以下、本発明の実施形態のローダおよびこのローダを組み込んだダイボンダの実施形態について、図面を参照して説明する。
このダイボンダ10は、図1に示すように、ワークの一例であるリードフレームやプリント基板などの基板1を供給するローダ20と、基板1を搬送する搬送装置70と、搬送装置70の中途部における手前側の接合材塗布位置PSで基板1に接合材を塗布する接合材塗布装置30と、搬送装置70の中途部における前方側のボンディング位置PBで接合材が塗布された基板1のボンディング領域に半導体チップ(ダイ)をボンディングするボンディングヘッド40と、半導体チップをボンディングした基板1を受け取るアンローダ50とを備えている。
前記基板1は、例えば、図2(A)(B)に示すように、長さ寸法がL,幅寸法がW,厚さ寸法がtの矩形状、かつ平板状で、縦横に多数の半導体チップのボンディング領域2を有しているとともに、幅方向の一方側に長さ方向に沿って、ボンディング領域2の無い把持領域3を有している。なお、この把持領域3には、従来の送り爪方式のような送り爪用孔は不要であるが、従来の送り爪用孔が形成されている基板でも、何ら支障なく使用することができる。
前記ローダ20は、基板1を多数ストックしておき、1枚ずつ搬送装置70に供給するもので、概略的には、図3に示すように、多数の基板1を積層しておいて、1個または複数個のワーク吸着手段26により最上方の基板1から1枚ずつ吸着して、搬送装置70に供給するもので、詳細な構成と動作については後述する。
前記搬送装置70は、図2の基板1の把持領域3を把持して搬送するもので、詳細な構成と動作については後述する。
前記接合材塗布装置30は、例えば、図4に示すように、取付部材31に取り付けたシリンジ32内に接合材33を収納し、圧縮気体34によってノズル35から接合材33を所定量ずつ吐出するようにしたもので、X軸駆動モータによって基板1の幅方向(X方向)に間欠移動可能に構成して、基板1の幅方向に沿って一列状に配置されているボンディング領域2に、順次、接合材33を塗布するようにしたものである。
なお、必要に応じて、幅方向の複数のボンディング領域2に同時に、接合材33を供給するようにしてもよい。ただし、後述するボンディングヘッド40が、基板1の幅方向に並んだ各ボンディング領域2に、順次、半導体チップをボンディングしていくので、実用上は、単一のノズルを有するもので十分である。
なお、シリンジ32を取り付けた取付部材31は、Y軸駆動モータによって基板1の進行方向に沿って移動可能に構成してもよい。このようにすると、例えば、CMOSカメラなどの第1の画像認識装置(図示省略)で、接合材塗布前のボンディング領域2の状態や、接合材塗布後のボンディング領域2の状態を画像認識する場合に、取付部材31をY方向に移動退避させて、画像を認識し易くすることができる。
前記半導体チップのボンディングヘッド40は、真空吸着力を利用して、図5に示すように、半導体チップのピックアップ位置P1から半導体チップ65を1個ずつピックアップして、ボンディング位置P2にある基板1の接合材33が塗布されたボンディング領域2に、順次ボンディングするものである。
前記半導体チップ65のピックアップ位置P1には、例えば、図6(C)に示すような、ウェーハリング61に貼着された粘着シート62に多数の半導体チップ65が接合された半導体チップ集合体60が配置されている。この半導体チップ集合体60は、周知のように、図6(A)に示すように、ウェーハリング61に貼着された粘着シート62に半導体ウェーハ63を貼り付け、図6(B)に示すように、ダイサ64によって半導体ウェーハ63を切断して個々の半導体チップ65に分割したのち、図6(C)に示すように、粘着シート62を固定リング66の上に載せて、ウェーハリング61を押し下げて粘着シート62を引き伸ばすことによって、個々の半導体チップ65,65間を離間させるとともに、粘着シート62と半導体チップ65との接合力を低下させたものである。
前記アンローダ50は、例えば、図7に示すように、エレベータ51に、多数の基板1を所定ピッチで上下方向に収納可能なマガジン52を載置して、エレベータ51を1ピッチずつ下降(または上昇)させてマガジン52内にボンディングを終了した基板1を下方(または上方)から1枚ずつ収納していくものである。
前記ローダ20は、図8〜図11に示すように、大きく分けて、多数の基板1を積層して載置するワーク載置台(以下、台という)21と、台21の上方に配置されており、積層された基板1を最上層のものから吸着してロード位置に移載するワーク移載手段22とを備えている。ワーク移載手段22は、水平移動手段23と、昇降手段24と、水平方向スライド手段25と、この水平スライド手段25に取り付けられたワーク吸着手段26と、ワーク移載手段22の動作を制御する制御手段27とを備えている。
前記台21は、多数の基板1を積層して収納した収納具212を位置決めする位置決め部材211を有し、この位置決め部材211によって複数個の収納具212が位置決めして載置される。収納具212は、箱型のものでもよいが、矩形状の基板1を左右方向にズレなく収納できるものであれば、単に、基板1の4辺に接触する複数本のポスト213を有するものでよい。
また、台21には、図9(C)に示すように、収納箱212の有無検出用のセンサ214が配設されており、センサ214で収納箱212の有無を検出して、収納箱212が無い位置へ収納箱212を供給したり、収納箱212が存在していない台21部分をワーク吸着手段26がスキップしたりするようにしている。
前記水平移動手段23は、駆動モータ231によって駆動される駆動プーリ232と、従動プーリ233と、これらのプーリ232,233に掛け渡されたタイミングベルト234と、前記タイミングベルト234に取り付けられた水平移動部材235と、この水平移動部材235を水平方向にガイドするガイドレール236とを備え、駆動プーリ231によりタイミングベルト234が、図8の時計方向または反時計方向に回動すると、水平移動部材235が右方向または左方向に移動するようになっている。
前記昇降手段24は、前記水平移動部材235に取り付けられた垂直方向ガイドレール241と、この垂直方向ガイドレール241に沿って垂直方向に移動する垂直移動部材242と、この垂直移動部材242を駆動する駆動手段の一例としてのエアシリンダ243とを備えており、エアシリンダ243のピストンが伸張すると、垂直移動部材242が下降し、エアシリンダ243のピストンが退入すると、垂直移動部材242が上昇する。常時は、エアシリンダ243のピストンが退入して、ワーク吸着手段26が上死点に位置している。
前記水平方向スライド手段25は、前記垂直移動部材242に対して水平方向にスライド自在に取り付けられている。この水平方向スライド手段25に対して、後述するワーク吸着手段の取付部材251が取り付けられている。
前記ワーク吸着手段の取付部材251には4本のワーク吸着手段26が取り付けられている。図9(B)に示すように、各ワーク吸着手段26の下端には、吸着パッド261を備えており、この吸着パッド261は、常時、圧縮ばね262の弾性力によって下方に付勢されており、下端が基板1などの上面に接触すると、圧縮ばね262の弾性力に抗して、上昇可能に構成されている。それによって、ワーク吸着手段26が基板1に衝突することによる衝撃を吸収緩和するようにしている。
前記4本のワーク吸着手段26の近傍には、それぞれストッパピン28が配置されている。このストッパピン28の下端は、ワーク吸着手段26の下端よりも若干上方に位置しており、ワーク吸着手段26の過剰な上昇によって、ワーク吸着手段26が破壊されるのを防止するためのものである。
4本のワーク吸着手段26の内、1本のワーク吸着手段26およびストッパピン28には、図9(B)に示すように、センサ29(29a、29b)が取り付けられている。このセンサ29は、例えば、磁気センサで、圧縮ばね262が自由状態では、センサ29a,29bが接近(または離隔)しているため作動せず、ワーク吸着手段26の下端が基板1などの上面に当接して圧縮ばね261が圧縮されると、センサ29a,29bが離隔(または接近)することによって、ワーク吸着手段26が基板1などに接触したことを検知可能になっている。このセンサ29の検出出力によって、ワーク吸着手段26の下降動作が停止される。
制御手段27は、図12に示すように、真空系271と、圧縮気体系272と、第1の切替弁273と、圧力スイッチ274と、第2の切替弁275を備え、第1の切替弁273の二次側にワーク吸着手段26が接続されている。第1の切替弁273とワーク吸着手段26との間には、圧力スイッチ274が分岐して接続されている。第1の切替弁273は、ブロック273a,273b,273cを有する3段切替式のもので、図示するように、ブロック273bが入力ポートに接続された状態では、ワーク吸着手段26は真空系271および圧縮気体系272から切り離される。また、切替弁273のブロック273aが入力ポートに接続された状態では、ワーク吸着手段26に圧縮気体が供給される。また、切替弁273のブロック273cが入力ポートに接続された状態では、ワーク吸着手段26が真空系271に接続される。
なお、圧縮気体系272の配管は、第1の切替弁273の入力ポートに至る途中で分岐されて、切替弁273の駆動源としても利用されており、切替弁273を、常時は、図12に示す位置,すなわち、ブロック273bが入力ポートに接続されるように付勢している。
また、圧縮気体系272には、第2の切替弁275が接続されており、切替弁275の二次側には、ワーク吸着手段26の昇降手段であるエアシリンダ243が接続されている。切替弁275は、ブロック275a,275bを有する2段切替式のもので、図示するように、ブロック275bが入力ポートに接続されると、エアシリンダ243の下方室側に圧縮気体が供給されるとともに、上方室側が開放されるため、エアシリンダ243のピストンは上昇する。常時は、図示するように、ブロック275bが入力ポートに接続されているため、ピストンは上死点に位置している。また、ブロック275aが入力ポートに接続されると、エアシリンダ243の上方室側に圧縮気体が供給されるとともに、下方室側が開放されるので、エアシリンダ243のピストンは下降する。
なお、第1の切替弁273と圧力スイッチ274との間には、エアフィルタ276が接続されている。また、切替弁273の一次側と圧縮気体系272との間には、スピードコントローラ277が接続されている。さらに、第2の切替弁275の二次側とエアシリンダ243との間に、スピードコントローラ278,279が接続されている。
次に、搬送装置70の構成と動作について説明する。搬送装置70は、図13および図14に示すように、下側のタイミングベルト(以下、下側ベルトという)71と、上側のタイミングベルト(以下、上側ベルトという)72とを上下に対向させて配置している。下側ベルト71は、所定の高さ位置に配置固定した駆動プーリ73,従動プーリ74および多数の送りプーリ75,76により、上側ベルト72側が水平状態に支持されて、図示矢印方向(左方から右方)に移動するようになっている。上側ベルト72は、駆動プーリ77,従動プーリ78および多数の送りプーリ79,80によって、下側ベルト71側が水平状態に支持されて、図示矢印方向(左方から右方)に移動するようになっている。
前記駆動プーリ73,77は、図15(A)(B)に示すように、回転軸の他方端部にプー
リ73A,77Aが固定されており、このプーリ73A,77Aに、単一の駆動モータ81の回転軸に取り付けられたプーリ82と、テンションプーリ83とともにタイミングベルト84を掛け渡して、同期して、かつ逆方向に回転駆動されている。
前記下側ベルト71の駆動プーリ73,従動プーリ74および上側ベルト72の駆動プーリ77,従動プーリ78、さらに、駆動モータ81に取り付けられたプーリ82およびテンションプーリ83は、いずれも鍔付きで、かつ、周面に上下ベルト71,72の内周面に形成されている凹凸に噛み合う凹凸を有するタイミングベルト用のものである。
なお、下側ベルト71の送りプーリ75,76および上側ベルト72の送りプーリ79,80の内、送りプーリ75,79(図13のAで示す)は、周面に上下ベルト71,72の凹凸に噛み合う凹凸を有するタイミングベルト用のものであり、送りプーリ76,80(図13のBで示す)は周面に上下ベルト71,72の凹凸に噛み合う凹凸を有していない、単なる支持用のものである。
また、図16(B)およびこの図16(B)における矢視A部分を拡大した図16(C)から明らかなように、前記下側ベルト71側の送りプーリ75および上側ベルト72側の送りプーリ79は、鍔付きのもので、上下ベルト71,72が脱落しないようになっている。
一方、図16(B)における矢視B部分を拡大した図16(D)から明らかなように、前記下側ベルト71側の送りプーリ76および上側ベルト72側の送りプーリ80は、鍔無しのものである。このように、送りプーリ76および80を、鍔および凹凸が無い安価なものを使用して、鍔および凹凸を有する高価な送りプーリ75,79と交互に配置することによって、コスト低減を図っている。
また、前記上側ベルト72の送りプーリ79,80の軸79a,80aは、図13に示すように、下側ベルト71の送りプーリ75,76の軸75a,76aに対して、若干ローダ20側に偏心して設けられている。しかも、図16(A)に示すように、各送りプーリ79,80のアンローダ50側は、引張りばね85によって、常時、斜め下方に向かって引っ張るように付勢されている。このため、上側ベルト72は、各送りプーリ79,80に作用している引張りばね85の弾性力により、常時、下側ベルト71に向かって押し付けられている。
したがって、上下ベルト71,72で基板1を把持できるようになっているとともに、前記引張りばね85の弾性力に抗する力が作用すると、上側ベルト72の送りプーリ79,80が軸79a,80aを中心にして反時計方向に回動し、それによって送りプーリ79,80のアンローダ50側が、引張りばね85の弾性力に抗して上昇動作可能に構成されている。このような構成に基づいて、上下ベルト71,72間に供給される基板1の厚さ寸法tがt1(>t)に増大すると、送りプーリ79,80のアンローダ50側が、引張りばね85の弾性力に抗して上昇することによって、上側ベルト72が上昇して、厚い基板1を上下ベルト71,72で把持可能になっている。
なお、下側ベルト71のリターン部分71aには、固定配置されたガイドロール86と、昇降可能なテンションロール87とが設けられており、上側ベルト72のリターン部分72aには、適当数のテンションロール88が設けられており、それぞれ上下ベルト71,72に適度のテンションを作用させている。
さらに、前記上側ベルト72のリターン部分72aにおける、ボンディングヘッド40の移動経路には、図13に示すように、ボンディングヘッド40の移動を妨げないように、方向変換ロール89,90,91,92によって高さを低下した部分93が設けられている。すなわち、前記半導体チップ集合体60から半導体チップ65をピックアップするピックアップ位置P1は、図16(B)に示すように、上下ベルト71,72の手前(図示下方)側に配置されており、一方、半導体チップ65をボンディングする基板1は、上下ベルト71,72の向こう(図示上方)側に位置しているので、ボンディングヘッド40は、上下ベルト71,72の手前側にある半導体チップのピックアップ位置P1と、上下ベルト71,72の向こう側にある基板1との間を往復しなければならない。
したがって、もし、上側ベルト72のリターン部分72aが、低下した部分93の両側のように高いままであると、ボンディングヘッド40は、この高い上側ベルト72のリターン部分72aを上昇→水平移動→下降して、上側ベルト72のリターン部分72aを乗り越えなければならず、ボンディングヘッド40の大きな上下動作が必要になるために、ボンディングヘッド40の駆動機構が大型、かつ高価になるのみならず、ボンディング速度が低下することが避けられない。
これに対して、図13に示すように、上側ベルト72のリターン部分72aに低下した部分93を設けておけば、ボンディングヘッド40は、この低下した部分93を通って大きく上下動作することなく、上下ベルト71,72の手前側の半導体チップピックアップ位置P1と、上下ベルト71,72の向こう側のボンディング位置P2にある基板1のボンディング領域2との間を高速で往復することができ、ボンディング速度を向上することができる。
なお、搬送装置70は、図1および図14から明らかなように、上下ベルト71,72の向こう側に、基板1の移動方向に沿って配設されたワーク移動台94を備えており、このワーク移動台94上をローダ20から供給された基板1が搬送されるようになっている。
次に、上記のローダ20を組み込んだダイボンダ10の動作について説明する。まず、搬送装置70の駆動モータ81を駆動して、上下ベルト71,72を図13の矢印方向に同期して、基板1のボンディング領域2の1ピッチ相当分ずつ、間欠的に移動させるようにしておく。
このとき、第1の切替弁273は、図12に示すように、ブロック273bが入力ポートに接続されているので、ワーク吸着手段26は真空系271および圧縮気体系272からフリーの状態になっている。また、エアシリンダ243の下方室側は、第2の切替弁275を介して圧縮気体系272に接続され、上方室側は第2の切替弁275を介して開放されているので、エアシリンダ243のピストン、すなわち、ワーク吸着手段26は上死点に位置している。
そして、ローダ20の水平移動手段23により、水平移動部材235を収納箱212内に収納された基板1の真上位置に移動させた後、第2の切替弁275のブロック275aを入力ポートに切り替えると、エアシリンダ243の上方室側に圧縮気体が供給され、下方室側が開放されるので、エアシリンダ243のピストンが下降し、垂直移動部材242が下降し、垂直移動部材242とともにワーク吸着手段26が下降する。ワーク吸着手段26が下降して基板1の上面に接触すると、圧縮ばね262が圧縮されて、ワーク吸着手段26が基板1に衝突する衝撃力を吸収緩和するとともに、センサ29a,29bが離隔(または接近)するので、センサ29によりワーク吸着手段26が基板1に接触したことが検知される。この検出出力によって、ワーク吸着手段26の下降動作が停止される。
同時に、第1の切替弁273のブロック273cが入力ポートに接続されるため、ワーク吸着手段26が真空系271に接続される。このため、ワーク吸着手段26によって基板1が真空吸着される。
ワーク吸着手段26が基板1を吸着すると、切替弁273の二次側の圧力が急低下するため、圧力スイッチ274が作動して、第2の切替弁275が再び図12の状態に切り替わり、圧縮気体がエアシリンダ243の下方室側に供給され、上方室側が開放されるため、エアシリンダ243のピストンが上昇し、これに伴ってワーク吸着手段26が上昇するので、基板1を吸着したワーク吸着手段26が上昇する。このとき、基板1は4個のワーク吸着手段26により、その4隅近傍が確実、かつ強固に、水平状態に吸着保持される。
基板1を真空吸着したワーク吸着手段26が上死点に達すると、水平移動駆動手段23によりワーク吸着手段26が水平移動し(あるいは、ワーク吸着手段26が上昇中に同時に水平移動部材235によりワーク吸着手段26が斜め上方に移動して上死点に達すると)、切替弁275が切り替えられて、エアシリンダ243のピストンが再び下降する。
ワーク吸着手段26に吸着された基板1がワーク移動台94に当接すると、圧縮ばね262がその弾性力に抗して圧縮されるために、センサ29が基板1がワーク移動台94に当接したことを検出する。すると、水平方向スライド部材25によってワーク吸着手段26が基板1を吸着したまま上下ベルト71,72側に水平移動して、基板1の把持領域3を、搬送装置70の上下ベルト71,72の間に挿入する。
その後、第1の切替弁273のブロック273aが入力ポートに接続されるため、ワーク吸着手段26に圧縮気体が供給されて、ワーク吸着手段26に吸着された基板1が解放されて、搬送装置70の上下ベルト71,72で基板1が間欠的に搬送される。同時に、第2の切替弁275が図12に示すように切り替えられて、エアシリンダ243の下方室側に圧縮気体が供給されて、上方室側が開放されるので、基板1を解放したワーク吸着手段26が上昇する。上昇したワーク吸着手段26は、水平移動手段23によって水平移動して、元の収納箱212の上方に復帰する。
基板1が、その把持領域3を手前側(上下ベルト71,72側)にして搬送装置70に供給されると、搬送装置70の上下ベルト71,72は、この基板1の把持領域3を上下から把持して、図1の左端から右端に向かって、間欠的に搬送する。このとき、接合材塗布装置30は、接合材塗布領域PSから外れた位置に退避している。
基板1の第1列目のボンディング領域2が接合材塗布位置PSに来ると、その位置で一時停止し、CMOSカメラなどの第1の画像認識装置(図示省略)により、ボンディング領域2の画像を認識して、ボンディング領域2が正規の位置に位置しているかどうか検査する。万一、ボンディング領域2が正規の位置に位置していない場合は、搬送装置70の駆動機構を作動させて、ボンディング領域2を正規の位置に修正する。
ボンディング領域2が正規の位置に位置していることが確認されると、接合材塗布装置30が下降して、基板1のボンディング領域2に接合材33を塗布し、上昇する。すると、X方向駆動モータによって、取付部材31がワークの幅方向に1ピッチ分だけ水平移動して下降し、基板1の第1列目における第2番目のボンディング領域2に接合材33を塗布し、上昇する。以下、同様に、基板1の第1列目における第3番目から最後番目のボンディング領域2に、順次、接合材33を塗布し、上昇する。
このようにして、基板1の第1列目の全ボンディング領域2に接合材33を塗布し終わると、第1の画像認識装置によって、ボンディング領域2の接合材塗布状態を画像認識して、万一、塗布状態が不良のボンディング領域2があると、その不良塗布状態のボンディング領域2を記憶装置に記憶させるとともに、接合材塗布装置30による塗布条件を修正する。
このようにして、少なくとも第1列目の全ボンディング領域2に接合材33が塗布され塗布状態が画像認識されると、上下ベルト71,72の移動によって、基板1が1ピッチ相当分だけ間欠的に搬送される。以下、前記同様にして、基板1の第2列目、第3列目、…の各列における全ボンディング領域2の接合材塗布前の状態および/またはボンディング領域2の接合材塗布状態が画像認識される。
なお、前述のように、第1の画像認識装置としてCMOSカメラを用いれば、CCDカメラに比較して、高分解能であるため、基板1の少なくとも一列の全ボンディング領域2を視野内に収めて一括して画像認識することができる。また、このとき、基板1の第1列目の全ボンディング領域2のみならず、第2列目以降の数列目までの全ボンディング領域2をも一括して画像認識することができるので、接合材塗布前および/または接合材塗布後の状態は、視野内の数列目までの全ボンディング領域2を一括して画像認識することができる。
したがって、CCDカメラに比較して、CMOSカメラの基板1の幅方向への移動が不要であることにより、CMOSカメラの支持機構が簡単、かつ、小型化され、安価になる。また、CMOSカメラの水平移動時間およびこの水平移動に伴う画像の揺れが収まるまでの待ち時間が不要なため、画像認識が高速化できる。さらに、基板1の1列分または数列分のボンディング領域2を一括して画像認識した後の空き時間を利用して、画像を処理することができる。また、数列分のボンディング領域2を一括して画像認識した後の空き時間を利用して、全ボンディング領域2の中の単一または複数のボンディング領域2の画像を、順次、分割拡大して、より高精度の接合材塗布状態の検査を実施することができる。
接合材33が塗布された基板1は、上下ベルト71,72によって、図13の右方に向かって間欠的に搬送され、第1列目のボンディング領域2がボンディング位置PBに来ると、のCMOSカメラなどの第2の画像認識装置(図示省略)によって、第1列目の接合材が塗布された全ボンディング領域2が画像認識される。したがって、この第2のCMOSカメラなどによって、再度、半導体チップのボンディング前の接合材塗布状態が画像認識により検査される。
万一、この接合材塗布状態の検査により、および/または前記第1のCMOSカメラによる検査により第1列目に接合材塗布状態が不良のボンディング領域2があると、これらの接合材塗布状態が不良のボンディング領域2をスキップしてボンディングヘッド40により、半導体チップ65をボンディングする。
このボンディング位置PBでは、図5に示すように、ボンディングヘッド40によって、ピックアップ位置P1で半導体チップ集合体60から半導体チップ65を1個ずつピックアッップして、ボンディング位置P2で基板1のボンディング領域2に塗布されている接合材33を介して、順次、基板1にボンディングされる。
このとき、前述のように、上側ベルト72のリターン部分72aに低下した部分93を設けてあるので、ボンディングヘッド40は、半導体チップ65のピックアップ位置P1と基板1のボンディング位置P2との間を、大きく上下動作することなく往復移動することができ、ボンディング速度を向上することができる。基板1の第1列目のボンディング領域2に半導体チップ65のボンディングが終了すると、基板1が1ピッチ分だけ間欠的に搬送されて、以下、第2列目、第3列目のボンディング領域2に、順次、半導体チップ65がボンディングされる。
なお、前述のように、第2の画像認識装置としてCMOSカメラを用いれば、CCDカメラに比較して高分解能であるため、基板1の少なくとも一列の全ボンディング領域2を視野内に収めて一括して画像認識することができる。また、このとき、基板1の第1列目の全ボンディング領域2のみならず、第2列目以降の数列目までの全ボンディング領域2をも一括して画像認識することができるので、半導体チップのボンディング前および/またはボンディング後の状態は、視野内の数列目までの全ボンディング領域2を一括して画像認識することができる。
したがって、CCDカメラに比較して、CMOSカメラの基板1の幅方向への移動が不要であることにより、CMOSカメラの支持機構が簡単、かつ、小型化され、安価になる。また、CMOSカメラの水平移動時間およびこの水平移動に伴う画像の揺れが収まるまでの待ち時間が不要なため、画像認識が高速化できる。さらに、基板1の1列分または数列分のボンディング領域2を一括して画像認識した後の空き時間を利用して、画像を処理することができる。また、数列分のボンディング領域2を一括して画像認識した後の空き時間を利用して、全ボンディング領域2の中の単一または複数のボンディング領域2の画像を、順次、分割拡大して、より高精度の接合材塗布状態の検査を実施することができる。
半導体チップ65がボンディングされた基板1は、右方に向かって間欠的に搬送されて、右端のアンローダ50で、エレベータ51の1ピッチずつの上昇動作(または下降動作)に合わせて、順次、マガジン52内に収納される。
ここで、基板1の品種切替えによって、ローダ20から供給される基板1の厚さ寸法tが変動した場合のローダ20の動作について説明する。まず、本発明のローダ20は、前述のように、昇降動作機構により所定寸法ずつ昇降動作するものではなく、昇降手段によって下降中のワーク吸着手段26が基板1の上面に接触すると、センサ29により、ワーク吸着手段26が基板1の上面に接触したことを検知して、ワーク吸着手段26を上昇動作するように切り替えるので、基板1の厚さ寸法には全く関係なく、円滑、かつ、確実にワーク吸着手段26で基板1を吸着することができる。
また、ワーク吸着手段26が吸着した基板1をワーク移動台94上に載置する場合も、ワーク吸着手段26に吸着された基板1の下面が台94に接触すると、センサ29により、ワーク吸着手段26に吸着された基板1の下面がワーク移動台94に接触したことが検知できるので、基板1の厚さ寸法には全く関係なく、円滑、かつ、確実にワーク吸着手段26に吸着された基板1をワーク移動台94上に移載することができる。
次に、ローダ20から供給される基板1の厚さ寸法tが変動した場合の、搬送装置70の動作について説明する。まず、厚さ寸法がtの基板1が供給された場合、前述のように、上側ベルト72側の送りプーリ79,80の軸79a,80aがローダ20側に偏心して取り付けられており、かつ、送りプーリ79,80のアンローダ50側が引張りばね85によって、下側ベルト71に向かって付勢されているので、図17(A)に示すように、送りプーリ79,80のアンローダ50側が引張りばね85の弾性力に抗して基板1の厚さ寸法分だけ上昇することによって、上側ベルト72が上昇し、しかも、上側ベルト72は、常時、引張りばね85の弾性力で下側ベルト71に向かって付勢されているので、上下ベルト71,72で確実に厚さ寸法tの基板1の把持領域3を把持して搬送することができる。
次に、厚さ寸法がt1(>t)の基板1aが供給された場合、図17(B)に示すように、上側ベルト72側の送りプーリ79,80は、軸79a,80aを中心にして、反時計方向に回動するが、送りプーリ79,80の軸79a,80aは、ローダ20側に偏心して取り付けられているために、送りプーリ79,80のアンローダ50側が、引張りばね85の弾性力に抗して基板1aの厚さ寸法分だけ上昇することによって、上側ベルト72が上昇して、上下ベルト71,72で厚さ寸法がt1(>t)の基板1aの把持領域3を把持して、搬送することができる。
このように、上記の搬送装置10では、基板1の厚さ寸法の変動に対応して、送りロール79,80のアンローダ50側が引張りばね85の弾性力に抗して昇降して、上側ベルト72が昇降する結果、アダプタを用いたり、送りロール79,80の取付位置を調整したりすることなく、円滑に対応可能である。このため、上側ベルト72の送りロール79,80の直径寸法や軸79a,80aの偏心寸法は、この搬送装置70を搬送される基板の厚さ寸法の変動範囲に応じて、予め適当に設定しておく必要がある。
また、基板1の品種切替えによって、長さ寸法L1(≠L)の基板1bや、幅寸法W1(≠W)の基板1cが供給されても、前述のように、上下ベルト71,72は、基板1b,1cの端部の把持領域3を把持するので、基板1b,1cの長さ寸法L1や幅寸法W1には全く関係なく、基板1b,1cの把持領域3を把持して、円滑に間欠的に搬送することができる。
なお、上記の実施形態は、本発明の特定の形態について説明したもので、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、ワーク移載手段22、水平移動手段23と、昇降手段24と、水平方向スライド手段25などは、任意の構成にすることができる。また、ワーク吸着手段26における吸着パッド261の個数や配置は、ワークの形状や大きさによって任意に設定することができる。
また、上記実施形態の搬送装置70は、上下のタイミングベルト71,72で基板1の把持領域3を把持して搬送する場合について説明したので、ワーク移載手段22のワーク吸着手段26で吸着した基板1の下面がワーク移動台94の上面に接触してから、水平スライド手段25で基板1を水平移動させて、搬送装置70の上下ベルト71,72の間に挿入するようにしたが、搬送装置は従来周知のクランパ方式や送り爪方式の搬送装置を採用することもでき、そのような場合には、水平スライド手段25は省略することができる。