均等に通電しながら、電解メッキを行うことができる。
【0009】
また本発明は、プリント配線板のプリント配線パターン及びスルーホールに電解メッキを析出させる電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置であって、キャリアバーにラッキングされたプリント配線板に、正電流と負電流からなるパルス電流を給電するパルス電流給電手段として、整流器から出力されたパルス電流をキャリアバーにラッキングされたプリント配線板に給電するために、前記キャリアバーを長さ方向に等分した複数位置に給電ブロックを設けて給電するように構成したことを特徴とするもので、かかる構成によってキャリアバーの長さ方向全体にわたっての電位を略均等にし、ラッキングされた複数のプリント配線板の位置にかかわりなく、プリント配線板に均一な波形のパルス電流を給電しながら、電解メッキを行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置の構成を示す縦断面図、図2はその配線構造を示す平面図、図3は同電解メッキ装置のキャリアバーに対するパルス電流の給電位置を示す図(A)とその長さ方向におけるパルス電流波形を示す図(B)及びパルス電流の電流値と電流時間の比率を示す図(C)、図4は本発明の第2実施形態に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置の構成を示す縦断面図、図5はその配線構造を示す平面図、図6は同電解メッキ装置のキャリアバーに対するパルス電流の給電位置を示す図(A)とその長さ方向におけるパルス電流波形を示す図(B)及びパルス電流の電流値と電流時間の比率を示す図(C)である。
【0016】
本発明は、疎密の大きなパターンを有するプリント配線板をパターン法で製造することを可能とし、微細なパターンを容易に形成できるようにしようとするものであり、両面板又は多層板に穴明けした後、無電解銅メッキ等により、穴明けした内壁及び表面に導電性を付与したプリント配線板に、プリント配線パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程を経た後、キャリア搬送方式の電解メッキ装置を用いて電解メッキする工程において、プリント配線板の配線パターン及びスルーホールに、正電流と負電流からなるパルス電流を用いて電解メッキを析出させるようにしたものである。
このパルス電流による電解メッキ効果を最大限に発揮させるためには、電解メッキ工程で整流器から出力されたパルス電流波形をなまらせる(平滑化する)ことなく、キャリアバーにラッキングされた複数のプリント配線板に均等に通電することが重要である。
【0017】
そのため、キャリア搬送方式の電解メッキ装置においては、整流器からキャリアバー及び陽極ブスバーへの配線構造と、キャリアバーに対してその長さ方向にラッキングされた複数のプリント配線板に均一な波形の電流を給電するための構成が必要となる。
図1、2はその電解メッキ装置の構成を示すもので、図中において、1はメッキ液2が満たされたメッキ槽であり、プリント配線板3がキャリアバー4にクリップ5を介してラッキングされた状態で浸漬されるようになっている。
キャリアバー4は給電ブロック6を介してキャリアバー受け7により支持されており、給電ブロック6とキャリアバー受け7との接触によりキャリアバー4に通電されるようになっている。
また、キャリアバー4と平行にその両側に陽極ブスバー8が設けられている。
【0018】
このキャリアバー4と陽極ブスバー8に、整流器9から出力された正電流と負電流からなるパルス電流を給電するための陰極ケーブル10と陽極ケーブル11が、キャリアバー受け7を介して配線接続されている。
陰極ケーブル10と陽極ケーブル11は、整流器9から出力されたパルス電流波形のリアクタンスによるなまり(平滑化)を防止して、キャリアバー4にラッキングされた複数のプリント配線板3に均等に通電するため、図2のS部に示すようにツイスト配線構造とされ、キャリアバー4及び陽極ブスバー8の両端に均等な長さで接続されている。
【0019】
かかる実施形態によると、表面及びスルーホール内壁面に導電性を付与したプリント配線板3に、プリント配線パターンを形成するためのレジストパターンを形成する工程を経た後、キャリア搬送方式の電解メッキ装置を用いて電解メッキする工程において、プリント配線板3の配線パターン及びスルーホールに、図3(A)に示すようにキャリアバー4及び陽極ブスバー8の両端から給電し、図3(B)に示すような出力波形の正電流と負電流からなるパルス電流を図3(C)に示すように電流値比率及び電流時間比率を適切に設定して通電することによって、パネルメッキと同等以上の特性をもつ電解メッキをプリント配線パターン上にのみ析出させることができる。
【0020】
そして、パルス電流を用いて電解メッキを析出させると共に、キャリアバー4の長さ方向にラッキングされた複数のプリント配線板3に対し均等に通電することによって、同一キャリアバー4内のプリント配線板3間のメッキ厚さのバラツキを抑えて均一にメッキすることができるため、疎密の大きなパターンを有するプリント配線板3をパターン法で製造することを可能とし、微細なパターンの形成を容易にすることができる。
【0021】
なお、正電流と負電流からなるパルス電流を用いて電解メッキを行う場合、負電流によるメッキ剥離作用があるため、負電流値の正電流値に対する比率が大きく、負電流時間が長い程、メッキ表面に微細な凹凸が生じ、析出するメッキは無光沢状態になる。
そこで、反射方式の光学検査機での検査を容易にすること、もしくは外観上の問題から光沢外観を得ることを目的として、析出する電解メッキ表面をパネルメッキによるものと同等の光沢状態とするために、以下の2つの方法をとることができる。
【0022】
(1)図3(C)に示した負電流値の正電流値に対する比率を2.0以下、正電流時間と逆電流時間の比率を20〜30:1とする。但し、負電流値の比率を小さくする程、又、正電流時間と逆電流時間の比率を大きくする程、均一電着性、スローイングパワーが低下するため、負電流値の正電流値に対する比率は2.0、正電流時間と逆電流時間の比率は20:1が好ましい。
(2)スローイングパワー100%以上、パターンの疎密にかかわらず回路厚さが一定となる特性を確保しつつ光沢外観を得るため、電解メッキ工程で負電流値の正電流値に対する比率が2.5〜3.5のパルス電流を用いて電解メッキした後、連続して直流電流によるメッキを薄く上乗せする。
【0023】
しかして、上記の実施形態によると、パネルメッキによるものと同等以上の特性、すなわちメッキ厚さのバラツキ、スローイングパワー、光沢外観を有する電解メッキをプリント配線パターン上にのみ析出させることができるため、エッチングによる微細パターンの形成が容易となり、プリント配線板間のメッキ厚さのバラツキも少なくでき、パターン法の利点を生かしつつ、その不具合点を解消し、安定した品質の製品を製造できるようになる。
【0024】
なお、キャリアバー4にラッキングされた複数のプリント配線板3への給電方法は、キャリアバー4及び陽極ブスバー8の端部から給電した場合、電圧降下の影響を受け、図3(A)に示すようにキャリアバー4及び陽極ブスバー8の端部では電位が高く、中央部では電位が低くなるため、整流器9から出力された電流波形に比べ、キャリアバー4の端部にラッキングされたプリント配線板3に伝わる電流波形は、図3(B)に示すように正電流及び逆電流が大きくなる方向に波形が乱れ、キャリアバー4の中央部に行く程正電流及び逆電流が弱まる方向に波形が乱れてしまうことになる。
【0025】
そこで、キャリアバー4及び陽極ブスバー8の端部に整流器9からのパルス電流を直接通電せず、図4に示す第2実施形態のようにキャリアバー4を長さ方向に等分した複数位置に銅及びチタン等の給電ブロック12を設けて給電することによって、図6(A)に示すようにキャリアバー4の長さ方向の電位を全長にわたって略均等にすることができるため、キャリアバー4にラッキングされた複数のプリント配線板3のラッキング位置に関係なく、図6(B)に示すようにプリント配線板3に給電されるパルス電流波形を均一にすることができる。
この場合、図4に示すようにキャリアバー4の端部からの通電をカットするため、給電ブロック6とキャリアバー4端部との間に絶縁材13を介在させてキャリアバー4を設けている。
【0026】
かかる第2実施形態によっても、前記した同様にパルス電流による効果を最大限に発揮させることができ、電解メッキ工程において整流器9から出力されたパルス電流波形をなまらせる(平滑化する)ことなく均一にし、キャリアバー4にラッキングされた複数のプリント配線板3に均等に通電して、メッキ厚さのバラツキを抑えた電解メッキをすることができる。
なお、給電ブロック12をキャリアバー4を長さ方向に等分した複数位置に設けて給電しているが、この給電ブロック12は2以上であればよく、多いほうが長さ方向の電位をより均等化することができる。
【0027】
【発明の効果】
以上に詳細に説明したように、本発明に係るプリント配線板の電解メッキ工程に用いる電解メッキ装置によると、正電流と負電流からなるパルス電流を用いて、パネルメッキと同等以上の特性をもつ電解メッキをプリント配線パターン上にのみ析出させることができる。従って、エッチングによる微細パターンの形成が容易となり、パターン法の利点を生かしつつその不具合点を解消し、プリント配線板間のメッキ厚さのバラツキを少なくして製品品質の安定化を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電解メッキ装置の配線構造を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電解メッキ装置におけるキャリアバーに対するパルス電流の給電位置を示す図(A)とその長さ方向におけるパルス電流波形を示す図(B)及びパルス電流の電流値と電流時間の比率を示す図(C)である。
【図4】本発明の第2実施形態に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る電解メッキ装置の配線構造を示す平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電解メッキ装置におけるキャリアバーに対するパルス電流の給電位置を示す図(A)とその長さ方向におけるパルス電流波形を示す図(B)及びパルス電流の電流値と電流時間の比率を示す図(C)である。
【符号の説明】
1…メッキ槽、3…プリント配線板、4…キャリアバー、6,12…給電ブロック、7…キャリアバー受け、8…陽極ブスバー、9…整流器、10…陰極ケーブル、11…陽極ケーブル
Claims (2)
- プリント配線板のプリント配線パターン及びスルーホールに電解メッキを析出させる電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置であって、
キャリアバーにラッキングされたプリント配線板に、正電流と負電流からなるパルス電流を給電するパルス電流給電手段として、整流器から出力されたパルス電流をキャリアバーにラッキングされたプリント配線板に給電するために、前記整流器とキャリアバー及び陽極ブスバー間に接続する陽極ケーブル及び陰極ケーブルをツイスト配線構造とすると共に、前記陽極ケーブル及び陰極ケーブルの長さを同じ長さとした
ことを特徴とする電解メッキ装置。 - プリント配線板のプリント配線パターン及びスルーホールに電解メッキを析出させる電解メッキ工程に用いるキャリア搬送方式の電解メッキ装置であって、
キャリアバーにラッキングされたプリント配線板に、正電流と負電流からなるパルス電流を給電するパルス電流給電手段として、整流器から出力されたパルス電流をキャリアバーにラッキングされたプリント配線板に給電するために、前記キャリアバーを長さ方向に等分した複数位置に給電ブロックを設けて給電するように構成した
ことを特徴とする電解メッキ装置。
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