しかしながら、近年、複写装置、スキャナ、ファクシミリ装置等の画像読取装置においては、高画質化の要求が高まる一方であり、このような高画質化の要望に答えるためには、イメージセンサの読取領域が重複する部分で読み取った基準パターンの画像信号を正確に電気的に繋ぎ合わせる必要、すなわち、ズレ補正をより正確に行う必要がある。そして、基準パターンの画像信号に基づいてイメージセンサの読取領域が重複する部分で正確に繋ぎ合わせるためには、基準パターンをより高精度に読み取る必要があり、従来技術を改良する必要があった。
そこで、本発明は、基準パターンを読み取るときのイメージセンサを含む走査光学系の副走査方向の移動速度である基準読取速度を、原稿を読み取るときの副走査方向の移動速度である原稿読取速度よりも遅くして、基準パターンを高精度に読み取り、イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを正確に行う画像読取装置を提供することを目的としている。
具体的には、請求項1記載の発明は、それぞれ独立したイメージセンサチップが主走査方向に複数配列されたイメージセンサを含む走査光学系を光学系駆動手段で副走査方向に所定の原稿読取速度で移動させて原稿の画像を読み取るとともに、シェーディング補正用読取部を原稿読取前の所定時期にイメージセンサで読み取ってシェーディング補正データを取得し、当該シェーディング補正データに基づいて原稿の画像をシェーディング補正するに際して、シェーディング補正用読取部の近傍に各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせ補正用の基準パターンを設け、イメージセンサを含む走査光学系を光学系駆動手段により原稿読取速度よりも遅い所定の基準読取速度で副走査方向に移動させて基準パターンを読み取り、当該基準パターンを読み取ったときの基準データに基づいて各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを補正する補正手段を備え、原稿の読取倍率としての縮小が所定値以下であると、基準パターンの読み取りを省略することにより、基準パターンを読み取るときの単位時間内にイメージセンサチップに入射する光量を多くして、S/N比を向上させ、基準パターン画像を高精度に読み取って、イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に補正するとともに、イメージセンサの急な加速を必要とする読取画像の縮小の場合に、イメージセンサの加速距離を十分に設けて、適切な加速を行えるようにし、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行いつつ、適切な縮小画像の読み取りを行う画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項2記載の発明は、光学系駆動手段が、基準読取速度を原稿読取速度の略1/2から1/4の速度に制御することにより、単位時間内の原稿読取速度に大きな影響を及ぼすことなく、高精度に基準パターンを読み取り、正確なズレ補正を行う画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項3記載の発明は、原稿を読み取る直前に、基準パターンの読み取りを行うことにより、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取り、処理速度を向上させることのできる画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項4記載の発明は、シェーディング補正用読取部を読み取った後、続いて、基準パターンを読み取ることにより、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取り、処理速度を向上させることのできる画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項5記載の発明は、基準パターンを読み取った後、続いて、シェーディング補正用読取部を読み取ることにより、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取り、処理速度を向上させることのできる画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項6記載の発明は、シェーディング補正用読取部及び基準パターンを読み取った後、イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させ、その後、原稿の読み取りを開始することにより、原稿読取時の走査光学系の副走査方向の移動速度が速い場合にも、原稿読取開始位置までの加速距離をかせげるようにし、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行いつつ、高速度での適切な画像読み取りを行う画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項7記載の発明は、シェーディング補正用読取部及び基準パターンを読み取った後、イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させることなく、原稿の読み取りを開始することにより、効率的にシェーディング補正用読取部と基準パターン及び原稿を読み取り、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行いつつ、効率的な画像読み取りを行う画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項8記載の発明は、原稿の読取倍率としての縮小が80%以下であると、基準パターンの読み取りを省略することにより、イメージセンサの急な加速を必要とする読取画像の縮小の場合に、イメージセンサの加速距離を十分に設けて、適切な加速を行えるようにし、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行いつつ、適切な縮小画像の読み取りを行う画像読取装置を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明の画像読取装置は、それぞれ独立したイメージセンサチップが主走査方向に複数配列されたイメージセンサを含む走査光学系を光学系駆動手段で副走査方向に所定の原稿読取速度で移動させて原稿の画像を読み取るとともに、シェーディング補正用読取部を原稿読取前の所定時期に前記イメージセンサで読み取ってシェーディング補正データを取得し、当該シェーディング補正データに基づいて前記原稿の画像をシェーディング補正する画像読取装置において、前記シェーディング補正用読取部の近傍に前記各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせ補正用の基準パターンを設け、前記イメージセンサを含む走査光学系を前記光学系駆動手段により前記原稿読取速度よりも遅い所定の基準読取速度で副走査方向に移動させて前記基準パターンを読み取り、当該基準パターンを読み取ったときの基準データに基づいて前記各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを補正することことにより、上記目的を達成している。
この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記光学系駆動手段は、前記基準読取速度を前記原稿読取速度の略1/2から1/4の速度に制御するものであってもよい。
また、例えば、請求項3に記載するように、前記画像読取装置は、前記原稿を読み取る直前に、前記基準パターンの読み取りを行うものであってもよい。
さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記画像読取装置は、前記シェーディング補正用読取部を読み取った後、続いて、前記基準パターンを読み取るものであってもよい。
また、例えば、請求項5に記載するように、前記画像読取装置は、前記基準パターンを読み取った後、続いて、前記シェーディング補正用読取部を読み取るものであってもよい。
さらに、例えば、請求項6に記載するように、前記画像読取装置は、前記シェーディング補正用読取部及び前記基準パターンを読み取った後、前記イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させ、その後、前記原稿の読み取りを開始するものであってもよい。
また、例えば、請求項7に記載するように、前記画像読取装置は、前記シェーディング補正用読取部及び前記基準パターンを読み取った後、前記イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させることなく、前記原稿の読み取りを開始するものであってもよい。
さらに、例えば、請求項8に記載するように、前記画像読取装置は、前記原稿の読取倍率が所定値以下であると、前記基準パターンの読み取りを省略するものであってもよい。
また、例えば、請求項9に記載するように、前記画像読取装置は、前記原稿の読取倍率が80%以下であると、前記基準パターンの読み取りを省略するものであってもよい。
請求項1記載の発明の画像読取装置によれば、それぞれ独立したイメージセンサチップが主走査方向に複数配列されたイメージセンサを含む走査光学系を光学系駆動手段で副走査方向に所定の原稿読取速度で移動させて原稿の画像を読み取るとともに、シェーディング補正用読取部を原稿読取前の所定時期にイメージセンサで読み取ってシェーディング補正データを取得し、当該シェーディング補正データに基づいて原稿の画像をシェーディング補正するに際して、シェーディング補正用読取部の近傍に各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせ補正用の基準パターンを設け、イメージセンサを含む走査光学系を光学系駆動手段により原稿読取速度よりも遅い所定の基準読取速度で副走査方向に移動させて基準パターンを読み取り、当該基準パターンを読み取ったときの基準データに基づいて各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを補正するので、基準パターンを読み取るときの単位時間内にイメージセンサチップに入射する光量を多くして、S/N比を向上させることができ、基準パターン画像を高精度に読み取って、イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に補正することができる。
請求項2記載の発明の画像読取装置によれば、光学系駆動手段が、基準読取速度を原稿読取速度の略1/2から1/4の速度に制御するので、単位時間内の原稿読取速度に大きな影響を及ぼすことなく、高精度に基準パターンを読み取ることができ、正確なズレ補正を行うことができる。
請求項3記載の発明の画像読取装置によれば、原稿を読み取る直前に、基準パターンの読み取りを行うので、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
請求項4記載の発明の画像読取装置によれば、シェーディング補正用読取部を読み取った後、続いて、基準パターンを読み取るので、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
請求項5記載の発明の画像読取装置によれば、基準パターンを読み取った後、続いて、シェーディング補正用読取部を読み取るので、シェーディング補正用読取部と基準パターンを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
請求項6記載の発明の画像読取装置によれば、シェーディング補正用読取部及び基準パターンを読み取った後、イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させ、その後、原稿の読み取りを開始するので、原稿読取時の走査光学系の副走査方向の移動速度が速い場合にも、原稿読取開始位置までの加速距離をかせげるようにすることができ、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行うことができるとともに、高速度での適切な画像読み取りを行うことができる。
請求項7記載の発明の画像読取装置によれば、シェーディング補正用読取部及び基準パターンを読み取った後、イメージセンサのホームポジションに当該イメージセンサを移動させることなく、原稿の読み取りを開始するので、効率的にシェーディング補正用読取部と基準パターン及び原稿を読み取ることができ、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行うことができるとともに、効率的な画像読み取りを行うことができる。
請求項8記載の発明の画像読取装置によれば、原稿の読取倍率が所定値以下であると、基準パターンの読み取りを省略するので、イメージセンサの急な加速を必要とする読取画像の縮小の場合に、イメージセンサの加速距離を十分に設けて、適切な加速を行えるようにすることができ、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行ことができるとともに、適切な縮小画像の読み取りを行うことができる。
請求項9記載の発明の画像読取装置によれば、原稿の読取倍率が80%以下であると、基準パターンの読み取りを省略するので、イメージセンサの急な加速を必要とする読取画像の80%以上の縮小の場合に、イメージセンサの加速距離を十分に設けて、適切な加速を行えるようにすることができ、各イメージセンサチップの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行うことができるとともに、適切な縮小画像の読み取りを行うことができる。
図1〜図6は、本発明の画像読取装置の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像読取装置の第1実施例を適用した画像読取装置1の正面概略構成図である。
なお、本実施例の画像読取装置1は、原稿固定型縮小光学系を用いた画像読取装置に適用したものである。すなわち、画像読取装置の原稿読取方式としては、スリット露光方式が一般的に知られており、スリット露光方式は、原稿台固定式と原稿台移動式に分類され、さらに、原稿台移動式には、原稿台移動型とシート原稿移動型がある。また、光学系は、縮小光学系と等倍光学系に分類され、縮小光学系の特徴としては、イメージセンサが小型で、コストが安いこと、焦点深度が深く、ADF(Auto Document Fieder)に対応し易いこと及びイメージセンサを固定でき、熱やノイズ対策に有利であること等が挙げられ、等倍光学系の特徴としては、イメージセンサが大きく、コストが高いこと、セルフォックレンズ(以下、リンスという)が焦点深度が浅く、原稿の浮きに弱いこと、イメージセンサとリンスを一体化した重いキャリッジを駆動させる必要があり、高速スキャンに不利であるとともに、熱やノイズ対策にも不利であること、光路長が短く、スキャナの高さの薄型化に有利であること、構成部品点数が少なく構成が簡単であること及びイメージセンサの受光面が広く、低光量でも読取を行えること等が挙げられる。
そして、本実施例の画像読取装置1は、上記分類のうち、原稿固定型縮小光学系を用いた画像読取装置に適用したものである。
図1において、画像読取装置1は、本体筐体2の上部に、コンタクトガラス3が配設されており、コンタクトガラス3上に読取対象の原稿Gがセットされる。
本体筐体2内には、第1走行体4と第2走行体5及びレンズ6とイメージセンサ7が配設されており、第1走行体4と第2走行体5は、図1に矢印で示す副走査方向に、光学系駆動手段であるステッピングモータ35(図5参照)により移動される。
第1走行体4は、コンタクトガラス3上の原稿Gに光を照射する光源8と第1ミラー9を搭載しており、第2走行体5は、第2ミラー10と第3ミラー11を搭載していて、上記光源8と第1ミラー9を搭載する第1走行体4、第2ミラー10と第3ミラー11を搭載する第2走行体、レンズ及びイメージセンサ7は、全体として、走査光学系12を構成している。
光源8は、例えば、ハロゲン、蛍光灯、キセノン等が用いられ、コンタクトガラス3上にセットされた原稿Gに光を照射する。原稿Gに照射された光は、当該原稿Gの画像面で反射されて、画像情報を含んだ反射光として、図示しないスリットを抜けて第1ミラー9に反射され、第1ミラー9は、原稿Gからの画情報を含みスリットを通過した反射光を、第2走行体5上の第2ミラー10方向に反射し、第2ミラー10は、第1ミラー9から入射される反射光を第3ミラー11方向に反射する。第3ミラー11は、第2ミラー10から入射される反射光をレンズ6方向に反射する。レンズ6は、入射される反射光をイメージセンサ7に結像させる。
そして、上記走査光学系12は、図2に示すように、縮小走査光学系であり、複数、図2では、2つのレンズ6a、6bと2つのイメージセンサチップ7a、7bを備えている。レンズ6aは、第3ミラー11からの反射光の一部をイメージセンサチップ7aに結像させ、レンズ6bは、第3ミラー11からの他の反射光をイメージセンサチップ7bに結像させる。すなわち、縮小走査光学系である走査光学系12は、大判の原稿Gの画像の読み取りができるようにするために、2個のイメージセンサチップ7a、7bが主走査方向に並べて配設されており、これらのイメージセンサチップ7a、7bの走査の合成によって画像を読み取る。この場合、イメージセンサチップ7aの読み取る画像とイメージセンサチップ7bの読み取る画像との間の境目部分で画像に繋ぎ目が生じないように、隣接するイメージセンサチップ7a、7bの読取領域を、図2に示すように、一部重複させている。
そして、走査光学系12は、縮小走査光学系であり、レンズ6を通過してイメージセンサ7に結像する画像の縮尺を常に一定にするため、原稿Gからイメージセンサ7までの光路長を一定である必要がある。そこで、画像読取装置1は、第1走行体4の移動距離をLとした場合、第2走行体5の移動距離が、L/2となるように、移動させる。
そして、この第1走行体4と第2走行体5を駆動する駆動モータとして、本実施例の画像読取装置1では、図5に示すように、ステッピングモータ35を用いているが、高速で走行する画像読取装置では、サーボモータ等を用いてもよい。
また、本実施例の画像読取装置1は、イメージセンサ7として、CCDイメージセンサを用いているが、MOSイメージセンサを用いてもよい。
そして、画像読取装置1は、本体筐体2の副走査方向の基準位置となるホームポジションHpとコンタクトガラス(原稿読取部)3との間に、シェーディング補正読取部・基準パターン部20が設けられており、このシェーディング補正読取部・基準パターン部20は、例えば、図3に示すように、ホームポジションHp側にシェーディング補正読取部(シェーディング補正用読取部)20aが配設され、コンタクトガラス3側に基準パターン部20bが配設されていてもよいし、図4に示すように、ホームポジションHp側に基準パターン部20bが配設され、コンタクトガラス3側にシェーディング補正読取部20aが配設されていてもよい。
このシェーディング補正読取部20aは、例えば、白色に施されていて、原稿Gの読み取り前に走査光学系12で読み取られ、画像読取装置1は、このシェーディング補正読取部20aを読み取った画像データをシェーディング補正データとしてメモリに格納して、原稿Gを読み取った画像データをこのシェーディング補正データでシェーディング補正することで、照明ムラ、イメージセンサチップ7a、7b内の受光セルの感度のばらつきを電気的に補正する。このシェーディング補正を行うことにより、原稿Gに忠実な文字画像を得ることができ、シェーディング補正は、現在の複写装置等の画像読取装置には不可欠な機能である。
基準パターン部20bは、複数のイメージセンサチップ7a、7bの読取ズレを補正するための基準パターンが設けられている部分であり、基準パターンとしては、例えば、円等が形成されている。
そして、この基準パターン部20bとシェーディング補正読取部20aは、近接して設けられており、走査光学系12で基準パターン部20bとシェーディング補正読取部20aを連続して読み取れるように、すなわち、走査光学系12によるシェーディング補正読取部20aの読み取りの直前または直後に基準パターン部20bを読み取ることができるように配置されている。したがって、走査光学系12を移動させる駆動時間を節約して、時間的に効率よく画像読取を行うことができる。
また、画像読取装置1は、基準パターン部20bを読み取る時には、第1走行体4及び第2走行体5を駆動するステッピングモータ35の回転軸の回転速度を、原稿読取時の回転速度よりも遅くして、イメージセンサ7を含む走査光学系12の副走査方向の移動速度を原稿Gを読み取るときよりも遅くする。
すなわち、画像読取装置1は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit )31、メモリ32、ステッピングモータ・コントローラ33、モータドライバ34及びステッピングモータ35等を備えている。ステッピングモータ・コントローラ33は、励磁モード切替部、励磁相制御部、CW&CCW部(モータを正逆転させるための回路)、START/STOP部(モータの起動、停止回路)等で構成されている。モータドライバ34は、ステッピングモータ・コントローラ33内の励磁相制御部から出力された励磁電流を適宜増幅して、ステッピングモータ35に供給する。
ステッピングモータ35は、一般的に、その特徴の一つとして、モータの総回転角が入力パルスの総数に比例し、その回転角度が入力信号のパルスレートに比例する。また、ステッピングモータ35は、一般的に、励磁方式の変更により1パルスで回転する角度が変更できるという特徴も有しており、これらの特性を利用してステッピングモータ35の回転軸の回転速度を制御することができる。
そこで、画像読取装置1は、入力パルスレートを制御することにより、基準パターン部20b及び原稿Gを読み取るときのイメージセンサ7を含む走査光学系12の副走査方向の移動速度を制御する。
すなわち、イメージセンサ7が基準パターン部20b及び原稿Gを読み取るときのCPU31がステッピングモータ・コントローラ33に供給するパルスレートとステッピングモータ35の回転軸の回転速度の関係は、図6に示すようになり、CPU31は、メモリ32内の制御データに基づいて、図6に示すように、基準パターン部20bの読み取り時に、原稿Gの読み取り時よりもステッピングモータ・コントローラ33に供給するパルスレートを低くすることで、ステッピングモータ35の回転軸の回転速度を遅くし、結果として、イメージセンサ7を含む走査光学系12の基準パターン部20bに対する副走査方向の移動速度を、原稿Gに対する移動速度よりも遅くする。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例の画像読取装置1は、複数のイメージセンサチップ7a、7bの繋ぎ目画像処理を行うための基準パターン部20bの読取時の副走査方向移動速度を原稿Gの読取時の副走査方向移動速度よりも遅くする。
すなわち、画像読取装置1は、コンタクトガラス3上に原稿Gがセットされて、必要な設定操作が操作部で行われた後、スタートキーが押されると、CPU31は、ステッピングモータ・コントローラ33及びモータドライバ34を介してステッピングモータ35を制御し、イメージセンサ7を、まず、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bへ移動させて、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bを読み取らせる。
このときシェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bは、図3と図4に示したように、近傍に設けられているが、いずれがホームポジションHp側に設けられていて、いずれを先に読み取ってもよいが、シェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bの読取時には、イメージセンサ7の副走査方向の移動速度を、原稿読取時の約1/2から1/4の遅い速度にする。
そして、CPU31は、上記イメージセンサ7の副走査方向の移動速度の変化を、パルスレートを変化させることで行う。すなわち、CPU31は、メモリ32内の制御データに基づいて、図6に示したように、基準パターン部20bの読み取り時には、原稿Gの読み取り時よりもステッピングモータ・コントローラ33に供給するパルスレートを低くすることで、ステッピングモータ35の回転軸の回転速度を遅くし、結果として、イメージセンサ7を含む走査光学系12の基準パターン部20bに対する副走査方向の移動速度を、原稿Gに対する移動速度よりも遅くする。
なお、このイメージセンサ7の副走査方向の移動速度の変化は、パルスレートを変化させることで行うものに限るものではなく、例えば、ステッピングモータ25の励磁方式を変化させることで行ってもよい。この場合、CPU31は、基準パターン部20bの読取時には、ステッピングモータ35を1−2相励磁で駆動させ、原稿読取時には、ステッピングモータ35を2相励磁で駆動させる。1−2相励磁でステッピングモータ35を駆動させると、1パルスでの回転角度が、2相励磁で駆動させたときに比較して、1/2となる。そこで、CPU31は、励磁モード切替部、励磁相制御部、CW&CCW部(モータを正逆転させるための回路)、START/STOP部(モータの起動、停止回路)等で構成されているステッピングモータ・コントローラ33の励磁相制御部を励磁モード切替部を用いて1−2相励磁にセットし、原稿読取時には、同様にして励磁方式を、2相励磁にセットする。このように励磁方式を変更してステッピングモータ35の回転軸の回転速度を変化させると、パルスレートを変化させることなく、ステッピングモータ35の回転軸の回転速度を変化させることができる。
このようにして、イメージセンサ7の副走査方向の移動速度を遅くしてシェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bを読み取ると、イメージセンサ7に入射する単位時間当たりの光量を多くして、基準パターン部20bを高精度に読み取り、正確なズレ補正を行うことができる。
また、基準パターン部20bを高精度に読み取るために、イメージセンサ7の副走査方向の移動速度を遅くしすぎると、基準パターン部20bの読み取りに時間がかかってしまい、単位時間内に読み取る原稿数に影響が出て、全体としての読取時間が遅くなる。そこで、本実施例では、上述のように、シェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bの読取時には、イメージセンサ7の副走査方向の移動速度を、原稿読取時の約1/2から1/4の遅い速度にしている。
そして、画像読取装置1は、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bの読み取りを完了すると、イメージセンサ7を一旦ホームポジションHpまで戻し、その後、コンタクトガラス3上の原稿読取開始位置まで加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始する。
画像読取装置1は、この原稿Gをイメージセンサ7で読み取った画像を、イメージセンサ7で基準パターン部20bを読み取ったときの画像に基づいて、イメージセンサ7を構成するイメージセンサチップ7aとイメージセンサチップ7bのズレを補正する。
また、画像読取装置1は、原稿Gの読み取りを行う毎に、先に、基準パターン部20bの読み取りを行って、イメージセンサ7のイメージセンサチップ7aとイメージセンサチップ7bのズレ補正を行ってもよいし、ある適当な期間または原稿枚数毎に基準パターン部20bの読み取りを行って、イメージセンサ7のイメージセンサチップ7aとイメージセンサチップ7bのズレ補正を行ってもよい。
このように、本実施例の画像読取装置1は、シェーディング補正読取部20aの近傍に各イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせ補正用の基準パターン部20bを設け、イメージセンサ7を含む走査光学系12をステッピングモータ35により原稿読取速度よりも遅い所定の基準読取速度で副走査方向に移動させて基準パターン部20bを読み取り、当該基準パターン部20bを読み取ったときの基準データに基づいて各イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせを補正している。
したがって、基準パターン部20bを読み取るときの単位時間内にイメージセンサチップ7a、7bに入射する光量を多くして、S/N比を向上させることができ、基準パターン画像を高精度に読み取って、イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に補正することができる。
また、本実施例の画像読取装置1は、CPU31がステッピングモータ35の駆動を制御して、基準読取速度を原稿読取速度の略1/2から1/4の速度に制御している。
したがって、単位時間内の原稿読取速度に大きな影響を及ぼすことなく、高精度に基準パターン部20bを読み取ることができ、正確なズレ補正を行うことができる。
さらに、本実施例の画像読取装置1は、原稿Gを読み取る直前に、基準パターン部20bの読み取りを行っている。
したがって、シェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
また、本実施例の画像読取装置1は、シェーディング補正読取部20aを読み取った後、続いて、基準パターン部20bを読み取っている。
したがって、シェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
さらに、本実施例の画像読取装置1は、基準パターン部20bを読み取った後、続いて、シェーディング補正読取部20aを読み取っている。
したがって、シェーディング補正読取部20aと基準パターン部20bを連続して読み取れるようにして、効率よく画像を読み取ることができ、処理速度を向上させることができる。
また、本実施例の画像読取装置1は、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bを読み取った後、イメージセンサ7のホームポジションHpに当該イメージセンサHpを移動させ、その後、原稿Gの読み取りを開始している。
したがって、原稿読取時の走査光学系12の副走査方向の移動速度が速い場合にも、原稿読取開始位置までの加速距離をかせげるようにすることができ、各イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行うことができるとともに、高速度での適切な画像読み取りを行うことができる。
なお、上記説明では、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bの読み取りを完了すると、イメージセンサ7を一旦ホームポジションHpまで戻し、その後、コンタクトガラス3上の原稿読取開始位置まで加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始しているが、シェーディング補正読取部20a及び基準パターン部20bの読み取りを完了すると、イメージセンサ7をホームポジションHpに戻さずに、そのまま原稿読取開始位置に加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始してもよい。
このようにすると、効率的にシェーディング補正読取部20aと基準パターン部20b及び原稿Gを読み取ることができ、各イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行うことができるとともに、効率的な画像読み取りを行うことができる。
また、画像読取装置1は、基準パターン部20bを読み取ってからイメージセンサ7をホームポジションHpに戻さずに、原稿読取開始位置に移動させるときに、原稿Gの読取モードが縮小読取モードであると、移動距離が短く、急な加速が必要となり、この急な加速がステッピングモータ35の性能やシステム制御上難しくなる。そこで、画像の縮小が所定値以下、例えば、80%以下であると、基準パターン部20bを読み取らないで、イメージセンサ7をホームポジションHpから原稿読取開始位置まで移動させて、この移動の間に加速を終わらせる。
そして、縮小読取モードでは、画像が縮小されるため、複数のイメージセンサチップ7a、7bで読み取った画像の多少のズレは、画像品質上、問題となることはなく、ズレ補正を行う時には、前回基準パターン部20bを読み取ったときのデータを使用して行うようにする。
このようにすると、イメージセンサ7の急な加速を必要とする読取画像の縮小の場合に、イメージセンサ7の加速距離を十分に設けて、適切な加速を行えるようにすることができ、各イメージセンサチップ7a、7bの読取領域の繋ぎ合わせを高精度に行ことができるとともに、適切な縮小画像の読み取りを行うことができる。
図7及び図8は、本発明の画像読取装置の第2実施例を示す図であり、図7は、本発明の画像読取装置の第2実施例を適用した画像読取装置40の正面概略構成図である。
本実施例の画像読取装置40は、上記分類のうち、原稿固定型等倍光学系を用いた画像読取装置に適用したものである。
図7において、画像読取装置40は、本体筐体41の上部に、コンタクトガラス42が配設されており、コンタクトガラス42上に読取対象の原稿Gがセットされる。
本体筐体41内には、図示しない走行体上に2つの光源43a、43bとイメージセンサ44を有する走査光学系45が配設されており、走行体は、図7の左右方向である副走査方向に、図示しない光学系駆動手段、例えば、図5と同様のステッピングモータにより移動される。また、画像読取装置40は、本体筐体41の副走査方向の基準位置となるホームポジションHpとコンタクトガラス42との間に、シェーディング補正読取部・基準パターン部46が設けられており、このシェーディング補正読取部・基準パターン部46は、例えば、図3に示したシェーディング補正読取部・基準パターン部20と同様であり、シェーディング補正読取部と基準パターン部が近接して形成されている。
イメージセンサ44は、図8に示すように、3つのイメージセンサチップ44a、44b、44cがその相隣接する側の端部が一部重なり合う状態で千鳥状に配置されている。すなわち、等倍光学系である走査光学系45は、イメージセンサ44の長さを少なくとも原稿幅と同じか、それ以上にする必要があり、例えば、A0サイズの原稿Gを読み取るには、イメージセンサ44の長さが841mm以上必要となる。この場合、イメージセンサを一つのチップで作成するのは技術的に難しく、またコストも高くなるため、複数個のイメージセンサチップを繋ぎ合わせる方法が一般的である。このようにイメージセンサチップを二つ以上繋ぎ合わせる場合、原稿面の同じラインを読み取るインライン方式で並べるとセンサ端部がチップ端部でない場合に、イメージセンサチップ間のつなぎ部分のイメージセンサチップ間隔が、イメージセンサ内のイメージセンサチップ間隔と異なってしまい、読み取画像にズレが生じてしまう。また、センサ端部がチップ端部であっても、イメージセンサチップ間のつなぎ部分のイメージセンサチップ間隔とイメージセンサ内のチップ間隔を一致させることは技術的に困難である。そこで、本実施例のイメージセンサ44は、図8に示したように、イメージセンサチップ44a〜44cを千鳥状に配置して、各イメージセンサチップ44a〜44cの端部における隣接チップ間の隙間の影響を取り除いている。
そして、本実施例の画像読取装置40は、コンタクトガラス42上に原稿Gがセットされて、必要な設定操作が操作部で行われた後、スタートキーが押されると、ステッピングモータを制御し、イメージセンサ44を、まず、シェーディング補正読取部・基準パターン部46へ移動させて、シェーディング補正読取部及び基準パターン部を読み取らせる。
このときシェーディング補正読取部と基準パターン部は、近傍に設けられているが、いずれがホームポジションHp側に設けられていて、いずれを先に読み取ってもよいが、シェーディング補正読取部・基準パターン部46の読取時には、イメージセンサ44の副走査方向の移動速度を、原稿読取時の約1/2から1/4の遅い速度にする。
そして、画像読取装置40は、上記イメージセンサ44の副走査方向の移動速度の変化を、上述のように、パルスレートを変化させることで行ってもいし、励磁方式を変更することで行ってもよい。
このようにして、イメージセンサ44の副走査方向の移動速度を遅くしてシェーディング補正読取部・基準パターン部46を読み取ると、イメージセンサ44に入射する単位時間当たりの光量を多くして、基準パターン部を高精度に読み取り、正確なズレ補正を行うことができる。
また、基準パターン部を高精度に読み取るために、イメージセンサ44の副走査方向の移動速度を遅くしすぎると、基準パターン部の読み取りに時間がかかってしまい、単位時間内に読み取る原稿数に影響が出て、全体としての読取時間が遅くなる。そこで、本実施例では、上述のように、シェーディング補正読取部・基準パターン部46の読取時には、イメージセンサ44の副走査方向の移動速度を、原稿読取時の約1/2から1/4の遅い速度にしている。
そして、画像読取装置40は、シェーディング補正読取部・基準パターン部46の読み取りを完了すると、イメージセンサ44を一旦ホームポジションHpまで戻し、その後、コンタクトガラス42上の原稿読取開始位置まで加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始する。
画像読取装置40は、この原稿Gをイメージセンサ44で読み取った画像を、イメージセンサ44で基準パターン部を読み取ったときの画像に基づいて、イメージセンサ44を構成するイメージセンサチップ44a〜44cのズレを補正する。
また、画像読取装置40は、原稿Gの読み取りを行う毎に、先に、基準パターン部の読み取りを行って、イメージセンサ44のイメージセンサチップ44a〜44cのズレ補正を行ってもよいし、ある適当な期間または原稿枚数毎に基準パターン部の読み取りを行って、イメージセンサ44の各イメージセンサチップ44a〜44cのズレ補正を行ってもよい。
このように、本実施例の画像読取装置40においても、上記第1実施例の画像読取装置1の場合と同様の効果を得ることができる。
なお、上記説明では、シェーディング補正読取部・基準パターン部46の読み取りを完了すると、イメージセンサ44を一旦ホームポジションHpまで戻し、その後、コンタクトガラス42上の原稿読取開始位置まで加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始しているが、シェーディング補正読取部・基準パターン部46の読み取りを完了すると、イメージセンサ44をホームポジションHpに戻さずに、そのまま原稿読取開始位置に加速移動させて、原稿Gの読み取りを開始してもよい。
また、画像読取装置40は、基準パターン部46を読み取ってからイメージセンサ44をホームポジションHpに戻さずに、原稿読取開始位置に移動させるときに、原稿Gの読取モードが縮小読取モードであると、移動距離が短く、急な加速が必要となり、この急な加速がステッピングモータの性能やシステム制御上難しくなる。そこで、画像の縮小が所定値以下、例えば、80%以下であると、基準パターン部46を読み取らないで、イメージセンサ44をホームポジションHpから原稿読取開始位置まで移動させて、この移動の間に加速を終わらせる。
そして、縮小読取モードでは、画像が縮小されるため、複数のイメージセンサチップ44a〜44cで読み取った画像の多少のズレは、画像品質上、問題となることはなく、ズレ補正を行う時には、前回基準パターン部46を読み取ったときのデータを使用して行うようにする。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。