JP4328877B2 - 情報記録再生装置、情報記録再生方法及びフォーカス位置調整プログラム - Google Patents

情報記録再生装置、情報記録再生方法及びフォーカス位置調整プログラム Download PDF

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Description

本発明は、光ディスクなどの情報記録媒体に情報を記録する技術、及び記録済み情報を再生する技術に関する。
光ディスク等の情報記録媒体に情報を記録する情報記録再生装置においては、情報の記録及び再生を行うために光ピックアップを使用している。光ピックアップは、レーザ光源、レーザ光源から出射されたレーザ光を光ディスク上に集光させる対物レンズ、対物レンズを移動可能に支持するアクチュエータなどを備える。アクチュエータは、光ディスクに対する対物レンズ位置のエラー信号に基づいて、レーザ光が光ディスク上に正しく合焦するように対物レンズ位置を制御する。
この際、レーザ光の出射方向、即ちフォーカス方向における対物レンズ位置のエラー信号及び制御電流に電気的なオフセットが無い状態とすれば、レーザ光は光ディスク上に正しく合焦する。しかし、実際には、光学的設計のばらつきや電気的オフセットの調整ずれなどに起因して、レーザ光の合焦点がずれてしまうことがある。そこで、情報の記録、再生時には、フォーカス制御電流に上記のようなずれ分に対応する適切なオフセット電流を与えることにより、光学的設計のばらつきや電気的オフセットなどに起因する合焦点のずれを除去する必要がある。
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、適正なフォーカスオフセット量を高精度で決定することにより、光学的設計のばらつきや電気的オフセットに起因して生じる合焦点のずれを除去して、記録再生特性を改善することを課題とする。
本発明の好適な実施形態では、情報記録再生装置は、フォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御部と、所定の変化範囲において前記フォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定手段と、を備え、前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、前記アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量とする。
上記の情報記録再生装置は、光ディスクにレーザ光を照射することにより、情報の記録、及び、記録された情報の再生を行う。良好な情報の記録、再生を行うためには、対物レンズによりレーザ光を光ディスク上の記録/再生位置に正確に合焦させる必要がある。フォーカス制御部は、フォーカス制御信号に基づいて対物レンズを移動させ、レーザ光を光ディスク上で合焦状態とする。実際の情報記録再生装置においては、光学的設計のばらつきや電気的オフセットの調整ずれなどに起因して、レーザ光が合焦点に位置する値にフォーカス制御信号を設定したとしても、実際には合焦点がずれてしまい、レーザ光が正確な合焦状態にならない場合がある。そのため、フォーカス制御信号には、上記の合焦点のずれを補正するためにフォーカスオフセット量を含めている。つまり、適正なフォーカスオフセット量を決定し、それを含むフォーカス制御信号を使用すれば、レーザ光を光ディスク上に正確に合焦させることができる。
上記の情報記録再生装置では、所定の変化範囲において前記フォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する。ここで、検出信号とは、光ディスクに記録された情報を再生することにより得られる信号であって合焦位置との相関関係を有する信号であり、例えば、記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値である。検出信号は、レーザ光が合焦状態にあるときには、それぞれ特徴的な値を示す。検出信号が、記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値の場合には、特徴点は、アシンメトリ値の変化点であって、アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるところである。検出信号の特徴点を検出することにより、正確な合焦状態となるフォーカスオフセット量、即ち適正なフォーカスオフセット量を決定することができる。
上記の情報記録再生装置では、所定の変化範囲においてフォーカスオフセット信号を変化させて検出信号を測定する。よって、変化範囲が広いほど、適正なフォーカスオフセット量の決定に時間を要することとなるので、合焦位置を含むことを条件として、フォーカスオフセット量の前記所定の変化範囲を限定することが処理時間の短縮のために有効である。このような観点から、1つの好適な例では、前記所定の変化範囲は、フォーカスエラー信号のゼロクロス点を中心とし、所定のフォーカスエラー量の範囲とすることができる。また、他の好適な例では、前記所定の変化範囲は、フォーカスループのロックレンジ内における所定のフォーカスエラー量の範囲とすることができる。また、他の好適な例では、前記所定の変化範囲は、所定の記録再生特性を示すパラメータの値が許容値以内となる範囲とすることができる。範囲フォーカスエラー信号のゼロクロス点を含む範囲、フォーカスループのロックレンジ内の所定範囲、記録再生特性のパラメータ値が許容範囲値内となる範囲などにはいずれも合焦位置が含まれるので、変化範囲をそれらの範囲に限定することにより、適正なフォーカスオフセット量を決定するための処理時間を短縮することができる。
また、上記の情報記録再生装置の一態様では、複数のフォーカスオフセット量に対応する検出信号の値に基づいて、検出信号の予測特性を生成し、当該予測特性の特徴点を含む範囲を前記所定の変化範囲に決定する変化範囲決定手段をさらに備えることができる。複数のフォーカスオフセット量を設定し、それに対応する検出信号の値を測定することにより、検出信号の特性上のいくつかの点を得ることができる。よって、それらの点から検出信号の予測特性を生成することができる。この予測特性は、実際にフォーカスオフセット量を変化させつつ測定した検出信号の特性と必ずしも高精度で一致するとは限らないが、少なくともある程度の精度で検出信号の概略的な特性を示すものである。よって、そうして得た予測特性の特徴点を含む範囲を、フォーカスオフセット量を変更する前記所定の変化範囲に設定することによっても、実際の検出信号を測定する回数を減少させることができ、処理の迅速化が可能となる。
好適な実施例では、前記検出信号を記録済み情報の再生RF信号の振幅値とし、前記特徴点を前記振幅値が最大値となる点とすることができる。再生RF信号の振幅値はレーザ光の合焦点において最大値をとるので、特徴点としてRF信号の振幅値の最大値を検出することにより、適正なフォーカスオフセット量を決定することができる。
また、他の好適な実施例では、前記検出信号を記録済み情報の再生RF信号のβ値とし、前記特徴点を前記β値の変化点とすることができる。再生RF信号のβ値は、レーザ光の合焦点において変化点をとる。ここで、変化点とは、β値の接線成分が大きく変化する点をいう。よって、特徴点として、再生RF信号のβ値の変化点を検出することにより、適正なフォーカスオフセット量を決定することができる。
また、他の好適な実施例では、前記検出信号を記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値とし、前記特徴点を前記アシンメトリ値の変化点とすることができる。再生RF信号のアシンメトリ値は、レーザ光の合焦点において変化点をとる。ここで、変化点とは、アシンメトリ値の接線成分が大きく変化する点をいう。よって、特徴点として、再生RF信号のアシンメトリ値の変化点を検出することにより、適正なフォーカスオフセット量を決定することができる。
さらに他の好適な実施例では、前記検出信号を記録済み情報の再生RF信号の変調度とし、前記特徴点を前記変調度が最大値となる点とすることができる。再生RF信号の変調度はレーザ光の合焦点において最大値をとるので、特徴点としてRF信号の変調度の最大値を検出することにより、適正なフォーカスオフセット量を決定することができる。
本発明の他の好適な実施形態では、対物レンズを有するフォーカス制御部を備える情報記録再生装置において実行される情報記録再生方法は、所定の変化範囲においてフォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定工程と、前記最適なフォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて前記対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御工程と、を備え、前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量とする。この方法によっても、上記の情報記録再生装置と同様に、適正なフォーカスオフセット量を高精度で決定することができる。
本発明のさらに他の好適な実施形態では、対物レンズを有するフォーカス制御部と、コンピュータとを備える情報記録再生装置により実行されるフォーカス位置調整プログラムは、フォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて前記フォーカス制御部により対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御手段、所定の変化範囲において前記フォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定手段として前記コンピュータを機能させ、前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量とする。このフォーカス位置調整プログラムを、コンピュータを備える情報記録再生装置上で実行して対物レンズを有するフォーカス制御部を制御することにより、上記の情報記録再生装置を実現することができる。
本発明の実施例に係る情報記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。 RF信号振幅及び再生RF信号のβ値と、フォーカスオフセット量との関係を示すグラフである。 β値の定義を模式的に示す図である。 記録パワーとβ値との関係を示すグラフである。 RF信号振幅及び再生RF信号のβ値と、フォーカスオフセット量との関係を示すグラフである。 フォーカスオフセット量決定処理のフローチャートである。 フォーカスオフセット量の変化範囲の例を示す図である。 アシンメトリ及び変調度の定義を説明するための図である。 検出信号としての変調度及び再生RF信号のβ値と、フォーカスオフセット量との関係を示すグラフである。 検出信号としてのβ値及び再生RF信号のβ値と、フォーカスオフセット量との関係を示すグラフである。 検出信号としてのアシンメトリ及び再生RF信号のβ値と、フォーカスオフセット量との関係を示すグラフである。
1 情報記録再生装置
2 光ピックアップ
4 対物レンズ位置制御部
5 検出信号測定部
6 システム制御部
7 メモリ
8 スピンドルモータ
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
[情報記録再生装置]
図1に、本発明の実施例にかかる情報記録再生装置の概略構成を示す。図1において、情報記録再生装置1は、光ピックアップ2と、対物レンズ位置制御部4と、検出信号測定部5と、システム制御部6と、メモリ7と、スピンドルモータ8とを備える。なお、図1では、情報記録再生装置の構成要素のうち、特に本発明のフォーカス位置調整に関連する構成を主に示している。
情報記録再生装置1は、光ディスクDに情報を記録し、また光ディスクDから情報を再生する。光ディスクDは例えば、CD−R/RW(Compact Disc-Recordable/Rewritable)、DVD−R/RW(Digital Versatile Disc-Recordable/Re-recordable、DVD+R/RW(Digital Versatile Disc+Recordable/Rewritable)、Blu−ray(Blu-ray Disc)、AOD(Advanced Optical Disc)などの一回のみ又は複数回にわたり情報の記録が可能な光ディスクとすることができる。
スピンドルモータ8は、光ディスクDを所定速度で回転させる。光ピックアップ2は、光ディスクDに対してレーザ光9を照射するとともに、光ディスクDの情報記録面からの戻り光を受光する。光ピックアップ2は、図示しないレーザダイオードなどの光源と、対物レンズ21と、アクチュエータ22と、受光部23と、演算部24とを備える。対物レンズ21は、レーザダイオードなどの図示しない光源から出射されたレーザ光をディスクD上に集光する。アクチュエータ22は、対物レンズ21を、光ディスクDの記録面(図中下面)に対して垂直な方向25に移動可能に支持している。
受光部23は、例えば4分割フォトディテクタなどにより構成され、光ディスクDからの戻り光を受光して、受光量に対応する電気信号を生成し、演算部24へ供給する。演算部24は、4分割された個々のフォトディテクタから出力される電気信号に対して所定の演算を行うことにより、記録情報の再生信号や、各種のサーボ制御のためのサーボエラー信号を生成する。具体的には、演算部24は4つのフォトディテクタの各出力信号に基づいて、既知の非点収差法などにより対物レンズ位置エラー信号(フォーカスエラー信号)S1を生成し、対物レンズ位置制御部4へ供給する。また、演算部24は、4つのフォトディテクタの各出力信号の総和を演算し、再生RF信号S2として検出信号測定部5へ供給する。
対物レンズ位置制御部4は、演算部24より供給されたフォーカスエラー信号S1に基づいて、光ピックアップ2のアクチュエータ22へ制御信号Ivを供給する。アクチュエータ22は、対物レンズ位置制御部4からの制御電流Ivに基づいて、レーザ光9が光ディスクDの記録面上で合焦状態となるように、フォーカス方向25における対物レンズ21の位置を制御する。理想的には、フォーカスエラー信号S1や制御電流Ivに電気的オフセットがなければ、レーザ光9は光ディスクD上で合焦するように制御されるはずであるが、実際には、光学的設計ばらつきや電気的オフセットの調整ずれなどにより、合焦点がずれてしまうことがある。このとき、制御電流Ivは、後述するオフセット電流が加えられて光ピックアップ2へ供給される。なお、以下の説明では、このオフセット電流量を「フォーカスオフセット量」とも呼ぶ。
検出信号測定部5は、再生RF信号S2に基づいて、検出信号の一例であるRF信号の振幅を測定し、システム制御部6へ送る。ここで、検出信号とは、光ディスクに記録された情報を再生することにより得られる信号であって合焦位置との相関関係を有する信号であり、具体的には後述するように、RF信号振幅以外に、RF信号に基づいて得られたβ値、アシンメトリ、変調度などとすることができる。
システム制御部6は例えばマイクロコンピュータなどにより構成され、本発明におけるフォーカスオフセット量決定処理を実行する。具体的には、対物レンズ位置制御部4にフォーカスオフセット量の制御のための制御信号S3を供給し、フォーカスオフセット量を変化させる。また、システム制御部6は、メモリ7と接続されている。メモリ7には、フォーカスオフセット量決定処理中に読み出された再生RF信号の最大値(以下、「検出信号レベル最大値」と称す)およびそのときのフォーカスオフセット量(以下、「調整用フォーカスオフセット量」と称す)を記憶する領域が設けられる。
なお、光ピックアップ2、対物レンズ位置制御部4、検出信号測定部5及びシステム制御部6は本発明におけるフォーカス制御部を構成しており、システム制御部6及びメモリは本発明における決定手段を構成している。
[フォーカスオフセット量の決定方法]
次に、本実施例によるフォーカスオフセット量の決定方法について説明する。前述のように、光ピックアップの光学的設計ばらつきや電気的なオフセットが無いものと仮定すれば、理論的にはフォーカスエラー信号が「0」となる位置に対物レンズを配置すればレーザ光は光ディスク上で合焦状態となる。しかし、現実には、上記の設計ばらつきやオフセットなどに起因して、フォーカスエラー信号が「0」となる位置に対物レンズを配置しても、レーザ光は合焦状態にならない。よって、アクチュエータ22へ供給される制御電流Ivに、適正なフォーカスオフセット量を加えることにより、レーザ光を合焦状態とすることが可能となる。そこで、本実施例では、検出信号の一例としてRF信号振幅を利用して、適正なフォーカスオフセット量を決定する。
レーザ光が合焦状態にあるとき、即ち適正なフォーカスオフセット量が制御信号Ivに与えられているとき、RF信号振幅は最大となる。よって、フォーカスオフセット量を変化させてRF信号振幅を検出し、RF信号振幅が最大値となるときのフォーカスオフセット量を取得すれば(以下、この処理を「ピークサーチ」とも呼ぶ。)、それが合焦状態におけるフォーカスオフセット量、即ち適正なフォーカスオフセット量となる。なお、このようにピークサーチにより適正なフォーカスオフセット量を求める方法を以下「ピークサーチ法」と呼ぶこととする。
具体的には、ピークサーチ法により適正なフォーカスオフセットを取得する場合、システム制御部6は、フォーカスオフセット量を所定の変化範囲内で最小値から最大値にかけて所定量ずつ変化させ、その毎に検出信号としてのRF信号振幅を測定する。そして、RF信号振幅の最大値及びそのときのフォーカスオフセット量を求める。上述のようにレーザ光が合焦状態にあるときにはRF信号振幅は最大となるので、RF信号振幅が最大値となったときのフォーカスオフセット量が、適正なフォーカスオフセット量に相当することになる。
図2に、このピークサーチ法による測定データの一例を示す。具体的には、フォーカスオフセット量を所定量ずつ変化させながら、既に光ディスクに記録された情報を読み出したときに得られるRF信号振幅を多数のプロット点110として示す。なお、図2において、横軸はフォーカスオフセット量を示し、縦軸(左)はRF信号振幅を示す。図2の例では、フォーカスオフセット量を負から正へと増加させると、RF信号振幅は徐々に増加し、プロット点114で最大値に至った後、徐々に減少する。従って、この例では、RF信号振幅が最大値となったときのフォーカスオフセット量「a」が適正なフォーカスオフセット量として決定される。
次に、このようにして得られたフォーカスオフセット量が適正であるか否かを評価する。ここでは、評価のパラメータとして、β値を用いる。図2において、記録パワーを固定し、フォーカスオフセット量を変化させて情報を記録した後に、それを再生して得たRF信号のβ値をグラフ113として示す。縦軸(右)は、測定された固定パワー記録後の再生RF信号のβ値を示す。
ここで、図3に、β値の定義を模式的に示す。β値は、RF信号の平均レベルと、RF信号の振幅レベルのセンター値(全マークのセンター値)とのずれ量を示すパラメータである。RF信号の平均レベルは、例えばRF信号をLPF(Low-Pass Filter)に通過させることにより得ることができる。また、RF信号の振幅レベルのセンター値は、再生した記録データに対応するRF信号の最小レベルと最大レベルから計算により求めることができる。例えば、β値は、「0」に近い値、即ちRF信号の平均レベルと、RF信号の振幅レベルのセンター値とのずれが小さいほど好ましい。
図4は、記録パワーとβ値との相関関係について示している。具体的には、図4は対物レンズと光ディスクとの距離を一定に保ち、記録パワーのみを変化させた場合の再生RF信号のβ値の特性である。図4から明らかなように、記録パワーが増加するに従い、β値も増加する。
レーザ光が光ディスクDに合焦しているときには、レーザ光のエネルギーが光ディスクD上における照射点に最も集中するので、記録パワーの効率は最も良くなる。一方、レーザ光が合焦状態にない場合には、レーザ光がぼけた状態で光ディスクに照射されることとなり、記録パワーの損失が大きくなり、光ディスクに与えられる記録パワーは実質的に低下する。よって、レーザ光の合焦状態とβ値との関係は、レーザ光が光ディスク上で合焦しているときにβ値が最大となる。従って、レーザ光が合焦状態になるとき、即ち適正なフォーカスオフセット量が設定されたときには、β値が最大値をとる。
図2における固定パワー記録後の再生RF信号のβ値を示すグラフ113を見ると、上述のピークサーチ法により求められたフォーカスオフセット量「a」においては、β値のグラフ113はほぼ最大値近傍の値を示している。よって、ピークサーチ法で求められたRF信号振幅が最大値となるときのフォーカスオフセット量「a」は適正なフォーカスオフセット量であると評価することができる。また、このフォーカスオフセット量を調整値として制御電流Ivに加えることにより、記録再生時の合焦点のずれを補正することが可能となり、記録特性および再生特性を改善することができる。
ここで、比較例として、二次放物線近似によって求めたRF信号振幅の予測特性112を図2に示す。この予測特性112は、フォーカスオフセット量を異なる3つの値に設定し、そのときのRF信号振幅を検出して3つのプロット点111を取得し、これら3つのプロット点111に基づいて二次放物線近似により求めたものである(以下、この方法を「放物線近似法」とも呼ぶ。)。放物線近似法により得たRF信号振幅の予測特性112に基づいて、RF信号振幅が最大値となる点のフォーカスオフセット量を求めると、その値は「b」となる。
ピークサーチ法で求められた適正なフォーカスオフセット量「a」と、放物線近似法によって求められた適正なフォーカスオフセット量の値「b」とを比較すると、図2に示されるように、ピークサーチ法で求められた適正なフォーカスオフセット量「a」の方がβ値の最大値となるときのフォーカスオフセット量の値に近いことがわかる。即ち、この例では、放物線近似法より、ピークサーチ法の方が適正なフォーカスオフセット量を精度よく求められることがわかる。この差は、各方法により取得するRF信号振幅特性の精度の差に起因している。ピークサーチ法は、フォーカスオフセット量を所定量ずつ変化させて、実際のRF信号振幅を多数の点で検出してRF信号振幅の特性を得ている。即ち、ピークサーチ法は、実際のRF信号振幅特性(プロット点110の集合)を取得し、それに基づいて最適なフォーカスオフセット量を求めている。これに対し、放物線近似法は、代表的な数個のフォーカスオフセット値(上述の例では3つのプロット点111)のみを検出し、それらに基づいて放物線近似によりRF信号振幅の予測特性112を取得している。即ち、取得されるRF信号振幅特性112は予測特性に過ぎない。よって、放物線近似法は、実際のRF信号振幅特性が放物線近似により予測される特性に近い場合にはピークサーチ法と同等の精度で適正なフォーカスオフセット量を決定することができるが、実際のRF信号振幅特性が放物線近似により予測される特性とずれている場合には、その分誤差を含むこととなる。
図2に示した例は、放物線近似法により得られたRF信号振幅の予測特性112が、実際のRF信号振幅特性(即ち、ピークサーチ法により得られたプロット点111の集合)とずれを有する場合の例であり、それゆえ放物線近似法により得られた適正なフォーカスオフセット量「b」の精度が低くなっている。
これに対し、他の例を図5に示す。図5の例では、ピークサーチ法によりフォーカスオフセット量を変化させて実際のRF信号振幅特性を求めた結果が複数のプロット点120として示されている。また、3つの点121を用いて放物線近似法により得られたRF信号振幅の予測特性がグラフ122で示されている。この例では、いずれの方法によっても得られる適正なフォーカスオフセット量は「d」となる。このように、実際のRF信号振幅特性が放物線近似により得られる予測特性とほぼ一致するような場合でなければ、放物線近似法では高精度で適正なフォーカスオフセット量を決定することができない。言い換えれば、本実施例によるピークサーチ法は、実際のRF信号特性を測定してその最大値を検出し、適正なフォーカスオフセット量を決定するので、実際のRF信号特性がいかなる形であっても、高精度で適正なフォーカスオフセット量を決定することができるという利点がある。
なお、実際のRF信号振幅特性が放物線近似より予測できない場合とは、一般的には実際のRF信号振幅特性がひずみを有する場合やピーク位置を中心とした対称性を有しない場合などがあげられる。また、そのような場合の1つの具体的な例は、2層光ディスクの一方の層に対して記録又は再生を行う場合が挙げられる。2層光ディスクの場合、一方の層にレーザ光が合焦していても、他方の層からの反射光も同じ光ピックアップ2の受光部23に入射するため、その分RF信号振幅特性に歪みなどが生じ、放物線近似が難しい特性となってしまうことが多い。そのため、二次放物線近似による予測によって求められたRF信号振幅の最大値は、実際にRF信号の最大値を求めるピークサーチ法によって求められたRF信号振幅の最大値と比べて、図2に示すようなずれが生じてしまう。その点、ピークサーチ法は、実際にRF信号振幅特性の最大値を検出するので、このような2層光ディスクや光学的設計のばらつきを有する光ディスクにおいても、より正確にフォーカスオフセット量の調整値を求めることが可能となる。
[フォーカスオフセット量決定処理]
次に、ピークサーチ法によってフォーカスオフセット量の調整値(「調整用フォーカスオフセット量」)を求めるためのフォーカスオフセット量決定処理について説明する。図6は、ピークサーチ法によるフォーカスオフセット量決定処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば光ディスクDが情報記録再生装置1にセットされたとき、実際の情報記録の直前など、レーザ光のフォーカス位置を調整する際に実行される。なお、この処理自体は、図1に示すシステム制御部6が、予め用意されたプログラムを実行し、各構成要素を制御することにより実現される。
なお、この処理中に測定されるRF信号は、既に光ディスクDに記録されていることが好ましい。但し、光ディスクDにRF信号が記録されていない場合には、システム制御部6は、フォーカスオフセット量決定処理を行う前に、光ディスクDのPCA(Power Calibration Area)等にRF信号を記録することも可能である。
図6において、まずシステム制御部6は、メモリ7内に、「検出信号レベル最大値」及び「調整用フォーカスオフセット量」を記憶する領域を確保する。なお、上記の説明では、RF信号振幅を用いてピークサーチ法を行う例について述べてきたが、本発明のフォーカスオフセット量決定処理は後述するようにRF信号振幅以外の信号のピークサーチや変化点(これらを「特徴点」と呼ぶ)のサーチによっても実行することができる。よって、図6のフローチャートにおいては、それらを代表して「検出信号」として説明を行う。
次に、システム制御部6は、フォーカスオフセット量の変化範囲を決定する(ステップS1)。例えば変化させるフォーカスオフセット量の最大値と最小値を決定することにより、変化範囲を決定することができる。
次に、システム制御部6は、フォーカスオフセット量を上記変化範囲のうちの最小値に設定する(ステップS2)。これは、具体的には、システム制御部6がフォーカスオフセット量の最小値に対応するオフセット電流を制御電流Ivに加えることにより実現される。
次に、検出信号測定部5は、フォーカスオフセット量が最小値であるときの検出信号レベル(上記の例ではRF信号振幅)を測定する(ステップS3)。そして、システム制御部6は、そのフォーカスオフセット量を調整用フォーカスオフセット量として、そのときに測定された検出信号レベルを検出信号レベル最大値として、それぞれメモリ7に記憶する(ステップS4)。この最小値のフォーカスオフセット量とそのときのRF信号の値は、調整用フォーカスオフセット量と検出信号レベル最大値の初期値となるものである。
次に、システム制御部6は、対物レンズ位置制御部4に対し、フォーカスオフセット量を最小値から所定量増加させるための制御電流S3を送る。対物レンズ位置制御部4はフォーカスオフセット量を所定量増加した制御電流Ivを光ピックアップ2に送る(ステップS5)。検出信号測定部5は、そのときの検出信号のレベルを測定し(ステップS6)、システム制御部6は、測定されたRF信号とメモリ7に保持されている検出信号レベル最大値とを比較する(ステップS7)。ここで、測定されたRF信号の方が、検出信号レベル最大値よりも小さい場合(ステップS7:No)、処理はステップS9に進む。一方、測定されたRF信号の方が、検出信号レベル最大値よりも大きい場合(ステップS7:Yes)、システム制御部6は、メモリ7に現在記憶されている検出信号レベル最大値を、測定された検出信号レベルで更新し、さらに調整用フォーカスオフセット量を現在のフォーカスオフセット量で更新した後(ステップS8)、ステップS9に進む。
ステップS9では、システム制御部6は、現在のフォーカスオフセット量が、ステップS1で設定された最大値に達しているか否かを判定し、最大値に達していない場合(ステップS9:No)、ステップS5に戻り、さらに現在のフォーカスオフセット量を所定量増加させて、ステップS5からステップS9の操作を繰り返す。
そうして、現在のフォーカスオフセット量が、ステップS1で設定された最大値に達した場合(ステップS9:Yes)、その時点でメモリ7に保持されている検出信号レベル最大値が検出信号(上記の例ではRF信号振幅)の最大値となるので、その時点でメモリに記憶されている調整用フォーカスオフセット量が、適正なフォーカスオフセット量の調整値として決定される(ステップS10)。
ステップS10の終了をもってフォーカスオフセット量決定処理は終了する。その後の情報記録再生時には、システム制御部6は、ステップS10で決定されたフォーカスオフセット量を適正なフォーカスオフセット量として対物レンズ位置制御部4に供給する。これにより、情報の記録又は再生は、適正なフォーカスオフセット量を使用して実行される。
なお、上記の処理例では、ステップS2においてフォーカスオフセット量を最小値に設定し、その後ステップS5でフォーカスオフセット量を所定量ずつ増加させてピークサーチを行ったが、フォーカスオフセット量を最大値から、所定量ずつ減少させて、ピークサーチを行っても良い。
次に、ステップS1におけるフォーカスオフセット量の変化範囲の決定方法について説明する。ステップS1において決定されるフォーカスオフセット量の変化範囲が広いと、フォーカスオフセット量決定処理に時間を要することになる。よって、検出信号レベルの最大値を含むことを条件として、変化範囲は狭く決定することが好ましい。このように可変範囲を限定するのは、検出信号の測定回数が多いと、調整時間が長くなる可能性があり、そのための方法の一つとして、ピークサーチを行う範囲をなるべく限定することが有効だからである。
1つの例では、フォーカスオフセット量の変化範囲を、フォーカス誤差信号の所定範囲とすることが可能である。一般的に、対物レンズ位置を光ディスクに対してフォーカス方向に移動させた場合、フォーカス誤差信号は略S字の特性を示す。その例を図7に示す。図7において、横軸は対物レンズ位置(光ディスクからの対物レンズの距離)を示し、縦軸はフォーカス誤差信号の振幅を示す。フォーカス誤差信号130は基本的にその振幅が0になる点(「ゼロクロス点」と呼ばれる。)においてレーザ光が合焦状態となる。よって、フォーカスオフセット量の変化範囲を、フォーカス誤差信号のゼロクロス点を含む所定範囲に設定すれば、その範囲内に検出信号レベルの最大値は含まれるはずである。よって、変化範囲を、フォーカス誤差信号のゼロクロス点を中心として、例えばフォーカス誤差信号130の振幅Lの±50%の範囲(−L/2≦フォーカス誤差信号≦L/2)の範囲に設定することができる。なお、この場合には、前述のフォーカスオフセット量決定処理に先だって、システム制御部6は図7に例示するようなフォーカス誤差信号を取得して変化範囲を決定する必要がある。
他の例では、変化範囲をフォーカスサーボのロックレンジ内の所定範囲とすることができる。情報記録再生装置に搭載されているフォーカスサーボ装置にはその能力に応じて予め決まったロックレンジがあり、合焦位置に対応する検出信号レベルの最大値はそのロックレンジの中心付近に位置するはずである。よって、フォーカスサーボループのロックレンジの中心から所定の振幅範囲をフォーカスオフセット量の変化範囲に設定することも可能である。
さらに他の例では、変化範囲を記録、再生特性の劣化が許容できる範囲とすることができる。具体的には記録、再生特性を示す各種パラメータ(例えばジッタ、アシンメトリ、β値、変調度、エラーレートなど)が許容値を示す範囲を、フォーカスオフセット量の変化範囲に決定することも可能である。
また、他の例として、フォーカスオフセット量の変化範囲を、先に述べた放物線近似法により求めることも可能である。前述のように、放物線近似法は検出信号の特性が放物線近似しにくい場合には精度が低下するという性質を有するが、ある程度の精度は確保できる。よって、放物線近似法により検出信号の予測特性を算出し、そのピーク値から所定範囲を本発明によるピークサーチ法によるフォーカスオフセット量の変化範囲に設定することも可能である。
以上のように、ステップS1において設定するフォーカスオフセット量の変化範囲を限定することにより、検出信号レベルの測定回数を減らすことができ、フォーカスオフセット量決定処理を迅速化することが可能となる。
また、上記のフォーカスオフセット量決定処理のステップS5においてフォーカスオフセット量を変化させる所定量は、必ずしもフォーカスオフセットの可変最小分解能である必要はない。即ち、処理時間を短縮させるために、所望の精度が確保できる範囲内において、検出信号レベルを取得する間隔を空けて測定回数を減らすようにしてもよい。
以上説明したように、本実施例に係る情報記録再生装置によれば、フォーカスオフセット量の所定の変化範囲にかけて、実際にRF信号振幅などの検出信号レベルの測定を行い、測定された検出信号が最大値となるフォーカスオフセット量を適正なフォーカスオフセット量と決定している。よって、検出信号レベルを3点などの小ない数の点で測定し、それらの測定点から放物線近似によって予測することにより検出信号の最大値を求める放物線近似法と比べると、本実施例によるピークサーチ法は検出信号の特性を実際に測定により求めるので、より正確に検出信号レベルの最大値を求めることができる。よって、本実施例に係る情報記録再生装置によれば、より適切な調整値となるフォーカスオフセット量を求めることができる。
[検出信号の他の例]
上記の実施例においては、検出信号としてRF信号振幅を順次測定し、RF信号振幅が最大となるフォーカスオフセット量をピークサーチ法により求めることで、調整値となるフォーカスオフセット量を求めた。しかし、RF信号の振幅のみに限られず、RF信号に基づく特性、例えば、β値、アシンメトリ、変調度等を検出信号として用いて調整値となるフォーカスオフセット量を求めることも可能である。なぜなら、RF信号振幅が合焦点付近で最大値を示すと同様に、これらの特性値もフォーカスオフセット量に対して合焦点付近で特徴的な値を示すからである。
図8に変調度及びアシンメトリを概念的に示す。「変調度」とは、記録媒体に記録したデータを読み出して得られるRF信号の振幅と、RF信号のゼロレベルとピークレベルとの差との割合をいう。図8には、記録媒体を再生して得られるRF信号波形の例を示している。即ち、変調度は、RF信号振幅I14と、ゼロレベルとピークレベルとの差I14Hとの割合であり、下式で与えられる。
変調度 = I14/I14H (1)
「アシンメトリ」とは、記録媒体から再生されたRF信号において、最大振幅を与える所定の長マークに対する、最短マークの位置をいい、具体的には下式で与えられる。
アシンメトリ = {(I14H+I14L)/2−(I3H+I3L)/2}/I14 (2)
即ち、図8に示すように、所定の長マーク(14Tマーク)に対応するRF信号のレベルI14HとI14Lとの中間レベルと、最短マークに対応するRF信号のレベルI3HとI3Lの中間レベルとの位置関係を示している。
以下、RF信号の変調度を測定することにより、調整値となるフォーカスオフセット量を求める例について述べる。図9に、記録済み情報を再生する際にフォーカスオフセット量を変化させて得られたRF信号の変調度のグラフ150と、記録パワーを固定してフォーカスオフセット量を変化させて記録した後に、それを再生して得たRF信号のβ値のグラフ151とを示す。なお、横軸は、フォーカスオフセット量を示し、縦軸は、測定されたRF信号の変調度および固定パワー記録後の再生されたRF信号のβ値を示す。
図9に示されるように、測定されたRF信号の変調度が最大値となるときのフォーカスオフセット量は、β値のピーク位置近傍、即ち合焦点近傍に位置していることがわかる。よって、ピークサーチ法を用いて、RF信号振幅の代わりに、検出信号としてRF信号の変調度の最大値を求めることによっても、適正なフォーカスオフセットの調整値を求めることができる。
次に、RF信号のβ値を測定することにより、調整値となるフォーカスオフセット量を求める例について述べる。図10に、記録済み情報を再生する際にフォーカスオフセット量を変化させて得られたRF信号のβ値のグラフ152と、記録パワーを固定してフォーカスオフセット量を変化させて記録した後に、それを再生して得たRF信号のβ値のグラフ151とを示す。横軸は、フォーカスオフセット量を示し、縦軸は、測定されたRF信号のβ値および固定パワー記録後の再生されたRF信号のβ値を示す。
図10において、測定されたRF信号のβ値152は、合焦点近傍であるフォーカスオフセット量の値xで変化点を示している。ここで変化点とは、グラフ上で各フォーカスオフセット量に対応するβ値の接線成分の傾きの変化が大きくなる位置をいう。
この場合、RF信号のβ値をフォーカスオフセット量の最小値から最大値まで所定量ごとに測定し、測定されたRF信号のβ値の値を元にグラフを作成する。そのグラフ上のそれぞれの測定された点について、RF信号のβ値の接線の傾きが最大となる点、即ち変化点を求めることによって、そのときのフォーカスオフセット量、即ち調整値を求めることができる。この方法は、ピークサーチ法そのものではないが、RF信号のβ値を実際に測定し、合焦位置に対応する特徴点を検出することによって調整値を求めるという点で、本発明の優位性が生かされている。以下、この方法を「変化点サーチ法」と称す。
次に、RF信号のアシンメトリを測定することにより、調整値となるフォーカスオフセット量を求める例について述べる。図11に、記録済み情報を再生する際にフォーカスオフセット量を変化させて得られたRF信号のアシンメトリのグラフ153と、記録パワーを固定してフォーカスオフセット量を変化させて記録した後に、それを再生して得たRF信号のβ値のグラフ151とを示す。横軸は、フォーカスオフセット量を示し、縦軸は、測定されたRF信号のアシンメトリおよび固定パワー記録後の再生されたRF信号のβ値を示す。
図11においても、測定されたRF信号のアシンメトリは、合焦点近傍であるフォーカスオフセット量の値xで変化点を示している。よって、変化点サーチ法を用い、グラフ上でRF信号のアシンメトリの接線の傾きを求め、アシンメトリの接線の傾きが最大値となるところを変化点として求めることにより、調整値となるフォーカスオフセット量を求めることができる。
以上説明したように、検出信号としてRF信号振幅のみならず、RF信号に基づく他の特性値、例えば、β値、アシンメトリ、変調度等検出信号として用いる場合であっても、実際にそれらをフォーカスオフセット量に対して測定により求め、合焦点付近に現れる最大値や変化点などの特徴点を求めることにより、適正なフォーカスオフセット量を高精度で求めることができる。
本発明は、DVD−R/RW、DVD+R/RW、ブルーレイ(Blu-ray)ディスク、AOD(Advanced Optical Disc)、CD−R/RWなどの光ディスクにおける情報記録に利用することができる。

Claims (7)

  1. フォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御部と、
    所定の変化範囲において前記フォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定手段と、を備え、
    前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、前記アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量としたことを特徴とする情報記録再生装置。
  2. 前記所定の変化範囲は、フォーカスエラー信号のゼロクロス点を中心とし、所定のフォーカスエラー量の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  3. 前記所定の変化範囲は、フォーカスループのロックレンジ内における所定のフォーカスエラー量の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  4. 前記所定の変化範囲は、所定の記録再生特性を示すパラメータの値が許容値以内である範囲であることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  5. 複数のフォーカスオフセット量に対応する検出信号の値に基づいて、検出信号の予測特性を生成し、当該予測特性の特徴点を含む範囲を前記所定の変化範囲に決定する変化範囲決定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
  6. 対物レンズを有するフォーカス制御部を備える情報記録再生装置において実行される情報記録再生方法であって、
    所定の変化範囲においてフォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定工程と、 前記最適なフォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて前記対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御工程と、を備え、
    前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、前記アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量としたことを特徴とする情報記録再生方法。
  7. 対物レンズを有するフォーカス制御部と、コンピュータとを備える情報記録再生装置により実行されるフォーカス位置調整プログラムであって、
    フォーカスオフセット量を含むフォーカス制御信号に基づいて前記フォーカス制御部により対物レンズを移動させ、情報記録媒体に対するレーザ光のフォーカス状態を制御するフォーカス制御手段、
    所定の変化範囲において前記フォーカスオフセット量を変化させたときに得られる検出信号の特徴点を検出することにより、最適なフォーカスオフセット量を決定する決定手段として前記コンピュータを機能させ、
    前記検出信号は記録済み情報の再生RF信号のアシンメトリ値であり、前記特徴点は前記アシンメトリ値の変化点であって、前記アシンメトリ値における接線の傾きが最大値となるときのフォーカスオフセット量を前記最適なフォーカスオフセット量としたことを特徴とするフォーカス位置調整プログラム。
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