JP4334080B2 - 底面給水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物に対して栽培容器の底面から給水する底面給水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉢花の潅水労力削減の一手段として底面給水技術が知られている。例えば、水が溜められる浅い箱状の水槽を準備してその中に栽培容器(鉢)を配置し、水槽内に水を給水することにより鉢穴から吸水させる腰水法と呼ばれる方法がある。この方法には、水槽に常時潅水する方法と、必要とする水量を間隔をおいて潅水する方法があるが、いずれの場合にも、栽培農家において使用する栽培容器(鉢)は、一般家庭で使用する鉢と比較して著しく大きいため、水槽を含めた栽培容器全体の重量が非常に重く、僅かな移動にも大きな労力を要し、取り扱いに不便であるということが指摘されている。また、栽培容器内に充填される培地材が加湿になり易いといった問題もある。
【0003】
かかる問題を解消する底面吸水技術として、近年は、水の毛管連絡が優れたマット材(保水材)を使用し、このマット材の上面に植物が栽植された培地材を設置し、マット材に水を給水して湿潤させることにより、この水を培地材を介して植物に吸水させる手段も用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マット材を使用する場合には、塩類がマット材表面に析出して集積し、植物の根がこれに触れることにより成長が阻害されたり、マット材に藻が発生したりして、汚染や目詰まりを生じ易いという問題がある。塩類の集積や藻の発生は空気との接触面積すなわちマット材表面の露出面積に比例して多くなるものであるが、植物が栽植された培地材は、マット材表面にある程度の間隔をもって載置されるのが通常であり、マット材を使用した場合、培地材間に必然的に空気と接する露出面が表れるため、上記問題を解消することは困難であった。また、マット材への根の侵入を防ぐため、マット材の上面に防根シートを敷設する必要があり、コスト削減の面から防根シートをできるだけ使用しないで済む構造の装置の開発も望まれている。
【0005】
本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、従来の腰水法で用いられる装置と比較して軽量であると共に、培地材が過湿になりにくい構造で、塩類集積や藻の発生が少なく、しかも、防根シートを使用しなくても済む構造の底面給水装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため請求項1記載の本発明の底面給水装置は、板状部材の一面に、所定間隔をおいて互いに略平行となるように複数形成された長溝と、
隣接する長溝間の隔壁に、該隔壁を挟んで隣接する各長溝にそれぞれ臨むように形成された水路と、
前記各長溝に装填され、上部に、植物が栽植される培地材を支持可能な保水材と
を具備することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の本発明の底面給水装置は、請求項1記載の底面給水装置であって、前記板状部材の少なくとも一方の端部に、前記水路を介して保水材に供給される液体を受け入れる液受け部が連接されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の本発明の底面給水装置は、請求項1又は2記載の底面給水装置であって、前記保水材の幅が前記培地材の幅よりも狭いことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の本発明の底面給水装置は、請求項1〜3のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各隔壁に形成される水路が、前記長溝にほぼ直交する方向に沿って、互いにほぼ一直線上に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の本発明の底面給水装置は、請求項4記載の底面給水装置であって、前記水路が各隔壁においてそれぞれ、前記長溝の形成方向に沿って所定間隔ごとに複数形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の本発明の底面給水装置は、請求項1〜5のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各隔壁に形成される各水路の中途に、堰部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の本発明の底面給水装置は、請求項1〜6のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各長溝の底面に、隣接する各水路に連通する液体通過溝が刻設されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施の形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の底面給水装置の一の実施の形態を示す平面図、図2はその側面図、図3はその正面図である。この底面給水装置1は、所定の厚みを有する略長方形の板状部材10から構成されるが、その外周縁には、上方に延びる周壁部11が形成されている。従って、全体としてみた場合には、上面開口の浅い箱状に形成されていることになる。
【0014】
板状部材10には、一方向(図1の例では横方向)に延びる所定幅の長溝12が、それに略直交する方向(図1の例では縦方向)に所定の間隔をおいて複数形成されている。
【0015】
ここで、この長溝12は、ロックウール等の保水材20が装填される部位となるところであるが、該長溝12は、板状部材10の長手方向(図1の例では縦方向)に沿って所定間隔ごとに設けられており、板状部材10の全面に設けられているわけではない。従って、植物が栽植された培地材30を従来と同様の数及び方法で配置するとした場合には、従来のようにマット材(保水材)を全面に敷設する場合と比較して、板状部材10に対して保水材20の占める面積は大きく減少する。このため、培地材30を配置した際に、培地材30と接触せずに露出する部分の面積も大きく減少する。
【0016】
なお、該保水材20はこの長溝12に大きな隙間が生じることなく装填されるため、該保水材20の幅は該長溝12の幅とほぼ等しくなるが、該保水材20の露出面積をできるだけ小さくするため、保水材20上に載置される培地材30の幅はこの保水材20の幅より大きく、培地材30の底面に対し、保水材20の上面が幅方向において該底面の一部にしか接触しないように設定することが好ましい(図10参照)。逆に言えば、育苗等に用いられるブロック状の培地材30の大きさとしては種々の種類があるものの、上記長溝12の幅は、使用しようとする培地材30の一辺の長さ(幅)よりも、小さくなるように設定することが好ましい。但し、培地材30の形状が、その上面よりも底面の方が狭いような形状である場合には、上記長溝12の幅は、当該培地材30の底面と同程度でよい。
【0017】
このようにして長溝12が形成される結果、隣接する長溝12間には、隔壁13が形成されることになる。この隔壁13には、各長溝12の形成方向(図1の例では板状部材10の横方向)に対して略直交する方向に沿って刻設された細溝状の水路14が形成されている(図1及び図4〜図10参照)。細溝状の水路14は、その各端部が隣接する長溝12にそれぞれ臨むように形成され、隣接する一方の長溝12内に装填された保水材20に吸収されなかった液体が該水路14を通過して隣接する他方の長溝12に流入し得る構成となっている。
【0018】
水路14は、隣接する一方の保水材20から他方の保水材20へと迅速に液体を流入させることが好ましいことから、隔壁13に沿って所定間隔ごとに互いに略平行となるように複数形成することが好ましい。また、同様の理由から、隣接する隔壁13に形成された各水路14同士は互いにほぼ一直線上に位置する位置関係となるように形成することが好ましい。
【0019】
その反面、隣接する一方の保水材20から他方の保水材20へとあまりに早く流れすぎると、供給された液体が一方の保水材20の隅々まで行き渡る前に他方の保水材20へと流れてしまうおそれもある。従って、各長溝12内に滞留し過ぎないことを考慮して上記のように複数の水路14を形成する一方で、各保水材20全体に均等に行き渡ることとのバランスを考慮して、各水路14をその底面が図9及び図10に示したように断面山形となるような溝とすることで、その頂部14aによって液体の流れの抵抗となる堰部としての機能を持たせておくことが好ましい。なお、この堰部となる頂部14aの高さは上記のようなバランスを考慮して、適宜決定される。
【0020】
また、水路14は、上記のように、各列の保水材20全体に均等に行き渡ることとのバランスを考慮してその深さや幅等が決定されるものであるが、供給した液体をできるだけ速やかに隣接する長溝12へと行き渡らせるためのさらなる工夫として、隣接する各隔壁13に形成された各水路14の端部間を連通するように、該長溝12の底面に液体通過溝15を刻設しておくことが好ましい(図1、図6、図8及び図10参照)。このような構成とすることにより、長溝12内に保水材20を装填しても、液体通過溝15は閉塞されずに暗渠として機能することになるため、水路14を通過した液体のうちの一部は保水材20に吸収されずに該液体通過溝15を通過して隣接する隔壁13に形成された水路14に速やかに至ることになる。また、保水材20の内部を通過する液体は、当該液体を供給する以前に保水材20に保持されていた液体によって組成が変化する。従って、ほとんどの液体がこの保水材20の内部を通過するようにした場合、すなわち、上記液体通過溝15を設けない構成とした場合には、供給側から遠ざかるほど組成が変化し、上流側と下流側とで植物の成長ムラが生じるおそれがある。これに対し、液体通過溝15を設けた場合には、新鮮な液体がそのまま下流側へと供給されていくため、供給側に近い側に配置された植物と遠い側に配置された植物との間での成長ムラを小さくすることができる。
【0021】
本実施の形態の底面給水装置1は、上記のように板状部材10の長手方向に沿って長溝12と隔壁13が交互に設けられているが、長手方向の端においていずれが形成されていてもよい。但し、長手方向の最も端に位置する長溝12又は隔壁13(本実施の形態では隔壁13)に隣接して、図1に示したように、供給される液体を受け入れる液受け部16,17を連接することが好ましい。
【0022】
この液受け部16,17は受け入れた液体を一旦溜めて、隔壁13に複数形成されたいずれの水路14からも液体を均等に流すことができるように設けられるものである。従って、この液受け部16,17の底面位置は、最も端に位置する隔壁13に形成された水路14の頂部14aよりも低くなっており(図8参照)、該頂部14aをオーバーフローして初めてそれに隣接する長溝12に液体が供給されることになる。
【0023】
ここで、本実施の形態では上記のように液受け部16,17を2カ所に設けている。これは栽培植物の成長に偏りが生じないよう、一方の液受け部16から、また他方の液受け部17からと交互に液体を供給できるようにしたものである。但し、液受け部をいずれか一方のみに設ける構成とすることも可能である。
【0024】
次に、本実施の形態の作用を説明する。まず、予め、植物(苗等)が植えられた、例えば略立方体形状の培地材30を保水材20上に載置しておく。この際、培地材30は、上記したように、保水材20上であって水路14に連通する液体通過溝15の上方に位置するように載置することが好ましい(図10参照)。但し、多量の植物を植えたい場合には、保水材20の長手方向に密に並べてもよい。
【0025】
そして、例えば、一方の液受け部16に、植物に吸収させる液体(水又は液肥)を供給する。所定量の液体が供給されると、その水面がこの液受け部16に隣接する隔壁13に形成された水路14の頂部14aよりも高くなった時点でオーバーフローし、各水路14から隣接する長溝12に流入する。これにより、当該長溝12に装填されている保水材20によって液体が吸収される。また、一部の液体は、該保水材20の下方に位置する液体通過溝15を通過する。該保水材20においては、各水路14に隣接する部分から液体が吸収されて吸収範囲が左右に広がって行くわけであるが、この際、吸収範囲が広がっていく間にも各水路14を通じて液体が供給されてくるため、各水路14に隣接する部分からは当該部分に吸収されなかった液体が浸出し、液体通過溝15を通過した液体と共に、さらに隣接する隔壁13に形成された水路14の頂部14aの高さに至るまで当該頂部14aの直前で滞留し、滞留している液体の高さが当該頂部14aの高さを越えるとオーバーフローして当該水路14に隣接する長溝12に流入する。
【0026】
供給された液体は、このように水路14を経て保水材20全体に広がり、さらに隣接する水路14を経て隣接する保水材20に吸収されて行くわけであるが、この際、本実施の形態によれば、水路14に堰部として機能する頂部14aが形成されているため、各長溝12において隣接する頂部14aをオーバーフローできる高さに至るまで液体が一旦滞留する。このため、液体は、当該長溝12に装填された保水材20の隅々まで速やかに吸収され、該保水材20が速やかに飽和状態に至り、隣接する水路14を通じて隣接する長溝12へも速やかに流れる。
【0027】
上記のようにして一方の液受け部16寄りの保水材20から順に液体が吸収されていき、最終的に、余剰の液体は他方の液受け部17に至る。そして、一方の液受け部16に対する給液を停止すると、液体は、該一方の液受け部16に隣接する水路14の頂部14aを乗り越えることができないため、そのまま該一方の液受け部16内に溜まる。同様に、他方の液受け部17においても余剰の液体はそのまま溜まる。なお、この液受け部16,17に溜まった余剰の液体は、次回の給液まで滞留させておいてもよいが、この液受け部16,17に余剰の液体を積極的に排出するための排出口(図示せず)を形成してもよい。
【0028】
上記のような給液を行った後、植物により、培地材30及び保水材20によって吸収された液体が消費され、水分不足になったならば、あるいは、一定期間(時間)経過したことを目安として、次の給液を行う。この場合、次の給液を一方の液受け部16に対して行ってもよいが、他方の液受け部17に給液することによって、今度は、他方の液受け部17寄りの保水材20から順に液体が吸収されることになる。この結果、板状部材10に配置されている保水材20への給液バランスを図ることができ、配置場所の相違に伴う植物の成長ムラを小さくすることができる。また、このように両端に液受け部16,17を設けておくことにより、常に両方から給液することも可能となる。
【0029】
本実施の形態にかかる底面給水装置1を育苗容器として用いた場合、苗が目的とする大きさまで成長したならば、培地材30を保水材20上から除去して、本圃(図示せず)へ定植する。この際、従来のように、育苗容器全面に保水材(マット材)を設置した場合には、保水材への根の侵入を防ぐため、マット材の上面に防根シートを敷設する必要があった。多くの根が保水材へ侵入すると、培地材を取り外す際に根が中途から切れてしまうからである。しかしながら、本実施の形態の場合には、保水材20は各培地材30の底面に対してその一部に接しているのみである(図10参照)。一方、根は培地材30の表面近くを通って伸びるため、培地材30からはみ出る場合でも、そのほとんどは該培地材30の底面周囲からはみ出ていくが、本実施の形態では、保水材20の上面が培地材30の幅方向中央付近と接するように配置しているため、はみ出た根の多くは隔壁13上に至り、保水材20に侵入する根は、従来と比較してその数が少ない。従って、培地材30を除去する際にこの根を切って定植したとしても、植物に悪影響を与えるものではなく、コスト削減の面から防根シートを全く使用しないようにすることもできる。なお、保水材20への根の侵入を確実に防ぐために防根シートを利用することも可能であり、もちろん、このような構成も本発明の一態様に含まれるものである。
【0030】
また、培地材30からはみ出て隔壁13上に至った根が、保水材20方向に延びていかないようにするため、隔壁13上に、隣接する保水材20から遠ざかる方向に延びる根の誘導溝を備えたガイド板(図示せず)を配設することもできる。
【0031】
また、本実施の形態にかかる底面給水装置1は、上記のように、液受け部16,17のうちのいずれか一方から液体を供給し、各水路14を通じて、長溝12に液体が溜まり、水位が上昇することで他方へ向かって供給されていく。従って、傾斜して設置されている場合には、低所側から給液を行うことは望ましくない。高所側から給液すれば、各長溝12では頂部14aの高さまで液体が溜まるため、高所側と低所側とで液量が変わらず、全体を均一な水分量で管理することができる。しかしながら、一方からの給液を繰り返すことで、反対側の保水材内部の液体組成が変化し、給液側(上流側)とその反対側(下流側)とにおいて成長ムラが生じる可能性がある。従って、底面給水装置1は略水平に設置することが好ましい。また、液受け部16,17のうち一方からではなく、例えば、交互に供給することが好ましい。
【0032】
図11は、本実施の形態にかかる底面給水装置1を利用した栽培システムの一例を概略的に示すものである。なお、この図では、2つの底面給水装置1を連接しているが、そのうちの一方は培地材30を配置する前の状態で示しており、他方は培地材30を既に配置した状態で示している。また、これらの底面給水装置1は、板状部材10同士を複数接続し、脚部41に支持されて所定の高さに設置されている。液受け部16,17の各上方には、給液パイプ42,43が配置されており、弁45,46によっていずれからも給液可能となっている。弁45は給液パイプ42,43の開閉と流量を制御する制御弁であり、弁46は逆止弁である。また、符号44は、各端部を板状部材10の四隅に設けた孔18に対して互いに交差するように斜めに掛け渡して配置したアーチ部材であり、このアーチ部材44にプラスチックフィルムや寒冷紗等の被覆材(図示せず)をかけることができる。
【0033】
本実施の形態にかかる底面給水装置1はこのように適宜数連接した構成とすることにより、栽培規模に応じた栽培システムを提供することができる。
【0034】
また、本発明者は先に、特願平10−71254号として、上記実施の形態における保水材20に供給する液体の水分ポテンシャルの値と培地材30に供給する液体の水分ポテンシャルの値とを異ならせ、特に、栽培初期において保水材20に供給する液体の水分ポテンシャルの値を、培地材30に供給する液体の水分ポテンシャルの値より小さくすることにより、植物の生長過程において水分ポテンシャルを徐々に下げ、植物に対して徐々にストレスを付与する栽培法を提案している。この栽培法によれば、育苗に適用した場合、本圃へ定植しても過繁茂しない高品質の苗を生産でき、また、本圃栽培に適用した場合には、尻腐れ果実の発生が少なくなるという作用、効果を奏する。
【0035】
ところで、本発明によれば、保水材20が板状部材10の全面に敷設されているわけではなく、従来のようにマット材(保水材)を全面に敷設する場合と比較して、板状部材10における保水材20の占める面積は小さく、装置全体を大幅に軽量化できる。また、栽培期間中に保水材20に供給する液体を随時追加することができるため、植物の成長を見ながら、付与するストレスを加減することができる。このため、上記特願平10−71254号に示した栽培法を実施するのに適しており、本発明にかかる底面給水装置を育苗に適用した場合には、さらに高品質の苗を生産することが可能となる。
【0036】
なお、本発明の底面給水装置を構成する板状部材10としては、長溝12、隔壁13、水路14及び液受け部16,17を備えた形となるように、型を用いて一体成型することもできるが、所定の厚みを有する板状部材10を準備して長溝12や水路14等を刻設するようにしてもよい。また、逆に、板状部材10として平らなものを準備し、その上に隔壁13をかたどったものを所定位置に固定配置していくことで、長溝12や水路14等を形成することもできる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の底面給水装置は、所定間隔をおいて互いに略平行となるように複数形成された長溝と、隣接する長溝間の隔壁に、該隔壁を挟んで隣接する各長溝にそれぞれ臨むように形成された水路と、前記各長溝に装填され、上部に、植物が栽植される培地材を支持可能な保水材とを具備する。
【0038】
従って、保水材の利用により、従来の腰水法で用いられる装置と比較して軽量で過湿になりにくい構造の底面給水装置を提供することができる。また、板状部材に対して保水材の占める面積が従来よりも小さく、培地材を配置した際に、培地材と接触せずに空気に露出する部分の面積が小さいため、塩類集積や藻の発生が少ない。また、保水材への根の侵入を少なくすることができるため、保水材を用いているにも拘わらず、防根シートを使用しない栽培を実現することも可能であり、栽培コストの削減に資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の底面給水装置の一の実施の形態の示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した底面給水装置の側面図である。
【図3】図3は、図1に示した底面給水装置の正面図である。
【図4】図4は、図1のA部拡大図である。
【図5】図5は、図4のB部拡大図である。
【図6】図6は、図1のC−C線断面図である。
【図7】図7は、図1のD−D線断面図である。
【図8】図8は、図1のE−E線断面図である。
【図9】図9は、図8のF部拡大図である。
【図10】図10は、上記実施の形態にかかる底面給水装置の使用状態の要部を示す斜視図である。
【図11】図11は、上記実施の形態にかかる底面給水装置を複数使用した栽培システムの概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 底面給水装置
10 板状部材
11 周壁
12 長溝
13 隔壁
14 水路
14a 頂部
15 液体通過溝
16 液受け部
17 液受け部
20 保水材
30 培地材

Claims (7)

  1. 板状部材の一面に、所定間隔をおいて互いに略平行となるように複数形成された長溝と、
    隣接する長溝間の隔壁に、該隔壁を挟んで隣接する各長溝にそれぞれ臨むように形成された水路と、
    前記各長溝に装填され、上部に、植物が栽植される培地材を支持可能な保水材と
    を具備することを特徴とする底面給水装置。
  2. 請求項1記載の底面給水装置であって、前記板状部材の少なくとも一方の端部に、前記水路を介して保水材に供給される液体を受け入れる液受け部が連接されていることを特徴とする底面給水装置。
  3. 請求項1又は2記載の底面給水装置であって、前記保水材の幅が前記培地材の幅よりも狭いことを特徴とする底面給水装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各隔壁に形成される水路が、前記長溝にほぼ直交する方向に沿って、互いにほぼ一直線上に位置するように形成されていることを特徴とする底面給水装置。
  5. 請求項4記載の底面給水装置であって、前記水路が各隔壁においてそれぞれ、前記長溝の形成方向に沿って所定間隔ごとに複数形成されていることを特徴とする底面給水装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各隔壁に形成される各水路の中途に、堰部が形成されていることを特徴とする底面給水装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1に記載の底面給水装置であって、前記各長溝の底面に、隣接する各水路に連通する液体通過溝が刻設されていることを特徴とする底面給水装置。
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