JP4333006B2 - モータ駆動装置及びモータ駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ駆動装置及びモータ駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動車両においては、U相、V相及びW相のステータコイルを備えたステータ、及び該ステータの内側において回転自在に配設され、磁極対を備えたロータから成るモータが使用され、モータ駆動装置によって前記ステータコイルにU相、V相及びW相の電流を供給することにより、前記モータが駆動されるようになっている。
【0003】
そして、電動車両の全体の制御を行う車両制御回路が、トルク指令値を算出し、該トルク指令値に基づいて電流指令値を算出してモータ制御部に送ると、該モータ制御部は、前記電流指令値に対応したパルス幅を有するU相、V相及びW相のパルス幅変調信号を発生させ、該パルス幅変調信号をドライブ回路に送る。
【0004】
該ドライブ回路は、前記パルス幅変調信号に対応させてスイッチング信号を発生させ、該スイッチング信号をインバータに送る。該インバータは、6個のスイッチング素子としてのトランジスタを有し、前記スイッチング信号がオンの間だけトランジスタをオンにして各相の電流を発生させ、該各相の電流を前記ステータコイルに供給する。このようにして、モータ制御部を作動させることによってモータを駆動し、モータトルクを発生させ、該モータトルクを駆動輪に伝達して電動車両を走行させることができる。
【0005】
そして、前記ステータコイルはスター結線されているので、各相の電流のうちの二つの相、例えば、U相及びV相の電流の値が決まると、残りの一つの相、例えば、W相の電流の値も決まる。したがって、各相の電流を制御するために、U相及びV相の電流が電流センサによって検出されるようになっている。そして、ロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でフィードバック制御が行われるようになっている。
【0006】
そのために、前記モータ制御部において、U相及びV相の電流は、三相/二相変換が行われてd軸電流及びq軸電流になる。そして、d軸電流とd軸電流指令値とのd軸電流偏差、及びq軸電流とq軸電流指令値とのq軸電流偏差がそれぞれ算出され、前記d軸電流偏差及びq軸電流偏差が零(0)になるようにd軸電圧指令値及びq軸電圧指令値がそれぞれ発生させられる。続いて、d軸電圧指令値及びq軸電圧指令値は、二相/三相変換が行われてU相、V相及びW相の電圧指令値になり、該各相の電圧指令値に基づいて各相のパルス幅変調信号が発生させられる。
【0007】
ところで、前記トランジスタをオン・オフさせると、熱が発生するので、ヒートシンクによってトランジスタを冷却するようにしているが、トランジスタを十分に冷却することができない場合、トランジスタの特性が低下するだけでなく、トランジスタの耐久性が低下してしまう。そこで、インバータにおける所定の箇所に温度センサを配設し、温度センサによってインバータの温度、すなわち、インバータ温度を検出し、該インバータ温度が閾(しきい)値を超えてインバータの異常が検出されると、前記トルク指令値の制限値、すなわち、制限トルクを小さくしてインバータ温度を低くするようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のモータ駆動装置において、前記温度センサは、インバータにおける所定の箇所に配設されるだけであるので、インバータ温度が局部的に高くなった場合、インバータの異常を確実に検出することができない。例えば、ドライブ回路がスイッチング信号を発生させ、該スイッチング信号をインバータに送っているにもかかわらず、何らかの理由でロータが回転しない状態、すなわち、ストール状態が発生すると、所定のトランジスタだけがオンになったままになり、前記インバータ温度が局部的に高くなるが、前記所定のトランジスタから離れた位置に温度センサが配設されていると、該温度センサによって検出されるインバータ温度は高くならない。
【0009】
したがって、インバータの異常を確実に検出することができない。その結果、制限トルクを小さくすることができず、インバータ温度を低くすることができなくなる。
【0010】
本発明は、前記従来のモータ駆動装置の問題点を解決して、インバータ温度が局部的に高くなった場合でも、インバータの異常を確実に検出することができるモータ駆動装置及びモータ駆動方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明のモータ駆動装置においては、電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有する。
そして、前記温度補正値算出処理手段は、電動車両を走行させるのに必要な要求トルク及びモータ回転速度に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量を算出し、該発熱量に基づいて前記温度補正値を算出する。
【0012】
本発明の他のモータ駆動装置においては、電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有する。
そして、前記温度補正値は、イグニッションキーをオンにしたときのインバータの状態に対応させて算出されるオフセット温度である。
【0013】
本発明の更に他のモータ駆動装置においては、電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有する。
そして、前記温度補正値算出処理手段は、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量、及び前記インバータの状態に対応させたインバータからの放熱量に基づいて前記温度補正値を算出する。
【0019】
本発明のモータ駆動方法においては、電源、モータ、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータ、及びインバータ温度を検出するインバータ温度検出手段を有するモータ駆動装置に適用される。
そして、電動車両を走行させるのに必要な要求トルク及びモータ回転速度に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量を算出し、該発熱量に基づいて温度補正値を算出し、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の機能ブロック図である。
【0022】
図において、14は電源としてのバッテリ、31はモータ、40は、図示されないスイッチング素子としてのトランジスタのスイッチングに伴って、前記バッテリ14から供給された電流を相電流としてのU相、V相及びW相の電流に変換して前記モータ31に供給するインバータ、22はインバータ温度を検出するインバータ温度検出手段としての温度センサ、91は前記インバータ40の状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段、92は、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータ40の推定温度を算出する推定温度算出処理手段である。
【0023】
図2は本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の概念図、図3は本発明の実施の形態におけるモータ制御部のブロック図である。
【0024】
図において、10はモータ駆動装置、17は電動車両の全体の制御を行う車両制御回路、31はモータ、45は該モータ31の制御を行うモータ制御部である。なお、前記モータ31としてDCブラシレスモータが使用される。前記モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設されたステータから成り、該ステータは、ステータコア、及び該ステータコアに巻装されたU相、V相及びW相のステータコイル11〜13を備える。
【0025】
そして、前記モータ31を駆動して電動車両を走行させるために、バッテリ14からの直流の電流がメインリレー15を介してインバータ40に供給され、該インバータ40によって相電流としてのU相、V相及びW相の電流IU 、IV 、IW に変換され、各相の電流IU 、IV 、IW はそれぞれ各ステータコイル11〜13に供給される。
【0026】
そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としてのトランジスタTr1〜Tr6を備え、各トランジスタTr1〜Tr6を選択的にスイッチング、すなわち、オン・オフさせることによって、前記各相の電流IU 、IV 、IW を発生させることができるようになっている。
【0027】
また、前記ロータのシャフトに図示されないドラムが取り付けられ、該ドラムに小磁石が取り付けられるとともに、前記ドラムと対向させて、簡易的な磁極位置センサとしての磁気抵抗素子、例えば、ホール素子43が配設され、該ホール素子43は、前記ロータの回動に伴って、前記小磁石の位置を検出し、所定の角度(本実施の形態においては、60〔°〕)ごとにセンサ出力としての位置検出信号PU 、PV 、PW を発生させ、磁極位置検出手段としての磁極位置検出回路44に送る。そして、該磁極位置検出回路44は、前記位置検出信号PU 、PV 、PW を受けて磁極位置θを検出するとともに、検出パルスを発生させ、前記磁極位置θ及び検出パルスをモータ制御部45に送る。さらに、前記メインリレー15とインバータ40との間にコンデンサ20が配設され、該コンデンサ20は、図示されないイグニッションキーがオンにされ、メインリレー15がオンにされると充電され、インバータ40に印加される電圧を平滑化する。そして、コンデンサ20における正の極性の端子、及び負の極性の端子が直流電圧検出回路16に接続され、該直流電圧検出回路16は、前記コンデンサ20の端子間の電圧、すなわち、直流電圧VC を検出し、直流電圧VC を車両制御回路17及びモータ制御部45に送る。また、該モータ制御部45は前記磁極位置検出回路44から検出パルスを受けると、各検出パルスのタイミングに基づいてモータ31の回転速度、すなわち、モータ回転速度Nmを算出し、車両制御回路17に送る。そして、該車両制御回路17はモータ回転速度Nmに対応する車速Vを検出する。
【0028】
ところで、前記ステータコイル11〜13はスター結線されているので、各相のうちの二つの相、例えば、U相及びV相の電流の値が決まると、残りの一つの相、例えば、W相の電流の値も決まる。したがって、U相及びV相の電流IU 、IV を検出するためにステータコイル11、12のリード線に電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34のセンサ出力としての検出信号SGU 、SGV がモータ制御部45に送られる。
【0029】
そして、18は図示されないアクセルペダルに配設されたアクセルセンサであり、運転者が前記アクセルペダルを踏み込むと、アクセルセンサ18がアクセルペダルの踏込量、すなわち、アクセル開度αを検出し、該アクセル開度αを車両制御回路17に送る。
【0030】
該車両制御回路17の図示されない指令値発生部は、前記アクセルセンサ18から送られたアクセル開度α、車速V等に基づいてトルク指令値Tmを発生させ、該トルク指令値Tmをモータ制御部45に送る。該モータ制御部45は、前記トルク指令値Tmに基づいて電流指令値Imとしてのd軸電流指令値ids及びq軸電流指令値iqsを発生させる。そして、前記モータ制御部45は、前記磁極位置θ、検出信号SGU 、SGV 、d軸電流指令値ids及びq軸電流指令値iqsに基づいてパルス幅を計算し、該パルス幅を有するU相、V相及びW相のパルス幅変調信号SU 、SV 、SW を発生させ、各相のパルス幅変調信号SU 、SV 、SW をドライブ回路51に送る。該ドライブ回路51は、前記各相のパルス幅変調信号SU 、SV 、SW を受けて、トランジスタTr1〜Tr6を駆動するための6個の駆動信号としてのスイッチング信号をそれぞれ発生させ、該スイッチング信号をインバータ40に送る。該インバータ40は、前記スイッチング信号がオンの間だけトランジスタTr1〜Tr6をオンにして電流IU 、IV 、IW を発生させ、該各電流IU 、IV 、IW を前記各ステータコイル11〜13に供給する。このように、モータ31を駆動することによって電動車両を走行させることができる。本実施の形態においては、各駆動輪にモータ31が配設され、各モータ31に対応させて6個のトランジスタTr1〜Tr6が配設される。
【0031】
そして、前記モータ制御部45においては、ロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。
【0032】
そのために、前記モータ制御部45内において、前記電流センサ33、34から送られた検出信号SGU 、SGV 及び前記磁極位置θがUV−dq変換器61に送られる。該UV−dq変換器61は、検出信号SGU 、SGV 及び前記磁極位置θに基づいて三相/二相変換を行い、検出信号SGU 、SGV 及び前記磁極位置θをd軸電流id 及びq軸電流iq に変換する。
【0033】
そして、d軸電流id は減算器62に送られ、該減算器62において前記d軸電流id とd軸電流指令値idsとのd軸電流偏差Δid が算出され、該d軸電流偏差Δid がd軸電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iq は減算器63に送られ、該減算器63において前記q軸電流iq とq軸電流指令値iqsとのq軸電流偏差Δiq が算出され、該q軸電流偏差Δiq がq軸電圧指令値発生部65に送られる。なお、前記d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65によって電圧指令値発生手段が構成される。
【0034】
そして、前記d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65は、パラメータ演算部71から送られたq軸インダクタンスLq 及びd軸インダクタンスLd 、並びに前記d軸電流偏差Δid 及びq軸電流偏差Δiq に基づいて、d軸電流偏差Δid 及びq軸電流偏差Δiq が零になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd * 及びq軸電圧指令値Vq * をそれぞれ発生させ、該d軸電圧指令値Vd * 及びq軸電圧指令値Vq * をそれぞれdq−UV変換器67に送る。
【0035】
続いて、該dq−UV変換器67は、前記d軸電圧指令値Vd * 、q軸電圧指令値Vq * 及び磁極位置θに基づいて二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd * 及びq軸電圧指令値Vq * をU相、V相及びW相の電圧指令値VU * 、VV * 、VW * に変換し、該各相の電圧指令値VU * 、VV * 、VW * をPWM発生器68に送る。該PWM発生器68は、前記各相の電圧指令値VU * 、VV * 、VW * 及び前記直流電圧VC に基づいて各相のパルス幅変調信号SU 、SV 、SW を発生させる。
【0036】
ところで、前記トランジスタTr1〜Tr6をオン・オフさせると熱が発生するので、図示されないヒートシンクによってトランジスタTr1〜Tr6を冷却するようにしているが、トランジスタTr1〜Tr6を十分に冷却することができない場合、トランジスタTr1〜Tr6の特性が低下するだけでなく、トランジスタTr1〜Tr6の耐久性が低下してしまう。そこで、前記インバータ40における所定の箇所にインバータ温度検出手段としての温度センサ22を配設し、温度センサ22によってインバータ温度を検出するようにしている。
【0037】
ところが、インバータ40における所定の箇所に温度センサ22が配設されるだけであるので、インバータ温度が局部的に高くなった場合、インバータ40の異常を確実に検出することができない。例えば、ドライブ回路51がスイッチング信号を発生させ、該スイッチング信号をインバータ40に送っているにもかかわらず、何らかの理由でストール状態が発生すると、所定のトランジスタだけがオンになったままになり、前記インバータ温度が局部的に高くなるが、前記所定のトランジスタから離れた位置に温度センサ22が配設されていると、該温度センサ22によって検出されるインバータ温度は高くならない。
【0038】
そこで、インバータ40の全体の温度を推定し、推定された温度、すなわち、推定温度teが閾値teTHを超えてインバータ40の異常が検出されると、制限トルクを小さくしてインバータ温度を低くするようにしている。
【0039】
次に、前記モータ駆動装置10の動作について説明する。
【0040】
図4は本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の動作を示すメインフローチャート、図5は本発明の実施の形態における制限トルク算出処理のサブルーチンを示す図、図6は本発明の実施の形態における推定温度係数算出処理のサブルーチンを示す図、図7は本発明の実施の形態における放熱量算出処理のサブルーチンを示す図、図8は本発明の実施の形態におけるオフセット温度算出処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の実施の形態におけるモータ回転速度・要求トルクの領域を説明する図である。なお、図9において、横軸にモータ回転速度Nmを、縦軸に要求トルクTnを採ってある。
【0041】
まず、車両制御回路17(図2)の図示されない要求トルク算出処理手段は、要求トルク算出処理を行い、アクセルセンサ18から送られたアクセル開度α、車速V等に基づいて電動車両を走行させるのに必要なモータトルク、すなわち、要求トルクを算出し、該要求トルクをトルク指令値Tmとしてモータ制御部45に送る。ここで、前記要求トルクは、モータトルクの出力値をトルク指令値に換算した値である。
【0042】
続いて、モータ制御部45の制限トルク算出処理手段96は、制限トルク算出処理を行い、推定温度teを算出するとともに、該推定温度teに対応する制限トルクを算出する。
【0043】
そして、前記モータ制御部45の目標トルク算出処理手段97は、前記トルク指令値Tmが制限トルクより大きいかどうかを判断し、トルク指令値Tmを制限トルクより大きい場合は制限トルクを目標トルクとして算出し、トルク指令値Tmが制限トルク以下である場合はトルク指令値Tmを目標トルクとして算出する。続いて、前記モータ制御部45の電流指令値算出処理手段98は、前記目標トルク等に基づいてd軸電流指令値ids及びq軸電流指令値iqsを算出する。
【0044】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 トルク指令値Tmを読み込む。
ステップS2 制限トルク算出処理を行う。
ステップS3 トルク指令値Tmが制限トルクより大きいかどうかを判断する。
トルク指令値Tmが制限トルクより大きい場合はステップS5に、トルク指令値Tmが制限トルク以下である場合はステップS4に進む。
ステップS4 目標トルクにトルク指令値Tmをセットする。
ステップS5 目標トルクに制限トルクをセットする。
ステップS6 電流指令値Imとしてのd軸電流指令値ids及びq軸電流指令値iqsを算出し、処理を終了する。
【0045】
次に、図4のステップS2における制限トルク算出処理のサブルーチンについて説明する。
【0046】
前記推定温度teを算出するに当たり、所定のタイミング、本実施の形態においては推定温度teの推定を開始した時点、すなわち、推定開始時点が特定され、推定開始時点において温度センサ22によって検出されたインバータ温度、すなわち、推定開始温度tmSTは、モータ制御部45内の図示されないメモリに記録される。そして、推定温度teは、インバータ40の状態に対応させて、前記推定開始温度tmST、前記推定開始時点においてインバータ40が潜在的に保有していた熱によるオフセット温度to、及び前記推定開始時点から現在までのインバータ40の熱収支を表す積算値Adに基づいて算出され、次の式(1)のように表される。この場合、オフセット温度toによって第1の温度補正値が、積算値Adによって第2の温度補正値が構成される。
【0047】
te=tmST+to+Ad ……(1)
そして、前記積算値Adは、トランジスタTr1〜Tr6のオン・オフに伴う発熱量Q、及びインバータ40からの放熱量Rに基づいて算出され、次の式(2)のように、発熱量Qから放熱量Rを減算した値を推定開始時点から現在までの時間で積分した値で表される。
【0048】
Ad=∫(Q−R)dt ……(2)
したがって、推定温度teは、次の式(3)のように表される。
【0049】
te=tmST+to+∫(Q−R)dt ……(3)
そして、推定温度係数をKとし、要求トルクをTnとしたとき、前記発熱量Qは、
Q=K・Tn2
で表されるので、前記推定温度teは次の式(4)のように表される。
【0050】
te=tmST+to+∫(K・Tn2 −R)dt ……(4)
なお、前記放熱量R及び推定温度係数Kは、図9に示されるようなモータ回転速度Nm及び要求トルクTnが属する各領域AR1〜AR6ごとにあらかじめ設定される。
【0051】
そして、前記制限トルク算出処理手段96は、トルク指令値Tmを読み込むとともに、推定開始温度tmSTをメモリから読み出す。続いて、前記制限トルク算出処理手段96の図示されない推定温度係数算出処理手段は、推定温度係数算出処理を行うことによって推定温度係数Kを算出し、前記制限トルク算出処理手段96の図示されない放熱量算出処理手段は、放熱量算出処理を行うことによって放熱量Rを算出し、前記制限トルク算出処理手段96の図示されないオフセット温度算出処理手段は、オフセット温度算出処理を行うことによってオフセット温度toを算出する。
【0052】
このようにして、前記推定温度係数K、放熱量R及びオフセット温度toが算出されると、前記制限トルク算出処理手段96の推定温度算出処理手段92(図1)は、推定温度算出処理を行い、前記トルク指令値Tmによって表される要求トルクTn、推定開始温度tmST、推定温度係数K、放熱量R及びオフセット温度toに基づいて、前記式(4)によって推定温度teを算出する。
【0053】
したがって、インバータ40における所定の箇所に温度センサ22が配設されるだけであり、インバータ温度が局部的に高くなった場合でも、前記推定温度teによって前記インバータ40の全体の温度を推定することができるので、インバータ40の異常を確実に検出することができる。その結果、制限トルクを小さくすることができ、インバータ温度を低くすることができる。
【0054】
なお、前記オフセット温度算出処理手段、及び積算値Adを算出する制限トルク算出処理手段96の図示されない積算値算出処理手段によって、温度補正値算出処理手段91が構成され、前記オフセット温度算出処理手段によって第1の温度補正値算出処理手段が、積算値算出処理手段によって第2の温度補正値算出処理手段が構成される。
【0055】
本実施の形態においては、発熱量Qを算出するために要求トルクTnが使用されるが、該要求トルクTnに代えて、モータ31によって発生させられたモータトルクを使用することもできる。その場合、推定温度係数Kの値が変更される。
【0056】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−1 トルク指令値Tmを読み込む。
ステップS2−2 推定開始温度tmSTを読み出す。
ステップS2−3 推定温度係数算出処理を行う。
ステップS2−4 放熱量算出処理を行う。
ステップS2−5 オフセット温度算出処理を行う。
ステップS2−6 推定温度teを算出する。
ステップS2−7 制限トルクを算出し、リターンする。
【0057】
次に、図5のステップS2−3における推定温度係数算出処理のサブルーチンについて説明する。
【0058】
この場合、モータ回転速度Nm及び要求トルクTnが属する領域ごとに推定温度係数Kがあらかじめ設定され、前記メモリ内にモータ回転速度Nm及び要求トルクTnと推定温度係数Kとが対応させられてテーブルとして記録される。
【0059】
まず、前記推定温度算出処理手段92は、モータ回転速度Nmが、第1のモータ回転速度閾値NmTH1、本実施の形態においては、20〔rpm〕より低く、かつ、要求トルクTnの絶対値|Tn|が、モータ31の定格によりあらかじめ設定された第1の要求トルク閾値TnTH1、本実施の形態においては、最大トルクの20〔%〕より大きい領域AR1に属するかどうかを判断する。そして、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR1に属する場合、前記推定温度算出処理手段92は推定温度係数Kを値k1にする。
【0060】
また、前記推定温度算出処理手段92は、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR1に属さない場合、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が、第2の要求トルク閾値TnTH2(TnTH2>TnTH1)、本実施の形態においては、最大トルクの80〔%〕以上であるとともに、第3の要求トルク閾値TnTH3(TnTH3>TnTH2)、本実施の形態においては、最大トルクの90〔%〕より小さい領域AR2に属するかどうかを判断する。そして、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR2に属する場合、前記推定温度算出処理手段92は推定温度係数Kを値k2にする。
【0061】
さらに、前記推定温度算出処理手段92は、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR1、AR2に属さない場合、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕以上である領域AR3に属するかどうかを判断する。そして、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR3に属する場合、前記推定温度算出処理手段92は推定温度係数Kを値k3にする。
【0062】
また、前記推定温度算出処理手段92は、前記モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR1〜AR3に属さない場合、推定温度係数Kを零にする。なお、値k1〜k3は、
k1>k2>k3
にされる。
【0063】
このように、推定温度係数算出処理においては、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕より低い場合に、値k1を大きく設定することによって発熱量Qを多く想定し、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの80〔%〕以上であるとともに、90〔%〕より小さい場合に、値k2を小さく設定することによって発熱量Qを少なく想定し、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕以上である場合に、値k3を更に小さく設定することによって発熱量Qを更に少なく想定し、それ以外の場合に発熱量Qを零に想定するようにしている。なお、図9において、Vは車速、LT は制限トルクである。
【0064】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−3−1 モータ回転速度Nmが20〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕より大きいかどうかを判断する。モータ回転速度Nmが20〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕より大きい場合はステップS2−3−2に、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以下である場合はステップS2−3−3に進む。
ステップS2−3−2 推定温度係数Kに値k1をセットし、リターンする。
ステップS2−3−3 モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの80〔%〕以上であるとともに、90〔%〕より小さいかどうかを判断する。モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの80〔%〕以上であるとともに、90〔%〕より小さい場合はステップS2−3−4に、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕以上、又は80〔%〕より小さい場合はステップS2−3−5に進む。
ステップS2−3−4 推定温度係数Kに値k2をセットし、リターンする。
ステップS2−3−5 モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕以上であるかどうかを判断する。モータ回転速度Nmが20〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕以上である場合はステップS2−3−6に、モータ回転速度Nmが20〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの90〔%〕より小さい場合はステップS2−3−7に進む。
ステップS2−3−6 推定温度係数Kに値k3をセットし、リターンする。
ステップS2−3−7 推定温度係数Kに零をセットし、リターンする。
【0065】
次に、図5のステップS2−4における放熱量算出処理のサブルーチンについて説明する。
【0066】
この場合、モータ回転速度Nm及び要求トルクTnが属する領域ごとに放熱量Rがあらかじめ設定され、前記メモリ内にモータ回転速度Nm及び要求トルクTnと放熱量Rとが対応させられてテーブルとして記録される。
【0067】
そして、放熱量算出処理手段は、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以下であり、領域AR4に属するかどうかを判断する。絶対値|Tn|が領域AR4に属する場合、前記放熱量算出処理手段は、放熱量Rを値qにする。
【0068】
続いて、前記放熱量算出処理手段は、絶対値|Tn|が領域AR4に属さない場合、モータ回転速度Nmが、第2のモータ回転速度閾値NmTH2(NmTH2>NmTH1)、本実施の形態においては、125〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以上であるとともに、第4の要求トルク閾値TnTH4(TnTH2>TnTH4>TnTH1)、本実施の形態においては、40〔%〕より小さい領域AR5に属するかどうかを判断する。モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR5に属する場合、前記放熱量算出処理手段は、放熱量Rを値qにする。
【0069】
そして、前記放熱量算出処理手段は、モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR4、AR5に属さない場合、モータ回転速度Nmが、第3のモータ回転速度閾値NmTH3(NmTH3>NmTH2)、本実施の形態においては、250〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が、最大トルクの40〔%〕以上であるとともに、第5の要求トルク閾値TnTH5(TnTH2>TnTH5>TnTH4)、本実施の形態においては、60〔%〕より小さい領域AR6に属するかどうかを判断する。モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR6に属する場合、前記放熱量算出処理手段は、放熱量Rを値qにする。
【0070】
さらに、前記放熱量算出処理手段は、モータ回転速度Nm及び絶対値|Tn|が領域AR4〜AR6に属さない場合、放熱量Rを零にする。
【0071】
このように、放熱量算出処理においては、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以下である場合、モータ回転速度Nmが125〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以上であるとともに、40〔%〕より小さい場合、及びモータ回転速度Nmが250〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの40〔%〕以上であるとともに、60〔%〕より小さい場合、放熱量Rを値qに想定し、それ以外の場合に放熱量Rを零に想定するようにしている。
【0072】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−4−1 絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以下であるかどうかを判断する。絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以下である場合はステップS2−4−2に、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕より大きい場合はステップS2−4−3に進む。
ステップS2−4−2 放熱量Rに値qをセットし、リターンする。
ステップS2−4−3 モータ回転速度Nmが125〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以上であるとともに、40〔%〕より小さいかどうかを判断する。モータ回転速度Nmが125〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの20〔%〕以上であるとともに、40〔%〕より小さい場合はステップS2−4−2に、モータ回転速度Nmが125〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの40〔%〕以上、又は20〔%〕より小さい場合はステップS2−4−4に進む。
ステップS2−4−4 モータ回転速度Nmが250〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの40〔%〕以上であるとともに、60〔%〕より小さいかどうかを判断する。モータ回転速度Nmが250〔rpm〕以上で、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの40〔%〕以上であるとともに、60〔%〕より小さい場合はステップS2−4−2に、モータ回転速度Nmが250〔rpm〕より低く、かつ、絶対値|Tn|が最大トルクの60〔%〕以上、又は40〔%〕より小さい場合はステップS2−4−5に進む。
ステップS2−4−5 放熱量Rに零をセットし、リターンする。
【0073】
次に、図5のステップS2−5におけるオフセット温度算出処理のサブルーチンについて説明する。
【0074】
この場合、直流電圧VC に対してオフセット温度toがあらかじめ設定され、前記メモリ内に直流電圧VC とオフセット温度toとが対応させられてテーブルとして記録される。
【0075】
前記コンデンサ20は、前述されたようにメインリレー15とインバータ40との間に配設されるので、電動車両の走行を終了して、運転者が図示されないイグニッションキーをオフにするのに伴ってバッテリ14とコンデンサ20との間が遮断されると、放電を開始し、時間が経過するのに伴って電荷量が少なくなり、前記直流電圧VC が低くなる。すなわち、該直流電圧VC は、イグニッションキーをオンにしたときのインバータ40の状態を表す。
【0076】
また、運転者がイグニッションキーをオフにするのに伴って、各トランジスタTr1〜Tr6はオフにされ、熱を発生することがなくなり、インバータ40は自然に熱を放出し、インバータ温度は次第に低くなる。
【0077】
そこで、運転者がイグニッションキーをオフにした後に再びオンにした場合、オフにしてからオンにするまでの時間を計時する代わりに前記直流電圧VC を検出し、オフにしてからオンにするまでの時間が長いほど、すなわち、前記直流電圧VC が低いほど、オフセット温度toを低くするようにしている。したがって、運転者がイグニッションキーをオフにした後に再びオンにした場合に、推定温度teを正確に算出することができる。また、オフセット温度toを算出するために前記直流電圧VC を使用することができるので、特別なセンサを配設する必要がなくなる。したがって、モータ駆動装置10のコストを低くすることができる。
【0078】
そのために、前記オフセット温度算出処理手段は、イグニッションキーがオンにされたかどうかを判断し、イグニッションキーがオンにされた場合、直流電圧VC を読み込み、オフセット温度toを算出する。そして、前記オフセット温度算出処理手段は、直流電圧VC が第1の直流電圧閾値VC TH1、本実施の形態においては、30〔V〕以上であるかどうかを判断し、直流電圧VC が30〔V〕以上である場合、オフセット温度toを値to1(例えば、30〔℃〕)にする。また、前記オフセット温度算出処理手段は、直流電圧VC が30〔V〕より低く、第2の直流電圧閾値VC TH2、本実施の形態においては、10〔V〕以上であるかどうかを判断し、直流電圧VC が30〔V〕より低く、10〔V〕以上である場合、オフセット温度toを値to2(to2<to1:例えば、20〔℃〕)にする。そして、前記オフセット温度算出処理手段は、直流電圧VC が10〔V〕より低い場合、オフセット温度toを値to3(to3<to2:例えば、10〔℃〕)にする。
【0079】
このようにして、オフセット温度toが設定されると、前記オフセット温度算出処理手段はメインリレー15をオンにする。
【0080】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS2−5−1 イグニッションキーがオンにされたかどうかを判断する。イグニッションキーがオンにされた場合はステップS2−5−2に進み、イグニッションキーがオンにされていない場合はリターンする。
ステップS2−5−2 直流電圧VC を読み込む。
ステップS2−5−3 直流電圧VC が30〔V〕以上であるかどうかを判断する。直流電圧VC が30〔V〕以上である場合はステップS2−5−4に、直流電圧VC が30〔V〕より低い場合はステップS2−5−5に進む。
ステップS2−5−4 オフセット温度toに値to1をセットする。
ステップS2−5−5 直流電圧VC が10〔V〕以上であるかどうかを判断する。直流電圧VC が10〔V〕以上である場合はステップS2−5−6に、直流電圧VC が10〔V〕より低い場合はステップS2−5−7に進む。
ステップS2−5−6 オフセット温度toに値to2をセットする。
ステップS2−5−7 オフセット温度toに値to3をセットする。
ステップS2−5−8 メインリレー15をオンにし、リターンする。
【0081】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0082】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、モータ駆動装置においては、電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有する。
そして、前記温度補正値算出処理手段は、電動車両を走行させるのに必要な要求トルク及びモータ回転速度に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量を算出し、該発熱量に基づいて前記温度補正値を算出する。
【0083】
この場合、インバータの状態に対応させて温度補正値が算出され、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度が算出される。
【0084】
したがって、該推定温度によってインバータの全体の温度を推定することができるので、インバータの異常を確実に検出することができる。その結果、制限トルクを小さくすることができ、インバータ温度を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるモータ制御部のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるモータ駆動装置の動作を示すメインフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における制限トルク算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における推定温度係数算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における放熱量算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるオフセット温度算出処理のサブルーチンを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるモータ回転速度・要求トルクの領域を説明する図である。
【符号の説明】
10 モータ駆動装置
14 バッテリ
20 コンデンサ
22 温度センサ
31 モータ
40 インバータ
91 温度補正値算出処理手段
92 推定温度算出処理手段
IU 、IV 、IW 電流
Tr1〜Tr6 トランジスタ
Claims (9)
- 電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有するとともに、前記温度補正値算出処理手段は、電動車両を走行させるのに必要な要求トルク及びモータ回転速度に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量を算出し、該発熱量に基づいて前記温度補正値を算出することを特徴とするモータ駆動装置。
- 前記温度補正値は、前記要求トルク及びモータ回転速度が属する領域ごとにあらかじめ設定された推定温度係数に基づいて算出される請求項1に記載のモータ駆動装置。
- 電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有するとともに、前記温度補正値は、イグニッションキーをオンにしたときのインバータの状態に対応させて算出されるオフセット温度であることを特徴とするモータ駆動装置。
- 前記オフセット温度は、電源とインバータとの間に配設されたコンデンサの端子間の電圧に基づいて算出される請求項3に記載のモータ駆動装置。
- 電源と、モータと、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータと、インバータ温度を検出するインバータ温度検出手段と、前記インバータの状態に対応させて温度補正値を算出する温度補正値算出処理手段と、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出する推定温度算出処理手段とを有するとともに、前記温度補正値算出処理手段は、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量、及び前記インバータの状態に対応させたインバータからの放熱量に基づいて前記温度補正値を算出することを特徴とするモータ駆動装置。
- 前記発熱量は、電動車両を走行させるのに必要な要求トルクに基づいて算出される請求項5に記載のモータ駆動装置。
- 前記発熱量は、前記要求トルクを2乗した値に基づいて算出される請求項6に記載のモータ駆動装置。
- 前記発熱量は、更に前記インバータの状態に対応させた推定温度係数に基づいて算出される請求項6又は7に記載のモータ駆動装置。
- 電源、モータ、スイッチング素子のスイッチングに伴って、前記電源から供給された電流を相電流に変換して前記モータに供給するインバータ、及びインバータ温度を検出するインバータ温度検出手段を有するモータ駆動装置のモータ駆動方法において、電動車両を走行させるのに必要な要求トルク及びモータ回転速度に基づいて、前記スイッチング素子のスイッチングに伴う発熱量を算出し、該発熱量に基づいて温度補正値を算出し、所定のタイミングにおいて検出されたインバータ温度及び前記温度補正値に基づいてインバータの推定温度を算出することを特徴とするモータ駆動方法。
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