JP4336398B2 - 放射線デジタル画像処理システム、放射線デジタル画像処理装置及び放射線デジタル画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線デジタル画像を処理する放射線デジタル画像処理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年より、X線等の放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を直接固体撮像素子を用いて撮像し、撮像された放射線画像に対応した画像信号をCRT(Cathode Ray Tube)表示装置等により可視像として表示したり、或は撮像された放射線画像に対応した画像信号をデジタル化し、デジタルデータの状態で画像処理を施した後、プリントアウトしたりするような放射線画像撮影システムが開発されている。
【0003】
上述の放射線画像撮影システムにおいては、その撮影目的に応じて撮影する部位が異なり、また放射線画像を可視化する際に行う画像処理では、処理する部位の画像毎に最適な濃度や階調が異なるため、各部位の画像毎にそれぞれ異なった画像処理を施す必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では医療施設内においてもコンピュータネットワークが徐々に整備されつつあり、上記放射線画像撮影システム以外にも、輝尽性蛍光体シートを用いた放射線画像撮影装置(CR)やイメージインテンシファイアを用いた放射線画像撮影装置(DR)等の異なる放射線画像撮影装置によって撮影された放射線画像情報を同じ画像処理装置で処理し、処理された放射線画像情報をCRT表示装置、フィルムイメージャ装置或はドライプリンタ装置等の異なる出力装置に出力するような使われ方をする場合もある。
【0005】
そして、上述のような場合には、画像処理装置において行う画像処理を各撮影装置や出力装置に対応させるために、該画像処理装置を操作する操作者自身が複数の手順の設定操作を行わなければならず、操作者にとっては大変煩雑な作業となっていた。
【0006】
また、胸部を撮影した場合に、関心領域は肺野である場合と骨部である場合といったように異なるため、実際の関心領域が肺野であるか、骨部であるかによって、異なる濃度や階調で画像処理を行うように操作者自身がマウスやタッチパネル等の入力機器を操作し、放射線画像における関心領域に対応した画像処理を行うように画像処理装置を設定する必要があり、操作者にとってはこれら操作も手間のかかることであった。
【0007】
更に、放射線を吸収するペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具を体内に取り付けている患者が被写体である場合には、当該補助機器や金具が取り付けられている部分の信号レベルがその周囲の部分の信号レベルよりも低くなる為、上述のような階調処理等の画像処理を適正に行うことが困難である場合があった。
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決するために為されたものであり、操作者の手を煩わすこと無く放射線デジタル画像に対して自動的に最適な画像処理を施すことができる放射線デジタル画像処理システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線デジタル画像処理装置は、前記放射線画像データを入力する入力手段と、前記入力手段により入力された前記放射線画像データの放射線撮影時に、放射線の強度を検出するために用いたフォトセンサーの配置位置に対応した画像領域を指定するフォトセンサー領域指定手段と、前記放射線画像データにおける被写体の画像領域を抽出する被写体領域抽出手段と、前記フォトセンサー領域指定手段により指定された前記画像領域と前記被写体の画像領域が重なる領域の画素値に基づいて、画像処理に用いるための特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段により算出された前記特徴量として示される値が所定の値となるような変換特性を有する変換処理を、前記放射線画像データに対して行うための画像処理手段とを有することを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線デジタル画像処理システムは、複数の装置が互いに通信可能に接続されてなる放射線画像用システムであって、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線画像処理装置の各機能を有することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線デジタル画像処理方法は、前記放射線画像データを入力する入力工程と、前記入力工程により入力された前記放射線画像データの放射線撮影時に、放射線の強度を検出するために用いたフォトセンサーの配置位置に対応した画像領域を指定するフォトセンサー領域指定工程と、前記放射線画像データにおける被写体の画像領域を抽出する被写体領域抽出工程と、前記フォトセンサー領域指定工程により指定された前記画像領域と前記被写体の画像領域が重なる領域の画素値に基づいて、画像処理に用いるための特徴量を算出する特徴量算出工程と、前記特徴量算出工程により算出された前記特徴量として示される値が所定の値となるような変換特性を有する変換処理を、前記放射線画像データに対して行うための画像処理工程とを有することを特徴とする。
【0012】
(作用)
上述の構成により、操作者の手を煩わすこと無く放射線デジタル画像に対して自動的に最適な画像処理を施すことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を本発明の実施の形態としての放射線デジタル画像処理システムに基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態としての放射線デジタル画像処理システムの概略構成を示した図である。
【0015】
図1において、10は、放射線デジタル画像データの後段の画像記録部11へ出力する画像データ形成部で、例えばX線等の放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を直接固体撮像素子を用いて撮像し、撮像された放射線画像に対応した放射線デジタル画像データを出力する放射線画像撮影装置である。なお、該画像データ形成部10は、上記放射線画像撮影装置の他に、輝尽性蛍光体シートに蓄積記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置、放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を蛍光板で受光し、該蛍光板の受光像を固体撮像素子によって放射線デジタル画像データに変換する放射線画像撮影装置、或はコンピュータネットワークに接続されている放射線画像撮影装置から供給される放射線デジタル画像データを入力する為の入力インターフェース等がある。すなわち、該画像データ形成部10自身が放射線画像撮影装置である必要はなく、例えば遠隔地の病院等に設置されている放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像を示す放射線画像データが、インターネット等のコンピュータネットワークを経由して本放射線デジタル画像処理システムに入力されるような構成であっても良い。
【0016】
11は、前記画像データ形成部10より出力される放射線デジタル画像データを記録する為の画像データ記録部で、例えばデータを高速に書き込み可能な半導体メモリやハードディスクドライブ装置等により構成されている。
【0017】
12は、前記画像データ形成部10において放射線デジタル画像データを出力している装置の種類を設定し、設定された装置の種類を示す情報データを後段のフォトセンサー領域指定部15と画像処理部19とに出力する設定部である。なお、該設定部12は、操作者自身が操作卓に設けられたボタンやダイアル等を操作したり、或はコンピュータの入力機器であるキーボードやマウス等を操作したりすることにより、操作者自身が放射線デジタル画像データを出力している装置の種類を直接手動で設定するように構成されたり、例えば医療におけるデジタル画像通信の規格であるDICOMでは、放射線デジタル画像データに当該放射線デジタル画像データを形成した装置に関する情報が付加されている為、前記画像データ形成部10や前記画像データ記録部11から出力される放射線デジタル画像データに当該放射線デジタル画像データが形成された装置に関する情報が付加されている場合には、付加されている当該情報に従って放射線デジタル画像データを出力している装置の種類を判別し、自動的に設定するように構成されている。
【0018】
13は、前記画像データ形成部10より出力される放射線デジタル画像データが示す部位の種類を判別し、判別された部位の種類を示す情報データを後段の画像処理部19に出力する判別部である。なお、該判別部13は、操作者自身が操作卓に設けられたボタンやダイアル等を操作したり、或はコンピュータの入力機器であるキーボードやマウス等を操作したりすることにより、操作者自身が放射線デジタル画像データが示す部位の種類を直接手動で設定するように構成されたり、例えば医療におけるデジタル画像通信の規格であるDICOMでは、放射線デジタル画像データに当該放射線デジタル画像データが示す部位の種類に関する情報が付加されている為、前記画像データ形成部10から出力される放射線デジタル画像データに当該放射線デジタル画像データが示す部位の種類に関する情報が付加されている場合には、付加されている当該情報に従って放射線デジタル画像データが示す部位の種類を判別し、自動的に設定するように構成されている。
【0019】
14は、放射線デジタル画像データを出力する為の出力装置を例えばCRT表示装置やフィルムイメージャ装置或はドライプリンタ装置等の複数種の出力装置の中から使用する装置を選択し、選択された出力装置の種類を示す情報を後述の画像処理部19に出力する出力装置選択部である。なお、出力装置選択部14は、操作者自身が操作卓に設けられたボタンやダイアル等を操作したり、或はコンピュータの入力機器であるキーボードやマウス等を操作したりすることにより、操作者自身が複数種の出力装置の中から使用する装置を直接手動で選択するように構成されたり、例えば前記設定部12において設定された放射線デジタル画像データを出力している装置の種類に関する情報に基づいて使用される出力装置が予めプリセットされている場合には、上述の様にボタンやダイアル等を操作することによって操作者自身が直接手動で選択するのではなく、該放射線デジタル画像データを出力している装置の種類に関する情報に基づいて予めプリセットされている出力装置を自動的に選択するように構成されている。
【0020】
15は、前記設定部12において設定される放射線デジタル画像撮影装置の種類に対応して放射線デジタル画像撮影装置のフォトセンサーの配置位置、大きさ、形状等に対応している画像領域に関する情報を記憶しているメモリテーブルを有し、前記設定部12において設定された放射線デジタル画像データを出力している装置の種類に関する情報に基づいて、前記メモリテーブルから放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの配置位置、大きさ、形状等に対応している画像領域に関する情報を読み出し、読み出された情報を後段のフォトセンサー領域修正部17に出力するフォトセンサー領域指定部である。
【0021】
なお、上記フォトセンサーは、放射線撮影の際に、照射する放射線の強度を検出する為のセンサーであり、放射線画像撮影装置では、放射線撮影時の露出が所望の状態となるように、該フォトセンサーによって検出される放射線の強度に応じて、放射線の曝射強度や時間を制御している。
【0022】
例えば、該放射線画像撮影装置が胸部撮影用のものである場合には、被写体である患者の胸が当る位置にフォトセンサーを配置し、操作者が患者の立ち位置を誘導できるように、放射線の受光板上に配置されたフォトセンサーの位置及び形状を視覚的に表示し、操作者は患者の胸が該表示と接する位置に患者の立ち位置を調整してから、撮影を行うことにより、肺を中心とした領域において放射線撮影時の露出が適正になるように放射線曝射強度や時間を制御することができる。
【0023】
また、該放射線画像装置が腹部撮影用のものである場合には、図9に示すように、被写体である患者の腹が当る位置(図中の91)にフォトセンサーを配置し、操作者が患者の立ち位置を誘導できるように、放射線の受光板上に配置されたフォトセンサーの位置及び形状を視覚的に示す画像領域(図中の92に示す例えば横40mm、縦40mmの矩形状の領域)を表示し、操作者は患者の腹が該表示と接する位置に患者の立ち位置を調整してから、撮影を行うことにより、腹を中心とした領域において放射線撮影時の露出が適正になるように放射線曝射強度や時間を制御することができる。
【0024】
なお、上述の場合は、放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域は、該表示と一致しているが、図10に示すように、胸部撮影用の放射線画像装置において、操作者が患者の立ち位置を誘導し易くする為に、被写体である患者の胸が当る放射線の受光板上に、該受光板の中心線上の位置に1個所(図中の103)及び該中心線よりそれぞれ20mm離れた位置の2個所(図中の101,102)に、横50mm、縦90mmの矩形状のフォトセンサーの位置及び形状を視覚的に示す画像領域を表示し、該フォトセンサーの画像領域103と重なる位置(図中の104)にフォトセンサーを1つ配置するようにし、操作者は患者の腹が該表示と接する位置に患者の立ち位置を調整してから、撮影を行うことにより、腹を中心とした領域において放射線撮影時の露出が適正になるように放射線曝射強度や時間を制御したりしている装置のように、放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置を示している画像領域が、実際にフォトセンサーが設置されている画像領域と全て一致せず、図中の101,102の画像領域のように実際にはフォトセンサーが設置されていない装置を用いても良い。
【0025】
すなわち、放射線デジタル画像処理システムの操作者である放射線撮影技師は、放射線撮影を行う際には、撮影しようする患者の部位を当該フォトセンサーの配置表示に合わせて撮影するように指導されており、被写体である患者の部位が当該フォトセンサーが配置されている位置に合うように患者を誘導して放射線撮影を行う習慣がある為、本発明の実施形態である放射線デジタル画像処理システムでは、撮影された放射線デジタル画像に対して施す濃度及び/または階調処理等の画像処理における処理条件を決定する際に、フォトセンサーを使用して撮影したか否かによらずに、従来より放射線撮影装置に使用されているフォトセンサーの配置位置、大きさ、形状等に対応している画像領域の特徴量を利用し、放射線デジタル画像上の当該フォトセンサーの配置位置に対応する画像領域における濃度及び/または階調が最適になるように画像処理を施すものである。
【0026】
また、上記フォトセンサー領域指定部15からは、フォトセンサー領域修正部17に出力される放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報としては、放射線デジタル画像から直接切り出される当該画像領域に対応した画像データであったり、或は、放射線デジタル画像上における当該画像領域の位置を示す座標を示す情報データである。
【0027】
ところで、放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域は、必ずしも各放射線撮影装置毎に異なるものである必要はなく、各放射線画像撮影装置において共通であっても良く、また、放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域は、必ずしも実際に配置されているフォトセンサーの形状や位置と完全に一致している必要はなく、実際とは多少異なっていても良い。
【0028】
また、上記フォトセンサー領域指定部15は、前記判別部12において判別される撮像部位の種類に対応して放射線デジタル画像撮影装置のフォトセンサーの配置位置に関する情報を記憶しているメモリテーブルを備え、前記判別部12において判別された撮影部位の種類に関する情報に基づいて、前記メモリテーブルから放射線デジタル画像上におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報を読み出し、読み出された情報を後段のフォトセンサー領域修正部17に出力するように構成しても良い。
【0029】
16は、画像記録手段11から出力される放射線デジタル画像データが示す放射線デジタル画像のヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムから該放射線デジタル画像における被写体領域と被写体領域以外の素抜け領域とを判別することにより、放射線デジタル画像データから被写体領域に対応する画像領域に関する情報データを抽出し、抽出された被写体領域に対応する画像領域に関する情報データを、後段のフォトセンサー領域修正部17に出力する被写体領域抽出部で、該被写体領域抽出部16では、例えば図2に示すような放射線デジタル画像のヒストグラムにおいて、まず、当該ヒストグラムの局所的な最大レベルT1,T2を検出し、検出された2つの最大レベルT1,T2の当該ヒストグラム上の位置が十分に離れていることが確認されたら、これら2つの最大レベルT1,T2間のヒストグラムの極小レベルf(Tmin)を示すレベルTminを求め、求めたレベルTminを境界(閾値)として、該レベルTmin以下のレベルを示す最大レベルT1で極大値をとる画像領域を放射線デジタル画像における被写体領域とし、該レベルTminを超えるレベルを示す最大レベルT2で極大値をとる画像領域を放射線デジタル画像における素抜け領域とすることにより、該放射線デジタル画像データから被写体領域に対応する画像領域に関する情報データを抽出することができる。
【0030】
また、上記被写体領域抽出部16における被写体領域に対応する画像領域に関する情報データの他の抽出方法としては、図3に示すように、放射線デジタル画像上の任意の位置Aにおける横方向のプロファイル31を検出し、該プロファイル31において、レベルがある閾値以上に変化する位置を被写体領域の輪郭点32,33とし、以下、縦方向に所定の間隔で同様の処理を行い、各輪郭点を結ぶことにより、直線34で囲む画像領域内に関する情報データを被写体領域に対応する画像領域に関する情報データとして抽出する方法などがある。
【0031】
17は、前記フォトセンサー領域指定部15から出力されるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データと前記被写体領域抽出部16から出力される被写体領域に対応する画像領域に関する情報データとを比較し、フォトセンサーの位置に対応する画像領域と被写体領域に対応する画像領域とが一致せずにズレている場合には、フォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データを修正するフォトセンサー領域修正部で、該フォトセンサー領域修正部17では、例えば図4に示すようにフォトセンサーの位置に対応する画像領域41(黒枠内の矩形領域)と被写体領域に対応する画像領域42(白抜き領域)とが完全に重ならず僅かにズレているような場合には、フォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データを図4の斜線部43にて示すような形状の画像領域を表す情報データに修正し、修正されたフォトセンサーの画像領域に対応する画像データ、或は、当該画像領域の各頂点などの座標を示す情報データを後段の特徴量算出部18に出力する。
【0032】
なお、上述のように、図4の斜線部43で示した修正後のフォトセンサーの位置に対応する画像領域は多角形となるが、後段の特徴量算出部18において処理しやすいように、当該多角形の画像領域に内接する矩形の画像領域を表す情報に修正するようにしても良い。
【0033】
18は、前記画像記録部11から出力される放射線デジタル画像データと前記フォトセンサー領域修正部17より出力される該画像記録部11から出力される放射線デジタル画像データが示す放射線デジタル画像上のフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データをもとに、該画像領域における画素値の最大値、最小値、平均値、中央値、最頻度値等のうちの少なくとも何れか1種類の値を特徴量とし、該特徴量に関する情報を算出する特徴量算出部で、算出された特徴量に関する情報データは後段の画像処理部19に出力される。
【0034】
また、上記特徴量算出部18では、撮影部位が患者の胸部である場合のように、フォトセンサーの位置に対応する画像領域が複数(3つ)ある場合には、例えば3つの画像領域のそれぞれの最大値や最小値、或は平均値を特徴量に関する情報データとして算出し、算出された情報データを後段の画像処理部19に出力するようにしても良い。
【0035】
ところで、上記特徴量算出部18において算出される特徴量に関する情報は、放射線デジタル画像上のフォトセンサーの位置に対応する画像領域における画素値のヒストグラムをもとに算出される。すなわち、放射線デジタル画像上のフォトセンサーの位置に対応する画像領域における画素値のヒストグラムは、普通の患者が被写体である場合には図7に示すようなヒストグラムになり、例えば頻度の最大値f(T)をとる画素レベルTが特徴量に関する情報として算出される。
【0036】
しかしながら、放射線を吸収するペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具を体内に取り付けている患者が被写体であり、該ペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具の画像領域がフォトセンサーの位置に対応する画像領域内或はその近傍に存在する場合には図8に示すような双峰のヒストグラムになる為、上記特徴量算出部18では、図8に示すような双峰のヒストグラムにおいて、まず、当該ヒストグラムの局所的な最大レベルT1,T2を検出し、検出された2つの最大レベルT1,T2の当該ヒストグラム上の位置が十分に離れていることが確認されたら、これら2つの最大レベルT1,T2間のヒストグラムの極小レベルf(Tmin)を示すレベルTminを求める。
【0037】
ところで、一般的にペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具は放射線の透過率が低い(すなわち、放射線の吸収率が高い)ので、上述のようにして求めたレベルTminを境界(閾値)として、当該ヒストグラムにおいて前記レベルTmin以下のレベルを示す最大レベルT1で極大値をとる画像領域を放射線デジタル画像における前記補助機器や金具が存在する領域とし、該レベルTminを超えるレベルを示す最大レベルT2で極大値をとる画像領域を放射線デジタル画像における前記補助機器や金具が存在しない領域とすることにより、該放射線デジタル画像データから前記補助機器や金具が存在する領域を除いた画像領域を抽出することができ、抽出された画像領域における画素値のヒストグラムをもとに特徴量に関する情報を算出し、算出した特徴量に関する情報を後段の画像処理部19に出力することにより、放射線を吸収するペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具を体内に取り付けている患者が被写体である場合において、該ペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具の影響を受けずに、後段の画像処理部19において前記フォトセンサーの位置に対応する画像領域が最適な濃度及び/または階調となるように前記画像記録部11に記録されている放射線デジタル画像データに対して適性な画像処理を施すことができるようになる。
【0038】
19は、前記設定部12から出力される放射線撮影装置の種類を示す情報と、前記判別部13から出力される撮影部位に関する情報と、前記出力装置選択部14から出力される出力装置の種類を示す情報と、前記特徴量算出部18から出力される放射線デジタル画像の特徴量に関する情報とに基づいて、前記フォトセンサーの位置に対応する画像領域が最適な濃度及び/または階調となるように前記画像記録部11に記録されている放射線デジタル画像データに対して画像処理を施す為の画像処理部である。
【0039】
20は画像出力部で、前述のように、CRT表示装置やフィルムイメージャ装置或はドライプリンタ装置等の出力装置や、コンピュータネットワークに接続されている出力装置に前記画像処理部19から供給される放射線デジタル画像を出力する為のインターフェース等である。すなわち、該画像出力部20自身が出力装置である必要はなく、例えば遠隔地の病院等に設置されている出力装置に対して、インターネット等のコンピュータネットワークを経由して本放射線デジタル画像処理システムに入力されるような構成であっても良い。
【0040】
ここで、フォトセンサーが図5に示す位置に配置されている放射線デジタル画像撮影装置を用いて患者の胸部の撮影を行い、撮影された放射線デジタル画像をフィルムに焼き付けて出力する場合を例として、本放射線デジタル画像処理システムの動作について詳細に説明する。
【0041】
図5において、50は被写体である患者の胸部と接する放射線デジタル画像撮影装置の胸当て板であり、該胸当て板の裏面には、放射線強度を検出する為のフォトセンサーが図示の51、52、53の領域に配置されている。
【0042】
まず、図5に示す位置にフォトセンサーが配置されている放射線デジタル画像撮影装置を有する画像データ形成部10から出力される患者の胸部の放射線画像に対応した放射線デジタル画像データは、画像データ記録部11に送られ、半導体メモリやハードディスクドライブ装置等に記録される。
【0043】
一方、上述のような種類の放射線デジタル画像撮影装置により患者の胸部を撮影する場合には、フォトセンサー領域指定部15は、設定部12において設定される放射線デジタル画像データを出力している装置の種類に関する情報に従って各放射線デジタル画像撮影装置のフォトセンサーの配置位置に関する情報を記憶しているメモリテーブルから、撮影に使用している放射線デジタル画像撮影装置におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報(すなわち、図5の画像領域51、53を示す情報)を読み出し、フォトセンサー領域修正部17に出力する。
【0044】
また、被写体領域抽出部16は、前記画像記録手段11から出力される放射線デジタル画像データが示す放射線デジタル画像のヒストグラムを算出し、算出されたヒストグラムから該放射線デジタル画像における被写体領域と被写体領域以外の素抜け領域とを判別することにより、放射線デジタル画像データから被写体領域に対応する画像領域に関する情報データを抽出し、抽出された被写体領域に対応する画像領域に関する情報データを、後段のフォトセンサー領域修正部17に出力する。
【0045】
そして、フォトセンサー領域修正部17では、前記フォトセンサー領域指定部15から出力されるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データと前記被写体領域抽出部16から出力される被写体領域に対応する画像領域に関する情報データとを比較し、フォトセンサーの位置に対応する画像領域と被写体領域に対応する画像領域とが一致せずにズレている場合には、フォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データを修正し、修正されたフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データを後段の特徴量算出部18に出力する。
【0046】
特徴量算出部18では、画像データ記録部11より供給される放射線デジタル画像データのうち、前記フォトセンサーの位置に対応する画像領域を前記フォトセンサー領域修正部17から出力されるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データに従って切り出し、切り出された画像領域内の画素値を全て加算することにより全加算値を算出し、算出された全加算値を前記フォトセンサーの位置に対応する画像領域内の画素数で割ることにより平均値Aを算出し、画像処理装置19に出力する。
【0047】
ところで、本動作例の場合は、設定部12において撮影に使用している放射線デジタル撮像装置の種類が設定され、判別部13において撮影部位が“胸部”と判別され、更に出力装置選択部14において出力装置としてフィルムイメージャ装置が選択されているので、画像処理部19では前記特徴量算出部18から特徴量に関する情報として供給される平均値Aが、最終的にフィルムイメージャ装置から出力されるフィルム上において最適な濃度値Dとなるような濃度変換特性を有する濃度変換カーブに基づいた濃度変換処理が行われる。
【0048】
画像処理部19は、濃度変換処理の基準となる濃度変換カーブを示すデータを撮影部位毎に複数種記憶したルックアップテーブル(以下、単にLUTと略す)を備えており、まず、前記判別部13において判別される撮影部位に対応する濃度変換カーブに関するデータを該LUTから読み出す。すなわち、本動作例の場合には、図6に太線で示すような濃度変換特性を有する“胸部”用の濃度変換カーブを示すデータがLUTから自動的に読み出される。
【0049】
そして、該画像処理部19では、特徴量算出部18において算出された平均値Aが濃度値Dとなるように、LUTから読み出されたデータが示す濃度変換カーブを平行移動し、実際に濃度変換処理を用いる濃度変換カーブ(図6に細線で示すような濃度変換特性を有する濃度変換カーブ)に補正する。
【0050】
そして、該画像処理部19では、補正された濃度変換カーブに従って画像データ記録部11から出力される患者の胸部を撮影したデジタル放射線画像データが示すデジタル放射線画像に対して濃度変換処理を施した後、濃度変換処理が施されたデジタル放射線画像データを画像出力装置20に供給する。
【0051】
画像出力装置20では、画像処理部19より供給されるデジタル放射線画像データが示す画素値に対応したレーザー強度で、フィルムにデジタル放射線画像を焼き付けることにより、該フィルムに最適な濃度のデジタル放射線画像を形成することができるようになる。
【0052】
なお、上述の動作例では、撮影部位が“胸部”の場合を例として説明したが、例えば撮影部位が“腹部”の場合には、図5の51、52、53で示すフォトセンサーの位置に対応する画像領域の全てから画像の特徴量を算出し、算出された特徴量に基づき濃度変換処理を施せば良く、また、撮影部位が“四肢”や“頚椎”の場合には、図5の52で示すフォトセンサーの位置に対応する画像領域だけから画像の特徴量を算出し、算出された特徴量に基づき濃度変換処理を施せば良い。更に、この場合には、図5の51、52、53に示す位置全てにフォトセンサーが配置されている放射線デジタル画像撮影装置を使用しなくても良く、図5の52に示す位置だけにフォトセンサーを配置した放射線デジタル画像撮影装置によって放射線デジタル撮影を行うことができるようになる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、操作者の手を煩わすこと無く放射線デジタル画像に対して自動的に最適な画像処理を施すことができる放射線デジタル画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての放射線デジタル画像処理システムの概略構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの被写体領域抽出部における被写体領域に対応する画像領域に関する情報データの抽出処理を説明するための図である。
【図3】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの被写体領域抽出部における被写体領域に対応する画像領域に関する情報データの抽出処理の他の方法を説明するための図である。
【図4】図1に示した放射線デジタル画像処理システムのフォトセンサー領域修正部におけるフォトセンサーの位置に対応する画像領域に関する情報データの修正処理を説明するための図である。
【図5】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの放射線画像撮影装置におけるフォトセンサーの設置位置を説明するための図である。
【図6】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの画像処理部におけるルックアップテーブル(LUT)に記憶されているデータが示す濃度変換特性について説明するための図である。
【図7】図1に示した放射線デジタル画像処理システムにおいて、普通の患者が被写体である場合における特徴量算出部での特徴量算出処理を説明するための図である。
【図8】図1に示した放射線デジタル画像処理システムにおいて、放射線を吸収するペースメーカー等の補助機器または骨等を固定する為の金具を体内に取り付けている患者が被写体である場合における特徴量算出部での特徴量算出処理を説明するための図である。
【図9】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの腹部撮影用の放射線画像撮影装置におけるフォトセンサーの設置位置を説明するための図である。
【図10】図1に示した放射線デジタル画像処理システムの胸部撮影用の放射線画像撮影装置におけるフォトセンサーの設置位置を説明するための図である。
【符号の説明】
10 画像データ形成部
11 画像データ記録部
12 設定部
13 判別部
14 出力装置選択部
15 フォトセンサー領域指定部
16 被写体領域抽出部
17 フォトセンサー領域修正部
18 特徴量算出部
19 画像処理部
20 画像出力部
Claims (5)
- 放射線撮影により得られる放射線デジタル画像データを処理する放射線デジタル画像処理装置において、
前記放射線デジタル画像データを入力する入力手段と、
1)放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を直接固体撮像素子を用いて撮像し、撮像された放射線画像に対応した前記放射線デジタル画像データを出力する放射線画像撮影装置、
2)輝尽性蛍光体シートに蓄積記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置、
または
3)放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を蛍光板で受光し、該蛍光板の受光像を固体撮像素子によって放射線デジタル画像データに変換する放射線画像撮影装置、
の中から前記放射線デジタル画像データを出力した放射線撮影装置を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された前記放射線撮影装置で前記入力手段により入力された前記放射線デジタル画像データの放射線撮影時に、放射線の強度を検出するために用いたフォトセンサーの配置位置に対応した画像領域を指定するフォトセンサー領域指定手段と、
前記放射線デジタル画像データにおける被写体の画像領域を抽出する被写体領域抽出手段と、
前記フォトセンサー領域指定手段により指定された前記画像領域と前記被写体の画像領域が重なる領域の画素値に基づいて、画像処理に用いるための特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段により算出された前記特徴量として示される値が所定の値となるような変換特性を有する変換処理を、前記放射線デジタル画像データに対して行うための画像処理手段と、
を有することを特徴とする放射線デジタル画像処理装置。 - 前記画像処理手段は、濃度変換カーブを示すデータを前記撮影部位に対応させて記憶しているルックアップテーブルを備え、前記判別手段により判別された前記撮影部位に応じて、前記ルックアップテーブルから前記濃度変換カーブを示すデータを読み出し、読み出された前記濃度変換カーブを示すデータを用いて前記放射線デジタル画像データに対して濃度変換処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の放射線デジタル画像処理装置。
- 前記特徴量は、最大値、最小値、平均値、中央値及び最頻度値のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の放射線デジタル画像処理装置。
- 複数の装置が互いに通信を可能に接続されてなる放射線画像用システムであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線デジタル画像処理装置の各機能を有することを特徴とする放射線デジタル画像処理システム。
- 放射線撮影により得られる放射線デジタル画像データを処理する放射線デジタル画像処理方法において、
前記放射線デジタル画像データを入力する入力工程と、
1)放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を直接固体撮像素子を用いて撮像し、撮像された放射線画像に対応した前記放射線デジタル画像データを出力する放射線画像撮影装置、
2)輝尽性蛍光体シートに蓄積記録された放射線画像を読み取る放射線画像読取装置、
または
3)放射線を被写体に照射し、その透過像である放射線画像を蛍光板で受光し、該蛍光板の受光像を固体撮像素子によって放射線デジタル画像データに変換する放射線画像撮影装置、
の中から前記放射線デジタル画像データを出力した放射線撮影装置を設定する設定工程と、
前記設定工程により設定された前記放射線撮影装置で前記入力工程により入力された前記放射線デジタル画像データの放射線撮影時に、放射線の強度を検出するために用いたフォトセンサーの配置位置に対応した画像領域を指定するフォトセンサー領域指定工程と、
前記放射線デジタル画像データにおける被写体の画像領域を抽出する被写体領域抽出工程と、
前記フォトセンサー領域指定工程により指定された前記画像領域と前記被写体の画像領域が重なる領域の画素値に基づいて、画像処理に用いるための特徴量を算出する特徴量算出工程と、
前記特徴量算出工程により算出された前記特徴量として示される値が所定の値となるような変換特性を有する変換処理を、前記放射線デジタル画像データに対して行うための画像処理工程と、
を有することを特徴とする放射線デジタル画像処理方法。
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