JP4329004B2 - 無菌充填シール装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、清涼飲料や乳飲料、米飯、惣菜などの無菌処理された内容物を無菌のカップまたはトレイ状容器などの容器に収納してガス置換、充填、密封を連続的に行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来たとえば特許文献1などにおいて、窒素ガスにより陽圧に保たれた無菌室内に、開封状態のカップなどの容器とその蓋材を連続的に供給し、無菌室内において、容器を殺菌し、内容物を充填するとともに容器のヘッドスペース部を窒素ガスで置換して密封する無菌充填機が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2−45323号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
無菌充填機においては、容器の無菌化とともに内容物の酸化防止のために容器のヘッドスペースをガス置換することによりヘッドスペースの酸素濃度を減少させる必要がある。しかるに、上記従来の無菌充填機においては、無菌室が容器の殺菌、内容物充填、蓋材密封を行う部分のみでなく、容器移送のためのチェーンコンベアを含む充填機のほぼ全体にわたって設けられているために極めて広い無菌空間を必要とし、このため無菌化と酸素濃度減少の双方を窒素ガスで行おうとすると大量の窒素ガスを供給させなければならず、経済的に成り立たないために、容器の無菌化は無菌空気を容器に吹き込むことにより行い、酸素濃度減少のためのヘッドスペースのガス置換のみを窒素ガスで行うようにしている。
【0005】
しかし、この装置においては、ヘッドスペースのガス置換は、ヘッドスペース内に存在する無菌空気を窒素ガスで置換しようとするものであるから、どうしてもヘッドスペース内に空気が残存し、このためガス置換効率が低く、ヘッドスペースの残存酸素濃度を約2%以下にすることはできない。
【0006】
容器の内容物がコーヒー、茶等酸素に敏感な内容物の場合は、ヘッドスペースの残存酸素濃度が約2%では充分な酸化防止ができず、したがって、上記従来の無菌充填機ではこのような酸素に敏感な内容物の無菌充填に対応することができない。
【0007】
また、上記従来の無菌充填機は無菌室が広いため、無菌室内で殺菌剤の噴霧により容器を殺菌する場合に殺菌ゾーンが広くなり、殺菌剤が広い空間に飛散する。このため殺菌剤の消費量が大きくなり不経済である。
【0008】
本出願人は、上記従来の無菌充填機の問題点を解決するために、特願2002−216287号をもって、上記従来の無菌充填機の問題点を解決する磁力搬送方式による連続無菌包装装置を提案した。
【0009】
この連続無菌包装装置は、内部を大気以外の無菌ガスで置換した容器に無菌状態の内容物を充填し、殺菌した蓋材で容器を密封する連続無菌包装装置において、容器の進行方向に所定の間隔で配置され容器を保持する容器受け部材を移動可能に収容する無菌室と、該無菌室内の大気を大気以外の無菌ガスで置換するガス置換装置と、該容器受け部材に設けられた磁石と、該無菌室外に設けられた容器受け部材駆動用コンベアと、該容器受け部材に設けられた磁石に対応するように該コンベアの進行方向に前記所定の間隔で該コンベアに取付けられた磁石であって、該容器受け部材に設けられた磁石と逆極性の磁石とを備えることを特徴とするものである。
【0010】
この装置によれば、容器および容器受け部材のみが無菌室内を移動し、容器受け部材の駆動は無菌室外から行うようにしたので、無菌室の容積を従来の無菌充填機に比べて著しく小さくすることができ、このため経済性を損なうことなく容器の無菌化およびヘッドスペースのガス置換の双方を同時に窒素ガスで行うことができる。したがって、ヘッドスペースのガス置換は従来のように空気に囲まれた状態で窒素ガス置換するのではなくほぼ窒素ガスの環境下で窒素ガス置換を行うことになり、ヘッドスペースの残存酸素濃度を0.5%以下にすることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この磁力搬送方式による装置においては、容器受け部材は無菌室を出ると外気に曝されるので、落下菌などが容器受け部材に付着する可能性があることが判った。
【0012】
本発明は、上記磁力搬送方式による無菌充填シール装置の問題点を解決することができる改良された無菌充填シール装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的を達成する無菌充填シール装置は、内部を殺菌した容器に無菌内容物を充填し、殺菌した蓋材で容器を密封する無菌充填シール装置において、
容器を保持する容器受け部材を移動可能に収容する第1の無菌室と、
該第1の無菌室外に設けられ、磁石により容器受け部材を駆動するコンベアと、
該第1の無菌室と該コンベアを包囲する第2の無菌室
とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の1側面においては、該第2の無菌室は該第1の無菌室と頂板を共有するようにして配置されていることを特徴とする。
【0015】
本発明のさらに他の側面においては、該第1の無菌室は、頂板と両側板と中央部が長手方向に開口した保持板とからなる容器受け部材を覆う容器受け部材収容部と、該保持板の開口部から下方に突出するように底板と両側板からなる容器を覆う容器収容部とからなることを特徴とする。
【0016】
さらに、本発明の他の側面においては、第1の無菌室内の空気を窒素ガスで置換するガス置換装置を更に備えることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の他の側面においては、容器受け部材を殺菌する殺菌装置および/または容器受け部材を洗浄する洗浄装置をさらに備えることを特徴とする。
【0018】
【作用】
本発明によれば、無菌充填シール装置は、第1の無菌室の外側に、コンベアおよびこれに保持された容器受け部材を包囲し、無菌空気が導入される第2の無菌室を備えるので、第1の無菌室から出た容器受け部材はコンベアに保持された状態で第2の無菌室内を循環して再び第1の無菌室に入るように移動する。したがって、容器受け部材はその移動中外気に曝されることがないので、落下菌などにより汚染されるおそれがなく、容器受け部材の完全な殺菌のための工程を付加する必要はない。
【0019】
また、本発明の1側面によれば、第2の無菌室と第1の無菌室は頂板を共用することで、第2の無菌室の容積を小さくし、構成部材を少なくすることができる。
【0020】
本発明のさらに他の側面によれば、該第1の無菌室は、頂板と両側板と中央部が長手方向に開口した保持板とからなる容器受け部材を覆う容器受け部材収容部と、該保持板の開口部から下方に突出するように底板と両側板からなる容器を覆う容器収容部としたので、第1の無菌室の容積を容器受け部材が通過するために必要な最小限の容積に設計することが可能となり、これによって第1の無菌室の容積を一層小さくすることができ、ガス置換効率を一層向上させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の方法に使用する無菌充填シール装置の1実施形態を説明的に示す側面図、図2は第1無菌室の要部の平面図、図3は図1のX−X断面図、図4(a)はカップ受け台の平面図、図4(b)は図4(a)のY−Y断面図、図5はコンベヤチェーンに取り付ける磁石取付け板を示す平面図、図6は図1のZ−Z断面図である。
【0022】
図1において、無菌充填シール装置は、包装容器としてPPカップを使用し、ジュース等の液体内容物を充填する装置であって、カップ供給部A、カップ殺菌部K、カップ乾燥部L、無菌ガス置換部B、蓋材殺菌部C、蓋材乾燥部D、蓋材第1シール部F、蓋材第2シール部G、冷却部H、トリミング部I、カップ排出部Jを備えている。 カップ殺菌部K、カップ乾燥部L、無菌ガス置換部B、蓋材殺菌部Cは第1の無菌室Mを構成する。
【0023】
第1の無菌室Mの外側におけるコンベヤチェーン12を包囲するようにして密閉空間からなる第2の無菌室Nが設けられている。第2の無菌室Nの一端部には無菌空気供給口60が開口しており、図示しない無菌空気供給源から無菌空気が無菌空気供給口60を介して第2の無菌室N内に導入されている。
【0024】
カップ供給部Aにおいては、殺菌済みPPカップ1は、ベルトコンベヤ20によって矢印P方向に移送され、ベルトコンベヤ20の先端から第2の無菌室Nの頂板に開口したカップ落下口62を通って、下方の矢印Q方向に移動するコンベヤチェーン12によって移送されるカップ受け台2のカップ保持孔21(図4)内に落下し保持される。カップ保持孔21の径はカップ1の上端部の径よりも僅かに大径に設定されており、カップ1はその蓋部1a(図3)のみがカップ受け台2の頂面2aに支持されてぶら下がるように構成されている。カップ受け台2は本発明の容器受け部材を構成するものである。
【0025】
カップ受け台2は、図4に拡大して示すように、長方形の板からなり、中央部にカップ保持孔21が板を貫通して形成されている。カップ受け台2の長手方向においてカップ保持孔21の両側には滑りのよい材料からなる一対の滑り材14、14が埋め込まれており、滑り材14、14の下面はカップ受け台2の下面から僅かに突出するようにして露出している。滑り材14としては、高滑り性、耐熱性、耐薬品性を有する樹脂を使用することが好ましく、たとえばポリエーテルエーテルケトンのほか、全芳香族ポリエステル、ポリフエニレンスルフイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、フッ素系樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチック類が好適である。さらにカップ受け台2の長手方向において滑り材14、14の外側には永久磁石13、13が埋め込まれている。
【0026】
一方2本のコンベヤチェーン12には、その移動方向に所定の間隔で、図3および図5に示す磁石取付け板22が断面L字形の取付け金具23により取付けられており、磁石取付け板22の中央部上面には永久磁石24が配置され、その上を覆う固定板25により磁石取付け板22に取り付けられている。ボルトナット26は取付け金具23および固定板25の双方を磁石取付け板22に固定するために使用される。
【0027】
磁石24は、そのカップ受け台2側の磁極がコンベヤチェーン12の進行方向にN極とS極が交互に配置されるようにしてコンベヤチェーン12に固定されている。また、カップ受け台2の磁石13は、そのコンベヤチェーン側の磁極がコンベヤチェーン12の進行方向にN極とS極が交互に配置されるようにして配置されている。
【0028】
第1の無菌室Mの外部においては、カップ受け台2は、その磁石13がコンベヤチェーン12に所定間隔で固定された磁石24の中逆極性のものと相互に吸引するようにして磁石24の表面に吸着され保持されている。したがって、カップ受け台2は磁石24が配置される間隔でコンベヤチェーン12上に配置され、コンベヤチェーン12の移動に伴って図1中矢印Q方向に移動する。なお図1においては下部を移動するコンベヤチェーン12に吸着されたカップ受け台2の図示を省略した。
【0029】
第1の無菌室Mは、図3に示すように、頂板30、両側板31、31、中央部が長手方向に開口した底板32からなり、横断面形状がカップ受け台2の横断面形状とほぼ相似形でカップ受け台2の横断面よりも面積が若干大きい扁平な長方形の筒状のカップ受け台収容部33と、この開口した底板32の開口部34の下方に突出するようにして無菌室Mの長手方向に延長して形成され、カップ1の横断面形状とほぼ相似形でカップ1の横断面よりも僅かに大きい面積を有する横断面形状を有するカップ収容部35を備えている。このように、第1の無菌室Mの主要部を横断面がカップ受け台2と相似形のカップ受け台収容部33と横断面がカップ1と相似形のカップ収容部35により構成することにより、無菌室Mの容積をカップ受け台2とカップ1が通過できるために必要最小限の大きさの設計することが可能となり、無菌室内を無菌化した窒素ガスで満たしても必要最小限の窒素ガス量ですみ、経済性を向上させることができる。
【0030】
無菌室Mの下方に設けられた1対の装置の枠体36、36はそれぞれ両側部36a、36a、ベース部36bおよび張出し頂板部36cを備えており、両側部36a、36aの間の空間部に臨むベース部36bの頂面にはコンベヤチェーン12が走行するレール37、37が敷設されている。各枠体36の外側の端部36aは第2の無菌室Nの側板72、73に固定されている。コンベヤチェーン12はコロ付きチェーンとして構成されており、チェーンを挟んで一対のコロ12a、12aが張出し頂板部36c、36cの下面に沿って転動するようになっている。
【0031】
無菌室Mのカップ移送方向上流側端部に位置するカップ殺菌部Kにおいては、殺菌剤ノズル54−1、54−2が所定の間隔をおいて縦列配置されている。これらの殺菌剤ノズル54−1、54−2には無菌室外の殺菌剤タンク53から過酸化水素液が供給され、ノズル54−1、54−2は過酸化水素液を霧状にしてカップ1に吹き付けることによりカップ1の殺菌を行う。
【0032】
カップ殺菌部Kの下流側に位置するカップ乾燥部Lには殺菌剤乾燥ノズル55−1、55−2が所定の間隔をおいて縦列配置されている。これらのノズル55−1、55−2には無菌室外の乾燥空気発生装置15から滅菌済みフイルター66を介して100℃の乾燥空気が供給されており、殺菌済みのカップ1はカップ乾燥部Lを通過する際に乾燥空気により乾燥される。
【0033】
無菌ガス置換部Bのカップ受け台収容部33の上部空間にはカップ1のヘッドスペースを窒素ガスで置換するための窒素ガスノズル4−1、4−2、4−3、4−4がコンベヤチェーン12の進行方向に所定間隔をおいて縦列配置されており、窒素ガスノズル4−2と窒素ガスノズル4−3の間にはジュース等の液体内容物3をカップ1に充填するための液体内容物充填ノズル5−1が配置され、窒素ガスノズル4−3と窒素ガスノズル4−4の間には液体内容物充填ノズル5−2が配置されている。窒素ガスノズル4−1〜4−4には無菌室M外の窒素ガス発生装置17からの無菌窒素ガスが滅菌済みフイルター16を介して供給される。また、液体内容物充填ノズル5−1、5−2には無菌室2外の無菌液体内容物タンク18からの無菌液体内容物が供給される。なお、図2においては、簡略化して窒素ガスノズル4−2を省略した。また図1においてはカップ受け台2はコンベヤチェーン12上に所定間隔で規則正しく配列されているが、図2においては、理解を助けるために無菌室Mの中央部および無菌室Mの入り口の直前においてはコンベヤチェーン12の磁石24上にカップ受け台2が存在しない状態で示す。また、図2においては、カップ殺菌部Kとカップ乾燥部Lは図示を省略してある。
【0034】
蓋材供給ローラ6から繰り出される帯状の蓋材7は、案内ローラ40、41、42、43、44、45、46、47、48に案内されて蓋材巻取りローラ10に巻き取られる。
【0035】
蓋材殺菌部Cは蓋材7の通路に配置され、蓋材7を殺菌するための過酸化水素等の殺菌剤を貯蔵するタンク50を備えている。蓋材7はタンク50の殺菌剤中を通る間に殺菌される。
【0036】
蓋材乾燥部Dは蓋材殺菌部Cと無菌ガス置換部Bの出口の間の蓋材7の通路に設けられたダクト状のチャンバーで、高温空気発生装置15から滅菌済みフイルター46を介して無菌高温空気が供給されている。蓋材7は蓋材乾燥部Dを通過する際に無菌高温空気により乾燥される。
【0037】
蓋材殺菌部Cと蓋材乾燥部Dは、ほぼ蓋材の厚み巾のスリットを介して無菌ガス置換部Bと連通している。
【0038】
無菌室Mのカップ移送方向下流側端部におけるカップ受け台収容部33の空間は案内ローラ45に案内されて送られる蓋材7によってほぼ完全に閉ざされており、無菌室Mの上流側端部におけるカップ受け台収容部33の空間はガス排出口61により大気に開放されているので、カップ1のヘッドスペースのガスを置換するために窒素ガスノズル4−1〜4−4から噴射される窒素ガスは無菌室Mのカップ受け台収容部33内においてカップ移送方向下流側から上流側すなわちカップ移送方向と逆方向に流れ、上流側端部のガス排出口61から大気中に放散されることにより、無菌室M内を微陽圧に保ち大気が無菌室M内に流入することを防止する。これによって無菌室M内は作業中無菌窒素ガスにより常時無菌状態に保たれる。したがって、上記の無菌室Mの下流側端部(出口)を閉じ、上流側端部(入り口)を大気に開放した構造および窒素ガスノズル4−1〜4−4は本発明における第1の無菌室内の大気を窒素ガスで置換するガス置換装置を構成する。なお、無菌室M内の窒素ガスによる陽圧を強くして無菌状態をより完全に維持するために、作業中窒素ガス発生装置17からの窒素を窒素ガスノズル4−1〜4−4に対する供給分に加えて無菌室Mの下流側端部に常時供給するようにしてもよい。また、ガス排出口の口径を小さくし、ダンパーなどつけて流路抵抗を増しても、無菌室Mの陽圧は増大する。
【0039】
無菌室Mの出口から外にはコンベヤチェーン12の進行方向に順に蓋材第1シール部F、蓋材第2シール部G、冷却部H、トリミング部I、カップ排出部Jが設けられている。
【0040】
蓋材第1シール部Fは供給された蓋材7をカップ1の上に載置し熱融着シールし、蓋材第2シール部Gは熱融着シールされたカップ1上の蓋材をカップ1の頂縁部で再熱融着してシールを完成し、冷却部Hは冷却空気によりこの熱融着部を冷却し、トリミング部Iはカップ1に熱融着された蓋材を打ち抜いて余分の蓋材を切除する。カップ排出部Jは進行してくるカップ受け台2の下方に設けられた突き上げレバー52を突き上げることによりカップ1をカップ受け台2から飛び出させ、第2の無菌室Nの頂板に形成されたカップ排出口65を介して製品11として系外に排出する。
【0041】
第2の無菌室Nは、図6の断面図に示すように、直方体状の形状を呈し、頂板70、底板71、両側版72、73を備え、またその長手方向端面74(図1)は無菌空気供給口60を除いて閉じられ、長手方向端面75(図1)は完全に閉じられている。第2の無菌室Nはその両側上端部において支持台に固定されている。第2無菌室Nには無菌空気供給口60から無菌空気が供給され、この無菌空気は頂板70に形成されたカップ落下口62(図1)およびカップ排出口65(図1)から大気中に排気される。
【0042】
図6に戻り、第2の無菌室Nは、第1の無菌室Mとコンベヤチェーン12を包囲するようにして設けられた箱形のチャンバーで、その頂板70は、第1無菌室Mを包囲する部分では第1無菌室Mの頂板30と共通の部材が使用されており、両無菌室M、Nは頂板を共有している。
【0043】
コンベヤチェーン12は一対のプーリ79、80間に張設されており、両プーリ79、80間の中間の下部にはカップ1の充填、密封作業を終了したカップ受け台2を薬剤により殺菌し乾燥する殺菌乾燥装置63と無菌水により洗浄し乾燥する洗浄乾燥装置64が設けられている。殺菌乾燥装置63において用いられる薬剤には、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素液、過酢酸と過酸化水素液の混合液などが使用されるが、特に、過酸化水素、過酢酸、酢酸を混合したものが好適である。
【0044】
次に上記装置の動作を説明する。
【0045】
PPカップ1はカップ供給部Aからコンベヤチェーン12によって移送されるカップ受け台2のカップ保持孔21に落下し第1の無菌室Mに移送される。無菌室Mの上流側端部においてカップ受け台2は無菌室M内に入り、カップ受け台2の磁石13はコンベヤチェーン12によって移動するコンベヤチェーン12側の磁石24に吸着されたままカップ受け台2の滑り材14が無菌室Mの底面上を滑るようにして、カップ受け台2は無菌室M内を下流側に移動する。
【0046】
カップ1はカップ殺菌部Kにおいて殺菌剤ノズル54−1、54−2から噴霧される過酸化水素液により殺菌された後カップ乾燥部Lにおいて殺菌剤乾燥ノズル55−1、55−2から噴射される乾燥空気により乾燥され、次段の無菌ガス置換部Bに送られる。無菌ガス置換部Bにおいては、窒素ガスノズル4−1〜4−4からは連続的に窒素ガスが噴き出され、カップ1のヘッドスペースのガス置換が行われる。また、液体内容物充填ノズル5−1、5−2からはカップ1内にジュース等内容物3の充填が行われる。
【0047】
無菌ガス置換部B内で内容物3が充填されヘッドスペースのガス置換が完了したカップ1は無菌室Mの下流側端部(出口)から排出され、カップ受け台2は再びコンベヤチェーン12によって直接移送され、第2の無菌室N内の蓋材第一シール部F、蓋材第2シール部G、冷却部H、トリミング部Iを経由して蓋材7の熱融着シール、再熱融着シール、熱融着部の冷却、蓋材の打ち抜きが順次行なわれた後カップ1はカップ排出部Jによって製品として系外に排出される。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、無菌充填シール装置は、第1の無菌室の外側に、コンベアおよびこれに保持された容器受け部材を包囲し、無菌空気が導入される第2の無菌室を備えるので、第1の無菌室から出た容器受け部材はコンベアに保持された状態で第2の無菌室内を循環して再び第1の無菌室に入るように移動する。したがって、容器受け部材はその移動中外気に曝されることがないので、落下菌などにより汚染されるおそれがないため、無菌保持の完全性に優れている。
【0049】
また、本発明の1側面によれば、第2の無菌室と第1の無菌室は頂板を共用することで、第2の無菌室の容積を小さくし、構成部材を少なくすることができる。
【0050】
本発明のさらに他の側面によれば、該第1の無菌室は、頂板と両側板と中央部が長手方向に開口した保持板とからなる容器受け部材を覆う容器受け部材収容部と、該保持板の開口部から下方に突出するように底板と両側板からなる容器を覆う容器収容部としたので、第1の無菌室の容積を容器受け部材が通過するために必要な最小限の容積に設計することが可能となり、これによって第1の無菌室の容積を一層小さくすることができ、ガス置換効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無菌充填シール装置の1実施形態を説明的に示す側面図である。
【図2】第1の無菌室の要部の平面図である。
【図3】図1のX−X断面図である。
【図4】(a)はカップ受け台の平面図、(b)は図4(a)のY−Y断面図である。
【図5】コンベヤチェーンに取付ける磁石取付け板を示す平面図である。
【図6】図1のZ−Z断面図である。
【符号の説明】
1 カップ
2 カップ受け台
12 コンベヤチェーン
13 磁石
24 磁石
M 第1の無菌室
N 第2の無菌室
Claims (5)
- 内部を殺菌した容器に無菌内容物を充填し、殺菌した蓋材で容器を密封する無菌充填シール装置において、
容器を保持する容器受け部材を移動可能に収容し、室外から移送された容器を殺菌し、殺菌された容器に無菌内容物を充填するとともに蓋材を殺菌する第1の無菌室と、
該第1の無菌室外に設けられ、磁石により容器受け部材を駆動するコンベアと、
該第1の無菌室と該コンベアを包囲し、内容物を充填された容器を殺菌された蓋材で密封する第2の無菌室
とを備えることを特徴とする無菌充填シール装置。 - 該第2の無菌室は該第1の無菌室と頂板を共有するようにして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の無菌充填シール装置。
- 該第1の無菌室は、
頂板と、両側板と、中央部が長手方向に開口した底板とからなり、容器受け部材を収容する 容器受け部材収容部と、
該底板の開口部から下方に突出する底板と両側板からなり、容器を収容する容器収容部とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の無菌充填シール装置。 - 第1の無菌室内の空気を窒素ガスで置換するガス置換装置を更に備えることを特徴とする請求項1または3に記載の無菌充填シール装置。
- 容器受け部材を殺菌する殺菌装置および/または容器受け部材を洗浄する洗浄装置をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無菌充填シール装置。
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