JP4330814B2 - デジタル放送番組中継送出システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばネット受信放送として使用されるデジタル放送番組中継送出システムに係り、特に地方の遠隔局で中継番組と自局番組との切り替えをフレーム単位で行なうための信号処理制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル放送では、種々の開発が進められており、特に従来のアナログ放送で実施されているような例えば親局及び遠隔局を中継回線により結ぶネット受信放送システムの構築が一つの課題となっている。
【0003】
ここで、従来のアナログ放送によるネット受信放送システムでは、遠隔局で中継番組を自局番組と切り替える場合に、信号遅延などの制約が無かったため、親局から送信されてくる切替3秒前のキュー信号から3秒後を目安に、遠隔局側の番組送出制御装置のタイミングで切り替えを行なうだけで十分であった。
【0004】
ところで、デジタル放送では、ネット受信放送を実施する場合に、HDTV(高精細テレビジョン)信号などの高レートの信号を扱うため、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)圧縮符号化による中継伝送が必要となる。そこで、遠隔局におけるローカル番組、コマーシャルの差し替えやローカルスーパーの挿入などでMPEG2伝送の関係から、アナログ放送よりも緻密かつ正確な処理が要求される。この要求に対し、番組送出制御装置では、局内の各スタジオ機器の制御を基本的に秒単位で行なっており、このため、制御時間誤差が一定以上に至った場合に、信号切り替えの繋ぎ目に一瞬不要な画面が見える、いわゆる「ちら見え」の現象が発生することがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、デジタル放送のネット受信放送システムにあっては、遠隔局で中継番組と自局番組とを切り替える際に、アナログ放送の技術をそのまま適用することはできず、アナログ放送よりも緻密かつ正確な処理が要求されていた。
【0006】
この発明の目的は、遠隔局において、中継番組から自局番組への切り替えを、送出信号に乱れを生じさせることなくフレーム精度で行ない得るデジタル放送番組中継送出システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この第1の発明は、番組編成時刻に基づき、フレーム構造の番組情報信号を圧縮符号化したデジタル放送信号を第1の放送サービスエリア内に送出する第1の送信局と、この第1の送信局と中継回線を介して接続され、第1の送信局から中継回線を介して送出されたデジタル放送信号を受信して信号処理を加えた後、第1の放送サービスエリアとは異なる第2の放送サービスエリア内に送出する第2の送信局とを備えたデジタル放送番組中継送出システムを対象にしている。
【0008】
そして、上記目的を達成するために、第1の送信局は、圧縮符号化前に、番組切替予定信号が入力されたとき、番組情報信号のフレームに番組切替を指示するための切替指示情報を付加する切替指示情報付加手段を備え、第2の送信局にて第1の送信局から中継回線を介して伝送されるデジタル放送信号を受信して、この受信信号から切替指示情報を抽出することでその切替指示情報を付加したフレームで他の番組情報信号との切り替えを行なえるようにしたことを特徴とする。
【0009】
この発明では、第2の送信局で中継番組と自局番組とを切り替える場合に、切替時に生じる「ちら見え」防止のためにフレーム精度で切り替えるようにしている。このとき、第1の送信局では、番組切替予定前の番組情報信号に対しカウントダウン処理等の事前の信号処理を行なう必要があり、システム上困難を伴うことになる。そこで、第1の送信局では、圧縮符号化前に、番組切替予定の番組情報信号のフレームに番組切替を指示するための切替指示情報を付加しておき、第2の送信局にて第1の送信局から送出されたデジタル放送信号から切替指示情報を検出し、この切替指示情報に基づいて自局の番組情報信号と切り替えることで、中継番組から自局番組への切り替えを、フレーム精度で行なえるようにしている。
【0010】
このため、第1の送信局における処理負担を軽減した上で、第2の送信局における中継番組から自局番組への切り替えを、フレーム精度で行なうことができる。
【0011】
また、この第2の発明は、上記対象において、第2の送信局は、中継回線を介して受信したデジタル放送信号を入力して切替指示情報を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成する切替トリガ信号生成手段と、この切替トリガ信号生成手段により生成された切替トリガ信号に基づいて、自局の番組情報信号を発生する番組情報信号発生手段と、中継回線を介して受信したデジタル放送信号と、番組情報信号発生手段により発生される番組情報信号とを入力してそのうちの一方を選択的に導出する信号切替手段と、信号切替手段の中継回線側の入力系統に設けられ、デジタル放送信号に処理を加えて出力する信号処理手段と、切替トリガ信号生成手段により生成された切替トリガ信号に基づいて、信号切替手段を信号処理手段の出力から番組情報信号発生手段の出力に切り替える切替制御手段とを具備し、切替トリガ信号生成手段による切替指示情報検出時から番組情報信号発生手段から番組情報信号を発生するまでに要する第1の処理時間が信号処理手段で要する第2の処理時間と略一致するように、少なくとも切替トリガ信号生成手段の切替トリガ信号生成に要する処理時間を調整することを特徴とする。
【0012】
すなわちこの第2の発明では、第2の送信局で中継番組と自局番組とを切り替える場合に、切替時に生じる「ちら見え」防止に着目し、第1の送信局にて圧縮符号化前に、番組切替予定の番組情報信号のフレームに番組切替を指示するための切替指示情報を付加しておき、第2の送信局にて第1の送信局から送出されたデジタル放送信号から切替指示情報を検出し、この検出した切替指示情報から切替トリガ信号を生成して自局の番組情報信号を発生させると同時に、切替トリガ信号を信号切替器に与えて中継番組から自局番組へ切り替えるようにしている。このとき、検出される切替指示情報は、中継番組の切替予定点以降の情報であるため、瞬時に検出してもその検出時から切替トリガ信号生成までの処理時間を考慮すると、自局の番組情報信号発生装置の起動が間に合わず、また上記処理時間を早めた場合には切替指示情報の正誤を十分に確認することができない。そこで、信号切替器の中継回線側の入力系統に、中継されたデジタル放送信号に信号処理を加える例えば復号器等の信号処理器が設けられている場合に、信号処理器で要する処理時間内で、切替指示情報検出時から番組情報信号発生装置から番組情報信号を発生するまでに要する処理時間のうち、少なくとも切替トリガ信号生成に要する処理時間を調整するようにすれば、番組情報信号発生装置の起動と切替指示情報の十分な正誤確認とを両立させた上で、中継番組の切替予定点である切替指示情報を付加したフレームで丁度自局番組と切り替えることが可能となる。
【0013】
また、第2の発明において、第2の送信局の信号処理手段で要する第2の処理時間が、最短となるように調整された第1の処理時間に比して短い場合に、当該第1の処理時間と略一致するように信号処理手段に第3の処理時間を加えることを特徴とする。
【0014】
すなわちこの第2の発明では、信号処理器の遅延時間を切替指示情報検出時から番組情報信号発生装置から番組情報信号を発生するまでに要する処理時間相当に調整しておくようにすれば、中継番組と自局番組との時間差をなくすことができ、このため中継番組から自局番組への切替タイミングを容易に制御することが可能となる。
【0015】
また、第2の発明において、第1の送信局の切替指示情報付加手段は、番組切替予定信号が入力された時点の番組情報信号のフレームに数値「0」を付加し、後に続く複数のフレームにそれぞれ連続した数値を付加するようにし、第2の送信局の切替トリガ信号生成手段は、デジタル放送信号のフレームから数値「0」または後に続くフレームの数値を検出した場合に、その検出時点の数値を表す切替トリガ信号を生成することを特徴とする。
【0016】
このようにすることで、切替指示情報検出時にデジタル放送信号中のどのフレームを検出したかが明確となり、これにより中継番組から自局番組への切替タイミングを高精度に制御することができる。また、切替指示情報の誤検出も容易に補償できる。
【0017】
さらに、第2の発明において、信号切替手段は、2系統の入力信号それぞれが少なくとも1枚のフレーム内符号化画面とこの画面を基に作成した予測画面を有する画面群構造(GOP:Group of Pictures)をもつとき、各入力信号の画面群構造を解析し、その解析結果に基づいて切替タイミングを制御することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、信号切替の際に、映像再生時に画面が乱れたり、再生が途絶える等の不具合を防ぐことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係るデジタル放送番組中継送出システムの第1の実施形態として、親局となるデジタル放送局の構成を示すブロック図である。
【0021】
このデジタル放送局は、例えば東京に配置され、同図に示すように、大別すると、フレーム構造の番組情報信号を選択的に出力するスイッチャー(SW)11と、このスイッチャー11から出力される番組情報信号をMPEG2符号化方式に基づく可変長圧縮符号化を施し、MPEG2トランスポートストリーム(TS)パケットに変換するエンコーダ(ENC)12と、このエンコーダ12の出力TSパケットに各種制御データをパケット多重するマルチプレクサ(MUX)13とを備える。
【0022】
また、制御系としては、番組編成データを提供するデータサーバ(DS)14と、上記スイッチャー11をデータサーバ14から提供される番組編成データに基づいて切替制御する番組素材切替制御装置(APC)15とを備えている。
【0023】
ところで、この実施形態では、スイッチャー11とエンコーダ12との間にデータ挿入部16が介在されている。このデータ挿入部16は、番組素材切替制御装置15から与えられる番組切替予定の情報を、スイッチャー11から出力される番組情報信号のフレームに同期して挿入する。これは切り替え直後の映像フレームの付加番号を例えば「0」とし、その後の映像フレームを「1」、「2」、「3」…と連続させる。なお、挿入する場所は、映像フレームと同期が取り易い、例えばPESヘッダのプライベートデータ領域などが好ましい。この方法は、番組素材切替制御装置15からのトリガでスタートできるので、アンタイム制御でも困難ではない。
【0024】
次に、上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
まず、親局において、TS信号は、自局が属する放送サービスエリアに送出されるとともに、マルチプレクサ13から端子17を介して中継回線により地方の遠隔局に送出される。地方の遠隔局では、親局により送出される中継番組の他に、自局の番組を放送しており、中継番組と自局番組とを切り替える必要がある。この切替時に、中継番組と自局番組との時間差があると、「ちら見え」という放送予定にない番組の一部が放送されてしまうことになり、視聴者に不快を与えてしまうことになり、従来からフレーム精度の切替が強く望まれている。このとき、親局では、番組切替予定前の番組情報信号に対しカウントダウン等の事前の信号処理を行なう必要があり、システム上困難を伴うことになる。
【0025】
そこで、この実施形態では、親局にて、エンコーダ12による圧縮符号化前に、データ挿入部16により番組切替予定の番組情報信号のフレームに番組切替を指示するためのカウント番号「0」を付加しておき、遠隔局にて親局から送出されたTS信号からカウント番号「0」を検出し、このカウント番号「0」に基づいて自局番組と切り替えることで、中継番組から自局番組への切り替えを、フレーム精度で行なえるようにしている。
【0026】
このため、親局における処理負担を軽減した上で、遠隔局における中継番組から自局番組への切り替えを、フレーム精度で行なうことができる。
【0027】
図2は、この発明に係るデジタル放送番組中継送出システムの第1の実施形態として、地方に配置された遠隔局の構成を示すブロック図である。
【0028】
この遠隔局は、同図に示すように、デジタル中継回線及び端子20を介して受信したTS信号を入力して番組切替予定のカウント番号「0」を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成する切替トリガ生成装置21と、この切替トリガ生成装置21により生成された切替トリガ信号に基づいて、遠隔局番組送出装置22に蓄積された自局の番組情報信号を発生させる送出制御装置23と、中継回線を介して受信したTS信号と、遠隔局番組送出装置22により発生される番組情報信号とを入力してそのうちの一方を選択的に導出するスイッチャー24と、このスイッチャー24のデジタル中継回線側の入力系統に設けられ、TS信号をベースバンド形式の番組情報信号に復号するデコーダ(DEC)25と、切替トリガ生成装置21により生成された切替トリガ信号に基づいて、スイッチャー24をデコーダ25の出力から遠隔局番組送出装置22の出力に切替制御する切替制御装置26と、スイッチャー21の出力と各種信号とを多重するマルチプレクサ(MUX)27とを備える。なお、デジタル中継回線としては、ケーブル等が挙げられる。
【0029】
また、制御系として、番組編成データを提供するデータサーバ(DS)28と、データサーバ28から提供される番組編成データに基づいて送出制御装置23及び切替制御装置26を制御する番組素材切替制御装置(APC)29とを備えている。
【0030】
上記構成において、以下にその処理動作を説明する。
【0031】
すなわち、遠隔局では、スイッチャー24によって、親局からの中継番組と自局番組とを切り替える場合に、中継番組と自局番組との間に時間差があると、「ちら見え」という放送予定に無い番組の一部が見えてしまうことになる。そこで、本実施形態では、デジタル中継回線を介して到来した図3(a)に示すようなTS信号を復号する前に、切替トリガ生成装置21に入力し、切替トリガ生成装置21によって番組切替予定のフレーム中のカウント番号「0」を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成して、送出制御装置23及び切替制御装置26にそれぞれ与える。すると、送出制御装置23は、遠隔局番組送出装置22から自局の番組情報信号を送出させ、切替制御装置26は、切替トリガ信号を入力した時点でスイッチャー24の接続を中継番組から自局番組へ切替制御する。
【0032】
しかしながら、切替トリガ生成装置21で検出されるカウント番号は、中継番組の切替予定点以降のカウント番号であるため、瞬時に検出してもその検出時から切替トリガ信号生成までの処理時間を考慮すると、遠隔局番組送出装置22の起動が間に合わず、また上記処理時間を早めた場合にはカウント情報の正誤を十分に確認することができない。
【0033】
そこで、本実施形態では、カウント番号の検出時から切替トリガ信号生成までの処理時間を正誤確認を含めてN1フレームとし、また遠隔局番組送出装置22が送出制御を受けてから送出開始するまでの時間をN2フレームとした場合、スイッチャー24で図3(c)に示すような(N1+N2)フレーム遅延した中継番組のTS信号が得られれば、中継番組の切替予定点である映像フレーム「0」で丁度図3(b)に示すような自局番組と切り替えることが可能になる。ここで、N1は4乃至5フレーム、N2は2乃至3フレーム程度であるので、8フレーム(約0.26秒)程度の遅延であり、これはデコード方式のスプライサの遅延と同程度またはそれ以下である。
【0034】
従って、デコーダ25で要する処理時間N3フレーム内で、少なくともN1フレームを調整しておくようにすれば、遠隔局番組送出装置22の起動とカウント情報の十分な正誤確認とを両立させた上で、スイッチャー24にて中継番組の切替予定点であるカウンタ番号「0」を付加したフレームで丁度自局番組と切り替えることが可能となる。
【0035】
以上述べたようにこの第1の実施形態では、遠隔局で中継番組と自局番組とを切り替える場合に、切替時に生じる「ちら見え」防止に着目し、親局にてエンコーダ12による圧縮符号化前に、データ挿入部16によって番組切替予定の番組情報信号のフレームにカウンタ番号「0」を付加しておき、遠隔局の切替トリガ生成装置21にて親局からデジタル中継回線を介して到来したTS信号からカウンタ番号「0」を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成して送出制御装置23及び切替制御装置26にそれぞれ与えるようにしている。このとき、カウント情報検出時から遠隔局番組送出装置22から番組情報信号を送出するまでに要する処理時間相当の(N1+N2)フレームがデコーダ25の処理時間相当のN3フレームと略一致するように、少なくとも切替トリガ信号生成に要する処理時間相当のN1フレームを調整しておくようにする。
【0036】
従って、遠隔局番組送出装置22の起動と切替トリガ生成装置21によるカウント情報の十分な正誤確認とを両立させた上で、中継番組の切替予定点であるカウンタ番号「0」を付加したフレームで丁度自局番組と切り替えることが可能になる。
【0037】
また、この第1の実施形態では、切替トリガ生成装置21がTS信号のフレームから数値「0」または後に続くフレームの数値を検出した場合に、その検出時点の数値を表す切替トリガ信号を生成して切替制御装置26に送出するようにしているので、切替制御装置26はカウント情報検出時に切替トリガ生成装置21がTS信号中のどのフレームを検出したかを把握することが可能となり、これにより中継番組から自局番組への切替タイミングを高精度に制御することができる。また、カウント情報の誤検出も容易に補償できる。
【0038】
(第2の実施形態)
この第2の実施形態は、図2における遠隔局に関するものである。
【0039】
すなわち、この第2の実施形態では、デコーダ25の処理時間相当のN3フレームが最短となるように調整された上記(N1+N2)フレームより短い場合に、図4に示すように、デコーダ25に対し、調整遅延N4フレームを加えて(N1+N2)フレームと略一致させるようにしている。
【0040】
切替トリガ生成装置21は、図4(a)に示すようなTS信号を入力して番組切替予定のフレーム中のカウント番号「0」を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成して、送出制御装置23及び切替制御装置26にそれぞれ与える。すると、送出制御装置23は、遠隔局番組送出装置22から自局の番組情報信号を送出させ、切替制御装置26は、切替トリガ信号を入力した時点でスイッチャー24の接続を中継番組から自局番組へ切替制御する。
【0041】
そして、スイッチャー24では、図4(c)に示すような(N1+N2)フレーム遅延した中継番組のTS信号が得られると、中継番組の切替予定点である映像フレーム「0」で丁度図4(b)に示すような自局番組と切り替えることが可能になる。
【0042】
このように第2の実施形態にあっては、デコーダ25の遅延時間N3フレームにN4フレームを加えて、カウント情報検出時から遠隔局番組送出装置22による自局の番組情報信号送出までに要する処理時間相当の(N1+N2)フレームと略一致させておくようにすれば、中継番組と自局番組との時間差をなくすことができ、このため中継番組から自局番組への切替タイミングを容易に制御することが可能となる。
【0043】
(その他の実施形態)
この発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。例えばスイッチャー24にGOP解析機能を持たせるようにしてもよい。すなわち、スイッチャー24は、中継されたTS信号及び自局の番組情報信号それぞれのGOP構造を解析し、この解析結果からGOP境界を識別する。そして、切替制御装置26からの切替制御信号が与えられると、切替先の信号のGOP境界のタイミングを切替元の信号のGOP境界に一致させた上で、切り替えを行ない、これによってGOP構造を損なうことなく信号切替を実行する。
【0044】
参考に、MPEG2符号化方式におけるGOP構造を図5に示す。このGOP構造ではフレーム内符号化によるI(Intra)ピクチャ、フレーム間順方向予測符号化によるP(Predictive)ピクチャ、双方向予測符号化によるB(Bidirectionally Predictive)ピクチャの3タイプのピクチャを有する。その配列順序はIBBPBBP…となっており、一つのGOP期間では通常15〜16フレーム程度に設定されている。このGOP構造がくずれると、映像再生時に画面が乱れたり、再生が途絶える等の不具合を生じる。このため、信号切替の際にはGOP構造のパターンを崩さないようにする必要がある。
【0045】
また、この発明では、従来の非圧縮の中継回線においても、切替精度の向上を目的とする場合には、有効な手段となる。さらに、遠隔局において、従来のAPC制御や機器の起動などの準備処理動作と併用することもでき、これは制御システム構成上で効果的に働く。
【0046】
その他、システム構成、放送局内の構成、取り扱うデジタル放送信号の種類、信号切替手順等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明によれば、遠隔局において、中継番組から自局番組への切り替えを、送出信号に乱れを生じさせることなくフレーム精度で行ない得るデジタル放送番組中継送出システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るデジタル放送番組中継送出システムの第1の実施形態として、親局となるデジタル放送局の構成を示すブロック図。
【図2】この発明に係るデジタル放送番組中継送出システムの第1の実施形態として、地方に配置された遠隔局の構成を示すブロック図。
【図3】図2に示したスイッチャーによる信号切替動作を説明するために示す図。
【図4】この発明に係るデジタル放送番組中継送出システムの第2の実施形態として、図2に示したスイッチャーによる信号切替動作を説明するために示す図。
【図5】MPEG2符号化方式におけるトランスポートストリームのGOP構造パターンを説明するための図。
【符号の説明】
11…スイッチャー(SW)、
12…エンコーダ(ENC)、
13、27…マルチプレクサ(MUX)、
14、28…データサーバ(DS)、
15、29…番組素材切替制御装置(APC)、
16…データ挿入部、
21…切替トリガ生成装置、
22…遠隔局番組送出装置、
23…送出制御装置、
24…スイッチャー、
25…デコーダ(DEC)、
26…切替制御装置。
Claims (5)
- 番組編成時刻に基づき、フレーム構造の番組情報信号を圧縮符号化したデジタル放送信号を第1の放送サービスエリア内に送出する第1の送信局と、この第1の送信局と中継回線を介して接続され、前記第1の送信局から中継回線を介して送出されたデジタル放送信号を受信して信号処理を加えた後、前記第1の放送サービスエリアとは異なる第2の放送サービスエリア内に送出する第2の送信局とを備えたデジタル放送番組中継送出システムにおいて、
前記第1の送信局は、圧縮符号化前に、番組切替予定信号が入力されたとき、前記番組情報信号のフレームに番組切替を指示するための切替指示情報を付加する切替指示情報付加手段を備え、
前記第2の送信局にて、前記第1の送信局から前記中継回線を介して伝送されるデジタル放送信号を受信して、この受信信号から前記切替指示情報を抽出することでその切替指示情報を付加したフレームで他の番組情報信号との切り替えを行なえるようにしたことを特徴とするデジタル放送番組中継送出システム。 - 番組編成時刻に基づき、フレーム構造の番組情報信号を圧縮符号化したデジタル放送信号を第1の放送サービスエリア内に送出する第1の送信局と、この第1の送信局と中継回線を介して接続され、前記第1の送信局から中継回線を介して送出されたデジタル放送信号を受信して信号処理を加えた後、前記第1の放送サービスエリアとは異なる第2の放送サービスエリア内に送出する第2の送信局とを備えたデジタル放送番組中継送出システムにおいて、
前記第1の送信局は、圧縮符号化前に、番組切替予定信号が入力されたとき、前記番組情報信号のフレームに番組切替を指示するための切替指示情報を付加する切替指示情報付加手段を備え、
前記第2の送信局は、
前記中継回線を介して受信したデジタル放送信号を入力して前記切替指示情報を検出し、この検出結果から切替トリガ信号を生成する切替トリガ信号生成手段と、
この切替トリガ信号生成手段により生成された切替トリガ信号に基づいて、自局の番組情報信号を発生する番組情報信号発生手段と、
前記中継回線を介して受信したデジタル放送信号と、前記番組情報信号発生手段により発生される番組情報信号とを入力してそのうちの一方を選択的に導出する信号切替手段と、
前記信号切替手段の前記中継回線側の入力系統に設けられ、前記デジタル放送信号に処理を加えて出力する信号処理手段と、
前記切替トリガ信号生成手段により生成された前記切替トリガ信号に基づいて、前記信号切替手段を前記信号処理手段の出力から前記番組情報信号発生手段の出力に切り替える切替制御手段とを具備し、
前記切替トリガ信号生成手段による切替指示情報検出時から前記番組情報信号発生手段から番組情報信号を発生するまでに要する第1の処理時間が前記信号処理手段で要する第2の処理時間と略一致するように、少なくとも前記切替トリガ信号生成手段の切替トリガ信号生成に要する処理時間を調整することを特徴とするデジタル放送番組中継送出システム。 - 前記第2の送信局の前記信号処理手段で要する第2の処理時間が、最短となるように調整された前記第1の処理時間に比して短い場合に、当該第1の処理時間と略一致するように前記信号処理手段に第3の処理時間を加えることを特徴とする請求項2記載のデジタル放送番組送出システム。
- 前記第1の送信局の切替指示情報付加手段は、番組切替予定信号が入力された時点の番組情報信号のフレームに数値「0」を付加し、後に続く複数のフレームにそれぞれ連続した数値を付加するようにし、
前記第2の送信局の切替トリガ信号生成手段は、前記デジタル放送信号のフレームから数値「0」または後に続くフレームの数値を検出した場合に、その検出時点の数値を表す切替トリガ信号を生成することを特徴とする請求項2記載のデジタル放送番組中継送出システム。 - 前記信号切替手段は、2系統の入力信号それぞれが少なくとも1枚のフレーム内符号化画面とこの画面を基に作成した予測画面を有する画面群構造(GOP:Group of Pictures)をもつとき、各入力信号の画面群構造を解析し、その解析結果に基づいて切替タイミングを制御することを特徴とする請求項2記載のデジタル放送番組中継送出システム。
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