JP4332230B2 - 反応性イオンエッチング方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを利用して、半導体或いは電子部品、その他の基板上の物質をエッチングする反応性イオンエッチング方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術において最も多く用いられてきたエッチング装置としては、添付図面の図3で示されるような平行平板型のものがあり、このエッチング装置は図示したように真空チャンバーA内に絶縁体Bを介して基板電極Cを配置し、基板電極Cに対向して真空チャンバーAの上部に上部電極Dを設け、基板電極Cを高周波バイアス電源Eに接続して高周波バイアス電圧が印加されるように構成され、放電によって発生したイオンを反応に利用している。
【0003】
また図4には、従来の3電極結合方式のエッチング装置を示し、この場合には、上部電極Dは絶縁体Fを介して真空チャンバーAに取付けられ、そして高周波電源Gに接続されている。この装置で酸化膜エッチングを行う場合には、基板電極Cと上部電極Dとには周波数の異なった高周波電力を印加するようにされる。
【0004】
図5には本願発明者らが、先に特開平7−263192号において提案した磁気中性線放電エッチング装置を示す。この先に提案した装置は、真空チャンバーAの上部の誘電体円筒壁A1の外側に載置された3つの磁場コイルH、I、Jによって真空チャンバーA内部に磁気中性線Kが形成され、この磁気中性線Kに沿って、中間の磁場コイルIの内側に配置された1重のアンテナLにアンテナ用高周波電源Mから高周波電場を印加することによりリング状のプラズマが形成されるように構成されている。また、エッチングガスは流量制御器を通して上部天板A2付近に設けられたシャワープレートより導入され、コンダクタンスバルブの開口率によって圧力が制御される。真空チャンバーAの下部の基板電極Cにはバイアス用高周波電源Eから高周波電力が印加される。エッチングガスを真空チャンバーAの上部フランジ付近から導入し、誘電体円筒壁A1の外側と中間の磁場コイルIとの間に配置された1重のアンテナLに高周波電力を印加することにより、プラズマが形成されて導入ガスが分解される。真空チャンバーAの下部の基板電極Cにはバイアス用高周波電源Eからバイアス用の高周波電力が印加される。ブロッキングコンデンサーによって浮遊状態になっている基板電極Cは負のセルフバイアス電位となり、プラズマ中の正イオンが引き込まれて基板上の物質をエッチングする。
【0005】
以上例示したような従来技術のエッチング装置の動作を、例として図3で示されている平行平板型エッチングについて説明する。
エッチングガスは上部フランジ付近から導入され、基板電極Cに高周波電力が印加されてプラズマが形成されて導入ガスが分解される。この時、プラズマ及び導入ガスの分布は基板上で均一であることが要求されるので、一般には、上部フランジに多数の穴のあいたシャワープレートが設けられ、それを通してガスが真空室内に導入される。ガスの流れが均−で、プラズマ密度及び電位が均一であれば、プラズマ中で発生したエッチャント(ラジカル及びイオン)の密度分布は均一となり、基板は均一にエッチングされる。ところで、平行平板型エッチング装置におけるプラズマ密度及び電位の均一性は真空チャンバー構造と圧力に大きく影響を受ける。真空チャンバー構造が決まってしまうと、均一性の得られる圧力条件はほぼ一義的に決まり、条件の選択範囲が極めて狭い。
一方、図5で示される磁気中性線放電(NLD)エッチング装置では、磁気中性線の位置が自由に変えられる上に低ガス圧領域でプラズマ密度及び電位を制御することができるので、エッチング均一性の良い条件を容易に設定することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
デバイスが高密度化してきて加工幅が微細になり、従来用いられてきた平行平板型エッチング装置及び3電極型エッチング装置では、動作圧力が高いことや装置構造によって均一性の得られる条件が非常に狭いため、大口径で微細な加工の要求されるエッチング工程に対処できなくなってきた。そのため、低圧で高密度のプラズマが得られ、均一性の制御も可能な磁気中性線放電エッチング装置が提案された(例えば、特開平7−263192参照)。
【0007】
エッチングでは反応性の高いラジカル及びイオンを基板に照射して基板物質との反応により基板物質をガス化して蝕刻するが、単に削ればよいわけではなく、形状制御も必要である。このためにはエッチャントの他に壁面に付着してイオンの当たらない側壁を保護する働きをする物質もプラズマ中で生成されなければならない。0.3μm幅以下の微細加工ではこのエッチャントと保護物質との相対濃 度が重要になる。保護物質がエッチャントに対して多くなり過ぎると0.3μm幅 以下の微細孔は、保護物質により埋まってしまい、いわゆるエッチストップが起こって、削れないことになる。保護物質が、逆に、少なすぎるとエッチャントによって側壁が削られて、Bowingが発生し、望ましい形状が得られない。
【0008】
図3及び図4に示されているようなエッチング装置では、圧力が高いため分子同士の衝突により付着物質が多く発生し、0.3μm幅以下の微細加工は困難であ る。図5に示されている磁気中性線放電方式では低圧で高密度のプラズマが発生するため、非常に優れたエッチング特性を示すが、、誘電体壁面を使用するため装置のメンテナンス、価格の点で前者に及ばない。
【0009】
そこで、本発明は、上記の問題点解決して0.3μm幅以下の微細加工を行うことのできる反応性イオンエッチング方法及び装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、従来の陰極結合型エッチング装置や3電極型エッチング装置の構造を変えることなく真空チャンバー外側部に磁気中性線発生用円筒コイルを設置し、それによりプラズマ空間内に磁気中性線を形成し、プラズマ密度を向上させると共に低圧で均一性制御できるエッチングプラズマを形成できるようにした。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの実施の形態によれば、バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極を備えた陰極結合平行平板型プラズマ発生装置を有し、CF系エッチングガスを主体とする気体を真空中に導入し、プラズマを形成すると共に導入された前記CF系エッチングガスを分解し、発生した原子、分子、ラジカル、イオンを利用し、前記基板電極上に載置された基板をエッチングする反応性イオンエッチング装置であって、
真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成するための磁場発生手段を前記真空チャンバー外部側面に設け、
前記磁気中性線の部位に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングするように構成される。
また、本発明の別の実施の形態によれば、バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極と、交番電場或いは高周波電場が印加される上部電極とを備えた平行平板型3電極結合方式プラズマ発生装置を有し、CF系エッチングガスを主体とする気体を真空中に導入し、プラズマを形成すると共に導入された前記CF系エッチングガスを分解し、発生した原子、分子、ラジカル、イオンを利用し、前記基板電極上に載置された基板をエッチングする反応性イオンエッチング装置であって、
真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成するための磁揚発生手段を前記真空チャンバー外部側面に設け、
前記磁気中性線の部位に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングするように構成される。
ここで用語“3電極結合方式”は、基板電極と対向電極とアースされている真空チャンバー(アース電極)との3極を備える方式を意味している。
磁揚発生手段は、真空チャンバー内に磁気中性線を形成する3つの円筒状コイルから成り得る。
【0012】
さらに、本発明の別の実施の形態によれば、バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極を備えた平行平板型プラズマ発生装置を使用し、
真空チャンバー内にCF系エッチングガスを導入するステップと、
前記真空チャンバー外部側面に設けられた磁場発生手段により、前記真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成し、エッチングされる基板が設置される基板電極から電場を導入して、前記環状磁気中性線にそってプラズマを発生させるステップと、
を含み、
前記磁気中性線部に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングする
ことを特徴とする反応性イオンエッチング方法が提供される。
【0013】
【実施例】
以下添付図面の図1及び図2を参照して本発明の実施例について説明する。
図1には、誘導結合放電型に構成した本発明によるエッチング装置の一実施例を示す。図示装置において1は排気口1aを備えたプロセス室を形成している円筒形の真空チャンバーで、その内部には絶縁体部材2を介して基板電極3が設けられ、この基板電極3はRFバイアスを印加する高周波電源4に接続されている。 5は対向電極で、真空チャンバー1の上部フランジ1bに直接接合されている。対向電極5の内側には基板電極3に対向してエッチングガスを導入するシャワープレート6が設けられている。
また真空チャンバー1の外周部には図示したように、真空チャンバー1内に磁気中性線を形成するための磁場発生手段を構成している3つの円筒状コイル 7、8、9が設けられ、これらの円筒状コイル7、8、9は真空チャンバー1内に磁気中性線10を形成する。真空チャンバー1のガスは排気口1aより図示されていないターボ分子ボンプによって排気される。
【0014】
図2は3電極型に構成した本発明によるエッチング装置の別の実施例を示す。この実施例においても図1に示す実施例の場合と同様に、排気口11aを備えたプ ロセス室を形成している円筒形の真空チャンバー11の内部には絶縁体部材12を介して基板電極13が設けられ、この基板電極13はRFバイアスを印加する高周波電源14に接続されている。
対向電極15は、真空チャンバー11の上部フランジ11bに絶縁体部材16を介して 接合され、そして放電用高周波電源17に接続されている。
また図1の実施例の場合と同様に、対向電極15の内側には基板電極13に対向してエッチングガスを導入するシャワープレート18が設けられている。また真空チャンバー11の外周部には、真空チャンバー11内に磁気中性線を形成するための磁場発生手段を構成している3つの円筒状コイル19、20、21が設けられ、これらの円筒状コイルにより真空チャンバー11内に磁気中性線22が形成される。
【0015】
図2に示す構造の装置を用い、プラズマ発生用高周波電源17の電力を1.5KW (13.56MHz)、基板バイアス高周波電源14の電力を500W (800kHz)、圧力を10m Torr、補助ガスとしてアルゴンを170sccm、エッチング主ガスとしてC4F8を 30sccmとしたとき、シリコン酸化膜のエッチング速度は550nm/minであり、シリ コンのエッチング速度は46nm/minであった。この時の選択比は12であった。
比較のため、図4で示される従来の3電極方式のエッチング装置を用いたとき、同条件で得られたシリコン酸化膜のエッチング速度は350nm/minであり、シリ コンのエッチング速度は48nm/minであった。この時の選択比は約7である。
従って、本発明に従って磁気中性線を形成したことにより、磁気中性線部にプラズマが閉じ込められてプラズマ密度が増加し効率の良いプラズマが形成され、エッチ速度及び選択比が向上したものと考えられる。また、中間の円筒状コイル20の電流を可変することにより磁気中性線22の径を変えたところ、均一性が± 15%から±3%の範囲で制御できることがわかつた。
【0016】
例えば、エッチングガスとしてCF4、C3F8、C4F8などを用い、図3及び 図4で示される従来方式で酸化膜をエッチングする場合、エッチングガスはプラズマ密度が低いので分解が進まず、エッチ速度が低い上に重合しやすい物質であるCF2ラジカルを多く生成するようになる。また、ECRエッチング装置のよ うにプラズマ密度が高かったり、プラズマ中の滞在時間が長くなると、分解が進みエッチ速度は高いが付着性の物質であるC、CFラジカルを多く生成するようになる。
プラズマ密度が必要以上に高くない領域でプラズマを形成できる磁気中性線放電装置を用いると、基板に到達するエッチャント物質と付着性物質の比を適正な範囲で形成できるので、容易にエッチング形状を制御することができる。
図1及び図2で示される本発明による平板型磁気中性線放電エッチング装置では磁気中性線に沿って形成される電場成分がないので、図5で示される磁気中性線放電プラズマよりはプラズマ密度が低くプラズマ生成の効率は悪いが、閉じ込め作用があるので同様な効果が期待できる。
また、磁気中性線の径を大きくしたり小さくすることによってエッチングの均一性を制御することも同様に可能である。
【0017】
ところで図示実施例では、エッチング装置に適用した例を述べたが、同様な効果はプラズマCVD装置を用いたときも期待できる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、従来用いられてきた陰極結合型エッチング装置及び3電極型エッチング装置の構造を変えることなく装置外周部に、真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成するための磁場発生手段を設けたことにより、プラズマ密度を向上させる上に低圧で均一性制御できるエッチングプラズマを形成することができ、その結果容易に0.3μm幅以下の微細加工に対応できるドライエッチング装置を提供する ことができるようになった。従って、本発明は半導体や電子部品加工に用いられている反応性イオンエッチングプロセスに大きな貢献をするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す概略線図。
【図2】 本発明の別の実施例を示す概略線図。
【図3】 従来の平行平板型エッチング装置を示す概略線図。
【図4】 従来の3電極型エッチング装置を示す概略線図。
【図5】 従来の磁気中性線放電型エッチング装置を示す概略線図。
【符号の説明】
1:円筒形の真空チャンバー
2:絶縁体部材
3:基板電極
4:バイアス用高周波電源
5:対向電極
6:シャワープレート
7:円筒状コイル
8:円筒状コイル
9:円筒状コイル
10:磁気中性線
11:円筒形の真空チャンバー
12:絶縁体部材
13:基板電極
14:バイアス用高周波電源
15:対向電極
16:絶縁体部材
17:放電用高周波電源
18:シャワープレート
19:円筒状コイル
20:円筒状コイル
21:円筒状コイル
22:磁気中性線
Claims (5)
- バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極を備えた陰極結合平行平板型プラズマ発生装置を有し、CF系エッチングガスを主体とする気体を真空中に導入し、プラズマを形成すると共に導入された前記CF系エッチングガスを分解し、発生した原子、分子、ラジカル、イオンを利用し、前記基板電極上に載置された基板をエッチングする反応性イオンエッチング装置であって、
真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成するための磁場発生手段を前記真空チャンバー外部側面に設け、
前記磁気中性線の部位に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングする
ことを特徴とする反応性イオンエッチング装置。 - 前記磁場発生手段が、前記真空チャンバー内に前記磁気中性線を形成する3つの円筒状コイルから成る請求項1に記載の反応性イオンエッチング装置。
- バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極と、交番電場或いは高周波電場が印加される上部電極とを備えた平行平板型3電極結合方式プラズマ発生装置を有し、CF系エッチングガスを主体とする気体を真空中に導入し、プラズマを形成すると共に導入された前記CF系エッチングガスを分解し、発生した原子、分子、ラジカル、イオンを利用し、前記基板電極上に載置された基板をエッチングする反応性イオンエッチング装置であって、
真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成するための磁揚発生手段を前記真空チャンバー外部側面に設け、
前記磁気中性線の部位に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングする
ことを特徴とする反応性イオンエッチング装置。 - 前記磁揚発生手段が、前記真空チャンバー内に前記磁気中性線を形成する3つの円筒状コイルから成る請求項3に記載の反応性イオンエッチング装置。
- バイアスを発生しかつプラズマを発生するための交番電場或いは高周波電場が印加される陰極たる基板電極を備えた平行平板型プラズマ発生装置を使用し、
真空チャンバー内にCF系エッチングガスを導入するステップと、
前記真空チャンバー外部側面に設けられた磁場発生手段により、前記真空チャンバー内に連続して存在する磁場ゼロの位置である環状磁気中性線を形成し、エッチングされる基板が設置される基板電極から電場を導入して、前記環状磁気中性線にそってプラズマを発生させるステップと、
を含み、
前記磁気中性線部に閉じ込められたプラズマにより、前記CF系エッチングガスを分解して前記基板をエッチングする
ことを特徴とする反応性イオンエッチング方法。
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