JP4327992B2 - 燃料電池電気自動車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ倍力装置を備える燃料電池電気自動車に関し、特に、燃料電池のガス供給手段で発生させた正圧/負圧によってブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧を調整する燃料電池電気自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、燃料電池は電気エネルギを発生させる際に環境に対してクリーンなことから、燃料電池システムを搭載する燃料電池電気自動車の開発が盛んに行なわれている。燃料電池は、水素ガスと酸素ガスを化学反応させて水を生成するとともに、この化学エネルギから電気エネルギを発生する。そのため、燃料電池システムには、燃料電池に供給ガス(水素ガスおよび酸素ガス)を供給するガス供給装置をアノード極側とカソード極側に各々備える。
【0003】
一般に、自動車には、ドライバによるブレーキペダルの操作力を軽減するために、ブレーキ倍力装置としてブレーキブースタが備えられる。自動車用のブレーキブースタは、バキュームサーボ式が大部分を占め、倍力源を負圧とする。また、圧縮空気を倍力源とするエアサーボ式のブレーキブースタもある。そこで、エンジン等の内燃機関を動力源とする自動車の場合、エンジンの吸気マニホールドから負圧を取り出して、ブレーキブースタの倍力源としている。ところが、電気自動車の場合、エンジン等がないため、ブレーキブースタ専用に負圧源等の倍力源を設けなければならない。例えば、実用新案登録番号2595074号公報には、電気自動車用電動機のブースタ負圧源確認制御について開示されている。この電気自動車は、ブレーキブースタ専用の倍力源として負圧ポンプを備え、この負圧ポンプによってブレーキブースタ用の負圧タンクに負圧を蓄えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
つまり、燃料電池電気自動車にブレーキ倍力装置を搭載する場合、ブレーキブースタ用タンクを負圧または正圧に調整するために、負圧ポンプ等の倍力源を専用に備えなければならなかった。しかも、この専用の倍力源のために、専用スペースを必要とするのでブレーキシステムが大型化するとともに、ブレーキシステムの構成も複雑化する。
【0005】
そこで、本発明の課題は、ブレーキ倍力装置専用の倍力源を必要としない燃料電池電気自動車を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明に係る燃料電池電気自動車は、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクを備える燃料電池電気自動車であって、燃料電池のカソード極側へ酸化ガスを供給するガス供給手段を備え、前記ガス供給手段の吐出側に発生する正圧または前記ガス供給手段の吸引側に発生する負圧によって、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧を所定の圧力にすることを特徴とする。
この燃料電池電気自動車によれば、燃料電池システムのガス供給手段で発生させた正圧によってブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに酸化ガスを送り込み、またはガス供給手段で発生させた負圧によってブレーキ倍力装置用蓄圧タンク内の空気を引き込み、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧を調整することができる。そのため、ブレーキ倍力装置専用に倍力源を設ける必要がない。
なお、所定の圧力とは、各ブレーキ倍力装置で設定される倍力比(一般に、3〜7倍程度)に応じて設定する。ちなみに、本実施の形態では、この所定の圧力を、エアサーボ式ブレーキブースタの場合には60kPaG(0.6kgf/cm2G)とし、バキュームサーボ式ブレーキブースタの場合には−80kPaG(−0.8kgf/cm2G)とする。
【0007】
さらに、前記燃料電池電気自動車において、前記ガス供給手段は、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧の状態に応じて制御されることを特徴とする。
この燃料電池電気自動車によれば、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧に応じてガス供給手段を制御することによって、常時、必要十分以上の圧力をブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに蓄えておくことができる。さらに、圧力制御手段が開閉することによって燃料電池への供給ガス量が増減するが、圧力制御手段が閉じた時でも、ガス供給手段によって燃料電池への供給ガス量を増加させることによって、常時、燃料電池へは必要十分な酸化ガスを供給することができる。
【0008】
しかも、前記燃料電池電気自動車において、前記ガス供給手段によって発生する正圧または負圧を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする。
この燃料電池電気自動車によれば、ガス供給手段での消費電力を抑えつつ、圧力制御手段によってガス供給手段の吐出側で発生している正圧またはガス供給手段の吸引側で発生している負圧を所定の圧力に調整することができる。
【0009】
また、前記燃料電池電気自動車において、前記圧力制御手段は、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧の状態に応じて制御されることを特徴とする。
この燃料電池電気自動車によれば、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧に応じて圧力制御手段を制御することによって、常時、必要十分以上の圧力をブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに蓄えておくことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る燃料電池電気自動車の実施の形態について説明する。
【0011】
本発明に係る燃料電池電気自動車は、燃料電池のカソード極側に酸化ガスを供給するガス供給手段によって発生する負圧(大気圧以下の圧力)または正圧を(大気圧以上の圧力)利用して、ブレーキブースタ(ブレーキ倍力装置)用タンクの内圧を調整する。
【0012】
本実施の形態に燃料電池電気自動車では、ブレーキシステムにブレーキブースタを備えるとともに、自動車の動力源であるモータに電気エネルギを供給する燃料電池システムを備える。本実施の形態では、ブレーキブースタとして、圧縮空気(正圧)を利用するエアサーボ式ブレーキブースタを備える燃料電池電気自動車を第1の実施の形態とし、負圧を利用するバキュームサーボ式ブレーキブースタを備える燃料電池電気自動車を第2の実施の形態とする。また、本実施の形態では、燃料電池システムにおいて、燃料電池のカソード極側に供給空気を供給する空気供給装置を備えるとともに、燃料電池のアノード極側に供給水素を供給する水素供給装置を備える。この空気供給装置は、燃料電池の下流側に配置されたコンプレッサ(ガス供給手段)によって、負圧により排出空気を燃料電池内から吸引することによって供給空気を燃料電池に供給する。なお、第1の実施の形態では、コンプレッサの下流側(吐出側)で発生する正圧をエアサーボ式ブレーキブースタの倍力源とし、第2の実施の形態では、コンプレッサの上流側(吸入側)で発生する負圧をバキュームサーボ式ブレーキブースタの倍力源とする。さらに、第1の実施の形態では、コンプレッサの吐出圧(正圧)(ひいては、エアサーボ式ブレーキブースタ用タンクの内圧)をコンプレッサの下流に設けた圧力制御弁で調整し、第2の実施の形態では、コンプレッサの吸入圧(負圧)(ひいては、バキュームサーボ式ブレーキブースタ用タンクの内圧)をコンプレッサの上流に設けた負圧制御弁で調整する。
なお、本実施の形態では、酸化ガスを空気とする。また、本実施の形態では、燃料電池に供給する供給空気に対して、加湿器に加湿される前の乾燥空気である供給空気に符号としてAdを付し、加湿器に加湿された後の湿潤空気である供給空気に符号としてAwを付す。
【0013】
まず、図1乃至図5を参照して、第1の実施の形態の燃料電池電気自動車EVAについて説明する。燃料電池電気自動車EVAは、燃料電池システムFCSAとブレーキシステムBAを備える。この燃料電池電気自動車EVAは、燃料電池システムFCSAのコンプレッサ24の下流側の正圧によってブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aに圧縮された排出空気Aeを送り込み、さらに燃料電池システムFCSAの圧力制御弁25の開度によってブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を調整する。
なお、第1の実施の形態では、燃料電池電気自動車EVAが、特許請求の範囲に記載の燃料電池電気自動車に相当する。
【0014】
最初に、図1を参照して、燃料電池システムFCSAの構成について説明する。燃料電池システムFCSAは、主に、燃料電池1、空気供給装置2A、水素供給装置3および制御装置4A等から構成される。
【0015】
まず、図2を参照して、燃料電池1について説明する。燃料電池1は、電解質膜1cを挟んでカソード極側(酸素(空気)極側)とアノード極側(水素極側)とに分けられ、それぞれの側に白金系の触媒を含んだ電極が設けられ、カソード電極1bおよびアノード電極1dを形成している。電解質膜1cとしては、固体高分子膜、例えばプロトン交換膜であるパーフロロカーボンスルホン酸膜が使われる。この電解質膜1cは、固体高分子中にプロトン交換基を多数持ち、飽和含水することにより常温で20Ω−プロトン以下の低い比抵抗を示し、プロトン導伝性電解質として機能する。なお、カソード電極1bに含まれる触媒は酸素から酸素イオンを生成する触媒であり、アノード電極1dに含まれる触媒は水素からプロトンを生成する触媒である。
【0016】
この燃料電池1は、カソード極側ガス通路1aに供給空気Awが供給され、アノード極側ガス通路1eに供給水素Hsが供給されると、アノード電極1dで水素が触媒作用でイオン化してプロトンが生成する。この生成したプロトンが、電解質膜1c中を移動してカソード電極1bに到達する。そして、カソード電極1bに到達したプロトンは、触媒の存在下、供給空気Awの酸素から生成した酸素イオンと直ちに反応して水を生成する。生成した水および未使用の酸素を含む供給空気Awは、排出空気Aeとして燃料電池1のカソード極側の出口から排出される。また、アノード電極1dでは水素がイオン化する際に電子e-が生成するが、この生成した電子e-は、モータ等の外部負荷Mを経由してカソード電極1bに達する。
【0017】
次に、図1を参照して、空気供給装置2Aの構成について説明する。空気供給装置2Aは、エアクリーナ21、熱交換器22、加湿器23、コンプレッサ24、圧力制御弁25、流量センサQ、温度センサT1,T2および湿度センサH等から構成される。なお、空気供給装置2Aは、制御装置4Aに制御されるので、制御装置4Aを構成に含む。
【0018】
エアクリーナ21は、図示しないフィルタ等から構成され、燃料電池1のカソード極側に供給される空気(供給空気Ad)をろ過して、供給空気Adに含まれるごみ等を取り除く。
【0019】
熱交換器22は、図示しない低温流体側流路および高温流体側流路を備えるプレート式熱交換器等から構成され、燃料電池1のカソード極側から排出されコンプレッサ24で圧縮されて高温となった排出空気Aeとエアクリーナ21でろ過した供給空気Adを熱交換する。この熱交換器22により、供給空気Adが加熱され、燃料電池1に導入される。なお、燃料電池1は、80〜90℃程度の温度で運転される。このため、供給空気Ad(Aw)は、60〜75℃に温度制御されて燃料電池1に導入される。この供給空気Ad(Aw)の温度制御の詳細は後述する。
【0020】
加湿器23は、図示しないベンチュリ、サイフォンおよび水貯蔵タンク等から構成され、水貯蔵タンクに貯蔵された加湿用の水をベンチュリ効果で吸い上げて噴霧し、供給空気Adを加湿し、湿潤空気の供給空気Awとする。そして、この加湿された供給空気Awは、燃料電池1のカソード極側に供給される。なお、サイフォンには、ステッピングモータにより駆動して該サイフォンを通流する水の流量を制御するニードルが挿入されている(つまり、サイフォンとニードルでニードル弁を構成している)。このように、供給空気Adを加湿するのは、燃料電池1を加湿し、図2に示す電解質膜1cが乾燥するのを防止するためである。ちなみに、電解質膜1cが乾燥すると、プロトンの移動が阻害され起電力が低下する。なお、燃料電池1を加湿しすぎても、図2に示すカソード電極側ガス通路1aや図示しない拡散層が水没し、供給空気Awの通流が阻害され起電力が低下する。ちなみに、加湿器23は、制御装置4Aの制御信号によりニードル弁の開度が制御される。
【0021】
コンプレッサ24は、図示しないスーパーチャージャおよびこれを駆動するモータ等から構成され、燃料電池1で酸化剤ガスとして使用された後の供給空気Aw、つまり燃料電池1のカソード極側から排出される排出空気Aeを吸引し、圧縮して後段の熱交換器22に送出する。このコンプレッサ24は、供給空気Awを吸引することにより、燃料電池1のカソード極側を負圧(大気圧以下の圧力)で運転する役割を有する。また、コンプレッサ24は、排出空気Aeを断熱圧縮することにより排出空気Aeの温度を高め、排出空気Aeを加熱するための熱源の役割を有する。さらに、コンプレッサ24は、下流側(吐出側)で排出空気Aeを圧縮して圧力を上昇させて正圧とし、この正圧によってブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aに圧縮された排出空気Aeを送り込む役割も有する。ちなみに、コンプレッサ24は、制御装置4Aからの制御信号によりモータ回転数が制御される。
なお、第1の実施の形態では、コンプレッサ24が、特許請求の範囲に記載のガス供給手段に相当する。
【0022】
圧力制御弁25は、図示しないバタフライ弁およびこれを駆動するステッピングモータ等から構成され、コンプレッサ24から吐出される排出空気Aeの圧力を調整する。ちなみに、圧力制御弁25により排出空気Aeが通流する流路を絞ると、コンプレッサ24の吐出圧が高まり、これに対応して排出空気Aeの温度上昇幅が増加する。また、この逆の動作を行なうと、コンプレッサ24の吐出圧が低くなり、これに対応して排出空気Aeの温度上昇幅が低減する。さらに、圧力制御弁25は、前記したようにコンプレッサ24の吐出圧を調整できるので、ブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を所定の圧力に調整する役割も有する。ちなみに、圧力制御弁25は、制御装置4Aの制御信号により開度が制御される。
なお、第1の実施の形態では、圧力制御弁25が、特許請求の範囲に記載の圧力制御手段に相当する。
【0023】
流量センサQは、可動プレートあるいはホットワイヤ等から構成され、エアクリーナ21を通流した後の供給空気Adの流量を検出し、検出信号を制御装置4Aに送信する。
【0024】
温度センサT1は、サーミスタ等から構成され、燃料電池1のカソード極側の入口における供給空気Awの温度を検出し、検出信号を制御装置4Aに送信する。
【0025】
温度センサT2は、温度センサT1と同様にサーミスタ等から構成され、コンプレッサ24の出口における排出空気Aeの温度を検出し、検出信号を制御装置4Aに送信する。
【0026】
湿度センサHは、高分子膜系の湿度センサ等から構成され、燃料電池1のカソード極側の入口における供給空気Awの湿度を検出し、検出信号を制御装置4Aに送信する。
【0027】
次に、図1を参照して、水素供給装置3の構成について説明する。水素供給装置3は、主に、水素ガスボンベ31、レギュレータ32および水素循環ポンプ33および三方弁34等から構成される。
【0028】
水素ガスボンベ31は、図示しない高圧水素容器から構成され、燃料電池1のアノード極側に導入される供給水素Hsを貯蔵する。貯蔵する圧力は、15〜20MPaG(150〜200kgf/cm2G)である。なお、水素ガスボンベ31は、水素吸蔵合金を内蔵し、1MPaG(10kgf/cm2G)程度の圧力で水素を貯蔵する水素吸蔵合金タイプである場合もある。
【0029】
レギュレータ32は、図示しないダイヤフラムや調整バネ等から構成され、高圧で貯蔵された供給水素Hsを所定の圧力まで減圧させ、一定圧力で使用できるように圧力調整する圧力調整弁である。なお、ダイヤフラムに入力される基準圧を大気圧にすると、水素ガスボンベ31に貯蔵された供給水素Hsの圧力を大気圧近辺にまで減圧することができる。また、ダイヤフラムに入力される基準圧を負圧で運転している空気供給装置2Aの負圧部分の圧力にすると、水素ガスボンベ31に貯蔵された供給水素Hsの圧力を当該負圧部分の圧力近辺にまで減圧することができる。本実施の形態では、水素供給装置3を負圧で運転するため、レギュレータ32には、空気供給装置2Aのコンプレッサ24の吸入側の圧力が基準圧として入力される。
【0030】
水素循環ポンプ33は、図示しないエジェクタ等から構成され、燃料電池1のアノード極側に向かう供給水素Hsの流れを利用して、燃料電池1で燃料ガスとして使用された後の供給水素Hs、つまり燃料電池1のアノード極側から排出され三方弁34を通流する排出水素Heを吸引し循環させる。
【0031】
三方弁34は、図示しない流路切替器から構成され、排出水素Heの流路を切り替えて、排出位置、循環位置にする。三方弁34を排出位置に切り替えた場合には、三方弁34は、燃料電池1のアノード極側ガス通路1e(図2参照)(すなわち、アノード極側出口)と図示しない排出水素Heの排出口を連通する。すると、排出水素Heは、三方弁34を介して水素供給装置3の系外に排出される。他方、三方弁34を循環位置に切り替えた場合には、三方弁34は、燃料電池1のアノード極側ガス通路1e(すなわち、アノード極側出口)と水素循環ポンプ33を連通する。すると、排出水素Heは、三方弁34を介して水素循環ポンプ33に導かれる。
【0032】
次に、図1を参照して、ブレーキシステムBAの構成について説明する。ブレーキシステムBAは、主に、ブレーキペダル50、エアサーボ式ブレーキブースタ51A、ブレーキブースタ用タンク52A、逆止弁53A、マスタシリンダ54、圧力センサPおよび図示しないホイールシリンダやこのホイールシリンダとマスタシリンダ54とを結ぶブレーキ液圧通路等から構成される。
【0033】
ブレーキペダル50は、ドライバの足による踏力を受け、この踏力によってブレーキを作動させるペダルである。
【0034】
エアサーボ式ブレーキブースタ51Aは、ブレーキペダル50とマスタシリンダ54の間に設けられ、圧縮空気(正圧)を利用してドライバの踏力を軽減する装置である。エアサーボ式ブレーキブースタ51Aは、2つのダイアフラムを備えるタンデム式であり、ブレーキブースタ用タンク52Aに蓄えられている圧縮された排出空気Aeによってダイヤフラムを押圧する。そして、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aは、この押圧力によってドライバの踏力を倍力し、この倍力でマスタシリンダ54のピストンを押圧する。なお、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aでは、踏力に対して何倍の倍力を発生させるかの倍力比がブレーキシステムBA毎に設定される。
第1の実施の形態では、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aが、特許請求の範囲に記載のブレーキ倍力装置に相当する。
【0035】
ブレーキブースタ用タンク52Aは、燃料電池システムFCSAのコンプレッサ24から吐出されて圧縮された排出空気Aeを蓄える圧力容器であり、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aに圧縮空気を供給する供給源である。ブレーキブースタ用タンク52Aは、逆止弁53Aの下流側配管53bとエアサーボ式ブレーキブースタ51Aのダイヤフラムを押圧する側に接続する。ちなみに、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aの倍力比はブレーキブースタ用タンク52Aの内圧に依存するので、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧は、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aで設定されている倍力比に応じて所定の圧力に調整される。なお、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧は、正圧の60kPaG(0.6kgf/cm2G)に調整される。
なお、第1の実施の形態では、ブレーキブースタ用タンク52Aが、特許請求の範囲に記載のブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに相当する。
【0036】
逆止弁53Aは、図示しない弁体と弁座および弁体を弁座に付勢するバネ等の弾性部材等から構成され、自動的に燃料電池システムFCSAの排出空気Aeの流れをコンプレッサ24の下流側(吐出側)からブレーキブースタ用タンク52Aの一方向に制限する。そこで、逆止弁53Aは、上流側配管53aがコンプレッサ24の吐出側配管24aに接続され、下流側配管53bがブレーキブースタ用タンク52Aに接続される。なお、吐出側配管24aは、熱交換器22とコンプレッサ24の吐出側とを接続する配管である。つまり、逆止弁53Aは、前記した弾性部材の弾性力がコンプレッサ24の吐出圧より大きい場合、ブレーキブースタ用タンク52Aに蓄えられている排出空気Aeのコンプレッサ24の下流側への通流を止める(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧(正圧)を保持する)。他方、逆止弁53Aは、前記した弾性部材の弾性力がコンプレッサ24の吐出圧より小さい場合、コンプレッサ24から吐出される圧縮された排出空気Aeをブレーキブースタ用タンク52Aに通流させる(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Aの正圧が大きくなる)。したがって、逆止弁53Aの弾性部材の弾性力によって、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を、ほぼコンプレッサ24の吐出圧とすることができる。なお、弾性部材の弾性力は、前記したブレーキブースタ用タンク52Aの調整される内圧に基づいて設定される。
【0037】
マスタシリンダ54は、シリンダ本体にピストンが挿入され、ブレーキペダル50の踏み込みによる機械的な力を油圧力に変換する。つまり、ドライバによってブレーキペダル50が踏み込まれ、その踏力がエアサーボ式ブレーキブースタ51Aによって倍力されると、マスタシリンダ54では、この倍力によってピストンが押圧され、このピストンを介してシリンダ本体内のブレーキ液に圧力が加わり、ブレーキ液圧を発生させる。さらに、ブレーキシステムBAでは、このブレーキ液圧がブレーキ液圧通路を介してホイールシリンダに伝達され、ホイールシリンダによってブレーキ液圧が車輪を制動するための機械的なブレーキ力に変換される。他方、ドライバによってブレーキペダル50の踏み込みが開放されると、踏力が無くなるとともにエアサーボ式ブレーキブースタ51Aによる倍力も無くなり、マスタシリンダ54では、戻しバネの弾性力によりピストンが元に戻り、ブレーキ液圧も元に戻る。
【0038】
圧力センサPは、ブルドン管、ベローズ、ダイヤフラムあるいはストレインゲージ等から構成され、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を検出し、検出信号を制御装置4Aに送信する。
【0039】
次に、図1を参照して、制御装置4Aについて説明する。なお、制御装置4Aは燃料電池システムFCSAを統括制御するが、ここでは、本発明に関する空気供給装置2Aに対する制御について説明する。制御装置4Aは、燃料電池1の要求出力に基づいて、空気供給装置2Aに対して供給空気Aw(Ad)の流量制御、温度制御および湿度制御を行なう。なお、制御装置4Aは、燃料電池1の要求出力を、ドライバによる電気自動車へのアクセルペダルの開度等から決定する。また、制御装置4Aは、空気供給装置2Aに対してブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの圧力制御を行なう。
【0040】
制御装置4Aは、図示しないCPU、メモリ、入出力インタフェイス、A/D変換器、バス等から構成される。そして、制御装置4Aは、前記の通り各センサH,P,Q,T1,T2からの検出信号を受信するとともに、燃料電池1の要求出力に基づいて供給空気Aw(Ad)に対する目標量(目標流量、目標温度、目標湿度)を決定する。さらに、制御装置4Aは、加湿器23、コンプレッサ24および圧力制御弁25に対する制御信号を送信する。
【0041】
まず、空気供給装置2Aに対する供給空気Aw(Ad)の流量制御、温度制御および湿度制御について説明する。
【0042】
流量制御では、制御装置4Aは、燃料電池1のカソード極側の供給空気Ad(Aw)の流量が目標流量になるように、流量センサQからの検出信号に基づいて、コンプレッサ24のモータ回転数を増減させる。制御装置4Aは、目標流量に基づいて、目標流量が増加した場合、コンプレッサ24の吐出量(モータの回転数)を増加するように制御信号を生成し、コンプレッサ24に送信する。他方、制御装置4Aは、目標流量が減少した場合、コンプレッサ24の吐出量(モータの回転数)を低減するように制御信号を生成し、コンプレッサ24に送信する。この際、制御装置4Aは、流量センサQからの検出信号と目標流量の偏差がゼロになるようにフィードバック制御を行なう。ちなみに、コンプレッサ24のモータが回転し、コンプレッサ24が燃料電池1から排出される排出空気Aeを圧縮して吐出することによって、コンプレッサ24の下流側では正圧となる。
【0043】
温度制御では、制御装置4Aは、燃料電池1のカソード極側入口に供給される供給空気Awの温度が60〜75℃の目標温度になるように、温度センサT1からの検出信号に基づいて、圧力制御弁25の開度をステッピングモータによりフィードバック制御する。具体的には、制御装置4Aは、目標温度よりも供給空気Awの温度が上昇した場合(上昇しそうになった場合)、圧力制御弁25の開度が増加するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、圧力制御弁25の開度が増加することによって、コンプレッサ24の吐出圧が低くなり、排出空気Aeの温度が低下する。そして、熱交換器22では供給される排出空気Aeの温度が低下することによって熱交換量が減り、供給空気Awの温度が低下する。他方、制御装置4Aは、目標温度よりも供給空気Awの温度が低下した場合(低下しそうになった場合)、圧力制御弁25の開度が減少するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、圧力制御弁25の開度が減少することによって、コンプレッサ24の吐出圧が高くなり、排出空気Aeの温度が上昇する。そして、熱交換器22では供給される排出空気Aeの温度が上昇することによって熱交換量が増し、供給空気Awの温度が上昇する。なお、コンプレッサ24は、圧力制御弁25の開度にかかわらず、目標流量の供給空気Ad(Aw)を燃料電池1に供給すべく動作する。
【0044】
なお、図3に、コンプレッサ24の圧力比(吐出圧/吸入圧)に対する排出空気Aeの温度上昇幅(ΔT=吐出側温度−吸入側温度)の関係を示す。この図3より、圧力比を上昇(低下)させると温度上昇幅が増加(減少)するのがわかる。したがって、圧力制御弁25を制御することにより、コンプレッサ24の吐出側の排出空気Aeの温度を制御でき、結果として熱交換される供給空気Ad(Aw)の温度制御を行なうことができる。
【0045】
ちなみに、フェイルアンドセーフ機構として、制御装置4Aは、温度センサT2の検出信号が所定温度以上(本実施の形態では、150℃以上)になると、コンプレッサ24等を保護すべく、圧力制御弁25の開度の増加する制御信号および/またはコンプレッサ24の吐出量を低減する制御信号を生成し、圧力制御弁25および/またはコンプレッサ24に送信する。すると、圧力制御弁25の開度が増加および/またはコンプレッサ24の回転数が減少することによって、コンプレッサ24の吐出側の温度が下がり、コンプレッサ24等が保護される。
【0046】
湿度制御では、制御装置4Aは、燃料電池1のカソード極側入口に供給される供給空気Awの湿度が目標湿度になるように、湿度センサHからの検出信号に基づいて、加湿器23のニードル弁の開度をステッピングモータによりフィードバック制御する。具体的には、制御装置4Aは、目標湿度よりも供給空気Awの湿度が上昇した場合(上昇しそうになった場合)、ニードル弁の開度が減少するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、加湿器23に送信する。これにより、ニードル弁を通流する水の量が減少し、供給空気Awの湿度が低下する。他方、制御装置4Aは、目標湿度よりも供給空気Awの湿度が低下した場合(低下しそうになった場合)、ニードル弁の開度が増加するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、加湿器23に送信する。これにより、ニードル弁を通流する水の量が増加し、供給空気Awの湿度が上昇する。
【0047】
次に、空気供給装置2Aに対するブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの圧力制御について説明する。制御装置4Aは、ブレーキシステムBAのエアサーボ式ブレーキブースタ51Aの倍力源(圧縮空気)を確保するために、圧力センサPからの検出信号に基づいて、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を所定圧力(正圧)以上となるように圧力制御弁25の開度をステッピングモータにより制御する。なお、この所定圧力は、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aで設定されている倍力比に基づいて決定される。具体的には、制御装置4Aは、所定圧力よりもブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が低い場合、圧力制御弁25の開度が減少するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、圧力制御弁25の開度が減少することによって、コンプレッサ24の吐出圧が高くなる。そして、この高くなっていく吐出圧が逆止弁53Aの弾性部材の弾性力より大きくなると、圧縮された排出空気Aeが逆止弁53Aを介してブレーキブースタ用タンク52Aに流入し、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が上昇する。やがて、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が所定圧力以上になると、制御装置4Aは、圧力制御弁25の開度が減少する制御を停止する。なお、制御装置4Aは、空気供給装置2Aに対するブレーキブースタ用タンク52Aの内圧制御では、前記した空気供給装置2Aに対する温度制御を加味して制御信号を生成する。また、この内圧制御では、コンプレッサ24のモータ回転数を制御することによってコンプレッサ24の吐出圧を制御できるので、制御装置4Aによってコンプレッサ24のモータ回転数を制御してもよい。
【0048】
それでは、図1,図4および図5を参照して、空気供給装置2Aの動作について説明する。ここでは、空気供給装置2Aによる燃料電池1への供給空気Awの供給、空気供給装置2AによるブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの圧力調整の順に説明する。
【0049】
まず、空気供給装置2Aによる燃料電池1へ供給空気Awを供給する動作について説明する。この動作では、まず、制御装置4Aが、ドライバのアクセルペダル操作に応じて、燃料電池1で要求出力が決定する。そして、制御装置4Aは、前記したように、この要求出力に基づいて、供給空気Aw(Ad)の目標量(目標流量、目標温度、目標湿度)を決定し、空気供給装置2Aに制御信号を送信する。
【0050】
最初に、空気供給装置2Aでは、制御装置4Aからの制御信号により、目標流量となるように、コンプレッサ24のモータが回転始動する。すると、空気供給装置2Aでは、コンプレッサ24の上流側で負圧(大気圧より低い圧力)になるとともに、コンプレッサ24の下流側では排出空気Aeが圧縮されて正圧(大気圧より高い圧力)となる。ちなみに、この圧縮された排出空気Aeが、ブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの内圧調整に利用される。この負圧によって、空気供給装置2Aでは、燃料電池1の下流側において、燃料電池1から排出空気Aeを吸引し、熱交換器22に送り込む。さらに、この負圧によって、空気供給装置2Aでは、燃料電池1の上流側において、燃料電池1内に供給空気Awを吸い込むことによって、供給空気Awを燃料電池1に供給する。その結果、空気供給装置2Aでは、この負圧吸気により、大気中からエアクリーナ21に供給空気Adを吸い込むことができる。
【0051】
エアクリーナ21は、供給空気Ad中のゴミや埃等を取り除く。そして、空気供給装置2Aでは、エアクリーナ21から熱交換器22に供給空気Adを吸い込む。
【0052】
さらに、熱交換器22は、コンプレッサ24で圧縮されて高温となった排出空気Aeと供給空気Adとを熱交換する。なお、前記したように、熱交換器22に送り込まれる排出空気Aeの温度は、燃料電池1のカソード極側入口に供給される供給空気Awの温度が60〜75℃の目標温度となるように、圧力制御弁25の開度調整によって制御される。そして、空気供給装置2Aでは、加湿器23に熱交換器22で加熱された供給空気Adを吸い込む。
【0053】
そして、加湿器23は、乾燥した供給空気Adを加湿し、湿潤空気の供給空気Awとする。加湿後、空気供給装置2Aでは、供給空気Awを燃料電池1に供給する。
【0054】
続いて、空気供給装置2Aでは、燃料電池1からの排出空気Aeをコンプレッサ24による負圧で吸引し、熱交換器22に送り込む。さらに、空気供給装置2Aでは、排出空気Aeを熱交換器22内に通流させた後、圧力制御弁25を介して系外に排出する。
【0055】
次に、図4のフローチャートに沿って、空気供給装置2AによるブレーキシステムBAのブレーキブースタ用タンク52Aの内圧調整する動作について説明する。まず、制御装置4Aは、ドライバのアクセルペダル操作に応じて、燃料電池1の要求出力を決定する(ステップS10)。そして、制御装置4Aは、この要求出力に基づいて、供給空気Aw(Ad)の目標流量を決定する(ステップS11)。ちなみに、制御装置4Aは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM1(図5の(a)図参照)に基づいて、要求出力から目標流量を決定する。なお、マップM1は、燃料電池1の要求出力に対して必要な供給空気Awの目標流量の関係を示すマップである。
【0056】
さらに、制御装置4Aは、この目標流量に基づいて、燃料電池1で通常発電時におけるコンプレッサ24のモータの回転数を決定し、コンプレッサ24に制御信号を送信する。すると、空気供給装置2Aでは、コンプレッサ24が、制御信号のモータ回転数に従ってモータが回転する(ステップS12)。ちなみに、制御装置4Aは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM2(図5の(b)図参照)に基づいて、目標流量からコンプレッサ24のモータ回転数を決定する。なお、マップM2は、燃料電池1で通常発電を行なう場合のコンプレッサ24のモータ回転数と空気流量との関係を示すマップである。
【0057】
さらに、制御装置4Aは、圧力制御弁25の開度が全開するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、空気供給装置2Aでは、圧力制御弁25が、制御信号に従ってバタフライ弁を全開する(ステップS13)。
【0058】
続いて、制御装置4Aは、圧力センサPの検出信号からのブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.4kgf/cm2G(40kPaG)より小さいか否かを判定する(ステップS14)。そして、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.4kgf/cm2G以上の場合、圧力制御弁25を全開にしているにもかかわらず、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧がブレーキ用の圧力としては十分に蓄圧されていると考えられるので、ステップS10に戻って燃料電池1の要求出力を再決定する。ちなみに、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧は、逆止弁53Aの作用により、ほぼコンプレッサ24の吐出圧と等しいとみなすことができる。
【0059】
他方、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.4kgf/cm2Gより小さい場合、制御装置4Aは、コンプレッサ24の吐出圧を0.6kgf/cm2G(60kPaG)より大きくするために(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を0.6kgf/cm2Gより大きい正圧に調整するために)、コンプレッサ24のモータ回転数と圧力制御弁25の開度を制御する。まず、制御装置4Aは、供給空気Awの目標流量に基づいて、コンプレッサ24の吐出圧が0.6kgf/cm2G時におけるコンプレッサ24のモータの回転数を決定し、コンプレッサ24に制御信号を送信する。ここでは、制御装置4Aは、ステップS11で決定した目標流量を維持したまま、コンプレッサ24のモータの回転数を再決定する。すると、空気供給装置2Aでは、コンプレッサ24が、制御信号のモータ回転数に従ってモータが回転する(ステップS15)。ちなみに、制御装置4Aは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM3(図5の(c)図参照)に基づいて、目標流量からコンプレッサ24のモータ回転数を決定する。なお、マップM3は、コンプレッサ24の吐出圧を0.6kgf/cm2G(正圧)とした時のコンプレッサ24のモータ回転数と空気流量との関係を示すマップである。
【0060】
次に、制御装置4Aは、圧力制御弁25の開度が1deg閉じるようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、空気供給装置2Aでは、圧力制御弁25のバタフライ弁が1deg閉じ、コンプレッサ24の吐出圧が上昇する(ステップS16)。すると、吐出圧が上昇するとともに、圧縮された排出空気Aeが逆止弁53Aを介してブレーキブースタ用タンク52Aに送り込まれ、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が上昇する。
【0061】
続いて、制御装置4Aは、圧力センサPの検出信号からのブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.6kgf/cm2G(60kPaG)より大きいか否かを判定する(ステップS17)。そして、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.6kgf/cm2G以下の場合、ステップS16に戻って、空気供給装置2Aでは、圧力制御弁25の開度をさらに1deg閉じ、コンプレッサ24の吐出圧を上昇させる。
【0062】
他方、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が0.6kgf/cm2Gより大きい場合、ブレーキブースタ用タンク52Aは、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aに設定された倍力比を発生するのに必要な内圧(所定の正圧)に調整されたことになる。そこで、制御装置4Aは、圧力制御弁25の開度が全開するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、圧力制御弁25に送信する。すると、空気供給装置2Aでは、圧力制御弁25が、制御信号に従ってバタフライ弁を全開し、コンプレッサ24の吐出圧が低下する(ステップS18)。ちなみに、コンプレッサ24の吐出圧が低下しても、逆止弁53Aの作用により、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧が低下することはない。さらに、空気供給装置2Aでは、ステップS10に戻って、処理が続けられる。
【0063】
この燃料電池電気自動車EVAによれば、燃料電池システムFCSA(空気供給装置2A)のコンプレッサ24の下流側(吐出側)における正圧を利用して、エアサーボ式ブレーキブースタ51Aの倍力源となる圧縮された排出空気Aeをブレーキブースタ用タンク52Aに送り込むことができる。さらに、燃料電池電気自動車EVAは、燃料電池システムFCSA(空気供給装置2A)の圧力制御弁25の開度制御を利用して、ブレーキブースタ用タンク52Aの内圧を所定圧力(正圧)に調整することができる。
【0064】
次に、図6乃至図8を参照して、第2の実施の形態の燃料電池電気自動車EVBについて説明する。燃料電池電気自動車EVBは、燃料電池システムFCSBとブレーキシステムBBを備える。この燃料電池電気自動車EVBは、燃料電池システムFCSBのコンプレッサ24の上流側の負圧によってブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bから空気を吸引し、さらに燃料電池システムFCSBの負圧制御弁26の開度によってブレーキースタ用タンク52Bの内圧を調整する。なお、第2の実施の形態の燃料電池電気自動車EVBでは、第1の実施の形態の燃料電池電気自動車EVAと同一の構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する
なお、第2の実施の形態では、燃料電池電気自動車EVBが、特許請求の範囲に記載の燃料電池電気自動車に相当する。
【0065】
最初に、図6を参照して、燃料電池システムFCSBの構成について説明する。燃料電池システムFCSBは、主に、燃料電池1、空気供給装置2B、水素供給装置3および制御装置4B等から構成される。なお、燃料電池1と水素供給装置3の説明は、第1の実施の形態で説明したので省略する。
【0066】
それでは、図6を参照して、空気供給装置2Bの構成について説明する。空気供給装置2Bは、エアクリーナ21、熱交換器22、加湿器23、コンプレッサ24、圧力制御弁25、負圧制御弁26、流量センサQ、温度センサT1,T2および湿度センサH等から構成される。ちなみに、空気供給装置2Bは、第1の実施の形態の空気供給装置2Aの構成に対してコンプレッサ24の吐出側に負圧制御弁26を追加し、コンプレッサ24の吐出側の負圧を調整可能とした。なお、空気供給装置2Bは、制御装置4Bに制御されるので、制御装置4Bを構成に含む。
【0067】
負圧制御弁26は、図示しないバタフライ弁およびこれを駆動するステッピングモータ等から構成され、コンプレッサ24の吸入側に配設されてコンプレッサ24に吸引される排出空気Aeの圧力を調整する。ちなみに、負圧制御弁26により燃料電池1のカソード極側から排出された排出空気Aeが通流する流路を絞ると、コンプレッサ24の吸入圧が低くなる(すなわち、負圧が大きくなる)。また、この逆の動作を行なうと、コンプレッサ24の吸入圧が高くなる(すなわち、負圧が小さくなる)。つまり、負圧制御弁26は、コンプレッサ24の吸入圧を調整できるので、ブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bの内圧を所定の圧力に調整する役割を有する。ちなみに、負圧制御弁26は、制御装置4Bの制御信号により開度が制御される。
なお、第2の実施の形態では、負圧制御弁26が、特許請求の範囲に記載の圧力制御手段に相当する。
【0068】
なお、第1の実施の形態で記載したように、コンプレッサ24は、上流側(吸入側)では燃料電池1のカソード極側から排出される排出空気Aeを吸引し負圧となっている。そこで、コンプレッサ24は、この負圧によってブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bから空気を吸引する役割も有する。
なお、第2の実施の形態では、コンプレッサ24が、特許請求の範囲に記載のガス供給手段に相当する。
【0069】
次に、図6を参照して、ブレーキシステムBBの構成について説明する。ブレーキシステムBBは、主に、ブレーキペダル50、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51B、ブレーキブースタ用タンク52B、逆止弁53B、マスタシリンダ54、圧力センサPおよび図示しないホイールシリンダやこのホイールシリンダとマスタシリンダ54とを結ぶブレーキ液圧通路等から構成される。
【0070】
バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bは、ブレーキペダル50とマスタシリンダ54の間に設けられ、負圧を利用してドライバの踏力を軽減する装置である。バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bは、2つのダイアフラムを備えるタンデム式であり、ブレーキブースタ用タンク52Bの負圧によってダイヤフラムを吸引する。そして、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bは、この吸引力によってドライバの踏力を倍力し、この倍力でマスタシリンダ54のピストンを押圧する。なお、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bは、踏力に対して何倍の倍力を発生させるかの倍力比がブレーキシステムBB毎に設定される。
第2の実施の形態では、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bが、特許請求の範囲に記載のブレーキ倍力装置に相当する。
【0071】
ブレーキブースタ用タンク52Bは、燃料電池システムFCSBのコンプレッサ24の上流側で発生した負圧を蓄える負圧容器であり、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bに負圧を作用させる負圧源である。ブレーキブースタ用タンク52Bは、逆止弁53Bの上流側配管53cとバキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bのダイヤフラムを吸引する側に接続する。ちなみに、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bの倍力比はブレーキブースタ用タンク52Bの内圧に依存するので、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧は、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bで設定されている倍力比に応じて所定の圧力に調整される。なお、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧は、負圧の−80kPaG(−0.8kgf/cm2G)に調整される。
なお、第2の実施の形態では、ブレーキブースタ用タンク52Bが、特許請求の範囲に記載のブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに相当する。
【0072】
逆止弁53Bは、図示しない弁体と弁座および弁体を弁座に付勢するバネ等の弾性部材等から構成され、自動的にブレーキブースタ用タンク52Bの空気の流れをブレーキブースタ用タンク52Bからコンプレッサ24の上流側(吸入側)の一方向に制限する。そこで、逆止弁53Bは、上流側配管53cがブレーキブースタ用タンク52Bに接続され、下流側配管53dがコンプレッサ24の吸入側配管24bに接続される。なお、吸入側配管24bは、負圧制御弁26の排出側とコンプレッサ24の吸入側とを接続する配管である。つまり、逆止弁53Bは、前記した弾性部材の弾性力がコンプレッサ24の吸入圧より小さい場合、コンプレッサ24の吸入側の排出空気Aeのブレーキブースタ用タンク52Bへの通流を止める(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧(負圧)を保持する)。他方、逆止弁53Bは、前記した弾性部材の弾性力がコンプレッサ24の吸入圧より大きい場合、ブレーキブースタ用タンク52B内の空気をコンプレッサ24の吸入側に通流させる(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Bの負圧が大きくなる)。したがって、逆止弁53Bの弾性部材の弾性力によって、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧を、ほぼコンプレッサ24の吸入圧とすることができる。なお、弾性部材の弾性力は、前記したブレーキブースタ用タンク52Bの調整される内圧に基づいて設定される。
【0073】
ちなみに、ドライバによってブレーキペダル50が踏み込まれ、その踏力がバキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bによって倍力されると、マスタシリンダ54では、この倍力によってピストンが吸引され、このピストンを介してシリンダ本体内のブレーキ液に圧力が加わり、ブレーキ液圧を発生させる。さらに、ブレーキシステムBBでは、このブレーキ液圧がブレーキ液圧通路を介してホイールシリンダに伝達され、ホイールシリンダによってブレーキ液圧が車輪を制動するための機械的なブレーキ力に変換される。他方、ドライバによってブレーキペダル50の踏み込みが開放されると、踏力が無くなるとともにバキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bによる倍力も無くなり、マスタシリンダ54では、戻しバネの弾性力によりピストンが元に戻り、ブレーキ液圧も元に戻る。
【0074】
次に、図6を参照して、制御装置4Bについて説明する。なお、制御装置4Bは燃料電池システムFCSBを統括制御するが、ここでは、本発明に関する空気供給装置2Bに対する制御について説明する。制御装置4Bは、燃料電池1の要求出力に基づいて、空気供給装置2Bに対して供給空気Aw(Ad)の流量制御、温度制御および湿度制御を行なう。なお、制御装置4Bは、燃料電池1の要求出力を、ドライバによる電気自動車へのアクセルペダルの開度等から決定する。また、制御装置4Bは、空気供給装置2Bに対してブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bの圧力制御を行なう。
【0075】
制御装置4Bは、図示しないCPU、メモリ、入出力インタフェイス、A/D変換器、バス等から構成される。そして、制御装置4Bは、前記の通り各センサH,P,Q,T1,T2からの検出信号を受信するとともに、燃料電池1の要求出力に基づいて供給空気Aw(Ad)に対する目標量(目標流量、目標温度、目標湿度)を決定する。さらに、制御装置4Bは、加湿器23、コンプレッサ24、圧力制御弁25および負圧制御弁26に対する制御信号を送信する。
【0076】
なお、空気供給装置2Bに対する供給空気Aw(Ad)の流量制御、温度制御および湿度制御では、制御装置4Bは第1の実施の形態の制御装置4Aと同様の制御を行なうので、説明を省略する。
【0077】
それでは、空気供給装置2Bに対するブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bの圧力制御について説明する。制御装置4Bは、ブレーキシステムBBのバキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bの倍力源(負圧源)を確保するために、圧力センサPからの検出信号に基づいて、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧を所定圧力(負圧)以下となるように負圧制御弁26の開度をステッピングモータにより制御する。なお、この所定圧力は、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bで設定されている倍力比に基づいて決定される。具体的には、制御装置4Bは、所定圧力よりもブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が高い場合、負圧制御弁26の開度が減少するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、負圧制御弁26に送信する。すると、負圧制御弁26の開度が減少することによって、コンプレッサ24の吸入圧が低くなる。そして、この低くなっていく吸入圧が逆止弁53Bの弾性部材の弾性力より小さくなると、ブレーキブースタ用タンク52Bから空気が逆止弁53Bを介してコンプレッサ24の吸入側に吸引され、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が低下する。やがて、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が所定圧力以下になると、制御装置4Bは、負圧制御弁26の開度が減少する制御を停止する。なお、この内圧制御では、コンプレッサ24のモータ回転数を制御することによってコンプレッサ24の吸入圧を制御できるので、制御装置4Bによってコンプレッサ24のモータ回転数を制御してもよい。
【0078】
次に、図6乃至図8を参照して、空気供給装置2Bの動作について説明する。ここでは、空気供給装置2BによるブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bの圧力調整について説明する。なお、空気供給装置2Bによる燃料電池1への供給空気Awの供給動作については、第1の実施の形態の空気供給装置2Aと同様の動作なので、説明を省略する。
【0079】
それでは、図7のフローチャートに沿って、空気供給装置2BによるブレーキシステムBBのブレーキブースタ用タンク52Bの内圧調整する動作について説明する。まず、制御装置4Bは、ドライバのアクセルペダル操作に応じて、燃料電池1の要求出力を決定する(ステップS20)。そして、制御装置4Bは、この要求出力に基づいて、供給空気Aw(Ad)の目標流量を決定する(ステップS21)。ちなみに、制御装置4Bは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM4(図8の(a)図参照)に基づいて、要求出力から目標流量を決定する。なお、マップM4は、燃料電池1の要求出力に対して必要な供給空気Awの目標流量の関係を示すマップである。
【0080】
さらに、制御装置4Bは、この目標流量に基づいて、燃料電池1で通常発電時におけるコンプレッサ24のモータの回転数を決定し、コンプレッサ24に制御信号を送信する。すると、空気供給装置2Bでは、コンプレッサ24が、制御信号のモータ回転数に従ってモータが回転する(ステップS22)。ちなみに、制御装置4Bは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM5(図8の(b)図参照)に基づいて、目標流量からコンプレッサ24のモータ回転数を決定する。なお、マップM5は、燃料電池1で通常発電を行なう場合のコンプレッサ24のモータ回転数と空気流量との関係を示すマップである。
【0081】
さらに、制御装置4Bは、負圧制御弁26の開度が全開するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、負圧制御弁26に送信する。すると、空気供給装置2Bでは、負圧制御弁26が、制御信号に従ってバタフライ弁を全開する(ステップS23)。
【0082】
続いて、制御装置4Bは、圧力センサPの検出信号からのブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.6kgf/cm2G(−60kPaG)より大きいか否かを判定する(ステップS24)。そして、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.6kgf/cm2G以下の場合(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52B内の負圧が−0.6kgf/cm2Gより大きい場合)、負圧制御弁26を全開にしているにもかかわらず、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧がブレーキ用の圧力としては十分な負圧となっていると考えられるので、ステップS20に戻って燃料電池1の要求出力を再決定する。ちなみに、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧は、逆止弁53Bの作用により、ほぼコンプレッサ24の吸入圧と等しいとみなすことができる。
【0083】
他方、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.6kgf/cm2Gより大きい場合(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Bの負圧が−0.6kgf/cm2Gより小さい場合)、制御装置4Bは、コンプレッサ24の吸入圧を−0.8kgf/cm2G(−80kPaG)より小さくするために(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧を−0.8kgf/cm2Gより大きい負圧に調整するために)、コンプレッサ24のモータ回転数と負圧制御弁26の開度を制御する。まず、制御装置4Bは、供給空気Awの目標流量に基づいて、コンプレッサ24の吸入圧が−0.8kgf/cm2G時におけるコンプレッサ24のモータの回転数を決定し、コンプレッサ24に制御信号を送信する。ここでは、制御装置4Bは、ステップS21で決定した目標流量を維持したまま、コンプレッサ24のモータの回転数を再決定する。すると、空気供給装置2Bでは、コンプレッサ24が、制御信号のモータ回転数に従ってモータが回転する(ステップS25)。ちなみに、制御装置4Bは、予め実験やシミュレーション等によって得られたマップM6(図8の(c)図参照)に基づいて、目標流量からコンプレッサ24のモータ回転数を決定する。なお、マップM6は、コンプレッサ24の吸入圧を−0.8kgf/cm2G(負圧)とした時のコンプレッサ24のモータ回転数と空気流量との関係を示すマップである。
【0084】
次に、制御装置4Bは、負圧制御弁26の開度が1deg閉じるようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、負圧制御弁26に送信する。すると、空気供給装置2Bでは、負圧制御弁26のバタフライ弁が1deg閉じ、コンプレッサ24の吸入圧が低下する(すなわち、コンプレッサ24の吸入側の負圧が大きくなる)(ステップS26)。すると、吸入圧が低下するとともに、ブレーキブースタ用タンク52B内の空気が逆止弁53Bを介してコンプレッサ24の吸入側に吸引され、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が低下する(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52B内の負圧が大きくなる)。
【0085】
続いて、制御装置4Bは、圧力センサPの検出信号からのブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.8kgf/cm2G(−80kPaG)より小さい(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52B内の負圧が−0.8kgf/cm2Gより大きい)か否かを判定する(ステップS27)。そして、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.8kgf/cm2G以上の場合(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52B内の負圧が−0.8kgf/cm2G以下の場合)、ステップS26に戻って、空気供給装置2Bでは、負圧制御弁26の開度をさらに1deg閉じ、コンプレッサ24の吸入圧を低下させる。
【0086】
他方、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が−0.8kgf/cm2Gより小さい場合(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52B内の負圧が−0.8kgf/cm2Gより大きい場合)、ブレーキブースタ用タンク52Bは、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bに設定された倍力比を発生するのに必要な内圧(所定の負圧)に調整されたことになる。そこで、制御装置4Bは、負圧制御弁26の開度が全開するようにステッピングモータを駆動する制御信号を生成し、負圧制御弁26に送信する。すると、空気供給装置2Bでは、負圧制御弁26が、制御信号に従ってバタフライ弁を全開し、コンプレッサ24の吸入圧が上昇する(ステップS28)。ちなみに、コンプレッサ24の吸入圧が上昇しても(すなわ、コンプレッサ24の吸入側の負圧が小さくなっても)、逆止弁53Bの作用により、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧が上昇することはない(すなわち、ブレーキブースタ用タンク52Bの負圧が小さくならない)。さらに、空気供給装置2Bでは、ステップS20に戻って、処理が続けられる。
【0087】
この燃料電池電気自動車EVBによれば、燃料電池システムFCSB(空気供給装置2B)のコンプレッサ24の上流側(吸入側)における負圧を利用して、バキュームサーボ式ブレーキブースタ51Bの倍力源となる負圧源をブレーキブースタ用タンク52Bに蓄えることができる。さらに、燃料電池電気自動車EVBは、燃料電池システムFCSB(空気供給装置2B)の負圧制御弁26の開度制御を利用して、ブレーキブースタ用タンク52Bの内圧を所定圧力(負圧)に調整することができる。
【0088】
以上、本発明は、前記の実施の形態に限定されることなく、様々な形態で実施される。
例えば、ガス供給手段としてコンプレッサで構成したが、ポンプ等の酸化ガスを移動させる際に負圧または正圧を発生できる装置であればよい。
また、ブレーキブースタ用タンクの内圧を0.6kgf/cm2G(60kPaG)や−0.8kgf/cm2G(−80kPaG)に設定したが、この数値に限定されることなく、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧はブレーキ倍力装置の倍力比に基づいて適宜設定する。
【0089】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る燃料電池電気自動車は、燃料電池システムのガス供給手段で発生させた正圧または負圧によって、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧を所定の圧力に調整することができる。そのため、ブレーキ倍力装置専用に倍力源を備える必要がないし、さらに倍力源用に専用スペースを設ける必要もなく、ブレーキシステムも簡素化する。
【0090】
本発明の請求項2に係る燃料電池電気自動車は、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧に応じてガス供給手段を制御することによって、常時、必要十分以上の圧力をブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに蓄えておくことができる。さらに、圧力制御手段が開閉することによって燃料電池への供給ガス量が増減するが、圧力制御手段が閉じた時でも、ガス供給手段によって燃料電池への供給ガス量を増加させることによって、常時、燃料電池へは必要十分な酸化ガスを供給することができる。
【0091】
本発明の請求項3に係る燃料電池電気自動車は、ガス供給手段によって圧力制御を行わなくても、圧力制御手段によってガス供給手段の吐出側で発生している正圧またはガス供給手段の吸引側で発生している負圧を所定の圧力に調整することができる。そのため、ガス供給手段の消費電力を低減することができる。
【0092】
本発明の請求項4に係る燃料電池電気自動車は、ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧に応じて圧力制御手段を制御することによって、常時、必要十分以上の圧力をブレーキ倍力装置用蓄圧タンクに蓄えておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る燃料電池自動車の燃料電池システムおよびブレーキシステムの構成図である。
【図2】図1の燃料電池の構成を模式化した説明図である。
【図3】図1のコンプレッサにおける圧力比と温度上昇幅の特性図である。
【図4】図1の空気供給装置によるブレーキブースタ用タンクの内圧調整のフローチャートである。
【図5】図1の空気供給装置に対する制御量を決定するためのマップであり、(a)は燃料電池の要求出力に対する供給空気の目標流量の関係を示すマップであり、(b)は燃料電池の通常発電時におけるコンプレッサのモータ回転数に対する空気流量の関係を示すマップであり、(c)はコンプレッサの吐出圧が0.6kgf/cm2G(60kPaG)時におけるコンプレッサのモータ回転数に対する空気流量の関係を示すマップである。
【図6】第2の実施の形態に係る燃料電池自動車の燃料電池システムおよびブレーキシステムの構成図である。
【図7】図6の空気供給装置によるブレーキブースタ用タンクの内圧調整のフローチャートである。
【図8】図6の空気供給装置に対する制御量を決定するためのマップであり、(a)は燃料電池の要求出力に対する供給空気の目標流量の関係を示すマップであり、(b)は燃料電池の通常発電時におけるコンプレッサのモータ回転数に対する空気流量の関係を示すマップであり、(c)はコンプレッサの吸入圧が−0.8kgf/cm2G(−80kPaG)時におけるコンプレッサのモータ回転数に対する空気流量の関係を示すマップである。
【符号の説明】
1・・・燃料電池
2A,2B・・・空気供給装置
3・・・水素供給装置
4A,4B・・・制御装置
24・・・コンプレッサ(ガス供給手段)
25・・・圧力制御弁(圧力制御手段)
26・・・負圧制御弁(圧力制御手段)
51A・・・エアサーボ式ブレーキブースタ(ブレーキ倍力装置)
51B・・・バキュームサーボ式ブレーキブースタ(ブレーキ倍力装置)
52A,52B・・・ブレーキブースタ用タンク(ブレーキ倍力装置用蓄圧タンク)
53A,53B・・・逆止弁
BA,BB・・・ブレーキシステム
EVA,EVB・・・燃料電池電気自動車
FCSA,FCSB・・・燃料電池システム
P・・・圧力センサ

Claims (4)

  1. ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクを備える燃料電池電気自動車であって、
    燃料電池のカソード極側へ酸化ガスを供給するガス供給手段を備え、
    前記ガス供給手段の吐出側に発生する正圧または前記ガス供給手段の吸引側に発生する負圧によって、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧を所定の圧力にすることを特徴とする燃料電池電気自動車。
  2. 前記ガス供給手段は、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧の状態に応じて制御されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池電気自動車。
  3. 前記ガス供給手段によって発生する正圧または負圧を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池電気自動車。
  4. 前記圧力制御手段は、前記ブレーキ倍力装置用蓄圧タンクの内圧の状態に応じて制御されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池電気自動車。
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