JP4331930B2 - 酸に不安定な薬物の高含量顆粒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸に不安定な薬物、特に、抗潰瘍剤として有用な酸に不安定なベンズイミダゾール系化合物と塩基性無機物を含有してなる安定な活性成分の配合率が高い顆粒に関する。
【0002】
【従来の技術】
ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール等のベンズイミダゾール(ベンツイミダゾールともいう)系化合物(以下、本明細書ではベンズイミダゾール系化合物と称する)は、胃酸分泌抑制作用や胃粘膜防御作用等を有していることから消化性潰瘍治療剤として、広く使用されている。
しかし、これらの化合物の安定性は悪く、湿度、温度、光に対して不安定である。特に、酸に対して不安定であり、水溶液あるいは懸濁液では、pHが低くなるに従って、極めて不安定となる。
また、製剤すなわち、錠剤、散剤、細粒剤、カプセル剤等での安定性は、化合物単独以上に製剤処方中の他成分との相互作用が強いため不安定となり、製造時および保存時に着色変化あるいは分解が観察される。これらを安定化するために、特許文献1ではマグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性無機塩からなる安定化剤を配合した後、腸溶性の被覆を施した腸溶性顆粒剤あるいは腸溶性細粒剤等が開示されている。
また、ベンズイミダゾール系化合物は水に溶けにくい特性を有し、酸に不安定であることから腸溶性被膜を施す必要がある。腸溶性被膜は水分が比較的多い胃では溶解せず、水分の少ない小腸で腸溶性被膜が溶け、ベンズイミダゾール系化合物が溶解し吸収される。すなわち、ベンズイミダゾール系化合物を含有する組成物は小腸で速やかに崩壊することが必要であるため、錠剤よりも表面積が大きく、速やかに崩壊または溶解しやすい顆粒のほうが望ましいと考えられる。
特許文献1で具体的に開示された実施例では、腸溶性顆粒全量に対しベンズイミダゾール系化合物の含有率は約6.3〜11.5%であり、充填したカプセルは1号または2号カプセルである。非特許文献1では、外観官能試験からカプセル剤は小さいほど服用しやすく、服用しやすいカプセル剤のサイズは3号カプセルが限度であると報告がある。1号または2号カプセルでは、患者、特に嚥下しにくい高齢者患者にとって、コンプライアンスを低下させるおそれがある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭62−277322号公報
【非特許文献1】
薬剤学 Vol.50(3)230-238(1990)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、患者、特に嚥下がしにくい高齢者や子供の患者にも服用しやすくしコンプライアンスを高めるために、ベンズイミダゾール系化合物をはじめ、酸に不安定な薬物と塩基性無機塩とを含有する安定な高濃度の腸溶性顆粒を製造し、この腸溶性顆粒を充填したカプセルは服用しやすいサイズにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、塩基性無機塩を安定化剤として含有し腸溶性被覆を施した酸に不安定な薬物、特に、ベンズイミダゾール系化合物を含む顆粒において、塩基性無機塩の酸に不安定な薬物に対する配合率及び平均粒子径を適正化することで、酸に不安定な薬物が高濃度で高含量であるにも関わらず安定であり、かつ患者が服用しやすくコンプライアンスが向上できることを見出し、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1)顆粒全量に対して約12重量%以上の酸に不安定な薬物を含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有する顆粒であって、塩基性無機塩を含有し、平均粒子径が約600μm以上である顆粒、
(2)塩基性無機塩がマグネシウムの塩またはカルシウムの塩である前記(1)記載の顆粒、
(3)酸に不安定な薬物がプロトンポンプインヒビター(以下、本明細書において’PPI’と略す)である前記(1)記載の顆粒、
(4)PPIが式(I):
【化2】
〔式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環、R1、R2およびR3は、それぞれ同一または異なって、水素原子、置換基を有していもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアミノ基、およびYは窒素原子またはCHを示す〕で表されるベンズイミダゾール系化合物またはその塩である前記(3)記載の顆粒、
(5)PPIが、ランソプラゾール、オメラプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、レミノプラゾール、テナトプラゾール(TU−199)もしくはそれらの光学活性体またはそれらの薬学的に許容される塩である前記(3)記載の顆粒、
(6)PPIが、ランソプラゾールもしくはその光学活性体またはその薬学的に許容される塩である前記(3)記載の顆粒、
(7)主薬層に、塩基性無機塩をベンズイミダゾール系化合物1重量部に対して約0.2重量部〜約0.6重量部配合してなる前記(4)記載の顆粒、
(8)主薬層が、ショ糖、でんぷん、乳糖および結晶セルロースの中から選ばれる一種以上からなる核上に形成された有核顆粒である前記(1)記載の顆粒、
(9)腸溶性被膜層が腸溶性水溶性高分子を含有する前記(1)記載の顆粒、
(10)腸溶性水溶性高分子がメタクリル酸共重合体である前記(9)記載の顆粒、
(11)顆粒の平均粒子径が約1000μm〜約2000μmである前記(1)記載の顆粒、
(12)ベンズイミダゾール系化合物を顆粒全量に対し約12重量%〜約40重量%含有する前記(4)記載の顆粒、
(13)前記(1)記載の顆粒を含有する顆粒剤、カプセル剤、錠剤、発泡剤または懸濁剤、
(14)顆粒全量に対して約12重量%〜約40重量%のPPIと、PPI1重量部に対し約0.2重量部〜約0.6重量部のナトリウム塩、カリウム塩、アルミニウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩の塩基性塩からなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩とを含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有し、平均粒子径が約1000μm〜約2000μmである顆粒、
(15)前記(14)記載の顆粒を含有する顆粒剤、カプセル剤または錠剤、
(16)消化性潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease (Symptomatic GERD))、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌、胃MALTリンパ腫、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍あるいは手術後ストレスによる胃酸過多ならびに潰瘍の治療および予防剤、またはヘリコバクター・ピロリ除菌剤、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎あるいは侵襲ストレスによる上部消化管出血の抑制剤である前記(15)記載の剤、
(17)顆粒全量に対し約14重量%〜約20重量%のランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)と、ランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)1重量部に対し約0.2重量部〜約0.4重量部のマグネシウムおよびカルシウムの塩基性塩からなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩とを含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有し、平均粒子径が約1000μm〜約2000μmである顆粒、
(18)塩基性無機塩が、炭酸マグネシウムである前記(17)記載の顆粒、
(19)ランソプラゾールを1カプセル当たり30mg含有する3号乃至5号カプセル剤、
(20)前記(17)記載の顆粒を充填した前記(19)記載のカプセル剤、
(21)ランソプラゾールを1カプセル当たり15mg含有する4号乃至5号カプセル剤、
(22)前記(17)記載の顆粒を充填した前記(21)記載のカプセル剤、
(23)ランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)を1カプセル当たり
60mg含有する1号乃至3号カプセル剤、
(24)前記(17)記載の顆粒を充填した前記(23)記載のカプセル剤、
(25)ランソプラゾール光学活性体(R体)を1カプセル当たり40mg含有する2号乃至4号カプセル剤、
(26)前記(17)記載の顆粒を充填した前記(25)記載のカプセル剤、
(27)ランソプラゾール光学活性体(R体)を1カプセル当たり30mg含有する3号乃至5号カプセル剤、
(28)前記(17)記載の顆粒を充填した前記(27)記載のカプセル剤、
および
(29)抗菌剤と前記(3)記載の顆粒との組合せからなる医薬を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る顆粒は、酸に不安定な薬物を高濃度で含有しており、かつ、少なくとも主薬層と、その主薬層上に形成された中間被覆層と、さらに中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有することを特徴とする。主薬である酸に不安定な薬物は主薬層に含有されるが、構造的には主薬層は、さらにその中に核を有する構成であってもよい。また主薬層と腸溶性被膜層との間に形成される中間被覆層は、主薬層と腸溶性被膜層の直接の接触を避けることによって主薬層に含まれる酸に不安定な薬物の安定化を図るという機能を有している。
本発明における酸に不安定な薬物は、特に限定するものではなく、酸に曝されると不安定になるいずれの薬物にも適応できる。かかる酸に不安定な薬物としては、例えば、抗潰瘍作用を有するPPI、とりわけベンズイミダゾール系化合物やイミダゾピリジン系化合物、エリスロマイシン系抗菌性化合物、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ等のような消炎酵素剤等が挙げられる。特に、本発明は抗潰瘍作用を有するベンズイミダゾール系化合物やイミダゾピリジン系化合物等のPPIに適しており、以下、ベンズイミダソール系化合物の場合について説明するが、本発明はこれに限らず、他の酸に不安定な薬物にも同様に適用できる。
本発明で用いられる抗潰瘍作用を有するベンズイミダゾール系化合物において、好ましい化合物は、前記式(I)中、環Aが、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれた置換基を有していてもよいベンゼン環であり、R1がC1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはジ−C1−6アルキルアミノ基であり、R2が水素原子、C1−6アルコキシ−C1‐6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基であり、R3が水素原子またはC1−6アルキル基であり、Yが窒素原子である化合物である。
特に好ましくは、式(Ia):
【化3】
〔式中、R1はC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基、R2はハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基、R3は水素原子またはC1−3アルキル基、R4は、水素原子、ハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基またはピロリル基(例えば、1‐,2−または3−ピロリル基)を示す〕で表される化合物である。
式(Ia)において、R1がC1−3アルキル基、R2がハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基、R3が水素原子、R4が水素原子またはハロゲン化されていてもよいC1−3アルコキシ基である化合物が特に好ましい。
【0008】
上記式(I)で表される化合物〔以下、化合物(I)と称する〕中、環Aで示される「置換基を有していてもよいベンゼン環」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ヒドロキシ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、カルボキシ基、アシル基、アシルオキシ基、5ないし10員複素環基などが挙げられ、これらの置換基はベンゼン環に1ないし3個程度置換していてもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基などが好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子などが挙げられる。なかでもフッ素が好ましい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、例えば、C1−7アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル基など)が挙げられる。「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル基等)、カルバモイル基などで例示でき、これらの置換基の数は1ないし3個程度であってもよい。置換基の数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「アルコキシ基」としては、例えば、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ等)などが挙げられる。「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の「置換基」としては、上記「置換基を有していてもよいアルキル基」の「置換基」と同様のものが例示でき、置換基の置換数も同様である。
「アリール基」としては、例えば、C6−14アリール基(例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニル、2−アンスリル基等)などが挙げられる。
「アリールオキシ基」としては、例えば、C6−14アリールオキシ基(例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基等)などが挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、ホルミル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、アルキルカルバモイル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル基などが挙げられる。
「アルキルカルボニル基」としては、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニル基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイル基」としては、N−C1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル基等)、N,N−ジC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニル基」としては、例えば、C1−7アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル基等)が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルキルカルバモイルオキシ基、アルキルスルフィニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基などが挙げられる。
「アルキルカルボニルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルコキシカルボニルオキシ基」としては、例えばC1−6アルコキシ−カルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルカルバモイルオキシ基」としては、C1−6アルキル−カルバモイルオキシ基(例えば、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ基等)などが挙げられる。
「アルキルスルフィニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルフィニルオキシ基(例えば、メチルスルフィニルオキシ、エチルスルフィニルオキシ、プロピルスルフィニルオキシ、イソプロピルスルフィニルオキシ基等)が挙げられる。
「アルキルスルホニルオキシ基」としては、例えばC1−7アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ、プロピルスルホニルオキシ、イソプロピルスルホニルオキシ基等)が挙げられる。
「5ないし10員複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子を1個以上(例えば、1〜3個)を含む5ないし10員(好ましくは5または6員)複素環基が挙げられ、具体例としては、2−または3‐チエニル基、2−、3−または4‐ピリジル基、2−または3‐フリル基、1‐、2−または3−ピロリル基、2−、3‐、4‐、5−または8−キノリル基、1‐、3‐、4−または5−イソキノリル基、1‐、2−または3−インドリル基などが挙げられる。このうち好ましくは1‐、2−または3−ピロリル基などの5または6員複素環基である。
好ましくは環Aは、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−4アルコキシ基および5または6員複素環基から選ばれる置換基を1または2個有していてもよいベンゼン環である。
【0009】
R1、R2またはR3で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルキル基」が挙げられる。
R1、R2またはR3で示される「置換基を有していてもよいアルコキシ基」としては、上記環Aの置換基として記載した「置換基を有していてもよいアルコキシ基」が挙げられる。
R1、R2またはR3で示される「置換基を有してもよいアミノ基」としては、例えば、アミノ基、モノ−C1−6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ等)、モノ−C6−14アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、1−ナフチルアミノ、2−ナフチルアミノ等)、ジーC1−6アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、ジ−C6−14アリールアミノ基(例えば、ジフェニルアミノ等)などが挙げられる。
好ましいR1は、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基、ジ−C1−6アルキルアミノ基である。さらに好ましいR2はC1−3アルキル基またはC1−3アルコキシ基である。
好ましいR2は、水素原子、C1−6アルコキシ−C1−6アルコキシ基またはハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基である。さらに好ましいR3はハロゲン化されているかまたはC1−3アルコキシ基で置換されていてもよいC1−3アルコキシ基である。
好ましいR3は、水素原子またはC1−6アルキル基である。さらに好ましいR4は水素原子またはC1−3アルキル基(特に水素原子)である。
好ましいYは窒素原子である。
【0010】
化合物(I)の具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(ランソプラゾール)、2−[[(3,5−ジメチルー4−メトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]‐5‐メトキシ−1H−ベンズイミダゾール、2−[[[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール・ナトリウム塩、5−ジフルオロメトキシ−2−[[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールなど。
これらの化合物のうち、特にランソプラゾールすなわち2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールが好ましい。
イミダゾピリジン系化合物としては、テナトプラゾール等が挙げられる。
なお、上記化合物(I)やイミダゾピリジン系化合物は、ラセミ体であってもよく、R−体、S−体などの光学活性体であってもよい。例えば、(R)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、ランソプラゾールR体と称することがある)および(S)−2−[[[3‐メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(以下、ランソプラゾールS体と称することがある)などの光学活性体が特に本発明に好適である。尚、ランソプラゾール、ランソプラゾールR体およびランソプラゾールS体等は通常結晶が好ましいが、製剤化すること自体で安定化されることに加え、塩基性無機塩を配合し、さらに中間被膜層を設けることにより、より安定化されるので、結晶のみならず非晶形のものも用いることができる。
【0011】
化合物(I)の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えば、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミンなど)、複素環式アミン(ピリジン、ピコリンなど)、アルカノールアミン(エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
これらの塩のうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
化合物(I)は、自体公知の方法により製造でき、例えば、特開昭61‐50978号、米国特許4,628,098、特開平10‐195068号、WO 98/21201、特開昭52−62275号、特開昭54−141783号等に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造される。なお、光学活性な化合物(I)は、光学分割法(分別再結晶法、キラルカラム法、ジアステレオマー法、微生物または酵素を用いる方法など)不斉酸化などの方法で得ることができる。また、ランソプラゾールR体は、例えばWO 00−78745、WO 01/83473等に記載の製造法などに従い製造することができる。
本発明で用いる抗潰瘍作用を有するベンズイミダゾール系化合物としては、ランソプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール、レミノプラゾール、テナトプラゾール(TU−199)などまたはそれらの光学活性体ならびにそれらの薬学的に許容される塩が好ましく、さらに好ましくはランソプラゾールまたはその光学活性体特にR体が好ましい。
本発明で用いられるPPIの配合量は、活性成分の種類、投与量にもより異なるが、例えば、本発明の顆粒全量に対して約12重量%〜約40重量%、好ましくは約12重量%〜約20重量%、さらに好ましくは約14重量%〜約20重量%である。PPIがベンズイミダゾール系化合物、特にランソプラゾールの場合、約14重量%〜約20重量%である。
【0012】
本発明で用いられる塩基性無機塩としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。好ましくはマグネシウムまたはカルシウムの塩基性無機塩が挙げられる。さらに好ましくはマグネシウムの塩基性無機塩が挙げられる。
ナトリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトルム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。
カリウムの塩基性無機塩としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
マグネシウムの塩基性無機塩としては、例えば、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト[Mg6Al2(OH)16・CO3・4H2O]及び水酸化アルミナ・マグネシウム[2.5MgO・Al2O3・xH2O]、好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
カルシウムの塩基性無機塩としては、沈降炭酸カルシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
塩基性無機塩としてより好ましくは、重質炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが挙げられる。
本発明で用いられる塩基性無機塩は、その1%水溶液または懸濁液のpHが塩基性(pH7以上)を示すものであればよい。
塩基性無機塩は、1種または2種以上を組み合わせて配合してもよく、その配合量はPPI(ベンズイミダゾール系化合物など)1重量部に対して、約0.2〜約0.6重量部、好ましくは約0.2〜約0.4重量部配合させるとよい。とりわけ、PPIがランソプラゾールまたはその光学活性体の時は、PPI1重量部に対し、約0.2〜約0.4重量部の塩基性無機塩(好ましくは、マグネシウム、カルシウムの塩基性無機塩、さらに好ましくは、炭酸マグネシウム)を配合するのが好ましい。
【0013】
本発明においては「顆粒全量に対し約12重量%〜約40重量%のPPI(ベンズイミダゾール系化合物など)を含有し、安定化剤として塩基性無機塩を配合した平均粒子径が約600μm以上の顆粒」が好ましい。粒子径が小さい場合には、表面積が大きくなり、腸溶性被膜を大量に被膜する必要があるため、ベンズイミダゾール系化合物の高濃度化が難しくなる。すなわち、本発明では粒子径を少なくとも約600μm以上にすることにより、腸溶性被膜の量を減らし、高濃度化を可能にした。平均粒子径は約600〜約2500μmである。より好ましい平均粒子径は約1000〜約2000μmである。顆粒としては、約400〜約3000μmの粒子径の粒子、好ましくは約500〜約2500μmの粒子径の粒子を含んでいてもよいが、全体の平均粒子径として前記範囲の顆粒であればよい。
粒子径の測定は、ふるい分け法(粉体−理論と応用−、475頁、昭和54年、丸善)を用い、平均粒子径は該当する篩の目開きの平均値と重量分布を基に算出する。すなわち、平均値と各重量との積を基に算術平均をする。
【0014】
本発明における顆粒は、公知の造粒法により製造することができる。例えば、転動造粒法(例、遠心転動造粒法)、流動造粒法、攪拌造粒法(例、転動流動造粒法)などが挙げられる。このうち、転動造粒法、攪拌造粒法(転動流動造粒法が好ましい。
転動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のCF装置などが挙げられる。転動流動造粒法の具体例としては、例えばフロイント社製のスパイラルフロー、パウレック社製のマルチプレックス、不二パウダル社製のニューマルメなどを用いる方法が挙げられる。結合液の噴霧方法は造粒装置の種類に応じて適当に選択でき、例えば、トップスプレー方式、ボトムスプレー方式、タンジェンシャルスプレー方式などいずれであってもよい。
【0015】
本発明の顆粒は、上述のように、主薬を含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に腸溶性被膜層を有する顆粒にするのが好ましい。
本発明における顆粒は、より真球度が高く、粒度分布の狭い顆粒を得るため、ショ糖、でんぷん、乳糖及び結晶セルロースの中から選ばれた一種以上からなる核に、ベンズイミダゾール化合物を被覆して主薬層を形成するのが好ましい。例えば、特開昭63−301816号に記載の方法により有核顆粒を製造してもよい。糖核にヒドロキシプロピルセルロース等の結合液を噴霧しながら、抗潰瘍性作用を有するベンズイミダゾール系化合物、塩基性金属塩、賦形剤、崩壊剤等を含む粉状散布剤を被覆する方法により得られる。該核顆粒としては、例えば、ショ糖(75重量部)をトウモロコシデンプン(25重量部)で自体公知の方法により被覆したノンパレル(Nonpareil)および結晶セルロースを用いた球形核顆粒等が挙げられ、また、核顆粒自体が主薬となる上記した主薬成分であってもよい。該核顆粒の平均粒度としては、一般に14〜80メッシュである。
核としては、ショ糖及びでんぷんの球形造粒品、結晶セルロースの球形造粒品、結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品などが挙げられる。
核は被覆のバラツキを小さくするためには、できる限り均一な球状であることが望ましい。
核に対する被覆層の割合は、ベンズイミダゾール化合物の溶出性および顆粒の粒度を制御できる範囲で選択でき、例えば、核1重量部に対して、通常、約0.2重量部〜約5重量部、好ましくは約0.1重量部〜約5重量部である。
【0016】
主薬層を被覆する被覆層は、複数の層で形成されていてもよい。複数の被覆層は、薬物を含まない中間被覆層や腸溶性被膜層に加え、下掛け用の被覆層など種々の被覆層を含んでいてよく、それら被覆層の組み合わせは適宜選択されうる。
ベンズイミダゾール系化合物等の不安定な主薬を含有する腸溶性被覆顆粒においては、腸溶性被膜層成分は酸性物質であることから、ベンズイミダゾール化合物等を含有する主薬層と腸溶性被膜層の間に中間被覆層を設けて両層の直接の接触を遮断することは、薬剤の安定性の向上を図る上でより好ましい。
このような中間被覆層としては、主薬であるベンズイミダゾール化合物と腸溶性被膜層の接触を阻める被覆層であればよく、このような目的を達成する限り、被覆層の量や材質は限定されない。例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、TC-5等)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの高分子基剤に、ショ糖〔精製白糖(粉砕したもの(粉糖)や粉砕しないもの)等〕、コーンスターチなどの澱粉糖、乳糖、蜂蜜及び糖アルコール(D−マンニトール,エリスリトールなど)等の糖類を適宜配合した層などが挙げられる。中間被覆層には、この外にも下記する製剤化を行うため必要により添加される賦形剤(例、隠蔽剤(酸化チタン等)、静電気防止剤(酸化チタン、タルク等))を適宜加えてよい。
中間被覆層の被覆量は、例えばベンズイミダゾールを含有する顆粒1重量部に対して、通常、約0.02重量部〜約1.5重量部、好ましくは約0.05〜約1重量部である。被覆は常法によって行える。例えば,これらの中間層被覆層成分を精製水などで希釈し、液状として散布して被覆するのが好ましい。その際、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤を噴霧しながら行うのが好ましい。
【0017】
本発明における顆粒を被覆する「腸溶性被膜層」としては、例えば、セルロースアセテ−トフタレート(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−スフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、メタアクリル酸共重合体、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなど水系腸溶性高分子基剤、アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体などの徐放性基剤、水溶性高分子、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油などの可塑剤が用いられる。これらは一種または二種以上混合して使用してもよい。
腸溶性被膜層としては、腸溶性高分子基剤であり、好ましくは水系腸溶性メタクリル酸共重合体である。
腸溶性被膜層の被覆量は腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して約10重量%〜約70重量%、好ましくは約10重量%〜約50重量%であり、より好ましくは約15重量%〜約30重量%である。
【0018】
さらに製剤化を行うための賦形剤(例えば、ぶどう糖、果糖、乳糖、蔗糖、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなど)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分α化デンプン、α化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、ゼラチンなど)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなど)、矯味剤(例えば、クエン酸、アスコルビン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5'−イノシン酸ナトリウム、5'−グアニル酸ナトリウムなど)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウムなど)、香料(例えば、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールなど)、着色剤(例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄など)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなど)、隠蔽剤(例えば、酸化チタンなど)、静電気防止剤(例えば、タルク、酸化チタンなど)などの添加剤を用いることができる。
これらに用いられる原料の粒子径については特に制限がないが、製造性や服用性の観点から約500μm以下の粒子が好ましい。
本発明による顆粒は、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、発泡剤または懸濁剤など用いることもできる。
取り扱いの容易さ等の点からカプセル剤および錠剤が好ましい。カプセルとしては、ゼラチンカプセル、HPMCカプセルおよびプルランカプセル等を使用してもよい。カプセル剤として用いる場合は、服用が容易になるように、大きさを3号〜5号カプセルにすることが好ましい。例えば、ランソプラゾール含有顆粒を含有するカプセル剤の場合、顆粒全量に対し約14重量%〜約20重量%のランソプラゾールと、マグネシウムおよび/またはカルシウムの塩基性塩をランソプラゾール1重量部に対し約0.2重量部〜約0.4重量部含有する主薬層に中間被覆層を施した上に腸溶性被膜層を被覆した平均粒径が約1000μm〜約2000μmの顆粒を充填したカプセル剤が好ましい。1カプセル当りランソプラゾールを30mg含有するカプセル剤としては、従来の製品が1号〜2号であったのに対し、本発明では3号〜5号の安定なカプセル剤が製造できる。さらには、前記顆粒を充填したランソプラゾール1カプセル当り15mg含有するカプセル剤の場合、4号〜5号のカプセルへ小型化することが可能である。また、ランソプラゾールR体を60mg含有するカプセル剤としても3号乃至1号カプセルが可能であり、また、40mg含有カプセル剤としては4号乃至2号カプセルが、30mg含有カプセル剤としては5号乃至3号カプセルが可能である。
【0019】
本発明の顆粒において、ベンズイミダゾール系化合物などのPPIは優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクター・ピロリ作用等を有し、また、毒性は低いので、医薬として有用である。この場合、本発明の顆粒は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例えば、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍等)、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群、胃炎、逆流性食道炎、食道炎を伴わない胃食道逆流症(Symptomatic Gastroesophageal Reflux Disease (Symptomatic GERD))、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫等の治療および予防、ヘリコバクター・ピロリ除菌、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血の抑制、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血の抑制、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍の治療および予防;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防などを目的として経口投与できる。ヘリコバクター・ピロリ除菌等のためには、本発明の顆粒やカプセル剤と他の活性成分(例えば、1ないし3種の活性成分)と併用してもよい。
「他の活性成分」としては、例えば、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物、キノロン系化合物等の抗菌剤やビスマス塩が挙げられる。とりわけ、本発明の顆粒やカプセル剤と抗菌剤と組み合わせてなる医薬が好ましい。このうち、抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質、イミダゾール系化合物などの抗菌剤との併用が好ましい。「抗ヘリコバクター・ピロリ活性物質」としては、例えば、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン、ベンジルペニシリン、ピペラシリン、メシリナムなど)、セフェム系抗生物質(例えば、セフィキシム、セファクロルなど)、マクロライド系抗生物質(例えば、エリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのエリスロマイシン系抗生物質)、テトラサイクリン系抗生物質(例えば、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ストレプトマイシンなど)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、アミカシンなど)、イミペネムなどが挙げられる。中でもペニシリン系抗生物質、マクロライド系抗生物質などが好ましい。
「イミダゾール系化合物」としては、例えば、メトロニダゾール、ミコナゾールなどが挙げられる。「ビスマス塩」としては、例えば、ビスマス酢酸塩、ビスマスクエン酸塩などが挙げられる。「キノロン系化合物」の抗菌剤も好ましく、例えば、オフロキサシン、シプロキサシンなどが挙げられる。とりわけ、ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の顆粒やカプセル剤と、ペニシリン系抗生物質(例えば、アモキシシリン等)および/またはエリスロマイシン系抗生物質(例えば、クラリスロマイシン等)とを併用して用いるのが好ましい。
例えば、ランソプラゾールの場合、従来15mg含有カプセル剤は3号カプセルに、また30mg含有カプセル剤は1号カプセルに充填されることが多かったが、本発明によれば、主薬や製剤の安定性をそこなうことなく主薬以外の成分の量を低減できるので、15mg含有カプセル剤は4号乃至5号カプセルに、また30mg含有カプセル剤は3号乃至5号カプセルにそれぞれ小型化できる。
さらに60mg含有するカプセル剤においても、1号乃至3号カプセルの使用が可能である。
また、ランソプラゾールの光学活性体の場合も、30mg、40mgおよび60mg含有するカプセル剤用に、それぞれ、3号乃至5号カプセル、2号乃至4号カプセルおよび1号乃至3号カプセルを用いることができる。
たとえば、ランソプラゾールまたはランソプラゾールR体を60mg含有するカプセル剤は、高濃度に活性成分を含有し、飲み易いため、とりわけゾリンジャー・エリソン症候群を含む酸過剰分泌症状の治療に好適である。
1日の投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、投与の時期、間隔、有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、例えば、抗潰瘍剤として、成人(60kg)に対し、経口的に投与する場合、有効成分として約0.5〜1500mg/日、好ましくは約5〜150mg/日である。これらベンツイミダソール系化合物含有製剤は、1日1回または2〜3回に分けて投与してもよい。
【0020】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例においては、ランソプラゾールおよびその光学活性体は結晶形のものを使用した。
実施例1
ランソプラゾール、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、散布剤とした。転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2.5%:W/W)を噴霧しながら上記の散布剤をコーティングし球形顆粒を得た。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、500μm〜1180μmの顆粒を得た。
前記の顆粒に後記組成の腸溶性コーティング液を転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し710〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒190mgを3号カプセルに手充填した。
また、得られた混合粒について丸篩を用いて、粒度分布を測定した結果を下記に示す。
1180μm残留 10.6%
1180/1000μm 70.9%
1000/850μm 12.0%
850μm通過 6.4%
【0021】
実施例2
ランソプラゾール、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とした。ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、中間層散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF-360φ)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2.5%:W/W)を噴霧しながら前記の主薬散布剤、中間層散布剤をコーティングし球形顆粒を得た。得られた球形顆粒を40℃、16時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、500μm〜1180μmの顆粒を得た。
前記の顆粒に下記組成の腸溶性コーティング液を転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し600〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒200mgを3号カプセルに充填した。
また、得られた混合粒について丸篩を用いて、粒度分布を測定した結果を下記に示す。
1180μm残留 20.2%
1180/1000μm 76.2%
1000/850μm 3.6%
850/710μm 0.0%
710μm通過 0.0%
【0022】
実施例3
ランソプラゾール、炭酸マグネシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び精製水で懸濁液を調製した。転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)に結晶セルロース球形造粒品を入れ、懸濁液を噴霧しながらコーティングし球形顆粒を得た。そのまま乾燥し、丸篩で篩過し、500μm〜1180μmの顆粒を得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、D−マンニトール及び精製水で中間層懸濁液を調製した。転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)にランソプラゾールを含有した顆粒を入れ、中間層懸濁液を噴霧しながらコーティングし球形顆粒を得た。そのまま乾燥し、丸篩で篩過し、500μm〜1800μmの顆粒を得た。
前記の顆粒に下記組成の腸溶性コーティング液を転動流動造粒コーティング機(パウレック社製、MP-10)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し600〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒100mgを5号カプセルに手充填した。
また、得られた混合粒について丸篩を用いて、粒度分布を測定した結果を下記に示す。
1180μm残留 5.6%
1180/1000μm 91.3%
1000/850μm 3.1%
850μm通過 0.0%
【0023】
実施例4
ランソプラゾール、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とした。ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、中間層散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF-1300φ)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、精製水を噴霧しながら上記の主薬散布剤、中間層散布剤をコーティングし球形顆粒を得た。得られた球形顆粒を45℃、18時間真空乾燥し、振動篩で篩過し、500μm〜1180μmの顆粒を得た。
上記の顆粒に下記組成の腸溶性コーティング液を流動層コーティング機(フロイント製、FLO-90)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、振動篩で篩過し600〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。得られた顆粒にタルクおよびエアロジルをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製、1300L)を用いて混合した。得られた混合粒400mgをカプセル充填機(IMA社製、MATIC-90)を用いて1号カプセルに充填した。
また、得られた混合粒について丸篩を用いて、粒度分布を測定した結果を下記に示す。
1180μm残留 2.6%
1180/1000μm 92.2%
1000/850μm 4.6%
850/710μm 0.4%
710μm通過 0.2%
【0024】
実施例5
組成を表1に示す。ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とした。また、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、中間層散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤及び中間層散布剤を順次コーティングし球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行った。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得た。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し850〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行った。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)及び300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号及び2号カプセルに充填した。
【0025】
実施例6
組成を表1に示す。ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とした。また、ショ糖(粉砕品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び酸化チタンをよく混合し、中間層散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤及び中間層散布剤を順次コーティングし球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行った。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得た。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し850〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行った。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)及び300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号及び2号カプセルに充填した。
【0026】
実施例7
組成を表1に示す。ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び酸化チタンをよく混合し、主薬散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤をコーティングし球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行った。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得た。
上記の顆粒に腸溶性コーティング液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し850〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。コーティング操作条件は給気風量:0.6m3/分、給気温度:85℃、注液速度:8g/分、スプレーエア圧力:1kg/cm2で行った。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)及び300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号及び2号カプセルに充填した。
【0027】
実施例8
組成を表2に示す。ランソプラゾールR体、炭酸マグネシウム、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、主薬散布剤とした。また、ショ糖(粉砕品)、コーンスターチ及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをよく混合し、上掛散布剤とした。遠心転動造粒機(フロイント社製、CF)にショ糖・でんぶん球形造粒品を入れ、ヒドロキシプロピルセルロース溶液(2%:W/W)を噴霧しながら上記の主薬散布剤を順次コーティングし球形顆粒を得た。コーティング操作条件はローター回転数:300rpm、注液速度:1.8g/分、スプレーエア圧:0.2kg/cm2、スリットエア圧力:0.2kg/cm2で行った。得られた球形顆粒を40℃、20時間真空乾燥し、丸篩で篩過し、710μm〜1420μmの顆粒を得た。
表2に示すヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化チタン及び精製水からなる懸濁液を調製した。上記の顆粒にこの懸濁液を流動造粒コーティング機(パウレック社製、LAB-1)を用いてコーティングしそのまま乾燥し、丸篩で篩過し850〜1420μmの腸溶性顆粒を得た。コーティング操作条件は給気風量:0.8〜1m3/分、給気温度:85℃、注液速度:6g/分、スプレーエア圧力:0.8〜1kg/cm2で行った。
得られた顆粒にタルクおよびエアロジルを混合した。得られた混合粒150mg(ランソプラゾールR体 30mg相当量)、200mg(ランソプラゾールR体 40mg相当量)及び300mg(ランソプラゾールR体 60mg相当量)をそれぞれ4号、3号及び2号カプセルに充填した。
表2 組成表
顆粒 141mg中の組成
ショ糖・でんぶん球形造粒品 50mg
主薬散布剤
ランソプラゾールR体 40mg
炭酸マグネシウム 14mg
ショ糖(粉砕品) 26mg
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 10mg
結合液
ヒドロキシプロピルセルロース 1mg
精製水 49μl
計 141mg
中間層懸濁液組成
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 12.5mg
酸化チタン 6.5mg
精製水 171μl
計 19mg(固形分として)
中間層コーティング顆粒の組成
顆粒 141mg
中間層被膜 19mg
計 160mg
腸溶性コーティング液組成
メタクリル酸共重合体 86.7mg(固形成分 26mg)
タルク 7.8mg
ポリエチレングリコール 2.5mg
酸化チタン 2.5mg
ポリソルベート80 1.0mg
精製水 119.5μl
計 39.8mg(固形物として)
腸溶性顆粒の組成
顆粒 160mg
腸溶性被膜 39.8mg
計 199.8mg
混合顆粒の組成
腸溶性顆粒 199.8mg
タルク 0.1mg
エアロジル 0.1mg
計 200mg
【0028】
実験例1
実施例1および2において製造した腸溶性顆粒(混合粒)を40℃/75%RH 密栓瓶 24週保存後の含量(残存率)及び外観変化(ΔE)を測定した。
含量はHPLC法で測定した。外観変化(ΔE)はSMカラコンピューターSM-5(スガ試験機製)を用いて色差(ΔE)を測定した。結果を表3に示す。
【表1】
以上の結果、本発明の顆粒は外観変化も少なく、含量も安定であることが明かとなった。
【0029】
実験例2
実施例5から8において製造した腸溶性顆粒(混合粒)を60℃ガラス密栓瓶 2週保存後の含量(残存率)を測定した。含量はHPLC法で測定した。結果を表4に示す。尚、実施例7と8の製剤の肉眼観察による外観変化はほとんど認められなかった。
【表2】
以上の結果、本発明の顆粒は含量の面から安定であることが明かとなった。
【0030】
【発明の効果】
本発明の顆粒は、塩基性無機塩の酸に不安定な薬物、特にベンズイミダゾール系化合物に対する配合率及び平均粒子径を最適化することで、意外にも酸に不安定な薬物を高濃度で高含量であるにも関わらず安定であることを可能とした。また、活性成分を高濃度に含むため、同一含量でも製剤全体の量を低減できるので、カプセル剤等を小型化でき服用しやすい製剤にすることができる。その結果、患者、特に嚥下がしにくい高齢者や小児の患者にも服用しやすく、コンプライアンスを高めることができる。
Claims (14)
- 顆粒全量に対して12重量%〜40重量%のランソプラゾールもしくはその光学活性体またはその薬学的に許容される塩と、ランソプラゾールもしくはその光学活性体またはその薬学的に許容される塩1重量部に対し0.2重量部〜0.6重量部の塩基性無機塩とを含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有し、主薬層が、核上に形成された有核顆粒であり、中間被覆層の被覆量が、ランソプラゾールもしくはその光学活性体またはその薬学的に許容される塩を含有する顆粒1重量部に対して、0.02重量部〜1.5重量部、腸溶性被膜層の被覆量が腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して10重量%〜70重量%であり、平均粒子径が600μm〜2500μmである顆粒を含有する高濃度化カプセル剤。
- 塩基性無機塩がマグネシウムの塩またはカルシウムの塩である請求項1記載のカプセル剤。
- 核が、ショ糖、でんぷん、乳糖および結晶セルロースの中から選ばれる一種以上からなる請求項1記載のカプセル剤。
- 腸溶性被膜層が腸溶性水溶性高分子を含有する請求項1記載のカプセル剤。
- 腸溶性水溶性高分子がメタクリル酸共重合体である請求項4記載のカプセル剤。
- 顆粒の平均粒子径が1000μm〜2000μmである請求項1記載のカプセル剤。
- ランソプラゾールを1カプセル当たり30mg含有し、3号乃至5号カプセル剤である請求項1記載のカプセル剤。
- ランソプラゾールを1カプセル当たり15mg含有し、4号乃至5号カプセル剤である請求項1記載のカプセル剤。
- ランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)を1カプセル当たり60mg含有する1号乃至3号カプセル剤である請求項1記載のカプセル剤。
- ランソプラゾール光学活性体(R体)を1カプセル当たり40mg含有する2号乃至4号カプセル剤である請求項1記載のカプセル剤。
- ランソプラゾール光学活性体(R体)を1カプセル当たり30mg含有する3号乃至5号カプセル剤である請求項1記載のカプセル剤。
- 顆粒全量に対し14重量%〜20重量%のランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)と、ランソプラゾールまたはその光学活性体(R体)1重量部に対し0.2重量部〜0.4重量部のマグネシウムおよびカルシウムの塩基性塩からなる群から選ばれる1種以上の塩基性無機塩とを含有する主薬層と、該主薬層上に形成された中間被覆層と、該中間被覆層上に形成された腸溶性被膜層とを有し、主薬層が、核上に形成された有核顆粒であり、中間被覆層の被覆量が、ランソプラゾールもしくはその光学活性体(R体)を含有する顆粒1重量部に対して、0.02重量部〜1.5重量部、腸溶性被覆層の被覆量が腸溶性被膜を施す前の顆粒全量に対して10重量%〜70重量%であり、平均粒子径が1000μm〜2000μmである顆粒を含有する高濃度化カプセル剤。
- 塩基性無機塩が、炭酸マグネシウムである請求項12記載のカプセル剤。
- 抗菌剤と請求項1記載のカプセル剤との組合せからなる医薬。
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