JP4336127B2 - 光ファイバ増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
安定した光利得を得ることのできる光ファイバ増幅器の励起光源と、レーザ光の発振波長を広範囲の波長域に渡って制御することができる励起光源、およびこれらを用いた光ファイバ増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットをはじめとする様々なマルチメディアの普及に伴って、光通信に対する大容量化の要求が大きくなっている。従来、光通信では、光ファイバによる光の吸収が少ない波長である1310nmもしくは1550nmの帯域において、それぞれ単一の波長による伝送が一般的であった。この方式では、多くの情報を伝達するためには伝送経路に敷設する光ファイバの芯数を増やす必要があり、伝送容量の増加に伴ってコストが増加するという問題点があった。
【0003】
そこで、高密度波長分割多重(DWDM:Dense-Wavelength Division Multiplexing)通信方式が用いられるようになった。このDWDM通信方式は、主にEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier)を用い、この動作帯域である1550nm帯において、複数の波長を使用して伝送を行う方式である。このDWDM通信方式あるいはWDM通信方式では、1本の光ファイバを用いて複数の異なる波長の光信号を同時に伝送することから、新たな線路を敷設する必要がなく、ネットワークの伝送容量の飛躍的な増加をもたらすことを可能としている。
【0004】
このEDFAを用いた一般的なWDM通信方式では、利得平坦化の容易な1550nm帯から実用化され、最近では、利得係数が小さいために利用されていなかった1580nm帯にまで拡大している。しかしながら、EDFAで増幅可能な帯域に比して光ファイバの低損失帯域の方が広いことから、EDFAの帯域外で動作する光ファイバ増幅器、たとえば、ラマン増幅器への関心が高まっている。
【0005】
ラマン増幅器は、エルビウムのような希土類イオンを媒体とした光ファイバ増幅器がイオンのエネルギー準位によって利得波長帯が決まるのに対し、励起光の波長によって利得波長帯が決まるという特徴を持ち、励起光波長を選択することによって任意の波長帯を増幅することができる。
【0006】
ラマン増幅では、光ファイバに強い励起光を入射すると、誘導ラマン散乱によって、励起光波長から約100nm程度長波長側に利得が現れ、この励起された状態の光ファイバに、この利得を有する波長帯域の信号光を入射すると、この信号光が増幅されるというものである。したがって、ラマン増幅器を用いたWDM通信方式では、EDFAを用いた通信方式に比して、信号光のチャネル数をさらに増加させることができる。
【0007】
図22は、WDM通信システムに用いられる従来のラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図22において、ファブリペロー型の半導体発光素子180a〜180dとファイバグレーディング181a〜181dとがそれぞれ対となった半導体レーザモジュール182a〜182dは、励起光のもとになるレーザ光を偏波合成カプラ61a,61bに出力する。各半導体レーザモジュール182a,182bが出力するレーザ光の波長は同じであるが、偏波合成カプラ61aによって異なる偏波面をもった光を合成している。同様にして、各半導体レーザモジュール182c,182dが出力するレーザ光の波長は同じであるが、偏波合成カプラ61bによって異なる偏波面をもった光を合成している。偏波合成カプラ61a,61bは、それぞれ偏波合成したレーザ光をWDMカプラ62に出力する。なお、偏波合成カプラ61a,61bから出力されるレーザ光の波長は異なる。
【0008】
WDMカプラ62は、アイソレータ60を介して偏波合成カプラ61a,61bから出力されたレーザ光を合波し、WDMカプラ65を介し、励起光として増幅用ファイバ64に出力する。この励起光が入力された増幅用ファイバ64には、増幅対象の信号光が、信号光入力ファイバ69からアイソレータ63を介して入力され、励起光と合波してラマン増幅される。
【0009】
増幅用ファイバ64内においてラマン増幅された信号光(増幅信号光)は、WDMカプラ65およびアイソレータ66を介してモニタ光分配用カプラ67に入力される。モニタ光分配用カプラ67は、増幅信号光の一部を制御回路68に出力し、残りの増幅信号光を出力レーザ光として信号光出力ファイバ70に出力する。
【0010】
制御回路68は、入力された一部の増幅信号光をもとに各半導体発光素子180a〜180dの発光状態、たとえば光強度を制御し、ラマン増幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィードバック制御する。
【0011】
図23は、ファイバグレーディングを用いた半導体レーザモジュールの概要構成を示す図である。図23において、この半導体レーザモジュールは、半導体発光素子202と光ファイバ203とを有する。半導体発光素子202は、活性層221を有する。活性層221は、一端に光反射面222が設けられ、他端に光出射面223が設けられる。活性層221内で生じた光は、光反射面222で反射して、光出射面223から出力される。
【0012】
半導体発光素子202の光出射面223には、光ファイバ203が配置され、光出射面223と光結合される。光ファイバ203内のコア232には、光出射面223から所定位置にファイバグレーディング233が形成され、ファイバグレーディング233は、特性波長の光を選択的に反射する。すなわち、ファイバグレーディング233は、外部共振器として機能し、ファイバグレーディング233と光反射面222との間で共振器を形成し、ファイバグレーディング233によって選択された特定波長のレーザ光が増幅されて出力レーザ光241として出力される。
【0013】
【非特許文献1】
Yuichi Tohmori 他6名、「Broad-Range Wavelength-Tunable Superstructure Grating(SSG) DBR Lasers」、IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS、pp1817-1823、VOL.29、NO.6、JUNE 1993
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した半導体レーザモジュール(182a〜182d)は、ファイバグレーディング233と半導体発光素子202との間隔が長いため、ファイバグレーディング233と光反射面222との間の共振によって相対強度雑音(RIN:Relative Intensity Noise)が大きくなる。ラマン増幅では、増幅の生じる過程が早く起こるため、励起光強度が揺らいでいると、ラマン利得も揺らぐことになり、このラマン利得の揺らぎがそのまま増幅された信号強度の揺らぎとして出力されてしまい、安定したラマン増幅を行わせることができないという問題点があった。
【0015】
また、上述した半導体レーザモジュールは、ファイバグレーディング233を有した光ファイバ203と、半導体発光素子202とを光結合する必要があり、組立時の光軸合わせに時間と労力とがかかるとともに、共振器内における機械的な光結合であるために、レーザの発振特性が機械的振動などによって変化してしまうおそれがあり、安定した励起光を提供することができない場合が生じるという問題点があった。
【0016】
なお、ラマン増幅器としては、図22に示したラマン増幅器のように信号光に対して後方から励起する後方励起方式のほかに、信号光に対して前方から励起する前方励起方式および双方向から励起する双方向励起方式がある。現在、ラマン増幅器として多用されているのは、後方励起方式である。その理由は、弱い信号光が強い励起光とともに同方向に進行する前方励起方式では、励起光強度が揺らぐという問題があるからである。したがって、前方励起方式にも適用できる安定した励起光源の出現が要望されている。すなわち、従来のファイバグレーディングを用いた半導体レーザモジュールを用いると、適用できる励起方式が制限されるという問題点があった。
【0017】
また、ラマン増幅器におけるラマン増幅では、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とが一致することを条件としている。すなわち、ラマン増幅では、増幅利得の偏波依存性があり、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とのずれによる影響を小さくする必要がある。ここで、後方励起方式の場合、信号光は、伝搬中に偏波がランダムとなるため、問題は生じないが、前方励起方式の場合、偏波依存性が強く、励起光の直交偏波合成、デボラライズなどによって偏波依存性を小さくする必要がある。すなわち、偏光度(DOP:Degree Of Polarization)を小さくする必要がある。
【0018】
さらに、ラマン増幅は、得られるラマン利得が比較的低いため、高出力のラマン増幅用励起光源の出現が望まれていた。また、波長多重されたラマン増幅器に使用される励起光源は波長に対する要求が厳しく、波長の種類が多いだけでなくいったん波長が固定されると変更ができないため、製造、在庫、コストなどの面で問題となっていた。
【0019】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、安定し、高利得を得ることができ、また発振波長を任意に制御できるラマン増幅器用光源に適した半導体レーザ装置を使用したラマン増幅器を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかる半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基板と、該半導体基板上に積層された第1導電型の半導体バッファ層と、該半導体バッファ層上に積層された活性層と、該活性層上に積層された第1の電極と、前記半導体基板下面に配置された第2の電極とを有する半導体レーザ装置において、前記活性層上に積層された第2導電型のスペーサ層と、該第2導電型のスペーサ層の一部領域に配置され、特定の中心波長を有する複数の発振縦モードを備えたレーザ光を選択する回折格子とを備え、前記第1の電極が、前記回折格子が配置された前記一部領域上に配置された第3の電極と、他の領域に配置された第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、回折格子が配置された一部領域上に配置された第3の電極と、それ以外の領域に配置された第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離されているため、光発光出力を制御する電流と、回折格子の屈折率変化を制御する電流とを別々に印加することができる。
【0022】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基板と、該半導体基板上に積層された第1導電型の半導体バッファ層と、該半導体バッファ層上に積層された活性層と、該活性層上に積層された第1の電極と、前記半導体基板下面に配置された第2の電極とを有する半導体レーザ装置において、前記活性層上に積層された第2導電型のスペーサ層と、該第2導電型のスペーサ層の一部領域に配置され、特定の中心波長を有する複数の発振縦モードを備えたレーザ光を選択する回折格子とを備え、前記第1の電極が、前記回折格子が配置された前記一部領域上において、櫛形構造を有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、回折格子に流入する電流が一様でなく、場所に応じて電流密度が異なるため、回折格子を構成する各格子の屈折率を任意に変化させることができる。
【0024】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基板と、該半導体基板上に積層された第1導電型の半導体バッファ層と、該半導体バッファ層上に積層された活性層と、該活性層上に積層された第1の電極と、前記半導体基板下面に配置された第2の電極とを有する半導体レーザ装置において、前記活性層上に積層された第2導電型のスペーサ層と、該第2導電型のスペーサ層の一部領域に配置され、特定の中心波長を有する複数の発振縦モードを備えたレーザ光を選択する回折格子と、を備え、前記第1の電極が、前記回折格子が配置された前記一部領域上に配置された第3の電極と、他の領域に配置された第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離され、前記第3の電極は、櫛形構造を有することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第3の電極と第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離することで光出力制御のための電流と、回折格子の屈折率制御のための電流とを別々に制御することができ、櫛形構造を有することで、回折格子に流入する電流の密度を場所に応じて変化させることにより回折格子を構成する各格子の屈折率を任意に変化させることができる。
【0026】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、前記回折格子の上部に形成された前記第3の電極あるいは前記第1の電極に印加する電流量を変化させて前記特定の中心波長をシフトさせることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、前記回折格子の上部に形成された前記第3の電極あるいは前記第1の電極に印加する電流量を変化させて前記特定の中心波長をシフトさせるようにし、マルチモード発振の可変波長レーザを実現している。
【0028】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、前記一部領域と異なる他の一部領域に設けられ、前記回折格子の反射モード間隔とは異なる他の反射モード間隔を有する他の回折格子を備え、前記第1の電極が、前記他の回折格子が配置された前記他の一部領域上に配置された第5の電極にさらに分離され、前記第3の電極と前記第5の電極とに対する少なくとも一方の電流量を変化させ、前記回折格子の反射モード間隔と前記他の回折格子の反射モード間隔との差に基づいて前記特定の中心波長をシフトさせることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、前記第3の電極と前記第5の電極とに対する少なくとも一方の電流量を変化させ、前記回折格子の反射モード間隔と前記他の回折格子の反射モード間隔との差に基づいて前記特定の中心波長をシフトさせるようにし、大きなシフト量を有するマルチモード発振の可変波長レーザを実現している。
【0030】
また、この発明にかかる半導体レーザ装置は、上記の発明において、前記第1導電型の半導体バッファ層と前記活性層との間に積層された第1導電型のクラッド層と、前記第2導電型のスペーサ層と前記第1の電極との間に積層された第2導電型のクラッド層とをさらに有することを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、活性層を上下からクラッド層で挟み込む構造とすることで、ダブルへテロ構造となり活性層にキャリアが集中するため、高い効率でレーザ発振する半導体レーザ装置を実現できる。
【0032】
また、この発明にかかる半導体レーザモジュールは、この発明の半導体レーザ装置と、該半導体レーザ装置の温度を制御する温調モジュールと、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合をおこなう光結合レンズ系とを備えたことを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、この発明の半導体レーザ装置を用いることで、ファイバグレーディングを不要とし光軸あわせなどをおこなう必要がなく、組立容易でありかつ機械的振動などによって発振特性が変化することのない半導体レーザモジュールを実現することができる。
【0034】
また、この発明にかかる半導体レーザモジュールは、上記の発明において、前記半導体レーザ装置の光出力を測定する光検出器と、光ファイバ側からの反射戻り光の入射を抑制するアイソレータとをさらに備えたことを特徴とする。
【0035】
この発明によれば、光検出器を設けることで光出力のモニタが可能で光出力の安定化を図ることができ、アイソレータを備えたことで外部からの反射光を防ぐことができる。
【0036】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、この発明の半導体レーザ装置、あるいはこの発明の半導体レーザモジュールを用いた励起光源と、信号光と励起光とを合成するためのカプラと、増幅用光ファイバとを備えたことを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、上記半導体レーザ装置もしくは半導体レーザモジュールを含むことによって高い増幅率を有し、かつ安定した増幅をおこなうことのできる光ファイバ増幅器を実現することができる。
【0038】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、上記の発明において、前記増幅用光ファイバは、ラマン増幅により光を増幅することを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、ラマン増幅によりおこなうことでより好適に光増幅をおこなうことができる。
【0040】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、レーザ光の波長を制御する手段を有する1以上の励起光源と、前記励起光源から出力された励起光を光伝送路に導入する合波器と、信号光を前記励起光によって増幅する増幅媒体と、増幅された信号光出力の波長特性を測定する測定手段と、前記励起光源を制御する制御回路と、前記測定手段および前記制御回路と電気的に接続された演算手段を有する光ファイバ増幅器であって、前記演算手段は所定の利得波長特性を目標値として持ち、前記測定手段による信号光出力の波長特性の測定結果をもとにその測定結果が前記目標値に略一致するよう前記制御回路の動作条件を与えることを特徴とする。
【0041】
この発明によれば、柔軟に励起光波長を制御することにより容易に所望の利得波長特性を満足するラマン増幅を行うことができる。
【0042】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、励起光源の数が2以上であって、レーザ光の波長を制御する手段を有する1以上の励起光源と複数の励起光を合波する合波器を有し、前記複数の励起光源から出力された励起光を前記合波器で合波したのちに合波器を介して光伝送路に導入することを特徴とする。
【0043】
この発明によれば、励起光波長を任意に制御することにより励起光源を交換することなく容易に増幅帯域を変化させることが可能な光ファイバ増幅器を与えることができる。
【0044】
またこの発明にかかる光ファイバ増幅器は、この発明の光ファイバ増幅器であって、前記複数の励起光を合波する合波器は、波長合波器であることを特徴とする。
【0045】
この発明によれば、波長合波器の適用波長帯を適切なものに設定することによって、より広範囲の波長帯に適用可能な増幅帯域可変の光ファイバ増幅器を与えることができる。
【0046】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、この発明の光ファイバ増幅器であって、前記複数の励起光を合波する合波器は、偏波合成器であることを特徴とする。
【0047】
この発明によれば、レーザ光の波長を制御する手段を有する励起光源によって、その他の任意の励起光源が所定の増幅利得を発生しなくなった場合でも速やかに所定の光増幅特性に復帰させることのできる、信頼度の高い光増幅器を与えることができる。
【0048】
また、この発明にかかる光通信システムは、この発明の光ファイバ増幅器が複数接続され、前記複数の光ファイバ増幅器が互いに増幅利得の波長特性を補償しあうように構成されていることを特徴とする。
【0049】
この発明によれば、複数の光ファイバ増幅器が互いに増幅利得の波長特性を補償しあうことによって、システム全体として常に好適な光信号強度を保つことができる。
【0050】
また、この発明にかかる光ファイバ増幅器は、この発明の光ファイバ増幅器と、前記光ファイバ増幅器の動作状態を確認する監視部、前記光ファイバ増幅器を制御するための条件の入出力部を備えた制御部を有し、前記光ファイバ増幅器と前記監視部、前記制御部は互いに通信回線によって接続されていることを特徴とする。
【0051】
この発明の発明によれば、この発明の光ファイバ増幅器の動作状況をシステム管理者が随時管理し、適切な増幅特性を保つための作業を容易に行うことができる。
【0052】
また、この発明にかかる光通信システムは、この発明の光通信システムであって、複数の光ファイバ増幅器が通信回線上で接続されており、前記通信回線にはさらに前記複数の光ファイバ増幅器の動作状態を確認する監視部、制御するための制御部とが接続されており、前記監視部は前記複数の光ファイバ増幅器を含む光通信システムの動作状況を監視し、前記制御部は前記複数の光ファイバ増幅器を、前記監視部から得た情報に基づき制御を行うことを特徴とする。
【0053】
この発明によれば、光通信システムの動作状況をシステム管理者が監視し、システム全体として常に好適な光増幅特性を保つように複数の光ファイバ増幅器を統合的に制御することが可能となる。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明にかかる半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび光ファイバ増幅器の好適な実施の形態について説明する。図面の記載において同一または類似部分には同一あるいは類似な符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、層の厚みと幅との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0055】
(実施の形態1)
まず、この発明の実施の形態1にかかる半導体レーザ装置について、説明する。図1は、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の側面断面図を示し、図2は、図1に示す半導体レーザ装置のA−A線断面図である。
【0056】
本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、図1に示すように、n−InP基板1の(100)面上に、n−InPクラッド層2、GRIN−SCH−MQW(Graded Index-Separate Confinement Hetero structure Multi Quantum Well: 分布屈折率分離閉じこめ単一量子井戸)活性層3、p−InPスペーサ層4、p−InPクラッド層6、p−InGaAsPコンタクト層8、p側電極10が順次積層されている。また、n−InP基板1下には、n側電極11が配置されている。
【0057】
n−InPクラッド層2は、バッファ層としての機能およびクラッド層としての機能を果たすためのものである。n−InPクラッド層2およびp−InPクラッド層6によってGRIN−SCH−MQW活性層3を挟み込むことで本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置はダブルへテロ構造を有し、キャリアを効果的に閉じ込めることで高い発光効率を有する。
【0058】
また、図2に示すように、n−InPクラッド層2の上部およびGRIN−SCH−MQW活性層3、p−InPスペーサ層4、およびp−InPクラッド層6の下部に接触してp−InPブロッキング層9b、n−InPブロッキング層9aが順に配置されている。これらp−InPブロッキング層9b、n−InPブロッキング層9aは、注入される電流がリークしないよう電流をブロックするためのもの(BH構造)であり、かかる構造とすることでGRIN−SCH−MQW活性層3を流れる電流の密度が高められ、発光効率が向上する構造となっている。また、BH構造にすることで、横モードが単一に制御された光を出力するので、レーザの安定動作を行う機能がある。
【0059】
また、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、出射側端面(図1における右側面)において低反射膜15が全面に渡って配置され、反射側端面(図1における左側面)において高反射膜14が全面に渡って配置されている。
【0060】
高反射膜14は、反射率80パーセント以上、好ましくは98パーセント以上の光反射率を有する。一方、低反射膜15は、出射側端面におけるレーザ光の反射を防止するためのものである。したがって、低反射膜15は反射率の低い膜構造からなり、光反射率は1パーセント以下、望ましくは0.5パーセント以下の膜構造からなる。さらに好適には、0.1%以下の反射膜を有する誘電体反射膜からなる。
【0061】
さらに、p−InPスペーサ層4内部でありかつ出射側端面近傍において、回折格子13がレーザ光の出射方向に配置されている。また、回折格子13は、膜厚20nmを有し、レーザ光出射方向に50μmの長さを有し、周期が約220nmである周期的な構造となっているため、中心波長1480nm帯で複数の発振縦モードを有するレーザ光を選択する。
【0062】
回折格子13を構成する各格子は、p−InGaAsPで構成されており、本実施の形態1において回折格子13は単一の周期からなる各格子の配列によって形成される。なお、回折格子13の低反射膜15側の端部は、低反射膜15と接する構造とすることが望ましいが、100μm以内の距離であれば、低反射膜15から離れた構造としてもよい。
【0063】
回折格子13の上部であって、p−InGaAsPコンタクト層8とp側電極10bとの間には電気的分離溝16が配置されている。電気的分離溝16は、p側電極10から注入された電流を回折格子13を含む低反射膜15の近傍において流さないためのものである。
【0064】
次に、本実施の形態にかかる半導体レーザ装置の動作について、説明する。p側電極10から注入された電流は、GRIN−SCH−MQW活性層3においてキャリアの発光再結合を引き起こし、発光した光は回折格子13によって特定波長成分が選択され、出射側端面から出射される。まず、簡単のためp側電極10bを通じて流入する電流IbについてIb=0とした場合について、説明する。
【0065】
本実施の形態1における半導体レーザ装置は、ラマン増幅器の励起用光源として用いられることを前提とし、その発振波長λ0は、1100nm〜1550nmであり、共振器長Lは、800μm以上3200μm以下としている。ところで、一般に、半導体レーザ装置の共振器によって発生する縦モードのモード間隔Δλは、実効屈折率を「n」とすると、次式で表すことができる。すなわち、
Δλ=λ02/(2・n・L)
である。ここで、発振波長λ0を1480nmとし、実効屈折率を3.5とすると、共振器長Lが800μmのとき、縦モードのモード間隔Δλは、約0.39nmとなり、共振器長が3200μmのとき、縦モードのモード間隔Δλは、約0.1nmとなる。すなわち、共振器長Lを長くすればするほど、縦モードのモード間隔Δλは狭くなり、単一縦モードのレーザ光を発振するための選択条件が厳しくなる。
【0066】
一方、本実施の形態1において、回折格子13は、そのブラッグ波長によって縦モードを選択する。この回折格子13による選択波長特性は、図3に示す発振波長スペクトル20として表される。
【0067】
図3に示すように、本実施の形態1では、回折格子13を有した半導体レーザ装置による発振波長スペクトル20の半値幅Δλhで示される波長選択特性内に、発振縦モードを複数存在させるようにしている。従来のDFB(DistributedFeedback)半導体レーザ装置あるいはDBR(Distributed Bragg Reflrector)半導体レーザ装置では、共振器長Lを800μm以上とすると、単一縦モード発振が困難であったため、かかる共振器長Lを有した半導体レーザ装置は用いられなかった。しかしながら、この実施の形態1の半導体レーザ装置では、共振器長Lを積極的に800μm以上とすることによって、発振波長スペクトルの半値幅Δλh内に複数の発振縦モードを含ませてレーザ出力するようにしている。図3では、発振波長スペクトルの半値幅Δλh内に3つの発振縦モード21〜23を有している。
【0068】
複数の発振縦モードを有するレーザ光を用いると、単一縦モードのレーザ光を用いた場合に比して、レーザ出力のピーク値を抑えて、高いレーザ出力値を得ることができる。たとえば、この実施の形態1に示した半導体レーザ装置では、図4(b)に示すプロファイルを有し、低いピーク値で高レーザ出力を得ることができる。これに対し、図4(a)は、同じレーザ出力を得る場合の単一縦モード発振の半導体レーザ装置のプロファイルであり、高いピーク値を有している。
【0069】
ここで、半導体レーザ装置をラマン増幅器の励起用光源として用いる場合、ラマン利得を大きくするために励起光出力パワーを増大することが好ましいが、そのピーク値が高いと、誘導ブリルアン散乱が発生し、雑音が増加するという不具合が発生する。誘導ブリルアン散乱の発生は、誘導ブリルアン散乱が発生する閾値Pthを有し、同じレーザ出力パワーを得る場合、図4(b)に示すように、複数の発振縦モードを持たせ、そのピーク値を抑えることによって、誘導ブリルアン散乱の閾値Pth内で、高い励起光出力パワーを得ることができ、その結果、高いラマン利得を得ることが可能となる。
【0070】
また、発振縦モード21〜23の波長間隔(モード間隔)Δλは、0.1nm以上としている。これは、半導体レーザ装置をラマン増幅器の励起用光源として用いる場合、モード間隔Δλが0.1nm以下であると、誘導ブリルアン散乱が発生する可能性が高くなるからである。この結果、上述したモード間隔Δλの式によって、上述した共振器長Lが3200μm以下であることが好ましいことになる。
【0071】
このような観点から、発振波長スペクトル20の半値幅Δλh内に含まれる発振縦モードの本数は、複数であることが望ましい。ところで、ラマン増幅では、増幅利得に偏波依存性があるため、信号光の偏波方向と励起光の偏波方向とのずれによる影響を小さくする必要がある。このための方法として、励起光を無偏光化(デポラライズ)する方法があり、具体的には、2台の半導体レーザ装置からの出力光を偏波合成する方法のほか、デポラライザとして所定長の偏波面保持ファイバを用いて、1台の半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を、この偏波面保持ファイバに伝搬させる方法がある。無偏光化の方法として、後者の方法を使用する場合には、発振縦モードの本数が増大するに従ってレーザ光のコヒーレンシーが低くなるので、無偏光化に必要な偏波面保持ファイバの長さを短くすることができる。特に、発振縦モードが4,5本となると、急激に、必要な偏波面保持ファイバの長さが短くなる。従って、ラマン増幅器に使用するために半導体レーザ装置から出射されるレーザ光を無偏光化する場合に、2台の半導体レーザ装置の出射光を偏波合成して利用しなくても、1台の半導体レーザ装置の出射レーザ光を無偏光化して利用することが容易となるので、ラマン増幅器に使用される部品数の削減、小型化を促進することができる。
【0072】
ここで、発振波長スペクトル幅が広すぎると、波長合成カプラによる合波ロスが大きくなるとともに、発振波長スペクトル幅内における波長の動きによって、雑音や利得変動を発生させることになる。このため、発振波長スペクトル20の半値幅Δλhは、3nm以下、好ましくは2nm以下とする必要がある。
【0073】
さらに、従来の半導体レーザ装置では、図23に示したように、ファイバグレーディングを用いた半導体レーザモジュールとしていたため、ファイバグレーディング233と光反射面222との間の共振によって相対強度雑音(RIN)が大きくなり、安定したラマン増幅を行うことができないが、この実施の形態1に示した半導体レーザ装置では、ファイバグレーディング233を用いず、低反射膜15から出射したレーザ光をそのまま、ラマン増幅器の励起用光源として用いているため、相対強度雑音が小さくなり、その結果、ラマン利得の揺らぎが小さくなり、安定したラマン増幅を行わせることができる。
【0074】
また、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、p−InGaAsPコンタクト層8上であって、回折格子13に対応した領域にp側電極10bが配置され、p側電極10bを通じて電流Ibが回折格子13に対して注入される。以下、回折格子13に対して電流Ibが注入されることによる影響について、説明する。
【0075】
一般に、回折格子13を構成するp−InGaAsPおよびp−InPスペーサ層4は、注入電流Ibが印加されることにより、発熱による影響が支配的で、屈折率が増大するする。そのため、Ib=0の場合と比較して光路長は長くなり、回折格子13の実効的な周期も変化する。そのため、Ib≠0においては、Ibの値の変化に対応して、回折格子13によって選択される中心波長は変化する。
【0076】
したがって、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、Ibの値を制御することによって選択される中心波長を制御することができる。これにより、たとえば、実際に製造した半導体レーザ装置が、設計段階で想定した中心波長を選択できない場合であっても、Ibを制御することで所望の中心波長を選択することができる。そのため、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、実際の製造工程において、歩留まりを向上させることができる。また、設計段階で想定した中心波長と異なる中心波長を選択させたい場合であっても、Ibを制御することで所望の中心波長を選択させることができる。
【0077】
さらに、光出力を制御するIaは、回折格子13の選択する中心波長を制御するIbとは無関係に変動させることができるため、選択する中心波長を一定に保持したままで、半導体レーザ装置の光出力を任意に変化させることができる。
【0078】
ここで、図5は、上述した波長可変レーザとしての半導体レーザ装置の反射特性を示している。図5に示すように、ある波長帯域では高反射膜14は、80%以上の反射率を有し、ほぼこの反射率は変化しない。これは、たとえば、高反射率を有する誘電体多層膜を反射側劈開面にコーティングすることによって実現できる。ところが、図5に示すように、低反射膜15の反射特性は、回折格子13による波長選択特性を有する。この回折格子13の物理特性は、回折格子13が、図3に示すような多重モード発振を許容するに十分な帯域幅の光を反射するような選択がなされる。すなわち、図5に示した反射曲線20´は、図3に示した発振波長スペクトル20に対応する。さらに、図5において、反射曲線20´は、p側電極10bを介して回折格子13に注入される電流値に対応して波長がシフトする。図6は、注入電流の変化によって達成される波長変化の具体例を示している。図6に示すように、回折格子13への注入電流によって2nm以上波長可変することができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体レーザ装置について、説明する。図7は、実施の形態2にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。実施の形態2にかかる半導体レーザ装置は、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置と同様に、n−InP基板1の(100)面上に、n−InPクラッド層2、GRIN−SCH−MQW活性層3、p−InPスペーサ層4、p−InPクラッド層6、p−InGaAsPコンタクト層8が順次積層されている。また、n−InP基板1下には、n側電極11が配置されている。さらに、レーザ光出射側(図7における右方向)端面に低反射膜15が配置され、反射側(図7における左方向)端面に高反射膜14を有し、高反射膜14の光反射率は80パーセント以上、低反射膜15の光反射率は1パーセント以下としているのも実施の形態1と同様である。さらに、p−InPスペーサ層4内部であって、低反射膜15の近傍には同一の周期および同一の周期を有する回折格子13が配置されている。
【0080】
そして、p−InGaAsPコンタクト層8上にはp側電極24が配置されている。ここで、p側電極24は、回折格子13の上部に対応した領域であるp側電極24bと、それ以外の領域であるp側電極24aに分離して考えることができる。p側電極24aは、p−InGaAsPコンタクト層8上に一様に堆積された構造を有するのに対し、p側電極24bは、p−InGaAsPコンタクト層8に対して歯が接する誘電体電気的分離溝を用いた櫛形構造からなる。したがって、p側電極24から注入される電流は、p側電極24aの下部においては一様に流入するのに対して、p側電極24bの下部においては、櫛形構造の歯の部分から電流が注入される。したがって、p側電極24bの下部においては、流れる電流は一様ではなく、櫛形構造に依存して電流密度は変化する。
【0081】
ここで、実施の形態1においても説明したように、回折格子13およびその周囲の領域では、流入する電流の大きさに応じて屈折率の変化が生じる。したがって、元来回折格子13は単一の周期からなる構造であるが、p側電極24bから注入される電流の密度の変化に応じて屈折率が変化し、光路長も変化する。したがって、回折格子13は、実効的には異なる周期を有する回折格子の集合となり、各周期は、p側電極24bを通じて注入される電流の大きさによって制御される。
【0082】
一例として、図8(a)に示すようにp側電極24bの櫛形構造が、歯の太さが周期的に変化する場合を示す。この場合に、p側電極24bから電流を注入することにより回折格子13も、屈折率を加味して考えると図8(a)に示すような構造となる。すなわち、p側電極24bの櫛の歯の太さに対応して、注入される電流の値は変化するため、その電流の大きさに応じて回折格子13を構成する各格子はレーザ光出射方向に対して大きさが変化する。p側電極24bの櫛の歯の太さを周期的に変化させることによって、回折格子13は、実質的にはグレーティング周期を周期的に変化させた、図8(b)に示すような、いわゆるチャープドグレーティングとなる。このようなチャープドグレーティング構造とすることにより、回折格子13の波長選択性に揺らぎを発生させ、発振波長スペクトルの半値幅を広げ、半値幅内の発振縦モードの本数を増大させることができる。
【0083】
また、他の例として、p側電極24bをさらに2つに分割し、櫛形構造が周期Λ1を有するp側電極25aと、櫛形構造が周期Λ2(≠Λ1)を有するp側電極25bとからなるp側電極24bを考える。この場合、p側電極25aから流入する電流と、p側電極25bから流入する電流の密度は異なり、電流密度の違いに起因して回折格子13は、屈折率を考慮した実効的な周期Λ1を有する部分と、同じく実効的な周期Λ2(≠Λ1)を有する部分とに分かれる。
【0084】
したがって、回折格子13によって、異なる2つの中心波長λ1、λ2が選択され、発振されるレーザ光のスペクトルは図9(b)に示すような複合発振波長スペクトルとなる。図9(b)において、周期Λ1の部分によって、波長λ1の発振波長スペクトルを形成し、この発振波長スペクトル内に3本の発振縦モードを選択する。一方、周期Λ2の部分によって、波長λ2の発振波長スペクトルを形成し、この発振波長スペクトル内に3本の発振縦モードを形成する。また、図7においては、中心波長λ1の短波長側の発振縦モードと、中心波長λ2の長波長側の発振縦モードとが重なり合う構成となっている。
【0085】
したがって、周期Λ1,Λ2の回折格子による複合発振波長スペクトル35は、この複合発振波長スペクトル35内に4〜5本の発振縦モードが含まれることになる。この結果、単一の中心波長に基づく複数の発振縦モードを形成するときに比べ、一層多くの発振縦モードを容易に選択出力することができ、光出力の増大をもたらすことができる。
【0086】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる半導体レーザ装置について、図10を参照して説明する。図10は、実施の形態3にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。なお、図10において、図1および図7と同一または類似の部分についての説明は省略する。
【0087】
実施の形態3にかかる半導体レーザ装置は、p−InGaAsPコンタクト層8上に配置されたp側電極が、一様に堆積されたp側電極27aと、櫛形構造からなるp側電極27bとからなり、p側電極27a、27bの間には電気的分離溝26が配置された構造を有する。したがって、p側電極27a、27bから注入される電流Ia、Ibは相互に独立に制御することができる。
【0088】
本実施の形態3にかかる半導体レーザ装置は、p側電極27a、27bを電気的に絶縁した構造を有することで、実施の形態1にかかる半導体レーザ装置と同様の利点を有する。すなわち、半導体レーザ装置の光出力を制御するために変動するIaと無関係にIbを一定の値に保持することができるため、Ibにより特定波長の発振を得ることができる。
【0089】
また、実施の形態1の場合と同様に、光出力を制御する電流Ibと、回折格子13の選択する中心波長を制御するIaとを互いに無関係に制御できるため、半導体レーザ装置の光出力を一定に保持したまま選択する中心波長を変化させることができる。
【0090】
さらに、本実施の形態3にかかる半導体レーザ装置が、櫛形構造を有するp側電極27bを有することで実施の形態2にかかる半導体レーザ装置同様、次の利点を有する。すなわち、櫛形構造を有することで回折格子13に流入する電流密度は一様ではなく、場所によって異なる。したがって、回折格子13を構成する各格子およびその周囲の領域における屈折率の変化は一様とはならずに、櫛形構造に依存する。そのため櫛形構造をたとえば図8(a)、図9(a)に示すパターンとすることにより回折格子13の周期等を変化させたのと同様の効果を得ることができ、チャープドグレイティング構造や、2つの異なる選択波長を有する半導体レーザ装置を実現することができる。なお、実施の形態1から3において、電流注入を防ぐために絶縁膜を用いたが、p型コンタクト層の上にn型半導体層、又は、n-p-n型半導体多層構造による電流非注入構造であっても良い。さらに、実施の形態2、または、3に図示されている、電極分離溝の下部に位置するp-GaInAsPコンタクト層および、p-InPクラッド層の一部を除去した構造は、作製プロセス上、工程が複雑になるが、電気的分離を行なうには、より好適な構造である。
【0091】
(実施の形態4)
つぎに、この発明の実施の形態4について説明する。図11は、この発明の実施の形態4である半導体レーザ装置の長手方向の縦断面図である。図11において、この半導体レーザ装置は、実施の形態1に示した半導体レーザ装置の構成に、さらに高反射膜14側に回折格子13cを設け、この回折格子13cの上部には、p側電極10とは電気的に分離されたp側電極10cを有する。なお、回折格子13bは、図1に示した回折格子13に対応する。
【0092】
ここで、回折格子13b,13cは物理的に分離された領域に形成され、かつp側電極10b,10cによってそれぞれ独立して電流注入を行うことができ、回折格子13b,13cの波長選択性を個別に制御することができる。これによって、さらに波長選択性を詳細かつ柔軟に設定することができる。
【0093】
この実施の形態4に示すように、低反射膜15側と高反射膜14側との双方に回折格子13b,13cを設けると、各回折格子13b,13cの離散的な反射モードのバーニア効果によって広い可変波長域を実現することができる。
【0094】
図12に示すように、回折格子13cによって選択される波長がλ1〜λnとし、回折格子13bによって選択される波長がλ1´〜λn´とすると、λ1´〜λn´の各波長間隔は、λ1〜λnの各波長間隔に比してほんの少し異なるように設定される。この選択状態において、それぞれ電流注入の変化ΔIを与えると、各波長λ1〜λnおよび各波長λ1´〜λn´は、シフトする。バーニア効果は、この状態において、波長λ1〜λnと波長λ1´〜λn´とが一致する波長のみが発振波長して選択出力される。図12では、波長λ1と波長λ1´とが一致し、波長λ1(=λ1´)が発振波長として選択される。例えば数十nm程度の波長シフトレンジを実現できる。なお、回折格子13bあるいは回折格子13cの一方の選択波長のみを電流注入量変化によってシフトさせてもよいし、回折格子13b,13cの双方の選択波長を、それぞれ独立して電流注入量変化によってシフトさせるようにしてもよい。
【0095】
図13〜図15は、この実施の形態4の具体例を示している。図13は、この発明の実施の形態4の具体例である半導体レーザ装置の一部破断図である。図13において、この半導体レーザ装置は、長さ1200μmの活性領域(3)と長さ200μmの前部回折格子領域(13b)と長さ750μmの後部回折格子領域(13c)とを形成している。
【0096】
図14は、回折格子の周期構成を示す図である。図14に示すように、回折格子は、1400nmに一致する周期Λ1から1500nmに一致する周期Λnまでリニアにチャープされている。このリニアなチャープ周期Δsは各回折格子内の反射モード間隔を決定する。ここで、図13に示した回折格子領域(13b)の反射モード間隔は9.7nmであり、回折格子領域(13c)の反射モード間隔は8.7nmである。このような回折格子構造は、上述したバーニア効果に要求されるモード間隔の違いを与える。
【0097】
図15は、図13に示した半導体レーザ装置における前部回折格子領域と後部回折格子領域の反射モードの波長間隔を示している。図15において波長λ1〜λnは、反射率2%以下の前部回折格子領域における選択波長を示し、波長λ1´〜λn´は、反射率95%以上の後部回折格子領域における選択波長を示している。図15において、波長λ1と波長λ1´のみが一致し、その他の波長、たとえば、波長λ2と波長λ2´、波長λ3と波長λ3´、などは一致していない。この場合、前部回折格子領域あるいは後部回折格子領域のいづれか一方あるいは双方に対する電流注入量を変化させて反射モードをシフトさせることによって、他の波長、たとえば波長λ2と波長λ2´のみを一致させることができる。このようにして、広範囲の波長シフトを実現できる可変波長レーザとしての半導体レーザ装置が得られる。
【0098】
図16は、図13に示した半導体レーザ装置のマルチモード可変波長範囲を示す図である。図16では、電流変化量±80mAで、103nmという広範囲の波長シフトを実現している。
【0099】
さらに、この実施の形態4の変形例について説明する。この変形例では図13に対応した半導体レーザ装置であるが、後部回折格子領域が電流注入変化されずに、固定されたやや平坦な反射特性を有する回折格子が含まれ波長選択特性はシフトしない。これに対し、前部回折格子領域には電流注入変化が与えられ、離散的な反射モードλ1〜λnが広範囲に出現している。図17は、この変形例に対応した後部回折格子領域と前部回折格子領域の選択波長特性を示す図である。上述したように、後部回折格子領域の選択波長特性は固定であり、平坦な特性を有するため、この後部回折格子領域の選択波長領域に含まれる前部回折格子領域の反射モードの複数の波長が選択されることなる。したがって、マルチモードスペクトルの出力が複数選択されるが、この選択されたマルチモードスペクトルのうちの不要なマルチモードスペクトルは、選択的な減衰機構を用い、あるいは半導体レーザ装置の外部に波長減衰器を接続することによって排除すればよい。
【0100】
なお、上述した実施の形態2,3も同様に適用することができ、チャーピングによって選択波長スペクトルを広げるようにしてもよい。また、半導体レーザ装置のGRIN−SCH−MQW活性層3に注入される電流は、p側電極10b,10cに注入される電流も加えられた値であり、この電流値で半導体レーザ装置の出力が決定される。したがって、p側電極10b,10cに加えられる電流量を加味したレーザ出力の電流制御を行う必要がある。
【0101】
(実施の形態5)
次に、この発明の実施の形態5について説明する。この実施の形態5では、上述した実施の形態1〜4に示した半導体レーザ装置をモジュール化したものである。
【0102】
図18は、この発明の実施の形態5である半導体レーザモジュールの構成を示す縦断面図である。本実施の形態5にかかる半導体レーザモジュールは、上述した実施の形態1〜4で示した半導体レーザ装置に対応する半導体レーザ装置51を有する。なお、この半導体レーザ装置51は、p側電極がヒートシンク57aに接合されるジャンクションダウン構成としている。半導体レーザモジュールの筐体として、セラミックなどによって形成されたパッケージ59の内部底面上に、温度制御装置としてのペルチェ素子58が配置される。ペルチェ素子58上にはベース57が配置され、このベース57上にはヒートシンク57aが配置される。ペルチェ素子58には、図示しない電流が与えられ、その極性によって冷却および加熱を行うが、半導体レーザ装置51の温度上昇による発振波長ずれを防止するため、主として冷却器として機能する。すなわち、ペルチェ素子58は、レーザ光が所望の波長に比して長い波長である場合には、冷却して低い温度に制御し、レーザ光が所望の波長に比して短い波長である場合には、加熱して高い温度に制御する。この温度制御は、具体的に、ヒートシンク57a上であって、半導体レーザ装置51の近傍に配置されたサーミスタ58aの検出値をもとに制御され、図示しない制御装置は、通常、ヒートシンク57aの温度が一定に保たれるようにペルチェ素子58を制御する。また、図示しない制御装置は、半導体レーザ装置51の駆動電流を上昇させるに従って、ヒートシンク57aの温度が下がるようにペルチェ素子58を制御する。このような温度制御を行うことによって、半導体レーザ装置51の出力安定性を向上させることができ、歩留まりの向上にも有効となる。なお、ヒートシンク57aは、たとえばダイヤモンドなどの高熱伝導率をもつ材質によって形成することが望ましい。これは、ヒートシンク57aがダイヤモンドで形成されると、高電流印加時の発熱が抑制されるからである。
【0103】
ベース57上には、半導体レーザ装置51およびサーミスタ58aを配置したヒートシンク57a、第1レンズ52、および電流モニタ56が配置される。半導体レーザ装置51から出射されたレーザ光は、第1レンズ52、アイソレータ53、および第2レンズ54を介し、光ファイバ55上に導波される。第2レンズ54は、レーザ光の光軸上であって、パッケージ59上に設けられ、外部接続される光ファイバ55に光結合される。なお、電流モニタ56は、半導体レーザ装置51の反射膜側から漏れた光をモニタ検出する。
【0104】
ここで、この半導体レーザモジュールでは、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に戻らないように、半導体レーザ装置52と光ファイバ55との間にアイソレータ53を介在させている。このアイソレータ53には、ファイバグレーディングを用いた従来の半導体レーザモジュールと異なり、インライン式のファイバ型でなく、半導体レーザモジュール内に内蔵できる偏波依存型のアイソレータを用いることができるため、アイソレータによる挿入損失を小さく、さらに低い相対強度雑音(RIN)を達成することができ、部品点数も減らすことができる。
【0105】
この実施の形態5では、実施の形態1〜4で示した半導体レーザ装置をモジュール化しているため、偏波依存型のアイソレータを用いることができ、挿入損失を小さくすることができ、低雑音化および部品点数の減少を促進することができる。
【0106】
(実施の形態6)
次に、この発明の実施の形態6について説明する。この実施の形態6では、上述した実施の形態5に示した半導体レーザモジュールをラマン増幅器に適用したものである。
【0107】
図19は、この発明の実施の形態6であるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。このラマン増幅器は、WDM通信システムに用いられる。図19において、このラマン増幅器は、上述した実施の形態5に示した半導体レーザモジュールと同一構成の半導体レーザモジュール60a〜60dを用い、図22に示した半導体レーザモジュール182a〜182dを、上述した半導体レーザモジュール60a〜60dに置き換えた構成となっている。
【0108】
各半導体レーザモジュール60a,60bは、偏波面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モードを有するレーザ光を偏波合成カプラ61aに出力し、各半導体レーザモジュール60c,60dは、偏波面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モードを有するレーザ光を偏波合成カプラ61bに出力する。ここで、半導体レーザモジュール60a,60bが発振するレーザ光は、同一波長である。また、半導体レーザモジュール60c,60dが発振するレーザ光は、同一波長であるが半導体レーザモジュール60a,60bが発振するレーザ光の波長とは異なる。これは、ラマン増幅が偏波依存性を有するためであり、偏波合成カプラ61a,61bによって偏波依存性が解消されたレーザ光として出力するようにしている。
【0109】
各偏波合成カプラ61a,61bから出力された、異なる波長をもったレーザ光は、WDMカプラ62によって合成され、合成されたレーザ光は、WDMカプラ65を介してラマン増幅用の励起光として増幅用ファイバ64に出力される。この励起光が入力された増幅用ファイバ64には、増幅対象の信号光が入力され、ラマン増幅される。
【0110】
増幅用ファイバ64内においてラマン増幅された信号光(増幅信号光)は、WDMカプラ65およびアイソレータ66を介してモニタ光分配用カプラ67に入力される。モニタ光分配用カプラ67は、増幅信号光の一部を制御回路68に出力し、残りの増幅信号光を出力レーザ光として信号光出力ファイバ70に出力する。
【0111】
制御回路68は、入力された一部の増幅信号光をもとに各半導体レーザモジュール60a〜60dのレーザ出力状態、たとえば光強度を制御し、ラマン増幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィードバック制御する。
【0112】
この実施の形態6に示したラマン増幅器では、たとえば図22に示した半導体発光素子180aとファイバグレーディング181aとが偏波面保持ファイバ71aで結合された半導体レーザモジュール182aを用いず、実施の形態1〜4で示した半導体レーザ装置が内蔵された半導体レーザモジュール60aを用いるようにしているので、偏波面保持ファイバ71aの使用を削減することができる。なお、上述したように、各半導体レーザモジュール60a〜60dは、複数の発振縦モードを有しているため、偏波面保持ファイバ長を短くすることができる。この結果、ラマン増幅器の小型軽量化とコスト低減を実現することができる。
【0113】
なお、図19に示したラマン増幅器では、偏波合成カプラ61a,61bを用いているが、図20に示すように半導体レーザモジュール60a,60cから、それぞれ偏波面保持ファイバ71を介して直接WDMカプラ62に光出力するようにしてもよい。この場合、半導体レーザモジュール60a,60cの偏波面は、偏波面保持ファイバ71に対して45度となるように入射する。これによって、偏波面保持ファイバ71から出力される光出力の偏波依存性をなくすことができ、一層、小型かつ部品点数の少ないラマン増幅器を実現することができる。
【0114】
また、半導体レーザモジュール60a〜60d内に内蔵される半導体レーザ装置として発振縦モード数が多い半導体レーザ装置を用いると、必要な偏波面保持ファイバ71の長さを短くすることができる。特に、発振縦モードが4,5本になると、急激に、必要な偏波面保持ファイバ71の長さが短くなるため、ラマン増幅器の簡素化と小型化を促進することができる。さらに、発振縦モードの本数が増大すると、コヒーレント長が短くなり、デポラライズによって偏光度(DOP:Degree Of Polarization)が小さくなり、偏波依存性をなくすことが可能となり、これによっても、ラマン増幅器の簡素化と小型化とを一層促進することができる。
【0115】
また、このラマン増幅器では、ファイバグレーディングを用いた半導体レーザモジュールに比して光軸合わせが容易であり、共振器内に機械的な光結合がないため、この点からも、ラマン増幅の安定性、信頼性を高めることができる。
【0116】
さらに、上述した実施の形態1〜4の半導体レーザ装置では、複数の発振モードを有しているため、誘導ブリルアン散乱を発生させずに、高出力の励起光を発生することができるので、安定し、かつ高いラマン利得を得ることができる。
【0117】
また、図19および図20に示したラマン増幅器は、後方励起方式であるが、上述したように、半導体レーザモジュール60a〜60dが安定した励起光を出力するため、前方励起方式であっても、双方向励起方式であっても、安定したラマン増幅を行うことができる。
【0118】
この図9あるいは図10に示したラマン増幅器は、上述したようにWDM通信システムに適用することができる。図12は、図9あるいは図10に示したラマン増幅器を適用したWDM通信システムの概要構成を示すブロック図である。
【0119】
図11において、複数の送信機Tx1〜Txnから送出された波長λ1〜λnの光信号は、光合波器80によって合波され、1つの光ファイバ85に集約される。この光ファイバ85の伝送路上には、図9あるいは図10に示したラマン増幅器に対応した複数のラマン増幅器81,83が距離に応じて配置され、減衰した光信号を増幅する。この光ファイバ85上を伝送した信号は、光分波器84によって、複数の波長λ1〜λnの光信号に分波され、複数の受信機Rx1〜Rxnに受信される。なお、光ファイバ85上には、任意の波長の光信号を付加し、取り出したりするADM(Add/Drop Multiplexer)が挿入される場合もある。
【0120】
なお、上述した実施の形態6では、実施の形態1〜4に示した半導体レーザ装置あるいは実施の形態5に示した半導体レーザモジュールを、ラマン増幅用の励起光源に用いる場合を示したが、これに限らず、たとえば、980nm,1480nmなどのEDFA励起用光源として用いることができるのは明らかである。
【0121】
(実施の形態7)
次に、この発明の実施の形態7について説明する。この実施の形態7は、上述した実施の形態5に示した半導体レーザモジュールのうち、特に実施の形態3もしくは実施の形態4に示した半導体レーザ装置を使用したものをラマン増幅器の励起光源として適用したものである。
【0122】
本実施の形態では、図19に示すラマン増幅器において、半導体レーザモジュール60a〜60dには実施の形態4に示した半導体レーザ装置が使用されており、駆動電流を制御することで光出力を制御できるだけでなく、外部からIbおよび/もしくはIcを与えることによって発振波長を任意に変化させることができる。また、制御回路68は例えば図24に示すように、中央制御部101、波長制御部102、励起光出力制御部103から構成されている。さらに、波長制御部102は図25に示すように、波長分波器111、受光器115、波長調節回路105から構成されている。
【0123】
図19に示すラマン増幅器において、増幅用ファイバ64を伝搬してきた信号光は、ラマン増幅されたのちにモニタ光分配用カプラ67でその一部が分岐され、制御回路68に導入される。このモニタ光は図24に示すように、制御回路68を構成する波長制御部102に導入される。波長制御部102では、ラマン増幅された信号光出力の波長特性が測定される。
【0124】
波長制御部102の動作の詳細について、図25を用いて説明する。モニタ光はまず波長分波器111で各波長成分に分波され、複数の受光器115に導入される。複数の受光器115で検出された各波長の信号光強度情報は、電気信号に変換されて波長調節回路105から中央制御部101および励起光出力制御部103に送られる。
【0125】
図24ではモニタ光分配用カプラ67は増幅用ファイバ64の後方側にのみ設置しているが、もちろん、増幅用ファイバの前方にも設置して同様に波長分波器111、複数の受光器115と接続し、増幅用ファイバへの入力光の波長依存性をモニタしてもよい。受光器115を波長制御回路に接続し、増幅用ファイバの前後で信号光強度の波長特性をモニタすることにより、利得の波長特性を測定することができる。
【0126】
中央制御部101には所望の利得波長プロファイルを得るために必要な情報および演算手段等がメモリされており、目標とする利得波長特性との差から各励起光の波長および光出力の設定値を計算する。これらの情報が制御指令として波長制御部102および励起光出力制御部103に送られ、それをもとに波長制御部102および励起光出力制御部103は各励起光源の波長および出力を制御する。
【0127】
波長制御部は、その他に図26のような構成を取ることもできる。図26において、分岐器112はモニタ光分配用カプラ67で分岐された信号光の一部をさらに分岐の数だけ光パワーを等配分する。配分された信号光の一部は、バンドパスフィルタ113で各信号光波長成分のみ取り出されたのちに各受光器115に導入される。その後の過程は前述のものと同一であるので、説明は割愛する。
【0128】
なお、波長モニタの手段としては、上述のものの他に、光スペクトラムアナライザなどの測定器を用いてより精密な測定を行ってもかまわない。上述の方法においては、サンプリングする波長ポイントは最小で2箇所となる。この場合は利得波長プロファイルの傾きの情報のみが得られる。サンプリングポイントは多いほど精密な測定ができるが、各励起光のラマン利得が得られる波長、およびその間隔に合わせて設置したり、信号光波長に合わせる形で設置したりしてもよい。前者は利得の各ピークにモニタ波長が一致し、後者は信号光の一部にモニタ波長が一致するため、より正確な測定が期待できる。
【0129】
また、励起光源としては、本発明による広い可変波長域をもち、発光電流と独立に発振波長の制御を行うことができる半導体レーザ装置およびそれを適用した半導体レーザモジュールだけでなく、その他光出力と波長のそれぞれを制御でき、ラマン増幅に必要な特性が得られる光源であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0130】
以上のように、ラマン増幅器から出力される信号光の出力、もしくは利得の波長プロファイルをモニタし、その情報をもとに各励起光源の波長と光出力の両方にフィードバックをかけ制御することにより、より柔軟にかつ精密に最適なラマン増幅特性を得ることができるようになる。このフィードバック制御を繰り返し行うことによって、より最適に近い条件を得ることができるようになる。
【0131】
中央制御部101は、図24に示すように、ネットワークを介してその他複数の増幅器201、202およびリモートデバイスコントローラ121とも接続される。リモートデバイスコントローラ121はヒューマンインターフェースを有し、システム管理者が遠隔地からシステムを監視しながら、その他複数の増幅器201、202と共にシステム全体の伝送品質を所望のレベルに保つよう制御を行うことができる。リモートデバイスコントローラ121では、システム状態を左右するパラメータである各増幅器間のファイバ損失や励起光間ラマン効果、その他付加された損失媒体などの情報を加味してシミュレーション等を行い、各増幅器ごとに最適な波長および励起光出力の条件を算出し、その結果をもとに各増幅器に対し動作条件や指令等を送るようにすることができる。なお、このようにして計算したり測定で得た情報は、リモートデバイスコントローラや中央制御部101にメモリしておき、ラマン増幅器を動作させる際の設定条件として使用することができる。
【0132】
(実施の形態8)
次に、この発明の実施の形態8について説明する。以後の実施の形態においては、実施の形態7で示された半導体レーザモジュールを波長可変励起光源と称する。この実施の形態8は図27に示すように、波長可変励起光源141〜145が波長合波器132で合波され、そののち波長可変励起光源146と合波器131を介して接続されている。各波長可変励起光源141〜146は、実施の形態3もしくは実施の形態4に示した半導体レーザ装置を用いたレーザモジュールを使用している。なお、波長制御部102等を含む制御回路68やリモートデバイスコントローラ121等、実施の形態7で説明したものはこれと同様であり、特に図示はしない。
【0133】
波長合波器132は、マッハツェンダ型や多層膜フィルタ型などが用いられる。波長可変励起光源141〜145は、あらかじめ合波器によって決められる波長に調節される。これらはそれぞれ順に、211THz〜207THzまで、1THz間隔で波長設定されている。合波器131は、偏波合成器や波長合波器などが使用できるが、本実施の形態では波長可変励起光源145の設定波長である207THz(1448.3nm)から2THz(約6nm)程度長波長側のところより始まり少なくとも2THz(約25nm)の間はほぼ一定の透過率を有する多層膜フィルタ型の波長合波器を使用している。このような合波器を用いることで、波長可変励起光源146の波長を変化させ、ラマン利得帯域を変化させることができる。なお、本実施の形態においては、ラマン利得の励起光偏波依存性を解消するためのデポラライザ(図示しない)は、各波長可変励起光源141〜146の出力用光ファイバか、合波器131の直後に取り付けられる。
【0134】
波長可変励起光源146の設定波長を、上記の条件下では205THzから204THzまで、励起光源145との波長間隔が2THzから3THzまで0.5THz間隔で変化させた時のラマン利得波長プロファイルを図28〜33に示す。図28、30、32はそれぞれ波長間隔が2、2.5、3THzの利得波長プロファイル、図29、31、33はそれらの拡大図を示している。図中、「A」は増幅器全体でのラマン利得プロファイル、「B」は励起光源141〜145によるトータルのラマン利得プロファイル、「C」は波長可変励起光源146によるラマン利得プロファイルを示す。また、各図において、細線はそれぞれ、励起光源141〜145単独のラマン利得プロファイルを示す。
【0135】
図29、31、33を比較すると、波長可変励起光源146の発振波長を2THz変化させることで、平坦な利得が得られる帯域が、3THzから5THzまで拡大できることがわかる。しかし反面、若干のリップルが発生し、平坦性は低下している。
【0136】
波長合波器132はフィルタ型でもマッハツェンダ型でもよい。マッハツェンダ型は透過帯域が狭いことから、その中で各波長可変光源の発振波長を変化させるのには適さない。しかし、多層膜フィルタ型の場合は、各励起波長の間隔の設定によって設計を変えられ、所定の帯域では平坦な透過特性が得られるため、本実施例のように長波長側の励起光源だけでなく、各励起光源の波長を変えられるように設定することも可能である。例えば、波長可変励起光源141〜145までの波長間隔を本実施例の1THz程度からそれぞれ、2THz程度にすることによって、各波長可変励起光源の波長調節幅は約1THz程度得ることができる。各励起光源の波長間隔は、だいたい6〜35nm(約1〜4THz程度)の間にあれば概ね平坦な利得プロファイルが得られることがわかっている。
【0137】
なお、本実施の形態においては6つの波長可変励起光源141〜146を使用したが、波長可変励起光源141〜145までは波長可変機能を有する励起光源でなく通常の励起光源を使用しても良い。その場合は、波長可変励起光源146のみで増幅帯域の調節を行う。
【0138】
(実施の形態9)
次に、この発明の実施の形態9について説明する。本実施の形態は、実施の形態8の構成において合波器131は持たず、波長合波器132が5波でなく8波であり、第1から第8までの励起光源がそれぞれ211〜204THzまで、1THzおきになるよう、波長が調節され配置されている。すなわち、第1から第5までの励起光源は実施の形態8と同一であるが、本実施例では第6の励起光源は動作させず、第7と第8の励起光源を動作させている。この場合も、デポラライザは図示しないが、各波長可変励起光源の出力用ファイバか、波長合波器132の直後に接続される。
【0139】
図34に本実施例によるラマン増幅器の利得プロファイル全体を、図35に拡大図を示す。実施の形態8において、図33で示した結果と同程度の利得帯域が確保されていることが、図35からわかる。しかし、図32のCで示したように、実施の形態8においては波長可変励起光源146の1つだけで約8dBの利得を確保しているのに対し、本実施の形態では図34細線のうち、右側の2つ(第7および第8の励起光源によるラマン利得プロファイル)の光源によって同等の利得を確保している(図34のC)。そのため、第7および第8の励起光源は、単独では約5dB以下のラマン利得となっている。このように動作させることで、個々の励起光源に対する負荷を低減させることが可能となる。
【0140】
本実施の形態のように、励起波長数が多い方が同等の特性を確保する上でもより柔軟にシステム全体の設計を行うことができる。なお、励起波長数は本実施形態のものに限らず、より多くても少なくてもよい。
【0141】
(実施の形態10)
次に、この発明の実施の形態10について説明する。図27に示すラマン増幅器において、合波器131として偏波合成器を使用する。この場合は、波長可変励起光源141〜146、および波長合波器132からの出力ファイバは偏波保持ファイバからなる。なお、波長可変励起光源146に偏波合成される励起光源は、必ずしも複数の波長可変励起光源141〜145が波長合波器132のようなもので合波されている必要はなく、また波長可変励起光源である必要もない。すなわち、少なくとも1つの励起光源があればよい。したがって、最小限の場合、1つの波長可変励起光源を含む2つの励起光源が合波器131(偏波合成器)によって偏波合成されればよいことになる。この場合、デポラライザは合波器131(偏波合成器)の直後に取り付けられる。
【0142】
図27に示すラマン増幅器の合波器131に偏波合成器を用いた場合、通常の増幅器動作は波長可変励起光源141〜145を使用することによって行う。波長可変励起光源146はこの状態では動作しておらず、そのため励起光も発生しない。波長可変励起光源146は、その他の励起光源のいずれか1つが何らかの理由によって通常の光出力特性が得られなくなった場合に動作するようになっており、いわゆる冗長系を構成している。
【0143】
本実施の形態におけるラマン増幅器の動作時、増幅された信号光出力の波長プロファイルは図示されない制御回路68によってモニタされており、波長可変励起光源141〜145のいずれかが正常な動作を行わなくなった場合には、それによって起こる信号光出力の波長プロファイルの変化を検知する。制御回路68はその変化がどの励起光波長に起因するのかを解析し、正常な状態に復帰させるために最適な励起波長に波長可変励起光源146の波長を調節し、適切な駆動電流によって励起光強度を調節する。このようにして本発明による波長可変励起光源146を使用することにより、予備の励起光源を余分に用意する必要もなく、非常に広いラマン増幅帯域をカバーする冗長構成が非常に簡便に実現される。その結果、励起光源に起因するトラブルに対しても非常に信頼度の高いラマン増幅器を構成することができる。
【0144】
本実施の形態において合波器に偏波合成器を使用することと実施の形態8において波長合波器を使用することの相違点は次に説明する通りである。まず実施の形態8の様に波長合波器を使用する場合は、波長合波器の特性上、波長可変励起光源146の波長をその他励起光源の波長帯域と重複させることができない。すなわち、この場合は波長可変励起光源146は帯域拡張の用途に使用される。
【0145】
偏波合成器を合波器として使用する場合は、合波される波長可変励起光源146からの励起光ともう一方の励起光は互いに直交する偏光状態を有しているため、両者の波長は一致していても違っていても構わない。実際、複屈折結晶等を使用した偏波合成器は合波する光の波長が20〜30nm程度違っていても、過剰な損失がほとんどなく合波できることが知られている。すなわち、偏波合成器を使用する場合は、帯域拡張の用途と冗長系を構成する用途の両方で使用することができる。
【0146】
(実施の形態11)
次に、この発明の実施の形態11について説明する。図36に示すように複数の光ファイバ増幅器151a〜151cが光伝送路上に縦列に接続されている。複数の光ファイバ増幅器はラマン増幅器であっても、エルビウムなどに代表される、希土類を添加したファイバを増幅媒体として使用した光ファイバ増幅器であってもよい。図面左側より光ファイバ増幅器151aに入力した信号光は、光ファイバ増幅器151b、151cによって順次増幅された後に画面右側より出力される。図37の図中、Aに光ファイバ増幅器151a〜151cによる信号光の利得プロファイルを示す。図示されたように、この状態での利得プロファイルには波長λa、λb付近に利得のくぼみがある。
【0147】
光ファイバ増幅器151cの出力後には、WDMカプラ65を介して波長可変励起光源152が接続される。この波長可変励起光源152は図示されない制御回路68によって、少なくとも図37中、λa〜λbを含む波長帯において、自由に発振波長を設定することができるようになっている。
【0148】
図示されない制御回路68は、この利得のくぼみを検知したのち、利得プロファイル全体の情報から波長可変励起光源152が最も効果的にこれを補償することができる波長を演算する。その結果によって、制御回路68は波長可変励起光源152の発振波長および駆動電流を設定し制御する。
【0149】
図37の図中、B1aとB1bはそれぞれ、波長可変励起光源の発振波長がλa、λbに設定され、適切な光出力に制御された場合を示している。このように、本発明による波長可変励起光源を適切に制御することにより、効果的に所望の利得プロファイル(この場合は波長に対し平坦な利得プロファイル)により近いものを得ることができるようになる。
【0150】
このような構成は、例えばエルビウムドープ光ファイバ増幅器(EDFA)の利得プロファイルの平坦化などに有効である。EDFAの利得プロファイルは波長依存性が大きいため、従来は利得等価器(GEQ)などを使用し、利得が高い波長に対し損失を与えることで増幅帯域全体として平坦な利得プロファイルを得ていた。この方法には効率が悪いことや、雑音特性が低下するなどの問題がある。またそれだけでなく、利得を調整するために励起光出力を調節した際、平坦な利得プロファイルを維持することができない。
【0151】
本実施の形態のように波長可変励起光源を用いることによって、利得が低い波長帯域を重点的に増幅し効率を改善することができ、雑音特性も改善できる。また、EDFAの利得を変化させた時にもそれに応じて波長可変励起光源の波長と励起光出力を制御し、適切なラマン利得を得ることによって平坦な利得プロファイルを維持することができるようになる。
【0152】
(実施の形態12)
次に、この発明の実施の形態12について説明する。図38において、光伝送路上に複数のラマン増幅用励起光源161〜163が縦列にWDMカプラ65を介して接続されている。各ラマン増幅用励起光源はそれぞれ、n個の波長可変励起光源からなるものとする。合波器、デポラライザ、アイソレータなどの各機能部品については図示しないが、それぞれ適切な場所に配置されているものとする。
【0153】
ラマン増幅用励起光源161の励起光波長の組合せを、図38に示すようにλ1、λ2・・λnとする。このとき図39のAに示されたような利得プロファイルが得られた。図示されたように励起光源の利得ピークに対応した波長が凸となっており、その中間には利得のくぼみがある。ラマン増幅用励起光源162、163の各波長可変励起光源はそれぞれ図示されない制御装置68によって、この利得のくぼみを補償し平坦な利得プロファイルが得られるよう、最適な発振波長と励起光出力に設定される。このようにして設定された励起光源162、163の励起波長の組合せはそれぞれ、図38に示したようにλ11、λ12・・λ1n、および、λ21、λ22・・λ2nとなった。図39のBとCに、その結果得られた励起光源162、163の利得プロファイルを示す。BとCは、それぞれAのパターンとは少しずつずれ、Aのくぼみを補って全体として平坦な利得プロファイルが得られるように設定されている。
【0154】
図38の各波長可変励起光源の発振波長λ1、λ2・・λn、λ11、λ12・・λ1n、および、λ21、λ22・・λ2nは必ずしも図39A〜Cのような利得プロファイルに設定されるとは限らない。その組合せは発振波長を決定するための最適化手法によって異なる組合せとなる場合もある。最適化手法の一つとして、利得プロファイルの波形をフーリエ変換などによって解析し、各励起光源の利得波形が凹凸を打ち消しあうようにするものなどがあげられる。
【0155】
(実施の形態13)
次に、この発明の実施の形態13について説明する。本実施の形態は図40に示すように、一つの波長可変励起光源171からなるラマン増幅器である。波長可変励起光源171から出力された励起光は、図示しないデポラライザ、アイソレータ等を経てWDMカプラ65によって光伝送路に導入され、信号光と合波される。
【0156】
図41に本実施の形態によるラマン増幅器の利得プロファイルを示す。励起光源は1波のみなので、増幅帯域を広く取ることができない反面(図中、Ra0とRa1)、励起光源の発振波長が広い範囲(図中、Rp)で調節することができる。実施の形態4に示された半導体レーザ装置が波長可変励起光源171の発光素子として使用された場合、Rpは103nmという広範囲で調節される。信号光の増幅波長帯域(図中、Rs)も同程度が確保される。すなわち、1種類の励起光源のみ用意されれば、100nm以上の範囲におよぶ多様な増幅器の仕様に対応できることになり、かつ、同一のラマン増幅器を波長の異なるラマン増幅器として使用する際にも最小限の変更で済ませることができ、非常に経済的である。
【0157】
【発明の効果】
以上説明したように、の発明によれば、回折格子が配置された一部領域上に配置された第3の電極と、それ以外の領域に配置された第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離された構成としたため、光発光出力を制御する電流と、回折格子の屈折率変化を制御する電流とを別々に印加することができるという効果を奏する。
【0158】
また、の発明によれば、回折格子に流入する電流が一様でなく、場所に応じて電流密度が異なるため、回折格子を構成する各格子の屈折率を任意に変化させることができるという効果を奏する。
【0159】
また、の発明によれば、第3の電極と第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離することで光出力制御のための電流と、回折格子の屈折率制御のための電流とを別々に制御することができ、櫛形構造を有することで、回折格子に流入する電流の密度を場所に応じて変化させることにより回折格子を構成する各格子の屈折率を任意に変化させることができるという効果を奏する。
【0160】
また、の発明によれば、前記回折格子の上部に形成された前記第3の電極あるいは前記第1の電極に印加する電流量を変化させて前記特定の中心波長をシフトさせるようにし、マルチモード発振の可変波長レーザを実現することができるという効果を奏する。
【0161】
また、の発明によれば、前記第3の電極と前記第5の電極とに対する少なくとも一方の電流量を変化させ、前記回折格子の反射モード間隔と前記他の回折格子の反射モード間隔との差に基づいて前記特定の中心波長をシフトさせるようにし、大きなシフト量を有するマルチモード発振の可変波長レーザを実現することができるという効果を奏する。
【0162】
また、の発明によれば、活性層を上下からクラッド層で挟み込む構造とすることで、ダブルへテロ構造となり活性層にキャリアが集中するため、高い効率でレーザ発振する半導体レーザ装置を実現できるという効果を奏する。
【0163】
また、の発明によれば、この発明の半導体レーザ装置を用いることで、ファイバグレーディングを不要とし光軸あわせなどをおこなう必要がなく、組立容易でありかつ機械的振動などによって発振特性が変化することのない半導体レーザモジュールを実現することができるという効果を奏する。
【0164】
また、の発明によれば、光検出器を設けることで光出力のモニタが可能で光出力の安定化を図ることができ、アイソレータを備えたことで外部からの反射光を防ぐことができるという効果を奏する。
【0165】
また、の発明によれば、上記半導体レーザ装置もしくは半導体レーザモジュールを含むことによって高いラマン利得を有し、かつ安定した増幅をおこなうことのできる光ファイバ増幅器を実現することができるという効果を奏する。
【0166】
また、の発明によれば、ラマン増幅によりおこなうことでより好適に光り増幅をおこなうことができるという効果を奏する。
【0167】
また、の発明によれば、柔軟に励起光波長を制御することにより容易に所望の利得波長特性を満足するラマン増幅を行うことができるという効果を奏する。
【0168】
また、の発明によれば、励起光波長を任意に制御することにより励起光源を交換することなく容易に増幅帯域を変化させることが可能な光ファイバ増幅器を与えることができるという効果を奏する。
【0169】
また、の発明によれば、波長合波器の適用波長帯を適切なものに設定することによって、より広範囲の波長帯に適用可能な増幅帯域可変の光ファイバ増幅器を与えることができるという効果を奏する。
【0170】
また、の発明によれば、レーザ光の波長を制御する手段を有する励起光源によって、その他の任意の励起光源が所定の増幅利得を発生しなくなった場合でも速やかに所定の光増幅特性に復帰させることのできる、信頼度の高い光増幅器を与えることができるという効果を奏する。
【0171】
また、の発明によれば、複数の光ファイバ増幅器が互いに増幅利得の波長特性を補償しあうことによって、システム全体として常に好適な光信号強度を保つことができるという効果を奏する。
【0172】
また、の発明によれば、この発明の光ファイバ増幅器の動作状況をシステム管理者が随時管理し、適切な増幅特性を保つための作業を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0173】
また、の発明によれば、光通信システムの動作状況をシステム管理者が監視し、システム全体として常に好適な光増幅特性を保つように複数の光ファイバ増幅器を統合的に制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。
【図2】図1に示した半導体レーザ装置のA−A線断面図である。
【図3】図1に示した半導体レーザ措置において、1つの中心波長に関する発振波長スペクトルと発振縦モードとの関係図である。
【図4】単一発振縦モードと複数発振縦モードとのレーザ光出力パワーの関係および誘導ブリルアン散乱のしきい値を示す図である。
【図5】後部端面と前部回折格子領域における反射モードスペクトルを示す図である。
【図6】回折格子に電流注入した場合における発振波長の注入電流依存性を示す図である。
【図7】実施の形態2にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。
【図8】(a)は、実施の形態2におけるp側電極の構造の一例を示す模式図であり、(b)は、(a)の構造により回折格子の屈折率を考慮した実効的な周期の変動を示すグラフ図である。
【図9】(a)は、実施の形態2におけるp側電極の構造の一例を示す模式図であり、(b)は、(a)の構造を有する場合に半導体レーザ装置が出力するレーザ光の複合発振波長スペクトルを示すグラフ図である。
【図10】実施の形態3にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。
【図11】実施の形態4にかかる半導体レーザ装置の構造を示す側面断面図である。
【図12】後部回折格子領域と前部回折格子領域における反射モードスペクトルを示す図である。
【図13】この発明の実施の形態4である半導体レーザ装置の具体例を示す破断図である。
【図14】回折格子の周期設定を示す図である。
【図15】バーニア効果を説明する図である。
【図16】回折格子への電流注入による発振波長の注入電流依存性を示す図である。
【図17】この発明の実施の形態4の変形例を説明する図である。
【図18】実施の形態5にかかる半導体レーザモジュールの構成を示す側面断面図である。
【図19】実施の形態6にかかるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図20】実施の形態6にかかるラマン増幅器の変形例の構成を示すブロック図である。
【図21】実施の形態6にかかるラマン増幅器を用いたWDM通信システムの概要構成を示すブロック図である。
【図22】従来のラマン増幅器の概要構成を示すブロック図である。
【図23】従来のラマン増幅器に用いる半導体レーザモジュールの構成を示す図である。
【図24】本発明に関するラマン増幅器の制御回路の詳細を説明する図である。
【図25】本発明に関するラマン増幅器の制御回路に使用する波長制御部の構成を説明する図である。
【図26】本発明に関するラマン増幅器の制御回路に使用する波長制御部のその他の構成について説明する図である。
【図27】実施の形態8、実施の形態10にかかるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図28】実施の形態8において、波長可変励起光源の設定波長を、隣り合う励起光源の波長との間隔が2THzになるように調節した際のラマン増幅器のラマン利得プロファイルを示すグラフ図である。
【図29】図28のラマン利得帯域を拡大したグラフ図である。
【図30】実施の形態8において、波長可変励起光源の設定波長を、隣り合う励起光源の波長との間隔が2.5THzになるように調節した際のラマン増幅器のラマン利得プロファイルを示すグラフ図である。
【図31】図30のラマン利得帯域を拡大したグラフ図である。
【図32】実施の形態8において、波長可変励起光源の設定波長を、隣り合う励起光源の波長との間隔が3THzになるように調節した際のラマン増幅器のラマン利得プロファイルを示すグラフ図である。
【図33】図32のラマン利得帯域を拡大したグラフ図である。
【図34】実施の形態9にかかるラマン増幅器のラマン利得プロファイルを示すグラフ図である。
【図35】図34のラマン利得帯域を拡大したグラフ図である。
【図36】実施の形態11にかかるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図37】実施の形態11にかかるラマン増幅器の動作による利得波長プロファイルの制御の概念を示す図である。
【図38】実施の形態12にかかるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図39】実施の形態12にかかるラマン増幅器の動作による利得波長プロファイルの制御の概念を示す図である。
【図40】実施の形態13にかかるラマン増幅器の構成を示すブロック図である。
【図41】実施の形態13にかかるラマン増幅器の動作による利得波長プロファイルの制御の概念を示す図である。
【符号の説明】
1 n−InP基板
2 n−InPクラッド層
3 GRIN−SCH−MQW活性層
4 p−InPスペーサ層
6 p−InPクラッド層
8 p−InGaAsPコンタクト層
9a n−InPブロッキング層
9b p−InPブロッキング層
10a、10b、10c、24、24a、24b、25a、25b、27a、27b p側電極
11 n側電極
13 回折格子
14 高反射膜
15 低反射膜
16、26 電気的分離溝
20 発振波長スペクトル
21、22、23 発振縦モード
35 複合発振波長スペクトル
51 半導体レーザ装置
52 第1レンズ
53 アイソレータ
54 第2レンズ
55 光ファイバ
56 電流モニタ
57 ベース
57a ヒートシンク
58 ペルチェ素子
58a サーミスタ
59 パッケージ
60a〜60d 半導体レーザモジュール
61a,61b 偏波合成カプラ
62,65 WDMカプラ
63,66 アイソレータ
64 増幅用ファイバ
67 モニタ光分配用カプラ
68 制御回路
69 信号光入力ファイバ
70 信号光出力ファイバ
71 偏波面保持ファイバ
81,83 ラマン増幅器
101 中央制御部
102 波長制御部
103 励起出力制御部
105 波長調節回路
111 波長分波器
112 分岐器
113 バンドパスフィルタ
115 受光器
121 リモートデバイスコントローラ
122 ネットワーク
131 合波器
132 波長合波器
141〜146 波長可変励起光源
151a〜151c 光ファイバ増幅器
152 波長可変励起光源
161〜163 ラマン増幅用励起光源
171 波長可変励起光源
201、202 その他の増幅器

Claims (6)

  1. 第1導電型の半導体基板と、該半導体基板上に積層された第1導電型の半導体バッファ層と、該半導体バッファ層上に積層された活性層と、該活性層上に積層された第1の電極と、前記半導体基板下面に配置された第2の電極と、前記活性層上に積層された第2導電型のスペーサ層と、該第2導電型のスペーサ層の一部領域に配置され、特定の中心波長を有する複数の発振縦モードを備えたレーザ光を選択する回折格子と、を備え、前記第1の電極が、前記回折格子が配置された前記一部領域上に配置された第3の電極と、他の領域に配置された第4の電極とに空間的に、または、電気的に分離されている半導体レーザ装置と
    信号光と励起光とを合成するためのカプラと、
    増幅用光ファイバと、
    を備えたことを特徴とする光ファイバ増幅器。
  2. 前記増幅用光ファイバは、ラマン増幅により光を増幅することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ増幅器。
  3. 前記半導体レーザ装置は、前記回折格子の上部に形成された前記第3の電極に印加する電流量を変化させて前記特定の中心波長をシフトさせることを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ増幅器。
  4. 前記半導体レーザ装置は、前記第1導電型の半導体バッファ層と前記活性層との間に積層された第1導電型のクラッド層と、前記第2導電型のスペーサ層と前記第1の電極との間に積層された第2導電型のクラッド層と、をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の光ファイバ増幅器。
  5. 前記半導体レーザ装置の温度を制御する温調モジュールと、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合をおこなう光結合レンズ系と、を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の光ファイバ増幅器。
  6. 前方励起方式であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の光ファイバ増幅器。
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