JP4334056B2 - 高周波ウェルダ用ヒールパッド - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は高周波ウェルダ用ヒールパッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車内装材等のファブリックで表装した内装材に部分的に樹脂製のパッドを高周波ウェルダにより溶着する例がある。これは、内装材の(一般部より厳しい)摩耗を受けることが予想される部位を保護するものであり、たとえば図3に示す自動車フロアカーペットMにヒールパッドPを溶着する例がある。また、2枚の樹脂シートで基材の周囲をおおい、各シートの周縁を高周波ウェルダにより相互溶着し基材を被覆する例(不図示)もある。
上記のような樹脂製加工材(パッド)の高周波ウェルダによる溶着(被着材に溶着ないし相互溶着)では、加工材に交流高周波を印加し、加工材の内部に分子レベルでの振動に起因した発熱をおこし加工材を一部溶融させる。同時に加工材を溶着する相手材に押圧することにより、加工材の溶融した樹脂が被着材に入り込んで再固化するアンカー効果を利用し貼着する。加工材は高周波の印加に対して発熱しやすい熱可塑性樹脂(誘電率の高い樹脂)が選択される。
高周波ウェルダは接着剤を必要としない利点があるため、自動車内装材への部品の溶着等に広く用いられている。
【0003】
図2には、ヒールパッドを高周波ウェルダによりカーペットに溶着する装置例を示す。溶着装置10は上部電極11をそなえた可動板12と、上部電極に相対する下部電極13をそなえたテーブル14からなり、両電極間にはカーペット20およびカーペットに溶着するヒールパッド30を重ね配してある。溶着装置の上下電極を高周波発振器15に配線16で連結して電圧を印加し、同時に可動板を下げて上部電極によってヒールパッド(およびカーペット)を押圧することにより、加工材の分子内振動によって加工材を自己発熱させ、電極に挟まれた部位を溶融状態におき、被着材に溶着する。従来技術に以下の課題を生じている。
【0004】
高周波をヒールパッド(およびカーペット)に印加した場合、加工材が十分に発熱・溶融するためには、ヒールパッド樹脂の極性が十分に大きい必要がある。結果としてヒールパッドには極性が強く高周波に反応して発熱しやすい塩化ビニル樹脂を主体にしたものが多用されてきた。近年、環境への配慮から塩素基を含む樹脂は使用自粛の傾向にある。このような状況の中、高周波ウェルダにとって好ましい代替の加工材がなかった。極性の弱い素材からヒールパッドを形成した場合、発熱性が弱く、加工時間が長く生産性が劣ったものとなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題にかんがみなされたものであり、塩素を含まない樹脂からなり、高周波ウェルダによって溶着するに適したヒールパッド構成を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する本発明の手段は、高周波の印加によって部分的に軟化溶融し、カーペットに溶着される高周波ウェルダ用ヒールパッドであって、カーペットに溶着される溶着層と、溶着層のカーペットに溶着されるのと反対の表面を覆う表面層をもってなり、溶着層は熱可塑性の主材樹脂に、主材樹脂より極性の高いエチレン酢酸ビニル樹脂、酸変性オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の発熱材と、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルクの中から選ばれる少なくとも一種の充填材を合わせて40重量%以上の比率で混入していることを特徴とする高周波ウェルダ用ヒールパッドによる。
【0007】
【作用】
本発明の高周波ウェルダ用ヒールパッドは、表層によって表面の堅牢度を維持しつつ、溶着層に混入した発熱材および充填材を発熱源にして、溶着層の主材樹脂を溶融させて被着材カーペットに溶着する。溶着層中の主材樹脂の比率を60重量%未満にする(発熱材および充填材の比率を40重量%以上にする)ことで溶着層を少ないエネルギーで(短時間で)溶融させることが可能になる。溶着層の主材樹脂は融点が100℃未満が好ましく、線状低密度ポリエチレン樹脂が、低融点で加工がしやすいこと、適度の柔軟性を有して電極(金型)との密着性が高くなることで特に好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適の実施の形態を説明する。本発明の高周波ウェルダ用ヒールパッド30は、図1のように少なくとも表層30aと溶着層30bを積層してなる。また表層と溶着層の間に中間層を挟んだ多層構造も可能である。表層と溶着層の厚さは耐摩耗性等の物理的な強さ(主に表層)と高周波ウェルダに適した物性(主に溶着層)を確保するように決定される。(表層)表層は耐熱、耐光、耐傷付き、耐摩耗の各物性が優れた熱可塑性樹脂からなるのが適する。好ましい例として、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂がある。またアイオノマー樹脂を採用することにより、表層の高周波ウェルダ性を向上させることができる。
【0009】
(溶着層)溶着層は極性の低い主材樹脂に、主材樹脂より極性の高い発熱材、および充填材を混入してなる。溶着層のうち主材樹脂の比率が60重量%未満である。
(主材樹脂)耐熱性、溶着強度の確保ができる熱可塑性樹脂が適する。最も適するのは線状低密度ポリエチレン樹脂である。その他には低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂等も可能である。
(発熱材)主材樹脂より極性が高く、高周波の印可を受けて発熱しやすい熱可塑性樹脂が適する。エチレン酢酸ビニル樹脂、酸変性オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂が適する。
(充填材)主材樹脂および発熱材への混入加工性がよい粒子状の充填材として炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルクが適する。また高周波の印可によって発熱する充填材は特に好ましい。
(カーペット)カーペットは、毛羽立ち、微小凹凸などがあり、高周波ウェルダ用加工材の溶着層が溶融した際に、その溶融樹脂が被着材に入りこみやすいものが好ましい。
【0010】
【実施例】
厚さ0.9mm、大きさ370mm×250mmのシート状に形成した高周波ウェルダ用ヒールパッド(実施例および比較例)を同じカーペット(パイルをポリエステルで形成したニードルパンチカーペット300g/m2に低密度ポリエチレン樹脂の裏打ち400g/m2 をバッキングした構成)に高周波ウェルダしてウェルダ性能を評価した。高周波印加の条件は、図2相当の高周波ウェルダ装置の上定盤にそなえた、面積210mm×160mm(3mm縞状パターン)の金型による、印加周波数27.12MHz、電圧立上がり900ms、プラトー6000ms、立下がり50ms、冷却5000ms、圧力1.5tを付与する。
(実施例1)表層樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)を厚さ0.4mmに形成。溶着層は、主材が線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)に発熱材としてエチレン酢酸ビニル樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社製、融点84℃、tanδ5.53×10−2 )と充填材として炭酸カルシウムを混入して形成する。溶着層における主材の比率は33重量%である。表層と溶着層は押出し同時ラミネートによって積層する。
(実施例2)表層樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)を厚さ0.4mmに形成。溶着層は、主材が線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)に発熱材としてエチレン酢酸ビニル樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社製、融点84℃、tanδ5.53×10 −2 )と充填材として水酸化マグネシウムを混入して形成する。溶着層における主材の比率は33重量%である。表層と溶着層は押出し同時ラミネートによって積層する。
(実施例3)表層樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)を厚さ0.4mmに形成。溶着層は、主材が線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)に発熱材としてエチレンアクリル酸無水物共重合体、充填材として炭酸カルシウムを混入して形成する。溶着層における主材の比率は33重量%である。表層と溶着層は押出し同時ラミネートによって積層する。
(比較例1)表層樹脂は線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)を厚さ0.4mmに形成。溶着層は、主材が線状低密度ポリエチレン樹脂(旭化成株式会社製、融点98℃)に発熱材としてエチレン酢酸ビニル樹脂(三井デュポンポリケミカル株式会社製、融点84℃、tanδ5.53×10−2 )を混入して形成する。溶着層における主材の比率は66重量%である。表層と溶着層は押出し同時ラミネートによって積層する。
(評価)上記した同じカーペットに対して、実施例および比較例のヒールパッドを同一条件でウェルダした結果、実施例のヒールパッドはすぐれたウェルダ性が確保されたのに比較して、比較例では発熱が不足して、十分なウェルダがなされなかった。
【0011】
【発明の効果】
本発明の高周波ウェルダ用ヒールパッドは従来の塩化ビニル樹脂材を代替して自動車フロアカーペットに高周波ウェルダするに好適な構成である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による高周波ウェルダ用ヒールパッドの断面構造を示す。
【図2】高周波ウェルダ装置による、ヒールパッドのウェルダ状態を示す。
【図3】自動車フロアカーペットにヒールパッドを溶着した状態を示す。
【符号の説明】
10 高周波ウェルダ装置
11 上部電極
12 可動板
13 下部電極
14 テーブル
20 カーペット
30 高周波ウェルダ用ヒールパッド
30a 表層
30b 溶着層
Claims (1)
- 高周波の印加によって部分的に軟化溶融し、自動車フロアカーペットに溶着される高周波ウェルダ用ヒールパッドであって、自動車フロアカーペットに溶着される溶着層と、溶着層の自動車フロアカーペットに溶着されるのと反対の表面を覆う表面層をもってなり、溶着層は熱可塑性の主材樹脂に、主材樹脂より極性の高いエチレン酢酸ビニル樹脂、酸変性オレフィン樹脂、ポリアミド樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の発熱材と、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルクの中から選ばれる少なくとも一種の充填材を合わせて40重量%以上の比率で混入していることを特徴とする高周波ウェルダ用ヒールパッド。
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JP10014099A Expired - Fee Related JP4334056B2 (ja) | 1999-04-07 | 1999-04-07 | 高周波ウェルダ用ヒールパッド |
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