JP4339500B2 - 油性物質の脱着方法及び油性物質濃縮器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油性物質の脱着方法及び油性物質濃縮器に関し、更に詳しくは、空気等の気体中に混在している油性物質を効率良く除去することのできるガス用油性物質吸着器における吸着材に吸着された油性物質を効率的に除去することのできる油性物質の脱着方法、及び、前記吸着材を備え、気体中に含まれる油性物質を濃縮する油性物質濃縮器に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装工場、クリーニング工場、及び半導体製造工場等からは、ハロゲン化炭化水素等の油性物質を含有する排気ガスが大量に発生する。
【0003】
近年、気体状のハロゲン化炭化水素等の排出についても規制が厳しくなってきた故に、前記工場においては、ハロゲン化炭化水素を除去する処理をしてから前記排ガスを排出することが一般化してきた。
【0004】
従来は、前記排気ガス等から油性物質を除去するのに、主に活性炭が充填された活性炭充填塔が用いられてきた。
【0005】
しかし、前記活性炭充填塔においては、充填されている活性炭の細孔分布に応じて被吸着物が実質的に決定されるという制約があった。つまり、活性炭の平均細孔径が大きいと、前記活性炭の平均細孔径よりも小さな物質は活性炭で効率良く除去することができないので、前記活性炭充填塔においては、除去しようとする油性物質の大きさに応じて充填する活性炭の種類を選択する必要があった。
【0006】
更に、前記活性炭充填塔においては、使用中の機械的衝撃によって活性炭が粉砕されて粉炭が発生する故に、前記浄化装置の濾過側にこの粉炭を除くフィルターが必要になるという問題点もあった。
【0007】
加えて、前記活性炭充填塔においては、活性炭層の逆洗をするのに長時間を要するという問題点、及び気体中の微粒子等の濾別をすることができないという問題点もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、気体(以下「ガス」ということもある。)混合物中に、蒸気として混在し、又は霧状若しくは微粒子状に分散している微量の油性物質を、疎水性のポリマーからなる吸着材に吸着して除去するガス用油性物質吸着器において、前記吸着材に吸着された油性物質を効率良く脱着できる脱着方法を提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、気体混合物中に混合又は分散している微量の油性物質を効率的に濃縮することのできる油性物質濃縮器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決することを目的とする本発明は、ポリアリレートとポリスルホン及び/又はポリエーテルスルホンとを含有するポリマーアロイから成る中空糸膜を吸着材とするガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させて、前記ポリマーアロイに吸着されている油性物質を脱着させることを特徴とする油性物質の脱着方法に関する発明である。
【0011】
本発明の好ましい態様としては、例えば、
脱着しようとする油性物質が含ハロゲン有機化合物である態様、
前記脱着しようとする含ハロゲン有機化合物が、芳香族系含ハロゲン有機化合物及び/又は脂肪族系含ハロゲン有機化合物である態様、
前記脱着しようとする油性物質が炭化水素である態様、
油性物質を脱着しようとするガス用油性物質吸着器が、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリアリレートよりなる群から選択される少なくとも一種のポリマーを吸着材とするガス用油性物質吸着器である態様、
油性物質を脱着しようとするガス用油性物質吸着器が、ポリエーテルスルホンとポリアリレートとのポリマーアロイを吸着材とするガス用油性物質吸着器である態様、及び
油性物質の脱着に用いられる有機溶剤が、沸点が100℃以下の有機溶剤である態様
を挙げることができる。
【0012】
本発明は、更に、
前記ガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させると同時に、前記水、有機溶剤、気体及び/又は吸着材を加熱する油性物質の脱着方法、及び
前記ガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させると同時に、前記吸着材に超音波を照射する油性物質の脱着方法
を包含する。
【0013】
更に、本発明は、本発明に係る油性物質の脱着方法において用いられる吸着材を有してなることを特徴とする油性物質濃縮器に関する。
【0014】
【発明の実施の態様】
本発明の脱着方法を適用できるガス用油性物質吸着器の一例である気体浄化器及び前記気体浄化器における油性物質の脱着方法につき、以下に説明する。なお、本発明の油性物質濃縮器もこの気体浄化器と同様の構成を有するので、その詳細な説明は前記気体浄化器の説明で代用する。
【0015】
前記気体浄化器の内部構造の一例を図1に示す。
前記気体浄化器1においては、両端が開口した中空糸膜10の束が、略円筒状の中空糸膜ケース2の内部に充填されている。前記中空糸膜10は、本発明の脱着方法を適用することのできるガス用油性物質吸着器における吸着材に相当する。前記中空糸膜ケース2の側面における両端部には枝管21及び枝管22が設けられている。
【0016】
前記中空糸膜10は、中空糸膜ケース2の両端部においてポッティングされ、これにより、前記中空糸膜10の両端部にポッティング部23及び24が形成されている。前記ポッティング部23及び24は、いずれも、中空糸膜ケース2の端面に沿って切断され、第1末端開口部11及び第2末端開口部12が形成されている。
【0017】
前記中空糸膜ケース2における、第1末端開口部11が形成された方の端部には、底部を有する略円筒状の被処理気体供給キャップ31が被せられ、前記中空糸膜ケース2における、第2末端開口部が形成された方の端部には、前記被処理気体供給キャップ31と同様の形状を有する末端キャップ32が被せられている。被処理気体供給キャップ31の底面における中央部には、油性物質を含有する気体(以下「被処理気体」ということがある。)を供給する被処理気体供給管31aが設けられている。尚、中空糸膜ケース2と被処理気体供給キャップ31との間、及び中空糸膜ケース2と末端キャップ32との間には、それぞれOリング41及び42が嵌装されている。
【0018】
前記中空糸膜10としては、水に対する接触角が60度以上であるポリマーから形成された中空糸膜を挙げることができる。ここでポリマーの水に対する接触角は、固体、液体、および気体を接触させたとき、三相の接触点で液体に引いた接線と固体面とのなす角のうち液体を含む側の角度を言う。接触角は、例えば共和界面科学株式会社製の接触角計(CA−A型)により測定することができる。前記ポリマーの水に対する接触角は、好ましくは70度以上であり、更に好ましくは110度を越えない。ここで、水は通常の蒸留水を言う。
【0019】
前記範囲の接触角を有するポリマーは、油性物質を吸着する一方で疎水性を示すから、前記ポリマーは、疎水性ポリマーとも称される。前記疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリアリレートよりなる群から選択される少なくとも一種であり、中でも、ポリアリレートとポリスルホン及び/又はポリエーテルスルホンとを含有するポリマーアロイを好適例として挙げることができる。
【0020】
前記ポリアリレートとしては、以下の式(I)に示す繰り返し単位を有するポリマーを好適に使用することができる。
【化1】
(ただし、式中、R1及びR2は炭素数が1〜5の低級アルキル基である。R1及びR2は互いに同一であっても良く、あるいは相違していても良い。R1及びR2としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等を挙げることができ、R1及びR2の何れもメチル基が好ましい。)
【0021】
このポリアリレートは、その分子量が20,000〜50,000程度であるのが良い。
【0022】
前記ポリスルホンとしては、以下の式(II)に示す繰り返し単位を有するポリマーを好適に採用することができる。
【化2】
(ただし、式中、R3及びR4は、R1及びR2と同様の炭素数が1〜5の低級アルキル基であり、メチル基が好ましい。)
【0023】
前記化2で示される繰り返し単位を有するポリスルホンは、その分子量が20,000〜40,000程度が好ましい。
【0024】
前記ポリエーテルスルホンとしては、下記の式(III)で示される繰り返し単位を有するポリマーを挙げることができる。
【化3】
【0025】
前記ポリエーテルスルホンは、分子量が20,000〜40,000程度であるのが好ましい。
【0026】
ポリアリレートとポリスルホン及び/又はポリエーテルスルホンとを組み合わせる場合、ポリアリレート(A)とポリスルホン及び/又はポリエーテルスルホン(B)との混合重量比(A/B)は、通常0.1〜10の範囲であり、好ましくは0.3〜4の範囲である。
【0027】
前記中空糸膜10としては、例えば、前記式(I)においてR1及びR2の何れもメチル基であるポリアリレートと前記ポリエーテルスルホンとからなるポリマーアロイから形成され、ポリマー鎖が網目状に組み合わさった所謂フィブリル構造を有する中空糸膜が挙げられる。
【0028】
前記中空糸膜10は、例えば、前記ポリマーアロイのn−メチルピロリドン(NMP)溶液を紡糸原液として用い、芯液及び凝固浴としてNMP水溶液を用いる湿式紡糸法により湿潤中空糸膜を作製し、得られた湿潤中空糸膜をエタノール、メタノール、イソプロパノール等の低級アルコール等に浸漬して、前記湿潤中空糸膜が含有する水を前記低級アルコールによって置換し、次いで乾燥させることにより作製できる。
前記中空糸膜10としては、他に、前記湿潤中空糸膜に含まれている凝固液を、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の常温で液状である多価アルコールで置換し、次いで乾燥するか、又は前記湿潤中空糸膜をそのまま乾燥した中空糸膜等を挙げることができる。
【0029】
前記気体浄化器1においては、前記被処理気体を浄化する時(以下「浄化時」という。)には、被処理気体供給管31aを通して第1末端開口部11に被処理気体を供給する。
【0030】
前記被処理気体は、第1末端開口部11から中空糸膜10の内部に流入する。中空糸膜10の内部に流入した被処理気体が中空糸膜10の外側に向かって透過することにより、前記被処理気体中の油性物質は前記中空糸膜10に吸着され除去される。中空糸膜10で油性物質を除去された被処理気体は、枝管21及び22を通って前記気体浄化器1の外部に流出する。
【0031】
気体浄化器としては、他に、U字型に屈曲された中空糸膜の束と、前記中空糸膜の束を収容する有底円筒状の中空糸膜ケースとを備える気体浄化器等を挙げることができる。前記気体浄化器において、前記中空糸膜は、U字型に屈曲された端部が前記中空糸膜ケースの底面に臨むように前記中空糸膜ケース内に収容され、前記中空糸膜ケースの開口部においてポッティングされている。
【0032】
気体浄化器としては、他に、前記気体浄化器1における中空糸膜10のところで述べた疎水性ポリマーから形成された平膜状の分離膜を吸着材とする気体浄化器、及び前記疎水性ポリマーから形成されたところの、シート状、フィルム状、粒状、棒状、チューブ状、ブロック状、ラシヒリング状、及びフレーク状等の種々の形態を有する吸着材を用いた気体浄化器が挙げられる。
【0033】
前記気体浄化器で処理できる被処理気体としては、例えば、ガス状の油性物質を含有する気体混合物、及び前記油性物質が微細な霧状又は微粒子状に分散している気体混合物等を挙げることができる。
【0034】
前記気体混合物としては、具体的には、油性物質を含有する排ガス等を挙げることができ、このような排ガスとしては、例えば、塗装工場、クリーニング店、クリーニング工場、及び半導体工場等からの、前記油性物質を含有する排ガスを挙げることができる。前記油性物質を含有する排ガスとしては、更に、前記油性物質が溶解している水系溶液に高温の水蒸気又は高温空気等を吹き込むことにより発生するところの、前記油性物質及び水蒸気を含有する空気も挙げることができる。
【0035】
前記油性物質としては、水に対して難溶性又は微溶性であり、具体的には、水に対する溶解性が1g/水100g以下である有機化合物を挙げることができる。前記油性物質の例としては、炭素数が10以下であり、かつ水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホキシル基、ニトロキシル基、スルホン酸基等の親水性基を含まない有機化合物、及び炭素数が10を越える炭化水素基を有する有機化合物等を挙げることができる。
【0036】
油性物質の具体例としては、クロロホルム、ブロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、及びブロモホルム等のトリハロメタン類、DDT、ダイオキシン、及びPCB等の芳香族系含ハロゲン有機化合物、トリクロロエチレン、トリブロモエタン、及びモノクロロジブロモエタン等のトリハロエタン類、並びにテトラクロロエチレン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、及び四塩化炭素等の脂肪族系含ハロゲン有機化合物等を挙げることができる。
【0037】
油性物質の他の例としてはベンゼン、アンスラセン、及びヘキサン等の炭化水素を挙げることができる。
【0038】
前記気体浄化器において吸着された油性物質を脱着するとき(以下「脱着時」という。)には、水、有機溶剤、及び気体の内少なくとも1つを、前記浄化時における被処理気体の流通方向とは反対の方向に流通させる脱着操作を行う。前記脱着操作においては、前記水、有機溶剤、及び気体の内少なくとも1つを、前記枝管21及び22の一方又は両方から前記気体浄化器内部に導入し、前記被処理気体供給管31aから外部に流出させる。前記脱着操作は、見方を変えれば前記気体浄化器の逆洗であるということができる。又、浄化時における被処理気体の流通方向と同方向に前記水、有機溶剤、及び気体のうち少なくとも1つを流して吸着された油性物質を脱着することも可能である。
【0039】
前記有機溶剤は、通常、100℃以下の沸点を有する溶剤である。この有機溶剤の具体例として、ベンゼン及びトルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン及びヘプタン等の飽和炭化水素、メタノール及びエタノール等の低級アルコール、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル及びジエチルエーテル等のエーテル類、並びに石油エーテル等を挙げることができる。
【0040】
脱着時において前記有機溶剤を気体浄化器に通過させて油性物質を脱着させることにより、油性物質を含有する有機溶剤液を得ることができる。この有機溶剤液を加熱して有機溶剤を除去すると、油性物質を容易に高濃度で得ることができる。
【0041】
尚、前記脱着操作において適宜の界面活性剤を含有する水及び/又は有機溶剤を用いることにより、油性物質の脱着効率を向上させることができる。
【0042】
水及び/又は有機溶媒の代わりに、前記油性物質を含有しない脱着用気体を接触させて前記油性物質の脱着を行えば、水及び有機溶媒を用いて前記脱着を行った場合に必要な、脱着操作後の乾燥操作を省略できる故に好ましい。前記脱着用気体としては、空気、窒素ガス、及びアルゴンガス等の不活性ガスが好ましいが、水蒸気及び有機溶媒蒸気、並びに炭酸ガス、アンモニアガス、亜硫酸ガス、酸化窒素ガス、及び二酸化窒素ガス等の極性ガス等を用いることもできる。尚、前記気体として水蒸気及び有機溶媒蒸気を用いた場合には、脱着後に空気、窒素ガス、及びアルゴンガス等を前記気体浄化器に流通させて、前記水蒸気及び有機溶媒蒸気が前記気体浄化器内に残留しないようにすることが好ましい。
【0043】
前記脱着操作において、前記水、有機溶媒、及び気体の少なくとも1つを気体浄化器に流通させると同時に、前記気体浄化器の内部を加熱することが好ましい。よって、前記気体浄化器は、水、有機溶剤、気体及び/又は吸着材を加熱する加熱手段を備えていることが好ましい。
【0044】
前記加熱手段としては、具体的には、熱媒用ジャケット及び電熱ヒータ等を挙げることができる。
【0045】
加熱温度は、通常その上限が200℃であるが、水及び/又は有機溶媒を気体浄化器内に流通させて脱着操作を行う場合には、前記水及び/又は有機溶剤により、気体浄化器中の吸着剤が膨潤しない程度の温度が好ましい。又、気体により前記脱着操作を行う場合は、前記中空糸膜が熱変形しない温度に調節するのが好ましい。
【0046】
例えば、ポリマーがポリエーテルスルホンであるときには加熱温度を203℃に設定することができ、ポリエーテルスルホンとポリアリレートとからなるポリマーアロイであるときには加熱温度を190℃に設定することができる。このような温度は有機溶剤の沸点よりも高いので、前記気体浄化器の内部においては、有機溶剤及び水は蒸気の状態で存在し、前記油性物質は、前記有機溶媒及び水の蒸気によって脱着されると考えられる。
【0047】
このように、水及び/又は有機溶剤の沸点よりも高い温度で脱着操作を行うと、飽和吸着量が低下するのみならず、脱着速度も向上し、脱着液(脱着操作により得られる液)における油性物質の濃度を高めることができ、被処理気体中の濃度よりも遙かに高濃度の脱着液を得ることができる。よって、前記気体浄化器は、濃縮器としても機能する。
【0048】
特に、被処理気体中における油性物質の蒸気圧が有機溶剤の蒸気圧に比較して低い場合には、水及び又は有機溶媒の沸点よりも高い温度で脱着操作を行うと、有機溶剤の蒸発により、脱着した油性物質の濃度が高くなり、脱着液の容積を小さくすることができる故に好ましい。
【0049】
水及び/又は有機溶剤の存在下に、気体浄化器に超音波を照射することも、脱着を効率化する上で好ましい。
【0050】
気体浄化器に超音波を照射する方法としては、水、パラフィン、シリコン油、及び圧力伝達油等の、圧力変動を伝達することのできる圧力伝達媒体を満たした槽に、前記気体浄化器を浸漬し、超音波を照射する方法、及び前記気体浄化器における中空糸膜ケース2の周壁内部に超音波発振器を設置し、前記気体浄化器内部に水及び/又は有機溶媒等を充填して前記超音波発振器を作動させる方法等がある。尚、水及び/又は有機溶媒を通過させて油性物質の脱着を行う場合には、前記水及び/又は有機溶媒を気体浄化器内に流通させながら、前記超音波発振器を作動させることが好ましい。
【0051】
【実施例】
(実施例1)
<気体浄化器の作成>
前記式(I)においてR1及びR2がいずれもメチル基であるポリアリレート樹脂((株)ユニチカ製、商品名;Uポリマー「U−100」、接触角:74.1度、以下「PA」と略する。)と、前記式(III)で示されるポリエーテルスルホン樹脂(住友化学工業株式会社製、商品名:スミカエクセルPES、接触角:66.4度、以下「PES」と略する。)とをN−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」と略する。)に加え、60℃に加熱しながら溶解して紡糸原液を調製した。前記紡糸原液におけるPAとPESとを合計した樹脂濃度は17重量%であり、PAとPESとの混合重量比は、1:1であった。前記比率でPAとPESとを含有するポリマーアロイの接触角は、70.6°であった。
【0052】
二重管紡糸口金の内側から、芯液として、NMP50容量%及び水50容量%の混合液を吐出し、前記二重管紡糸口金の外側から前記紡糸原液を吐出し、空気中を20〜50mm通過させた後、NMP60容量%及び水40容量%の混合液である凝固浴中に導いて凝固させ、中空糸を得た。二重管紡糸口金の温度は7〜8℃に設定した。
【0053】
得られた中空糸を水洗し、次いで乾燥し、乾燥中空糸膜を得た。得られた乾燥中空糸膜を用いて、図1に示される構造を有し、有効膜面積が1.2m2である気体浄化器を作成した。
【0054】
<トリクロロエチレン吸着試験>
a) 吸着試験装置の構成
前記気体浄化器を、図2に示される吸着試験装置に接続してトリクロロエチレンの除去性能を調べた。
【0055】
前記吸着試験装置においては、図2に示されるように、流量計Aの入口側に、窒素ガスボンベ及び流量制御装置(いずれも図示せず。)が接続されている。
【0056】
流量計Aの出口側には、内部にトリクロロエチレンを入れた第1三角フラスコBに接続されている。
【0057】
前記第1三角フラスコBは、前記窒素ボンベからの窒素ガスに所定濃度のトリクロロエチレンを含有させて供給ガスを調製する機能を有する。第1三角フラスコBの開口部には、シリコンゴム栓が装着され、前記シリコンゴム栓には、前記流量計の出口側に接続され、窒素ガスが導入される入口側管路B1、及び前記第1三角フラスコ内部を通過し、所定濃度のトリクロロエチレンを含有する窒素ガスである供給ガスが流出する出口側管路B2が装着されている。
【0058】
前記第1三角フラスコBにおける出口側管路B2は、第1三角フラスコBと同様の大きさ及び形状を有する空の三角フラスコである第2三角フラスコCに接続されている。前記第2三角フラスコCは、前記第1三角フラスコBにおいて流入側管路B1からの窒素ガスによってトリクロロエチレンの飛沫が生じたときに、前記飛沫が、後述する気体浄化器1の内部に飛び込むのを防ぐ機能を有する。尚、前記第1三角フラスコBの底部は、室温(25℃)に保持された恒温槽Jの内部に浸漬されている。
【0059】
前記第1三角フラスコBと同様に、第2三角フラスコCにおいても、開口部にシリコンゴム栓が装着され、前記シリコンゴム栓には、前記第1三角フラスコBからの窒素ガスが導入される入口側管路C1、及び前記窒素ガスが流出する出口側管路C2が装着されている。尚、入口側管路C1の先端は前記第2の三角フラスコBの底部近傍まで延在している。
【0060】
前記第2三角フラスコCにおける出口側管路C2は、気体浄化器1における被処理気体供給管31aに接続されている。
【0061】
前記気体浄化器1の備える中空糸膜10を透過した透過ガスは、枝管21及び/又は22から外部に流出する。
【0062】
前記出口側管路C2と被処理気体供給管31aとを接続する管路Eからは分岐管路Fが分岐している。管路Eと分岐管路Fとの間には三方弁Hが設けられている。前記管路Eにおける前記分岐管路Fと被処理気体供給管31aとの間にも、開閉弁Gが介装されている。
【0063】
b) 試験条件
前記トリクロロエチレン除去試験は、以下の条件によって行った。
・トリクロロエチレン濃度:表1に示す。
・キャリアガス:窒素
・キャリアガス流量:2.5リットル/分
・温度:室温(25℃)
・供給ガス中のトリクロロエチレン濃度:三方弁Hを切り替えて管路Eと分岐管路Fとが繋がるようにし、管路Eを流れる供給ガスを分岐管路Fから採取し、ガスクロマトグラフィによってトリクロロエチレン濃度を求めた。
・透過ガス中のトリクロロエチレン濃度:枝管22から透過ガスを採取し、ガスクロマトグラフィによってトリクロロエチレン濃度を求めた。尚、透過ガス採取時には、枝管21は、栓によって塞がれている。
【0064】
c) 結果
前記トリクロロエチレン除去試験の結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
<トリクロロエチレン脱着試験>
前記トリクロロエチレン除去試験によって、約313mgのトリクロロエチレンを吸着した気体浄化器1を、図3に示す構成を有する脱着試験装置に接続して、前記気体浄化器1からのトリクロロエチレンの脱着試験を行った。
【0067】
前記脱着試験装置は、図2に示される吸着試験装置における第1三角フラスコB及び第2三角フラスコCに代えて、内部が空である三角フラスコDが接続されている点、管路Eが、三角フラスコDの出口側管路D2に接続されている点、及び管路Eに気体浄化器1の枝管22が接続されている点を除いては、前記脱着試験装置と同様の構成を有している。尚、枝管21は、栓によって塞がれている。尚、図3において、D1は、前記三角フラスコDに接続された入口側管路を示す。
【0068】
前記気体浄化器1の備える中空糸膜10を透過した透過ガスは、被処理気体供給管31aから気体浄化器1の外部に流出する。
【0069】
b) 試験条件
前記トリクロロエチレン脱着試験は、以下の条件によって行った。
・キャリアガス:窒素(温度27.7℃)
・キャリアガス流量:2.5リットル/分
・温度:室温(26.5℃)
・脱着ガス中のトリクロロエチレン濃度:被処理気体供給管31aから透過ガスを採取し、ガスクロマトグラフィによってトリクロロエチレン濃度を求めた。
【0070】
c) 結果
前記トリクロロエチレン除去試験の結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
表2に示された結果から明らかなように、前記気体浄化器1に毎分2.5Lの流量で窒素ガスを約5時間半流通させることによって、最初に吸着された約313mgのトリクロロエチレンの約93%に当たる約290mgのトリクロロエチレンが除去された。
【0073】
このことから、本発明の脱着方法によって、前記気体浄化器1を再生すると同時に、前記気体浄化器1に吸着されたトリクロロエチレンを回収することができることが判る。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、
(1) ガス用油性物質吸着器に吸着された油性物質の脱着操作が極めて容易であり、前記脱着操作によって吸着された油性物質を前記脱着操作によって回収しつつ再生することが容易にでき、
(2) 活性炭を用いていないガス用油性物質吸着器から油性物質を脱着するのであるから、脱着された油性物質が、微細な活性炭により汚染されることがなく、したがって高純度の油性物質を回収することができる
という優れた効果を奏する油性物質の脱着方法及び濃縮器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の脱着方法が適用できるガス用油性物質吸着器の一例である気体浄化器の内部構造を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示された気体浄化器についてトリクロロエチレン吸着試験を行ったときに使用した吸着試験装置の構成を示す概略図である。
【図3】図3は、図1に示された気体浄化器について、トリクロロエチレン脱着試験を行ったときに使用した脱着試験装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1…気体浄化器、2…中空糸膜ケース、10…中空糸膜、11、12…末端開口部、21、22…枝管、23、24…ポッティング部、31…被処理気体供給キャップ、31a…被処理気体供給管、32…末端キャップ、41、42…Oリング、A…流量計、B…第1三角フラスコ、B1、C1、D1…入口側管路、B2、C2、D2…出口側管路、C…第2三角フラスコ、D…三角フラスコ、E…管路、F…分岐管路、G…開閉弁、H…三方弁。
Claims (8)
- ポリアリレートとポリスルホン及び/又はポリエーテルスルホンとを含有するポリマーアロイから成る中空糸膜を吸着材とするガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させて、前記ポリマーアロイに吸着されている油性物質を脱着させることを特徴とする油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1における油性物質は、含ハロゲン有機化合物である前記請求項1に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項2における含ハロゲン有機化合物は、芳香族系含ハロゲン有機化合物及び/又は脂肪族系含ハロゲン有機化合物である前記請求項2に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1における油性物質は炭化水素である前記請求項1に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1における有機溶剤は、沸点が100℃以下の有機溶剤である前記請求項1〜4のいずれか1項に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1におけるガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させると同時に、前記請求項1における水、有機溶剤、気体及び/又は吸着材を加熱する前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1におけるガス用油性物質吸着器に水、有機溶剤、及び気体の少なくとも1つを通過させると同時に、前記請求項1における吸着材に超音波を照射する前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の油性物質の脱着方法。
- 前記請求項1に記載された油性物質の脱着方法において用いられる吸着材を有してなることを特徴とする油性物質濃縮器。
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