JP4326682B2 - ポリオレフィン系デスクマット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリオレフィン系デスクマット、さらに詳しくは、適度の柔軟性と良好な非転写性を有すると共に、透明性、巻戻り性、書き味に優れるポリオレフィン系デスクマットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、事務机や勉強机などの上に敷くデスクマットとしては、軟質塩化ビニル系樹脂製やポリオレフィン系樹脂製の透明シートが多く用いられてきた。しかしながら、軟質塩化ビニル系樹脂製シートの場合、(1)焼却処理時に塩化水素が発生するため、除害設備を有する焼却炉を必要とする、(2)長期間使用すると、表面に可塑剤が浮き出してべたつくことがある、(3)シート中に含まれる可塑剤に主に起因するとされるインキの転写(印刷物などのインキが、マット面に移行、転写する現象)が起こりやすい、などの不都合がある。
一方、可塑剤を用いず非転写性に優れるとされるポリオレフィン系樹脂製のものは、透明性に劣る上、巻き戻り性(デスクマットは、通常2mm程度の厚みを有するシート状成形品であることから、巻物状にして取り扱われている)に劣るため、巻物を解いて事務机などの上に敷いた際に、その表面に水平状に密着させて敷くことができない場合がある。また、適度の柔軟性がないために、デスクマット上で文字を書く際の書き味に劣るなどの問題があり、必ずしも十分に満足し得るデスクマットとは言えなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、適度の柔軟性と良好な非転写性を有すると共に、透明性、巻戻り性、書き味に優れるポリオレフィン系デスクマットを提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有するポリオレフィン系デスクマットを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、エチレンと環状オレフィンや芳香族ビニル化合物とを共重合して得られた特定の性状を有する共重合体を含む層を有するマットが、その目的に適合し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(a)エチレンと、(b)環状オレフィン及び/又は(c)芳香族ビニル化合物とを共重合して得られ、かつガラス転移温度が−30℃〜30℃、引張弾性率が1000MPa以下、弾性回復率が20%以上及び結晶化度0.1〜15%以下である共重合体を含む層を有するポリオレフィン系デスクマットを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のポリオレフィン系デスクマット(以下、単に本発明のデスクマットと称すことがある。)に用いられる共重合体は、(1)(a)α−オレフィンと(b)環状オレフィンとの共重合体、(2)(a)α−オレフィンと(c)芳香族ビニル化合物との共重合体、又は(3)(a)α−オレフィンと(b)環状オレフィンと(c)芳香族ビニル化合物との共重合体である。これらの中で、特に(1)の共重合体が好適である。
前記(a)成分のα−オレフィンとしては、炭素数2〜22のα−モノオレフィン類、ハロゲン置換α−オレフィン類及び鎖状ジオレフィン類の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−フェニル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3, 3−ジメチル−1−ペンテン、3, 4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、6−フェニル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等のα−モノオレフィン類、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1, 1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン等のハロゲン置換α−オレフィン類、ブタジエン、イソプレン、1, 4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン
などの鎖状ジオレフィン類を挙げることができる。これらのα−オレフィンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(b)成分の環状オレフィンとしては、特に制限はないが、一般式(I)
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、kは0または1であり、mは0または1であり、nは0または自然数である。R1 〜R20は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基又はアミノ基である)
で表される化合物が挙げられる。
ここでハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子である。炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ベンジル基、フェニルエチル基、ナフチル基、アントラセニル基などが挙げられる。
【0008】
アルコキシ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
アミノ基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピロリジニル基、ビス(トリメチルシリル)アミノ基などが挙げられる。
R17〜R20は、互いに結合して単環または多環を形成していても良く、かつ該単環または多環が二重結合を有していても良く、またR17とR18とで、またはR19とR20とでアルキリデン基を形成していても良い。
【0009】
上記一般式(I)で表される環状オレフィンの具体的な例を示せば、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(ノルボルネン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、エチリデンノルボルネンなどのビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン、2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセンなどのトリシクロ[4.3.0.12,5 ]−3−デセン誘導体、トリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.0.12,5 ]−3−ウンデセン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6 .02,7 .09,13]−4−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン化合物、ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセンなどのペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.08,13]−3−ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7 .09,14]−4−ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14]−4−ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアントラセンなどが挙げられる。
前記一般式(I)で表される化合物以外の環状オレフィンとしては、1−シクロペンテン、1−シクロオクテンなどの単環状オレフィン類、1,3−シクロヘキサジエン、1,5−オクタジエン、2,5−ノルボルナジエンなどの環状ジエン類などが挙げられる。
【0010】
これらの一般式(I)で表される環状オレフィン及び上記の環状オレフィンは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、(c)成分の芳香族ビニル化合物としてはスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン類、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p −クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン、更にはp−フェニルスチレン、p−トリメチルシリルスチレン、ビニル安息香酸エステル、ジビニルベンゼン等を挙げることができる。これら芳香族ビニル化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
本発明のデスクマットに用いられる共重合体においては、α−オレフィン単位の含有量が70〜99.9モル%、環状オレフィン単位の含有量が0〜30モル%及び芳香族ビニル化合物単位の含有量が0〜30モル%であり、かつ環状オレフィン単位と芳香族ビニル化合物単位との合計含有量が30〜0.1モル%であるのが好ましい。α−オレフィン単位の含有量が70モル%未満ではガラス転移温度(Tg)が高くなり、常温での柔軟性が失われるおそれがあり、99.9モル%を超えると結晶性が高くなり、弾性率が高くなって、柔軟性が失われる上、透明性が低下するおそれが生じる。したがって、各単位のより好ましい含有量は、α−オレフィン単位が80〜98モル%、環状オレフィン単位が0〜20モル%及び芳香族ビニル化合物単位が0〜20モル%で、かつ環状オレフィン単位と芳香族ビニル化合物単位との合計含有量が20〜2モル%であり、さらに好ましくは、α−オレフィン単位が80〜96モル%、環状オレフィン単位が4〜20モル%及び芳香族ビニル化合物単位が0〜16モル%である。
【0012】
本発明においては、前記共重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、−30〜30℃の範囲にあることが必要である。このTgが−30℃より低いと物性バランスが悪くなり、特に透明性や柔軟性が低下したり、弾性回復性が低下することがあり、一方30℃を超えると常温での柔軟性が失われる。したがって、好ましいTgは−20〜25℃の範囲であり、特に−10〜25℃の範囲が好ましい。
なお、共重合体のガラス転移温度(Tg)は、共重合体を温度190℃、圧力10MPaで加熱プレス成形にて試験片(幅4mm、長さ40mm、厚さ0.1mm)を作製し、測定装置として東洋ボールディング社製バイブロン11−EA型を用い、昇温速度3℃/分、周波数3.5Hzで測定し、この時の損失弾性率(E”)のピークから求められるものである。
また、該共重合体は、引張弾性率が1000MPa以下であることが必要である。この引張弾性率が1000MPaを超えると柔軟性が低下し、文字を書く際に滑りすぎて書き味が悪くなる。また、低すぎると筆圧で紙が窪み、書き味が悪くなる。したがって、好ましい引張弾性率は5〜500MPaの範囲であり、特に10〜200MPaの範囲が好適である。なお、この引張弾性率は、JIS K7127に従いオートグラフを用い、1mmの厚みの2号形試験片を用い、試験速度:10mm/分で引張試験を行い求めたものである。
【0013】
一方、該共重合体は弾性回復率が20%以上であることが必要である。この弾性回復率が20%未満では巻き戻り性が悪くなりやすい。好ましい弾性回復率は50%以上であり、特に70%以上が好適である。なお、この弾性回復率は、オートグラフを用い、引っ張り速度62mm/分で、幅6mm、クランプ間50mm(L0)の側底片を150%伸ばして引っ張り、5分間そのままの状態を保った後、はね返させることなく急に収縮させ、1分後にクランプ間のシートの長さ(L1 )を測定し、式
弾性回復率(%)=[ 1−〔(L1 −L0 )/L0 〕] ×100
より求めた値である。
【0014】
さらに、本発明においては、前記共重合体は、結晶化度が20%以下が好ましい。この結晶化度が20%を超えると透明性や柔軟性が低下しやすくなり、また低すぎると表面硬度が低下し、傷つきやすくなったり、成形時にべとつきやすくなる。したがって、この結晶化度は、より好ましくは15%以下であり、特に0.1〜10%の範囲が好適である。なお、この結晶化度は、X線回折分析法により求めた値である。
また、該共重合体は、表面硬度(ショアーD)が30以上であるのが好ましい。この表面硬度(ショアーD)が30未満では成形体表面に傷が付きやすく、透明性や光沢が低下する原因となる。また、この表面硬度が高すぎると柔軟性が損なわれることがある。したがって、より好ましい表面硬度(ショアーD)は30〜90の範囲であり、特に30〜60の範囲が好適である。なお、この表面硬度は、JIS K7215に準拠し、厚さ3mmのフィルムについて、デュロメーターによりショアー硬度Dを求めた値である。
次に、この共重合体のメルトインデックス(MI)は、通常0.01〜50g/10分、好ましくは0.05〜20g/10分、より好ましくは0.1〜10g/10分の範囲である。なお、このMIは、JIS K7210に準拠し、測定温度190℃、測定荷重21.18Nの条件で測定した値である。
本発明で用いる共重合体は、特に式
10(MPa)≦引張弾性率≦200(MPa)
表面硬度〔ショア−D〕≧(引張弾性率/10)+30
弾性回復率(%)≧140−50×log 引張弾性率
を満たすものが好適である。
【0015】
このような性状を有する本発明で用いられる共重合体の製造方法としては、前記の性状を有するものが得られる方法であればよく、特に制限はないが、以下に示す方法により、効率よく製造することができる。
この方法においては、(A)下記の一般式(II)〜(V)で表される周期率表4〜6族の遷移金属化合物及び周期律表8〜10族の遷移金属化合物の中から選ばれる少なくとも一種と、(B)イオン化剤、すなわち(B−1)含酸素有機金属化合物、(B−2)該遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成し得るイオン性化合物及び(B−3)粘土、粘土鉱物又はイオン交換性層状化合物の中から選ばれる少なくとも一種との組合せからなるオレフィン重合触媒の存在下、α−オレフィンと環状オレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物を共重合体させることにより、所望の共重合体が得られる。
【0016】
上記(A)成分の遷移金属化合物は、下記の一般式(II),(III),(IV) 及び(V)
Q1 a (C5 H5-a-b R21 b )(C5 H5-a-c R22 c )M1 X1 Y1
・・・(II)
Q2 a (C5 H5-a-d R23 d )Z1 M1 X1 Y1 ・・・(III)
(C5 H5-e R24 e )M1 X1 Y1 W1 ・・・(IV)
L1 L2 M2 X1 Y1 ・・・(V)
〔式中、Q1 は二つの共役五員環配位子(C5 H5-a-b R21 b )及び(C5 H5-a-c R22 c )を架橋する結合性基を示し、Q2 は共役五員環配位子(C5 H5-a-d R23 d )とZ1 基を架橋する結合性基を示す。R21、R22、R23及びR24は、それぞれ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示し、複数あるときは、互いに同一でも異なってもよく、互いに結合して環構造を形成してもよい。aは0、1又は2である。b、c及びdは、a=0のときはそれぞれ0〜5の整数、a=1のときはそれぞれ0〜4の整数、a=2のときはそれぞれ0〜3の整数を示す。eは0〜5の整数を示す。M1 は周期律表4〜6族および周期律表8〜10族の遷移金属を、M2 は周期律表8〜10族の遷移金属を示す。また、L1 、L2 はそれぞれ共有結合性又は配位結合性の配位子を示し、それぞれ互いに結合してもよい。また、X1 、Y1 、Z1 、W1 はそれぞれ共有結合性又はイオン結合性の配位子を示し、X1 、Y1 およびW1 は、それぞれ互いに結合してもよい。〕
で表される化合物の中から選ばれる少なくとも一種である。
【0017】
前記一般式(II)及び(III) 式中のQ1 及びQ2 は結合性基を示すが、具体例としては、
(ア)
メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、メチルフェニルメチレン基、ジフェニルメチレン基、シクロヘキシレン基などの炭素数1〜4のアルキレン基、シクロアルキレン基又はその側鎖低級アルキル若しくはフェニル置換体、
(イ)
シリレン基、ジメチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、ジフェニルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基などのシリレン基、オリゴシリレン基又はその側鎖低級アルキル若しくはフェニル置換体、
(ウ)
ゲルマニウム、リン、窒素、硼素又はアルミニウムを含む炭化水素基〔低級アルキル基、フェニル基、ヒドロカルビルオキシ基(好ましくは低級アルコキシ基)など〕、具体的には(CH3 )2 Ge基、(C6 H5 )2 Ge基、(CH3 )P基、(C6 H5 )P基、(C4 H9 )N基、(C6 H5 )N基、(CH3 )B基、(C4 H9 )B基、(C6 H5 )B基、(C6 H5 )Al基、(CH3 O)Al基などが挙げられる。Q1 及びQ2 としては、これらの中で、アルキレン基及びシリレン基が好ましい。
【0018】
また、(C5 H5-a-b R21 b )、(C5 H5-a-c R22 c )及び(C5 H5-a-d R23 d )は共役五員環配位子であり、R21、R22及びR23は、それぞれ炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又は硼素含有炭化水素基を示し、aは0、1又は2である。b、c及びdは、a=0のときはそれぞれ0〜5の整数、a=1のときはそれぞれ0〜4の整数、a=2のときはそれぞれ0〜3の整数を示す。ここで、炭化水素基としては、炭素数1〜20のものが好ましく、特に炭素数1〜12のものが好ましい。この炭化水素基は一価の基として、共役五員環基であるシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、またこれが複数個存在する場合には、その2個が互いに結合してシクロペンタジエニル基の一部と共に環構造を形成していてもよい。すなわち、該共役五員環配位子の代表例としては、置換又は非置換のシクロペンタジエニル基、インデニル基及びフルオレニル基が挙げられる。
【0019】
ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、炭素数1〜12のものが好ましく挙げられる。
珪素含有炭化水素基としては、例えば−Si(R25)(R26)(R27)(R25、R26及びR27は炭素数1〜24の炭化水素基)などが挙げられ、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基及び硼素含有炭化水素基としては、それぞれ−P(R28)(R29)、−N(R28)(R29)及び−B(R28)(R29)(R28及びR29は炭素数1〜18の炭化水素基)などが挙げられる。R21、R22及びR23がそれぞれ複数ある場合には、複数のR21、複数のR22及び複数のR23は、それぞれにおいて同一であっても異なっていてもよい。また、一般式(II)において、共役五員環配位子(C5 H5-a-b R21 b )及び(C5 H5-a-c R22 c )は同一であっても異なっていてもよい。
一方、M1 は周期律表4〜6族及び周期律表8〜10族の遷移金属元素を示し、具体例としてはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、モリブテン、タングステン、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、白金などを挙げることができるが、これらの中でチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、ニッケル及びパラジウムが好ましい。
【0020】
Z1 は共有結合性の配位子であり、具体的には酸素(−O−)、硫黄(−S−)、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のチオアルコキシ基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜40、好ましくは1〜18のリン含有炭化水素基を示す。
X1 及びY1 は、それぞれ共有結合性又はイオン結合性の配位子であり、具体的には水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(例えば、ジフェニルホスフィン基など)又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の珪素含有炭化水素基(例えば、トリメチルシリル基など)、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基あるいはハロゲン含有ホウ素化合物(例えばB(C6 H5 ) 4 、BF4 )を示す。これらの中でハロゲン原子、炭化水素基及びアルコキシ基が好ましい。X1 及びY1 としてはたがいに同一であっても異なっていてもよい。
【0021】
次に、上記一般式(IV)において、M1 は上記と同様に周期律表4〜6族及び周期律表8〜10族の遷移金属であり、また、W1 は共有結合性又はイオン結合性の配位子であり、具体的には水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基、アミノ基、アミジナート基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(例えば、ジフェニルホスフィン基など)又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の珪素含有炭化水素基(例えば、トリメチルシリル基など)、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基あるいはハロゲン含有ホウ素化合物(例えばB(C6 H5 ) 4 、BF4 )を示す。これらの中でハロゲン原子、炭化水素基及びアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(II)及び(III) で表される化合物の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0022】
(1)
ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(インデニル)チタニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムクロロヒドリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルチタニウム、(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリドなどの架橋する結合基を有さず共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0023】
(2)
rac−メチレンビス(インデニル)チタニウムジクロリド、rac−エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)チタニウムジクロリド、エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、rac−イソプロピリデンビス(4,5−ベンゾインデニル)チタニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)チタニウムジクロリドなどのアルキレン基で架橋した共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0024】
(3)
rac−ジメチルシリレンビス(インデニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、rac−フェニルメチルシリレンビス(インデニル)チタニウムジクロリドなどのシリレン基架橋共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0025】
(4)
rac−ジメチルゲルミレンビス(インデニル)チタニウムジクロリドなどのゲルマニウム、アルミニウム、硼素、リン又は窒素を含む炭化水素基で架橋された共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物、
【0026】
(5)
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)[ビス(フェニル)アミノ]チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(tert−ブチルアミノ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−インデニル)(tert−ブチルアミノ)チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−インデニル)(イソプロピルアミノ)チタニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキシド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドなどの共役五員環配位子を1個有する遷移金属化合物、
【0027】
(6)
(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデニル)チタニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−エチレン)ビス(インデニル)チタニウムジクロリド、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)ビス(3−メチルインデニル)チタニウムジクロリドなどの配位子同士が二重架橋された共役五員環配位子を2個有する遷移金属化合物,
【0028】
(7)
さらには、上記(1)〜(6)に記載の化合物において、これらの化合物の塩素原子を臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、メチル基、フェニル基などに置き換えたもの、また、上記遷移金属化合物の中心金属のチタニウムをジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、モリブテン又はタングステンなどに置き換えたものを挙げることができる。
また、一般式(IV)で表される遷移金属化合物の具体例としては、例えばシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリクロリド、さらには、これらの化合物の塩素原子を臭素原子、ヨウ素原子、水素原子、メチル基、フェニル基などに置き換えたもの、また、上記遷移金属化合物の中心金属のチタニウムをジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、モリブテン又はタングステンなどに置き換えたものを挙げることができる。
【0029】
一方、前記一般式(V)で表される遷移金属化合物において、L1 、L2 はそれぞれ共有結合性又は配位結合性の配位子を表わし、X1 、Y1 はそれぞれ共有結合性、又はイオン結合性の配位子を表している。
ここでX1 、Y1 については、前述したように、具体的には水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜20、好ましくは1〜10のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基、(例えば、ジフェニルホスフィン基など)又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の珪素含有炭化水素基(例えば、トリメチルシリル基など)、炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基あるいはハロゲン含有硼素化合物(例えばB(C6 H5 )4 ,BF4 )を示す。これらの中でハロゲン原子及び炭化水素基が好ましい。このX1 及びY1 はたがいに同一であっても異なっていてもよい。
さらに、L1 ,L2 の具体例としては、炭素数1〜20、好ましくは1〜10の炭化水素基、炭素数1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基、アミノ基、アミジナート基、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のリン含有炭化水素基(例えばジフェニルホスフィン基など)又は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の珪素含有炭化水素基(例えば、トリメチルシリル基など)、トリフェニルホスフィン,アセトニトリル,ベンゾニトリル,1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン,1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン,1,1’−ビスジフェニルホスフィノフェロセン,シクロオクタジエン,ピリジン,ビストリメチルシリルアミノビストリメチルシリルイミノホスホランなどを挙げることができる。
なお、上記L1 及びL2 ,X1 およびY1 は、それぞれ互いに結合してもよい。
【0030】
この一般式(V)で表される遷移金属化合物の具体例としては、ビス[ ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート ]ジルコニウムジクロリド,ビス(ジメチルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド,ビス(ジシクロヘキシルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリド,ジプロモビストリフェニルホスフィンニッケルなどを挙げることができる。さらに、ジイミン化合物を配位子とするものが好ましく、このようなものとしては、例えば一般式(VI)
【0031】
【化2】
【0032】
(式中、R30およびR33はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基または全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基、R31およびR32はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R31とR32はたがいに結合して環を形成していてもよく、X2 およびY2 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、M2 は周期律表第8ないし10族の遷移金属を示す。)で表される錯体化合物を挙げることができる。
上記一般式(VI)において、R30およびR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基または炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換基が導入されていてもよい。また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR30およびR33としては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基が好適である。R30およびR33は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0033】
また、R31およびR32のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、前記R30およびR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。また炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。このR31およびR32は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、たがいに結合して環を形成していてもよい。
【0034】
一方、X2 およびY2 のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記R31およびR32における炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX2 およびY2 としては、特にメチル基が好ましい。また、X2 とY2 は、たがいに同一であってもよく異なっていてもよい。
M2 の周期律表第8ないし10族の遷移金属としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ロジウム、ルテニウムなどが挙げられ、ニッケル、パラジウムが好ましい。
本発明においては、前記(A)成分の遷移金属化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられるオレフィン重合触媒における(B)成分のイオン化剤うちの(B−1)含酸素有機金属化合物としては、一般式(VII) 又は一般式(VIII)
【0035】
【化3】
【0036】
〔式中、R34〜R40は、各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を示し、A1 〜A5 は、各々独立に周期律表13族金属元素を示す。またh,i,j及びuは、それぞれ0〜50の数であり、かつ(h+i)と(j+u)は共に1以上である。]で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(VII),(VIII)において、R34〜R40が表す炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基が挙げられ、A1 〜A5 が表す周期律表13族金属元素としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムが挙げられる。これら金属元素の中では、ホウ素とアルミニウムが特に好適に用いられる。またh,i,j及びuの値としては、1〜20、特に1〜5の範囲であるものが好ましい。
【0037】
これらの一般式(VII),(VIII)で表される含酸素有機金属化合物としては、例えばテトラメチルジアルモキサン、テトライソブチルジアルモキサン、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン等のアルモキサン類、トリメチルボロキシン、メチルボロキサン等のボロキサン類が挙げられる。これらの内好ましくはアルモキサン類であり、特にメチルアルモキサンやイソブチルアルモキサンが好適に用いられる。
また、これらアルモキサン類は、アルコール類で変性していても良い。変性に用いられるアルコール類としては、具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、トリフェニルメタノール、2,6−ジメチルフェノール、1,4−ブタンジオール、カテコール、トリメチルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられる。
【0038】
また、(B)成分のうちの(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成しうるイオン性化合物としては、複数の基が金属に結合したアニオンとカチオンとからなる配位錯化合物、またはルイス酸が挙げられる。
この複数の基が金属に結合したアニオンとカチオンとからなる配位錯化合物としては、一般式(IX)又は(X)
([L3 −H]g+)f ([M3 D1 D2 ・・・Dp ](p-q)-)t (IX)
([L4 ]g+)f ([M4 D1 D2 ・・・Dp ](p-q)-)t (X)
[式中、L3 はルイス塩基、L4 は、後述のM5 、R41R42M6 またはR43 3 Cであり、M3 およびM4 は、それぞれ周期律表の第5〜15族から選ばれる金属、M5 は周期律表の第1族および第8〜12族から選ばれる金属、M6 は、周期律表の第8〜10族から選ばれる金属、D1 〜Dp は、それぞれ水素原子、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、置換アルキル基、有機メタロイド基またはハロゲン原子を示す。R41およびR42は、それぞれシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、またはフルオレニル基を示し、R43はアルキル基を示す。qはM3 、M4 の原子価で1〜7の整数、pは2〜8の整数、gは[L3 −H]、[L4 ]のイオン価数で1〜7の整数、fは1以上の整数であり、tは式[f×g/(p−q)]により算出される値である。]で表される化合物が好適に用いられる。
【0039】
上記一般式(IX)、(X)におけるM3 およびM4 が表す金属としては、ホウ素、アルミニウム、ケイ素、りん、ヒ素、アンチモンが好ましく、M5 が表す金属としては、銀、銅、ナトリウム、リチウムが好ましく、M6 が表す金属としては、鉄、コバルト、ニッケルなどが好適である。
また、一般式(IX)、(X)におけるD1 〜Dp の具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などが好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基などが、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、ナフチルオキシ基などが好ましい。
【0040】
次に、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが好ましく、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基としては、フェニル基、p−トリル基、ベンジル基、ペンタフルオロフェニル基、3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、4―tert−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基などが好ましい。さらにハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素が好ましく、有機メタロイド基としては、ペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基、トリメチルゲルミル基、ジフェニルアルシン基、ジシクロヘキシルアンチモン基、ジフェニルホウ素基などが好ましい。さらに、R41およびR42が表す置換シクロペンタジエニル基としては、メチルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基などが好適なものとして挙げられる。
【0041】
本発明において、複数の基が金属に結合したアニオンとしては、具体的には
B(C6 F5 )4 - 、B(C6 HF4 )4 - 、B(C6 H2 F3 )4 - 、B(C6 H3 F2 )4 - 、B(C6 H4 F)4 - 、B[C6 (CF3 )F4 ]4 - 、B(C6 H5 )4 - 、FB(C6 F5 )3 - 、FB(C10F7 )3 - 、PF6 - 、P(C6 F5 )6 - 、Al(C6 F5 )4 - 、Al(C6 HF4 )4 - 、FAl(C6 F5 )3 - 、FAl(C10F7 )3 - などが好適なものとして挙げられる。
また、金属カチオンとしては、Cp2 Fe+ 、(MeCp)2 Fe+ 、(tBuCp)2 Fe+ 、(Me2 Cp)2 Fe+ 、(Me3 Cp)2 Fe+ 、(Me4 Cp)2 Fe+ 、(Me5 Cp)2 Fe+ 、Ag+ 、Na+ 、Li+ などが好適なものとして挙げられる。
【0042】
また、この他のカチオンとしては、ピリジニウム、2,4−ジニトロ−N,N−ジエチルアニリニウム、ジフェニルアンモニウム、p−ニトロアニリニウム、2,5−ジクロロアニリニウム、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリニウム、キノリニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウムなどの窒素含有化合物、トリフェニルカルベニウム、トリ(4−メチルフェニル)カルベニウム、トリ(4−メトキシフェニル)カルベニウムなどのカルベニウム化合物、CH3 PH3 + 等のアルキルホスホニウムイオン、およびC6 H5 PH3 + などのアリールホスホニウムイオンなどが挙げられる。
【0043】
次に、前記一般式(IX)で表される化合物としては、例えば、テトラフェニルホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸N、N−ジメチルアニリニウムなどが好適に用いられる。
また、一般式(X)で表される化合物としては、例えばテトラフェニルホウ酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸フェロセニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリチル、テトラフルオロホウ酸銀などが好適に用いられる。
さらに、ルイス酸として、例えば、B(C6 F5 )3 、B(C6 HF4 )3 、B(C6 H2 F3 )3 、B(C6 H3 F2 )3 、B(C6 H4 F)3 、B(C6 H5 )3 、BF3 、B[C6 (CF3 )F4 ]3 、B(C10F7 )3 、FB(C6 F5 )2 、PF5 、P(C6 F5 )5 、Al(C6 F5 )3 、Al(C6 HF4 )3 、Al(C10F7 )3 なども用いることができる。
【0044】
一方、(B)成分のうちの(B−3)粘土、粘土鉱物又はイオン交換性層状化合物としては、下記のものが挙げられる。
(1)粘土又は粘土鉱物
粘土とは、細かい含水ケイ酸塩鉱物の集合体であって、適当量の水を混ぜてこねると可塑性を生じ、乾けば剛性を示し、高温度で焼くと焼結するような物質をいう。また、粘土鉱物とは、粘土の主成分をなす含水ケイ酸塩をいう。
これらは、天然産のものに限らず、人工合成したものであってもよい。
(2)イオン交換性層状化合物
このイオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。
【0045】
本発明においては、前記(B−3)成分は、(A)成分、他の(B−1)成分や(B−2)成分、後述の(C)成分との接触にあたり、粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物中の不純物除去又は構造及び機能の変化という点から、化学処理を施すことも好ましい。
また、上記(B−3)成分はそのまま用いても良いし、新たに水を添加吸着させたものを用いてもよく、あるいは加熱脱水処理したものを用いても良い。あるいは、さらに有機アルミニウム化合物および/または有機シラン化合物で処理したものを用いてもよい。
この(B−3)成分として、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、最も好ましいものはフィロケイ酸類であり、中でもスメクタイトが良く、モンモリロナイトがさらに好ましい。
本発明においては、(B)成分として、前記の(B−1)成分を一種単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよいし、(B−2)成分を一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いてもよく、(B−3)成分を一種単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。あるいは、(B−1)成分、(B−2)成分及び(B−3)成分を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0046】
さらに、該オレフィン重合触媒においては、必要に応じ、(C)成分として、一般式(XI) 、(XII)及び(XIII)
R44 r Al(OR45)S E3-r-s ・・・(XI)
R44 2 Mg ・・・(XII)
R44 2 Zn ・・・(XIII)
[上記式中R44およびR45は、各々独立に炭素数1〜8のアルキル基を示し、Eは水素原子またはハロゲン原子を示す。rは、0<r≦3であり、sは、0≦s<3である。]で表される有機金属化合物が好適に用いられる。
これら一般式(XI)〜(XIII)におけるR44またはR45が表すアルキル基としては、炭素数が1〜8であるもの、好ましくは炭素数が1〜4であるもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基等であるものが好ましい。また、同式中のrは、2または3であるものが好ましく、3であるものがもっとも好ましい。さらにsは、0または1であるものが好ましい。
【0047】
そして、これら一般式(XI)〜(XIII)で表される有機金属化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミウムクロリド、ジn−プロピルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジn−ブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジ−tert−ブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド、ジメチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド等の有機アルミニウム化合物や、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、ジエチル亜鉛等のジアルキル亜鉛が挙げられる。これら有機金属化合物の中でも、有機アルミニウム化合物、特に、トリアルキルアルミニウムが好ましい。本発明においては、(C)成分として、前記有機金属化合物を一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
次に、上記の各触媒成分を用いてオレフィン重合触媒を調製する場合には、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下にて行うことが望ましい。触媒としては、予め触媒調製槽において調製したものであってもよいし、α−オレフィンや芳香族ビニル化合物などの共重合を行なう重合反応器内において調製したものであってもよい。この重合反応器内にて触媒の調製を行う場合には、重合温度以下で行うことが望ましく、例えば−30〜200℃、好ましくは0〜80℃の範囲で行うのがよい。
そして、これら各成分の配合割合は、(A)成分の遷移金属化合物に対して、(B−1)成分をモル比において1:0.1〜1:100000、好ましくは、1:0.5〜1:10000とするのがよい。また(B−2)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成しうるイオン性化合物をモル比において1:0.1〜1:1000、好ましくは、1:1〜1:100とするのがよい。また、(B−3)成分の粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物の配合割合は、(B−3)成分の単位重量(g)に対する(A)成分の添加量として、0.1〜1000マイクロモル、好ましくは1〜200マイクロモルである。さらに、(C)成分有機金属化合物の配合割合は、(A)成分の遷移金属化合物に対して、モル比において1:1〜1:100000、好ましくは1:10〜1:10000である。
【0049】
本発明で使用する重合触媒は、上述した(A)成分、(B−1)成分、(B−2)成分及び(C)成分のうち少なくとも1つの成分が微粒子状担体に担持されてなる固体状触媒であってもよい。また重合触媒は、微粒子状担体、(A)成分、(B−1)成分(または(B−2)成分)および予備重合により生成する重合体または共重合体と、必要に応じて(C)成分とからなる予備重合触媒であってもよい。
固体状触媒および予備重合触媒に用いられる微粒子状担体は、無機あるいは有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固体である。これらの中でSiO2 およびAl2 O3 の中から選ばれた少なくとも一種の成分を主成分とするものが好ましい。
本発明における共重合体は、このようにして調製されたオレフィン重合触媒を用い、α−オレフィンと環状オレフィン及び/又は芳香族ビニル化合物を、ブタン、ヘキサン、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素化合物や、液化α−オレフィンなどの溶媒存在下、あるいは溶媒不在下に共重合させることにより製造することができる。重合温度は特に制限されないが、好ましくは−50℃〜250℃の範囲にあり、特に好ましくは0℃〜200℃の範囲である。圧力は特に制限されないが、好ましくは、常圧〜20MPa、特に好ましくは常圧〜10MPaの範囲である。
【0050】
本発明のデスクマットは、樹脂成分として、前記のようにして得られた共重合体のみを用いたものであってもよく、あるいは本発明の目的が損なわれない範囲で、該共重合体に他の樹脂をブレンドしてなる混合軟質樹脂を用いたものであってもよい。この場合、通常該共重合体と他の樹脂は、重量比50:50〜99.9〜0.1の割合でブレンドされる。
上記他の樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)やポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィン樹脂や、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの極性ビニル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、メタクリル樹脂、エポキシ樹脂などのその他の樹脂や、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、EPR、EPDM、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体ゴム、アクリロニトリル−EPDM−スチレン三元共重合体、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの合成ゴム、その他天然ゴムや熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
【0051】
これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、特に結晶性ポリオレフィン樹脂が好適である。
本発明のデスクマットは、前記の共重合体又はこれに他の樹脂をブレンドしてなる混合軟質樹脂を含む層のみからなる単層であってもよいし、上記層と、結晶性ポリオレフィン樹脂を含む層からなる多層体であってもよい。
本発明のデスクマットを作製するには、まず、該共重合体を含む成形材料を調製する。この成形材料は、該共重合体及び場合により用いられる前記他の樹脂からなる軟質樹脂成分に対し、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、公知の各種添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、結晶核剤、顔料、染料、有機又は無機フィラーなどを配合することにより、調製することができる。
【0052】
上記無機や有機のフィラーは透明性を損なわない範囲で配合することも、あるいは積極的に着色させることを目的に配合することもできる、フィラーの例としては、カーボンブラック、シリカ、シリカアルミナ、ケイ藻土、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉などの粉体、繊維、ビーズ状物、難燃剤等を挙げることができる。これらのフィラーの中では、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、シリカ、シリカアルミナ、タルク、炭酸バリウムが好ましく用いられる。これらのフィラーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
該成形材料の調製は、本発明に係る前記共重合体及び必要に応じて用いられる各成分をヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどで混合するか、又は混合後、さらに単軸押出機や多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどで溶融混練することにより行うことができる。本発明のデスクマットは、このようにして調製された成形材料を、従来公知の成形方法、例えばTダイ押出法やカレンダー法などにより、シート状に成形することにより、作製することができる。このシートの厚さは、通常0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmの範囲である。
【0053】
このようにして得られた本発明のデスクマットは、その耐熱性や耐薬品性などを向上させる目的で、必要により架橋することができる。この場合、熱、紫外線、電子線、γ線架橋などの方法によって、予め架橋しておく方法、あるいはデスクマットを作製した後に架橋する方法などを採用することができる。
本発明のデスクマットはマット本体の上面に耐薬品性、耐侯性、柔軟性などの優れた紫外線硬化型塗料を塗布硬化して約5〜30μm厚の皮膜を設けてもよい。塗料としてはウレタンアクリレート系の塗料が好ましい。
また、印刷性などを向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法としては、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
【0054】
さらに、本発明のデスクマットは通常シートを製造した後、巻き取って保管するが、保管中のシート相互間の粘着を防ぐため、前述の無機フィラーを透明性を損なわない範囲で、例えば0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%配合したり、表面をエンボス加工することが好ましい。その表面は、両面共に鏡面に仕上げたり、片面または両面にエンボス加工を施して、梨地面等に仕上げてもよい。両面共に鏡面の場合にはヘイズが5%以下となり極めて良好な透明性を有するデスクマットが得られる。
【0055】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例におけるポリマーのメルトインデックス(MI)、引張弾性率、ガラス転移温度(Tg)、弾性回復率、結晶化度及び表面硬度(ショア−D)は、明細書本文に記載した方法に従って測定した。
また、下記の方法に従ってコモノマーの組成を求めると共に、デスクマットの評価を行った。
(1)コモノマーの組成
同位体炭素核磁気共鳴分光(13C−NMR)によりコモノマー単位の含有量を求めた。
(2)デスクマットの性能評価
30mmφ押出機により、450mm×600mm、厚み1.5mmのシートを作製し、以下に示す方法で性能を評価した。
【0056】
1.巻き戻り性
シートを長さ方向に巻物直径が約6cm程度になるように巻き込み、粘着テープで端部を固定して、室温において24時間放置する。これを巻き戻して机の上に敷いて2時間放置した際の机表面への密着性を目視により、下記の基準で評価した。
○:問題なく表面に密着する
△:ところどころ浮き上がっている
×:ほとんど密着しない
2.書き味
机の上に敷いたデスクマットの上に紙を置き、その紙にボールペンで文字を書いた際の状況に基づき、下記の基準で評価した。
○:スムーズに文字が書ける
×:紙が窪んだり、ボールペンが滑ったりする
【0057】
調製例
(tert−ブチルアミド)(2−インデニル)ジメチルシランチタニウムジクロリドの調製
(1)2−ブロモインデンの合成
インデンブロモヒドリン100g(0.47mol)を1リットルのトルエンに溶解した。これに、3.5ミリリットルの濃硫酸を加え1時間還流した。室温まで放冷した後、水を加えて水洗した。有機層を分離した後、減圧下で溶媒を溜去した。残渣を減圧蒸留することにより、収量8.46g,収率9.42%で黄色オイルとして目的物を得た。(1 H−NMR(COC13 ):3.52(s,2H),6.88(s,H),6.97〜7.70(m,4H))
【0058】
(2)2−(ジメチルクロロシリル)インデンの合成
窒素気流下で、テトラヒドロフラン50ミリリットルにマグネシウム2gを加えた。これに、1,2−ジプロモエタン0.1ミリリットルを加え、ドライヤーで加熱してマグネシウムを活性化させた。減圧下で溶媒を溜去し、新たにテトラヒドロフラン50ミリリットルを加えた。これに、2−ブロモインデン5.90g(25.63mmol)のテトラヒドロフラン溶液300ミリリットルを2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌した。反応混合物を−78℃に冷却し、これにジクロロジメチルシラン5.0ミリリットル(41mmol)のテトラヒドロフラン溶液200ミリリットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、そのまま室温で12時間攪拌した後、減圧下で溶媒を溜去した。残渣をヘキサンで抽出後、減圧下で溶媒を溜去し、目的物を収量5.00g,収率93.2%で橙色オイルとして得た。(1 H−NMR(CDCl3 ):0.62(s,6H),3.56(2H),6.9〜7.65(5H))
【0059】
(3)(2−インデニル)−tert−ブチルアミノジメチルシランの合成
2−(ジメチルクロロシリル)インデン3.00g(14.37mmol)をヘキサン100ミリリットルに溶解し、氷冷した。これに、tert−ブチルアミン7.55ミリリットル(71.9mmol)を10分で滴下した。滴下後、室温に昇温し、12時間攪拌した。上澄みを濾別し、減圧下で溶媒を溜去して目的物を収量3.08g,収率87.3%で得た。(1 H−NMR(CDCl3 ):0.29(s,6H),1.12(s,9H),3.48(2H),7.0〜7.6(m,5H))
【0060】
(4)(tert−ブチルアミド)(2−インデニル)ジメチルシランチタニウムジクロリドの合成
(2−インデニル)−tert−ブチルアミノジメチルシラン 3.05g(12.4mmol)をエーテル100ミリリットルに溶解し、氷冷した。これにn−ブチルリチウム17.6ミリリットル(1.64モル/リットル,28.8mmol)を加え、室温まで昇温し12時間攪拌した。生じたリチウム塩の沈殿を濾別し、ヘキサン50ミリリットルで三回洗浄した後、減圧下で乾燥した。生じたリチウム塩は、1.65gであった。これをテトラヒドロフラン100ミリリットルに溶解し、−78℃に冷却した。これにTiCl3 (THF)3 2.08g(5.61mmol)のテトラヒドロフラン溶液50ミリリットルを加えた。室温まで昇温し、そのまま12時間攪拌した。その後、反応混合物にAgCl 2.5g(17.4mmol)を加え、そのまま24時間攪拌した。上澄みを濾別し、減圧下で溶媒を溜去した。トルエン/ヘキサンから結晶化し、さらにヘキサンで洗浄し目的物を収量0.3gで得た。(1 H−NMR(CDCl3 ):0.78(s,6H),1.41(s,9H),6.78(s,2H),7.2〜7.5(m,2H),7.6〜7.8(m,H))
【0061】
実施例1
円容積100リットルオートクレーブに、トルエン37.5リットル、トリイソブチルアルミニウム115ミリモル、コモノマー成分であるノルボルネン80モル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム100マイクロモル、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム100マイクロモルを仕込んだのち、エチレン分圧0.75MPa、重合温度90℃の条件で150分間重合を行い、エチレン−ノルボルネン共重合体9.1kgを得た。得られたポリマーの13C−NMR分析によるノルボルネン単位含有量は14.6モル%であった。また、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトインデックス(MI)は4.3g/10分であった。結果を第1表に示す。
【0062】
実施例2
実施例1において、ノルボルネンの使用量を45モルに変え、温度90℃で重合した以外は、実施例1と同様にして、エチレン−ノルボルネン共重合体を得た。 このポリマーのノルボルネン単位含有量は8.9モル%、メルトインデックス(MI)は3.2g/10分であった。結果を第1表に示す。
実施例3
実施例2において、ノルボルネンの使用量を30モルに変えた以外は、実施例2と同様にしてエチレン−ノルボルネン共重合体を得た。
このポリマーのノルボルネン単位含有量は5.0モル%であった。結果を第1表に示す。
比較例1
比較のために、市販のエチレン−オクテン−1共重合体(LLDPE)〔出光石油化学社製「モアテック0398CN」〕についての性状及びデスクマットの評価結果を第1表に示す。
【0063】
実施例4
内容積10リットルの触媒投入管付きのオートクレーブに、トルエン2リットル、スチレン30ミリリットル、ノルボルネン90ミリリットル、トリイソブチルアルミニウムの1.0モル/リットル濃度のトルエン溶液3ミリリットルを順次投入し、45℃に昇温した。次いで、このオートクレーブに、エチレンをその圧力が0.3MPa・Gとなるように導入した。そして、触媒投入管より、30マイクロモルの(tert−ブチルアミド)(2−インデニル)ジメチルシランチタニウムジクロリド、30ミリモルのメチルアルモキサンをトルエン250ミリリットルに溶解させた溶液を投入した。エチレン、スチレン、ノルボルネンの共重合の進展に伴って、オートクレーブの内圧が低下するので、エチレンの圧力が0.3MPa・Gを維持できるように、連続的に導入しながら、1時間共重合反応を行った。その後、メタノールの添加により共重合を停止した。反応生成物には、さらに大量のメタノールを加えて、ろ過分離し、生成固体を減圧下に60℃で4時間乾燥した。この結果、エチレン・スチレン・ノルボルネン共重合体94gを得た。ガラス転移温度は7℃、MIは5.0、13C−NMRにより測定したスチレン単位含有量は5.0モル%、ノルボルネン単位含有量は9.0モルであった。引張弾性率は25MPa、弾性回復率は78%であった。温度190℃、圧力10MPaで熱プレス成形により、200mm×200mm、厚み1.5mmのシートを作製し、デスクマットの性能評価を行った。結果を第1表に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【発明の効果】
本発明のポリオレフィン系デスクマットは、適度の柔軟性と良好な非転写性を有すると共に、透明性、巻戻り性、書き味に優れ、事務机や勉強机などに適用することができると共に、家具やダイニングテーブルなどの保護や、その上に載置された物の落下防止用などのマットとしても使用することができる。
Claims (8)
- (a)エチレンと、(b)環状オレフィン及び/又は(c)芳香族ビニル化合物とを共重合して得られ、かつガラス転移温度が−30℃〜30℃、引張弾性率が1000MPa以下、弾性回復率が20%以上及び結晶化度0.1〜15%である共重合体を含む層を有するポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が、エチレン単位80〜98モル%、環状オレフィン単位0〜20モル%及び芳香族ビニル化合物単位0〜20モル%を含有するものであり、かつ環状オレフィン単位と芳香族ビニル化合物単位との合計含有量が20〜2モル%である請求項1に記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が、エチレン単位80〜96モル%、環状オレフィン単位4〜20モル%及び芳香族ビニル化合物単位0〜16モル%を含有するものである請求項2に記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が、エチレンと環状オレフィンとの共重合体である請求項1に記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が、エチレン単位85.4〜98モル%及び環状オレフィン単位14.6〜2モル%を含有するものである請求項4に記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が表面硬度(ショアーD)30以上である請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体のメルトインデックス(M1)が0.1〜10g/10分である請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィン系デスクマット。
- 共重合体が、式
10(MPa)≦引張弾性率≦200(MPa)
表面硬度〔ショア−D〕≧(引張弾性率/10)+30
弾性回復率(%)≧140−50×log 引張弾性率
を満たすものである請求項1〜7のいずれかに記載のポリオレフィン系デスクマット。
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