JP4337110B2 - 虚像現出装飾体 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、目の錯覚を利用して虚像を透明基板の上方又は下方に現出させる虚像現出装飾体に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−２０７２５４号公報並びに特開平１０−３５０８３号公報には、透明性シートの表面に複数の凸レンズ状の突起を連続した任意のパターンで設けると共に、該透明性シートの裏面に表面と同じ連続パターンをもつ模様を、表面の連続パターンに対して変位させて印刷して見る方向によって模様が変化する装飾シート体が開示されている。
【０００３】
また、特開平１１−１８９０００号公報には、透明性シートの一面に、所定のピッチで繰り返された第１の模様を有する第１のパターン部を設け、前記透明性シートの他面に、所定のピッチで繰り返された第２の模様を有する第２のパターン部を設けてなる三次元のモアレ模様が現出する装飾シートが開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平９−２０７２５４号公報並びに特開平１０−３５０８３号公報に開示されている装飾シート体は、凸レンズ状の突起の層と模様の層とからなり、当該突起パターンのピッチと模様パターンのピッチが同じであり、透明性シートの表面に設けられた凸レンズ状の突起パターンに対して該透明性シートの裏面に印刷される模様パターンを該突起パターンと該模様パターンとを重ねた状態から突起と模様のパターン軸を角度差がねじれるように回転させて変位させ、回転による角度差により各突起と該各突起に対応する模様との重なり度合いが各突起毎に異なったものとなって、凸レンズ状の突起の層側から装飾シート体を目視すれば見る方向によって該模様が見えたり見えなかったりして装飾シート全体としては模様が変化するように見えるものである。
【０００５】
また、前記特開平１１−１８９０００号公報に開示されている装飾シートは、透明シートの一方面に第１の模様を形成して該透明シートの他方面に第２の模様を形成することにより、装飾シートを表面又裏面から第１の模様の層と第２の模様の層を目視した場合に、左眼による目視角度と右目による目視角度の相違によって左眼に見える第１の模様と第２の模様との重なりによって形成される像と、右眼に見える第１の模様と第２の模様との重なりによって形成される像とが異なったものとなり、装飾シートに第１の模様及び第２の模様とは異なる三次元のモアレ模様をつくり出すものである。
【０００６】
本発明は、新たな虚像現出装飾体を開発すべく、透明基板層の表面に形成される平凸レンズ状集光素層における平凸レンズ状集光素の配置と、該透明基板層の裏面に形成される画素層における画素の形状・配置との因果関係を種々のサンプル装飾体を多数作成して試験・研究を重ねた結果、凸レンズの役割を果たす同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を多数整列させて形成してなる線状画素層とから構成し、前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とを、平凸レンズ状集光素と線状画素とが最も重なった線状画素を中心として平凸レンズ状集光素が該平凸レンズ状集光素に対応する線状画素に対してずれていると共に該最も重なった線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように配置して虚像現出装飾体を作成すれば、当該虚像現出装飾体を目視する方向によって前記最も重なった線状画素を中心として拡大虚像が前記平凸レンズ状集光素層の上方又は下方に現出することができるという刮目すべき知見を得て本発明を完成したものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【０００８】
即ち、請求項１に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【０００９】
また、請求項２に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１０】
また、請求項３に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体である。
【００１１】
また、請求項４に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体である。
【００１２】
また、請求項５に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１乃至４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１３】
また、請求項６に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１４】
また、請求項７に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１５】
また、請求項８に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１６】
また、請求項９に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１７】
また、請求項１０に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体である。
【００１８】
また、請求項１１に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体である。
【００１９】
また、請求項１２に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項８乃至１１のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２０】
また、請求項１３に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２１】
また、請求項１４に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２２】
また、請求項１５に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して内側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【００２３】
また、請求項１６に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体である。
【００２４】
また、請求項１７に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体である。
【００２５】
また、請求項１８に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１５乃至１７のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２６】
また、請求項１９に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２７】
また、請求項２０に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２８】
また、請求項２１に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して外側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００２９】
また、請求項２２に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体である。
【００３０】
また、請求項２３に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体である。
【００３１】
また、請求項２４に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項２１乃至２３のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３２】
また、請求項２５に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３３】
また、請求項２６に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【００３５】
実施の形態１．
【００３６】
図１は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２は図１に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＡ−Ａ断面図である。図３は図１に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素層を示した平面図である。図４は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に平凸レンズ状集光素層の上方に見える（換言すれば、手前に浮いて見える）拡大された線状画素の虚像を説明する図であり、図４の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図４の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。図５は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図５の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図５の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図６は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図６の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図６の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示す。図７は図１に示す虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に見える虚像を説明する図であり、図７の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図７の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。
【００３７】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体１は、図２に示すように、透明基板４の表面に凸レンズの役割を果たす同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素２を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された前記透明基板４からなる透明基板層５と、前記透明基板４の裏面に前記平凸レンズ状集光素２の縦横列の一方の列（以下、「集光素列」という。）８に対して平行に倣い、かつ、前記集光素列８のピッチと異なる同一ピッチで直線の線状画素（以下、単に「線状画素」という。）６を多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、図１に示すように、線状画素６と前記集光素列８とが上下において最も重なる線状画素（以下、「基準線状画素」という。）６’と集光素列（以下、「基準集光素列」という。）８’とからなる組を有するように積層させて前記基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【００３８】
同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素２が多数縦横に整列した平凸レンズ状集光素層３は、厚盛性のよい透明インクを用いて、透明基板４の表面にスクリーン印刷により紗体を形成する紗線Ａ（図３参照）によってできた升目を単位として一つの升目の中に一つの平凸レンズ状集光素２を印刷すれば容易に得ることができる。
【００３９】
スクリーン印刷により平凸レンズ状集光素層３を形成する場合には、１０≦線数≦７０を満足する紗体を用いればよく、紗の線数が１０未満及び７０を越えれば、平凸レンズ状とすることが難しい。
【００４０】
前記線状画素層７は、図１に示すように、パーソナルコンピュータにて、編集アプリケーションを用いて線状画素６のピッチを平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数未満の近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目のピッチと同一ピッチとして該線状画素６を多数整然と整列させた画素配置の画像データを得た後、当該画像データを出力処理アプリケーションを用いてパーソナルコンピュータに転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーションを用いて演算処理した後、イメージセッターに転送し、自動現像機にて透明基板層５の下に線状画素６を形成すれば得ることができる。
【００４１】
なお、升目のピッチとは、図３に示す一点鎖線Ａによってできる升目内の任意の位置から該升目と縦横でとなり合う升目の前記任意の位置と同じ位置までの距離をいう。
【００４２】
虚像現出装飾体１において、図４の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体１を線状画素６の長手方向と同一方向のＸ方向（図１参照）より上から目視した場合には、基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かってずれていると共に、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなっているので、左目９で目視したときに見えた画像１０（図５の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに左方向（図５の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像１２（図６の（ａ）参照）が左目９で目視したときに右方向（図６の（ｂ）参照）にずれる。即ち、虚像現出装飾体１をＸ方向より上から左目９のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像１０と右目１１のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像１２との位置関係を比べると、目線が交差するようにずれて拡大画像が現れており（図４の（ａ）参照）、この画像のずれにより、線状画素６の拡大虚像１３（図４の（ｂ）参照）が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００４３】
また、図７の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体１を平凸レンズ状集光素２の縦横列の他方の列、即ち、集光素列８に対して直角な集光素行１４と同一方向のＹ方向（図１参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対して同じずれ状態にて重なっており、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）におけるずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、図７の（ｂ）に示すように、線状画素６の拡大虚像１５が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００４４】
透明基板４は、合成樹脂製のものを使用すればよく、硬質，軟質いずれであってもよい。硬質の場合は厚さ１mm〜５mmのもの、軟質の場合は厚さ0.5 mm〜２mmのものが取扱いに適し、商品価値としての応用性が広がり、実用的である。また、透明性を有しておれば、着色されていてもよい。具体的には、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル等の透明合成樹脂製板又は透明フィルムを使用すればよい。なお、透明基板４が5.0 mmよりも厚くなると現出する像がぼやけ、色が薄くなる傾向にあり、逆に0.5 mmよりも薄くなると平印刷の感じとなり、虚像が観察できない傾向にある。
【００４５】
透明基板４は合成樹脂製に限ることなく、ガラス製の板であってもよい。
【００４６】
なお、線状画素６が集光素列８に対して徐々にずれていくので、一定の間隔ごとに線状画素６と集光素列８とが再び重なり、虚像現出装飾体１をＸ方向より上から目視した場合に当該重なった線状画素６（基準線状画素６’）と集光素列８（基準集光素列８’）とを中心として虚像１３が現出する。
【００４７】
本実施の形態における線状画素層７は、写真製版により線状画素６を形成してもよく、スクリーン印刷、オフセット印刷及び凸版印刷によっても得ることができる。
【００４８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００４９】
また、例えば、厚さ１mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５０】
また、例えば、厚さ２mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５１】
また、例えば、厚さ３mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５２】
さらに、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５３】
実施の形態２．
【００５４】
本実施の形態は前記実施の形態１の変形例であり、図８は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図９は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視しているところを図示した正面図である。図１０は図８に示す虚像現出装飾体の平面図である。図１１は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１１の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図１１の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図１２は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１２の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図１２の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示しており、これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００５５】
本実施の形態における虚像現出装飾体１６は、前記実施の形態１と同様に透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を印刷した平凸レンズ状集光素層３と、該透明基板４からなる透明基板層５と、該透明基板層５の平凸レンズ状集光素２が形成されていない裏面に形成した線状画素層７とから構成され、図８に示すように、線状画素層７は平凸レンズ状集光素層３に対して前記実施の形態１における配置状態から、基準線状画素６’を基準集光素列８’上の一つの平凸レンズ状集光素（一平凸レンズ状集光素）（以下、「基準集光素」という。）１７を中心として傾けて交差角θ（基準線状画素６’と基準集光素列８’とによって形成させる角度）を得た状態で積層されている。
【００５６】
図８は基準集光素１７を中心として反時計回りに傾けた場合を示しているが、傾けない状態においては、線状画素６は前記実施の形態１における虚像現出装飾体１のように集光素列８に対して基準線状画素６’と前記基準集光素１７を含む集光素行（以下、「基準集光素行」という。）１４’とを境として該基準線状画素６’と該基準集光素行１４’とに区切られた右上側及び左下側（図１参照）においては、傾く方向へずれる位置関係にあり、右下側及び左上側（図１参照）においては、傾く方向とは反対方向へずれる位置関係にあり、基準線状画素６’から離れた線状画素６ほど対応する集光素列８に対して外側へ大きくずれているので、傾けたことにより、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図８に示すように、基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右上がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左下がりに存在する。
【００５７】
そして、前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に前記基準集光素１７を中心とする境界線（傾斜線）１８が形成されて線状画素６と平凸レンズ状集光素２とは境界線１８を境として該境界線１８から離れるほど、ずれる幅が大きくなる位置関係となっており、しかも、前記基準線状画素６’から等距離にある一組の他の線状画素６と交差する各平凸レンズ状集光素列８の前記最も重なった平凸レンズ状集光素（一組の他の一平凸レンズ状集光素）２が境界線１８上に存在し、当該境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素２の列を中心として内側へ向かって同じ幅でずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素２の列より外側の平凸レンズ状集光素２の列の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。
【００５８】
従って、虚像現出装飾体１６をＸ方向（図８参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８へ向かって同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しているので、境界線１８を中心として線状画素６の部分が連なって線状画像の拡大された虚像２１が境界線１８と同じ傾きで現れる。即ち、左目９で目視したときに見えた画像１９（図１１の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに左方向（図１１の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２０（図１２の（ａ）参照）が左目９で目視したときに右方向（図１２の（ｂ）参照）にずれるので、この画像のずれにより、線状画素６の部分が連なった境界線１８と同じ傾き（他の一平凸レンズ状集光素２の列の傾き）を有する拡大虚像２１（図１０参照）が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００５９】
また、虚像現出装飾体１６をＹ方向（図８参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては基準集光素列８’を中心として内側へ向かってずれていると共に、基準集光素列８’より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、線状画素６の部分が連なった拡大された虚像が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００６０】
なお、交差角θが０°から４５°に近づくにしたがって、平凸レンズ状集光素２のピッチが４個の隣接する平凸レンズ状集光素２によって形成される四角形の一辺のピッチから四角形の対角線と同じ長さのピッチへと変わるので、平凸レンズ状集光素２の変更されたピッチによる集光素列８と線状画素６との位置関係が、拡大虚像が現出できる位置関係、即ち、虚像現出装飾体１６をＸ方向から目視した場合に、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８へ向かって同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係が、くずれない位置関係となっている前記交差角θであれば、前記拡大虚像が現出するから、交差角θは０°＜θ≦４５°を満足する角度であればよい。また、交差角θ＝９０°を越えれば、集光素行１４と集光素列８とが入れ代わるので、集光素行１４を集光素列８とし、集光素列８を集光素行１４とした場合の拡大虚像が現出する。
【００６１】
また、各集光素列８と該各集光素列８に対応する線状画素６とは交差角θで交差しているので、当該各集光素列８は当該各集光素列８の隣の線状画素６と再び交差角θで交差するから、境界線１８から離れた位置に該境界線１８と平行な新たな境界線が存在し、当該新たな境界線１８を中心として拡大虚像が現出する（図１０参照）。
【００６２】
なお、線状画素層７を基準集光素１７を中心として時計回りに傾けた場合には、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右下がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左上がりに存在する。
【００６３】
実施の形態３．
【００６４】
図１３は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図１４は図１３に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＢ−Ｂ断面図である。図１５は図１３に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に平凸レンズ状集光素層の下方に見える（換言すれば、奥に沈んで見える）拡大された線状画素の虚像を説明する図であり、図１５の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図１５の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。図１６は図１３に示す拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１６の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図１６の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図１７は図１３に示す拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１７の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図１７の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示し、これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００６５】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体２２は、図１４に示すように、スクリーン印刷により透明基板４の表面に、前記実施の形態１と同様に平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３とし、パーソナルコンピュータにて編集処理アプリケーションを用いて線状画素６のピッチを平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数を越える近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を集光素列８に対して平行に倣い、かつ、多数整然と整列させた画素配置の画像データを得た外は、前記実施の形態１と同様にして自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図１３に示すように、線状画素層７（線状画素６が形成された透明フィルム２３）を線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と基準集光素列８’とからなる組を有するように張り合わせ、前記基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６と対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として内側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置している。
【００６６】
虚像現出装飾体２２において、図１５の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体２２を線状画素６の長手方向と同一方向のＸ方向（図１３参照）より上から目視した場合には、基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として内側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなっているので、左目９で目視したときに見えた画像２４（図１６の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに右方向（図１６の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２５（図１７の（ａ）参照）が左目９で目視したときに左方向（図１７の（ｂ）参照）にずれる。即ち、虚像現出装飾体２２をＸ方向より上から左目９のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像２４と右目１１のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像２５との位置関係を比べると、目線が交差しないようにずれて拡大画像が現れており（図１５の（ａ）参照）、この画像のずれにより、線状画素６の拡大虚像２６（図１５の（ｂ）参照）が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【００６７】
また、実施の形態１における図７の（ａ）と同様に、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体２２を集光素行１４と同一方向のＹ方向（図１２参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対して同じずれ状態にて重なっており、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向におけるずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、図７の（ｂ）と同様に、線状画素６の拡大虚像１５が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００６８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００６９】
また、例えば、厚さ１mmの樹脂製透明基板４の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７０】
また、例えば、厚さ２mmの樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７１】
また、例えば、厚さ３mmの樹脂製透明基板４の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７２】
さらに、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７３】
実施の形態４．
【００７４】
本実施の形態は前記実施の形態３の変形例であり、図１８は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図１９は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視しているところを図示した正面図であり、図２０は図１８に示す虚像現出装飾体の平面図である。図２１は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。図２１の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図２１の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図２２は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図２２の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図２２の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示す。これらの図において、図１〜図１７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００７５】
本実施の形態における虚像現出装飾体２７は、前記実施の形態３と同様に透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を印刷した平凸レンズ状集光素層３と、該透明基板４からなる透明基板層５と、透明フィルム２３の片面に線状画素６を形成した線状画素層７とから構成され、図１８に示すように、線状画素層７は平凸レンズ状集光素層３に対して前記実施の形態３における配置状態から、基準線状画素６’を基準集光素列８’上の基準集光素１７を中心として傾けて交差角θを得た状態で積層されている。
【００７６】
図１８は基準集光素１７を中心として反時計回りに傾けた場合を示しているが、傾けない状態においては、線状画素６は前記実施の形態３における虚像現出装飾体２２のように集光素列８に対して基準線状画素６’と基準集光素行１４’とを境として該基準線状画素６’と該基準集光素行１４’とに区切られた右下側及び左上側（図１３参照）においては、傾く方向へとずれる位置関係にあり、右上側及び左下側（図１３参照）においては、傾く方向とは反対方向へずれる位置関係にあり、基準線状画素６’から離れた線状画素６ほど対応する集光素列８に対して内側へ大きくずれているので、傾けたことにより、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図１８に示すように、基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右下がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左上がりに存在する。
【００７７】
そして、前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に前記基準集光素１７を中心とする境界線（傾斜線）１８が形成されて線状画素６と平凸レンズ状集光素２とは境界線１８を境として該境界線１８から離れるほど、ずれる幅が大きくなる位置関係となっており、しかも、前記基準線状画素６’から等距離にある一組の他の線状画素６と交差する各平凸レンズ状集光素列８の前記最も重なった平凸レンズ状集光素（一組の他の一平凸レンズ状集光素）２が境界線１８上に存在し、当該境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の列の各平凸レンズ状集光素２が該各平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素２の列を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素２の列より外側の平凸レンズ状集光素２の列の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。
【００７８】
従って、虚像現出装飾体２７をＸ方向（図１８参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８から遠ざかるように同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しているので、境界線１８を中心として線状画素６の部分が連なって線状画像の拡大された虚像３０が境界線１８と同じ傾きで現れる。即ち、左目９で目視したときに見えた画像２８（図２１の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに右方向（図２１の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２９（図２２の（ａ）参照）が左目９で目視したときに左方向（図２２の（ｂ）参照）にずれる、この画像のずれにより、線状画素６の部分が連なった境界線１８と同じ傾き（他の一平凸レンズ状集光素２の列の傾き）を有する拡大虚像３０（図２０参照）が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【００７９】
また、虚像現出装飾体２７をＹ方向（図１８参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては基準集光素列８’を中心として外側へ向かってずれていると共に、基準集光素列８’より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、線状画素６の部分が連なった拡大された虚像が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００８０】
なお、交差角θは前記実施の形態２と同様に０°＜θ≦４５°を満足する角度であればよい。
【００８１】
また、線状画素層７を基準集光素１７を中心として時計回りに傾けた場合には、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右上がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左下がりに存在する。
【００８２】
実施の形態５．
【００８３】
図２３は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、単位線画素行を実線、基準単位線画素行及び基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２４は図２３に示す虚像現出装飾体によって形成される虚像を図形化した平面図であり、図２４の（ａ）は虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に現出する虚像を示しており、図２４の（ｂ）は虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に現出する虚像を示している。これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００８４】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体３１は、図２３に示すように、前記実施の形態１と同様に形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された透明基板層５と、透明基板層５の下に逆くの字状の単位線画素３２が連続して連なった波線の線状画素（以下、単に「線状画素」という。）３３を前記実施の形態１と同様にして多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、線状画素３３の部分を構成する単位線画素３２と平凸レンズ状集光素２とが上下において最も重なる単位線画素（以下、「基準単位線画素」という。）３２’と平凸レンズ状集光素（以下、「基準集光素」という。）１７とからなる組を有し、かつ、当該基準単位線画素３２’を含む線状画素（以下、「基準線状画素」という。）３３’と当該基準集光素１７を含む集光素列（以下、「基準集光素列」という。）８’とが上下において平行に重なるように積層させ、前記基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【００８５】
虚像現出装飾体３１をＸ方向（図２３参照）より上から目視した場合には、基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなっているので、図２４の（ａ）に示すように、基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３５が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００８６】
また、Ｙ方向（図２３参照）より上から目視した場合には、線状画素３３の部分である基準単位線画素３２’を含むＹ方向の単位線画素行（以下、「基準単位線画素行」という。）３４’と等距離にある一組の単位線画素行３４が該各単位線画素行３４と重なっている集光素行１４に対して基準単位線画素行３４’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準単位線画素行３４’より外側の単位線画素行３４ほどずれる幅が大きくなっているので、図２４の（ｂ）に示すように、基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３６が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００８７】
なお、本実施の形態における線状画素３３の単位線画素３２は逆くの字形状であるが、Ｓ字形状でもよく、線状画素は同じ形状のものが線状に連なっていれば外の形状のものであってもよい。
【００８８】
実施の形態６．
【００８９】
図２５は拡大された２種類の線状画素の虚像が重なった状態で見える虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、単位線画素行を実線、基準単位線画素行及び基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２６は平凸レンズ状集光素と２種類の線画素とによって形成される虚像を図形化した平面図であり、これらの図において、図１〜図７、図２３及び図２４と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００９０】
本実施の形態における虚像現出装飾体３７は、前記実施の形態１と同様に平凸レンズ状集光素層３と、透明基板層５と、前記実施の形態１と同様にして直線の線状画素６と波線の線状画素３３とを交互に多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、図２５に示すように、単位線画素３２と平凸レンズ状集光素２とが上下において最も重なる基準単位線画素３２’と基準集光素１７とからなる組を有し、かつ、当該基準単位線画素３２’を含む基準線状画素３３’と当該基準集光素１７を含む基準集光素列８’とが上下において平行に重なるように積層したものである。
【００９１】
本実施の形態では、線状画素３３についてのみに注目した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなっており、線状画素３３の部分である基準単位線画素３２’を含むＹ方向の基準単位線画素行３４’と等距離にある一組の単位線画素行３４が該各単位線画素行３４と重なっている集光素行１４に対して基準単位線画素行３４’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準単位線画素行３４’より外側の単位線画素行３４ほどずれる幅が大きくなっている。
【００９２】
また、線状画素６についてのみに注目した場合には、基準線状画素３３’の近傍の線状画素６’が該近傍の線状画素６’に対応する集光素列（基準集光素列）８と最も重なった状態となっており、当該近傍の線状画素６’と等距離にある一組の線状画素６が該各線状画素６と対応する平凸レンズ状集光素２に対して近傍の線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、近傍の線状画素６より外側の線状画素６’ほどずれる幅が大きくなっている。
【００９３】
従って、虚像現出装飾体３７をＸ方向（図２５参照）より上から目視した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３５が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えると共に、前記実施の形態１と同様に近傍の線状画素６’を中心として線状画素６の拡大虚像１３が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えるので、図２６に示すように、当該拡大虚像３５と当該拡大虚像１３とが重なった状態の虚像３８が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００９４】
また、Ｙ方向（図２５参照）より上から目視した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３６が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えると共に、前記実施の形態１と同様に近傍の線状画素６を中心として線状画素６の拡大虚像１５が平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００９５】
なお、線状画素層７は３以上の複数種類の線状画素からなるものであってもよく、この場合には種類の異なる線状画素を交互に繰り返すように形成すればよい。
【００９６】
また、平凸レンズ状集光素層３と線状画素層７とを積層させる際に、線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と基準集光素列８’とからなる組を有するように積層させてもよい。
【００９７】
実施の形態７．
【００９８】
図２７は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２８は図２７に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素と画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００９９】
本実施の形態における虚像現出装飾体３９は、図２７に示すように、前記実施の形態１と同様に形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された透明基板層５と、前記実施の形態１と同様にして線状画素６を多数整然と整列させた画素配置をパーソナルコンピュータにて、編集アプリケーションを用いて一の線状画素（以下、「基本線状画素」という。）４０を残した状態で、当該基本線状画素４０から離れた線状画素６ほど細くなるようにして透明基板４の下に形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と線状画素層７とは、線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と集光素列８’とからなる組を有するように積層させて前記基準線状画素６’と等距離にある一組の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【０１００】
本実施の形態においては、虚像現出装飾体３９をＸ方向（図２７参照）より上から目視した場合には、図２８の（ａ）に示すように、基本線状画素４０から離れるに従って縮小する多数整然と整列した線状画素６の拡大虚像４１が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見え、Ｙ方向（図２７参照）より上から目視した場合には、図２８の（ｂ）に示すように、基本線状画素４０から離れるに従って縮小する多数整然と整列した線状画素６の拡大虚像４２が、平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１０１】
実施の形態８．
【０１０２】
図２９は本実施の形態における線状画素層の線状画素の配置を説明する図であり、図中、傾斜した線状画素（実線にて示す。）は同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素を一の線状画素を残して該線状画素の隣の線状画素から順に同じ傾斜角θを累積する傾斜パターンにて同一方向に並べて傾斜させて配置したものであり、傾斜させる前の線状画素を点線にて示している。図３０は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図３１は平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図２８と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【０１０３】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体４３は、前記実施の形態１と同様にスクリーン印刷により透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を形成して平凸レンズ状集光素層３とし、図２９に示すように、平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数以下の線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６が多数整然と整列された画素配置をパーソナルコンピュータにて、編集処理アプリケーションを用いて一の線状画素（以下、「固定線状画素」という。）４４を残した状態で、当該固定線状画素４４の隣の線状画素６から順に同じ傾斜角θを累積する傾斜パターンにて、固定線状画素４４に垂直な直線（以下、「支点直線」という。）４５と各線状画素６との交点を中心として同一方向に並んで傾斜するように、即ち、固定線状画素４４の隣の線状画素６である一列目の線状画素６の傾斜角θ1 がθとなり、二列目の線状画素６の傾斜角θ2 が２θとなり、以下、同様にｎ列目の線状画素６の傾斜角θn がｎθとなるように傾斜させて、当該線状画素６が略扇状に配置された画像データを得た後、当該画像データを出力処理アプリケーションを用いてパーソナルコンピュータに転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーションを用いて演算処理した後、イメージセッターに転送し、自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図３０に示すように、線状画素層７を該線状画素層７における線状画素（一線状画素）６と平凸レンズ状集光素層３における集光素列（一平凸レンズ状集光素列）４６とが平行になるように配置すると共に、平凸レンズ状集光素２と線状画素６とが上下において最も重なる基準集光素（一平凸レンズ状集光素）４７と基準線状画素（他の一線状画素）６’とからなる組を有するように配置したものである。
【０１０４】
本実施の形態においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図３０に示すように、基準線状画素６’の右側においては、前記基準集光素４７を含む基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素（他の線状画素）６の部分が平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列（他の一平凸レンズ状集光素列）８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として右下がり反時計回り方向の湾曲線上に存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として左上がり時計回り方向の湾曲線上に存在する。
【０１０５】
そして、基準集光素４７を含む前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に湾曲した境界線４８が形成され、当該境界線４８を境として平凸レンズ状集光素２は該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して内側へ向かってずれており、かつ、境界線４８から離れるほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。また、支点直線４５から離れるほど平凸レンズ状集光素２が線状画素６からずれる位置関係となっている。
【０１０６】
従って、虚像現出装飾体４３をＸ方向（図３０参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線４８へ向かってずれていると共に、境界線４８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線４８に沿った平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しており、しかも、支点直線４５により近い集光素行１４の平凸レンズ状集光素２において線状画素６の部分と重なっている平凸レンズ状集光素２が境界線４８に沿ってより多く存在しているので、図３１に示すように、支点直線４５に近づくほど幅が広くなっている湾曲線形状であって線状画素６の部分が連なった線状画像の拡大された変形虚像４９が境界線４８を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【０１０７】
また、虚像現出装飾体４３をＹ方向（図３０参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては境界線４８を中心として内側へ向かってずれていると共に、境界線４８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、前記虚像４９と同じ形状の虚像が境界線４８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１０８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦65にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ0.5mm の硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦70にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ１mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦65にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ２mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦70にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ３mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ５mmの硬質樹脂製透明基板の表面に線数10線にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数８の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦１を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ,0.5, １）にて傾斜させて配置すればよい。
【０１０９】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体４３においても、前記実施の形態７と同様の作用・効果を得ることができる。
【０１１０】
実施の形態９．
【０１１１】
図３２は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図３３は平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図３１と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【０１１２】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体５０は、前記実施の形態１と同様にスクリーン印刷により透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を形成して平凸レンズ状集光素層３とし、平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６が多数整然と整列された画素配置とした外は、前記実施の形態８と同様にして自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図３２に示すように、線状画素層７を該線状画素層７における線状画素（一線状画素）６と平凸レンズ状集光素層３における集光素列（一平凸レンズ状集光素列）４６とが平行になるように配置すると共に、平凸レンズ状集光素２と線状画素６とが上下において最も重なる基準集光素（一平凸レンズ状集光素）４７と基準線状画素（他の一線状画素）６’とからなる組を有するように配置したものである。
【０１１３】
本実施の形態においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図３２に示すように、基準線状画素６’の右側においては、前記基準集光素４７を含む基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素（他の線状画素）６の部分が平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列（他の一平凸レンズ状集光素列）８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として右上がり時計回り方向の湾曲線上に存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として左下がり反時計回り方向の湾曲線上に存在する。
【０１１４】
そして、基準集光素４７を含む前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に湾曲した境界線５１が形成され、当該境界線５１を境として平凸レンズ状集光素２は該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して外側へ向かってずれており、かつ、境界線５１から離れるほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。また、支点直線４５に近づく程平凸レンズ状集光素２が線状画素６からずれる位置関係となっている。
【０１１５】
従って、虚像現出装飾体５０をＸ方向（図３２参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線５１から遠ざかるようにずれていると共に、境界線５１より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線５１に沿った平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しており、しかも、支点直線４５からより遠い集光素行１４の平凸レンズ状集光素２において線状画素６の部分と重なっている平凸レンズ状集光素２が境界線５１に沿ってより多く存在しているので、図３３に示すように、支点直線４５から遠ざかるほど幅が広くなっている湾曲線形状であって、線状画素６が連なった線状画像の拡大された変形虚像５２が境界線５１を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【０１１６】
また、虚像現出装飾体５０をＹ方向（図３２参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては境界線５１を中心として外側へ向かってずれていると共に、境界線５１より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、前記虚像５２と同じ形状の虚像が境界線５１を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１１７】
なお、本実施の形態における画素配置では、支点直線４５から離れるに従い線状画素６の横方向のピッチが広くなるため、隣り合う平凸レンズ状集光素２間のピッチと同一ピッチとなる境目が存在するので、当該境目よりさらに支点直線４５から遠ざかった箇所においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係が前記実施の形態８と同様に図３０に示す位置関係となる箇所が形成される。従って、当該箇所を虚像現出装飾体とした場合には、実施の形態８における虚像４９と同様の虚像が現出する。
【０１１８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板の表面に35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、線数70線にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数140 の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦２を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ，１，２）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ0.5mm の硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ１mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ２mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、40≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ３mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。
【０１１９】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体５０においても、前記実施の形態７と同様の作用・効果を得ることができる。
【０１２０】
なお、前記実施の形態１〜９における虚像現出装飾体は、平凸レンズ状集光素と線状画素とが上下において最も重なる状態から若干ずれて重なる基準集光素列と基準線状画素とを有する虚像現出装飾体であってもよく、当該基準線状画素は近傍の他の線状画素に比べて集光素列と最も重なっているので、当該虚像現出装飾体においては、基準線状画素と等距離にある一組の線状画素が該各線状画素と対応する集光素列に対して基準線状画素を中心として同じ幅でずれていると共に、基準線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなっている。
【０１２１】
また、前記実施の形態１〜７における線状画素のピッチは平凸レンズ状集光素層を形成した紗体の線数の整数倍（例えば、１／２倍、２倍、２／３倍、３倍等）した線数に近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチであってもよい。
【０１２２】
さらに、互いに異なるピッチで線状画素を多数整然と整列させて形成してなる二種以上の線状画素層と平凸レンズ状集光素層とを張り合わせて虚像現出装飾体を形成してもよく、この場合には、各線状画素層に配置された線状画素と平凸レンズ状集光素との位置関係によって各線状画素層ごとに虚像が現出する。
【０１２３】
【実施例】
実施例１．
【０１２４】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を透明基板層５として１枚用意した。厚さ0.1mm の透明フィルム２３（品名：大日本スクリーン印刷株式会社製FTR3050 用フィルムHLNWL ：富士写真フィルム株式会社製）を１枚用意した。そして、透明基板４の上面に、線数が25線の紗体を用いてスクリーン印刷により、十条ケミカル株式会社製4100番シリーズの透明インクで40％（一の升目の面積当たりに閉める平凸レンズ状集光素の割合）の平凸レンズ状集光素２を印刷することにより、平凸レンズ状集光素層３を透明基板層５の上面に積層した。
【０１２５】
線状画素層７は、DTP(Desk Top Publishing)にて、線数が30線の線状画素６を形成してなるフィルムを作成した。
【０１２６】
具体的製造工程を説明すれば、以下の通りである。
【０１２７】
先ず、パーソナルコンピュータ（品名：Power Mac 9600/300：Apple 社製）にて、編集処理アプリケーション（品名：Adobe Photoshope 5.02J：Adobe systems 社製）を用いて、線数が30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させた画像データを得、続いて、画像データを出力処理アプリケーション( 品名：Quark XPress 3.3J ：Adobe systems 社製) を用いてパーソナルコンピュータ（品名：Power Mac 9600/350：Apple 社製）に転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーション（品名：AD-310PM Ver2.0 ：大日本スクリーン製造株式会社製）を用いて演算処理した後、イメージセッター（品名：FT-R3050：大日本スクリーン製造株式会社製）に転送し、自動現像機（品名：KODAMATIC 710 Processor ：日本コダック株式会社製）にて、前記透明フィルム２３に前記線状画素６を形成したフィルム（線状画素層７）を得た。
【０１２８】
そして、透明基板４の下面に線状画素層７を積層して１枚の虚像現出装飾体２２を得た。
【０１２９】
虚像現出装飾体２２を平凸レンズ状集光素層３を上にして真上から線状画素６に対して平行な方向より目視したところ、虚像現出装飾体２２の下方（奥）に沈んで見える虚像２６が観察できた。
【０１３０】
実施例２．
【０１３１】
30線の紗体にて平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて線状画素層７を形成した外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像２６が観察できた。
【０１３２】
実施例３，４．
【０１３３】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３）及び40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例４）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、虚像現出装飾体１では、当該虚像現出装飾体１の上方（手前）に浮いて見える虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では、当該虚像現出装飾体２２の下方（奥）に沈んで見える虚像２６が観察できた。
【０１３４】
実施例５，６．
【０１３５】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を４枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を４枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例５）及び45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例６）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例５）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例６）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１３６】
実施例７，８．
【０１３７】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例７）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例８）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例７）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例８）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１３８】
実施例９．
【０１３９】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４０】
実施例１０．
【０１４１】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４２】
実施例１１．
【０１４３】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４４】
実施例１２．
【０１４５】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１４６】
実施例１３．
【０１４７】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１４８】
実施例１４，１５．
【０１４９】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１４）及び40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１５）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例１４）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例１５）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５０】
実施例１６，１７．
【０１５１】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を４枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を４枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１６）及び45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１７）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例１６）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例１７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５２】
実施例１８，１９．
【０１５３】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１８）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１９）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例１８）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例１９）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５４】
実施例２０．
【０１５５】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１５６】
実施例２１．
【０１５７】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１５８】
実施例２２．
【０１５９】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、55線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１６０】
実施例２３．
【０１６１】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６２】
実施例２４．
【０１６３】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６４】
実施例２５，２６．
【０１６５】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２５）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２６）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例２５）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例２６）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６６】
実施例２７，２８．
【０１６７】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２７）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２８）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例２７）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例２８）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６８】
実施例２９，３０．
【０１６９】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２９）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３０）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例２９）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３０）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１７０】
実施例３１．
【０１７１】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７２】
実施例３２．
【０１７３】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７４】
実施例３３．
【０１７５】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７６】
実施例３４．
【０１７７】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１７８】
実施例３５．
【０１７９】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８０】
実施例３６，３７．
【０１８１】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３６）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３７）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３６）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８２】
実施例３８，３９．
【０１８３】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３８）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３９）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３８）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３９）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８４】
実施例４０．
【０１８５】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１８６】
実施例４１．
【０１８７】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１８８】
実施例４２，４３．
【０１８９】
厚さ0.5mm の透明基板４（品名：アキレス青味透明グラス：アキレス株式会社製）を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４２）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４３）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例４２）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４３）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９０】
実施例４４，４５．
【０１９１】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４４）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４５）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例４４）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４５）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９２】
実施例４６，４７．
【０１９３】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４６）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４７）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例４６）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９４】
実施例４８．
【０１９５】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１９６】
実施例４９．
【０１９７】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１９８】
実施例５０．
【０１９９】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０２００】
実施例５１．
【０２０１】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより波線の線状画素３３を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体３１を得た。虚像現出装飾体３１を目視したところ、虚像現出装飾体３１では、虚像現出装飾体３１の上方（手前）に浮いて見える波線形状の虚像３５，３６が観察できた。
【０２０２】
実施例５２．
【０２０３】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、36線の升目のピッチにより直線の線状画素６を多数整然と整列させて形成する際に、当該線状画素６が基本線状画素４０から離れるに従って細くなるように線状画素層７を作成して、図２７に示す虚像現出装飾体３９を得た。当該虚像現出装飾体３９を実施例１と同様にして目視したところ、当該虚像現出装飾体３９の下方（奥）に沈んで見える、基本線状画素４０から離れるに従い細くなる虚像４１が観察できた。
【０２０４】
実施例５３．
【０２０５】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより多数整然と整列させた線状画素６が傾斜角θ＝0.1 で累積する傾斜パターンにて傾斜した線状画素層７を作成して、図３０に示す虚像現出装飾体４３を得た。虚像現出装飾体４３を実施例１と同様にして目視したところ、虚像現出装飾体４３の上方（手前）に浮かんで見える図３１に示す虚像４９が観察できた。
【０２０６】
なお、実施例においては、いずれも平凸レンズ状集光素層３の一升目の面積当たりに閉める平凸レンズ状集光素２の割合を40％として形成したが、この割合は５％から95％の間で変更してもよい。
【０２０７】
【発明の効果】
本発明によれば、線状画素の拡大虚像が上方（手前）に浮いて見える虚像現出装飾体を提供することができ、また、線状画素の拡大虚像が下方（奥）に沈んで見える虚像現出装飾体を提供することができる。
【０２０８】
従って、本発明に係る虚像現出装飾体は、現出する虚像に起因して観察者の目を引くと共に、興味を持って見られるので、各種の表示板や印刷物、ラベル、玩具等に利用でき、また、通常の印刷技術によって低コストで製造できるから、その用途は広く、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施の形態１に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２】図１に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＡ−Ａ断面図である。
【図３】図１に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素層を示した平面図である。
【図４】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の上方に浮いて見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図５】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図６】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図７】図１に示す虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に透明基板と同一平面内に見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図８】実施の形態２に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図９】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の上方に浮いて見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図１０】図８に示す虚像現出装飾体の平面図である
【図１１】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１２】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１３】実施の形態３に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図１４】図１３に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＢ−Ｂ断面図である。
【図１５】図１３に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の下方に沈んで見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図１６】図１３に示す拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１７】図１３に示す拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１８】
実施の形態４に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図１９】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の下方に沈んで見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図２０】図１８に示す虚像現出装飾体の平面図である
【図２１】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図２２】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図２３】実施の形態５に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２４】図２２に示す虚像現出装飾体によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２５】拡大された２種類の線状画素の虚像が重なった状態で見える虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２６】平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２７】実施の形態７に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と画素との位置関係を説明する図である。
【図２８】図２７に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素と画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２９】本実施の形態における線状画素層の線状画素の配置を説明する図である。
【図３０】本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図３１】平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図３２】本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図３３】平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【符号の説明】
１，１６，２２，２７，３１，３７，３９，４３，５０ 虚像現出装飾体
２ 平凸レンズ状集光素
３ 平凸レンズ状集光素層
４ 透明基板
５ 透明基板層
６ 線状画素
７ 線状画素層
８，４６ 集光素列
９ 左目
１０，１２，１９，２０，２４，２５，２８，２９ 画像
１１ 右目
１３，１５，２１，２６，３０，３５，３６，３８，４１，４２，４９，５２虚像
１４ 集光素行
１７，４７ 基準集光素
１８，４８，５１ 境界線
２３ 透明フィルム
３２ 単位線画素
３３ 線状画素
３４ 単位線画素行
４０ 基本線状画素
４４ 固定線状画素
４５ 支点直線
【発明の属する技術分野】
本発明は、目の錯覚を利用して虚像を透明基板の上方又は下方に現出させる虚像現出装飾体に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
特開平９−２０７２５４号公報並びに特開平１０−３５０８３号公報には、透明性シートの表面に複数の凸レンズ状の突起を連続した任意のパターンで設けると共に、該透明性シートの裏面に表面と同じ連続パターンをもつ模様を、表面の連続パターンに対して変位させて印刷して見る方向によって模様が変化する装飾シート体が開示されている。
【０００３】
また、特開平１１−１８９０００号公報には、透明性シートの一面に、所定のピッチで繰り返された第１の模様を有する第１のパターン部を設け、前記透明性シートの他面に、所定のピッチで繰り返された第２の模様を有する第２のパターン部を設けてなる三次元のモアレ模様が現出する装飾シートが開示されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平９−２０７２５４号公報並びに特開平１０−３５０８３号公報に開示されている装飾シート体は、凸レンズ状の突起の層と模様の層とからなり、当該突起パターンのピッチと模様パターンのピッチが同じであり、透明性シートの表面に設けられた凸レンズ状の突起パターンに対して該透明性シートの裏面に印刷される模様パターンを該突起パターンと該模様パターンとを重ねた状態から突起と模様のパターン軸を角度差がねじれるように回転させて変位させ、回転による角度差により各突起と該各突起に対応する模様との重なり度合いが各突起毎に異なったものとなって、凸レンズ状の突起の層側から装飾シート体を目視すれば見る方向によって該模様が見えたり見えなかったりして装飾シート全体としては模様が変化するように見えるものである。
【０００５】
また、前記特開平１１−１８９０００号公報に開示されている装飾シートは、透明シートの一方面に第１の模様を形成して該透明シートの他方面に第２の模様を形成することにより、装飾シートを表面又裏面から第１の模様の層と第２の模様の層を目視した場合に、左眼による目視角度と右目による目視角度の相違によって左眼に見える第１の模様と第２の模様との重なりによって形成される像と、右眼に見える第１の模様と第２の模様との重なりによって形成される像とが異なったものとなり、装飾シートに第１の模様及び第２の模様とは異なる三次元のモアレ模様をつくり出すものである。
【０００６】
本発明は、新たな虚像現出装飾体を開発すべく、透明基板層の表面に形成される平凸レンズ状集光素層における平凸レンズ状集光素の配置と、該透明基板層の裏面に形成される画素層における画素の形状・配置との因果関係を種々のサンプル装飾体を多数作成して試験・研究を重ねた結果、凸レンズの役割を果たす同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を多数整列させて形成してなる線状画素層とから構成し、前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とを、平凸レンズ状集光素と線状画素とが最も重なった線状画素を中心として平凸レンズ状集光素が該平凸レンズ状集光素に対応する線状画素に対してずれていると共に該最も重なった線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように配置して虚像現出装飾体を作成すれば、当該虚像現出装飾体を目視する方向によって前記最も重なった線状画素を中心として拡大虚像が前記平凸レンズ状集光素層の上方又は下方に現出することができるという刮目すべき知見を得て本発明を完成したものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって解決できる。
【０００８】
即ち、請求項１に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【０００９】
また、請求項２に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１０】
また、請求項３に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体である。
【００１１】
また、請求項４に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体である。
【００１２】
また、請求項５に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１乃至４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１３】
また、請求項６に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１４】
また、請求項７に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００１５】
また、請求項８に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１６】
また、請求項９に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００１７】
また、請求項１０に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体である。
【００１８】
また、請求項１１に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体である。
【００１９】
また、請求項１２に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項８乃至１１のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２０】
また、請求項１３に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２１】
また、請求項１４に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２２】
また、請求項１５に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して内側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出する虚像現出装飾体である。
【００２３】
また、請求項１６に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体である。
【００２４】
また、請求項１７に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体である。
【００２５】
また、請求項１８に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１５乃至１７のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２６】
また、請求項１９に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２７】
また、請求項２０に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００２８】
また、請求項２１に係る発明は、同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して外側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出する虚像現出装飾体である。
【００２９】
また、請求項２２に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体である。
【００３０】
また、請求項２３に係る発明は、平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体である。
【００３１】
また、請求項２４に係る発明は、線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項２１乃至２３のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３２】
また、請求項２５に係る発明は、線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３３】
また、請求項２６に係る発明は、線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体である。
【００３４】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【００３５】
実施の形態１．
【００３６】
図１は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２は図１に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＡ−Ａ断面図である。図３は図１に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素層を示した平面図である。図４は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に平凸レンズ状集光素層の上方に見える（換言すれば、手前に浮いて見える）拡大された線状画素の虚像を説明する図であり、図４の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図４の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。図５は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図５の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図５の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図６は図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図６の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図６の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示す。図７は図１に示す虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に見える虚像を説明する図であり、図７の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図７の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。
【００３７】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体１は、図２に示すように、透明基板４の表面に凸レンズの役割を果たす同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素２を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された前記透明基板４からなる透明基板層５と、前記透明基板４の裏面に前記平凸レンズ状集光素２の縦横列の一方の列（以下、「集光素列」という。）８に対して平行に倣い、かつ、前記集光素列８のピッチと異なる同一ピッチで直線の線状画素（以下、単に「線状画素」という。）６を多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、図１に示すように、線状画素６と前記集光素列８とが上下において最も重なる線状画素（以下、「基準線状画素」という。）６’と集光素列（以下、「基準集光素列」という。）８’とからなる組を有するように積層させて前記基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【００３８】
同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素２が多数縦横に整列した平凸レンズ状集光素層３は、厚盛性のよい透明インクを用いて、透明基板４の表面にスクリーン印刷により紗体を形成する紗線Ａ（図３参照）によってできた升目を単位として一つの升目の中に一つの平凸レンズ状集光素２を印刷すれば容易に得ることができる。
【００３９】
スクリーン印刷により平凸レンズ状集光素層３を形成する場合には、１０≦線数≦７０を満足する紗体を用いればよく、紗の線数が１０未満及び７０を越えれば、平凸レンズ状とすることが難しい。
【００４０】
前記線状画素層７は、図１に示すように、パーソナルコンピュータにて、編集アプリケーションを用いて線状画素６のピッチを平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数未満の近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目のピッチと同一ピッチとして該線状画素６を多数整然と整列させた画素配置の画像データを得た後、当該画像データを出力処理アプリケーションを用いてパーソナルコンピュータに転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーションを用いて演算処理した後、イメージセッターに転送し、自動現像機にて透明基板層５の下に線状画素６を形成すれば得ることができる。
【００４１】
なお、升目のピッチとは、図３に示す一点鎖線Ａによってできる升目内の任意の位置から該升目と縦横でとなり合う升目の前記任意の位置と同じ位置までの距離をいう。
【００４２】
虚像現出装飾体１において、図４の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体１を線状画素６の長手方向と同一方向のＸ方向（図１参照）より上から目視した場合には、基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かってずれていると共に、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなっているので、左目９で目視したときに見えた画像１０（図５の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに左方向（図５の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像１２（図６の（ａ）参照）が左目９で目視したときに右方向（図６の（ｂ）参照）にずれる。即ち、虚像現出装飾体１をＸ方向より上から左目９のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像１０と右目１１のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像１２との位置関係を比べると、目線が交差するようにずれて拡大画像が現れており（図４の（ａ）参照）、この画像のずれにより、線状画素６の拡大虚像１３（図４の（ｂ）参照）が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００４３】
また、図７の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体１を平凸レンズ状集光素２の縦横列の他方の列、即ち、集光素列８に対して直角な集光素行１４と同一方向のＹ方向（図１参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対して同じずれ状態にて重なっており、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）におけるずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、図７の（ｂ）に示すように、線状画素６の拡大虚像１５が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００４４】
透明基板４は、合成樹脂製のものを使用すればよく、硬質，軟質いずれであってもよい。硬質の場合は厚さ１mm〜５mmのもの、軟質の場合は厚さ0.5 mm〜２mmのものが取扱いに適し、商品価値としての応用性が広がり、実用的である。また、透明性を有しておれば、着色されていてもよい。具体的には、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル等の透明合成樹脂製板又は透明フィルムを使用すればよい。なお、透明基板４が5.0 mmよりも厚くなると現出する像がぼやけ、色が薄くなる傾向にあり、逆に0.5 mmよりも薄くなると平印刷の感じとなり、虚像が観察できない傾向にある。
【００４５】
透明基板４は合成樹脂製に限ることなく、ガラス製の板であってもよい。
【００４６】
なお、線状画素６が集光素列８に対して徐々にずれていくので、一定の間隔ごとに線状画素６と集光素列８とが再び重なり、虚像現出装飾体１をＸ方向より上から目視した場合に当該重なった線状画素６（基準線状画素６’）と集光素列８（基準集光素列８’）とを中心として虚像１３が現出する。
【００４７】
本実施の形態における線状画素層７は、写真製版により線状画素６を形成してもよく、スクリーン印刷、オフセット印刷及び凸版印刷によっても得ることができる。
【００４８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００４９】
また、例えば、厚さ１mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５０】
また、例えば、厚さ２mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５１】
また、例えば、厚さ３mmの樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５２】
さらに、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、30≦線数＜35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35≦線数＜45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数50線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40≦線数＜50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数55線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45≦線数＜55を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数60線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては50≦線数＜60を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００５３】
実施の形態２．
【００５４】
本実施の形態は前記実施の形態１の変形例であり、図８は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図９は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視しているところを図示した正面図である。図１０は図８に示す虚像現出装飾体の平面図である。図１１は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１１の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図１１の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図１２は図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１２の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図１２の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示しており、これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００５５】
本実施の形態における虚像現出装飾体１６は、前記実施の形態１と同様に透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を印刷した平凸レンズ状集光素層３と、該透明基板４からなる透明基板層５と、該透明基板層５の平凸レンズ状集光素２が形成されていない裏面に形成した線状画素層７とから構成され、図８に示すように、線状画素層７は平凸レンズ状集光素層３に対して前記実施の形態１における配置状態から、基準線状画素６’を基準集光素列８’上の一つの平凸レンズ状集光素（一平凸レンズ状集光素）（以下、「基準集光素」という。）１７を中心として傾けて交差角θ（基準線状画素６’と基準集光素列８’とによって形成させる角度）を得た状態で積層されている。
【００５６】
図８は基準集光素１７を中心として反時計回りに傾けた場合を示しているが、傾けない状態においては、線状画素６は前記実施の形態１における虚像現出装飾体１のように集光素列８に対して基準線状画素６’と前記基準集光素１７を含む集光素行（以下、「基準集光素行」という。）１４’とを境として該基準線状画素６’と該基準集光素行１４’とに区切られた右上側及び左下側（図１参照）においては、傾く方向へずれる位置関係にあり、右下側及び左上側（図１参照）においては、傾く方向とは反対方向へずれる位置関係にあり、基準線状画素６’から離れた線状画素６ほど対応する集光素列８に対して外側へ大きくずれているので、傾けたことにより、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図８に示すように、基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右上がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左下がりに存在する。
【００５７】
そして、前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に前記基準集光素１７を中心とする境界線（傾斜線）１８が形成されて線状画素６と平凸レンズ状集光素２とは境界線１８を境として該境界線１８から離れるほど、ずれる幅が大きくなる位置関係となっており、しかも、前記基準線状画素６’から等距離にある一組の他の線状画素６と交差する各平凸レンズ状集光素列８の前記最も重なった平凸レンズ状集光素（一組の他の一平凸レンズ状集光素）２が境界線１８上に存在し、当該境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素２の列を中心として内側へ向かって同じ幅でずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素２の列より外側の平凸レンズ状集光素２の列の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。
【００５８】
従って、虚像現出装飾体１６をＸ方向（図８参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８へ向かって同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しているので、境界線１８を中心として線状画素６の部分が連なって線状画像の拡大された虚像２１が境界線１８と同じ傾きで現れる。即ち、左目９で目視したときに見えた画像１９（図１１の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに左方向（図１１の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２０（図１２の（ａ）参照）が左目９で目視したときに右方向（図１２の（ｂ）参照）にずれるので、この画像のずれにより、線状画素６の部分が連なった境界線１８と同じ傾き（他の一平凸レンズ状集光素２の列の傾き）を有する拡大虚像２１（図１０参照）が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００５９】
また、虚像現出装飾体１６をＹ方向（図８参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては基準集光素列８’を中心として内側へ向かってずれていると共に、基準集光素列８’より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、線状画素６の部分が連なった拡大された虚像が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００６０】
なお、交差角θが０°から４５°に近づくにしたがって、平凸レンズ状集光素２のピッチが４個の隣接する平凸レンズ状集光素２によって形成される四角形の一辺のピッチから四角形の対角線と同じ長さのピッチへと変わるので、平凸レンズ状集光素２の変更されたピッチによる集光素列８と線状画素６との位置関係が、拡大虚像が現出できる位置関係、即ち、虚像現出装飾体１６をＸ方向から目視した場合に、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８へ向かって同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係が、くずれない位置関係となっている前記交差角θであれば、前記拡大虚像が現出するから、交差角θは０°＜θ≦４５°を満足する角度であればよい。また、交差角θ＝９０°を越えれば、集光素行１４と集光素列８とが入れ代わるので、集光素行１４を集光素列８とし、集光素列８を集光素行１４とした場合の拡大虚像が現出する。
【００６１】
また、各集光素列８と該各集光素列８に対応する線状画素６とは交差角θで交差しているので、当該各集光素列８は当該各集光素列８の隣の線状画素６と再び交差角θで交差するから、境界線１８から離れた位置に該境界線１８と平行な新たな境界線が存在し、当該新たな境界線１８を中心として拡大虚像が現出する（図１０参照）。
【００６２】
なお、線状画素層７を基準集光素１７を中心として時計回りに傾けた場合には、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右下がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左上がりに存在する。
【００６３】
実施の形態３．
【００６４】
図１３は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図１４は図１３に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＢ−Ｂ断面図である。図１５は図１３に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に平凸レンズ状集光素層の下方に見える（換言すれば、奥に沈んで見える）拡大された線状画素の虚像を説明する図であり、図１５の（ａ）は虚像現出装飾体を上から目視しているところを図示した正面図、図１５の（ｂ）は虚像現出装飾体の平面図である。図１６は図１３に示す拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１６の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図１６の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図１７は図１３に示す拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図１７の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図１７の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示し、これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００６５】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体２２は、図１４に示すように、スクリーン印刷により透明基板４の表面に、前記実施の形態１と同様に平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３とし、パーソナルコンピュータにて編集処理アプリケーションを用いて線状画素６のピッチを平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数を越える近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を集光素列８に対して平行に倣い、かつ、多数整然と整列させた画素配置の画像データを得た外は、前記実施の形態１と同様にして自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図１３に示すように、線状画素層７（線状画素６が形成された透明フィルム２３）を線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と基準集光素列８’とからなる組を有するように張り合わせ、前記基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６と対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として内側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置している。
【００６６】
虚像現出装飾体２２において、図１５の（ａ）に示すように、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体２２を線状画素６の長手方向と同一方向のＸ方向（図１３参照）より上から目視した場合には、基準線状画素６’と等距離にある一組の他の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として内側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなっているので、左目９で目視したときに見えた画像２４（図１６の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに右方向（図１６の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２５（図１７の（ａ）参照）が左目９で目視したときに左方向（図１７の（ｂ）参照）にずれる。即ち、虚像現出装飾体２２をＸ方向より上から左目９のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像２４と右目１１のみで目視したときに見える線状画素６の拡大画像２５との位置関係を比べると、目線が交差しないようにずれて拡大画像が現れており（図１５の（ａ）参照）、この画像のずれにより、線状画素６の拡大虚像２６（図１５の（ｂ）参照）が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【００６７】
また、実施の形態１における図７の（ａ）と同様に、目の位置を固定して片目ずつで虚像現出装飾体２２を集光素行１４と同一方向のＹ方向（図１２参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対して同じずれ状態にて重なっており、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向におけるずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、図７の（ｂ）と同様に、線状画素６の拡大虚像１５が基準線状画素６’を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００６８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００６９】
また、例えば、厚さ１mmの樹脂製透明基板４の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７０】
また、例えば、厚さ２mmの樹脂製透明基板４（透明基板層５）の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７１】
また、例えば、厚さ３mmの樹脂製透明基板４の表面に線数25線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、25＜線数≦30を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数30線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては30＜線数≦35を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数35線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７２】
さらに、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板４の表面に線数35線の紗体にて平凸レンズ状集光素２を印刷して平凸レンズ状集光素層３を形成した場合には、35＜線数≦40を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで線状画素６を形成した線状画素層７を作成すればよく、線数40線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては40＜線数≦45を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を、線数45線の紗体における平凸レンズ状集光素層３に対しては45＜線数≦50を満足する紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチとした線状画素層７を作成すればよい。
【００７３】
実施の形態４．
【００７４】
本実施の形態は前記実施の形態３の変形例であり、図１８は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図１９は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視しているところを図示した正面図であり、図２０は図１８に示す虚像現出装飾体の平面図である。図２１は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。図２１の（ａ）は左目で目視したときの画像を示し、図２１の（ｂ）は右目で目視したときの画像を示す。図２２は図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図であり、図２２の（ａ）は右目で目視したときの画像を示し、図２２の（ｂ）は左目で目視したときの画像を示す。これらの図において、図１〜図１７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００７５】
本実施の形態における虚像現出装飾体２７は、前記実施の形態３と同様に透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を印刷した平凸レンズ状集光素層３と、該透明基板４からなる透明基板層５と、透明フィルム２３の片面に線状画素６を形成した線状画素層７とから構成され、図１８に示すように、線状画素層７は平凸レンズ状集光素層３に対して前記実施の形態３における配置状態から、基準線状画素６’を基準集光素列８’上の基準集光素１７を中心として傾けて交差角θを得た状態で積層されている。
【００７６】
図１８は基準集光素１７を中心として反時計回りに傾けた場合を示しているが、傾けない状態においては、線状画素６は前記実施の形態３における虚像現出装飾体２２のように集光素列８に対して基準線状画素６’と基準集光素行１４’とを境として該基準線状画素６’と該基準集光素行１４’とに区切られた右下側及び左上側（図１３参照）においては、傾く方向へとずれる位置関係にあり、右上側及び左下側（図１３参照）においては、傾く方向とは反対方向へずれる位置関係にあり、基準線状画素６’から離れた線状画素６ほど対応する集光素列８に対して内側へ大きくずれているので、傾けたことにより、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図１８に示すように、基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右下がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左上がりに存在する。
【００７７】
そして、前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に前記基準集光素１７を中心とする境界線（傾斜線）１８が形成されて線状画素６と平凸レンズ状集光素２とは境界線１８を境として該境界線１８から離れるほど、ずれる幅が大きくなる位置関係となっており、しかも、前記基準線状画素６’から等距離にある一組の他の線状画素６と交差する各平凸レンズ状集光素列８の前記最も重なった平凸レンズ状集光素（一組の他の一平凸レンズ状集光素）２が境界線１８上に存在し、当該境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の列の各平凸レンズ状集光素２が該各平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素２の列を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素２の列より外側の平凸レンズ状集光素２の列の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。
【００７８】
従って、虚像現出装飾体２７をＸ方向（図１８参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線１８から遠ざかるように同じ幅でずれていると共に、境界線１８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線１８と平行な平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しているので、境界線１８を中心として線状画素６の部分が連なって線状画像の拡大された虚像３０が境界線１８と同じ傾きで現れる。即ち、左目９で目視したときに見えた画像２８（図２１の（ａ）参照）が右目１１で目視したときに右方向（図２１の（ｂ）参照）にずれ、また、右目１１で目視したときに見えた画像２９（図２２の（ａ）参照）が左目９で目視したときに左方向（図２２の（ｂ）参照）にずれる、この画像のずれにより、線状画素６の部分が連なった境界線１８と同じ傾き（他の一平凸レンズ状集光素２の列の傾き）を有する拡大虚像３０（図２０参照）が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【００７９】
また、虚像現出装飾体２７をＹ方向（図１８参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては基準集光素列８’を中心として外側へ向かってずれていると共に、基準集光素列８’より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、線状画素６の部分が連なった拡大された虚像が境界線１８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００８０】
なお、交差角θは前記実施の形態２と同様に０°＜θ≦４５°を満足する角度であればよい。
【００８１】
また、線状画素層７を基準集光素１７を中心として時計回りに傾けた場合には、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は基準線状画素６’の右側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として右上がりに存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素１７を基点として左下がりに存在する。
【００８２】
実施の形態５．
【００８３】
図２３は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、単位線画素行を実線、基準単位線画素行及び基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２４は図２３に示す虚像現出装飾体によって形成される虚像を図形化した平面図であり、図２４の（ａ）は虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に現出する虚像を示しており、図２４の（ｂ）は虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に現出する虚像を示している。これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００８４】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体３１は、図２３に示すように、前記実施の形態１と同様に形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された透明基板層５と、透明基板層５の下に逆くの字状の単位線画素３２が連続して連なった波線の線状画素（以下、単に「線状画素」という。）３３を前記実施の形態１と同様にして多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、線状画素３３の部分を構成する単位線画素３２と平凸レンズ状集光素２とが上下において最も重なる単位線画素（以下、「基準単位線画素」という。）３２’と平凸レンズ状集光素（以下、「基準集光素」という。）１７とからなる組を有し、かつ、当該基準単位線画素３２’を含む線状画素（以下、「基準線状画素」という。）３３’と当該基準集光素１７を含む集光素列（以下、「基準集光素列」という。）８’とが上下において平行に重なるように積層させ、前記基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【００８５】
虚像現出装飾体３１をＸ方向（図２３参照）より上から目視した場合には、基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなっているので、図２４の（ａ）に示すように、基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３５が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００８６】
また、Ｙ方向（図２３参照）より上から目視した場合には、線状画素３３の部分である基準単位線画素３２’を含むＹ方向の単位線画素行（以下、「基準単位線画素行」という。）３４’と等距離にある一組の単位線画素行３４が該各単位線画素行３４と重なっている集光素行１４に対して基準単位線画素行３４’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準単位線画素行３４’より外側の単位線画素行３４ほどずれる幅が大きくなっているので、図２４の（ｂ）に示すように、基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３６が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００８７】
なお、本実施の形態における線状画素３３の単位線画素３２は逆くの字形状であるが、Ｓ字形状でもよく、線状画素は同じ形状のものが線状に連なっていれば外の形状のものであってもよい。
【００８８】
実施の形態６．
【００８９】
図２５は拡大された２種類の線状画素の虚像が重なった状態で見える虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、単位線画素行を実線、基準単位線画素行及び基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２６は平凸レンズ状集光素と２種類の線画素とによって形成される虚像を図形化した平面図であり、これらの図において、図１〜図７、図２３及び図２４と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００９０】
本実施の形態における虚像現出装飾体３７は、前記実施の形態１と同様に平凸レンズ状集光素層３と、透明基板層５と、前記実施の形態１と同様にして直線の線状画素６と波線の線状画素３３とを交互に多数整然と整列させて形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と前記線状画素層７とは、図２５に示すように、単位線画素３２と平凸レンズ状集光素２とが上下において最も重なる基準単位線画素３２’と基準集光素１７とからなる組を有し、かつ、当該基準単位線画素３２’を含む基準線状画素３３’と当該基準集光素１７を含む基準集光素列８’とが上下において平行に重なるように積層したものである。
【００９１】
本実施の形態では、線状画素３３についてのみに注目した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’と等距離にある一組の線状画素３３が該各線状画素３３に対応する集光素列８に対して基準線状画素３３’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準線状画素３３’より外側の線状画素３３ほどずれる幅が大きくなっており、線状画素３３の部分である基準単位線画素３２’を含むＹ方向の基準単位線画素行３４’と等距離にある一組の単位線画素行３４が該各単位線画素行３４と重なっている集光素行１４に対して基準単位線画素行３４’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、基準単位線画素行３４’より外側の単位線画素行３４ほどずれる幅が大きくなっている。
【００９２】
また、線状画素６についてのみに注目した場合には、基準線状画素３３’の近傍の線状画素６’が該近傍の線状画素６’に対応する集光素列（基準集光素列）８と最も重なった状態となっており、当該近傍の線状画素６’と等距離にある一組の線状画素６が該各線状画素６と対応する平凸レンズ状集光素２に対して近傍の線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれていると共に、近傍の線状画素６より外側の線状画素６’ほどずれる幅が大きくなっている。
【００９３】
従って、虚像現出装飾体３７をＸ方向（図２５参照）より上から目視した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３５が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えると共に、前記実施の形態１と同様に近傍の線状画素６’を中心として線状画素６の拡大虚像１３が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えるので、図２６に示すように、当該拡大虚像３５と当該拡大虚像１３とが重なった状態の虚像３８が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【００９４】
また、Ｙ方向（図２５参照）より上から目視した場合には、前記実施の形態５と同様に基準線状画素３３’を中心として線状画素３３の拡大虚像３６が平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見えると共に、前記実施の形態１と同様に近傍の線状画素６を中心として線状画素６の拡大虚像１５が平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【００９５】
なお、線状画素層７は３以上の複数種類の線状画素からなるものであってもよく、この場合には種類の異なる線状画素を交互に繰り返すように形成すればよい。
【００９６】
また、平凸レンズ状集光素層３と線状画素層７とを積層させる際に、線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と基準集光素列８’とからなる組を有するように積層させてもよい。
【００９７】
実施の形態７．
【００９８】
図２７は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図２８は図２７に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素と画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図７と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【００９９】
本実施の形態における虚像現出装飾体３９は、図２７に示すように、前記実施の形態１と同様に形成してなる平凸レンズ状集光素層３と、当該平凸レンズ状集光素層３の下に積層された透明基板層５と、前記実施の形態１と同様にして線状画素６を多数整然と整列させた画素配置をパーソナルコンピュータにて、編集アプリケーションを用いて一の線状画素（以下、「基本線状画素」という。）４０を残した状態で、当該基本線状画素４０から離れた線状画素６ほど細くなるようにして透明基板４の下に形成してなる線状画素層７とから構成されており、前記平凸レンズ状集光素層３と線状画素層７とは、線状画素６と集光素列８とが上下において最も重なる基準線状画素６’と集光素列８’とからなる組を有するように積層させて前記基準線状画素６’と等距離にある一組の線状画素６が該各線状画素６に対応する集光素列８に対して基準線状画素６’を中心として外側へ向かって同じ幅でずれており、かつ、基準線状画素６’より外側の線状画素６ほどずれる幅が大きくなるように配置されている。
【０１００】
本実施の形態においては、虚像現出装飾体３９をＸ方向（図２７参照）より上から目視した場合には、図２８の（ａ）に示すように、基本線状画素４０から離れるに従って縮小する多数整然と整列した線状画素６の拡大虚像４１が、平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見え、Ｙ方向（図２７参照）より上から目視した場合には、図２８の（ｂ）に示すように、基本線状画素４０から離れるに従って縮小する多数整然と整列した線状画素６の拡大虚像４２が、平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１０１】
実施の形態８．
【０１０２】
図２９は本実施の形態における線状画素層の線状画素の配置を説明する図であり、図中、傾斜した線状画素（実線にて示す。）は同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素を一の線状画素を残して該線状画素の隣の線状画素から順に同じ傾斜角θを累積する傾斜パターンにて同一方向に並べて傾斜させて配置したものであり、傾斜させる前の線状画素を点線にて示している。図３０は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図３１は平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図２８と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【０１０３】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体４３は、前記実施の形態１と同様にスクリーン印刷により透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を形成して平凸レンズ状集光素層３とし、図２９に示すように、平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数以下の線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６が多数整然と整列された画素配置をパーソナルコンピュータにて、編集処理アプリケーションを用いて一の線状画素（以下、「固定線状画素」という。）４４を残した状態で、当該固定線状画素４４の隣の線状画素６から順に同じ傾斜角θを累積する傾斜パターンにて、固定線状画素４４に垂直な直線（以下、「支点直線」という。）４５と各線状画素６との交点を中心として同一方向に並んで傾斜するように、即ち、固定線状画素４４の隣の線状画素６である一列目の線状画素６の傾斜角θ1 がθとなり、二列目の線状画素６の傾斜角θ2 が２θとなり、以下、同様にｎ列目の線状画素６の傾斜角θn がｎθとなるように傾斜させて、当該線状画素６が略扇状に配置された画像データを得た後、当該画像データを出力処理アプリケーションを用いてパーソナルコンピュータに転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーションを用いて演算処理した後、イメージセッターに転送し、自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図３０に示すように、線状画素層７を該線状画素層７における線状画素（一線状画素）６と平凸レンズ状集光素層３における集光素列（一平凸レンズ状集光素列）４６とが平行になるように配置すると共に、平凸レンズ状集光素２と線状画素６とが上下において最も重なる基準集光素（一平凸レンズ状集光素）４７と基準線状画素（他の一線状画素）６’とからなる組を有するように配置したものである。
【０１０４】
本実施の形態においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図３０に示すように、基準線状画素６’の右側においては、前記基準集光素４７を含む基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素（他の線状画素）６の部分が平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列（他の一平凸レンズ状集光素列）８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として右下がり反時計回り方向の湾曲線上に存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’から離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として左上がり時計回り方向の湾曲線上に存在する。
【０１０５】
そして、基準集光素４７を含む前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に湾曲した境界線４８が形成され、当該境界線４８を境として平凸レンズ状集光素２は該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して内側へ向かってずれており、かつ、境界線４８から離れるほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。また、支点直線４５から離れるほど平凸レンズ状集光素２が線状画素６からずれる位置関係となっている。
【０１０６】
従って、虚像現出装飾体４３をＸ方向（図３０参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線４８へ向かってずれていると共に、境界線４８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線４８に沿った平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しており、しかも、支点直線４５により近い集光素行１４の平凸レンズ状集光素２において線状画素６の部分と重なっている平凸レンズ状集光素２が境界線４８に沿ってより多く存在しているので、図３１に示すように、支点直線４５に近づくほど幅が広くなっている湾曲線形状であって線状画素６の部分が連なった線状画像の拡大された変形虚像４９が境界線４８を中心として平凸レンズ状集光素層３の上方（手前）に浮いて見える。
【０１０７】
また、虚像現出装飾体４３をＹ方向（図３０参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては境界線４８を中心として内側へ向かってずれていると共に、境界線４８より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、前記虚像４９と同じ形状の虚像が境界線４８を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１０８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦65にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ0.5mm の硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦70にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ１mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦65にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ２mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数≦55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、55≦線数≦70にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ３mmの硬質樹脂製透明基板の表面に35≦線数≦40にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ５mmの硬質樹脂製透明基板の表面に線数10線にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数８の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦１を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ,0.5, １）にて傾斜させて配置すればよい。
【０１０９】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体４３においても、前記実施の形態７と同様の作用・効果を得ることができる。
【０１１０】
実施の形態９．
【０１１１】
図３２は本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図であり、図中、集光素列及び集光素行を点線、基準集光素列を一点鎖線、基準集光素行を二点鎖線にて示している。図３３は平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。これらの図において、図１〜図３１と同一符号は同一又は相当部分を示す。
【０１１２】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体５０は、前記実施の形態１と同様にスクリーン印刷により透明基板４の表面に平凸レンズ状集光素２を形成して平凸レンズ状集光素層３とし、平凸レンズ状集光素層３を形成した紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで線状画素６が多数整然と整列された画素配置とした外は、前記実施の形態８と同様にして自動現像機にて透明フィルム２３に線状画素６を形成して線状画素層７とし、平凸レンズ状集光素層３が形成されていない透明基板４の片面に、図３２に示すように、線状画素層７を該線状画素層７における線状画素（一線状画素）６と平凸レンズ状集光素層３における集光素列（一平凸レンズ状集光素列）４６とが平行になるように配置すると共に、平凸レンズ状集光素２と線状画素６とが上下において最も重なる基準集光素（一平凸レンズ状集光素）４７と基準線状画素（他の一線状画素）６’とからなる組を有するように配置したものである。
【０１１３】
本実施の形態においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係は、図３２に示すように、基準線状画素６’の右側においては、前記基準集光素４７を含む基準集光素行１４’より上の集光素行１４において線状画素（他の線状画素）６の部分が平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列（他の一平凸レンズ状集光素列）８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素（他の一平凸レンズ状集光素）２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として右上がり時計回り方向の湾曲線上に存在する。また、基準線状画素６’の左側においては、基準集光素行１４’より下の集光素行１４において線状画素６の部分が平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、かつ、基準集光素列８’より離れた集光素列８の平凸レンズ状集光素２と最も重なった状態となり、当該平凸レンズ状集光素２が基準集光素４７を基点として左下がり反時計回り方向の湾曲線上に存在する。
【０１１４】
そして、基準集光素４７を含む前記最も重なった平凸レンズ状集光素２上に湾曲した境界線５１が形成され、当該境界線５１を境として平凸レンズ状集光素２は該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して外側へ向かってずれており、かつ、境界線５１から離れるほどずれる幅が大きくなる位置関係となっている。また、支点直線４５に近づく程平凸レンズ状集光素２が線状画素６からずれる位置関係となっている。
【０１１５】
従って、虚像現出装飾体５０をＸ方向（図３２参照）より上から目視した場合には、集光素行１４における平凸レンズ状集光素２が該平凸レンズ状集光素２と重なっている線状画素６の部分に対して境界線５１から遠ざかるようにずれていると共に、境界線５１より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっており、かつ、これらの位置関係は境界線５１に沿った平凸レンズ状集光素２の並び（平凸レンズ状集光素の列）において発生しており、しかも、支点直線４５からより遠い集光素行１４の平凸レンズ状集光素２において線状画素６の部分と重なっている平凸レンズ状集光素２が境界線５１に沿ってより多く存在しているので、図３３に示すように、支点直線４５から遠ざかるほど幅が広くなっている湾曲線形状であって、線状画素６が連なった線状画像の拡大された変形虚像５２が境界線５１を中心として平凸レンズ状集光素層３の下方（奥）に沈んで見える。
【０１１６】
また、虚像現出装飾体５０をＹ方向（図３２参照）より上から目視した場合には、線状画素６と重なっている集光素列８の各平凸レンズ状集光素２が該線状画素６に対してＹ方向においては境界線５１を中心として外側へ向かってずれていると共に、境界線５１より外側の平凸レンズ状集光素２ほどずれる幅が大きくなっているが、Ｙ方向に対して平行な各集光素行１４と線状画素６との位置関係においてＹ方向と垂直な方向（Ｘ方向）に対するずれは現れないので、一方の目で目視したときに見える画像と他方の目で目視したときに見える画像との間において変化が生じず、前記虚像５２と同じ形状の虚像が境界線５１を中心として平凸レンズ状集光素層３と同一平面に見える。
【０１１７】
なお、本実施の形態における画素配置では、支点直線４５から離れるに従い線状画素６の横方向のピッチが広くなるため、隣り合う平凸レンズ状集光素２間のピッチと同一ピッチとなる境目が存在するので、当該境目よりさらに支点直線４５から遠ざかった箇所においては、平凸レンズ状集光素２と線状画素６との位置関係が前記実施の形態８と同様に図３０に示す位置関係となる箇所が形成される。従って、当該箇所を虚像現出装飾体とした場合には、実施の形態８における虚像４９と同様の虚像が現出する。
【０１１８】
具体的には、例えば、厚さ0.5mm の軟質樹脂製透明基板の表面に35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、線数70線にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数140 の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦２を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ，１，２）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ0.5mm の硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、45≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ１mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、35≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ２mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよく、40≦線数＜45にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数45の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.5 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ，0.5 ）にて傾斜させて配置すればよく、50≦線数＜55にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数55の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。厚さ３mmの硬質樹脂製透明基板の表面に30≦線数＜35にて平凸レンズ状集光素２を印刷した場合には、線数35の紗体の線数の升目のピッチと同一ピッチで多数整然と整列させた線状画素６を0.001 ≦θ≦0.1 を満足する傾斜角（例えば、0.001 ，0.01，0.1 ）にて傾斜させて配置すればよい。
【０１１９】
本実施の形態に係る虚像現出装飾体５０においても、前記実施の形態７と同様の作用・効果を得ることができる。
【０１２０】
なお、前記実施の形態１〜９における虚像現出装飾体は、平凸レンズ状集光素と線状画素とが上下において最も重なる状態から若干ずれて重なる基準集光素列と基準線状画素とを有する虚像現出装飾体であってもよく、当該基準線状画素は近傍の他の線状画素に比べて集光素列と最も重なっているので、当該虚像現出装飾体においては、基準線状画素と等距離にある一組の線状画素が該各線状画素と対応する集光素列に対して基準線状画素を中心として同じ幅でずれていると共に、基準線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなっている。
【０１２１】
また、前記実施の形態１〜７における線状画素のピッチは平凸レンズ状集光素層を形成した紗体の線数の整数倍（例えば、１／２倍、２倍、２／３倍、３倍等）した線数に近い線数からなる紗体を形成する紗線によってできる升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチであってもよい。
【０１２２】
さらに、互いに異なるピッチで線状画素を多数整然と整列させて形成してなる二種以上の線状画素層と平凸レンズ状集光素層とを張り合わせて虚像現出装飾体を形成してもよく、この場合には、各線状画素層に配置された線状画素と平凸レンズ状集光素との位置関係によって各線状画素層ごとに虚像が現出する。
【０１２３】
【実施例】
実施例１．
【０１２４】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を透明基板層５として１枚用意した。厚さ0.1mm の透明フィルム２３（品名：大日本スクリーン印刷株式会社製FTR3050 用フィルムHLNWL ：富士写真フィルム株式会社製）を１枚用意した。そして、透明基板４の上面に、線数が25線の紗体を用いてスクリーン印刷により、十条ケミカル株式会社製4100番シリーズの透明インクで40％（一の升目の面積当たりに閉める平凸レンズ状集光素の割合）の平凸レンズ状集光素２を印刷することにより、平凸レンズ状集光素層３を透明基板層５の上面に積層した。
【０１２５】
線状画素層７は、DTP(Desk Top Publishing)にて、線数が30線の線状画素６を形成してなるフィルムを作成した。
【０１２６】
具体的製造工程を説明すれば、以下の通りである。
【０１２７】
先ず、パーソナルコンピュータ（品名：Power Mac 9600/300：Apple 社製）にて、編集処理アプリケーション（品名：Adobe Photoshope 5.02J：Adobe systems 社製）を用いて、線数が30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させた画像データを得、続いて、画像データを出力処理アプリケーション( 品名：Quark XPress 3.3J ：Adobe systems 社製) を用いてパーソナルコンピュータ（品名：Power Mac 9600/350：Apple 社製）に転送処理し、転送された画像データをイメージデータに変換する演算処理アプリケーション（品名：AD-310PM Ver2.0 ：大日本スクリーン製造株式会社製）を用いて演算処理した後、イメージセッター（品名：FT-R3050：大日本スクリーン製造株式会社製）に転送し、自動現像機（品名：KODAMATIC 710 Processor ：日本コダック株式会社製）にて、前記透明フィルム２３に前記線状画素６を形成したフィルム（線状画素層７）を得た。
【０１２８】
そして、透明基板４の下面に線状画素層７を積層して１枚の虚像現出装飾体２２を得た。
【０１２９】
虚像現出装飾体２２を平凸レンズ状集光素層３を上にして真上から線状画素６に対して平行な方向より目視したところ、虚像現出装飾体２２の下方（奥）に沈んで見える虚像２６が観察できた。
【０１３０】
実施例２．
【０１３１】
30線の紗体にて平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて線状画素層７を形成した外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像２６が観察できた。
【０１３２】
実施例３，４．
【０１３３】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３）及び40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例４）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、虚像現出装飾体１では、当該虚像現出装飾体１の上方（手前）に浮いて見える虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では、当該虚像現出装飾体２２の下方（奥）に沈んで見える虚像２６が観察できた。
【０１３４】
実施例５，６．
【０１３５】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を４枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を４枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例５）及び45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例６）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例５）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例６）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１３６】
実施例７，８．
【０１３７】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例７）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例８）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例７）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例８）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１３８】
実施例９．
【０１３９】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４０】
実施例１０．
【０１４１】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４２】
実施例１１．
【０１４３】
厚さ0.5mm のポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１４４】
実施例１２．
【０１４５】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１４６】
実施例１３．
【０１４７】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１４８】
実施例１４，１５．
【０１４９】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１４）及び40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１５）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例１４）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例１５）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５０】
実施例１６，１７．
【０１５１】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を４枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を４枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１６）及び45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１７）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例１６）と２枚の虚像現出装飾体２２（実施例１７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５２】
実施例１８，１９．
【０１５３】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１８）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例１９）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例１８）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例１９）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１５４】
実施例２０．
【０１５５】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１５６】
実施例２１．
【０１５７】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１５８】
実施例２２．
【０１５９】
厚さ１mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、55線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１６０】
実施例２３．
【０１６１】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６２】
実施例２４．
【０１６３】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６４】
実施例２５，２６．
【０１６５】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２５）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２６）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例２５）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例２６）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６６】
実施例２７，２８．
【０１６７】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30,35 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２７）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２８）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例２７）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例２８）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１６８】
実施例２９，３０．
【０１６９】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例２９）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３０）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例２９）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３０）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１７０】
実施例３１．
【０１７１】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７２】
実施例３２．
【０１７３】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７４】
実施例３３．
【０１７５】
厚さ２mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１７６】
実施例３４．
【０１７７】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、25線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１７８】
実施例３５．
【０１７９】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、30線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体２２を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１の場合と同じく、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８０】
実施例３６，３７．
【０１８１】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３６）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３７）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３６）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８２】
実施例３８，３９．
【０１８３】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３８）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例３９）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例３８）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例３９）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１８４】
実施例４０．
【０１８５】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１８６】
実施例４１．
【０１８７】
厚さ３mmのポリカーボネート透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１８８】
実施例４２，４３．
【０１８９】
厚さ0.5mm の透明基板４（品名：アキレス青味透明グラス：アキレス株式会社製）を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４２）及び40線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４３）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例４２）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４３）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９０】
実施例４４，４５．
【０１９１】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、40線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４４）及び45線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４５）とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１（実施例４４）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４５）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９２】
実施例４６，４７．
【０１９３】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を３枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を３枚用意した。そして、45線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35,40 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４６）及び50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７（実施例４７）とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１（実施例４６）と１枚の虚像現出装飾体２２（実施例４７）を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例１，３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察でき、虚像現出装飾体２２では虚像２６が観察できた。
【０１９４】
実施例４８．
【０１９５】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、50線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、40,45 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１９６】
実施例４９．
【０１９７】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を２枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を２枚用意した。そして、55線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、45,50 線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして２枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０１９８】
実施例５０．
【０１９９】
厚さ0.5mm の前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、60線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、50線の升目のピッチにより線状画素６を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体１を得た。実施例１と同様にして目視したところ、実施例３の場合と同じく、虚像現出装飾体１では虚像１３が観察できた。
【０２００】
実施例５１．
【０２０１】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、30線の升目のピッチにより波線の線状画素３３を多数整然と整列させて形成した線状画素層７とした外は、実施例１と同様にして１枚の虚像現出装飾体３１を得た。虚像現出装飾体３１を目視したところ、虚像現出装飾体３１では、虚像現出装飾体３１の上方（手前）に浮いて見える波線形状の虚像３５，３６が観察できた。
【０２０２】
実施例５２．
【０２０３】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、36線の升目のピッチにより直線の線状画素６を多数整然と整列させて形成する際に、当該線状画素６が基本線状画素４０から離れるに従って細くなるように線状画素層７を作成して、図２７に示す虚像現出装飾体３９を得た。当該虚像現出装飾体３９を実施例１と同様にして目視したところ、当該虚像現出装飾体３９の下方（奥）に沈んで見える、基本線状画素４０から離れるに従い細くなる虚像４１が観察できた。
【０２０４】
実施例５３．
【０２０５】
厚さ１mmの前記透明基板４を１枚用意した。厚さ0.1mm の前記透明フィルム２３を１枚用意した。そして、35線の紗体にて形成した平凸レンズ状集光素層３と、35線の升目のピッチにより多数整然と整列させた線状画素６が傾斜角θ＝0.1 で累積する傾斜パターンにて傾斜した線状画素層７を作成して、図３０に示す虚像現出装飾体４３を得た。虚像現出装飾体４３を実施例１と同様にして目視したところ、虚像現出装飾体４３の上方（手前）に浮かんで見える図３１に示す虚像４９が観察できた。
【０２０６】
なお、実施例においては、いずれも平凸レンズ状集光素層３の一升目の面積当たりに閉める平凸レンズ状集光素２の割合を40％として形成したが、この割合は５％から95％の間で変更してもよい。
【０２０７】
【発明の効果】
本発明によれば、線状画素の拡大虚像が上方（手前）に浮いて見える虚像現出装飾体を提供することができ、また、線状画素の拡大虚像が下方（奥）に沈んで見える虚像現出装飾体を提供することができる。
【０２０８】
従って、本発明に係る虚像現出装飾体は、現出する虚像に起因して観察者の目を引くと共に、興味を持って見られるので、各種の表示板や印刷物、ラベル、玩具等に利用でき、また、通常の印刷技術によって低コストで製造できるから、その用途は広く、本発明の産業上利用性は非常に高いといえる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施の形態１に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２】図１に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＡ−Ａ断面図である。
【図３】図１に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素層を示した平面図である。
【図４】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の上方に浮いて見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図５】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図６】図１に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図７】図１に示す虚像現出装飾体をＹ方向から目視した場合に透明基板と同一平面内に見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図８】実施の形態２に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図９】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の上方に浮いて見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図１０】図８に示す虚像現出装飾体の平面図である
【図１１】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１２】図８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１３】実施の形態３に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図１４】図１３に示す虚像現出装飾体を模型的に示したＢ−Ｂ断面図である。
【図１５】図１３に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の下方に沈んで見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図１６】図１３に示す拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１７】図１３に示す拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図１８】
実施の形態４に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図１９】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合に透明基板の下方に沈んで見える拡大された線状画素の虚像を説明する図である。
【図２０】図１８に示す虚像現出装飾体の平面図である
【図２１】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を左目で目視した後右目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図２２】図１８に示す虚像現出装飾体をＸ方向から目視した場合において現出する拡大された線状画素の虚像を右目で目視した後左目で目視したときの画像の動きを説明する平面図である。
【図２３】実施の形態５に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２４】図２２に示す虚像現出装飾体によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２５】拡大された２種類の線状画素の虚像が重なった状態で見える虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素との位置関係を説明する図である。
【図２６】平凸レンズ状集光素と２種類の線状画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２７】実施の形態７に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と画素との位置関係を説明する図である。
【図２８】図２７に示す虚像現出装飾体の平凸レンズ状集光素と画素とによって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図２９】本実施の形態における線状画素層の線状画素の配置を説明する図である。
【図３０】本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図３１】平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【図３２】本実施の形態に係る虚像現出装飾体における平凸レンズ状集光素と線状画素との位置関係を説明する図である。
【図３３】平凸レンズ状集光素と線状画素によって形成される虚像を図形化した平面図である。
【符号の説明】
１，１６，２２，２７，３１，３７，３９，４３，５０ 虚像現出装飾体
２ 平凸レンズ状集光素
３ 平凸レンズ状集光素層
４ 透明基板
５ 透明基板層
６ 線状画素
７ 線状画素層
８，４６ 集光素列
９ 左目
１０，１２，１９，２０，２４，２５，２８，２９ 画像
１１ 右目
１３，１５，２１，２６，３０，３５，３６，３８，４１，４２，４９，５２虚像
１４ 集光素行
１７，４７ 基準集光素
１８，４８，５１ 境界線
２３ 透明フィルム
３２ 単位線画素
３３ 線状画素
３４ 単位線画素行
４０ 基本線状画素
４４ 固定線状画素
４５ 支点直線
Claims (26)
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数未満の線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１又は２記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１乃至４のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１乃至５のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と平行に整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記一方の列の各平凸レンズ状集光素列と前記各線状画素とは少なくとも一組が上下において最も重なっていると共に該重なっている線状画素と平行に位置する他の線状画素が平凸レンズ状集光素列に対して前記重なっている線状画素を中心として内側へ向かってずれていて、かつ、当該中心となる線状画素より外側の線状画素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の形状と同一形状の拡大された虚像が目視する方向によって前記重なっている線状画素を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列と０°＜交差角≦４５°で交差するように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が上下において前記線状画素と最も重なって交差した状態となっており、前記交差した線状画素と平行に位置する他の線状画素と交差する各平凸レンズ状集光素列の一組の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る傾斜線上に存在し、当該傾斜線と平行な平凸レンズ状集光素の列の各平凸レンズ状集光素が該各平凸レンズ状集光素と重なっている線状画素の部分に対して前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として外側へ向かってずれていて、かつ、当該他の一平凸レンズ状集光素の列より外側の平凸レンズ状集光素の列の平凸レンズ状集光素ほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なった線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記他の一平凸レンズ状集光素の列を中心として該他の一平凸レンズ状集光素の列の傾きと同じ傾きを有して前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は前記紗体の線数を越える線数からなる紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として該升目のピッチと同一ピッチで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項８又は９記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の拡大虚像が重なった状態で現出する請求項８乃至１１のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項８乃至１２のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して内側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の上方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦１°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項１５記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項１５乃至１７のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項１５乃至１８のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 同一形状・同一大きさの平凸レンズ状集光素を多数縦横に整列させて形成してなる平凸レンズ状集光素層と該平凸レンズ状集光素層の下に積層された透明基板層と該透明基板層の下に積層された線状画素を一つの線状画素から順にｎ列目の線状画素の傾斜角θ ｎ がｎθ（ｎ＝１、２、・・・）となるように整列させて形成してなる線状画素層とからなり、前記線状画素の内の一線状画素が前記平凸レンズ状集光素の縦横の列のいずれか一方の列の一平凸レンズ状集光素列と平行状態となっており、当該一方の列の他の一平凸レンズ状集光素列の一平凸レンズ状集光素が他の一線状画素と上下において最も重なって交差した状態となっており、該他の一線状画素の両側に位置する他の線状画素の部分と上下において最も重なって交差する平凸レンズ状集光素列の他の一平凸レンズ状集光素が前記一平凸レンズ状集光素を通る湾曲線上に存在し、当該湾曲線を境として線状画素の部分と重なっている平凸レンズ状集光素が該線状画素の部分に対して外側へ向かってずれていて、かつ、湾曲線から離れるほどずれる幅が大きくなるように前記平凸レンズ状集光素層と前記線状画素層とが配置されており、前記線状画素の部分が連なって線状画像の拡大された虚像が目視する方向によって前記湾曲線を中心として前記平凸レンズ状集光素層の下方に現出することを特徴とする虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明基板の他方の面に線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体。
- 平凸レンズ状集光素層はスクリーン印刷により10≦線数≦70を満足する紗体を形成する紗線によってできた升目を単位として透明基板の一方の面に平凸レンズ状集光素が印刷されてなり、線状画素層は平凸レンズ状集光素層の平凸レンズ状集光素の列と平行な線状画素を基準として0.001 °≦θ≦２°を満足する傾斜パターンで透明フィルムに線状画素が形成されてなる請求項２１記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が形状を異にする複数種類からなり、当該各線状画素の変形した拡大虚像が重なった状態で現出する請求項２１乃至２３のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が同一形状・同一大きさである請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
- 線状画素層における線状画素が一の線状画素を残した状態で該一の線状画素からより離れた他の線状画素ほど細くなる同一形状に形成されてなる請求項２１乃至２４のいずれかに記載の虚像現出装飾体。
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