JP4335066B2 - 通信端末 - Google Patents

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Description

本発明は、非接触式通信に用いられるアンテナを取り付けるためのアンテナ取り付け部材と、それを用いてアンテナが設けられた通信端末に関するものである。
従来から、例えば、電車などの交通機関の改札機や大規模なオフィスビルの入退出システムには、ICを内蔵した非接触ICカードをリーダ/ライタ(読み取り/書き込み)装置に対して数センチ〜数十センチ程度離した状態でかざすことによって、これらICカードとリーダ/ライタ装置間でのデータ通信を実現可能とした非接触ICカードシステムが採用されている。
非接触ICカードシステムは、ICカード基板上に実装されたアンテナがリーダ/ライタ装置からの微小な電磁波を捕らえることによって動作するように構成されている。そして、この非接触ICカードシステムは、ICカードをリーダ/ライタ装置に対して接触させることなく、単にかざすだけでデータ通信を行うことができるため、例えば交通機関の改札システムなどのような高速処理が求められるシステムに適している。
一方で、携帯電話やPHS等の携帯端末は広く普及しており、単なる通話手段にとどまらず情報端末としての側面の比重が増している。非接触ICカードは、非接触通信でデータの授受を行うため、磁気カードや接触ICカードのように読み取り装置に挿入する必要がなく、携帯端末に搭載して利用することも可能である。このため、非接触ICカードを携帯電話機にも採用しようといった試みがある。この非接触ICカードを携帯電話機に搭載する技術については、例えば特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には、携帯電話機のケース内部、制御基板、電池収納部、電池収納部の蓋、フリップ部、ケースに形設したスロット、アンテナ、またはアンテナキャップに、非接触ICカードのICおよびアンテナモジュールにより構成されるICモジュールが装着された携帯電話機が記載されている。特許文献1に記載の携帯電話機では、ICモジュールが携帯電話機の上記各部分に直接装着または貼付されている。
特許文献2には、モバイル機器のバッテリー用蓋の内側に組み込まれ、当該モバイル機器と一体構成される無線通信モジュールが記載されている。この無線通信モジュールは、外部のリーダ/ライタ装置と信号の送受信を行うアンテナコイルと、当該アンテナコイルに接続されて非接触ICカード機能を発揮するICチップとを具備している。特許文献2に記載の無線通信モジュールでは、アンテナコイルとICチップとがバッテリー用蓋に実装または内蔵されている。
また、特許文献3には、樹脂からなる筐体の少なくとも一部分に、金属導体をコイル状に配線したアンテナとそれに電気的に接続されたIC部品とからなる非接触ICカード機能部品が内蔵封止された携帯電話機用筐体が記載されている。特許文献3に記載の携帯電話用筐体では、バッテリー部カバーの樹脂内に、アンテナコイルおよび非接触ICカード機能部品が内蔵封止されている。
なお、非接触ICカードに実装されているアンテナは、携帯電話機に内蔵されている液晶表示装置やイヤーレシーバー等を構成する金属部品が近くにあるとアンテナ特性が落ちる。この場合、携帯電話機とリーダ/ライタ装置との通信状態を良好なものとするためには、アンテナをなるべく金属部品から離して配置する必要がある。ただし、アンテナとリーダ/ライタ装置との距離を十分に確保すると、携帯電話機自体の厚みが増し、大型化してしまう。
この点を考慮して、金属部品に対する影響を受けることなくアンテナを実装して、該アンテナの通信距離を十分に確保すると共に、薄型化を実現した携帯通信端末が特許文献4に開示されている。特許文献4に記載の携帯通信端末は、非接触ICカードとアンテナとが独立して設けられており、アンテナが端末本体の外周近傍部に沿って環状に配置されている。
特開2002−218031号公報(平成14年(2002)8月2日公開) 特開2003−67692号公報(平成15年(2003)3月7日公開) 特開2003−37861号公報(平成15年(2003)2月7日公開) 特開2003−258972号公報(平成15年(2003)9月12日公開)
しかしながら、上記特許文献1ないし4のように、携帯電話機等の端末の筐体に直接アンテナやICチップを配置または貼付する場合には、製造の際の作業性が悪いという問題点を有している。
具体的には、端末の筐体には種々の形状を有する各部品が配置されていると共に、強度を確保するためのリブ等が設けられている。アンテナを端末の筐体に直接配置または貼付する場合には、これら形状を考慮してアンテナを製造したり、リブを避けるようにして配置または貼付したりする必要がある。
また、一般に、アンテナを端末の筐体に直接配置または貼付する場合には通常手作業にて行われる。端末は小型化が進んでおり、筐体に直接配置または貼付する場合には、ますます細かい作業を高精度に行うことが要求される。このため、配置箇所に制約があり、複雑な部品が必要になると共に、作業性が非常に悪い。
さらに、アンテナコイルやICチップを端末の筐体に内蔵する場合には、アンテナコイルやICチップを内蔵しながら筐体を成型する必要がある。このため、作業性が悪いと共に製造が煩雑になる。
また、電池収納部の蓋やフリップ部といった、取り外しが可能な部分や開閉可能な部分にアンテナコイルやICチップが装着されている場合には、これらを取り外したり開閉したりすることによって、アンテナコイルやICチップが破損してしまう恐れがある。すなわち、使用者が通常の使用をすることで、破損してしまう可能性があるという問題点を有している。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、通信端末を大型化することなく、良好な受信感度を維持した状態で、アンテナを作業性よく配置することができるアンテナ取り付け部材と、それを用いてアンテナが設けられた通信端末とを実現することにある。
本発明に係るアンテナ取り付け部材は、上記課題を解決するために、通信端末に取り付けられる非接触式通信用のアンテナ取り付け部材であって、アンテナが貼付されるアンテナ貼付部と、アンテナを通信端末に設けられた非接触式通信用ICに接続する接続部とを備えていると共に、通信端末に対して着脱可能になっていることを特徴としている。
上記の構成によれば、アンテナ取り付け部材が通信端末に対して着脱可能になっているため、アンテナ取り付け部材を通信端末に対して容易に取り付けることができる。アンテナ取り付け部材には、アンテナが貼付されており、アンテナ取り付け部材を通信端末に取り付けるだけでアンテナを配置することが可能となる。従って、アンテナ取り付け部材を用いることで、アンテナ取り付けに係る作業性が向上する。その結果、簡便かつ容易にアンテナを取り付けることができる。
本発明に係るアンテナ取り付け部材では、上記アンテナは、アンテナ取り付け部の周縁部分に貼付されていることが好ましい。上記の構成によれば、アンテナを環状(ループ状)に取り付けることができる。また、アンテナを環状に取り付けた場合には、そのアンテナにて囲まれた部分の面積が大きい程感度がよく、良好な通信特性を得ることができる。アンテナ取り付け部の周縁部にアンテナを取り付けることにより、この面積をより大きくすることが可能となるため、通信特性および通信感度をより一層良好なものとすることができる。
本発明に係るアンテナ取り付け部材では、上記接続部は、アンテナ取り付け部の端部に設けられていることが好ましい。アンテナ取り付け部材は、高温状態に一定時間さらされた場合に膨張することがある。この膨張度合いは、一般に中心部分が最も大きい。このため、接続部を中心部分に設けた場合には、アンテナ取り付け部材の膨張によってアンテナと非接触式通信用ICとの接続状態が不良になってしまうことがある。
これに対して、上記の構成によれば、接続部はアンテナ取り付け部の端部に設けられており、例えアンテナ取り付け部材が膨張した場合であっても、膨張の度合いが小さい箇所に配置されていることとなる。その結果、アンテナと非接触式通信用ICとの接続状態が不良となることを回避し、常に良好な接続状態を維持することができる。
本発明に係るアンテナ取り付け部材では、上記アンテナは、磁性体を含む接着剤を用いてアンテナ取り付け部に貼付されていることが好ましい。非接触式通信では、アンテナをリーダ/ライタ装置に近づけることによってデータの通信を行う。この際に、アンテナの近くに金属部品がある場合には、金属部品が干渉してアンテナ内を通る電流が減ってしまう。これにより、非接触式通信用ICで得られる電圧が小さくなり、十分な通信特性を得ることができない。
これに対して、上記の構成によれば、磁性体を含む接着剤を用いてアンテナを貼付している。磁性体は、磁界を遮蔽する働きがあり、金属の影響を受けにくくすることが可能となる。従って、磁性体を用いることにより、アンテナの近くに金属がある場合であっても、十分な通信特性を得ることが可能となる。
本発明に係るアンテナ取り付け部材では、上記アンテナ取り付け部の周縁部分は、湾曲していることが好ましい。通信端末におけるアンテナ取り付け部材を配置する箇所は、構造上またはデザイン上湾曲している場合がある。良好な通信特性を発揮するためには、アンテナにて囲まれた面積をできるだけ確保するようにアンテナを配置することが望まれる。このため、通信端末の筐体に直接アンテナを配置する場合には、この湾曲した部分に取り付けることが好ましいものの、湾曲部分にアンテナを取り付けることは非常に困難である。
上記の構成によれば、アンテナ取り付け部材の周縁部分を、通信端末の筐体の湾曲形状に合わせて湾曲させている。また、アンテナはこの周縁部分に貼付されている。このため、アンテナ取り付け部材を取り付けるだけで、通信端末の湾曲部分にアンテナを配置することが可能となる。その結果、十分な通信特性を有するアンテナを作業性よく容易に取り付けることができる。
本発明に係る通信端末は、上記課題を解決するために、表示部が設けられた第1筐体と、操作部が設けられた第2筐体とを備えた通信端末において、上記第1筐体は、非接触式通信用ICが設けられた基板と、アンテナおよび該アンテナを非接触式通信ICに接続する接続部が設けられたアンテナ取り付け部材とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、アンテナ取り付け部材にはアンテナが設けられており、このアンテナ取り付け部材を用いてアンテナが取り付けられる。このため、筐体を組み立てる前に基板上にアンテナ取り付け部材を取り付けるだけで、通信端末にアンテナを取り付けることが可能となる。その結果、アンテナ取り付けの作業性が向上し、簡便かつ容易にアンテナを取り付けることができる。また、筐体がアンテナ取り付け部材を備えた構成であるため、筐体の強度をも向上させることが可能となる。
本発明に係る通信端末では、上記アンテナは、アンテナ取り付け部材の周縁部分に設けられていることが好ましい。上記の構成によれば、アンテナを環状(ループ状)に取り付けることができる。また、アンテナを環状に取り付けた場合には、そのアンテナにて囲まれた部分の面積が大きい程感度がよく、良好な通信特性を得ることができる。アンテナ取り付け部材の周縁部にアンテナを取り付けることにより、この面積をより大きくすることが可能となるため、通信特性および通信感度をより一層良好なものとすることができる。
本発明に係る通信端末では、上記接続部は、アンテナ取り付け部材の端部に設けられていることが好ましい。通信端末を構成する筐体は、高温状態に一定時間さらされた場合に膨張することがある。この膨張度合いは、一般に中心部分が最も大きい。このため、接続部をアンテナ取り付け部材の中心部分に設けた場合には、通信端末の筐体の膨張によってアンテナと非接触式通信用ICとの接続状態が不良になってしまうことがある。
これに対して、上記の構成によれば、接続部はアンテナ取り付け部材の端部に設けられており、例え通信端末の筐体が膨張した場合であっても、膨張の度合いが小さい箇所に配置されていることとなる。その結果、アンテナと非接触式通信用ICとの接続状態が不良となることを回避し、常に良好な接続状態を維持することができる。
本発明に係る通信端末では、上記アンテナは、磁性体を含む接着剤を用いて貼付されていることが好ましい。非接触式通信では、アンテナをリーダ/ライタ装置に近づけることによってデータの通信を行う。この際に、アンテナの近くに金属部品がある場合には、金属部品が干渉してアンテナ内を通る電流が減ってしまう。これにより、非接触式通信用ICで得られる電圧が小さくなり、十分な通信特性を得ることができない。
これに対して、上記の構成によれば、磁性体を含む接着剤を用いてアンテナを貼付している。磁性体は、磁界を遮蔽する働きがあり、金属の影響を受けにくくすることが可能となる。従って、磁性体を用いることにより、アンテナの近くに金属がある場合であっても、十分な通信特性を得ることが可能となる。
本発明に係る通信端末では、上記アンテナ取り付け部材は、周縁部分が湾曲していることが好ましい。通信端末におけるアンテナ取り付け部材を配置する箇所は、構造上またはデザイン上湾曲している場合がある。良好な通信特性を発揮するためには、アンテナにて囲まれた面積をできるだけ確保するようにアンテナを配置することが望まれる。このため、通信端末の筐体に直接アンテナを配置する場合には、この湾曲した部分に取り付けることが好ましいものの、湾曲部分にアンテナを取り付けることは非常に困難である。
上記の構成によれば、アンテナ取り付け部材の周縁部分を、通信端末の筐体の湾曲形状に合わせて湾曲させている。また、アンテナはこの周縁部分に貼付されている。このため、アンテナ取り付け部材を取り付けるだけで、通信端末の湾曲部分にアンテナを配置することが可能となる。従って、アンテナを作業性よく容易に取り付けることができると共に、十分な通信特性を有する通信端末とすることができる。
本発明に係るアンテナ取り付け部材は、以上のように、通信端末に取り付けられる非接触式通信用のアンテナ取り付け部材であって、アンテナが貼付されるアンテナ貼付部と、アンテナを通信端末に設けられた非接触式通信用ICに接続する接続部とを備えていると共に、通信端末に対して着脱可能になっている。また、本発明に係る通信端末は、以上のように、第1筐体は、非接触式通信用ICが設けられた基板と、アンテナおよび該アンテナを非接触式通信ICに接続する接続部が設けられたアンテナ取り付け部材とを備えている。これにより、アンテナ取り付けの作業性が向上し、簡便かつ容易にアンテナを取り付けることができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施の形態においては、本発明の通信端末として折り畳み式の携帯電話機(以下、携帯電話と略する)を例に挙げて説明する。
図2および図3は、本実施の形態に係る携帯電話(通信端末)1の概略構成を示す平面図であり、図2および図3は携帯電話1を開いた状態を示している。また、図2は通常使用時における正面からみた図であり、図3は背面からみた図である。
図2および図3に示すように、携帯電話1は本体上部(第1筐体)2および本体下部(第2筐体)3からなっており、これら本体上部2および本体下部3がヒンジ4を介して開閉可能に接続されている。本体上部2は表示画面(表示部)5やスピーカ6等を備えており、本体下部3は操作ボタン(操作部)7やマイクロホン8等を備えている。表示画面5には、液晶表示装置が用いられている。
また、図4は、図3における本体上部2の背面側のカバー9を取り外した状態を示す図であり、本体上部2の内部構造を示す図である。図4に示すように、本体上部2の内部にはアンテナ取り付け部材10が配置されている。アンテナ取り付け部材10には、非接触ICカード用のアンテナ(以下、単にアンテナと称する)11が貼付されている。通常の使用時には、このアンテナ11を図示しないリーダ/ライタ装置にかざすことにより無線通信によるデータの授受が可能となっている。このアンテナ取り付け部材10は、携帯電話1に対して着脱可能になっており、アンテナ取り付け部材10が取り付けられていない状態を図5に示す。また、カバー9を筐体内部からみた場合の平面図を図6に示す。
図5に示すように、形態電話1の上部本体2には、非接触ICチップ(非接触通信用IC)12やコネクタ13、背面側表示部14等が配置された基板15が設けられている。この背面側表示部14は、上部本体2の背面側に設けられた液晶表示装置であり、上記表示画面5とは反対側の面で表示を行うものである。
ここで、アンテナ取り付け部材10について詳細に説明する。図1はアンテナ取り付け部材10の概略構成を示す斜視図であり、図7は図1に示すアンテナ取り付け部材10のアンテナ11が貼付された方向からみた平面図であり、図8は図7とは反対の方向からみたアンテナ取り付け部材10の平面図である。
図1、図7および図8に示すように、アンテナ取り付け部材10は、アンテナ11を貼付するためのほぼ矩形状に形成された貼付面(アンテナ貼付部)16と、この貼付面16の外周部分から垂直方向に伸びた足部17とを有する構成となっている。貼付面16の周縁部分にはアンテナ11が貼付されている。アンテナ11は、銅箔パターンが数ターンの環状(ループ状)に形成されたフレキシブル基板からなっている。
アンテナ11は、そのループ状に形成された銅箔パターンにて囲まれた面積が大きいほど、通信特性が向上する。このため、アンテナ11を貼付面16の周縁部分に貼付することによって、良好な通信特性を得ることが可能となっている。また、通信特性を向上させるために、貼付面16自体の面積も大きい方が好ましい。貼付面16の面積が大きい程、アンテナ11にて囲まれた面積を大きくすることができるからである。
なお、アンテナ11を形成する際には、良好な通信特性を得ることができるように金属線の太さや金属線同士の間隔を適宜変更して形成することができる。例えば、金属線同士の間隔を狭くした場合には、アンテナ11にて囲まれた面積を大きくすることが可能となる。
また、銅箔パターン同士の間隔を広くして、数ターンの金属線を貼付面16上に配置し、残りの金属線を足部17表面に配置するように貼付することもできる。この場合、アンテナ11にて囲まれた面積を大きくすることができると共に、アンテナ11と基板15上の金属部品との距離を離した状態でアンテナ11を配置することができる。このように、アンテナ11の貼付位置は、貼付面16の周縁部分に限定されるものではなく、通信特性を考慮して適宜変更することができる。
また、アンテナ11は、磁性体を含む両面テープ(接着剤)18を用いてアンテナ取り付け部材10に貼付されている。アンテナ11の近傍に金属がある場合には、金属の影響によって干渉が起こり通信特性が低下するものの、磁性体をアンテナ11と金属との間に設けることで、この干渉を低減することが可能となる。すなわち、磁性体を含む両面テープ18は、アンテナ11をアンテナ取り付け部材10に貼付するためのみならず、通信特性の低下を防止するためのものでもある。
上記両面テープ18は、磁性体を含むものであればよいが、磁性体からなるシールを用いたものであることが好ましい。磁性体としては、干渉を低減できるものであればよく、例えば、フェライトを用いることができる。
このアンテナ11は、貼付面16とは反対側の面19(以下、反対面19と称する)で非接触ICチップ12と接続されるようになっている。このため、アンテナ取り付け部材10の反対面19には、アンテナ11と非接触ICチップ12とを接続する接点(接続部)20が設けられている。この接点20は、貼付面16から反対面19へと折り曲げられた金属線からなっている。一方、上記基板15には、接点20と接触するようにバネ式接点21が設けられている。アンテナ取り付け部材10の接点20と、基板15のバネ式接点21とが接触することによって、アンテナ11と非接触ICチップ12とが電気的に接続する。
なお、アンテナ取り付け部材10に設けられる接点20は、アンテナ11と非接触ICチップ12とを接続することができる位置に設ければよいが、貼付面16の端部に設けることが好ましく、特に角部に設けることが好ましい。これは、接点20とバネ式接点21との接触をより確実に行うことができるためである。
具体的には、携帯電話1は、高温状態に一定時間さらされた場合には筐体が膨張する。一般に膨張の度合いは、筐体の中心線付近が最も大きい。このため、接点を中心線付近に設けた場合には、筐体の膨張により基板との距離が広がり、接点とバネ式接点との接続状態が不良になる場合がある。接点を貼付部の端部または角部に設ければ、筐体の膨張時においても基板との距離が離れてしまうことを抑制することができる。その結果、常に良好な接続状態を維持することが可能になる。
また、貼付面16には開口部22が設けられている。これは、アンテナ取り付け部材10を上部本体2に取り付けた際に、基板15上に設けられたコネクタ13や液晶表示装置14を貼付面16から露出させるためのものである。液晶表示装置14は、外部から目視可能となるように露出させる必要があり、コネクタ13は、貼付面16よりも背が高い為アンテナ取り付け部材10との干渉を避ける必要がある。このため、開口部22を設けることによって、これら各部品を貼付面16から露出させている。
また、開口部22は、上記コネクタ13等を露出させることの他に、接点20を設けるために金属線を貼付面16から反対面19へと折り曲げるためにも用いられている。この開口部22の数や位置、大きさ等は特に限定されるものではなく、露出する必要のある部品の数や位置、大きさ等によって適宜変更することができる。
足部17は、貼付面16の外周部分から垂直方向に伸び出している。アンテナ取り付け部材10は、基板15を覆うようにして取り付けられる。このため、足部17は、アンテナ取り付け部材10を取り付けた際に、アンテナ取り付け部材10を固定するためのものである。また、アンテナ11は可能な限り基板15から離れた位置であって、カバー9に近い位置に配置することが好ましい。このため、足部17の伸びだし方向の長さは、基板15の位置や筐体の厚み等を考慮した長さとすればよい。
このように、ほぼ矩形状の貼付面16を有するアンテナ取り付け部材10を、基板15を覆うように配置するため、通常使用時における外部からの圧力に対する強度も増す。このため、上部本体2内部の外周部分に設けられた、強度向上のためのリブ23を削減することも可能となる。リブ23を削減せずに、アンテナ取り付け部材10を配置した場合には、リブ23による強度向上とアンテナ取り付け部材10による強度向上とによって、より一層高い強度を得ることができる。この場合、足部17は、リブ23の配置位置を考慮し、リブ23に接触しない形状となるように形成する。
また、本体上部2のカバー9は、長手方向(本体上部2から本体下部3に向かう方向)の外周部分が湾曲した形状を有している。このため、本実施の形態におけるアンテナ取り付け部材10においても、その長手方向の周縁部分が湾曲した形状を有している。このような形状とすることにより、可能な限りカバー9に近い位置にアンテナ11を配置することができる。
カバー9の外周部分が湾曲している場合には、その湾曲部分に直接アンテナ11を貼付することは非常に困難である。これに対して、本実施の形態では、アンテナ11が貼付されたアンテナ取り付け部材10を配置するだけで、この湾曲部分にアンテナ11を配置することが可能となる。
なお、一般の携帯電話では、基板上の外周部分にアースパターン等の金属配線が設けられているが、本実施の形態に係る携帯電話1では、基板15上の外周部分に金属配線等は設けられていない。また、基板15上に設けられたコネクタ13等の配線も基板15の外に引き廻すことなく全て基板15上に形成されている。すなわち、アンテナ11と近接する部分に金属が設けられておらず、通信特性の低下を回避することができるようになっている。
上記アンテナ取り付け部材10は、アンテナ11を貼付することができ、かつ通信特性を低下させることのない材質にて形成すればよく、例えば、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene resin)やPC−ABS(Polycarbonate - Acrylonitrile Butadiene Styrene resin)等のプラスチック樹脂を用いて形成することができる。また、より高い強度を確保するためにこれら樹脂にガラスを混ぜたものを用いることが好ましい。
なお、上記では、折り畳み式の携帯電話機について説明したが、本発明は、折り畳み式でない携帯電話機や、折り畳み式であると共に本体上部が本体下部に対して回動可能に接続された携帯電話機であっても適用できる。
図9は、折り畳み式であると共に、本体上部が本体下部に対して回動可能に接続された携帯電話機24の概略構成を示す平面図である。図9に示す携帯電話24は、図2に示す携帯電話1と比較して本体上部が回動可能である点が異なるのみで他の構成は同じである。このため、図2に示す部材と同一の部材については同一の符号を記す。図9は、本体上部2および本体下部3が開いた状態であって、本体上部2が本体下部3に対して180度回転した状態を示している。また、図9は本体上部2のカバー9が取り外された状態を示している。また、アンテナ取り付け部材10が取り付けられていない状態の携帯電話24を図10に示す。
図9に示すように、回動可能な携帯電話機24であっても同様にしてアンテナ11を配置することができる。この場合、アンテナ11は操作ボタン7側に配置される。従って、この状態でデータ通信を行う場合には、表示画面側(操作ボタン7側とは反対側)にある図示しないリーダ/ライタ装置にアンテナ11をかざすこととなる。すなわち、アンテナ11とリーダ/ライタ装置との間に基板15を介することとなる。
基板15には金属部品が設けられており、金属部品の影響を受けて通信特性が低下してしまう恐れがあるものの、本実施の形態ではアンテナ11の貼付に磁性体を含む両面テープ18を用いているため、通信特性の低下を防止することができる。従って、本体上部2を回転させた場合であっても通信特性を低下させることなく、データ通信を行うことができる。
また、図9に示す状態で本体上部2と本体下部3とを折り畳んだ場合には、アンテナ11は本体上部2の基板15と本体下部3とに挟まれた位置に配置されることとなる。従来のように、アンテナ11を本体上部2のカバー9に直接貼付した場合には、カバー9が本体下部3に接するため、アンテナ11が本体下部3の金属と非常に近接した状態になる。これに対して、アンテナ取り付け部材10を用いてアンテナ11を取り付けている場合には、カバー9に直接貼付する場合と比較して本体下部3との距離を離すことができる。従って、本体下部3から受ける影響により通信特性が低下することも回避できる。
さらに、アンテナ取り付け部材10の周縁部分が湾曲形状を有しており、この湾曲部分にアンテナ11を貼付した場合には、図9に示す状態で折り畳んだとしても、アンテナ11と本体下部3との距離をさらに離すことが可能となる。これにより、通信特性の低下をより一層回避することが可能となる。
以上のように、本発明は、アンテナが貼付されたアンテナ取り付け部材を用いてアンテナを配置している。アンテナと取り付け部材とが一体となった一個の部品とすることで、アンテナ取り付け部材を単に取り付けるだけでアンテナを配置することが可能になる。
このため、アンテナを通信端末の筐体に直接貼付したり、内蔵したりする必要がなく、簡便かつ容易にアンテナを配置することができる。また、作業性が向上することに加えて、筐体の強度も向上すると共に、十分な通信特性をも得ることができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明のアンテナ取り付け部材は、アンテナが取り付け部材に貼付された状態になっており、一個の部品として用いることができる。このため、これを用いてアンテナを取り付けることにより、通信端末を製造する際の作業性が向上する。このため、非接触式通信用のアンテナや、それを備えた非接触ICやリーダ/ライタ等の非接触式通信に用いる各種部品を製造・使用する産業分野に好適に用いることができる。
本発明の実施の一形態を示すものであり、アンテナ取り付け部材の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、携帯電話の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、携帯電話の概略構成を示す平面図である。 図3における本体上部のカバーを取り外した状態を示す平面図である。 図4におけるアンテナ取り付け部材が取り付けられていない状態を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、本体上部のカバーの概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、アンテナ取り付け部材の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、アンテナ取り付け部材の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、携帯電話の概略構成を示す平面図である。 本発明の実施の一形態を示すものであり、携帯電話の概略構成を示す平面図である。
符号の説明
1 携帯電話(通信端末)
2 本体上部(第1筐体)
3 本体下部(第2筐体)
5 表示画面(表示部)
7 操作ボタン(操作部)
10 アンテナ取り付け部材
11 アンテナ
12 非接触ICチップ(非接触通信用IC)
15 基板
16 貼付面(アンテナ貼付部)
18 両面テープ(接着剤)
20 接点(接続部)
21 バネ式接点

Claims (5)

  1. 表示部が設けられた第1筐体と、操作部が設けられた第2筐体とを備えた通信端末において、
    上記第1筐体は、非接触式通信用ICが設けられた基板と、
    アンテナが貼付されたほぼ矩形状のアンテナ貼付部および該アンテナを非接触式通信ICに接続する接続部が設けられたアンテナ取り付け部材とを備えており、
    上記アンテナ取り付け部材は、通信端末に対して着脱可能になっていると共に、上記基板を覆うようにして取り付けられており、さらに、アンテナ貼付部を有する面の外周部分から垂直方向に伸び、アンテナ取り付け部材を上記第1筐体に対して固定するための足部を有することを特徴とする通信端末。
  2. 上記アンテナは、アンテナ取り付け部材の周縁部分に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
  3. 上記接続部は、アンテナ取り付け部材の端部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の通信端末。
  4. 上記アンテナは、磁性体を含む接着剤を用いて貼付されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の通信端末。
  5. 上記アンテナ取り付け部材は、周縁部分が湾曲していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の通信端末。
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