JP4333168B2 - ハニカム構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁材、ドア材、断熱材、遮音材などの各種土木建築用資材として用いるのに好適なハニカム構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特公平5−68431号公報
【特許文献2】
特公平3−79183号公報
従来から、ハニカムコア内の全域に、或いは厚さ方向の中間領域に発泡体からなる断熱材、吸音材などを充填したハニカム構造体が知られている。そして、その製造方法として、特許文献1(特公平5−68431号公報)には、ハニカムコアの各ハニカム空間内に軽量骨材、アルカリ珪酸塩、金属系発泡剤、硬化剤、水からなる発泡硬化性組成物を充填し、発泡硬化させる方法が記載されている。また、特許文献2(特公平3−79183号公報)には、ハニカムコアの各ハニカム空間内に、無機骨材、発泡性フェノール樹脂を被覆した無機骨材、無機骨材をこの順に入れることによって、底部領域に無機骨材層、中間領域に発泡性フェノール樹脂被覆無機骨材層、上部領域に無機骨材層を形成し、次いで全体を加熱することで発泡性フェノール樹脂を発泡硬化させ、その後、ハニカム空間の底部領域及び上部領域に残存する無機骨材を除去することによって、ハニカム空間の中間領域に断熱性中間層を備えたハニカム構造体を製造する方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したハニカム構造体の製造方法にはそれぞれ問題点があった。すなわち、特許文献1に記載の方法ではハニカムコアのハニカム空間全体を発泡体で満たす構成としているため、発泡硬化性組成物の発泡硬化後、発泡体がハニカムコアの表面より溢れ出ており、このため、ハニカムコアの表面を切削加工して平らにしなければならず、その処理に多大なコストがかかるという問題があった。また、ハニカムコアの表面に表面パネルを貼り付けて使用することが多く、その際には通常、ローラーコーターを用いてハニカムコアの両面に同時に接着剤を塗布するが、接着剤がハニカムコアのみならず、ハニカム空間を満たしている発泡体の表面にも塗布されてしまう。このため、接着剤の消費量が多くなって非経済的であり、且つ、接着剤の水分や溶剤分を除去するに熱乾燥などが長時間必要となるといった問題点もあった。なお、この問題を避けるには、ローラーコーター塗布を止め、一定ピッチに並べられたノズルから接着剤をストライプ状に押し出し、塗布する方法を採用すればよいが、この方法では、ハニカムコアの上面にしか塗布できないため、片面ずつ表面パネルを接着しなければならず、著しく生産性が悪くなるという問題を生じる。一方、特許文献2に記載の方法では、ハニカムコアのハニカム空間に、無機骨材、発泡性フェノール樹脂被覆無機骨材、無機骨材をこの順に入れて、無機骨材層、発泡性フェノール樹脂被覆無機骨材層、無機骨材層を形成しなければならず、この作業が面倒であると共に各ハニカム空間についてそれぞれの骨材を均等に供給して均等厚さの骨材層を形成することが困難であり、しかも発泡硬化後に、底部、上部の無機骨材を除去する作業にも手間がかかるといった問題があった。また、発泡硬化に加熱を必要とし、これにも手間がかかるといった問題があった。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、簡単な操作によって、ハニカムコアのハニカム空間内に、ハニカムコアの表面から発泡体が溢れでない形態に、発泡体を充填することを可能としたハニカム構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべくなされた本発明のハニカム構造体の製造方法は、まず、水平な底面を備えた成形用型内に発泡硬化性組成物を一様な厚さに且つ発泡硬化後の厚さが第一のハニカムコアの厚さを越えない厚さとなるように導入し、その発泡硬化性組成物内にその上方から第一のハニカムコアを、開口端を下向きにして押し込み、且つ前記発泡硬化性組成物を発泡硬化させ、次に、この第一のハニカムコアを発泡硬化して形成した発泡体と共に成形用型から取り出し、その成形用型或いは別の成形用型内に逆向きに入れ、そのハニカムコアと発泡体との上に直接、発泡硬化性組成物を一様な厚さに且つ発泡硬化後の厚さが第二のハニカムコアの厚さ未満となる厚さに導入し、その発泡硬化性組成物内にその上方から第二のハニカムコアを、開口端を下向きにして押し込み、且つ前記発泡硬化性組成物を発泡硬化させることを特徴とする。このように、本発明では第一、第二のハニカムコアのハニカム空間に発泡硬化性組成物を充填するに際し、成形用型内にまず発泡硬化性組成物を一定厚さに導入し、それにハニカムコアを押し込む方法を採用したことで、ハニカムコアの各ハニカム空間に均一に且つ容易に発泡硬化性組成物を充填できる。そして、その発泡硬化性組成物を発泡硬化させた際に、発泡硬化により形成される発泡体がハニカムコアの高さ(厚さ)を越えないように充填量を設定したことで、ハニカムコアの上面より発泡体が溢れ出ることがなく、且つ第一のハニカムコアと第二のハニカムコアとを背中合わせの形態としたことで、製造されたハニカム構造体の両面とも、発泡体が溢れ出ることがなく、従って、従来のように表面を平らに切削する必要がなくなる。かくして、ハニカム構造体を低コストで製造することができる。
【0006】
上記した製造方法により製造したハニカム構造体は、そのままの状態で使用してもよいが、両面に表面パネルを配することが好ましい。その場合には、上記の製造方法の後に、前記第一ハニカムコア及び第二ハニカムコアの外側表面に表面パネルを接着する工程を設ければよい。上記した製造方法により製造したハニカム構造体は、その両面のハニカムコアの表面が汚れていないため、そのハニカムコアの表面に適切な接着剤を用いて表面パネルを接着することで表面パネルを強固に固定することができ、両面に表面パネルを備えたハニカム構造体を製造できる。また、表面パネル接着のための接着剤塗布に当たっては、ハニカム空間に充填した発泡体の表面がハニカムコア表面より引っ込んだ位置にあるため、ローラーコーターを用いてハニカムコアのみに接着剤を塗布することができ、このため、ローラーコーターを用いてハニカム構造体の両面に同時に、且つハニカムコア表面のみに接着剤を塗布することができ、生産性良く且つ接着剤消費量を過剰とすることなく、表面パネルを接着できる。
【0007】
本発明に用いる発泡硬化性組成物は、常温で発泡硬化させることの可能な発泡硬化性無機組成物とする。この発泡硬化性無機組成物を用いることで、発泡硬化作業が容易となり、且つ製造されたハニカム構造体は無機組成物で形成された発泡体を備えているので、優れた耐火断熱性を備えている。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる第一及び第二のハニカムコアは、土木建築分野等で用いられているものを適宜使用でき、ハニカムコアの厚さ、全体の平面形状、サイズ等は製造すべきハニカム構造体に要求される特性を考慮して適当に設定すればよい。また、ハニカムコアに形成しているハニカム空間の断面形状も種々のものとすることができ、例えば、六角形、三角形、四角形、円形等任意である。ハニカムコアの材料は、アルミ、鋼板、ステンレス板等の金属、紙、プラスチック等の非金属、更には、金属、紙、プラスチック等の積層材を挙げることができる。一つのハニカム構造体を構成する第一のハニカムコアと第二のハニカムコアとは同じものを用いても良いし、異なるものを用いても良い。
【0010】
本発明に用いる発泡硬化性組成物は、成形用型内に一様な厚さの層を形成するように流し込むことが可能で且つ成形用型内に流し込んだ後、その中にハニカムコアを押し込むことができるような流動性を備え、且つ発泡硬化しうるものであればよく、常温で発泡硬化可能な発泡硬化性無機組成物を用いる。この特性を持った発泡硬化性無機組成物の代表的なものとしては、無機粉体と珪酸塩との反応系に金属系などの発泡剤を添加し、必要に応じ物性を改善するための充填材を混合したものを挙げることができる。更に、本発明に好適な発泡硬化性無機組成物として、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体、アルカリ金属珪酸塩、過酸化水素、及び赤外線不透過性粉体を含み、アルカリ金属珪酸塩、過酸化水素、及び赤外線不透過性粉体の割合が、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体100重量部に対して、それぞれ、10〜100重量部、0.2〜3重量部、及び4〜40重量部である組成物(以下、好適発泡硬化性無機組成物という)を挙げることができる。
【0011】
以下、この好適発泡硬化性無機組成物について説明する。「珪酸アルミニウム系反応性無機粉体」とは、珪酸アルミニウム成分を含有する反応性無機粉体であって、水溶性アルカリ珪酸塩と反応硬化し得る粉体を指す。具体的には、フライアッシュ、無機化したパルプスラッジ、高炉スラグ等を挙げることができる。フライアッシュとしては、耐熱性の面から、SiO2 :Al2 O3 =45〜60:20〜28(重量比)の組成で且つ5〜30μmの平均粒径のものが好ましい。無機化したパルプスラッジとしては、耐熱性の面から、SiO2 :Al2 O3 =30〜50:25〜35(重量比)の組成で且つ5〜30μmの平均粒径のものが好ましい。高炉スラグとしては、耐熱性の面から、SiO2 :Al2 O3 =31〜35:13〜16(重量比)の組成で且つ5〜30μmの平均粒径のものが好ましい。これらの他にも、化学組成としてSiO2 を10〜80重量%、Al2 O3 を90〜10重量%を含有する無機粉体を、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体として使用することも可能である。このような粉体としては、メタカオリンなどのカオリン鉱物、雲母粘土鉱物、ワラストナイト、タルクなどが挙げられる。
【0012】
アルカリ金属珪酸塩は、M2 O・nSiO2 (M=K、Na、Liから選ばれる1種以上の金属)として表すことができるものである。ここで、「n」は0.5〜4の範囲が好ましく、更に好ましくは、1.0〜2.5である。nの値がこれより小さくなると反応が速すぎて発泡体のセルが連続気泡となり、断熱性能が低下する。逆に、nの値が大きくなり過ぎると反応が進みにくくなる。なお、アルカリ金属珪酸塩は水溶液として配合することが好ましい。水溶液の濃度は、薄くなると反応性粉末との反応性が低下し、濃くなるとアルカリ金属珪酸塩が析出しやすくなるので、10〜60重量%とすることが好ましい。また、上記アルカリ金属珪酸塩水溶液は、アルカリ金属珪酸塩をそのまま加圧、加熱下で水に溶解させて調製してもよいが、まず、アルカリ金属珪酸塩に、珪砂、珪石粉などのSiO2 成分を加えてnを所定の値とした後に、加圧、加熱下で溶解させ、アルカリ金属珪酸塩水溶液としてもよい。過酸化水素も、水溶液(過酸化水素水)として配合することが好ましく、濃度は5〜40重量%の範囲とすることが好ましい。「赤外線不透過性粉体」とは、赤外線の透過に不透明で輻射熱を散乱させ遮断する材料であり、具体的には、酸化ジルコニウム、酸化チタン等を挙げることができる。酸化ジルコニウムとしては、熱反射性及び高温での断熱性という点から、平均粒径が1〜80μmのものを用いることが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。酸化チタンとしては、熱反射性という点から、平均粒径が0.1μm以上のものを用いることが好ましく、より好ましくは0.2μm以上である。
【0013】
上記した組成の好適発泡硬化性無機組成物は、常温で発泡硬化し、微細且つ独立気泡化したセルを有する発泡体となる。このような微細且つ独立気泡化したセルを有する発泡体は、材質内の気体の対流を防いで優れた断熱特性を発揮する。しかも、赤外線不透過性粉体が、発泡の進行過程において、発泡体セル壁面に沿って配向しながらセル壁面全体に広がってゆくので、発泡体内で赤外線不透過性粉体がセル壁面に沿って存在したものとなり、輻射による熱の伝達を低減させることができる。かくして、この発泡体では高温での耐火断熱性をより効果的に高めることができる。なお、発泡体温度が400°C以上になると、発泡体の収縮によりセル壁にミクロクラックが発生する場合があり、ミクロクラックが発生すると独立気泡を連通させてしまうため、断熱性を低下させる。そこで、このようなミクロクラックの発生を防止したい場合には、耐熱性繊維を配合することが好ましく、耐熱性繊維としては、チタン酸カリウム繊維、ボロン繊維及びシリカ繊維などの無機繊維が好ましい。
【0014】
上記した好適発泡硬化性無機組成物を構成する各成分の量は次のように定めることが好ましい。まず、アルカリ金属珪酸塩の量は、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体100重量部に対して10〜100重量部とすることが好ましく、より好ましくは20〜60重量部である。アルカリ金属珪酸塩の量がこれより多いと、発泡体が脆くなりやすく、一方、アルカリ金属珪酸塩の量が少ないと、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体との硬化反応が遅くなる。過酸化水素の量は、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体100重量部に対して0.2〜3重量部とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜2重量部である。過酸化水素の量がこれより多いと、異常発泡により発泡が進み、発泡体のセルが連続気泡となり断熱性能が低下する。また、適切な密度よりも小さな密度となるため、十分な強度を有する発泡体が得られない。一方、過酸化水素の量が少ないと、発泡が小さいため発泡体の密度が高くなり、強度と独立気泡は確保できるものの、軽量性が損なわれ、断熱性能が劣る。赤外線不透過性粉体の量は、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体100重量部に対して4〜40重量部とすることが好ましく、より好ましくは10〜30重量部である。4重量部未満では、輻射による熱の伝達を十分に抑制することができず、逆に、40重量部より多くなると、得られる発泡体の強度が弱くなり高温時に割れを生じる可能性がある。なお、更に、耐熱性繊維(無機繊維)を加える場合には、珪酸アルミニウム系反応性無機粉体100重量部に対して0.3〜5重量部の量の耐熱性繊維を加えることが好ましい。耐熱性繊維の量が少なすぎると高温下におけるミクロクラック発生防止効果が得られず、多すぎると混練がうまく行えなくなる。また、上記した好適発泡硬化性無機組成物には、必要に応じ、シラスバルーン、セラミックバルーンなどの無機耐熱中空粒子を配合してもよい。
【0015】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係るハニカム構造体を示すものであり、(a)はハニカム構造体全体の概略斜視図、(b)はその概略断面図、(c)は拡大して示す概略断面図である。全体を参照符号1で示すハニカム構造体は全体が矩形状の平板状をなしたものである。このハニカム構造体1は、積層された第一のハニカムコア2a及び第二のハニカムコア2bと、積層状態の前記第一及び第二のハニカムコア2a、2bの厚さ方向の両端部分5a、5bを除いた領域に充填された発泡体3と、両側の表面に接合された表面パネル4a、4bを備えている。
【0016】
次に、このハニカム構造体1の製造方法を説明する。まず、図2(a)に示すように、成形用型6を用意する。この成形用型6は、製造しようとするハニカム構造体1(図1参照)を水平にした状態で収容可能な大きさのものであり、ハニカム構造体1とほぼ同一面積の水平な底面6aを備えている。次に、この成形用型6内に、発泡硬化性組成物7を一様な厚さとなるように導入する。この発泡硬化性組成物7は発泡硬化して発泡体3となるものであり、上記したように種々なものを使用可能であるが、この実施の形態では上記した好適発泡硬化性無機組成物を使用する。成形用型6内に導入した発泡硬化性組成物7の厚さtは、発泡後の厚さが第一のハニカムコア2aの厚さwよりも小さくなるように、好ましくは厚さwの10〜20%程度小さくなるように、選定しておく。次に、図2(b)に示すように、成形用型6内に導入した発泡硬化性組成物7内に、その上方から第一のハニカムコア2aを、開口端を下向きにして、ハニカムコア2aの下端が成形用型6の底面6aに突き当たるまで押し込む。これにより、ハニカムコア2aの下端領域に、各ハニカム空間に均一に発泡硬化性組成物7が充填された状態となり、簡単な作業でハニカムコア2aの各ハニカム空間への発泡硬化性組成物7の供給を行うことができる。また、ハニカムコア2aの上方から発泡硬化性組成物7を供給しないので、ハニカムコア2aの上面に発泡硬化性組成物7が付着して汚れるということもない。なお、成形用型6内に導入された発泡硬化性組成物7は、成形用型6内への導入直後から、発泡硬化を開始するので、硬化があまり進まないうちに、ハニカムコア2aの押し込みを完了しておく。そして、その後も発泡硬化が進行し、図2(c)に示すように、ハニカムコア2a内の大部分を満たし且つハニカムコア2aに接合した発泡体3が形成される。この際、前記したように、成形用型6内に導入した発泡硬化性組成物7の厚さtを、発泡後の厚さが第一のハニカムコア2aの厚さwよりも小さくなるように選定しているので、形成された発泡体3がハニカムコア2aの上面を越えて溢れ出ることはなく、ハニカムコア2aの上端領域5aは空間のままである。また、ハニカムコア2aの上面が汚れるということもない。
【0017】
次に、成形用型6から第一のハニカムコア2a及び発泡体3を取り出し、図3(a)に示すように、成形用型6内に逆向きに入れる。なお、この成形用型6は先に用いたものでもよいし、別の成形用型を用いても良い。次に、図3(b)に示すように、逆向きに入れた第一のハニカムコア2a及び発泡体3の上に、発泡硬化性組成物7を一様な厚さとなるように導入する。この際の発泡硬化性組成物7の厚さtも、発泡後の厚さが第二のハニカムコア2bの厚さwよりも小さくなるように、好ましくは厚さwの10〜50%程度小さくなるように、選定しておく。次に、図3(c)に示すように、成形用型6内に導入した発泡硬化性組成物7内に、その上方から第二のハニカムコア2bを、開口端を下向きにして、ハニカムコア2bの下端が第一のハニカムコア2aに突き当たるまで押し込む。これにより、第二のハニカムコア2bの下端領域に、各ハニカム空間に均一に発泡硬化性組成物7が充填された状態となり、簡単な作業でハニカムコア2bの各ハニカム空間への発泡硬化性組成物7の供給を行うことができる。また、ハニカムコア2bの上方から発泡硬化性組成物7を供給しないので、ハニカムコア2bの上面に発泡硬化性組成物7が付着して汚れるということもない。第一のハニカムコア2a及びその中に充填された発泡体3の上に導入された発泡硬化性組成物7は、導入直後から発泡硬化を開始し、図3(d)に示すように、先に形成されていた発泡体3と一体化し、且つ第二のハニカムコア2bの大部分を満たすと共にその第二のハニカムコア2bに接合した発泡体3となる。この際にも、成形用型6内に導入した発泡硬化性組成物7の厚さtを、発泡後の厚さが第二のハニカムコア2bの厚さwよりも小さくなるように選定しているので、形成された発泡体3がハニカムコア2bの上面を越えて溢れ出ることはなく、ハニカムコア2bの上端領域5bは空間のままである。また、ハニカムコア2bの上面が汚れるということもない。その後、第一及び第二のハニカムコア2a、2bとその内部に充填した発泡体3を成形用型6から取り出すことで、図4(a)に示すハニカム構造体1Aを得ることができる。
【0018】
得られたハニカム構造体1Aは、ハニカムコア2a、2b内に無機組成物からなる発泡体3を充填した構造であるが、その発泡体3がハニカムコア2a、2bの外側に溢れ出ていない。このため、従来のように、溢れ出た発泡体を切削して除去する必要がなく、その分、製造工程を簡単化できる。ハニカム構造体1Aはこのままの状態で使用してもよいが、この実施の形態では、図4(b)に示すように、その両面に表面パネル4a、4bを接着剤によって接合する。この際、前記したように、ハニカムコア2a、2bの表面が汚れていないので、表面パネル4a、4bを接着剤によって強固に接合することができる。また、接着剤塗布に当たっては、ハニカム空間に充填した発泡体3の表面がハニカムコア2a、2bの表面より引っ込んだ位置にあるため、ローラーコーターを用いてハニカムコア2a、2bの表面のみに接着剤を塗布することができ、このため、ローラーコーターを用いてハニカム構造体1Aの両面に同時に、且つハニカムコア表面のみに接着剤を塗布することができ、生産性良く且つ接着剤消費量を過剰とすることなく、表面パネル4a、4bを接着できる。表面パネル4a、4bとしては、特に限定するものではないが、木板、合板、金属板、樹脂板等を挙げることができる。以上により、図1に示すハニカム構造体1が製造される。
【0019】
得られたハニカム構造体1は、ハニカムコア2a、2b内に無機組成物からなる発泡体3を充填した構造であるので、軽量で且つ強度が大きく、更に耐火断熱性に優れた特性を備えており、壁材、ドア材、断熱材、遮音材などの各種土木建築用資材として好適に使用される。
【0020】
【実施例】
(1)第一ハニカムコア2a、第二ハニカムコア2bとして、次の仕様のものを用意した。
(2)発泡硬化性組成物として次の組成のものを用意し、ハンドミキサーで混合してスラリーとした。
フライアッシュ 100重量部
{組成SiO2 :Al2 O3 =11:5(重量比)、平均粒径10μm}
珪酸ナトリウム水溶液 50重量部
(組成SiO2 /Na2 O =1.5、濃度55%)
過酸化水素水(濃度10%) 18.8重量部
ステアリン酸亜鉛 0.5重量部
酸化ジルコニウム(平均粒子径30μm) 10重量部
(3)ハニカム構造体の製造
図2(a)に示すように、成形用型6(内法幅95cm×長さ180cm×深さ60mm)内に、上記組成の発泡硬化性組成物(ハンドミキサーで混合して得られたスラリー)を厚さtが5mmとなるように流し込み、発泡硬化させながら直ちにハニカムコア2aを押し込んだ。そして、図2(c)に示すように発泡硬化が終了した後、それを取り出し、図3(a)に示すように逆向きにして成形用型6内にセットし、その上に上記組成の発泡硬化性組成物(ハンドミキサーで混合して得られたスラリー)を厚さtが5mmとなるように流し込み、発泡硬化させながら直ちにハニカムコア2bを押し込んだ。そして、図3(d)に示すように発泡硬化が終了した後、それを取り出し、図4(a)に示すハニカム構造体1Aを得た。得られたハニカム構造体1Aは、第一及び第二ハニカムコア2a、2b及び発泡体3が強固に一体化した構造となっており、且つ発泡体3がハニカム構造体1Aの表面から約5mm内側に引っ込んだ状態となっていた。また、第一及び第二ハニカムコア2a、2bの表面には発泡硬化性組成物などによる汚れは見られなかった。このハニカム構造体1Aの両面に、接着剤によって金属板の表面パネルを接合した。これにより、図1に示すハニカム構造体1が得られた。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、本発明の製造方法では、ハニカムコア内に発泡硬化性組成物を入れて発泡硬化させた際に、その発泡硬化によって形成された発泡体がハニカムコアの外側に溢れ出ないので、溢れ出た発泡体を切削除去する必要がなくなり、ハニカム構造体の製造工程を簡単にしてコストダウンを図ることができる。また、ハニカムコアの表面パネルを貼り付ける面が汚れないので、そのハニカムコア表面に接着剤によって表面パネルを強固に貼り付けることができ、この点からもコストダウンを図ることができる。更に、接着剤塗布に当たっては、ローラーコーターを用いてハニカム構造体の両面に同時に且つハニカムコア表面のみに接着剤を塗布することができ、生産性良く且つ接着剤消費量を過剰とすることなく、表面パネルを接着でき、両面に表面パネルを備えたハニカム構造体も低コストで製造できる。また、発泡硬化性組成物として、常温で発泡硬化させることの可能な発泡硬化性無機組成物を用いたことで、発泡硬化作業が容易となり、且つ製造されたハニカム構造体は無機組成物で形成された発泡体を備えているので、優れた耐火断熱性を備えている。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の実施の形態に係るハニカム構造体の概略斜視図
(b)ハニカム構造体の概略断面図
(c)ハニカム構造体の一部を拡大して示す概略断面図
【図2】(a)、(b)、(c)は本発明の実施の形態に係る製造方法による製造手順を示す概略断面図
【図3】(a)、(b)、(c)、(d)は本発明の実施の形態に係る製造方法による製造手順を示す概略断面図
【図4】(a)、(b)は本発明の実施の形態に係る製造方法による製造手順を示す概略断面図
【符号の説明】
1、1A ハニカム構造体
2a 第一のハニカムコア
2b 第二のハニカムコア
3 発泡体
4a、4b 表面パネル
6 成形用型
6a 底面
7 発泡硬化性組成物
Claims (2)
- 水平な底面を備えた成形用型内に、常温で発泡硬化する発泡硬化性無機組成物である発泡硬化性組成物を一様な厚さに且つ発泡硬化後の厚さが第一のハニカムコアの厚さを越えない厚さとなるように導入する工程と、その発泡硬化性組成物内にその上方から第一のハニカムコアを、開口端を下向きにして押し込み、且つ前記発泡硬化性組成物を発泡硬化させる工程と、前記第一のハニカムコアを発泡硬化して形成した発泡体と共に成形用型から取り出し、成形用型内に逆向きに入れ、そのハニカムコアと発泡体との上に直接、常温で発泡硬化する発泡硬化性無機組成物である発泡硬化性組成物を一様な厚さに且つ発泡硬化後の厚さが第二のハニカムコアの厚さを越えない厚さとなるように導入する工程と、その発泡硬化性組成物内にその上方から第二のハニカムコアを、開口端を下向きにして押し込み、且つ前記発泡硬化性組成物を発泡硬化させる工程とを有することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
- 更に、前記第一ハニカムコア及び第二ハニカムコアの外側表面に表面パネルを接合する工程を有することを特徴とする請求項1記載のハニカム構造体の製造方法。
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