JP4331451B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気共鳴イメージング装置に関し、具体的には高速撮像法に好適な画像取得技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気共鳴イメージング(以下、MRIという。)装置は、被検体の主な構成物質である例えばプロトンすなわち水素原子核の磁気共鳴現象を用い、磁気共鳴現象により被検体から発生する核磁気共鳴信号を検出し、検出された核磁気共鳴信号に基づいて観察部位の断層像などの画像を撮像するものとして知られている。
【0003】
このようなMRI装置において、種々の高速撮像技法が提案されている。例えば、グラジエントエコー法として知られている高速撮像手法は、繰り返し時間TRすなわち被検体に照射するパルス系列の基本パターンに要する時間長を短くすることにより撮像時間の短縮を図るものである。
【0004】
このグラジエントエコー法には、SSFP型のグラジエントエコーシーケンスを用いたものがある。これは、縦緩和時間と横緩和時間より短い繰り返し時間TRで観察部位に高周波磁場パルスを連続して印加することにより、印加された観察部位の磁化を定常状態すなわち定常状態自由歳差運動(Steady State Free Precession:SSFP)の状態にして、その定常状態における磁化を測定することにより観察部位を高速に撮像するものである(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
【非特許文献1】
Marc Van Cauteren、「bFFEとbTFE 超高速リアルタイム撮像と高S/Nを両立させた撮像シーケンス」、INNERVISION、 2001年9月16日、P44―P48
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなSSFP型のグラジエントエコーシーケンスでは、画像にアーチファクトが生じて画質が劣化することがある。例えば、観察部位の磁化が定常状態に達するまでの状態いわゆる過渡状態では、磁気が変化を続けて振動するため、検出された核磁気共鳴信号の信号強度も大きく変動する。その変動が大きい信号に基づいて画像を再構成すると、アーチファクトが生じて撮像画像の画質が劣化する。特に、変動が大きい信号がk空間の低周波部分すなわちk空間の中心部分に割り付けられると、アーチファクトの発生量が増加するので、画質が劣化するという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、SSFPを利用した高速撮像法によって取得した画像の画質の劣化を低減することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のMRI装置は、被検体に印加する静磁場を発生する静磁場発生手段と、被検体に印加する互いに異なる3方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、被検体に印加する高周波磁場パルスを発生する高周波磁場パルス発生手段と、被検体から発生するNMR信号を検出する信号検出手段と、信号検出手段により得られたNMR信号に基づいて画像を再構成する信号処理手段と、信号処理手段により再構成された画像を表示する表示手段と、被検体の観察部位における磁化の縦緩和時間と横緩和時間より短い繰り返し時間で高周波磁場パルスが被検体の観察部位に印加されるように各手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、観察部位の磁化が定常状態において観察部位から発生するNMR信号に印加される傾斜磁場のエンコード量を制御して、定常状態におけるNMR信号をk空間の低周波領域内に充填することを特徴とする。
【0008】
すなわち、傾斜磁場のエンコード量(例えば、位相エンコード量)を調整することにより、表示画像の画質特にコントラストに影響を与えるk空間の低周波領域すなわちk空間の中心部分に、定常状態において検出された安定なNMR信号を割り付ける。これにより、k空間の低周波領域に信号強度の変動の大きい過渡状態において検出されたNMR信号が充填される場合に比べて、撮像画像のアーチファクトを抑制して画質特にコントラストを向上することができる。ここでのNMR信号とは、核磁気共鳴信号(nuclear magnetic resonance信号)である。
【0009】
また、制御手段は、被検体に高周波磁場パルスとスライスエンコード傾斜磁場を印加して撮像面を選択した後に位相エンコード傾斜磁場と周波数エンコード傾斜磁場を印加してNMR信号に2次元位置情報を付与して2次元画像を再構成する際、定常状態において検出されるNMR信号を2次元k空間の低周波領域内に充填できる。また、被検体に高周波磁場パルスとスライスエンコード傾斜磁場と位相エンコード傾斜磁場と周波数エンコード傾斜磁場を印加してNMR信号に3次元位置情報を付与して3次元画像を再構成する際、定常状態において検出されるNMR信号を3次元k空間の低周波領域内に充填できる。このときの制御手段は、制御手段は、定常状態に到達した直後とその後において検出されたNMR信号に印加される位相エンコード量又は/及びスライスエンコード量を、NMR信号が充填される2次元k空間又は3次元k空間の低周波領域内の位置に対応する量で制御できる。また、3次元k空間の低周波領域内にNMR信号を充填する場合は、定常状態において検出されたNMR信号が充填される3次元k空間の領域が、スライスエンコード軸と位相エンコード軸で形成される面で円形になるようにNMR信号を充填できる。また、制御手段は、観察部位の磁化が過渡状態において検出されるNMR信号を2次元k空間又は3次元k空間の高周波領域内に充填できる。このときの制御手段は、過渡状態において検出されたNMR信号を、2次元k空間又は3次元k空間の高周波領域内の位置に対応する量で制御できる。これによれば、過渡状態において検出された核磁気共鳴信号すなわち磁化が変化を続けている不安定な特性を有する信号を、画質特にコントラストに影響を与えないk空間の高周波領域すなわち端部に割り付けることができる。したがって、定常状態において検出された信号のみを用いてk空間を充填する場合に比べて、k空間にデータを充填する時間を短縮することができる。
【0010】
この場合において、制御手段は、所望の対象を励起して飽和させるスピンプレパレーションパルスを印加した後に、NMR信号のk空間への充填制御を行うことができる。これにより、スピンプレパレーションパルス例えば脂肪抑制パルスにより脂肪プロトンを選択的に励起して脂肪信号を飽和させ、かつ制御手段の高速撮像機能により磁化の定常状態におけて検出された核磁気共鳴信号をk空間の中心部に割り付けることができる。したがって、割り付けられたk空間に基づいて画像を構成すると、脂肪信号を抑制しながら、アーチファクトの発生を抑制した画像を得ることができる。また、被検体から取得される心電波形に基づきR波を感知した時から次のR波を感知するまでの時間を計測ウィンドウとして設定し、計測ウィンドウ単位で撮像シーケンスを繰り返して定常状態におけるNMR信号をk空間の低周波領域内に充填することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明を適用したMRI装置の構成例を示す。図に示すとおり、MRI装置1は、被検体10に印加する静磁場を発生する静磁場磁石12と、被検体10に印加する互いに異なる3方向例えばX、Y、Z軸方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル14が設けられている。また被検体10に印加する高周波磁場パルスすなわちRFパルスを発生するRFコイル16と、被検体10から発生する核磁気共鳴信号すなわちエコー信号を検出するRFプローブ18が備えられている。RFプローブ18により得られたエコー信号に基づいて画像を再構成する信号処理部20と、信号処理部20により再構成された画像を表示する表示部22とが設けられている。
【0012】
このように構成されたMRI装置の動作について説明する。静磁場磁石12により被検体10に静磁場が印加される。静磁場を印加した被検体10の観察部位例えば心臓に対して、制御部24の指令に基づいた傾斜磁場電源26の信号に応じて傾斜磁場コイル14からスライス選択傾斜磁場を印加する。スライス選択傾斜磁場を印加するとともに、観察部位に対して、制御部24の指令に基づいた信号送信部28の信号に応じてRFコイル16からRFパルスが印加されて構成物質中の例えばプロトンの磁気共鳴現象が引き起こされる。磁気共鳴現象が引き起こされた観察部位の位置情報を取得するために傾斜磁場コイル14から位相エンコーディング傾斜磁場と周波数エンコーディング傾斜磁場が印加される。
【0013】
そして、磁気共鳴現象により観察部位から発生するエコー信号が制御部24の指令に基づいてRFプローブ18から信号検出部30により検出される。検出されたエコー信号に基づいて信号処理部20により観察部位の断層像例えば心臓の断層像が2次元的又は3次元的に再構成され、再構成された画像が表示部22に表示される。
【0014】
図2は、本発明に係る一実施形態のグラジエントエコー法のパルスシーケンスを示している。図に示すとおり、横軸は、最上位段から順に、撮像時のRFパルスの印加タイミング、スライス選択傾斜磁場Gs、位相エンコーディング傾斜磁場Gφ、周波数エンコーディング傾斜磁場Grの印加タイミングを示しており、最下段に示す横軸は、エコー信号を受信するタイミングチャートを示している。また、それぞれの横軸の軸方向は時間経過を示している。
【0015】
このようなパルスシーケンスのタイミングチャートを説明する。まず、MRI装置1により観察部位例えば心臓を撮像するとき、観察部位に静磁場(例えば1.5テスラー)を印加する。静磁場を印加した心臓にスライス傾斜磁場101を印加するとともに、フリップ角がα(例えば45°)であるRFパルス102を印加して観察部位のスライス内に磁気共鳴現象を誘起する。磁気共鳴現象が誘起された観察部位に位相エンコード傾斜磁場103を制御部24により決められた位相エンコード数(例えば128、256、512等)で印加する。位相エンコード傾斜磁場103が観察部位に印加されるとき、周波数エンコーディング方向すなわち読み出し方向にいわゆるディフェーズパルス104を印加する。これにより、Gr軸方向の原子核スピン間の位相差が拡大する。次いで、周波数エンコーディング傾斜磁場105を印加しながら、A/Dサンプリング間隔106の間にエコー信号107を受信する。エコー信号107を受信した後、観察部位に位相エンコード傾斜磁場103と逆極性の位相エンコードパルス108と読み出し方向に周波数エンコードパルス105の逆極性で、かつ1/2の印加量のいわゆるリフェーズパルス109を印加する。これにより、原子核スピン間の位相差がキャンセルされる。そして、フリップ角が−α(例えば−45°)であるRFパルス110を印加する。ここで、フリップ角αのRFパルス102を印加した時からフリップ角が−αのRFパルス102を印加した時までの時間を繰り返し時間TRという。この繰り返し時間TRでRFパルスを連続して観察部位に印加することによりエコー信号107(例えば128、256、512、1024個のサンプリングデータからなる時系列信号)を取得する。
【0016】
このようなパルスシーケンスのタイミングチャートにおいて、繰り返し時間TRを短くしてパルスシーケンスを繰り返すと、磁化が過渡状態を経て定常状態に到達する。つまり、繰り返し時間TRを縦緩和時間T1と横緩和時間T2のどちらよりも大幅に短い時間(例えば3ms以下)にすると、磁化が振動した状態すなわち過渡状態になった後、いわゆる定常状態自由歳差運動(SSFP)という安定な状態となる。このとき、過渡状態において検出された信号がk空間の低周波領域に充填されると、撮像画像においてアーチファクトの発生量が増大する。そこで、本実施形態では、制御部24により位相エンコーディング量を調整して、定常状態において検出された信号をk空間の低周波領域に割り付けることによりアーチフェクトの発生を抑制している。
【0017】
ここで、本発明の特徴部である制御手段24の高速撮像機能について説明する。図3は、SSFP型のグラジエントエコーシーケンスの概念図を示している。図に示すとおり、フリップ角がα或いは−αであるRFパルス102a〜102nを観察部位例えば心臓に印加するタイミングと、印加されたRFパルスに応じて受信されるエコー信号107a〜107bの受信タイミングを2つの横軸に示している。そして受信されたエコー信号が充填されるk空間112が示されており、そのk空間112は、横軸周波数エンコード方向又はリードアウト方向kxとその横軸kxに直交する縦軸位相エンコード方向kyとにより形成されている。また、k空間112は、位相エンコード方向において中央部112aすなわち低周波領域と端部112bすなわち高周波領域の領域に区画されている。
【0018】
このとき、制御部24の指令に基づいて位相エンコード傾斜磁場103の印加量を調整することにより、例えば、過渡状態において検出されたエコー信号107a〜107eを破棄し、そして、定常状態に到達した直後に検出された信号(例えばエコー信号107f〜107i)をk空間112の中央部112aに充填し、さらに、例えばエコー信号107j〜107nをk空間112の未充填の領域例えば端部112bに充填する。
【0019】
これにより、k空間112の中央部112aに充填されたエコー信号は信号強度が大きく変動しない安定な信号であるため、過渡状態において検出されるエコー信号107a〜107eを中央部112aに充填する場合に比べて、アーチファクトの発生を抑制することができる。
【0020】
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明に係るMRI装置1はこれに限られるものではない。例えば、図3において、過渡状態で検出されたエコー信号107a〜107eを破棄せず、k空間112の端部112bに充填するようにしてもよい。これにより、定常状態において検出された信号107f〜107nのみを用いてk空間を充填する場合に比べて、k空間にデータを充填する時間を短縮できる。
【0021】
また、図4は、本発明に係るグラジエントエコーシーケンスの一実施形態に脂肪励起パルス115を付加した概念図を示している。図に示すように、スピンプレパレーションパルス例えば脂肪励起パルス115を観察部位例えば心臓に印加した後、RFパルス102a〜102nを繰り返し時間TRで連続印加してもよい。
【0022】
このとき、脂肪励起パルス115の脂肪抑制効果は、印加した直後に最も高く、時間の経過とともに低下する。したがって、定常状態に到達した直後に検出されたエコー信号(例えばエコー信号107f〜107i)をk空間112の中心部112cに割り付けることが好ましい。これにより、中心部112に割り付けられた信号(例えばエコー信号107f〜107i)は、脂肪抑制効果を充分に得ている信号なので、より一層アーチファクトの発生を抑制した良好な画像を得ることができる。例えば、心臓の冠状動脈を撮像するとき、冠状動脈の周囲にある脂肪の信号を抑制することにより、良好なコントラストで冠状動脈の撮像画像を描出することができる。
【0023】
また、図5は、脂肪抑制パルスを用いた心臓イメージングの概念図を示している。図に示すとおり、計測ウィンドウすなわち心電図R波を感知した時から次の心電図R波を感知するまでの時間(例えば1秒)を一定時間(例えば100ms乃至200ms)で区切られたものが示されている。区切られた計測ウィンドウ毎に、SSFP型のグラジエントエコー法を用いて、繰り返し時間TR例えば4msでRFパルス102a〜102iを連続して印加する。
【0024】
このとき、観察部位例えば心臓に、脂肪抑制パルス115(例えば約30ms)を印加し、次に、フリップ角が−α/2のRFパルス120を印加し、さらにフリップ角がα或いは−αであるRFパルス102a〜102iを印加する。このように、フリップ角が−α/2のRFパルス120を印加することにより、過渡状態での信号の強い振動を抑えることができる。したがって、従来、定常状態に到達するまでに必要とされていた例えば20回乃至30回の励起回数を、例えば10回乃至15回程度に低減することができる。このように、RFパルス120を印加しない場合に比べて、安定な信号を検出できる時間を短縮することができるので、検出された信号はより一層脂肪抑制パルス115による脂肪抑制効果を得ることができる。したがって、撮像画像のアーチファクトをより一層低減した良好な画像を得ることができる。
【0025】
また、脂肪抑制パルス115が周波数選択励起パルスである場合について説明したが、これに代えて、反転回復(IR)パルスを用いてもよい。このとき、制御部24は、反転回復パルスにより脂肪の横磁化がゼロになる時間と磁化が定常状態に達する時間がほぼ同一となるように、シーケンス開始のタイミングを制御する。そして、定常状態に到達した直後の信号(例えばエコー信号107f〜107i)をk空間112の中央部分112aに充填するように位相エンコード量を調整する。これにより、中央部分112aに充填される信号は、反転回復パルスの脂肪抑制効果を充分に得た安定な特性を有する信号となるので、撮像画像のアーチファクトの発生をより一層抑制することができる。
【0026】
また、例えば血流によるアーチファクトを抑制するバイポーラ傾斜磁場を使用する場合でも、本発明に係る高速撮像機能を適用することができる。つまり、制御部24は、血流を抑制するバイポーラ傾斜磁場を使用する際、定常状態においてプリパレーションパルスの効果を最も得る信号(例えばエコー信号107f〜107i)をk空間112の中央部分112aに充填するように位相エンコード量を調整する。これにより、血流による撮像画像のアーチファクトの発生を抑制することができる。
【0027】
また、周波数選択パルス例えば脂肪抑制パルスを観察部位に印加した後に、例えばCHESS法(Chemical Shift Suppression)を用いてもよい。つまり、周波数選択パルスに続いて、強力な傾斜磁場パルスすなわちクラッシャーパルスを複数軸例えばX軸、Y軸、Z軸方向に印加して脂肪信号がいわゆるリフォーカスしないようにする。これにより、脂肪信号による撮像画像のアーチファクトの発生を低減することができる。
【0028】
また、図6は、本発明を適用した3D撮像の一例の概念図を示している。図に示すように、観察部位例えば心臓に脂肪励起パルス115を印加した後、RFパルス102a〜102nが連続印加され、印加された観察部位から発生するエコー信号107a〜107nが検出される。検出されたエコー信号107a〜107nはk空間200に充填される。なお、検出されたエコー信号107a〜107nが充填されるk空間200は、縦軸ksすなわちスライスエンコード軸と、そのks軸に直交する横軸kpすなわち位相エンコード軸とにより形成されている。
【0029】
このとき、制御部24の高速撮像機能により、例えば、第1の計測ウィンドウすなわち心電図R波を感知した時間から次の心電図R波を感知するまでの時間における過渡状態で検出された信号(例えばエコー信号107a〜107e)は、第1の周辺領域すなわち高周波数領域201bに充填される。また、定常状態に到達した直後において検出された信号(例えばエコー信号107f〜107i)は低周波数領域すなわち中央部201aに充填される。さらに、脂肪抑制パルスの115の抑制効果が低減した状態において検出された信号(例えばエコー信号107j〜107n)が第2の周辺領域すなわち高周波数領域201bに充填される。
【0030】
このように、制御部24は、第1の計測ウィンドウにおいて検出されたエコー信号を第1の領域200aに充填し、同様に、第2の計測ウィンドウにおいて検出されたエコー信号を第2の領域200bに充填し、また、第3の計測ウィンドウにおいて検出されたエコー信号を第3の領域200cに充填し、さらに、第4の計測ウィンドウにおいて検出されたエコー信号を第4の領域200dに充填する。
【0031】
これにより、k空間200の中央部201aに充填された信号は、信号強度の変動が少なく、かつ脂肪信号の抑制効果を充分に得ているので、高速撮像画像においてアーチファクトの発生を抑制することができ、画質特にコントラストが良好な3D画像を得ることができる。
【0032】
また、図7は、本発明を適用した3D撮像の他の例の概念図を示している。図に示すとおり、k空間200の縦軸ksはスライスエンコードを示し、横軸kpは位相エンコードを示している。このとき、制御部24は、定常状態に到達した直後に検出される信号(例えばエコー信号107f〜107i)をk空間200の低周波数領域すなわち円状の中央部202aに充填し、また、過渡状態において検出される信号(例えばエコー信号107j〜107n)を高周波数領域すなわち周辺領域202bに充填する。
【0033】
これにより、中央部202aに充填された信号は、信号強度の変動が少なく、かつ脂肪信号の抑制効果を充分に得ているので、画像のアーチファクトの発生を抑制して画質特にコントラストが良好な3D画像を得ることができる。
【0034】
また、図7、図8に基づいて説明した3次元画像の撮像において、k空間200内の軌跡(k−trajectory)が直線的である場合、フーリエ変換前にグリッディングを行うことが好ましい。このとき、k空間200内の軌跡として、直線の近傍にある格子点を選択して、k空間200内の軌跡を直線に沿ったギザギザ状すなわち折線状としてもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明によれば、SSFPを利用した高速撮像法における撮像画像の画質の劣化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したMRI装置の構成例を示す。
【図2】本発明に係る一実施形態のグラジエントエコー法のパルスシーケンスを示している。
【図3】SSFP型のグラジエントエコーシーケンスの概念図を示している。
【図4】本発明に係るグラジエントエコーシーケンスの一実施形態に脂肪励起パルスを付加した概念図を示している。
【図5】脂肪抑制パルスを用いた心臓イメージングの概念図を示している。
【図6】本発明を適用した3D撮像の一例の概念図を示している。
【図7】本発明を適用した3D撮像の他の例の概念図を示している。
【符号の説明】
1 磁気共鳴イメージング装置
10 被検体
12 静磁場磁石
14 傾斜磁場コイル
16 RFコイル
18 RFプローブ
20 信号処理部
24 制御手段
22 表示部
Claims (2)
- 被検体に印加する静磁場を発生する静磁場発生手段と、前記被検体に印加する互いに異なる3方向の傾斜磁場を発生する傾斜磁場発生手段と、前記被検体に印加する高周波磁場パルスを発生する高周波磁場パルス発生手段と、前記被検体から発生するNMR信号を検出する信号検出手段と、該信号検出手段により得られたNMR信号に基づいて画像を再構成する信号処理手段と、該信号処理手段により再構成された画像を表示する表示手段と、前記被検体の観察部位における磁化の縦緩和時間と横緩和時間より短い繰り返し時間で前記高周波磁場パルスが該被検体の観察部位に印加されるように前記各手段を制御する制御手段とを備えてなる磁気共鳴イメージング装置において、
前記制御手段は、
前記被検体に前記高周波磁場パルスとスライスエンコード傾斜磁場と位相エンコード傾斜磁場と周波数エンコード傾斜磁場を印加して前記NMR信号に3次元位置情報を付与して3次元k空間に充填する際に、
前記被検体から取得される心電波形に基づきR波を感知した時から次のR波を感知するまでの時間の一部を計測ウィンドウとして設定し、前記計測ウィンドウ単位で撮像シーケンスを繰り返し、
一つの計測ウィンドウでは、所望の対象を励起して飽和させるスピンプレパレーションパルスを印加した後に、前記観察部位の磁化が定常状態に達する前のNMR信号を前記3次元k空間の第1の高周波領域に充填し、前記定常状態に到達した直後からのNMR信号を、前記3次元k空間の同じ低周波領域内に充填した後に、前記3次元k空間の第2の高周波領域に充填し、
異なる計測ウィンドウで検出されたNMR信号を充填する前記3次元k空間の高周波領域を異ならせることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 前記制御手段は、前記定常状態において検出された前記NMR信号が充填される前記3次元k空間の領域が、スライスエンコード軸と位相エンコード軸で形成される面で円形になるように前記NMR信号を充填する請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
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