JP4328109B2 - イソシアネート化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、イソシアネート化合物の製造方法に関し、詳しくは、カルバメート化合物を熱分解することによって、イソシアネート化合物を製造する、イソシアネート化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソシアネート化合物は、少なくとも1つのイソシアネート基(−NCO)を有する化合物であって、ポリウレタン、ポリ尿素などの原料として、工業的に広く用いられている。
【0003】
従来より、イソシアネート化合物は、アミンとホスゲンとの反応から工業的に製造されているが、ホスゲンは毒性が強く、その取り扱いが煩雑であり、しかも、大量の塩酸を副生するので、装置の腐食に配慮する必要があるなど、種々の不具合があり、これに代わるイソシアネート化合物の工業的な製造方法の開発が望まれている。
【0004】
ホスゲンを使用しないイソシアネート化合物の製造方法として、例えば、カルバメート化合物を熱分解する方法が知られている。この方法は、カルバメート化合物を熱分解するものであるが、そのまま熱分解しても、熱分解速度が低いので、効率的な熱分解を促進するために、種々の触媒を用いることが各種提案されている。
【0005】
例えば、特開昭57−158747号公報(特許文献1)には、触媒として、亜鉛、銅、アルミニウム、チタンおよび炭素の群の元素(炭素を除く)とそれらの酸化物を用いることが記載されている。
【0006】
また、特開昭57−159751号公報(特許文献2)には、触媒として、希土類、アンチモンまたはビスマスとそれらの酸化物を用いることが記載されている。
【0007】
また、特開昭57−158746号公報(特許文献3)には、触媒として、ホウ素およびヒ素の誘導体、アンチモンと第四アンモニウム塩を用いることが記載されている。
【0008】
また、米国特許第5,326,903号明細書(特許文献4)には、触媒として、合成のホウ素、アルミニウム、ケイ素、スズ、鉛、アンチモン、亜鉛、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ニオブ、ウォルフラムおよび鉄の酸化物を用いることが記載されている。
【0009】
また、特開2002−30061号公報(特許文献5)には、触媒として、天然または合成シリケートを用いることが記載されている。
【0010】
【特許文献1】
特開昭57−158747号公報
【特許文献2】
特開昭57−159751号公報
【特許文献3】
特開昭57−158746号公報
【特許文献4】
米国特許第5,326,903号明細書
【特許文献5】
特開2002−30061号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような熱分解によるイソシアネート化合物の製造方法において、工業的には、上記した触媒以上に、高選択性かつ高収率でイソシアネート化合物を製造できる触媒の開発が望まれている。
【0011】
本発明の目的は、熱分解速度が高く、高選択性かつ高収率でイソシアネート化合物を製造することのできる、イソシアネート化合物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のイソシアネート化合物の製造方法は、カルバメート化合物を、シリケート、シリカゲルおよび金属単体からなる群から選ばれる少なくとも1種の固体触媒および錫有機酸塩の存在下において、熱分解することを特徴としている。
【0013】
本発明においては、シリケートが、ゼオライトであることが好ましく、ゼオライトが、モレキュラーシーブ、MCM−41、TS−1からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、金属単体が、銅、亜鉛、鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
また、本発明においては、熱分解温度が、300℃以下であることが好ましく、また、生成するイソシアネート化合物の沸点よりも、高い沸点を有する不活性溶媒の存在下において、熱分解することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のイソシアネート化合物の製造方法では、カルバメート化合物を、固体触媒および錫有機酸塩の存在下において、熱分解する。
【0017】
本発明において、原料であるカルバメート化合物は、分子内に少なくとも1つのウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物であって、例えば、下記一般式(1)で示される。
【0018】
一般式(1)
R1−(NHCOOR2)n (1)
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、nは、1〜4の整数を示す。)
一般式(1)の式中、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基は、特に制限されないが、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
【0019】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
【0020】
アルケニル基としては、例えば、プロペニル、ブテニル、ペンテニルなどが挙げられる。
【0021】
アルキリデン基としては、例えば、エチリデン、プロピリデン、ブチリデン、ペンチリデン、ヘキシリデンなどが挙げられる。
【0022】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチル、ジメチルシクロヘキシル、イソホロン、ノルボルネン、デカリン、アダマンタン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン)、2,4’−メチレンビス(シクロヘキサン)、1,4−シクロヘキシリデンなどが挙げられる。
【0023】
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ビフェニル、アントリル、トリメチルフェニル、4,4’−メチレンビスフェニレンなどが挙げられる。
【0024】
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、特に制限されないが、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。
【0025】
また、一般式(1)の式中、nは、1〜4の整数であり、具体的には、R1およびR2で示される置換基の種類に応じて、適宜決定される。
【0026】
このようなカルバメート化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、メチルヘキシルカルバメート、メチルオクチルカルバメート、メチルドデシルカルバメート、メチルオクタデシルカルバメート、1,4−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ブタン、1,4−ビス(エトキシカルボニルアミノ)ブタン、1,4−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ブタン、1,5−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ペンタン、1,6−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン、1,6−ビス(エトキシカルボニルアミノ)ヘキサン、1,6−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサン、1,8−ビス(メトキシカルボニルアミノ)オクタン、1,8−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)オクタン、1,8−ビス(フェノキシカルボニルアミノ)−4−(フェノキシカルボニルアミノメチル)オクタン、1,9−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ノナン、1,9−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ノナン、1,10−ビス(メトキシカルボニルアミノ)−デカン、1,12−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)−ドデカン、1,12−ビス(メトキシカルボニルアミノ)−ドデカン、1,12−ビス(フェノキシカルボニルアミノ)−ドデカン、2,2’−ビス(4−プロポキシカルボニルアミノフェニル)プロパン、1,3,6−トリス(メトキシカルボニルアミノ)ヘキサン、1,3,6−トリス(フェノキシカルボニルアミノ)ヘキサンなどの脂肪族系カルバメート化合物、例えば、1,3−または1,4−ビス(メトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(エトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(エトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン、1,3−または1,4−ビス(ブトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサン、2,4’−または4,4’−ビス(エトキシカルボニルアミノ)ジシクロヘキサンメタン、2,4’−または4,4’−ビス(フェノキシカルボニルアミノ)ジシクロヘキシルメタン、2,4’−または4,4’−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ジシクロヘキシルメタン、2,4’−または4,4’−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ジシクロヘキシルメタン、2,5−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,5−ビス(ブトキシカルボニルアミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(ブトキシカルボニルアミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−(メトキシカルボニルアミノ)−3,3,5−トリメチル−5−(メトキシカルボニルアミノメチル)−シクロヘキサン、1−(ブトキシカルボニルアミノ)−3,3,5−トリメチル−5−(ブトキシカルボニルアミノメチル)−シクロヘキサン、3−メトキシカルボニルアミノメチル−3,5,5−トリメチル−1−メトキシカルボニルアミノシクロヘキサン、4,4’−ビス(メトキシカルボニルアミノ)−2,2’−ジシクロヘキシルプロパン、4,4’−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)−2,2’−ジシクロヘキシルプロパンなどの脂環族系カルバメート化合物、例えば、1,3−または1,4−ビス(メトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(エトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ベンゼン、1,3−または1,4−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ベンゼン、2,4’−または4,4’−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,4’−ビス(エトキシカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,4’−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(フェノキシカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,5−または2,6−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ナフタレン、1,5−または2,6−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ナフタレン、4,4’−ビス(メトキシカルボニルアミノ)ビフェニル、4,4’−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)ビフェニル、2,4−または2,6−ビス(メトキシカルボニルアミノ)トルエン、2,4−または2,6−ビス(エトキシカルボニルアミノ)トルエン、2,4−または2,6−ビス(ブトキシカルボニルアミノ)トルエンなどの芳香族系カルバメート化合物などが挙げられる。これらカルバメート化合物は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0027】
そして、本発明のイソシアネート化合物の製造方法では、熱分解において、触媒として、固体触媒と錫有機酸塩とを併用する。
【0028】
本発明において、固体触媒は、シリケート、シリカゲルおよび金属単体から選択される。これら固体触媒は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0029】
シリケートは、二酸化珪素と金属酸化物との塩であって、用いるシリケートとしては特に制限されず、例えば、カンラン石、柘榴石、ガドリン石などのネソシリケート、例えば、緑簾石、パンペリー石などのソロシリケート、例えば、ベニト石、斧石、緑柱石、電気石、大隈石などのサイクロ(環状)シリケート、例えば、輝石、角閃石などのイノ(鎖状)シリケート、例えば、雲母、緑泥石、カオリナイト、蛇紋石、モンモリロナイト、バーミキュライト、フラー土、ベントナイトなどのフィロ(層状)シリケート、例えば、正長石、方ソーダ石、ゼオライト、柱石などのテクト(3次元網状)シリケートなどが挙げられる。これらシリケートは、天然シリケートおよび合成シリケートのいずれを用いてもよく、これらを単独または2種以上併用してもよい。このようなシリケートとしては、ゼオライトが好ましく用いられる。
【0030】
ゼオライトとしては、例えば、モレキュラーシーブ(モレキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X)、MCM−41、TS−1、TS−2、ZSM−5、ZSM−11、ラインX、リンデY、フォージュサイト、モルデナイトなどが挙げられる。また、このようなゼオライトとしては、モレキュラーシーブ、MCM−41、TS−1が好ましく用いられる。これらは単独または2種以上併用してもよい。
【0031】
シリカゲルは、非晶質の珪酸であって、例えば、天然シリカゲルおよび合成シリカゲルなどが挙げられる。シリカゲルとしては、これら天然シリカゲルおよび合成シリカゲルのいずれを用いてもよく、これらを単独または2種以上併用してもよい。
【0032】
金属単体としては、金属元素の単体であって、例えば、周期律表(1989年、IUPAC)の第1周期において、原子番号22〜30の金属が挙げられ、好ましくは、銅、亜鉛、鉄が挙げられる。
【0033】
錫有機酸塩としては、例えば、二塩化ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル錫、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン、1,3−ジラウリルオキシ−1,1,3,3−テトラブチルスタノキサン(TK−1L、三井武田社製)、トリス(2−エチルヘキシル酸)ブチル錫、酢酸トリフェニル錫、2−エチルヘキサノエート錫(II)などが挙げられる。これらは単独または2種以上併用してもよい。好ましくは、酢酸トリフェニル錫、1,3−ジラウリルオキシ−1,1,3,3−テトラブチルスタノキサンが用いられる。
【0034】
そして、これら触媒は、特に制限されないが、例えば、後述する反応液(仕込み時におけるカルバメート化合物、触媒および不活性溶媒の合計)に対して、0.0001〜5重量%の範囲、好ましくは、0.001〜1重量%の範囲で用いられる。また、固体触媒と錫有機酸塩との割合は、原料や熱分解条件などにより、適宜決定すればよいが、例えば、錫有機酸塩1重量部に対して、固体触媒が、0.001〜100重量部、好ましくは、0.01〜20重量部である。
【0035】
そして、本発明のイソシアネート化合物の製造方法では、上記したカルバメート化合物を、上記した固体触媒および錫有機酸塩の存在下において、熱分解する。
【0036】
熱分解は、特に制限されないが、例えば、カルバメート化合物、固体触媒および錫有機酸塩を、不活性溶媒に配合して加熱すればよく、また、この熱分解において副生するアルコールを系外に分離させる反応蒸留方式により実施することが好ましい。
【0037】
不活性溶媒は、原料であるカルバメート化合物および生成するイソシアネート化合物に対して不活性であれば、特に制限されないが、熱分解反応を効率よく実施するには、生成するイソシアネート化合物の沸点よりも高い沸点を有する不活性溶媒であることが好ましい。
【0038】
このような不活性溶媒としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ジドデシルなどのエステル類、例えば、ジベンジルトルエン、トリフェニルメタン、フェニルナフタレン、ビフェニル、ジエチルビフェニル、トリエチルビフェニルなどの熱媒体として常用される芳香族系炭化水素や脂肪族系炭化水素などが挙げられる。
【0039】
不活性溶媒の配合量は、特に制限されないが、例えば、カルバメート化合物1重量部に対して、不活性溶媒が、0.05〜150重量部、好ましくは、0.2〜80重量部である。
【0040】
また、熱分解温度は、例えば、80℃以上、300℃以下、好ましくは、150〜280℃である。熱分解温度が、80℃よりも低いと、実用的な熱分解速度が得られない場合があり、また、300℃を超えると、イソシアネート化合物の重合など、好ましくない副反応を生じる場合がある。
【0041】
また、熱分解時の圧力は、上記の熱分解温度に対して、副生するアルコールが気化し得る圧力であることが好ましく、設備面および用役面から実用的には、好ましくは、0.133〜90kPaである。
【0042】
また、この熱分解は、窒素雰囲気下において実施することが好ましい。
【0043】
また、この熱分解は、カルバメート化合物、固体触媒、錫有機酸塩および不活性溶媒を一括で仕込む回分反応、また、固体触媒および錫有機酸塩を含む不活性溶媒中に、減圧下でカルバメート化合物を仕込んでいく連続反応のいずれにおいても、実施することができる。
【0044】
そして、このような熱分解において、カルバメート化合物が熱分解され、これによって、対応するイソシアネート化合物が生成され、アルコールが副生される。
【0045】
このようなイソシアネート化合物の製造方法によれば、高選択性かつ高収率でイソシアネート化合物を得ることができ、また、生成したイソシアネート化合物からアルコールを系外に分離することによって、高分子量の副生成物の生成を効果的に抑制することができる。
【0046】
また、このイソシアネート化合物の製造方法によれば、熱分解の終了後には、反応液の残液から、濾過や遠心分離などの公知の分離方法によって、固体触媒を容易に回収することができるので、回収した固体触媒は、そのまま、あるいは、溶媒洗浄や焼成などの公知の精製方法によって、再活性化させた後、再使用することもできる。
【0047】
なお、以上、イソシアネート化合物の製造方法について説明したが、本発明のイソシアネート化合物の製造方法においては、精製工程や回収工程などの後処理工程など、公知の工程を含んでいてもよい。
【0048】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1
撹拌機、滴下漏斗、温度計および冷却器を備えた精留塔を付けた500mL4つ口フラスコを反応器として用いた。冷却器には70℃の温水を流し、受器は冷エタノールで冷却したコールドトラップを通して真空ラインに連結した。フラスコに、サームエス1000S(新日鐵化学社製、主成分ジベンジルトルエン、沸点387℃)190g、TK−1L(三井武田ケミカル社製)0.05g、モレキュラーシーブ5A(MS−5A)0.2gを仕込み、反応系内を窒素置換した。系内の圧力を1.3kPaに保持しながら、マントルヒータで230℃まで昇温させた後、1,6−ヘキサメチレンジメチルカルバメート10gを添加した。約20分後に留出が始まったので、さらに、1,6−ヘキサメチレンジメチルカルバメート30gを1.5時間かけて滴下した。
【0050】
反応終了後、受器に集められた反応液(蒸留分)をガスクロマトグラフで定量分析した結果、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート24.6g(85%)およびモノイソシアネート4.1g(12%)の生成が確認された。留出率は97%であった。
【0051】
実施例2〜6
モレキュラーシーブ5AおよびTK−1Lに代えて、表1に記載の固体触媒および錫有機酸塩を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られた1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとモノイソシアネートの収率および留出率を表1に示す。
【0052】
実施例7
実施例1に記載の装置に、電磁式還流装置を取り付け、還流比10で還流した以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られた1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとモノイソシアネートの収率および留出率を表1に示す。
【0053】
実施例8
1,6−ヘキサメチレンジメチルカルバメートに代えて、1,3−ビス(メトキシカルボニルメチル)シクロヘキサンを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られた1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとモノイソシアネートの収率および留出率を表1に示す。
【0054】
比較例1〜3
モレキュラーシーブ5AおよびTK−1Lに代えて、表1に記載の固体触媒または錫有機酸塩のいずれかのみを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行なった。得られた1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとモノイソシアネートの収率および留出率を表1に示す。
【0055】
【表1】
【発明の効果】
本発明のイソシアネートの製造方法によれば、ポリウレタンなどの原料として工業的に用いられるイソシアネート化合物を、高選択性かつ高収率で得ることができる。
Claims (6)
- カルバメート化合物を、
シリケート、シリカゲルおよび金属単体からなる群から選ばれる少なくとも1種の固体触媒および錫有機酸塩の存在下において、
熱分解することを特徴とする、イソシアネート化合物の製造方法。 - シリケートが、ゼオライトであることを特徴とする、請求項1に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
- ゼオライトが、モレキュラーシーブ、MCM−41、TS−1からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2に記載のイソシアネート化合物の製造方法。
- 金属単体が、銅、亜鉛、鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のイソシアネート化合物の製造方法。
- 熱分解温度が、300℃以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のイソシアネート化合物の製造方法。
- 生成するイソシアネート化合物の沸点よりも、高い沸点を有する不活性溶媒の存在下において、熱分解することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のイソシアネート化合物の製造方法。
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