JP4337362B2 - 塗工液および塗工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消泡手段を有する循環型の塗工装置を用いて基材に塗工される塗工液およびその塗工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粘着シートなどの積層材製品の製造に際し、エマルジョン型粘着剤のように塗工液をシート状の基材上に塗布し、さらに塗工液を乾燥させることにより、基材上に膜状の塗工層を形成することが広く実施されている。
例えば、エマルジョン型粘着剤は、アクリル系重合体、アクリル系共重合体などのポリマー粒子を水系の分散剤に分散させて、粘着性を有するエマルジョンとしたものであり、有機溶剤を使用せず、環境や健康に対する負荷が低いことから、近年多くの粘着製品に使用されている。
【0003】
ところで、エマルジョン型粘着剤などの塗工液は、従来は比較的低速の塗工速度で基材に塗工されている。近年、生産性を向上し、製造コストを低減するために、塗工速度をより高速とすることが試みられている。しかしながら、この場合に、基材に塗布したときに塗膜のハジキやチヂミが発生することがあった。また、基材に塗工されずに塗工装置から回収された塗工液を循環させて再度塗工に使用した場合、塗工液に泡が発生して塗膜への気泡の巻き込みが生じることがあった。このようにして、塗工面が不均一となる場合があり、問題となっていた。
【0004】
この問題を解決するため、特許文献1には、塗工液の高せん断速度における粘度を20cps以上とすることが記載されている。また、特許文献2には、塗工液を循環させず、塗工液の戻りを加えないようにして塗工する方法が記載されている。また、特許文献3には、塗工装置から回収された塗工液の泡を、減圧槽を有する消泡装置により除去する方法が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平08−218047号公報
【特許文献2】
特開2001−49203号公報
【特許文献3】
特開平10−323504号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の場合、高せん断速度における粘度を20cps以上とすると、低せん断速度における粘度がかなり高くなり、塗工装置から回収された塗工液に泡がからんでしまい、消泡装置で除去することが難しく、塗工液を循環して使用する塗工装置には適用しがたい。特許文献2に記載の方法は、塗工液を循環して使用する塗工装置には適用できない。特許文献3に記載の方法では、減圧槽を減圧する減圧装置が必要であり、消泡装置が大掛かりなものとなる。
【0007】
従って、本発明の課題は、簡単な構造の消泡装置を用いて塗工液を循環して使用することができ、塗膜のハジキやチヂミ、気泡の巻き込みを効果的に抑制することができる塗工液および塗工方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、基材に塗工液を塗工する塗工手段と、前記塗工手段から回収された塗工液の泡を除去する消泡手段と、前記消泡手段によって泡が除去された塗工液を前記塗工手段に供給する循環手段とを備える塗工装置によって、基材に塗工される塗工液であって、塗工液の基材に対する接触角が25〜65°であり、回転数6min-1におけるB型粘度が100〜500mPa・sであることを特徴とする塗工液を提供する。
【0009】
また、基材に塗工液を塗工する塗工手段と、前記塗工手段から回収された塗工液の泡を除去する消泡手段と、前記消泡手段によって泡が除去された塗工液を前記塗工手段に供給する循環手段とを備える塗工装置によって、基材に塗工液を塗工する塗工方法であって、塗工液の基材に対する接触角を25〜65°とし、かつ、回転数6min-1におけるB型粘度を100〜500mPa・sとすることを特徴とする塗工方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明の塗工方法に用いられる塗工装置の概略構成を例示する図であって、この塗工装置1は、基材2に塗工液3を塗工する塗工手段10と、塗工手段10から回収された塗工液3の泡4を除去する消泡手段11(以下、消泡装置ということがある)と、前記消泡手段11によって泡4が除去された塗工液3を塗工手段10に供給する循環手段12とを備えている。
塗工手段10としては、適宜の塗工方式による公知のコーターを用いることができる。循環手段12は、ここでは配管16に塗工液3を送液する送液ポンプであり、以下、送液ポンプ12として説明する場合がある。
【0011】
本実施の形態において、消泡装置11は、図1(b)に示すように、塗工液3を貯えて滞留させる貯液槽13を備え、この貯液槽13の上部には、塗工手段10から回収された塗工液3を貯液槽13に供給する配管16が接続された入口14が設けられている。また、貯液槽13の下部には、塗工液3を配管16に排出する出口15が設けられている。貯液槽13には、塗工手段10から回収された塗工液3が滞留して消泡層5を形成するようになっており、消泡層5の液位は、貯液槽13の入口14が液面6の下となるように、出口15からの塗工液3の排出速度を調整することにより、制御されている。
消泡層5は常圧に維持されており、貯液槽13内に滞留している間、塗工液3中の泡4が液面6まで浮上して消泡される。そして、消泡された塗工液3は、出口15から配管16に排出され、送液ポンプ12により塗工手段10まで送液されて供給されるようになっている。
【0012】
塗工液3の主成分は特に限定されるものではないが、本発明は、特に、塗工液3がエマルジョン型粘着剤である場合に有用である。エマルジョン型粘着剤に用いられる粘着剤としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ゴム系、ビニルエーテル系など、合成もしくは天然のポリマーを用いることができ、中でもアクリル系の粘着剤は耐光性などに優れることから特に好ましい。
粘着剤をエマルジョンとする方法としては、例えば、アクリル系モノマーなどのモノマーやその混合物を水と混合し、過硫酸アンモニウムなどの重合開始剤を用いて水系媒体中でのラジカル乳化重合によってモノマーを重合させることでエマルジョン粒子に成長させる方法を用いることができる。モノマーとして2種類以上の混合物を用い、共重合体のエマルジョン粒子を製造することも好ましい。重合によって得られたエマルジョンは、その安定性を向上させるために常法に従い、アンモニア水などでpHを中和することができるほか、目的とする粘着剤に要求される物性や性能を付与するために、粘着剤の分野で慣用されている種類および量の配合剤を、必要に応じて添加しても良い。添加できる配合剤としては、例えば増粘剤、粘着付与剤、界面活性剤、レベリング剤、架橋剤、防腐剤、顔料、充填剤、凍結防止剤、高沸点溶剤、消泡剤などが挙げられる。
【0013】
基材2としては特に限定されるものではないが、例えば、グラシン紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などの紙系シートや、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムなどからなる基材の表面に、フッ素樹脂やシリコーン樹脂などからなる剥離剤を厚さ0.1〜1μm程度に塗布し、前記剥離剤を加熱あるいは電子線や放射線の照射などにより硬化させ、剥離剤層を設けることによって得られる剥離シートを用いることができる。
【0014】
本発明においては、塗工液3は、基材2に対する接触角が25〜65°、好ましくは25〜60°、さらに好ましくは25〜50°であり、回転数6min-1におけるB型粘度が100〜500mPa・s、好ましくは100〜300mPa・sであるものとされる。これにより、塗膜のハジキやチヂミ、気泡の巻き込みを効果的に抑制することができる。
回転数6min-1におけるB型粘度が100mPa・s未満であると、塗膜の粘着性が低下し、ハジキやチヂミが発生しやすい。B型粘度が500mPa・sを超えた場合、泡4が塗工液3にからんで消泡層5から浮上しにくくなり、塗膜への気泡の巻き込みが発生するおそれがある。
【0015】
基材2に対する接触角が25〜65°であるように塗工液3を調製する方法としては、例えば以下の方法によることができる。
接触角を小さくする方法としては、仕上がりのエマルジョンにジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加する方法や、重合時に使用する乳化剤の使用量を増加する方法が挙げられる。
接触角を大きくする方法としては、重合時に使用する乳化剤の使用量を削減する方法が挙げられる。
【0016】
回転数6min-1におけるB型粘度が100〜500mPa・sであるように塗工液3を調製する方法としては、例えば以下の方法によることができる。
粘度を上げる方法としては、ポリアクリル酸ナトリウムなどの増粘剤を添加する方法や、重合時に使用する水を削減したり重合終了後に水を揮発させることによりエマルジョン中の水の比率を低下させる方法、仕上がりのエマルジョンの粒子径を小さくする方法等が挙げられる。
また、粘度を下げる方法としては、水を添加してエマルジョン中の水の比率を上げる方法、仕上がりのエマルジョンの粒子径を大きくする方法等が挙げられる。
【0017】
消泡装置11における塗工液3の滞留時間は、長すぎると塗工液3を循環させる流速が低下して塗工速度をあまり上げられなくなり、逆に短すぎると、塗工液3からの泡4の浮上や除去が不完全になるおそれがあることから、循環手段12による塗工液3の流速を調整することにより、滞留時間を適宜調整することが好ましい。
【0018】
【実施例】
(エマルジョン型粘着剤の調整)
撹拌機、還流冷却機、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を備えた反応容器に脱イオン水270部を入れ、窒素を吹き込みながら75℃まで昇温した。撹拌下、ラテムルE−118B(花王社製)0.8部、過硫酸カリウム0.1部を添加し、続いて2−エチルヘキシルアクリレート340部、メチルメタクリレート40部、メタクリル酸12部、グリシジルメタクリレート8部からなる単量体混合物に、ラテムルE−118B32部と脱イオン水80部を加えて乳化させたモノマープレエマルジョンの一部(4部)を添加し、反応容器内の温度を75℃に保ちながら60分間で重合させた。
引き続き、反応容器内温度を75℃に保ちながら、残りのモノマープレエマルジョン508部と過硫酸カリウム水溶液(有効成分濃度1%)60部を各々別の滴下漏斗を使用して、反応容器内の温度を75℃に保ちながら240分間かけて滴下して重合せしめた。滴下終了後、同温度にて180分間撹拌し、内容物を冷却した。
その後、内容物のpHが8.0になるようにアンモニア水(有効成分濃度10%)を適宜添加して調整した。さらに、基材に対するエマルジョン型粘着剤の接触角が52°となるようにジオクチルスルホコハク酸ナトリウムを添加し、また、B型粘度計において6min-1での粘度が250mPa・sとなるように脱イオン水を添加した後、100メッシュ金網で濾過してエマルジョン型粘着剤を得た。
【0019】
(塗工装置)
図1(a),(b)に示す消泡装置11を有する塗工装置1を用いた。消泡装置11において、消泡層5の液量を1000リットルとし、消泡層5における塗工液3の滞留時間が25分となるように、塗工液3の流速を調整した。
【0020】
(ハジキ性および消泡性の評価)
塗工液3の粘度および接触角を複数通りに調整して塗工を行い、塗膜を目視で観測することにより、塗工液3のハジキ性および消泡性を評価し、その結果を表1にまとめて示した。
表1において、粘度は、6min-1におけるB型粘度を示す。粘度および接触角は以下のように測定した。
(粘度の測定)
23℃、50%の環境下において、B型粘度計にて、NO.2ローターを使用して、ローター回転数6min-1における粘度を測定した。
(接触角の測定)
23℃、50%の環境下において、接触角計(協和界面科学社製CA−X型)を用いて、水平に静置した基材上に4μlの液滴を滴下し、即座に基材に対する液滴の接触角を測定した。
【0021】
ハジキ性は、塗膜にハジキやチヂミが発見されないものを「○」で示し、塗膜にハジキやチヂミが発見されたものを「×」で評価した。
消泡性は、塗膜に気泡の巻き込みが発見されないものを「○」で示し、塗膜に気泡の巻き込みが発見されたものを「×」で評価した。
ハジキ性および消泡性の評価は、100分間塗工した時点で判断した。
【0022】
【表1】
Figure 0004337362
【0023】
表1に示す結果から明らかなように、塗工液の基材に対する接触角を25〜65°とし、かつ、回転数6min-1におけるB型粘度を100〜500mPa・sとすることにより、均一な塗膜を得ることができ、ハジキやチヂミ、気泡の巻き込みを効果的に抑制することができた。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗工液および塗工方法によれば、簡単な構造の消泡装置を用いて塗工液を循環して使用することができ、塗膜のハジキやチヂミ、気泡の巻き込みを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) 塗工装置の概略構成例を示す図である。(b)塗工装置の消泡手段の概略構造例を示す図である。
【符号の説明】
1…塗工装置、2…基材、3…塗工液、4…泡、10…塗工手段、11…消泡手段、12…循環手段。

Claims (3)

  1. 剥離シートに塗工液を塗工する塗工手段と、前記塗工手段から回収された塗工液の泡を除去する消泡手段と、前記消泡手段によって泡が除去された塗工液を前記塗工手段に供給する循環手段とを備える塗工装置によって、剥離シートに塗工液を塗工する塗工方法であって、
    前記塗工液が、水系媒体を使用したアクリル系のエマルジョン型粘着剤であり、
    塗工液の剥離シートに対する接触角を25〜65°とし、かつ、回転数6min−1におけるB型粘度を100〜500mPa・sとすることを特徴とする塗工方法。
  2. 前記回転数6min −1 におけるB型粘度が、100〜300mPa・sである請求項1に記載の塗工方法。
  3. 前記塗工液の剥離シートに対する接触角が、25〜50°である請求項3に記載の塗工方法。
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