JP4337271B2 - 回転炉床炉の炉床構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は回転炉床炉の炉床構造に関し、特に、製鋼ダストペレット等の還元処理を行うための回転炉床炉の、炉床構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
製鋼ダストや粉鉱等の再利用を図るために、製鋼ダスト等にバインダや還元材を混入して混練した後、生ペレットに造粒し、これを回転炉床炉へ供給して、加熱・還元等の熱処理をすることが行なわれている。その一例を図4に示す。回転炉床炉1は同心円形の内外の周壁11,12を有し、これら周壁11,12と図略の底壁および頂壁によって矩形閉断面の炉内空間Sが円環状に形成されている。底壁上には内外の周壁11,12との間に小間隙を形成して炉床2が位置し、この炉床2は炉内空間Sに沿う円環状をなすとともに、図略の駆動機構によって矢印方向へ回転移動させられている。回転炉床炉1の炉内空間Sは周方向の複数位置に設けたカーテンウォール31〜35によって周方向へ複数の領域に区画されており、図4に示す例では、炉床2の回転方向へそれぞれ給排室41、予熱帯42、加熱帯43、中間帯44、還元帯45に区画されている。加熱帯43、中間帯44、および還元帯45にはそれぞれ内外の周壁11,12に必要数のバーナ61〜63が設けられている。
【0003】
装入口51から炉内へ装入された製鋼ダスト等を原料とする球形の生ペレットPは炉床2上へ落下供給され、炉床2の移動に伴ってカーテンウォール31の下端縁で均されて、炉床2上面全体にほぼ均一に積層載置される。生ペレットPは予熱帯42へ搬送されて、ここで600℃以下の低温で加熱され、内部の水分やガス化成分が緩やかに蒸発気化して、爆裂等を生じることなく乾燥させられる。乾燥したペレットPは加熱帯43で加熱されてその温度が十分に上昇し、中間帯44を経て還元帯45へ至って、その還元性雰囲気とペレットPに含まれる還元材とによって、ペレットP中の金属酸化物が金属に還元される。還元処理を終えたペレットPは給排室41へ戻り、スクリューコンベア53によって外周壁に設けた排出口52から炉外へ排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記回転炉床炉において、炉床の内外周縁を、成形が容易な耐火キャスタブルで形成すると、熱膨張によって炉床外周縁が径方向外方へ拡大して炉の外周壁に接触する一方、炉床内周縁においてもこれが浮き上がって炉の内周壁に接触して、炉床の円滑な回転が妨げられるおそれがある。これに対する対策として、炉床の内外周縁にそれぞれ膨張変形を吸収するための一定間隙を形成することが考えられるが、十分な間隙寸法を確保しようとすると、小径のペレットが上記間隙内に侵入してこれを埋め、膨張吸収の機能が阻害されるおそれがあった。
【0005】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、ペレットによって阻害されることなく炉床内外周縁の膨張を効果的に吸収してその変形を防止できる回転炉床炉の炉床構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本第1発明では、内周壁(11)と外周壁(12)の間に配設された円環状の回転炉床(2)の内周縁と外周縁を耐火キャスタブルにより成形した枠体(42,43)で構成するとともに、これら枠体(42,43)をそれぞれ周方向の複数個所で当該枠体の膨張を吸収する膨張代となる間隙(51,52)をあけて分割し、これら間隙(51,52)内にセラミックシート(6)ないしセラミックブランケットを充填し、上記回転炉床(2)の外周縁を構成する分割された枠体(43)の、上記間隙(52)に臨む周方向の端部に上方へ開放する凹所(432)を形成して、当該凹所(432)内に、周方向へ複数列で耐火レンガ(71)を埋設し、耐火レンガ(71)の隣接する列の間に上記枠体の膨張を吸収する膨張代となる間隙(53)を形成する。
【0007】
本第1発明において、炉内の熱を受けて内周側および外周側の各枠体は周方向へ膨張し伸長するが、分割部に形成された間隙が膨張代となって膨張変形が吸収される。これにより、外周縁の枠体の径方向外方への拡大が防止されて、外周壁との接触が回避されるともに、内周縁の枠体の浮き上がりが防止されて、内周壁との接触も回避される。上記各間隙内に充填されたセラミックシート等は枠体の伸長変形による間隙の縮小に応じて容易に収縮してその変形を妨げることがない上に、小径のペレットが間隙内に侵入するのを防止して、当該間隙による膨張吸収機能を保証する。また、複数列の耐火レンガ間に形成される複数の間隙の和で、枠体に形成される間隙の大きさにほぼ等しい膨張代を形成することができるから、耐火レンガの各列間に形成される各間隙を小径のペレットが侵入しないような小さなものにすることができる。なお、この際、耐火レンガの各列間に形成される各間隙内にセラミックシート等を充填すれば、ペレット侵入防止にさらに効果的である。
【0010】
本第2発明では、上記凹所(432)を、平面視で炉床(2)の径方向外方へ向けて漸次左右辺が接近する台形状とする。本第2発明においては、スクリューコンベアによって炉外へ送り出されるペレットが、上記凹所内に埋設された耐火レンガ上を径方向外方へ通過しても、これら耐火レンガがペレットの動きにつられて凹所から脱出することはない。
【0011】
本第3発明では、上記枠体(42,43)を支持する金属フレーム(22)を、枠体(42,43)と同一位置で周方向へ分割してこれらの間に上記金属フレームの膨張を吸収する膨張代となる間隙(54)を形成する。本第3発明によれば、金属フレームがその間隙を膨張代として枠体と一体に伸長変形するから、枠体の浮き上がりがさらに効果的に防止される。
【0012】
本第4発明では、分割された上記金属フレーム(22)の一方に固定されて、金属フレーム(22)に形成された間隙(54)を上方から覆うシールプレート(222)を設ける。本第4発明においては、金属フレームの間隙を通って炉内雰囲気ガスが外気に放出されることがない。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1には回転炉床炉1の炉床2の垂直断面を示し、図2には内周側から見た炉床2の部分斜視図を示す。内周壁11と外周壁12の間に位置する一定幅の炉床2はその下半が上下二段の金属フレームと21,22なっており、上側フレーム22上に、詳細を後述する耐熱炉床部23が載設されている。図1において、下側フレーム21の下面の、内周位置と外周位置にはそれぞれ全周にわたって延びるレール部材31,32が設けられて、これらレール部材31,32に、フロア側に設けた支持ローラ33が下方から当接して炉床2が支持されている。
【0015】
下側フレーム21の内周に近い下面中間部には全周にわたって延びるガイド部材34が突設してあり、その内周垂直面に水平姿勢に支持されたガイドローラ35が当接して炉床2が径方向へ位置決めされている。下側フレーム21下面の外周に近い下面中間部には全周にわたって延びるラックレール36が設けられて、そのレール面に形成された歯形にピニオン歯車37が噛合している。ピニオン歯車37は外周壁12の下方を水平に貫通挿入された回転軸38に装着されており、図略の駆動手段で回転軸38を回転させることにより、炉床2が回転移動させられる。
【0016】
耐熱炉床部23には上側フレーム22上に一定厚で形成された断熱キャスタブルよりなる断熱層41が設けられ、これは上側フレーム22の上面全面を覆うとともに、断熱層41の内外周部は下方へ屈曲して上側フレーム22の内外周面を覆っている。上側フレーム22の内外周縁上面には周方向へ間隔をおいて、断熱層41を上方へ貫通するインサート金具411が突設されており、これらインサート金具411を覆って耐火キャスタブルが所定断面形状に成形されて枠体42,43となっている。内外周の枠体42,43間の環状空間内には上記断熱層41上に断熱レンガを複数層(本実施形態では4層)積層したレンガ層44が設けられている。レンガ層44上には内外周の中間位置に一定厚の耐火キャスタブル層45が形成され、これに隣接する内周側と外周側に、二層に耐火レンガ73,74を積層した一定幅のレンガ層46,47が設けられている。そして、耐火キャスタブル層45とレンガ層46,47を覆って、内外周の枠体42,43上面と面一になるようにドロマイト層48が形成されている。ペレットはドロマイト層48上に供給積層されて従来技術で説明したように給排室41(図4)から、予熱帯42、加熱帯43、中間帯44、還元帯45へ順次搬送される。
【0017】
内外周の各枠体42,43は、図3に示すように、周方向へ一定の間隔で分割されて複数の枠ブロック421,431より構成されており、隣接する枠ブロック421,431間には所定の間隙51,52が形成されている。そして、これら各間隙51,52にはセラミックファイバー製のセラミックシート6ないしセラミックブランケットが充填してある。ここで、外周枠体43においては、間隙52に臨む各枠ブロック431の周方向の両端部が一定量凹陥させられて、平面視で外方へ向けて漸次左右辺が接近する台形状の凹所432が形成されており、これら凹所432内に複数の耐火レンガ71が埋設されている。各耐火レンガ71は外方へ漸次幅が小さくなる扇形に形成されて径方向へ複数設けられるとともに、周方向へ複数列(本実施形態では3列)並べられており、耐火レンガ71の隣接する列の間には所定の間隙53(図3)が形成されている。
【0018】
図2において、上記上側フレーム22は枠体42,43と同一位置で周方向へ複数に分割されており、これら分割枠体221間には所定の間隙54が形成されるとともに、間隙54を上方から覆うように一定幅の金属製シールプレート222が径方向へ延設されている。これらシールプレート222は一方の側縁が溶接されることなくフリーとしてある。また、上記レンガ層44上に形成された耐火キャスタブル層45は平面視で略四角形のキャスタブルプレート451に内外方向および周方向で分割され、これらキャスタブルプレート451の周囲には互いに所定の間隙55が形成されて、これら間隙55内にセラミックシート(図示略)が充填されている。キャスタブルプレート451は周方向で一定間隔毎に大きく離間させられて、この離間部分に、周方向へ複数列(本実施形態では2列)で、径方向へ多数の耐火レンガ72が配設されている。そして、これら耐火レンガ72の周囲や、耐火レンガ72とキャスタブルプレート451との間に所定の間隙56が形成されるとともに、間隙56内にはセラミックシート6が充填されている。
【0019】
内周側のレンガ層46の耐火レンガ73は、平面視で図3に示すように内外二列で周方向へ多数設けられて、各列間、枠体42との間、キャスタブルプレート451との間、および最内周の耐火レンガ72との間にそれぞれ所定の間隙57が形成されて、これら間隙57内にセラミックシート(図示略)が充填されている。外周側のレンガ層47の耐火レンガ74は、平面視で内外4列に設けられて、各列間、枠体43との間、キャスタブルプレート451との間、および最外周の耐火レンガ72との間にそれぞれ所定の間隙58が形成されて、これら間隙58内にセラミックシート(図示略)が充填されている。また、上記各レンガ層46,47には周方向へ一定間隔で相対的に大きい間隙81,82が形成されて、これら間隙81,82内にセラミックシート(図示略)が充填されている。
【0020】
このような炉床構造において、炉内の熱を受けて内周側および外周側の各枠体42,43は枠ブロック421,431が周方向へ膨張し伸長するが、枠ブロック421,431間に形成された間隙51,52が膨張代となって膨張変形が吸収される。この結果、枠体43の径方向外方への拡大が防止されて、外周壁12との接触が回避される。同様に枠体42の浮き上がりも防止されて、内周壁11との接触も回避される。この際、間隙51,52内に充填されたセラミックシート6ないしセラミックブランケットは枠ブロック421,431の伸長変形に伴う間隙51,52の縮小に応じて容易に収縮してその変形を妨げることがない上に、小径のペレットが間隙51,52内に侵入するのを防止して、当該間隙51,52による膨張吸収機能を保証する。
【0021】
特に、本実施形態では、上側フレーム22を枠体42,43と同一位置で周方向へ分割して所定の間隙54を形成したから、上側フレーム22が上記間隙54を膨張代として枠体42と一体に伸長変形し、これによって枠体42の浮き上がりがさらに効果的に防止される。また、上記上側フレーム22の間隙54をシールプレート222で上方から遮蔽したから、炉内の雰囲気ガスが外気に放出されることはない。
【0022】
本実施形態ではさらに、外周側枠体43において、間隙52に臨む各枠ブロック431の周方向の両端部に凹所432を形成して、ここに、周方向へ複数列で耐火レンガ71を埋設し、耐火レンガ71の隣接する列の間に間隙53を形成したことにより、複数の間隙53の和で間隙52の大きさにほぼ等しい膨張代を形成すれば良いから、各間隙53を小径のペレットPが侵入しない小さなものにすることができる。また、上記凹所432は平面視で外方へ向けて漸次左右辺が接近する台形状としてあるから、スクリューコンベア53(図4)によって炉外へ送り出されるペレットPが耐火レンガ71上を径方向外方へ通過しても、これら耐火レンガ71がペレットの動きにつられて凹所432から脱出することはない。
【0023】
さらに本実施形態では、炉床中間部の耐火キャスタブル層45と内外の枠体42,43との間にレンガ層46,47を設けて、内周側のレンガ層46を内外二列の耐火レンガ73で構成するとともに、熱膨張変形の大きい外周側のレンガ層47を内外4列の耐火レンガ74でそれぞれ構成して、各列間に間隙57,58を形成するようにしたから、小径のペレットが侵入しない程度の大きさの間隙57,58の和として十分に大きな膨張代を特に炉床2の径方向へ確保することができる。これにより、耐火キャスタブル層45の膨張を吸収して、その浮き上がり等を防止することができる。
【0024】
また、耐火キャスタブル層45を略四角形のキャスタブルシート451に分割してこれらの周囲に間隙55を形成したから、これら間隙55によってキャスタブルシート451の膨張が吸収されて、耐火キャスタブル層45の浮き上がり等がさらに効果的に防止される。加えて、周方向の複数列のキャスタブルシート451毎に、周方向へ所定の間隙56を形成する複数列の耐火レンガ72を配設したから、これによっても、小径のペレットの侵入を防止しつつ周方向への十分に大きな膨張代を確保して、キャスタブルシート451の膨張変形を吸収し、その浮き上がり等を回避することができる。なお、本実施形態では、一定厚の断熱キャスタブルよりなる断熱層41で上側フレーム22の上面全面を覆うようにしたから、上側フレーム22の温度上昇とこれに伴う膨張変形を可及的に小さくすることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、本発明の回転炉床炉の炉床構造によれば、ペレットによって阻害されることなく炉床内外周縁の膨張を効果的に吸収してその変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す回転炉床炉の炉床の垂直断面図である。
【図2】回転炉床炉の炉床の部分斜視図である。
【図3】回転炉床炉の炉床の部分平面図である。
【図4】回転炉床炉の全体水平断面図である。
【符号の説明】
1…回転炉床炉、11…内周壁、12…外周壁、2…回転炉床、22…上側フレーム、222…シールプレート、42,43…枠体、432…凹所、51,52,53,54…間隙、6…セラミックシート、71…耐火レンガ。
Claims (4)
- 内周壁と外周壁の間に配設された円環状の回転炉床の内周縁と外周縁を耐火キャスタブルにより成形した枠体で構成するとともに、これら枠体をそれぞれ周方向の複数個所で当該枠体の膨張を吸収する膨張代となる間隙をあけて分割し、これら間隙内にセラミックシートないしセラミックブランケットを充填し、前記回転炉床の外周縁を構成する分割された前記枠体の、前記間隙に臨む周方向の端部に上方へ開放する凹所を形成して、当該凹所内に、周方向へ複数列で耐火レンガを埋設して、当該耐火レンガの隣接する列の間に前記枠体の膨張を吸収する膨張代となる間隙を形成したことを特徴とする回転炉床炉の炉床構造。
- 前記凹所を、平面視で炉床の径方向外方へ向けて漸次左右辺が接近する台形状とした請求項1に記載の回転炉床炉の炉床構造。
- 前記枠体を支持する金属フレームを、前記枠体と同一位置で周方向へ分割してこれらの間に前記金属フレームの膨張を吸収する膨張代となる間隙を形成した請求項1又は2に記載の回転炉床炉の炉床構造。
- 分割された前記金属フレームの一方に固定されて、前記金属フレームに形成された間隙を上方から覆うシールプレートを設けた請求項3に記載の回転炉床炉の炉床構造。
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