JP2003234539A - 半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび光ファイバ増幅器 - Google Patents

半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび光ファイバ増幅器

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JP2003234539A
JP2003234539A JP2002033250A JP2002033250A JP2003234539A JP 2003234539 A JP2003234539 A JP 2003234539A JP 2002033250 A JP2002033250 A JP 2002033250A JP 2002033250 A JP2002033250 A JP 2002033250A JP 2003234539 A JP2003234539 A JP 2003234539A
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laser device
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light
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Naoki Tsukiji
直樹 築地
Jiyunji Yoshida
順自 吉田
Yasushi Oki
泰 大木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力時に誘導ブリルアン散乱の発生を抑制
する半導体レーザ装置を提供する。 【解決手段】 n−InP基板1上に順次n−InPバ
ッファ層2、GRIN−SCH−MQW活性層3、p−
InPスペーサ層4が積層され、n−InPバッファ層
2の上部領域、GRIN−SCH−MQW活性層3およ
びp−InPスペーサ層4はメサストライプ状の構造と
なっている。これに隣接してp−InPブロッキング層
8、n−InPブロッキング層9が積層されている。さ
らに、p−InPクラッド層6、p−GaInAsPコ
ンタクト層7、p側電極10が配置され、n−InP基
板1の裏面にはn側電極11が配置されている。p−I
nPスペーサ層4内には、回折格子13が配置されてい
る。回折格子13によって選択される中心波長は、ファ
ブリ・ペロー共振器によって選択される中心波長よりも
大きな値を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ光の出射端
面に設けられた第1反射膜と、該レーザ光の反射端面に
設けられた第2反射膜との間に形成された活性層とを備
えた半導体レーザ装置、半導体レーザ装置を含む半導体
レーザモジュールおよび光ファイバ増幅器に関し、特
に、高出力時に誘導ブリルアン散乱の発生を抑制できる
半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよび光フ
ァイバ増幅器に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インターネットをはじめとする光
通信の発展に伴い、長距離に渡って光信号を伝送するた
めに、伝送用光ファイバの途中に光ファイバ増幅器を配
置することが広くおこなわれている。この光ファイバ増
幅器は、光ファイバ中を信号光が伝送する途上におい
て、強度の低下した信号光を増幅することによって信号
光の強度を回復する。具体的には、エルビウムを添加し
た光ファイバ(以下、「EDF」と言う)を用いて増幅
する方式や、ラマン増幅を利用した方式などが提案さ
れ、実用化されている。また、EDFにおいて、海底に
敷設された伝送用光ファイバの途中で信号光の増幅をお
こなう場合に、励起光源を陸上に配置し、励起光源から
励起光伝送用光ファイバによって励起光をEDFに入射
させるいわゆるリモートポンプ式の光ファイバ増幅器が
提案されている。リモートポンプ式の光ファイバ増幅器
では、励起光源を陸上に配置することで、励起光源の保
守・交換を容易におこなうことができる。
【0003】ここで、光ファイバ増幅器における増幅利
得が大きいほど、配置する光ファイバ増幅器の数を低減
することができ、低コストで信号光の伝送をおこなうこ
とができる。そして、光ファイバ増幅器は、励起光源と
して機能する半導体レーザ装置を備えており、信号光の
増幅利得は一般に光ファイバ増幅器に備えられた半導体
レーザ装置から出射されるレーザ光の強度に対応する。
したがって、高い増幅利得を有する光ファイバ増幅器を
実現するためには、励起光源に使用する半導体レーザ装
置が高い光出力を有することが望ましい。このような理
由から、現在高出力半導体レーザ装置の開発が盛んにお
こなわれ、一部では励起光源として十分な光出力を有す
る半導体レーザ装置が実現している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、励起光源を構
成する半導体レーザ装置の高出力化にともなって、新た
な問題が生じている。上記したように、励起光源から出
射された励起光は光ファイバ中を伝送増幅用光ファイバ
に入射するが、一定の閾値よりも高い強度を有する光が
光ファイバに入射した場合、誘導ブリルアン散乱が発生
する。誘導ブリルアン散乱は、入射した光が音響波(フ
ォノン)と交互作用することによって散乱(反射)が生
ずる非線形光学現象である。フォノンのエネルギー相当
を失うことにより、約11GHz低い周波数の光が入射
光と逆方向に反射される現象として観測される。
【0005】ラマン増幅を用いた光ファイバ増幅を用い
た光ファイバ増幅器では、上述のように励起光の誘導ブ
リルアン散乱が発生する際には、入射した励起光の一部
は、後方に反射されてしまい、ラマン利得生成に寄与し
なくなる。また、この散乱光が意図しない雑音を生成す
る可能性がある。この励起光強度の低下は、励起光の伝
送距離が短い場合はそれほど問題とはならない。しか
し、上述のリモートポンプを用いた光ファイバ増幅器に
おいては、励起光源から増幅用光ファイバに到達するま
でに励起光の長距離伝送が必要であるため、光強度の低
下を無視することはできない。リモートポンプを用いた
光ファイバ増幅器の場合、通常の光ファイバ中における
光損失よりも高い割合で励起光の強度が低下することと
なるため、増幅用光ファイバにおいて、増幅利得が低下
するという問題が生じる。
【0006】上記従来技術の欠点に鑑みて、本発明は、
誘導ブリルアン散乱の発生を抑制する高出力半導体レー
ザ装置を実現することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1にかかる半導体レーザ装置は、レーザ光の
出射端面に設けられた第1反射膜と、該レーザ光の反射
端面に設けられた第2反射膜との間に形成された活性層
とを備えた半導体レーザ装置であって、前記第1反射膜
と前記第2反射膜とによって形成され、レーザ発振時に
第1波長を中心とした光を選択する光共振器と、前記活
性層近傍に配置され、レーザ発振時に前記第1波長に比
して大きな値を有する第2波長を中心とした複数の発振
縦モードを有する光を選択する回折格子とを備えたこと
を特徴とする。
【0008】請求項1の発明によれば、複数の発振縦モ
ードを選択する回折格子を有し、回折格子によって選択
される第2波長が光共振器によって選択される第1波長
よりも大きな値を有することとしたため、複数の発振縦
モードを有し、各発振縦モードの線幅が大きなレーザ光
を出射することができる。
【0009】また、請求項2にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、設計動作温度において設計動
作電流を注入した際に、前記第2波長が前記第1波長に
比して3nm以上大きな値を有することを特徴とする。
ここで「設計動作温度」とは、設計段階であらかじめ想
定されたレーザ発振時の温度のことをいい、通常は25
度である。ただし、この値は設計段階で任意に定めうる
ものであり、25度以外の温度でも良い。また、「設計
動作電流」とは、設計段階であらかじめ想定されたレー
ザ発振時に注入する電流の値をいう。
【0010】また、請求項3にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、設計動作温度において閾値電
流を注入した際に、前記第2波長が前記第1波長に比し
て8nm以上大きな値を有することを特徴とする。
【0011】また、請求項4にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記回折格子によって選択さ
れる第2波長が1100〜1550nmであることを特
徴とする。
【0012】また、請求項5にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記回折格子は、回折格子長
が300μm以下であることを特徴とする。
【0013】また、請求項6にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記回折格子の回折格子長
は、前記共振器長の(300/1300)倍の値以下で
あることを特徴とする。
【0014】また、請求項7にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記第1反射膜側または前記
第1反射膜近傍に設けられる回折格子は、該回折格子の
結合係数と回折格子長との乗算値が0.3以下であるこ
とを特徴とする。
【0015】また、請求項8にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記回折格子は、グレーティ
ング周期をランダムあるいは所定周期で変化させたこと
を特徴とする。
【0016】また、請求項9にかかる半導体レーザ装置
は、上記の発明において、前記第1反射膜と前記第2反
射膜との間に形成された活性層によって形成された共振
器の長さは、800μm以上であることを特徴とする。
【0017】また、請求項10にかかる半導体レーザモ
ジュールは、請求項1〜9に記載の半導体レーザ装置
と、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外
部に導波する光ファイバと、前記半導体レーザ装置と前
記光ファイバと光結合を行う光結合レンズ系とを備えた
ことを特徴とする。
【0018】また、請求項11にかかる半導体レーザモ
ジュールは、上記の発明において、前記半導体レーザ装
置の温度を制御する温度制御装置と、前記光結合レンズ
系内に配置され、光ファイバ側からの反射戻り光の入射
を抑制するアイソレータとをさらに備えたことを特徴と
する。
【0019】また、請求項12にかかる光ファイバ増幅
器は、請求項1〜9のいずれか一つに記載の半導体レー
ザ装置若しくは請求項10または11に記載の半導体レ
ーザモジュールを備えた励起光源と、信号光を伝送する
光ファイバと、該光ファイバと接続された増幅用光ファ
イバと、前記励起光源から出射される励起光を増幅用光
ファイバに入射させるためのカプラと、前記励起光源と
前記カプラとを接続する励起光伝送用光ファイバとを備
えたことを特徴とする。
【0020】また、請求項13にかかる光ファイバ増幅
器は、上記の発明において、前記増幅用光ファイバは、
ラマン増幅により光を増幅することを特徴とする。
【0021】また、請求項14にかかる光ファイバ増幅
器は、上記の発明において、前記増幅用光ファイバは、
エルビウム添加光ファイバであって、前記励起光源と前
記増幅用光ファイバとは遠隔に配置されることを特徴と
する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明に
かかる半導体レーザ装置、半導体レーザモジュールおよ
び光ファイバ増幅器の好適な実施の形態について説明す
る。図面の記載において同一または類似部分には同一あ
るいは類似な符号を付している。ただし、図面は模式的
なものであり、層の厚みと幅との関係、各層の厚みの比
率などは現実のものとは異なることに留意する必要があ
る。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や
比率が異なる部分が含まれていることはもちろんであ
る。
【0023】(実施の形態1)実施の形態1にかかる半
導体レーザ装置について説明する。図1は、本実施の形
態1にかかる半導体レーザ装置の概略斜視図を示し、図
2は、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の側面
断面図を示す。
【0024】まず、図1および図2を適宜参照して実施
の形態1にかかる半導体レーザ装置の構造を説明する。
本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、n−In
P基板1上に順次n−InPバッファ層2、GRIN−
SCH−MQW(Graded Index-Separate Confinement
Hetero structure Multi Quantum Well: 分布屈折率
分離閉じこめ多重量子井戸)活性層3、p−InPスペ
ーサ層4が積層されている。ここで、n−InPバッフ
ァ層2の上部領域、GRIN−SCH−MQW活性層3
およびp−InPスペーサ層4は光出射方向に長手方向
を有するメサストライプ状の構造となっており、この構
造に隣接してp−InPブロッキング層8、n−InP
ブロッキング層9が順に積層されている。p−InPス
ペーサ層4およびn−InPブロッキング層9上にはp
−InPクラッド層6、p−GaInAsPコンタクト
層7が積層されている。また、p−GaInAsPコン
タクト層7上にはp側電極10が配置され、n−InP
基板1の裏面にはn側電極11が配置されている。さら
に、図2で示すように、レーザ光出射端面に出射側反射
膜15が配置され、レーザ光出射端面と対向する反射端
面に反射側反射膜14が配置されている。そして、p−
InPスペーサ層4内には、回折格子13が配置されて
いる。
【0025】n−InPバッファ層2は、バッファ層と
しての機能の他に、クラッド層としての機能を有する。
具体的には、n−InPバッファ層2は、GRIN−S
CH−MQW活性層3の実効屈折率よりも低い屈折率を
有することでGRIN−SCH−MQW活性層3から発
生する光を縦方向に閉じ込める機能を有する。
【0026】GRIN−SCH−MQW活性層3は、分
布屈折率分離閉じ込め多重量子井戸構造を有し、p側電
極10およびn側電極11から注入されたキャリアを効
果的に閉じ込める機能を有する。GRIN−SCH−M
QW活性層3は複数の量子井戸層を有し、各量子井戸層
において量子閉じ込め効果を発揮する。この量子閉じ込
め効果によって、本実施の形態1にかかる半導体レーザ
装置は高い発光効率を有する。
【0027】p−GaInAsPコンタクト層7は、p
−InPクラッド層6とp側電極10との間をオーミッ
ク接合させるためのものである。p−GaInAsPコ
ンタクト層7にはp型不純物が大量にドープされてお
り、高不純物密度を有することでp側電極10との間で
オーミック接触を実現している。
【0028】p−InPブロッキング層8およびn−I
nPブロッキング層9は、注入された電流を内部で狭窄
するためのものである。本実施の形態1にかかる半導体
レーザ装置においては、p側電極10が陽極として機能
するため、電圧が印加された際にはn−InPブロッキ
ング層9とp−InPブロッキング層8との間には逆バ
イアスが印加される。そのため、n−InPブロッキン
グ層9からp−InPブロッキング層8に対して電流が
流れることはなく、p側電極10から注入された電流
は、狭窄されて高い密度でGRIN−SCH−MQW活
性層3に流入する。電流が高密度で流入することで、G
RIN−SCH−MQW活性層3におけるキャリア密度
が高まり、発光効率を向上させている。
【0029】反射側反射膜14は、反射率80パーセン
ト以上、好ましくは98パーセント以上の光反射率を有
する。一方、出射側反射膜15は、出射側端面における
レーザ光の反射を防止するためのものである。したがっ
て、出射側反射膜15は反射率の低い膜構造からなり、
光反射率は5パーセント以下、望ましくは1パーセント
程度の膜構造からなる。ただし、出射側反射膜15の光
反射率は、共振器長に応じて最適化されるため、これら
以外の値となる場合もある。
【0030】回折格子13は、p−GaInAsPから
なる。周囲のp−InPスペーサ層4と異なる半導体材
料から構成されるため、GRIN−SCH−MQW活性
層3から発生した光のうち、所定波長を有する成分につ
いては回折格子13によって反射されることとなる。
【0031】回折格子13は、膜厚20nmを有し、出
射側反射膜15の反射端面から反射側反射膜14側に向
けて長さLg=50μmの回折格子13が設けられ、こ
の回折格子13は、ピッチ約220nmで周期的に形成
され、中心波長1.48μmのレーザ光を波長選択す
る。ここで、回折格子13は、回折格子の結合係数κと
回折格子長Lgとの乗算値を0.3以下とすることによ
って、駆動電流−光出力特性の線形性を良好にし、光出
力の安定性を高めている(特願2001−134545
参照)。また、共振器長Lが1300μmの場合、回折
格子長Lgが約300μm以下のときに複数の発振縦モ
ード数で発振するので、回折格子長Lgは300μm以
下とすることが好ましい。ところで、共振器長Lの長短
に比例して、発振縦モード間隔も変化するため、回折格
子長Lgは、共振器長Lに比例した値となる。すなわ
ち、(回折格子長Lg):(共振器長L)=300:1
300の関係を維持するため、回折格子長Lgが300
μm以下で複数の発振縦モードが得られる関係は、 Lg×(1300(μm)/L)≦300(μm) として拡張することができる。すなわち、回折格子長L
gは、共振器長Lとの比を保つように設定され、共振器
長Lの(300/1300)倍の値以下としている(特
願2001−134545参照)。
【0032】次に、回折格子13を備えたことにより、
本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置がレーザ発振
時に複数の発振縦モードを有する光を選択する理由につ
いて説明する。なお、本実施の形態1にかかる半導体レ
ーザ装置の発振波長λ0は、1100nm〜1550n
mであり、共振器長Lは、800μm以上3200μm
以下としている。また、理解を容易にするため、以下の
説明では回折格子13によって選択される複数の発振縦
モードの中心波長と、ファブリ・ペロー共振器によって
選択される中心波長との波長差Δλcについては考慮し
ないものとする。波長差Δλcによる作用については別
欄にて改めて説明する。
【0033】一般に、半導体レーザ装置の共振器によっ
て発生する縦モードのモード間隔Δλは、実効屈折率を
「n」とすると、次式で表すことができる。すなわち、 Δλ=λ0 2/(2・n・L) である。ここで、発振波長λ0を1480μmとし、実
効屈折率nを3.5とすると、共振器長Lが800μm
のとき、縦モードのモード間隔Δλは、約0.39nm
となり、共振器長が3200μmのとき、縦モードのモ
ード間隔Δλは、約0.1nmとなる。すなわち、共振
器長Lを長くすればするほど、縦モードのモード間隔Δ
λは狭くなり、単一発振縦モードのレーザ光を発振する
ための選択条件が厳しくなる。
【0034】一方、回折格子13は、そのブラッグ波長
によって縦モードを選択する。この回折格子13による
選択波長特性は、図3に示す発振波長スペクトル16と
して表される。なお、ここでは後述する波長差Δλcに
起因する発振波長スペクトルの変化については考慮せ
ず、回折格子13の存在による複数の発振縦モードの存
在についてのみ示している。
【0035】図3に示すように、この実施の形態1で
は、回折格子13を有した半導体レーザ装置による発振
波長スペクトル16の半値幅Δλhで示される波長選択
特性内に、発振縦モードを複数存在させるようにしてい
る。従来のDBR(Distributed Bragg Reflector)半
導体レーザ装置あるいはDFB(Distributed Feedbac
k)半導体レーザ装置では、共振器長Lを800μm以
上とすると、単一発振縦モード発振が困難であったた
め、かかる共振器長Lを有した半導体レーザ装置は用い
られなかった。しかしながら、この実施の形態1の半導
体レーザ装置では、共振器長Lを積極的に800μm以
上とすることによって、発振波長スペクトル16の半値
幅Δλh内に複数の発振縦モードを含ませてレーザ出力
するようにしている。図3では、発振波長スペクトル1
6の半値幅Δλh内に3つの発振縦モード17〜19を
有している。なお参考として、図4(a)において従来
の単一縦モードを有するスペクトルを示し、図4(b)
で本実施の形態にかかる半導体レーザ装置の発振波長ス
ペクトルについて示す。
【0036】次に、レーザ発振時に回折格子13によっ
て選択される光の中心波長が、出射側反射膜15と反射
側反射膜14とで形成されるファブリ・ペロー共振器に
よって選択される光の中心波長よりも大きな値を有する
ことによる利点について説明する。各共振器によって選
択される中心波長の差が存在することで、本実施の形態
1にかかる半導体レーザ装置では、回折格子13によっ
て選択される各発振縦モードの線幅が増大し、発振縦モ
ードの本数も増大する。以下にその理由について説明す
る。
【0037】図5は、ファブリ・ペロー共振器で選択さ
れる光の中心波長と、回折格子13によって選択される
光の中心波長とを示すグラフである。なお、図5のグラ
フでは、横軸を波長とし、縦軸を光強度とする。図5に
おいて、波長差Δλcは回折格子13によって選択され
る光の中心波長とファブリ・ペロー共振器で選択される
光の中心波長との差分値を示し、長波長側の鋭いピーク
は回折格子13によって選択される光を示す。実際に
は、回折格子13によって選択される光は、複数の発振
縦モードを有するが、各発振縦モードの波長差は、波長
差Δλcに比して微小であるため、1本のピークにて示
している。また、短波長側のブロードなピークはファブ
リ・ペロー共振器によって選択された光を示す。
【0038】ここで、本実施の形態1にかかる半導体レ
ーザ装置に関して、温度を設計動作温度である25度に
維持し、使用時の動作電流である700mAの電流を注
入した場合の波長差Δλcは8nmとする。なお、実際
には700mAの電流を注入した際にはファブリ・ペロ
ー共振器によって選択される光の強度は回折格子13に
よって選択される光の強度に比べて非常に小さな値とな
り、波長差Δλcの測定は実際には容易ではない。した
がって、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置で
は、閾値電流(約30mA)付近において波長差Δλc
を測定し、注入電流の増加に伴う波長シフトを考慮して
動作電流における波長差Δλcを推測している。本実施
の形態1にかかる半導体レーザ装置に閾値電流を注入し
た際の波長差Δλcは、15nmである。
【0039】ここで、本実施の形態1にかかる半導体レ
ーザ装置の場合、注入電流が100mA増加すると波長
差Δλcは1nm減少することが判っている。そのた
め、700mAの注入電流における波長差Δλcが8n
mと推測されている。以下で波長差Δλcを定義する際
には、動作電流における波長差をいい、波長差Δλcの
測定が困難な場合は、波長差Δλcの値は、閾値電流を
注入した際の値から推測しているものとする。
【0040】一般に、半導体レーザ装置において、波長
差Δλcが増大するにしたがってピークの幅も増大する
ことが知られている。参考として、図6に、従来技術に
かかるDFBレーザに関する波長差Δλcと線幅の相関
関係に関するグラフを示す。ここで、図6のグラフの横
軸は波長差Δλcであり、縦軸は20mWの光出力時に
おける線幅(一つの縦モードにおけるスペクトル幅)を
示す。図6のグラフを見ると、全体の傾向として、波長
差Δλcが増大するにしたがって、線幅Δνの値も増大
することが分かる。本実施の形態1にかかる半導体レー
ザ装置から出射される光は複数の発振縦モードを有する
ことから線幅を直接測定することは困難である。そのた
め、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置につい
て、波長差Δλcと線幅との相関関係についての確認は
なされていない。しかし、発明者等は、本実施の形態1
にかかる半導体レーザ装置とDFBレーザとは活性層近
傍に設けられた回折格子で波長選択をおこなっている点
で共通することから、本実施の形態1にかかる半導体レ
ーザ装置でも同様の傾向が存在すると推測している。ま
た、発明者等は、本実施の形態1にかかる半導体レーザ
装置は、単一発振縦モードのDFBレーザとは異なり複
数の発振縦モードを有するため、モード間の揺らぎ等に
起因して線幅の絶対値はDFBレーザよりも大きいと推
測している。
【0041】図7は、波長差Δλcの存在によって各発
振縦モードの波形の変化を示す。ここで、図7(a)
は、波長差Δλcが0の時の波形を模式的に示す図であ
り、図7(b)は、波長差Δλcが一定の値を有する
(Δλc>0)場合の各発振モードの波形を模式的に示
す図である。図7(a)および図7(b)を比較する
と、それぞれの発振縦モードにおいても、線幅が増大
し、その結果、同一光強度(すなわち、図7(a)およ
び図7(b)の積分値が同一であるとき)の場合にはピ
ーク値が減少することが分かる。
【0042】以上の説明より、本実施の形態1にかかる
半導体レーザ装置は、回折格子13の存在により所定波
長を中心として複数の発振縦モードを有し、波長差Δλ
cの存在により各発振縦モードの線幅が広いという特徴
を有することとなる。このことについて、図8(a)お
よび図8(b)に模式的な発振波形を示す。ここで、図
8(a)は、従来の半導体レーザ装置の波形について比
較のために示したものであり、図8(b)は、本実施の
形態1にかかる半導体レーザ装置について、波長差Δλ
cの存在を考慮した波形について示したものである。な
お、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置から出射
されるレーザ光にはファブリ・ペロー共振器に起因した
波形も含まれるが、使用時の動作電流を注入した際に
は、ファブリ・ペロー共振器に起因する波形のピーク値
は回折格子13によって選択される発振縦モードと比較
して非常に小さくなるため、図8(b)では省略する。
【0043】次に、本実施の形態1にかかる半導体レー
ザ装置から出射されるレーザ光が図8(b)のような波
形を有することによって、誘導ブリルアン散乱の発生を
抑制できることについて説明する。一般に、誘導ブリル
アン散乱は、狭い一定の周波数帯における光強度の大き
さが所定値を超えた際に発生する。たとえば本実施の形
態1のように、出射波長が1100〜1550nmとな
る半導体レーザ装置の場合、周波数帯が20MHzの範
囲における光強度の合計が約4mWを超えると、長さ約
55kmのDSF(Dispersion Shifted Fiber)におい
て、誘導ブリルアン散乱が発生するといわれている。
【0044】ここで、単純に誘導ブリルアン散乱の発生
を抑制するためには、全体の光強度を抑制すればよい。
しかし、光ファイバ増幅器の励起光源の場合のように、
半導体レーザ装置の光出力は高い方が望ましい。したが
って、出射する光の強度を高めながらも誘導ブリルアン
散乱を回避するためには、各周波数における光強度を低
減しながらも、広い周波数帯で光発振させることで、全
体として光強度を高めることが必要となる。
【0045】図8(a)および図8(b)でも示したよ
うに、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、従
来の半導体レーザ装置と異なり、複数の発振縦モードを
有し、各発振縦モードの線幅が広い波形を有する。した
がって、全体として同等の光強度を有する場合であって
も、本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置から出射
されるレーザ光では、各発振縦モードのピーク値は従来
と比して低い値となっている。このことは、所定周波数
帯における光強度が低下していることを意味し、誘導ブ
リルアン散乱は所定周波数帯における光強度が閾値を超
えることで発生することから、本実施の形態1にかかる
半導体レーザ装置は誘導ブリルアン散乱の発生を効果的
に抑制することができることが分かる。なお、本発明に
おける発明者等は、波長差Δλcが増大した場合、個々
の発振縦モードの線幅が増大するだけでなく、発振縦モ
ードの数も増大すると推測している。全体として同一の
光強度を有する際には、発振縦モードの数が多いほど、
個々の発振縦モードのピーク値をさらに低い値とするこ
とが可能となる。したがって、本実施の形態1にかかる
半導体レーザ装置は、誘導ブリルアン散乱の発生をさら
に抑制することができる。
【0046】次に、本実施の形態1にかかる半導体レー
ザ装置が、従来の半導体レーザ装置と比して実際に誘導
ブリルアン散乱の発生が抑制されていることを測定結果
により示す。図9は、誘導ブリルアン散乱の発生の程度
を検出するための測定装置の構造を示す模式図である。
【0047】この測定装置では、カプラ21を介して一
方に半導体レーザ装置22と反射光測定手段23が配置
され、他方に伝送用光ファイバ24と入力光測定手段2
5が配置されている。また、一方と他方はカプラ21を
介して互いに接続されており、伝送用光ファイバ24
は、出力光測定手段26に接続されている。なお、伝送
用光ファイバ24には、DSFを用いており、伝送用光
ファイバ24の長さは55km、コア径は10μmとす
る。
【0048】測定装置の動作は次の通りである。まず、
半導体レーザ装置22から出射されたレーザ光は、カプ
ラ21で所定の割合で分岐されて伝送用光ファイバ24
と入力光測定手段25に入射する。そして、伝送用光フ
ァイバ24に入射したレーザ光は、大部分が伝送用光フ
ァイバ24を通過して出力光測定手段26に入射し、一
部は伝送用光ファイバ24中で散乱して逆方向に進行
し、カプラ21で所定の割合で分岐されて半導体レーザ
装置22および反射光測定手段23に入射する。したが
って入力光測定手段25には半導体レーザ装置から出力
されるレーザ光の強度と一定の比率を有する光が入射
し、反射光測定手段23には伝送用光ファイバ24で散
乱されて戻ってきた光の強度と一定の比率を有する光が
入射する。
【0049】ここで、誘導ブリルアン散乱が生じている
場合、反射光測定手段23に入射する光の強度は増大す
るため、半導体レーザ装置22から伝送用光ファイバ2
4に入射される光と、伝送用光ファイバ24で散乱され
て戻ってきた光の強度との比(以下、本実施の形態1に
おいて「強度比」と言う)をとることで誘導ブリルアン
散乱が生じているか否かの判断が可能となる。一般に、
光通信における励起光源として半導体レーザ装置を使用
する場合には、本測定系において、強度比が−28dB
程度の値に抑制できれば、レイリー散乱によるバックグ
ラウンドレベルと考えられ、誘導ブリルアン散乱が発生
しておらず、励起光源としての使用に支障がないとされ
ている。
【0050】ここで、図9に示す測定装置を用いて、本
実施の形態1にかかる半導体レーザ装置について測定を
おこなった。また、比較例として、回折格子を有し、波
長差Δλcが異なる複数の半導体レーザ装置についても
測定をおこなった。具体的にはΔλc=8nmの半導体
レーザ装置の他に、Δλc=2nmである2つの半導体
レーザ装置と、Δλc=12の半導体レーザ装置につい
て測定をおこなった。なお、本測定においては、誘導ブ
リルアン散乱がどの程度抑制できるかを観察するため、
測定に用いた半導体レーザ装置は元来誘導ブリルアン散
乱を発生しやすい構造をあえて有している。すなわち、
波長差Δλcの有無に関わらず、回折格子13の設計の
みで本来誘導ブリルアン散乱を抑制できるが、本測定で
は、回折格子13の周期等を変化させ、波長差Δλc=
0では容易に誘導ブリルアン散乱を発生する構造として
いる。
【0051】測定結果は次の通りである。波長差Δλc
が2nmの半導体レーザ装置では、強度比が−8.4d
B、−14.6dBとなり、従来の半導体レーザ装置よ
りは誘導ブリルアン散乱を抑制できていることが分か
る。一方、波長差Δλcが8nmの半導体レーザ装置
は、強度比が約−28.9dBとなり、誘導ブリルアン
散乱が全く発生していない。また、波長差Δλcが12
nmの半導体レーザ装置でも、強度比は−27.3dB
と良好な値を有することが明らかとなった。
【0052】本実施の形態1にかかる半導体レーザ装置
では波長差Δλcは8nmであるため、出射レーザ光を
光ファイバに入射させても誘導ブリルアン散乱を発生す
ることがない。また、単純に波長差Δλc>0であれば
誘導ブリルアン散乱を低減することができるが、波長差
Δλc≧3nmであれば誘導ブリルアン散乱の発生を効
果的に防止できると推定される。波長差Δλc≧8nm
であれば、使用時における誘導ブリルアン散乱の発生を
完全に防止することのできる半導体レーザ装置を実現す
ることが可能である。なお、測定結果からも明らかなよ
うに、波長差Δλcが増大するにつれて強度比が減少し
て誘導ブリルアン散乱が抑制されており、各発振縦モー
ドの線幅と発振縦モードの本数の少なくとも一方と、波
長差Δλcとが相関関係を有することが測定結果からも
裏付けられる。
【0053】したがって、本実施の形態1にかかる半導
体レーザ装置は、全体として有する強い光強度に比し
て、所定周波数帯幅における光強度が低減されることと
なり、光ファイバに入射した際における誘導ブリルアン
散乱の発生を効果的に抑制することが可能となる。
【0054】なお、上述の説明より明らかなように、本
実施の形態1にかかる半導体レーザ装置は、回折格子1
3を設け、波長差Δλcを有することで誘導ブリルアン
散乱の発生を抑制している。したがって、本実施の形態
1にかかる半導体レーザ装置の構造に関して、回折格子
13以外の部分については、上記した以外の構造を採用
することが可能である。たとえば、活性層については必
ずしもGRIN−SCH−MQW構造とする必要はな
く、単純なダブルへテロ構造としても良いし、ホモ接合
レーザとしても良い。また、多重量子井戸構造とはせず
に単一量子井戸を用いても良い。さらに、半導体レーザ
装置全体の構造としても、いわゆる埋め込み型ヘテロ構
造とはせず、リッジ型レーザやSAS(Self Aligned S
tructure:自己整合構造)型レーザとしても良い。さら
に、各層の導電型について、上記した導電型と反対の導
電型としても良い。すなわち、p型の基板上にp型のク
ラッド層、GRIN−SCH−MQW活性層、n型のス
ペーサ層、n型のクラッド層等のように積層した構造と
しても誘導ブリルアン散乱の発生を抑制する半導体レー
ザ装置を構成することが可能である。
【0055】(実施の形態2)次に、実施の形態2にか
かる半導体レーザ装置について説明する。本実施の形態
2においては、回折格子のグレーティング長LGあるい
は結合係数を変化させることによって、発振波長スペク
トル16の半値幅Δλhを変化させ、これによって半値
幅Δλh内の縦モード数が相対的に複数となるようにし
ている。なお、回折格子によって選択される中心波長
が、ファブリ・ペロー共振器によって選択される中心波
長よりも長波長側にシフトしているのは実施の形態1と
同様である。また、実施の形態2にかかる半導体レーザ
装置について、その他の構造、機能等についても以下で
特に言及しない限り、実施の形態1にかかる半導体レー
ザ装置と同様とする。
【0056】図10は、この発明の実施の形態2である
半導体レーザ装置の概要構成を示す長手方向の側面断面
図である。この半導体レーザ装置は、実施の形態1にか
かる半導体レーザ装置の回折格子13に対応する回折格
子43の構成が、実施の形態1とは異なる。
【0057】回折格子43は、反射率0.1〜2%の低
光反射率をもつ出射側反射膜15から反射率80%以上
の高光反射率をもつ反射側反射膜14側に向けて所定長
G1分、形成され、所定長LG1以外のp−InPスペー
サ層4には、回折格子43は形成されない。
【0058】また、図11は、この発明の実施の形態2
の変形例である半導体レーザ装置の概要構成を示す長手
方向の側面断面図である。この半導体レーザ装置は、図
10に示した回折格子43に代えて、反射側反射膜14
側に設けた回折格子44を有するとともに、反射側反射
膜14の反射率を低光反射率としている。すなわち、回
折格子44は、反射率0.1〜2%の低光反射率をもつ
反射膜14から反射率1〜5%の低光反射率をもつ出射
側反射膜15側に向けて所定長LG2分、形成され、所定
長LG2以外のp−InPスペーサ層4には、回折格子4
4が形成されない。
【0059】さらに、図12は、この発明の実施の形態
2の他の変形例である半導体レーザ装置の概要構成を示
す長手方向の側面断面図である。この半導体レーザ装置
は、図10に示した回折格子43および図11に示した
回折格子44の構成を適用したものである。
【0060】すなわち、この半導体レーザ装置は、反射
率0.1〜2%の低光反射率をもつ出射側反射膜15か
ら反射率0.1〜2%の低光反射率をもつ反射側反射膜
14側に向けて所定長LG3分、形成された回折格子45
と、この反射側反射膜14から出射側反射膜15側に向
けて所定長LG4分、形成された回折格子46とを有す
る。
【0061】図10〜図12に示した回折格子43〜4
6の所定長LG1〜LG4を変化させることによって、発振
縦モードのモード間隔Δλが固定的であっても、図3に
示した発振波長スペクトル16の半値幅Δλhを変化さ
せることができる。すなわち、発振波長スペクトル16
の半値幅Δλhを広くするためには、回折格子の長さを
短くすることも有効である。
【0062】この場合、共振器に対する回折格子の位置
によっては、位相発振条件がずれ、これによってレーザ
発振特性が悪化するおそれがあるため、図10に示した
ように、回折格子43を、光出射側である出射側反射膜
15を起点として反射側反射膜14方向に、共振器の途
中まで延ばして形成する場合、出射側反射膜15として
0.1〜2%の反射率をもつ低光反射コートを施し、反
射側反射膜14として80%以上の反射率をもつ高反射
コートを施すようにする。また、図11に示したよう
に、回折格子44を、反射側反射膜14を起点として出
射側反射膜15方向に、共振器の途中まで延ばして形成
する場合、反射側反射膜14として0.1〜2%の反射
率をもつ低光反射コートを施し、出射側反射膜15とし
て反射率1〜5%の反射率をもつ低反射コートを施す。
さらに、図12に示したように、回折格子45、46を
それぞれ出射側反射膜15側および反射側反射膜14側
に形成する場合、出射側反射膜15および反射側反射膜
14として、ともに反射率0.1〜2%の低光反射コー
トを施す。
【0063】また、図10に示したように、回折格子4
3を光出射側である出射側反射膜15側に形成する場
合、回折格子43自体の反射率を低めに設定し、図11
に示したように、回折格子44を光反射側である反射側
反射膜14側に形成する場合、回折格子44自体の反射
率を高めに設定することが好ましい。また、図12に示
したように、回折格子を出射側反射膜15側および反射
側反射膜14側の双方に形成する場合、回折格子45自
体の反射率を低めに設定し、回折格子46自体の反射率
を高めに設定する。これによって、回折格子43〜46
による波長選択特性を満足させつつ、反射側反射膜14
および出射側反射膜15によるファブリ・ペロー型共振
器の影響を小さくすることができる。
【0064】具体的に、図10に示した半導体レーザ装
置では、発振波長λ0が1480nmであり、共振器長
Lが1300μmであり、回折格子43のグレーティン
グ長LG1が220μm、結合係数κLG(cm-1)とグレ
ーティング長LG1との積κLG・LG1が0.093であ
る。また、図11に示した半導体レーザ装置では、共振
器長Lが1300μmであり、回折格子44のグレーテ
ィング長LG2が400μm、結合係数κLGとグレーティ
ング長LG2との積κLG・LG2が2.97である。このよ
うな回折格子43、44を適用した場合、発振波長スペ
クトル16の半値幅Δλhは、1〜2nmとなり、半値
幅Δλh内に3〜5本程度の発振縦モードを含ませるこ
とができる。
【0065】なお、図10〜図12では、回折格子43
〜46を、出射側反射膜15側または反射側反射膜14
側、あるいは出射側反射膜15側および反射側反射膜1
4側に設けたが、これに限らず、GRIN−SCH−M
QW活性層3に沿い、共振器長Lに対して部分的な長さ
をもつ回折格子を形成するようにしてもよい。ただし、
回折格子の反射率を考慮することが好ましい。
【0066】この実施の形態2では、共振器長Lに対す
る回折格子の長さを部分的なものとし、この回折格子の
グレーティング長LGおよび結合係数κLGを適切に変化
させることによって、所望の発振波長スペクトル16の
半値幅Δλhを得ることができ、この半値幅Δλh内に
複数の発振縦モードをもったレーザ光を発振させること
ができ、実施の形態1と同様な作用効果をもった半導体
レーザ装置を実現することができる。
【0067】なお、回折格子の位置について、実施の形
態1または実施の形態2で示した場所以外に配置するこ
とも可能である。たとえば、GRIN−SCH−MQW
活性層3の下部に回折格子を設けても、実施の形態1お
よび実施の形態2と同様の作用効果を得ることが可能で
ある。より詳しくいえば、半導体レーザ装置内部におい
て、光が存在する領域であればどのような場所に回折格
子を配置しても構わず、実施の形態1および2に記載し
た作用効果を実現することができる。
【0068】(実施の形態3)つぎに、この発明の実施
の形態3について説明する。上述した実施の形態1で
は、回折格子13のグレーティング周期は一定であった
が、この実施の形態3では、回折格子のグレーティング
周期を周期的に変化させたチャープドグレーティングを
用い、これによって、回折格子の波長選択特性に揺らぎ
を発生させ、発振波長スペクトルの半値幅Δλhを広げ
て、半値幅Δλh内の発振縦モード数が相対的に複数と
なるようにしている。すなわち、図13に示すように、
半値幅Δλhを半値幅wcに広げて、半値幅wc内に含
まれる発振縦モードの本数を増大するようにしている。
【0069】図14は、この発明の実施の形態3である
半導体レーザ装置の概要構成を示す長手方向の側面断面
図である。この半導体レーザ装置では、実施の形態1に
かかる半導体レーザ装置の回折格子13のグレーティン
グ周期を周期的に変化させたチャープドグレーティング
である回折格子47を有している。その他の構成は、実
施の形態1にかかる半導体レーザ装置と同様であり、波
長差Δλcが存在すること、およびそれによる利点につ
いても実施の形態1および2と同様である。また、実施
の形態1おび実施の形態2と同一または類似の構成部分
には、同一または類似の符号を付している。
【0070】図15は、回折格子47のグレーティング
周期の周期的変化を示す図である。図15に示すよう
に、この回折格子47は、平均周期が220nmであ
り、±0.02nmの周期揺らぎ(偏差)を周期Cで繰
り返す構造を有している。この±0.02nmの周期揺
らぎによって回折格子47の反射帯域は、約2nmの半
値幅を有し、これによって、発振波長スペクトルの半値
幅Δλh内に3〜6本程度の発振縦モードを持たせるこ
とができる。
【0071】また、上述した実施の形態3では、一定の
周期Cでグレーティング周期を変化させるチャープドグ
レーティングとしたが、これに限らず、グレーティング
周期を、周期Λ1(220nm+0.02nm)と周期
Λ2(220nm−0.02nm)との間で、ランダム
に変化させるようにしてもよい。
【0072】さらに、図16(a)に示すように、周期
Λ1と周期Λ2とを1回ずつ交互に繰り返す回折格子とし
て、周期揺らぎを持たせるようにしてもよい。また、図
16(b)に示すように、周期Λ3と周期Λ4とをそれぞ
れ複数回、交互に繰り返す回折格子として、周期揺らぎ
を持たせるようにしてもよい。さらに、図16(c)に
示すように、連続する複数回の周期Λ5と連続する複数
回の周期Λ6とをもつ回折格子として、周期揺らぎを持
たせるようにしてもよい。また、周期Λ1、Λ3、Λ5
周期Λ2、Λ4、Λ6との間の離散的な異なる値をもつ周
期をそれぞれ補完して配置するようにしてもよい。
【0073】この実施の形態3では、半導体レーザ装置
に設けられる回折格子をチャープドグレーティングなど
によって、平均周期に対して±0.01〜0.2nm程
度の周期揺らぎをもたせ、これによって、反射帯域の半
値幅を所望の値に設定し、最終的に発振波長スペクトル
の半値幅Δλhを決定し、半値幅Δλh内に複数の発振
縦モードが含まれるレーザ光を出力するようにし、実施
の形態1あるいは実施の形態2と同様な作用効果をもっ
た半導体レーザ装置を実現することができる。
【0074】(実施の形態4)つぎに、この発明の実施
の形態4について説明する。この実施の形態4では、上
述した実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置をモ
ジュール化したものである。
【0075】図17は、この発明の実施の形態4である
半導体レーザモジュールの構成を示す側面断面図であ
る。図17において、この半導体レーザモジュールは、
上述した実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置に
対応する半導体レーザ装置51を有する。半導体レーザ
モジュールの筐体として、Cu−W合金などによって形
成されたパッケージ59の内部底面上に、温度制御装置
としてのペルチェモジュール58が配置される。ペルチ
ェモジュール58上にはベース57が配置され、このベ
ース57上にはヒートシンク57aが配置される。ペル
チェモジュール58には、図示しない電流が与えられ、
その極性によって冷却および加熱を行うが、半導体レー
ザ装置51の温度上昇による発振波長ずれを防止するた
め、主として冷却器として機能する。すなわち、ペルチ
ェモジュール58は、レーザ光が所望の波長に比して長
い波長である場合には、冷却して低い温度に制御し、レ
ーザ光が所望の波長に比して短い波長である場合には、
加熱して高い温度に制御する。この温度制御は、具体的
に、ヒートシンク57a上であって、半導体レーザ装置
51の近傍に配置されたサーミスタ58aの検出値をも
とに制御され、図示しない制御装置は、通常、ヒートシ
ンク57aの温度が一定に保たれるようにペルチェモジ
ュール58を制御する。また、図示しない制御装置は、
半導体レーザ装置51の駆動電流を上昇させるに従っ
て、ヒートシンク57aの温度が下がるようにペルチェ
モジュール58を制御する。このような温度制御を行う
ことによって、半導体レーザ装置51の波長安定性を向
上させることができ、歩留まりの向上にも有効となる。
なお、ヒートシンク57aは、たとえばダイヤモンドな
どの高熱伝導率をもつ材質によって形成することが望ま
しい。これは、ヒートシンク57aがダイヤモンドで形
成されると、高電流注入時の発熱が抑制されるからであ
る。この場合、波長安定性がさらに向上し、しかも温度
制御も容易になる。
【0076】ベース57上には、半導体レーザ装置51
およびサーミスタ58aを配置したヒートシンク57
a、第1レンズ52、およびモニタフォトダイオード5
6が配置される。半導体レーザ装置51から出射された
レーザ光は、第1レンズ52、アイソレータ53、およ
び第2レンズ54を介し、光ファイバ55上に導波され
る。第2レンズ54は、レーザ光の光軸上であって、パ
ッケージ59上に設けられ、外部接続される光ファイバ
55に光結合される。なお、モニタフォトダイオード5
6は、半導体レーザ装置51の反射膜側から漏れた光を
モニタ検出する。
【0077】ここで、この半導体レーザモジュールで
は、他の光学部品などによる反射戻り光が共振器内に再
入力しないように、半導体レーザ装置51と光ファイバ
55との間にアイソレータ53を介在させている。この
アイソレータ53には、ファイバグレーティングを用い
た従来の半導体レーザモジュールと異なり、インライン
式の偏波無依存型でなく、小型の偏波依存型アイソレー
タを用いることができるため、低い相対強度雑音(RI
N)を達成することができ、アイソレータによる挿入損
失を小さくすることができる。
【0078】この実施の形態4では、実施の形態1〜3
で示した半導体レーザ装置をモジュール化しているた
め、大型のアイソレータを用いることができ、挿入損失
を小さくすることができ、低雑音化および部品点数の減
少を促進することができる。
【0079】また、実施の形態4では、実施の形態1〜
3で示した半導体レーザ装置をモジュール化しているた
め、複数の発振縦モードを有し、各発振縦モードの線幅
が大きくなる。したがって、レーザ光が光ファイバ55
に入射しても誘導ブリルアン散乱が発生せず、高出力の
半導体レーザモジュールを実現することができる。
【0080】(実施の形態5)つぎに、実施の形態5に
かかる光ファイバ増幅器について説明する。本実施の形
態5は、上述した実施の形態4に示した半導体レーザモ
ジュールをラマン増幅器に適用したものである。
【0081】図18は、この発明の実施の形態5である
ラマン増幅器の構成を示すブロック図である。このラマ
ン増幅器は、WDM通信システムに用いられる。図18
において、このラマン増幅器は、上述した実施の形態4
に示した半導体レーザモジュールと同一構成の半導体レ
ーザモジュール60a〜60dを用いた構成となってい
る。
【0082】各半導体レーザモジュール60a、60b
は、偏波面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モ
ードを有するレーザ光を偏波合成カプラ61aに出力
し、各半導体レーザモジュール60c、60dは、偏波
面保持ファイバ71を介して、複数の発振縦モードを有
するレーザ光を偏波合成カプラ61bに出力する。ここ
で、半導体レーザモジュール60a、60bが発振する
レーザ光は、同一波長である。また、半導体レーザモジ
ュール60c、60dが発振するレーザ光は、同一波長
であるが半導体レーザモジュール60a、60bが発振
するレーザ光の波長とは異なる。これは、ラマン増幅が
偏波依存性を有するためであり、偏波合成カプラ61
a、61bによって偏波依存性が解消されたレーザ光と
して出力するようにしている。
【0083】各偏波合成カプラ61a、61bから出力
された、異なる波長をもったレーザ光は、WDMカプラ
62によって合成され、合成されたレーザ光は、WDM
カプラ65を介してラマン増幅用の励起光として増幅用
ファイバ64に出力される。この励起光が入力された増
幅用ファイバ64には、増幅対象の信号光が入力され、
ラマン増幅される。
【0084】増幅用ファイバ64内においてラマン増幅
された信号光(増幅信号光)は、WDMカプラ65およ
びアイソレータ66を介してモニタ光分配用カプラ67
に入力される。モニタ光分配用カプラ67は、増幅信号
光の一部を制御回路68に出力し、残りの増幅信号光を
出力光として信号光出力ファイバ70に出力する。
【0085】制御回路68は、入力された一部の増幅信
号光をもとに各半導体レーザモジュール60a〜60d
のレーザ出力状態、たとえば光強度を制御し、ラマン増
幅の利得帯域が平坦な特性となるようにフィードバック
制御する。
【0086】この実施の形態5に示したラマン増幅器で
は、実施の形態1〜3で示した半導体レーザ装置が内蔵
された半導体レーザモジュール60aを用いるようにし
ている。なお、上述したように、各半導体レーザモジュ
ール60a〜60dは、複数の発振縦モードを有してい
るため、偏波面保持ファイバ長を短くすることができ
る。この結果、ラマン増幅器の小型軽量化とコスト削減
を実現することができる。
【0087】なお、図18に示したラマン増幅器では、
偏波合成カプラ61a、61bを用いているが、図19
に示すように半導体レーザモジュール60a、60cか
ら、それぞれ偏波面保持ファイバ71を介して直接WD
Mカプラ62に光出力するようにしてもよい。この場
合、半導体レーザモジュール60a、60cの偏波面
は、偏波面保持ファイバ71に対して45度となるよう
に入射する。ここで、上述したように、各半導体レーザ
モジュール60a、60cは、複数の発振縦モードを有
しているため、偏波面保持ファイバ71の長さを短くす
ることができる。これによって、偏波面保持ファイバ7
1から出力される光出力の偏波依存性をなくすことがで
き、一層、小型かつ部品点数の少ないラマン増幅器を実
現することができる。
【0088】また、半導体レーザモジュール60a〜6
0dに内蔵される半導体レーザ装置として発振縦モード
数が多い半導体レーザ装置を用いると、必要な偏波面保
持ファイバ71の長さを短くすることができる。特に、
発振縦モードが4、5本になると、急激に、必要な偏波
面保持ファイバ71の長さが短くなるため、ラマン増幅
器の簡素化と小型化を促進することができる。さらに、
発振縦モードの本数が増大すると、コヒーレント長が短
くなり、デポラライズによって偏光度(DOP:Degree
Of Polarization)が小さくなり、偏波依存性をなくす
ことが可能となり、これによっても、ラマン増幅器の簡
素化と小型化とを一層促進することができる。
【0089】また、上述した実施の形態1〜4が有する
作用効果をラマン増幅器に与えることができる。たとえ
ば、ファイバグレーティングを用いた半導体レーザモジ
ュールに比して相対強度雑音(RIN)を低減すること
ができるので、ラマン増幅の揺らぎを抑えることがで
き、安定したラマン増幅を行うことができる。
【0090】さらに、このラマン増幅器では、ファイバ
グレーティングを用いた半導体レーザモジュールに比し
て光軸合わせが容易であり、共振器内に機械的な光結合
がないため、この点からも、ラマン増幅の安定性、信頼
性を高めることができる。
【0091】さらに、上述した実施の形態1〜3の半導
体レーザ装置では、複数の発振縦モードを有し、各発振
縦モードの線幅が大きいという特徴を有している。その
ため、誘導ブリルアン散乱を発生させずに、高出力の励
起光を発生することができるので、安定し、かつ高いラ
マン利得を得ることができる。
【0092】なお、図18および図19に示したラマン
増幅器は、後方励起方式であるが、上述したように、半
導体レーザモジュール60a〜60dが安定した励起光
を出力するため、前方励起方式であっても、双方向励起
方式であっても、安定したラマン増幅を行うことができ
る。
【0093】たとえば、図20は、前方励起方式を採用
したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図2
0に示したラマン増幅器は、図18に示したラマン増幅
器にWDMカプラ65’をアイソレータ63の近傍に設
けている。このWDMカプラ65’には、半導体レーザ
モジュール60a〜60d、偏波合成カプラ61a、6
1bおよびWDMカプラ62にそれぞれ対応した半導体
レーザモジュール60a’〜60d’、偏波合成カプラ
61a’、61b’およびWDMカプラ62’を有した
回路が接続され、WDMカプラ62’から出力される励
起光を信号光と同じ方向に出力する前方励起を行う。こ
の場合、半導体レーザモジュール60a’〜60d’
は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体レー
ザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励起を
効果的に行うことができる。
【0094】同様に、図21は、前方励起方式を採用し
たラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図21
に示したラマン増幅器は、図19に示したラマン増幅器
にWDMカプラ65’をアイソレータ63の近傍に設け
ている。このWDMカプラ65’には、半導体レーザモ
ジュール60a、60cおよびWDMカプラ62にそれ
ぞれ対応した半導体レーザモジュール60a’、60
c’およびWDMカプラ62’を有した回路が接続さ
れ、WDMカプラ62’から出力される励起光を信号光
と同じ方向に出力する前方励起を行う。この場合、半導
体レーザモジュール60a’、60c’は、上述した実
施の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いて
いるため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うこ
とができる。
【0095】また、図22は、双方向励起方式を採用し
たラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図22
に示したラマン増幅器は、図18に示したラマン増幅器
の構成に、図20に示したWDMカプラ65’、半導体
レーザモジュール60a’〜60d’、偏波合成カプラ
61a’、61b’およびWDMカプラ62’をさらに
設け、後方励起と前方励起とを行う。この場合、半導体
レーザモジュール60a’〜60d’は、上述した実施
の形態1〜4で用いられる半導体レーザ装置を用いてい
るため、RINが小さく、前方励起を効果的に行うこと
ができる。
【0096】同様に、図23は、双方向励起方式を採用
したラマン増幅器の構成を示すブロック図である。図2
3に示したラマン増幅器は、図19に示したラマン増幅
器の構成に、図21に示したWDMカプラ65’、半導
体レーザモジュール60a’、60c’およびWDMカ
プラ62’をさらに設け、後方励起と前方励起とを行
う。この場合、半導体レーザモジュール60a’、60
c’は、上述した実施の形態1〜4で用いられる半導体
レーザ装置を用いているため、RINが小さく、前方励
起を効果的に行うことができる。
【0097】なお、上述した前方励起方式あるいは双方
向励起方式における前方励起に用いられるラマン増幅用
光源は、共振器長Lが800μm未満であってもよい。
共振器長Lを800μm未満とすると、上述したように
発振縦モードのモード間隔Δλが狭くなり、ラマン増幅
用光源として用いる場合に発振縦モードの本数が少なく
なり、大きな光出力を得ることができなくなるが、前方
励起は後方励起に比較して低出力で済むため、必ずしも
共振器長Lが800μm以上である必要はない。
【0098】上述した図18〜図23に示したラマン増
幅器は、上述したようにWDM通信システムに適用する
ことができる。図24は、図18〜図23に示したラマ
ン増幅器を適用したWDM通信システムの概要構成を示
すブロック図である。
【0099】図24において、複数の送信機Tx1〜T
xnから送出された波長λ1〜λnの光信号は、光合波器
80によって合波され、1つの光ファイバ85に集約さ
れる。この光ファイバ85の伝送路上には、図18、図
19、図20〜図23に示したラマン増幅器に対応した
複数のラマン増幅器81、83が距離に応じて配置さ
れ、減衰した光信号を増幅する。この光ファイバ85上
を伝送した信号は、光分波器84によって、複数の波長
λ1〜λnの光信号に分波され、複数の受信機Rx1〜R
xnに受信される。なお、光ファイバ85上には、任意
の波長の光信号の付加、取り出しをおこなうADM(Ad
d/Drop Multiplexer)が挿入される場合もある。
【0100】なお、上述した実施の形態5では、実施の
形態1〜3に示した半導体レーザ装置あるいは実施の形
態4に示した半導体レーザモジュールを、ラマン増幅用
の励起光源に用いる場合を示したが、これに限らず、た
とえば、0.98μmなどのEDFA励起用光源として
用いることができるのは明らかである。特に、励起光の
EDFまでの伝送距離が数km〜数十km以上となるよ
うなEDFAにおいては、実施の形態1〜3にかかる半
導体レーザ装置を励起光源に用いることで、伝送中の誘
導ブリルアン散乱に起因した増幅利得の低下を効果的に
抑制することができる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜9の発
明によれば、回折格子を有することで複数の発振縦モー
ドを有し、波長差Δλcが存在することで各発振縦モー
ドの線幅が大きなレーザ光を出射することができる。こ
のため、出射光を光ファイバに導波した場合に、光ファ
イバ中において誘導ブリルアン散乱を生じることがな
く、高出力の半導体レーザ装置を提供できるという効果
を奏する。
【0102】また、請求項10および請求項11の発明
によれば、請求項1〜9にかかる半導体レーザ装置を用
いているため、同様の理由により誘導ブリルアン散乱の
発生を抑制した半導体レーザモジュールを提供できると
いう効果を奏する。
【0103】また、請求項12および請求項13の発明
によれば、上記の半導体レーザ装置または半導体レーザ
モジュールを使用することで増幅利得が安定し、かつ高
利得の光ファイバ増幅器を提供できるという効果を奏す
る。
【0104】また、請求項14の発明によれば、リモー
トポンプ方式を採用したEDFAにおいて、励起光を長
距離伝送しても増幅利得の低下することがないEDFA
を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構造
を示す概略斜視図である。
【図2】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の構造
を示す側面断面図である。
【図3】回折格子を備えたことにより実施の形態1にか
かる半導体レーザ装置から出射されるレーザ光の波形を
示す模式的なグラフである。
【図4】(a)は、従来の単一発振縦モードを有する半
導体レーザ装置から出射されるレーザ光の波形を示す模
式的なグラフであり、(b)は、本実施の形態1にかか
る半導体レーザ装置から出射されるレーザ光の波形を示
す模式的なグラフである。
【図5】実施の形態1にかかる半導体レーザ装置の、フ
ァブリ・ペロー共振器によって選択される波形と回折格
子によって選択される波形とを示す模式図である。
【図6】従来のDFBレーザにおいて、波長差Δλcの
値に対する単一発振縦モードの線幅の変化を示すグラフ
である。
【図7】(a)は、実施の形態1にかかる半導体レーザ
装置において、波長差Δλcが0の場合の任意の発振縦
モードの波形を示す模式的なグラフであり、(b)は波
長差Δλcが0でない場合の任意の発振縦モードの波形
を示す模式的なグラフである。
【図8】(a)は、従来の単一発振縦モードを有する半
導体レーザ装置か裸出射されるレーザ光の波形を示す模
式的なグラフであり、(b)は、波長差Δλcが0でな
い場合の実施の形態1にかかる半導体レーザ装置から出
射されるレーザ光の波形を示す模式的なグラフである。
【図9】誘導ブリルアン散乱が発生するか否かを判定す
る測定装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2にかかる半導体レーザ装置の構
造を示す側面断面図である。
【図11】実施の形態2にかかる半導体レーザ装置の構
造を示す側面断面図である。
【図12】実施の形態2にかかる半導体レーザ装置の構
造を示す側面断面図である。
【図13】実施の形態2にかかる半導体レーザ装置から
出射されるレーザ光の波形を示す模式的なグラフであ
る。
【図14】実施の形態3にかかる半導体レーザ装置の構
造を示す側面断面図である。
【図15】実施の形態3における回折格子の構造を示す
模式図である。
【図16】実施の形態3における回折格子の構造の変形
例を示す模式図である。
【図17】実施の形態4にかかる半導体レーザモジュー
ルの構造を示す側面断面図である。
【図18】実施の形態5にかかる光ファイバ増幅器の構
成を示すブロック図である。
【図19】実施の形態5にかかる光ファイバ増幅器の応
用例を示すブロック図である。
【図20】実施の形態5にかかる光ファイバ増幅器の変
形例であって、前方励起方式を採用した光ファイバ増幅
器の構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示した光ファイバ増幅器の応用例を
示すブロック図である。
【図22】実施の形態5にかかる光ファイバ増幅器の変
形例であって、双方向励起方式を採用した光ファイバ増
幅器の構成を示すブロック図である。
【図23】図22に示した光ファイバ増幅器の応用例を
示すブロック図である。
【図24】実施の形態5にかかる光ファイバ増幅器を用
いたWDM通信システムの概要構成を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
1 n−InP基板 2 n−InPバッファ層 3 GRIN−SCH−MQW活性層 4 p−InPスペーサ層 6 p−InPクラッド層 7 p−GaInAsPコンタクト層 8 p−InPブロッキング層 9 n−InPブロッキング層 10 p側電極 11 n側電極 13 回折格子 14 反射側反射膜 15、16 出射側反射膜 16 発振波長スペクトル 17〜19 発振縦モード 21 カプラ 22 半導体レーザ装置 23 反射光測定手段 24 伝送用光ファイバ 25 入力光測定手段 26 出力光測定手段 43〜47 回折格子 51 半導体レーザ装置 52 レンズ 53 アイソレータ 54 レンズ 55 光ファイバ 56 モニタフォトダイオード 57a ヒートシンク 57 ベース 58a サーミスタ 58 ペルチェモジュール 59 パッケージ 60a〜60d 半導体レーザモジュール 61a、61b 偏波合成カプラ 62、65 WDMカプラ 63、66 アイソレータ 64 増幅用ファイバ 67 モニタ光分配用カプラ 68 制御回路 69 信号光入力ファイバ 70 信号光出力ファイバ 71 偏波面保持ファイバ 80 光合波器 81、83 ラマン増幅器 84 光分波器 85 光ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大木 泰 東京都千代田区丸の内2丁目6番1号 古 河電気工業株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AA02 AB30 BA01 CA15 DA10 EA10 EB15 HA24 5F072 AB09 AK06 JJ20 KK30 PP07 QQ07 RR01 YY17 5F073 AA46 AA64 AA65 AA74 AA83 AB27 AB28 AB30 BA03 CB02 EA01 EA04 EA29

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光の出射端面に設けられた第1反
    射膜と、該レーザ光の反射端面に設けられた第2反射膜
    との間に形成された活性層とを備えた半導体レーザ装置
    であって、 前記第1反射膜と前記第2反射膜とによって形成され、
    レーザ発振時に第1波長を中心とした光を選択する光共
    振器と、 前記活性層近傍に配置され、レーザ発振時に前記第1波
    長に比して大きな値を有する第2波長を中心とした複数
    の発振縦モードを有する光を選択する回折格子と、 を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 設計動作温度において設計動作電流を注
    入した際に、前記第2波長が前記第1波長に比して3n
    m以上大きな値を有することを特徴とする請求項1に記
    載の半導体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 設計動作温度において閾値電流を注入し
    た際に、前記第2波長が前記第1波長に比して8nm以
    上大きな値を有することを特徴とする請求項1に記載の
    半導体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記回折格子によって選択される第2波
    長が1100nm以上、1550nm以下であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体
    レーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記回折格子は、回折格子長が300μ
    m以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    一つに記載の半導体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 前記回折格子の回折格子長は、前記共振
    器長の(300/1300)倍の値以下であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体レ
    ーザ装置。
  7. 【請求項7】 前記第1反射膜側または前記第1反射膜
    近傍に設けられる回折格子は、該回折格子の結合係数と
    回折格子長との乗算値が0.3以下であることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体レーザ
    装置。
  8. 【請求項8】 前記回折格子は、グレーティング周期を
    ランダムあるいは所定周期で変化させたことを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれか一つに記載の半導体レーザ装
    置。
  9. 【請求項9】 前記第1反射膜と前記第2反射膜との間
    に形成された活性層によって形成された共振器の長さ
    は、800μm以上であることを特徴とする請求項1〜
    8のいずれか一つに記載の半導体レーザ装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9に記載の半導体レーザ装
    置と、 前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光を外部に
    導波する光ファイバと、 前記半導体レーザ装置と前記光ファイバと光結合を行う
    光結合レンズ系と、 を備えたことを特徴とする半導体レーザモジュール。
  11. 【請求項11】 前記半導体レーザ装置の温度を制御す
    る温度制御装置と、 前記光結合レンズ系内に配置され、光ファイバ側からの
    反射戻り光の入射を抑制するアイソレータと、 をさらに備えたことを特徴とする請求項10に記載の半
    導体レーザモジュール。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか一つに記載の
    半導体レーザ装置若しくは請求項10または11に記載
    の半導体レーザモジュールを備えた励起光源と、 信号光を伝送する光ファイバと、 該光ファイバと接続された増幅用光ファイバと、 前記励起光源から出射される励起光を増幅用光ファイバ
    に入射させるためのカプラと、 前記励起光源と前記カプラとを接続する励起光伝送用光
    ファイバと、 を備えたことを特徴とする光ファイバ増幅器。
  13. 【請求項13】 前記増幅用光ファイバは、ラマン増幅
    により光を増幅することを特徴とする請求項12に記載
    の光ファイバ増幅器。
  14. 【請求項14】 前記増幅用光ファイバは、エルビウム
    添加光ファイバであって、 前記励起光源と前記増幅用光ファイバとは遠隔に配置さ
    れることを特徴とする請求項12に記載の光ファイバ増
    幅器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009518833A (ja) * 2005-12-07 2009-05-07 インノルメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 広帯域スペクトル発光を有するレーザ光源
US8411711B2 (en) 2005-12-07 2013-04-02 Innolume Gmbh Semiconductor laser with low relative intensity noise of individual longitudinal modes and optical transmission system incorporating the laser
JP2015535143A (ja) * 2012-11-01 2015-12-07 オクラロ テクノロジー リミテッド 半導体dbrレーザ

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