JP4326724B2 - 循環通風型納豆発酵室及びその運転方法 - Google Patents

循環通風型納豆発酵室及びその運転方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、循環通風型納豆発酵室を用いて納豆を発酵する際に、収納された納豆容器内の品温をより均一化して発酵進度を均一化させることにより高品質で均一な納豆を製造可能とするための納豆の製造方法及び該製造方法で納豆を発酵させるのに適した循環通風型納豆発酵室に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に納豆の製造は、原料大豆を水に所定時間浸漬した後、所定圧力下で蒸煮し、この蒸煮大豆に納豆菌を接種して、所定の納豆容器に入れ、これら納豆容器をコンテナに収納し、そのコンテナを多段に段積みして発酵室に仕込み、所定条件で発酵させることにより行われてきた。
【0003】
従前の納豆発酵室は、特開平4−41586号公報などに記載の如く、納豆発酵室内にコンテナが単に段積みされており、その発酵室の天井部には空調機能と下方向きの送風ファンを備えた空調ユニットが設置され、この通風手段にて空気を送風することにより、コンテナ内に単に多数段積みされた納豆容器内の大豆の温度調整が行われる方式のものが一般的であった。
【0004】
このような従前の納豆発酵室においては、空調ユニットの送風ファンにより発酵室の中央や側方に送風するようにしているが、納豆発酵室内には多数の納豆容器が収納された多数のコンテナが段積みされており、これらの通流抵抗により通風が的確に行えない問題があった。また、納豆菌の発酵が旺盛な時期には多量の発熱があるので冷却が必要であり、その際には空調ユニットから吹出た冷却空気は特に納豆発酵室下部に流れやすく、このような従前の納豆発酵室で室温を均一に保つことは困難であった。例えば、従前の納豆発酵室において発酵が最も盛んな時期での納豆発酵室下部と上部等での室内における空気の温度差は5〜6℃もあることが確認されていた。結果として、各納豆容器毎の品温の均一化が行われにくく、良質かつ均一な品質の納豆を製造することが難しい状態であった。
【0005】
これらの従前の納豆発酵室の欠点を改良することを目的として、納豆発酵室内をコンテナ収容室と循環通風室に分け、循環通風室には天井部に空調機能と送風ファンを備えた空調ユニットを設け、かつコンテナ収容室の左右の両側方には複数の通孔を有する整流板を設け、この整流板を通してコンテナ収容室内に空気を循環通風して発酵させる循環通風型納豆発酵室が種々考案されている(特開平1−174352号公報、特開平5−276890号公報、特開平10−136923号公報など)。
【0006】
図4は上記したような循環通風型納豆発酵室の1例の構成を示す側面断面図である。同図に示すように、納豆発酵室10の内部には、天井板12A及び側壁14A、14Bとで仕切られた一個のコンテナ収容室18Aが設置されており、そのコンテナ収容室18A内には蒸煮大豆を収納した納豆容器25を入れたコンテナが水平方向に複数列(図示の例では4列(24a、24b、24c、24d))で架台17上に所要数(例えば15段づつ)段積されて収容可能であり、かつ奥行き方向にはコンテナが所要数(例えば8列)収容可能な構成となっている。なお、コンテナ収容室18Aは両端が開口した開口部14a、14bを有しており、その開口部には内部を流れる空気の流速を均一化する整流板15a、15bが設置されている。
【0007】
また納豆発酵室10の天井板及び側壁と、コンテナ収容室18Aの天井板12A及び側壁14A、14Bとの間には循環通気を行うための空間が形成されており、さらにこの空間は仕切壁13によって16Aと16Bの2つの循環通風室に分割される構成となっている。そしてこの仕切壁13を貫通するようにして天井部に空調ユニット22Aが設置されている。
【0008】
空調ユニット22Aは、冷却器22a、加熱器22b、湿度調節器22c、送風ファン23などから構成されており、外気導入口22iから導入された外気及び循環通風室16Aから吸入口22eを経て吸入された空気を所定温度、所定湿度に調節して吹出口22dから循環通風室16Bに供給できる構成となっている。さらに、送風ファン23を逆転させて、空気を循環通風室16Bから空調ユニット22Aに吸入し、空調後に循環通風室16Aに供給できる様に、循環通風の方向を所定間隔で切り換える制御手段も備えている。この循環通風型納豆発酵室10において、循環通風の方向は正逆の2方向であるとしても、循環通風系としては1系統である。
【0009】
以上のように構成された従来の循環通風型納豆発酵室10では、空調ユニット22Aを運転すると、所定温度、湿度に調節された空調空気がコンテナ収容室18A内へ供給され、その空調空気によって発酵中の納豆から発生した発酵熱が吸熱される。発酵熱を吸熱した空調空気はコンテナ収容室18Aの出口から流出し、空調ユニット22Aによって所定温度、湿度に再調節された後、再びコンテナ収容室18A内に供給される。すなわち、空調空気の循環通風によって納豆の発酵を促進させ、生産している。
【0010】
コンテナ収容室18A内に供給された空調空気は、コンテナ収容室18A内を通過する過程で発酵熱を吸熱するため、コンテナ収容室18Aの出口側の空調空気の温度が入口側の温度よりも高くなる。その温度の違いから、コンテナ収容室18A内の出口側と入口側との間で納豆の品温にバラツキが生じがちであり、高品質で均一な納豆を製造するには、空調空気の温度偏差を所定の範囲に収める必要がある。そのことから、コンテナ収容室18Aの大きさ、ひいてはコンテナ収容室内へのコンテナ収容数には自ずと制限が生じる。
【0011】
もし、図4に示す形態の発酵室において生産量を例えば2倍にする(コンテナ収容数の規模を2倍に拡大する)場合に、単にコンテナ収容室18Aの容積を2倍にするだけでは、循環通風系が1系統のみ、すなわち、空調空気の全量がコンテナ収容室18Aに収容されたすべてのコンテナを連続して通過するようになっていることから、前記した空調空気の温度偏差を入口と出口で所定の範囲に収めることができなくなり、均一な納豆を製造することはできない。そのために、生産量を2倍に拡大しようとする場合には、同形同サイズの新しい発酵室をもう一つ増設することが必要となり、設備費、維持費がかさみ、また、設置スペースも大きくならざるを得ない。
【0012】
一方、上記のような循環通風型納豆発酵室を用いた納豆の発酵に際し、高品質で均一な納豆を製造するには、前記したようにコンテナ収容室内での温度偏差を適切に保つことと共に、循環する空気の流れを適切な速度とすることが必要であるといわれているが、この観点からの研究はいまだ十分でなく、前記した特開平5−276890号公報には、棚段上下の温度差が3℃程度であるときに生産率が高かったことが報告されているが、循環通風の風速との関係での分析はなく、また、特開平10−136923号公報には循環通風の風速を約0.6m/s〜1.8m/s程度にすることが開示されているが、温度差との関係からの分析はなされていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、より良質で均一な品質の納豆を発酵生産することが可能となる最適な発酵条件を見い出すことにあり、第2の目的は、上記発酵条件下で良質で均一な品質の納豆を多量にかつ効率的かつ低コストで製造することのできる改良された循環通風型納豆発酵室を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、より良質で均一な品質の納豆を発酵させることのできる発酵条件を見い出すべく、図4に示す形態の循環通風型納豆発酵室を用いて多くの実験と研究を行うことにより、最適な循環通風の平均風速とその最適な平均温度差を見い出し、本発明を完成させるにいたった。
【0015】
すなわち、本発明は、循環通風型納豆発酵室を用いて納豆を発酵する方法において、循環通風の平均風速を0.5m/s〜1.0m/sとし、かつ循環通風のコンテナ収納室入口部と出口部の平均温度差を3℃以内とすることを特徴とする納豆の製造方法に関する。
【0016】
本発明において、循環通風の平均風速が1.0m/sよりも大きくなると、納豆に乾きが発生し、また大豆が黒色に着色していて消費者に提供できる品質が確保できない。また、循環通風の平均風速が0.5m/sより小さくなると、発酵熱を奪い取るだけの能力が不足し、発酵指数値のバラツキが大きくなって、特に品温が高くなった部分の納豆は過発酵気味になりアンモニア臭が発生し、消費者が満足できるような品質を確保できない。
【0017】
本発明において、コンテナ収容室での入口部と出口部の循環通風の平均温度差が3℃程度以下であれば、従来の発酵室では達成できない発酵指数値のバラツキ以内に抑えることができ高品質の納豆を製造できる。しかし、平均温度差が4℃程度以上になると、発酵指数値のバラツキが大きくなり、かつ品質の悪い納豆が多く発生する。最も優れた発酵が可能なのは、平均温度差約2℃以内である。
【0018】
また、上記納豆の製造方法を効果的に実施することのできる本発明による循環通風型納豆発酵室は、発酵室10内に、両端が開口した第1と第2のコンテナ収容室18A,18Bが互いに対向して配置され、第1と第2のコンテナ収容室18A,18Bの対向する開口部14b,14cの双方に連通する第1循環通風室16Aと、第1のコンテナ収容室18Aの他方の開放部14aに連通する第2循環通風室16Bと、第2のコンテナ収容室18Bの他方の開放部14dに連通する第3循環通風室16Cとが形成されており、さらに、第1循環通風室16Aに一方側を連通する第1と第2の空調ユニット22A,22Bを備え、第1の空調ユニット22Aの他方側は第2循環通風室16Bに、第2の空調ユニット22Bの他方側は第3循環通風室16Cに連通しており、それにより、発酵室内には、「第1のコンテナ収容室18A−第1循環通風室16A−第1の空調ユニット22A−第2循環通風室16B−第1のコンテナ収容室18A」とで形成される第1の空調空気循環通風系と、「第2のコンテナ収容室18B−第1循環通風室16A−第2の空調ユニット22B−第3循環通風室16C−第2のコンテナ収容室18B」とで形成される第2の空調空気循環通風系とが形成されるようになっており、さらに、第1と第2の空調空気循環通風系の通風方向を所定の間隔で切り換える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記の循環通風型納豆発酵室によれば、発酵室内に収容される納豆容器は2つのコンテナ収容室に区分けして収納されており、かつ、各コンテナ収容室には第1と第2のそれぞれ実質的に独立した空調空気循環通風系により空調空気が送られる。そのために、同じ生産量の場合に、循環通風の各コンテナ収納室入口部と出口部の平均温度差を、従来の循環通風型納豆発酵室の場合と比較して、小さいものとすることができ、良質で均一な品質の納豆を多量かつ効率的に製造することができる。
【0020】
また、一つの発酵室(建屋)内に第1と第2のそれぞれ独立した空調空気循環通風系が形成されるように各コンテナ収容室や空調ユニットを配置することは比較的容易であり、生産量を例えば2倍にするような場合にも、従来のように同形同サイズの新しい発酵室をもう一つ増設する場合と比較して、設備費、維持費を大幅に低減でき、また、設置スペースも節約することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
【0022】
【実施例】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕(循環通風の平均風速の選定)
乾燥丸大豆(極小粒)240kgを水洗し、約17℃の冷水700L中に10時間浸漬し、その後蒸煮釜に入れ、加圧蒸煮(2kg/cm2、133℃)した。加圧蒸煮終了後、市販納豆菌を蒸煮大豆1g当たり103個程度となるように接種した。この納豆菌を接種した蒸煮大豆を、充填機で99mm角型の発泡スチロール製の納豆容器に約50gづつ充填し、その後納豆菌を接種した蒸煮大豆が充填された納豆容器を1コンテナ当たり49個(7個×7個)づつ収納し、さらにこのコンテナを15段に段積みしたものを基本単位(1列)として図4に示す循環通風型納豆発酵室10内のコンテナ収容室18Aに収容した。なお、図4の循環通風型納豆発酵室10内には、上記の如くにして15段に段積みしたコンテナを1列として最大4列(24a〜24d)が収容可能であるが、本実施例では2列(24a、24b)に収納した。
【0023】
発酵は、常法による温度(40℃)と湿度(90%)で正方向と逆方向の循環通風を5分間隔で逆転させて行ったが、この場合は空調通風ユニット22Aの送風ファン23の能力を調整して循環通風の平均風速を5段階で変動させた5試験区を設定して発酵させた。
【0024】
各試験区の循環通風の平均風速は表1に示した結果であった。なお循環通風の平均風速は、コンテナ収納室の入口部及び出口部において、最下段部、中段部及び最上段部の各3個所の、合計6個所で風速計(アネモマスター風速計:日本カノマックス社製、モデル6011)を用いて測定した風速の平均値である。
【0025】
【表1】
Figure 0004326724
【0026】
このような条件で20時間発酵させた後、コンテナに収納された納豆容器を発酵室から取り出し、続いて4℃の熟成室に収容して、2日間の熟成を行わせた後取り出した。その後、コンテナ収容室最上段、中段、最下段の各コンテナ内に収納された全ての納豆容器を取り出して開封し、中の納豆を評価してその結果を表3にまとめた。
なお、評価は表2のごとく1〜10段階にランク分けした発酵指数値で納豆容器内の納豆の品質を評価し、また発酵指数値の幅でバラツキ度合を測定した。
【0027】
【表2】
Figure 0004326724
【0028】
なお、納豆業界で一般に使用されている従前の発酵室を用いて常法により製造した納豆を評価すると上記評価基準の発酵指数値の幅は4〜8程度のものが製造されるが、発酵指数値5〜6のものが美味しく食することができる納豆である。また、発酵指数値4以下のものは、納豆の風味が無く、糸引きもかなり弱く品質的に問題がある。また、発酵指数値7以上のものでは、納豆が日持ちせず、またアンモニア臭が感じられて品質的に問題がある。以上の試験結果を表3にまとめた。
【0029】
【表3】
Figure 0004326724
【0030】
以上の結果、循環通風の平均風速が1.0m/sよりも大きくなると、納豆に乾きが発生し、また大豆が黒色に着色していて消費者に提供できる品質が確保できなかった。また、循環通風の平均風速が0.5m/sより小さくなると、発酵熱を奪い取るだけの能力が不足し、発酵指数値のバラツキが大きくなって、特に品温が高くなった部分の納豆は過発酵気味になりアンモニア臭が発生してしまい、消費者が満足できるような品質を確保できなかった。以上の結果、循環通風の平均風速は0.5m/s〜1.0m/sが適切な範囲であると結論された。
【0031】
〔実施例2〕(循環通風の平均温度差の選定)
実施例1と同様の方法で調製した納豆菌を接種した蒸煮大豆が充填された納豆容器を収納したコンテナを15段に段積みしたものを基本単位(1列)として図4に示す循環通風型納豆発酵室10内のコンテナ収容室18Aに収容した。
【0032】
なお、図4の循環通風型納豆発酵室10内へのコンテナの収容は、本実施例では表4に示した如く、収容列数を1列(24a)、1.5列(24aと24b7段)、2列(24a、24b)、3列(24a、24b、24c)及び4列(24a、24b、24c、24d)と変動させて、循環通風の平均温度差が1℃〜6℃の間で変動するように調製して、5試験区を設定した。
発酵は、常法による温度(40℃)と湿度(90%)で正方向と逆方向の循環通風を5分間隔で逆転させて行い、平均風速は0.8m/sとした。なお、平均風速は、実施例1と同様の方法で測定した循環通風の風速の平均値である。
【0033】
さらに本実施例においては、これら5試験区のコンテナ収容室18Aの入口部と出口部の循環通風空気の平均温度差を測定した。なお、平均温度差は循環通風の風速の測定の場合と同様の個所に温度計を設置して測定した入口部の循環通風空気の平均温度と出口部の循環通風空気の平均温度の差である。
【0034】
また、各試験区において、納豆容器内の品温の差も求めるべく、コンテナ収納室18Aの入口部及び出口部の最上段、中段、最下段の品温を納豆容器25内に温度計を差し込んで測定し、入口部3個所の品温の平均と出口部3個所の平均品温の差を求めて平均品温差とした。
【0035】
【表4】
Figure 0004326724
【0036】
このようにして発酵させた後、コンテナに収納された納豆容器を発酵室から取り出し、続いて4℃の熟成室に収容して、2日間の熟成を行わせた後取り出した。その後、コンテナ収容室最上段、中段、最下段の各コンテナ内に収納された全ての納豆容器を取り出して開封し、納豆を評価した。評価は実施例1と同様にして行った。以上の結果を表5にまとめた。
【0037】
【表5】
Figure 0004326724
【0038】
以上の結果、コンテナ収容室での入口部と出口部の循環通風の平均温度差が3℃程度以下であれば、従来の発酵室では達成できない発酵指数値のバラツキ以内に抑えることができ、且つ、発酵指数値5〜6程度の高品質の納豆を製造できることが確認できた。一方、平均温度差が4℃程度以上になると、発酵指数値のバラツキが大きくなり、かつ品質の悪い納豆が多く発生するので好ましくない。なお、最も優れた発酵が可能なのは、平均温度差約2℃以内であった。
【0039】
〔実施例3〕(循環通風型納豆発酵室について)
次に、添付図面に従って、本発明に係る納豆発酵室の好ましい実施の形態を説明する。図1は、本発明に係る納豆発酵室の第1の実施の形態を示す一部破断した斜視図である。図2は図1のL−L線による垂直断面図であり、また図3は図1のH−H線による水平断面図である。
【0040】
図示のように、この例において、納豆発酵室10は全体として箱型のものであり、その内部に、天井壁12Aと側壁14A及び14Bとによって形成された第1のコンテナ収容室18Aと、天井壁12Bと側壁14C及び14Dとによって形成された第2のコンテナ収容室18Bの2つのコンテナ収容室が所定の距離を隔てて併設されている。第1のコンテナ収容室18Aの側壁14A、14Bはコンテナ収容部分にほぼ相当するサイズの開口部14a、14bを有しており、第2のコンテナ収容室18Bの側壁14C、14Dも同様の開口部14c、14dを有している。そして、第1と第2のコンテナ収容室18A,18Bの間には第1と第2のコンテナ収容室18A,18Bの対向する開口部14b,14cの双方に連通するようにして、第1循環通風室16Aが形成されている。なお、19はコンテナ搬入搬出口に設けられた開閉扉である。
【0041】
納豆発酵室10の天井壁と第1のコンテナ収納室18Aの天井壁12Aの間及び納豆発酵室10の側壁と前記コンテナ収納室18Aの側壁14Aにおける開口部14aとの間には第2の循環通風室16Bが形成され、さらに、納豆発酵室10の天井壁と第2のコンテナ収納室18Bの天井壁12Bの間及び納豆発酵室10の側壁と前記コンテナ収納室12Bの側壁14Dにおける開口部14aとの間には第3の循環通風室16Cが形成されている。
【0042】
第1の循環通風室16Aの天井部には吸入口23aを備えた送風ファン23がこの例では奥行き方向にほぼ一定の間隔をもって複数個が設置され、さらに送風ファン23の上方には第1の循環通風室16Aに一方を連通するようにして第1の空調ユニット22A及び第2の空調ユニット22Bが設置されている。そして、第1の空調ユニット22Aの他方側は第2循環通風室16Bに連通しており、第2の空調ユニット22Bの他方側は第3循環通風室16Cに連通している。それにより、発酵室10内には、「第1のコンテナ収容室18A−第1循環通風室16A−第1の空調ユニット22A−第2循環通風室16B−第1のコンテナ収容室18A」とで形成される第1の空調空気循環通風系と、「第2のコンテナ収容室18B−第1循環通風室16A−第2の空調ユニット22B−第3循環通風室16C−第2のコンテナ収容室18B」とで形成される第2の空調空気循環通風系の、2つの空調空気循環通風系が形成される。
【0043】
空調ユニット22A,22Bは、冷却器22a及び22e、加熱器22b及び22f及び湿度調節器22c及び22gから構成されている。そして、送風ファン23の回転方向に応じて、外気導入口22iから導入された外気及び第1の循環通風室16Aから吸入口23aを経て吸入された空気を所定温度、湿度に調整して、それぞれの吹出口22d及び22hから、第2の循環通風室16B及び第3の循環通風室16Cへと循環させる順方向循環流と、空気を第2の循環通風室16B及び第3の循環通風室16Cから空調ユニット22A及び22Bを経由して吸入口23aから第1の循環通風室16Aへと循環させる逆方向循環流とに切り替え可能となっている。
【0044】
各開口部14a、14b、14c、14dには、好ましくは図示のように循環通風の整流作用を行わせるための整流板15a、15b、15c、15dが設置されており、それによって、第1および第2のコンテナ収容室18A及び18B内を流れる空気の流速が均一化される。なお、整流板15a、15b、15c、15dとしては、例えば縦横一定ピッチで多数孔が形成されたパンチングプレートやスリットが多数形成されたものなどを使用でき、また、ピッチやスリットは整流板の上部よりも下部の方が密に設置されたものの方が、垂直方向の循環通風量を一定化させ、整流効果を強める作用が期待でき、好ましい。
【0045】
第1および第2のコンテナ収容室18A及び18Bには、前記したように、納豆菌を接種した蒸煮大豆を所定量入れた納豆容器25を収納するコンテナ24a、24b、24c、24dが架台17上に段積されて収容される。この例では、各コンテナとして、99mm角サイズ程度の常法で用いられる納豆容器が49個(7個×7個)程度収納されるものを用いている。実際の運転に当たっては、前記実施例1及び2に記載した理由から、第1および第2のコンテナ収容室18A及び18Bに収容されるコンテナ数は、最終的に循環通風の平均風速が0.5m/s〜1.0m/sで、コンテナ収容室の入口部と出口部の平均温度差が3℃以内となるように維持されるような数にするのが好ましい。具体的には上記のコンテナを収容する場合は、コンテナ収容室1室当たりコンテナ列を2列以内として収容するのが好ましい。
【0046】
上記のようにして第1および第2のコンテナ収容室18A及び18Bに所要数のコンテナを収容した後、各空調ユニット22A及び22Bと送風ファン23を運転する。それにより、各コンテナ収容室18A及び18Bには、所定温度、湿度に調節された空調空気が、第1の空調空気循環通風系と第2の空調空気循環通風系を介して、正方向循環流および逆方向循環流として、循環通風の平均風速が0.5m/s〜1m/sで、平均温度差が3℃以内となるように供給され、その空調空気によって発酵中の納豆から発生した発酵熱は効率良くかつ均一に吸熱される。
【0047】
発酵熱を吸熱した空調空気は各コンテナ収容室18A、18Bから流出し、各空調ユニット22A及び22Bによって所定温度、湿度に再調節された後、再び2つのコンテナ収容室18A及び18Bに供給される。その結果、空調空気の循環通風によって納豆の発酵が効率良く、かつ高品質で均一の品質のものが発酵可能となる。
【0048】
上記の循環通風型納豆発酵室によれば、発酵室10内に収容される納豆容器は2つのコンテナ収容室18A、18Bに区分けして収納されており、かつ、各コンテナ収容室には第1と第2のそれぞれ独立した空調空気循環通風系により空調空気が送られる。そのために、同じ生産量の場合に、循環通風の各コンテナ収納室入口部と出口部での平均温度差は、従来の一つの空調空気循環通風系のみを持つ循環通風型納豆発酵室の場合と比較して小さくなる。それにより、良質で均一な品質の納豆を多量かつ効率的に製造することができる。
【0049】
また、一つの発酵室10内に第1と第2のそれぞれ独立した空調空気循環通風系が形成されるように各コンテナ収容室や空調ユニットが配置されており、生産量を例えば2倍にする場合であっても、従来のように同形同サイズの新しい発酵室をもう一つ増設する場合と比較して、設備費、維持費を大幅に低減でき、また、設置スペースも節約することができる。
【0050】
〔実施例4〕(上記循環通風納豆発酵室10を用いた納豆の発酵)
実施例1と同様にして調製した蒸煮大豆入り納豆容器を収納したコンテナを図1〜図3に示す循環通風型納豆発酵室に各コンテナ収容室当たり2列づつ(24a、24b、24c、24d)に収納した。発酵は、実施例1と同様に常法による温度(40℃)と湿度(90%)で正方向と逆方向の通風を5分間隔で逆転させて行い、循環通風の平均風速を0.8m/sで、コンテナ収容室の入口部と出口部の循環通風の平均温度差を2.5℃で発酵させた。なお、循環通風の平均風速及び平均温度差の測定は、実施例1と同様にして行ったが、本実施例では、2室あるコンテナ収容室の両方で実施し、それぞれの平均風速及び平均温度差の相加平均を求めたものである。
【0051】
このようにして、20時間の発酵を行わせた後、コンテナ収容室から納豆容器を取り出し、これを4℃の低温熟成室に収容し、さらに48時間熟成させて納豆を製造した。このようにして製造された納豆の品質及びそのバラツキは、実施例1で述べた発酵指数値に照らして5〜5.5であって、良質の納豆を均一な品質で製造することができた。
【0052】
【発明の効果】
本発明による納豆の発酵方法によれば、高品質の納豆を、従来不可能であったより均一な品質で製造することが可能となる。また、本発明による循環通風型納豆発酵室を用いることにより、本発明による納豆の発酵方法に従って、高品質かつ均一な品質の納豆を大量にかつ効果的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る循環通風型発酵室の斜視図。
【図2】図1の循環通風型発酵室のL−L線による垂直断面図。
【図3】図1の循環通風型発酵室のH−H線による水平断面図。
【図4】従来の循環通風型発酵室の垂直断面図。
【符号の説明】
10 循環通風型発酵室
18A 第1のコンテナ収容室
18B 第2のコンテナ収容室
14a〜d コンテナ収容室開口部
16A 第1の循環通風室
16B 第2の循環通風室
16C 第3の循環通風室
22A 第1の空調ユニット
22B 第2の空調ユニット
24a〜d コンテナ
25 納豆容器

Claims (3)

  1. 発酵室内に、両端が開口した第1と第2のコンテナ収容室が互いに対向して配置され、第1と第2のコンテナ収容室の対向する開口部の双方に連通する第1循環通風室と、第1のコンテナ収容室の他方の開放部に連通する第2循環通風室と、第2のコンテナ収容室の他方の開放部に連通する第3循環通風室とが形成されており、さらに、第1循環通風室に一方側を連通する第1と第2の空調ユニットを備え、第1の空調ユニットの他方側は第2循環通風室に、第2の空調ユニットの他方側は第3循環通風室に連通しており、それにより、発酵室内には、第1のコンテナ収容室−第1循環通風室−第1の空調ユニット−第2循環通風室−第1のコンテナ収容室とで形成される第1の空調空気循環通風系と、第2のコンテナ収容室−第1循環通風室−第2の空調ユニット−第3循環通風室−第2のコンテナ収容室とで形成される第2の空調空気循環通風系とが形成されるようになっており、さらに、第1と第2の空調空気循環通風系の通風方向を所定の間隔で切り換える制御手段とを備えることを特徴とする循環通風型納豆発酵室。
  2. 各コンテナ収容室の各開口部には整流板が備えられていることを特徴とする請求項記載の循環通風型納豆発酵室。
  3. 循環通風の平均風速を0.5m/s〜1.0m/sとし、かつ循環通風のコンテナ収納室入口部と出口部の平均温度差が3℃以内となるようにして運転することを特徴とする請求項1または2記載の循環通風型納豆発酵室の運転方法。
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