JP4326030B2 - リピッドa類縁体含有注射用製剤及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、リピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を含有する注射用製剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景及び従来技術】
リポポリサッカライド(以下LPS)の活性発現中心であるリピッドAは、マクロファージ刺激作用、抗腫瘍作用、発熱作用などさまざまな生物活性を有することが知られている(例えば、高田春比古、小谷尚三、蛋白質、核酸、酵素、31(4)、361(1986))。
【0003】
近年、リピッドA類縁体が種々合成され、その生物活性が調べられているが(小川祐示他、代謝、26(5)、415(1989))、リピッドA類縁体は、本来、糖脂質構造を有し、その類縁体の多くは、水難溶性または不溶性であるため、特に注射剤とするのは困難であり、透明性の高い水溶液を得るために種々研究がなされてきた。その結果、可溶化剤として、トリエチルアミン、牛血清アルブミン、脂質などを添加することなどが提案されている(Y.B.Kim,et al,Eur.J.Biochem.31,230(1972)及びR.B.Ramsey,et al,Blood,56,307(1980)、J.Dijkstra,et al.,J.Immunol.,138,2663(1987))。
【0004】
また、特開平4−198192号には 可溶化剤として、塩基性アミノ酸やポリアミンなどを利用する方法が開示されているが、水溶液のpHはいずれも10付近と高いものである。
一方、レシチンなどの脂質を水に分散させ、リポソーム等の会合体を形成させるには、中性領域の緩衝液に脂質を入れて加熱し、超音波照射する方法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
リピッドA類縁体を可溶化剤を用いて可溶化する方法は、水中での物理的安定性、化学的安定性、薬理効果及び安全性の面で十分なものとは言えず、実用化には至っていない。また、中性領域の緩衝液に分散し、超音波処理する方法によってもリピッドA類縁体の透明な溶液を得ることはできなかった。従って、リピッドA類縁体の実用に供しうる注射剤、すなわち水溶液とした時に澄明性が高く、pHが注射剤として好ましい範囲であり、安定性も良好である注射剤が渇望されている。
以上のような状況に鑑み、本発明者らは、リピッドA類縁体を含有する澄明性が高くかつ安定な注射用製剤並びにそれらの製造方法を探索すべく鋭意研究を行った。その結果、以下に示す構成により所期の目的を達成できることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を、アルカリ性水溶液に溶解し、次いで緩衝液を添加してなることを特徴とする注射用製剤である。
本発明はまた、リピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を、アルカリ性水溶液に溶解し、次いで緩衝液を添加することを特徴とする注射用製剤の製造方法である。
さらに本発明は、リピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を、アルカリ性水溶液に溶解し、次いで緩衝液を添加して製する平均粒子径30nm以下の会合体を含有する注射用製剤およびその製造方法である。
【0007】
本発明によると、リピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩(以下単にリピッドA類縁体と称する)を透明で安定な注射用製剤とすることができるが、これが本発明の目的である。
本発明によるリピッドA類縁体の代表的な化合物は次の化学構造式(I)又は(II)を有し、例えば特開平5ー194470号公報またはWO96/39411号によって開示される方法で製造することができる。
【0008】
【化17】
【0009】
〔式中、R1,R2,R3又はR4の少なくとも1つは、
【0010】
【化18】
【0011】
【化19】
【0012】
【化20】
【0013】
(式中、各 LはO ,N 又は Cであり;各 Mは O又は Nであり;各 Eは、独立して0から14までの整数であり;各 Gは、独立してN ,O ,S ,SO又はSO2 であり;各mは、独立して0から14までの整数であり;各nは、独立して、0から14までの整数であり;各pは、独立して0から10までの整数であり;各qは、独立して0から10までの整数である)であり;
残りのR1,R2,R3及びR4の各々は、独立して、
【0014】
【化21】
【0015】
(式中、各 LはO ,N 又は Cであり;各 Mは O又は Nであり;各xは、独立して、0から14までの整数であり;各yは、独立して、0から14の整数であり;各zは、独立して、0から10までの整数であり;各 Gは、独立して、N ,O ,S ,SO又はSO2 である)であり;
各A1とA2は、独立して、H ,OH,OCH3,
【0016】
【化22】
【0017】
{式中、各dは、独立して、0から5までの整数であり;各fは、独立して、0から5までの整数であり;各gは、独立して、0から5までの整数であり;各A3は、独立して、
【0018】
【化23】
【0019】
(式中、各jは、独立して、0から14までの整数である)である}であり;
Xは H,(CH2)tCH3, (CH2)tOH, (CH2)tO(CH2)vCH3, (CH2)tOPO(OH)2,
(CH2)t−CH=CH−(CH2)vCH3, (CH2)t−O−R5,
【0020】
【化24】
【0021】
(式中、各tとvは、それぞれ独立して、0から14までの整数であり;R5はR1〜R4に対する上記定義のいずれかである)であり;
Y は H,OH,O(CH2)wCH3, ハロゲン原子,
【0022】
【化25】
【0023】
(式中、wは0から14までの整数である)
である〕
【0024】
【化26】
【0025】
〔式中、R1は、
【0026】
【化27】
【0027】
(式中、J, K及びQ は、それぞれ直鎖又は分枝の炭素数1〜15のアルキル基であり、L はO, NH2又はCH2 であり、M は O又はNHであり、G はNH,O ,S ,SO又はSO2 である)からなる群から選ばれる基であり;
R2は直鎖又は分枝の炭素数5〜15のアルキル基であり;
R3は、
【0028】
【化28】
【0029】
(式中、E は、N ,O ,S ,SO又はSO2 であり、A, B及びD は、それぞれ直鎖又は分枝の炭素数1〜15のアルキル基である)からなる群から選ばれる基であり;R4は直鎖又は分枝の炭素数4〜20のアルキル基、及び
【0030】
【化29】
【0031】
(式中、U 及びV は、それぞれ直鎖又は分枝の炭素数2〜15のアルキル基であり、W は水素原子、あるいは直鎖又は分枝の炭素数1〜5のアルキル基である)からなる群から選ばれる基であり;
R5は水素原子、J', -J'-OH, -J'-O-K', -J'-O-K'-OH 及び -J'-0-P0(OH)2(式中J'及びK'はそれぞれ直鎖又は分枝の炭素数1〜5のアルキル基である)からなる群から選ばれる基であり;
R6は水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルコキシ基及び炭素数1〜5のアシルオキシ基からなる群から選ばれる基であり;
A1及びA2は、それぞれ独立して、
【0032】
【化30】
【0033】
(式中、Z は直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基である)からなる群から選ばれる基である。〕
本発明において、好ましいリピッドA類縁体として、6-O-[2-デオキシ-6-O-メチル-4-O-フォスフォノ-3-O-[(R)-3-Z-ドデク-5-エノイルオキシデシル]-2-[3-オキソ-テトラデカノイルアミド]-β-0-フォスフォノ-α-D-グルコピラノース]四ナトリウム、α-D-グルコピラノース,3-O-デシル-2-デオキシ-6-O-[2-デオキシ-3-O-(3-メトキシデシル)-6-O-メチル-2-[(1-オキソ-11-オクタデセニル)アミノ]-4-O-フォスフォノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(1,3-ジオキソテトラデシル) アミノ]-,1-(ディハイドロジェンフォスフェイト),ジナトリウム[6(2Z,3R)]、及び α-D-グルコピラノース,3-O-デシル-2-デオキシ-6-O-[2-デオキシ-3-O-(3-メトキシデシル)-6-O-メチル-2-[(1-オキソ-11-オクタデセニル)アミノ]-4-O-フォスフォノ-β-D-グルコピラノシル]-2-[(1,3-ジオキソテトラデシル) アミノ]-,1-(ディハイドロジェンフォスフェイト),テトラナトリウム[6(2Z,3R)] を挙げることができる。これらの化学構造式は次の式(III) 及び (IV) で表される。
【0034】
【化31】
【0035】
【化32】
【0036】
本発明におけるアルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液を使用できるが、好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液である。その濃度は通常、0.0001M〜0.1Mであり、好ましくは0.0005M〜0.01Mであり、より好ましくは0.001M〜0.005Mである。
【0037】
本発明においては、リピッドA類縁体にアルカリ性水溶液を添加後、加温することができるが、加温温度はリピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩の相転移温度以上であればよく、通常30℃〜60℃であり、より好ましくは45℃〜55℃である。加温しながらの攪拌時間は通常10分〜3時間である。攪拌は、通常用いられる装置により行うことができる。透明な液(濁度0.6NTU以下)を得るために必要な攪拌時間は、リピッドA類縁体により異なるが、上記式(III) で表される化合物の場合、通常、加温温度が40℃以下の場合は90分以上必要とするが、40℃以上の場合は60分以内でよい。加温アルカリ性水溶液に溶解する場合は、あらかじめ加温したアルカリ性水溶液にリピッドA類縁体を添加してもよいし、またはアルカリ性水溶液にリピッドAを添加後加温してもよい。本発明において、加温する目的は、リピッドA類縁体の相転移温度以上にすることにより、リピッドA類縁体の水和を促進して分散性を向上させ、よって短時間の攪拌により澄明な溶液を得るためである。
【0038】
また、本発明に用いる緩衝液の成分としては、リン酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、クエン酸塩またはグリシンなどを用いることができる。緩衝液の濃度は、通常、1mM〜20mMである。最終のリピッドA類縁体水溶液のpHは、好ましくは4〜9、より好ましくは6〜8、さらに好ましくは6.8〜7.8である。最終のpHは緩衝液を加えた後、さらに水酸化ナトリウム溶液や塩酸溶液等を添加することによって調製することができる。
【0039】
緩衝液には、必要に応じて、糖類及び/またはアミノ酸を添加すると、より好ましい結果を得ることができる。この場合、添加する糖類及び/またはアミノ酸は1種類でもよく、2種類以上添加してもさしつかえない。使用できる糖類としては、乳糖(ラクトース)、ソルビトール、グルコース、トレハロース、マンニトール、デキストラン等を挙げることができ、また、アミノ酸の例としては、グリシン等の中性アミノ酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、アルギニン等の塩基性アミノ酸を挙げることができる。
【0040】
本発明においては、更に、得られたリピッドA類縁体水溶液を通常用いられる手段により凍結乾燥製剤とすることができる。すなわち、リピッドAもしくはその類縁体を、アルカリ性水溶液に溶解し、必要に応じてさらに加温攪拌し、次いで緩衝液を添加してpHを調製し、滅菌濾過後、バイアル瓶等に充填し凍結・乾燥して凍結乾燥製剤とすることができる。
本発明のかかる注射用製剤を水溶液として供した場合の浸透圧比はヒトに投与するに適した値とすることが望ましく、通常は1前後である。
【0041】
本発明のかかる注射用製剤は、リピッドA類縁体が会合し略球形の平均粒子径約30nm以下の粒子となっている。この会合体は、注射用製剤製造直後と、凍結乾燥後復水した後とでその大きさが変化することはない。一般に、凍結乾燥することにより会合体が破壊されることが多いが、本発明において復水後も30nm以下の平均粒子径を維持できることは本発明の顕著な効果の一つである。本発明にかかる会合体は詳細な研究によると、前記式(III) で表される化合物の場合、約0.196 リットル/mole(pH11.0) の内水相を有し、調製時に攪拌を続けることにより約15nmのほぼ一定の大きさの会合体となる。従って、本発明の平均粒子径の範囲は、通常の製造方法の場合、約15nm〜30nmである。
【0042】
また本発明におけるリピッドA類縁体による会合体は、粒子径、濁度等の点において共存するマグネシウムイオンまたはカルシウムイオンの影響を受けにくい。一方、膜流動性に対してはマグネシウムイオンまたはカルシウムイオンの影響を受けこれら金属イオンが存在すると膜流動性が低下する。膜流動性は、リピッドA類縁体を投与後の生体内動態に影響し、膜流動性が低下すると生体内からのリピッドA類縁体の消失が早くなる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0044】
実施例1
上記式(III) で示されるリピッドA類縁体60mgを45℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で30分間攪拌した。このうちの5mlを採取し、濁度計で濁度を測定した。濁度は0.178NTUであった。このアルカリ水溶液7.5mlに16.7%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム溶液でpHを7.39に調整した後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液の濁度は0.181NTUであった。この水溶液5.3mlをバイアルに入れ真空凍結乾燥装置(共和製作所製、TriomasterA04)を用いて凍結乾燥した。
【0045】
実施例2
実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを55℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で60分間攪拌した。このアルカリ水溶液5mlを採取し、濁度計で濁度を測定した。濁度は0.133NTUであった。このアルカリ水溶液7.5mlに16.5%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.41に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液の濁度は0.212NTUであった。
【0046】
実施例3
実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを50℃の0.001M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で60分間攪拌した。このアルカリ水溶液5mlを採取し、濁度計で濁度を測定した。濁度は0.142NTUであった。このアルカリ水溶液7.5mlに8.35%マンニトールを含む7.08mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液30mlを加え、1N塩酸でpHを7.39に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液の濁度は0.133NTUであった。
【0047】
実施例4
実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを50℃の0.005M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で60分間攪拌した。このアルカリ水溶液5mlを採取し、濁度計で濁度を測定した。濁度は0.150NTUであった。このアルカリ水溶液7.5mlに16.5%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.37に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液の濁度は0.205NTUであった。
【0048】
実施例5
実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを35℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で150分間攪拌した。このアルカリ水溶液5mlを採取し、濁度計で濁度を測定した。濁度は0.669NTUであった。このアルカリ水溶液7.5mlに8.35%デキストラン70(平均分子量70000)を含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.30に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液の濁度は1.25NTUであった。
【0049】
実施例6
上記式 (IV) で示されるリピッドA類縁体6.09mgを0.01M水酸化ナトリウム水溶液9.0mlに加えて60分間攪拌した。このpHは12.08であった。この溶液にラクトースを含有するリン酸緩衝液30mlを加えた。pHは7.46であった。この溶液に注射用蒸留水を加え、全量を60mlとした。この溶液はリピッドA類縁体を0.1mg/ml,10%ラクトース及び4.25mMリン酸緩衝液を含有するpH7.50の注射液であった。
【0050】
実施例7
実施例6で得られた注射液を滅菌濾過後、バイアル瓶に3mlずつ分注し、凍結乾燥して、リピッドA類縁体含有の凍結乾燥製剤を得た。凍結乾燥条件は次のようであった(凍結乾燥装置:EDWARD Model Lyo fast S08)。
凍結温度:−40℃、1次乾燥温度:20℃、1次乾燥圧力:0.075±0.025mbar、2次乾燥温度:27℃、2次乾燥圧力:(装置の最大能力)、2次乾燥時間:18時間。
【0051】
実施例8
実施例6で用いたリピッドA類縁体40.16mgを0.003M水酸化ナトリウム水溶液9.0mlに加えて60分間攪拌した。このpHは11.49であった。この溶液にラクトースを含有するリン酸緩衝液10mlを加えた。pHは8.44であった。さらに、4%リン酸溶液を加えてpHを7.4に調整し、注射用蒸留水を加え、全量を20mlとした。この溶液はリピッドA類縁体を2.0mg/ml,10%ラクトース及び4.25mMリン酸緩衝液を含有するpH7.51の注射液であった。
【0052】
実施例9
実施例8で得られた注射液を滅菌濾過後、バイアル瓶に3mlずつ分注し、凍結乾燥して、リピッドA類縁体含有の凍結乾燥製剤を得た。凍結乾燥条件は次のようであった(凍結乾燥装置:EDWARD Model Lyo fast S08)。
凍結温度:−40℃、1次乾燥温度:20℃、1次乾燥圧力:0.075±0.025mbar、2次乾燥温度:27℃、2次乾燥圧力:(装置の最大能力)、2次乾燥時間:18時間。
【0053】
【発明の効果】
次に本発明にかかる効果を示すために実験例を掲げる。
実験例1
本発明にかかる製剤の澄明性の評価
1.実験方法
以下に示した比較例及び本法1で調製したリピッドA類縁体の水溶液の濁度を測定した。測定は、Hach 2100AN Turbidimeter を用いて行った。
【0054】
比較例 実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを50℃の10%ラクトースを含む4.25mMリン酸緩衝液に加えて溶解し、同温度で攪拌を続け、30分、60分、120分、180分後に12.5mlを採取した。そのうちの5mlを用いて濁度を測定した。また、それぞれの溶液7.5ml に10%ラクトースを含む4.25 mM リン酸緩衝液を加えて全量を50mlにした。これらの水溶液の濁度及びpHを測定した。
【0055】
本法1 実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを50℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で攪拌し、30分、60分、120分、180分後にアルカリ水溶液12.5mlを採取した。そのうちの5mlを用いて濁度計で濁度を測定した。次いでそれぞれのアルカリ水溶液7.5mlに16.5%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを約7.4 に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。これらの水溶液の濁度及びpHを測定した。
【0056】
2.実験結果
上記実験方法より得た結果を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
表1より、従来の代表的方法である比較例で調製されたリピッドA類縁体の水溶液よりも、本発明にかかる本法1で得られたものの方が、極めて澄明性に優れていることが明らかである。
【0059】
実験例2
リピッドA類縁体の凍結乾燥製剤の復水性の評価
1.実験方法
本法2 実施例1で用いたリピッドA類縁体60mgを50℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液90mlに加えて溶解し、同温度で攪拌し、30分、60分、120分、180分後にアルカリ水溶液12.5mlを採取した。そのうちの5mlを用いて濁度計で濁度を測定した。次いでそれぞれのアルカリ水溶液7.5mlに16.5%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを約7.4に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液5.3mlをバイアル瓶に入れ、真空凍結乾燥機(共和製作所製、TriomasterA-04)を用いて凍結乾燥した。さらに、得られた凍結乾燥製剤に注射用蒸留水5mlを加えて再溶解し、濁度をHach 2100AN Turbidimeter を用いて測定した。
【0060】
本法3 実施例1で用いたリピッドA類縁体200mgを50℃の0.003M水酸化ナトリウム水溶液100mlに加えて溶解し、同温度で攪拌し、30分、60分、120分、180分後にアルカリ水溶液7.5mlを採取した。そのうちの5mlを用いて濁度計で濁度を測定した。次いでそれぞれのアルカリ水溶液2.5mlに16.5%ラクトースを含む7.08mMリン酸緩衝液30mlを加え、0.3%水酸化ナトリウム水溶液でpHを約7.4に調整後、注射用蒸留水を加えて全量を50mlとした。この水溶液5.3mlをバイアル瓶に入れ、真空凍結乾燥機(共和製作所製、TriomasterA-04)を用いて凍結乾燥した。さらに、得られた凍結乾燥製剤に注射用蒸留水5mlを加えて再溶解し濁度を測定した。濁度は、Hach 2100AN Turbidimeter を用いて測定した。
結果を表2に示した。
【0061】
【表2】
【0062】
表2より、本発明による凍結乾燥製剤は再溶解してもきわめて澄明性が優れていることが明らかである。
Claims (4)
- 請求項1又は2記載の式(III)又は(IV)で表されるリピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を、アルカリ金属水酸化物の水溶液からなるアルカリ性水溶液に溶解し、次いで緩衝液を添加してpH4〜9に調整してなる平均粒子径30nm以下の会合体を含有する注射用製剤。
- 請求項1又は2記載の式(III)又は(IV)で表されるリピッドA類縁体またはその薬理学的に許容できる塩を、アルカリ金属水酸化物の水溶液からなるアルカリ性水溶液に溶解し、次いで緩衝液を添加してpH4〜9に調整する平均粒子径30nm以下の会合体を含有する注射用製剤の製造方法。
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