JP4332835B2 - ランプ用発光管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透光性を有する外囲器と、その外囲器を貫通する状態で配置される一対の電極とが設けられ、前記外囲器が、発光物質が封入されて放電空間を形成する太管部と、前記一対の電極を夫々挿通する一対の細管部とを備えて形成され、前記細管部内において前記電極の周囲に巻回されるコイルが備えられたランプ用発光管に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかるランプ用発光管は、例えばセラミックメタルハライドランプや高圧ナトリウムランプ等のランプにおいて、それの発光管として用いられる。
このランプ用発光管の外囲器には、外囲器内の空間で放電を起こさせるために、外囲器を貫通するように一対の電極が配置されており、この電極の支持構造として電極が挿通する細管部が備えられ、その細管部に連設される状態で放電空間を形成する太管部が備えられている。
前記一対の電極の先端は、細管部から太管部内へ突出しているのであるが、この電極における細管部内に存在する部分には、電極の周囲にコイルが巻回されている。従来の配置を示す図4(a)のように、このコイル101は、細管部102の内壁と電極103との間の空間を狭めて太管部104内の蒸気化した発光物質が温度の低い細管部102の奥へ進入するのを防ぐと共に、電極103の熱を放熱することで、高温状態にある放電空間(太管部104内の空間)の熱が熱伝導の良い電極103を伝わって細管部102における電極103の封着部105に伝わり封着部105のろう材106が耐熱温度を超えてしまうのを防止する働きをしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来構成では、図4(b)に示すようにコイル101と外囲器(細管部102)との隙間に、蒸気として侵入した発光物質107が固体化あるいは液状化して溜まり、発光に寄与しなくなる発光物質が少なからず存在し、当初に発光管に封入する発光物質の量を多めに設定する必要があった。
この発光物質は一般に極めて高価であり、上記のように発光物質を多く必要とすることでランプ用発光管の製造コストの上昇を招いていた。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、封入する発光物質の量を少なくしてランプ用発光管の製造コストを低減する点にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記請求項1記載の構成を備えることにより、透光性を有する外囲器と、その外囲器を貫通する状態で配置される一対の電極とが設けられ、前記外囲器が、発光物質が封入されて放電空間を形成する太管部と、前記一対の電極を夫々挿通する一対の細管部とを備えて形成され、前記細管部内において前記電極の周囲に巻回されるコイルが備えられたランプ用発光管において、前記コイルの周囲に、前記コイルの全長を覆う状態で略筒状の金属部材が配置されている。
【0005】
すなわち、電極の周囲に巻回するコイルの周囲に略筒状の金属部材を配置することで、金属部材によりコイルの周囲の空間を埋めて隙間を小さくすると共に、この金属部材の存在によりコイルが占めるべき空間の容積が小さくなり、これに伴ってコイルの径が小径化してコイルに形成される隙間も小さくなる。
単に電極と細管内壁との間の空間を無くすだけであれば、前記コイルを設けずに、例えば電極と細管内壁との間を埋める金属パイプを配置するような構成も考えられるが、このような構成では、放電空間から電極に伝わる熱の放熱作用が十分ではなく、細管に電極を固定するろう材が耐熱温度を超えてしまう虞がある。
【0006】
更に、前記コイルの周囲に配置する略筒状の部材として、金属部材ではなく、例えばセラミック部材を配置することも考えられるが、前記コイルの周囲に熱伝導の良い金属部材を配置することによって、その部分の温度をある程度高めに維持し、これによって発光物質の蒸気が固体化あるいは液状化するのを抑制することができる。
つまり、前記コイルの周囲に略筒状の金属部材を配置することによって、固体化あるいは液状化した発光物質が滞留する隙間を小さくすると共に、細管内をある程度高温に維持することによる発光物質の蒸気の固体化あるいは液状化の抑制と、電極からの放熱とを良好にバランスさせて、細管に滞留する発光物質の量を少なくすることができる。
もって、封入する発光物質の量を少なくしてランプ用発光管の製造コストを低減できるに至った。
尚、前記略筒状の金属部材は、単一の部品によって構成しても良いし、複数の部品が集まって全体として略筒状となるように構成しても良い。
【0007】
又、上記請求項2記載の構成を備えることにより、前記略筒状の金属部材がモリブデン製のパイプにて構成されている。
すなわち、前記コイルの周囲に配置する金属部材は、細管内をある程度高温に維持する働きをも有するのであるが、熱伝導が良すぎると細管内が必要以上に高温になってしまい、電極を固定するろう材等に悪影響を及ぼすこととなってしまう。
その点、モリブデンはタングステン等の金属よりも熱伝導率が低く、細管内を適度に高温に維持することができる。
更に、その形状も単純なパイプ形状であり加工も容易である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のランプ用発光管の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔発光管LTの概略構成〕
本実施の形態のランプ用発光管LT(以下、単に「発光管LT」と略記する)は、図2に示すように、透光性セラミックにて形成されて透光性を有する外囲器1にろう材3にて一対の電極2を気密封着して構成され、外囲器1の内部には水銀やヨウ化ナトリウム等の金属ハロゲン化物等が発光物質として封入されている。
発光管LTは図示を省略する発光管LTの始動器等の回路と共に、図3に例示するようにガラス球4の中に例えば窒素ガスで封入されていわゆるHIDランプを構成する。尚、図3では、口金5を備えたランプ形状を例示している。
本実施の形態の外囲器1は、放電空間を形成するための太管部1bと、太管部1bの両側に配置されて電極2の夫々を挿通する一対の細管部1aとを備えて構成され、その材質は本実施の形態では透光性セラミックのうちの透光性アルミナを用いている。
電極2は、細管部1aの断面を拡大して示す図1のように、細管部1aの外側開口において、外囲器1と同材料にて形成された円筒状のスペーサー7に挿入した状態で気密封着されている。
【0009】
〔電極2の詳細構成〕
図1等に示すように、電極2は、ニオブ線にて形成される外部導入線2aと、タングステンにて形成される電極極芯2bと、両者をつなぐ小径のモリブデン線にて形成される中継線2cとを一体形成して構成されている。
電極極芯2bには、太管部1b内に突出した先端に金属製(タングステン)のコイル10(以下、このコイル10を「極頭コイル10」と称する。)が巻回され、細管部1a内に位置する部分に金属(モリブデン)製のコイル11(以下、このコイル11を「セカンドコイル11」と称する。)が巻回されている。
このセカンドコイル11の周囲には略筒状の金属部材MEとしてモリブデン製のパイプ12が外嵌されている。
【0010】
極頭コイル10は、電極極芯2bの熱を放熱する働きを有しており、この放熱効果によって放電状態を安定させる。
一方、セカンドコイル11及びパイプ12は、細管部1aの内壁と電極極芯2bとの間の空間を狭めて蒸発した発光物質が細管部1aの奥側(封着側)へ移動するのを抑制すると共に細管部1aの温度をある程度高く維持して、固体化(あるいは液状化)した発光物質が細管部1aに滞留するのを防止し、更にセカンドコイル11は、電極極芯2内を太管部1b側から細管部1aの奥側へ伝導される熱を放熱して封着部分の温度上昇を抑制する働きを有する。
【0011】
次に、上記セカンドコイル11及びパイプ12による発光物質の滞留防止効果について、具体的な実験例をもって説明する。
実験のために作製した発光管LTの各部の寸法を以下に列記する。
先ず、外囲器1の寸法については、太管部1bの中央部の内径がφ18mm,外径がφ21mm、細管部1aの内径がφ2mm,外径が4mm,長さが20mm、電極2の寸法については、電極極芯2bの径がφ1.0mm,セカンドコイル11の線の径がφ0.2mm,モリブデン製のパイプ12の内径がφ1.42mm,外径がφ1.98mmとしてある。
外囲器1に封入する発光物質としては、水銀を23mg,ヨウ化ディスプロシウムを8mg,ヨウ化タリウムを2mg,及び,ヨウ化ナトリウムを4mgを封入した。
【0012】
このように作製した発光管LTを、ランプ電力400W,垂直点灯の点灯条件で点灯させたところ、初期特性として、ランプ光束が35800lm(ルーメン),平均演色評価数(Ra)が92という結果が得られた。
ちなみに、上記モリブデン製のパイプ12を設けずに、セカンドコイル11のみによって発光物質の細管部1aへの滞留防止を図った従来の場合では、その他の条件を上記と同条件とすると、発光物質のうち金属ヨウ化物の使用量は上記の使用量の2倍必要となり、ランプ光束は34000lm(ルーメン),平均演色評価数(Ra)は90であり、本発明を適用することによって金属ヨウ化物の使用量を従来の1/2にすることができ、更に、ランプ光束及び平均演色評価数(Ra)の何れについても改善が見られた。
更に、条件を最適化して実験を行ったところ、金属ヨウ化物の使用量を従来の1/3程度にまで減少させられることを確認した。
【0013】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態を列記する。
(1)上記実施の形態では、セカンドコイル11の周囲に配置する略筒状の金属部材MEとしてモリブデン製のパイプ12を例示しているが、金属部材MEの構成としては、単一のパイプ材として構成する他に、短尺のパイプを軸方向に並べて全体として筒状とする構成や、半円筒状の部材を合わせて全体として筒状とする構成としても良いし、更には、異種異径の金属パイプを同心状に重ねて全体として略筒状とする構成としても良く、金属部材MEの具体形状は種々変更可能である。又、金属部材MEの材料についても、モリブデン以外の金属材料でも良い。
(2)上記実施の形態では、外囲器1の形状を、太管部1bの両側に電極2を支持する細管部1aを配置する形状としているが、太管部1bに細管部1aを横並び状態配置する等、外囲器1の具体形状は種々変更可能である。
【0014】
【発明の効果】
上記請求項1記載の構成によれば、電極の周囲に巻回するコイルの周囲に略筒状の金属部材を配置することで、金属部材によりコイルの周囲の空間を埋めて隙間を小さくすると共に、この金属部材の存在によりコイルが占めるべき空間の容積が小さくなり、これに伴ってコイルの径が小径化してコイルに形成される隙間も小さくなる。
しかも、前記コイルの周囲に熱伝導の良い金属部材を配置することによって、その部分の温度をある程度高めに維持し、これによって発光物質の蒸気が固体化あるいは液状化するのを抑制することができる。
もって、細管に滞留する発光物質の量を減少させることで、外囲器に封入する発光物質の量を少なくしてランプ用発光管の製造コストを低減できるに至った。
【0015】
又、上記請求項2記載の構成によれば、前記コイルの周囲に配置する金属部材は、細管内をある程度高温に維持する働きをも有するのであるが、熱伝導が良すぎると細管内が必要以上に高温になってしまい、電極を固定するろう材等に悪影響を及ぼすこととなってしまうことから、タングステン等の金属よりも熱伝導率が低いモリブデンを前記コイルの周囲に配置することで、細管内を適度に高温に維持することができる。
しかも、その形状も単純なパイプ形状であり加工も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるランプ用発光管の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態にかかるランプ用発光管の部分断面図
【図3】本発明の実施の形態にかかるランプ用発光管を搭載したランプの外観図
【図4】(a)従来のランプ用発光管の要部断面図
(b)コイル周辺の部分拡大図
【符号の説明】
1 外囲器
1a 細管部
1b 太管部
2 電極
11 コイル
12 パイプ
ME 金属部材

Claims (2)

  1. 透光性を有する外囲器と、その外囲器を貫通する状態で配置される一対の電極とが設けられ、
    前記外囲器が、発光物質が封入されて放電空間を形成する太管部と、前記一対の電極を夫々挿通する一対の細管部とを備えて形成され、
    前記細管部内において前記電極の周囲に巻回されるコイルが備えられたランプ用発光管であって、
    前記コイルの周囲に、前記コイルの全長を覆う状態で略筒状の金属部材が配置されているランプ用発光管。
  2. 前記金属部材がモリブデン製のパイプにて構成されている請求項1記載のランプ用発光管。
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