JP4325262B2 - 自動変速機の変速用目標ギヤ比設定および変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機出力回転数に対する変速機入力回転数の比で表される実効ギヤ比が目標ギヤ比に追従するように行う変速制御技術に関し、特に、当該変速用目標ギヤ比の設定装置およびこれを用いた変速制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
実効ギヤ比が変速用目標ギヤ比に追従するように行う自動変速技術としては従来、例えば特許文献1に記載のごとく、変速用目標ギヤ比に対する実効ギヤ比の偏差に応じ、この偏差が解消されて実効ギヤ比が変速用目標ギヤ比に一致するよう、変速用摩擦要素の締結力をフィードバック制御する変速技術が知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−081125号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで変速用目標ギヤ比は一般的に、変速前ギヤ比から変速後ギヤ比に向け一定の時系列変化をもって滑らかに変化するギヤ比をいきなり目標として定めるのが常套であり、これにより、ギヤ比の急変で大きな変速ショックが発生することのないようにすることを主旨とする。
しかして上記の時系列変化が緩やか過ぎると、今度は変速に要する変速時間が長くなって変速の間延び感を伴うため、変速用目標ギヤ比は変速ショックの低減と、変速間延び感の防止とのトレードオフにより、変速機の入力回転数や、車速や、変速の種類(何速から何速への変速か)等に応じて定める。
【0005】
しかし上記のように、いきなり一定のギヤ比の時系列変化として決定する従来の変速用目標ギヤ比は、変速中全般に亘って常に最適なギヤ比であるという保証はなく、従って、目標ギヤ比への収束の応答を高めるためギヤ比偏差に対するフィードバック制御ゲインを大きくすると、変速用目標ギヤ比が最適なギヤ比でない時に、最適なギヤ比からずれた変速用目標ギヤ比へ急速に収束することになって、変速ショック軽減効果が薄れることが懸念される。
【0006】
この懸念は、上記した特許文献1に記載のごとくギヤ比偏差に応じたフィードバック制御対象が変速用摩擦要素の締結力である場合、特に顕著となり、その理由は、変速用摩擦要素の締結力変動が変速機出力トルクに直接乗るためである。従って、ギヤ比偏差に応じたフィードバック制御対象が変速用摩擦要素の締結力である場合、フィードバック制御ゲインを小さくせざるを得ず、変速の間延び感が発生する。
【0007】
しかも、変速用摩擦要素の締結力(油圧)を制御するのに一般的なアキュムレータを用いることができず、リニアソレノイド等の高精度で高応答な油圧アクチュエータを用いる必要が生じてコスト的にも不利である。
【0008】
本発明は、変速用目標ギヤ比をいきなり一定のギヤ比の時系列変化として決定する代わりに、目標とすべき変速機出力トルクの時系列変化を基にしてこれから変速用目標ギヤ比を逐一演算により求めることで、この変速用目標ギヤ比が変速中も常に最適な値であり続けるようにし、
これにより、目標ギヤ比への収束の応答を高めるためギヤ比偏差に対するフィードバック制御ゲインを大きくしても、変速ショック軽減効果が薄れることのないようにし、当該変速ショックのためにフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなるようにした変速用目標変速比設定装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は更に、上記のように求めた変速用目標ギヤ比に実効ギヤ比を追従させる変速制御に際し、これらギヤ比間におけるギヤ比偏差に応じたフィードバック制御の対象を変速用摩擦要素の締結力ではなく、これよりも高精度で高応答な制御が可能な動力源のトルクとし、
これにより、当該フィードバック制御によるトルク変動が変速機出力トルクに直接乗ることのないようにし、この点でもフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなるようにすると共に、変速用摩擦要素の締結力(油圧)制御に高精度で高応答な油圧アクチュエータを用いる必要がなくてコスト的にも有利な変速制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前者の目的のため、本発明による自動変速機の変速用目標ギヤ比設定装置は、請求項1に記載のごとく、
変速機出力回転数に対する変速機入力回転数の比で表される実効ギヤ比が目標ギヤ比に追従するよう、自動変速機内における変速用摩擦要素の締結制御および動力源のトルク制御を行うようにした変速制御装置を要旨構成の基礎前提とし、運転状態から、目標とすべき変速機出力トルクの時系列変化を規定した目標出力トルク波形を設定する目標出力トルク波形設定手段と、
この目標出力トルク波形と、前記変速用摩擦要素よりも動力源側における回転部分の回転イナーシャとから、目標変速機入力回転数を逐一演算する目標変速機入力回転数演算手段と、
この目標変速機入力回転数および変速機出力回転数から前記目標ギヤ比を演算する目標ギヤ比演算手段とを具備してなることを特徴とするものである。
【0011】
後者の目的のため、本発明による自動変速機の変速制御装置は、請求項3に記載のごとく、
上記目標出力トルク波形を目標変速時間および変速時目標出力トルクの組み合わせとして設定する目標出力トルク波形設定手段と、
この変速時目標出力トルクから求めた変速用摩擦要素の目標締結容量と、上記目標変速時間とから、上記目標出力トルク波形を実現するための変速時目標動力源トルクを演算し、この変速時目標動力源トルクおよび上記変速用摩擦要素の目標締結容量と、変速用摩擦要素よりも動力源側における回転部分の回転イナーシャとから目標変速機入力回転数を逐一演算する目標変速機入力回転数演算手段と、
この目標変速機入力回転数および変速機出力回転数から目標ギヤ比を演算する目標ギヤ比演算手段と、
変速用摩擦要素の締結力を変速中、前記目標締結容量が達成されるよう制御する摩擦要素締結制御手段と、
実効ギヤ比および上記目標ギヤ比間におけるギヤ比偏差が解消されるよう前記変速時目標動力源トルクを補正して得られた補正済目標動力源トルクが達成されるよう、変速中における動力源の出力トルクを制御する動力源トルク制御手段とを具備してなることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の効果】
本発明による変速用目標ギヤ比設定装置において、
目標出力トルク波形設定手段は、運転状態から、目標とすべき変速機出力トルクの時系列変化を規定した目標出力トルク波形を設定し、
目標変速機入力回転数演算手段は、この目標出力トルク波形と、変速用摩擦要素よりも動力源側における回転部分の回転イナーシャとから、目標変速機入力回転数を逐一演算し、
目標ギヤ比演算手段は、この目標変速機入力回転数および変速機出力回転数から変速用目標ギヤ比を演算する。
【0013】
かかる変速用目標ギヤ比設定装置によれば、目標とすべき変速機出力トルクの時系列変化である目標出力トルク波形を基にしてこれから変速用目標ギヤ比を逐一演算により求めるため、この変速用目標ギヤ比が変速中も常に最適な値であり、
これにより、目標ギヤ比への収束の応答を高めるため実効ギヤ比および変速用目標ギヤ比間のギヤ比偏差に対するフィードバック制御ゲインを大きくしても、変速ショック軽減効果が薄れることがなく、かかる変速ショックのためにフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなって、変速応答と変速ショックの軽減とを両立させることができる。
【0014】
本発明による変速制御装置において、
目標出力トルク波形設定手段は、上記目標出力トルク波形を目標変速時間および変速時目標出力トルクの組み合わせとして設定する。
目標変速機入力回転数演算手段は、この変速時目標出力トルクから求めた変速用摩擦要素の目標締結容量と、上記目標変速時間とから、目標出力トルク波形を実現するための変速時目標動力源トルクを演算し、この変速時目標動力源トルクおよび上記変速用摩擦要素の目標締結容量と、変速用摩擦要素よりも動力源側における回転部分の回転イナーシャとから目標変速機入力回転数を逐一演算する。目標ギヤ比演算手段は、この目標変速機入力回転数および変速機出力回転数から目標ギヤ比を演算する。
摩擦要素締結制御手段は、変速用摩擦要素の締結力を変速中、上記目標締結容量が達成されるよう制御し、
動力源トルク制御手段は、実効ギヤ比および上記目標ギヤ比間におけるギヤ比偏差が解消されるよう前記変速時目標動力源トルクを補正して得られた補正済目標動力源トルクが達成されるよう、変速中における動力源の出力トルクを制御する。
【0015】
かかる本発明の変速制御装置によれば、変速用目標ギヤ比に実効ギヤ比を追従させる変速制御が可能であるが、この際、これらギヤ比間におけるギヤ比偏差に応じたフィードバック制御の対象を変速用摩擦要素の締結力ではなく、これよりも高精度で高応答な制御が可能な動力源のトルクとすることとなり、
当該フィードバック制御によるトルク変動が変速機出力トルクに直接乗ることがなく、この点でもフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなるようにし得ると共に、変速用摩擦要素の締結力(油圧)制御に高精度で高応答な油圧アクチュエータを用いる必要がなくてコスト的にも有利な変速制御とすることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明一実施の形態になる自動変速機の変速用目標ギヤ比設定装置および変速制御装置を具えた車両のパワートレーンをその制御系と共に示し、1は動力源としてのエンジン(電動モータでもよい)、2は無段変速機を含む自動変速機で、これらのタンデム結合により車両のパワートレーンを構成する。
エンジン1は、運転者が操作するアクセルペダル3に連動してその踏み込みにつれ全閉から全開に向け開度増大するスロットルバルブ4により出力を加減され、エンジン出力はトルクコンバータT/Cを経て自動変速機2に入力されるものとする。
【0017】
エンジン1のスロットルバルブ4は、その開度を基本的にアクセルペダル3により決定されるが、スロットルアクチュエータ5によって開度制御可能とし、これにより変速ショック対策用にエンジン出力トルクを後述のごとく加減し得るようになす。
スロットルアクチュエータ5によるスロットル開度制御は、エンジンコントローラ6によりこれを行い、このエンジンコントローラ6は、エンジン1の点火時期制御によっても変速ショック対策用にエンジン出力トルクを加減し得るようになす。
【0018】
なおエンジンコントローラ6は、上記した変速ショック対策用のスロットル開度制御および点火時期制御に専用のものではなく、燃料噴射量制御などの通常のエンジン制御を行うものであり、これがためエンジンコントローラ6には、スロットルバルブ4のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ7からの信号と、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ8からの信号とを入力する。
【0019】
自動変速機2は、歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定する液圧作動クラッチや液圧作動ブレーキ等の変速用摩擦要素へ供給すべき作動液圧を直接的に制御する直動式とし、これがため変速制御用のコントロールバルブ11に上記変速用摩擦要素の数だけ作動液圧デューティソレノイド12,13,14を挿置して設ける。
これら作動液圧デューティソレノイド12,13,14は、対応する摩擦要素の作動液圧を個々にデューティ制御し、当該摩擦要素を選択的に締結作動させることにより自動変速機2を所定の変速段が選択された状態にし得るようにする。そして自動変速機は、選択変速段に応じたギヤ比でエンジン動力を変速して出力する。
【0020】
デューティソレノイド12,13,14の駆動デューティは変速機コントローラ15によりこれらを決定し、この変速機コントローラには、エンジンコントローラ6を経由してセンサ7,8からのスロットル開度(TVO)信号およびエンジン回転数(Ne)信号を入力するほか、エンジンコントローラ6が内部情報から求めた実エンジントルク(Te)に関する信号を入力し、更には、自動変速機2の入力回転数Ni を検出する入力回転センサ16からの信号と、自動変速機2の出力回転数No を検出する出力回転センサ17からの信号とを入力する。
【0021】
変速機コントローラ15は、上記した入力情報を基に図示せざる周知の制御プログラムを実行して自動変速機2を以下のように変速制御するものとする。
先ず、変速機出力回転数Noから演算により求めた車速VSPおよびスロットル開度TVOから、図示せざる予定の変速パターンをもとに現在の運転状態に好適な変速段を求める。
そして、この好適変速段と現在の選択変速段とが一致していれば、変速を行わないこととして変速指令を発しないことにより、デューティソレノイド12,13,14の駆動デューティを今のままに保ち、現在の選択変速段を維持する。
しかし、現在の選択変速段が好適変速段と異なれば、変速指令を発して対応するデューティソレノイド12,13,14の駆動デューティを変更することにより、選択変速段から好適変速段への変速が行われるよう変速用摩擦要素の解放、締結切り換えを実行する。
【0022】
ところで、本実施の形態においては当該変速に際し解放状態から締結状態へと切り換えるべき変速用摩擦要素の締結容量(作動液圧)を、図2に示す制御プログラムの実行により図3に示すごとくに決定する。
なお図3は、ロー側の選択変速段(第2速)からハイ側の好適変速段(第3速)へ変速される時のアップシフトについて示す。
かかる変速の過程で変速機コントローラ15は、後で詳述するごとくに変速時目標エンジントルクTetを求め、これを図1のごとくエンジンコントローラ6が受けて、スロットルアクチュエータ5によるスロットル開度制御または点火時期制御によりエンジン1の出力トルクが変速時目標エンジントルクTetとなるようにするものとする。
【0023】
図2の制御プログラムは、左側が変速機コントローラ15による処理を、また、右側がエンジンコントローラ6による処理を示す。
変速機コントローラ15は、前記の変速指令が発せられる図3の瞬時t1に図2の制御プログラムを開始し、先ずステップS1において、変速用摩擦要素の作動液圧を速やかに上昇開始させるためのスタンバイ制御(前記の特許文献1に記載されているのと同様な制御)を実行し、このスタンバイ制御が完了した後に制御をステップS2に進める。
【0024】
ステップS2においては、変速機入出力回転数Ni,Noの比で表される実効ギヤ比Gr(=Ni/No)が変速前ギヤ比G1から変速後ギヤ比G2に向けて変化しているイナーシャフェーズ期間t2〜t4中の目標とすべき変速機出力トルクToの時系列変化を規定した目標出力トルク波形を選択する。
この目標出力トルク波形は、図3に例示するごとく目標変速時間Δt(shift)および変速時目標出力トルクTo(shift)の組み合わせとして設定し、
変速の種類や、車速VSPや、スロットル開度TVOや、変速機入力トルクTi(本明細書では便宜上、エンジン出力トルクTeと同じとして取り扱う)などに基づき、変速機出力トルクToが変速前出力トルク(Ti×G1)から変速後出力トルク(Ti×G2)へ、変速ショック対策上好適な態様で変化するようなところを狙って実験などにより予め定めておく。
次いでステップS3において、上記選択した目標出力トルク波形から目標変速時間Δt(shift)および変速時目標出力トルクTo(shift)を設定する。
【0025】
ステップS4においては、変速機入力トルクTiと、変速時目標出力トルクTo(shift)に応じた定数αとの乗算により、変速用摩擦要素の変速時目標締結容量Tdt(=Ti×α)を演算すると共に、この変速時目標締結容量Tdtおよび上記した目標変速時間Δt(shift)から、変速時目標エンジントルクTetを以下のようにして演算する。
つまり、変速用摩擦要素よりもエンジン側における回転部分の回転イナーシャ係数Iと、変速機入力回転数Niの変速前値Ni1(図3参照)から変速後値Ni2(図3参照)への入力回転段差ΔNi(=Ni1−Ni2)と、変速時目標締結容量Tdtと、変速時目標エンジントルクTetとの間には
I×ΔNi=Tdt−Tet
の関係式が成立し、この式を用いて変速時目標エンジントルクTetを演算する。
そして、この変速時目標エンジントルクTetおよび目標変速時間Δt(shift)から、変速時目標エンジントルクTetの波形を例えば図3に実線で示すように設定する。
【0026】
ステップS5では、変速用摩擦要素の締結容量Tdが図3に示すごとく変速時目標締結容量Tdtに向け増大するように変速用摩擦要素の作動液圧を上昇させる指令を発する。
ステップS6においては、かかる変速用摩擦要素の締結容量の増大によりイナーシャフェーズが開始する図3の瞬時t2に至ったか否かを、実効ギヤ比Grが変速前ギヤ比G1から変速後ギヤ比G2に向け変化し始めたか否かにより、若しくは、摩擦要素の締結容量Tdが変速時目標締結容量Tdtになったか否かによりチェックする。
イナーシャフェーズ開始前であれば、ステップS2〜ステップS5での処理を繰り返し行い、イナーシャフェーズが開始されるまで変速用摩擦要素の締結容量Td(作動液圧)を上昇させる。
【0027】
イナーシャフェーズが開始された図3の瞬時t2以後は、目標変速機入力回転数演算手段および目標ギヤ比演算手段に相当するステップS7において、目標変速機入力回転数Nitおよび変速用目標ギヤ比Grtを以下のように逐一演算し、これらを図3の破線で示すごとくに求める。
ここで変速用目標ギヤ比Grtの演算要領を、イナーシャフェーズ開始からΔt1時間が経過した図3の瞬時t3における変速用目標ギヤ比Grt1の算出に関して説明する。
【0028】
イナーシャフェーズ開始時t2(この時の変速機入力回転数はNi1)と、これからΔt1時間が経過した瞬時t3における目標変速機入力回転数Nit1との間における入力回転段差ΔNi1は、変速時目標締結容量Tdtと、変速時目標エンジントルクTetと、前記の回転イナーシャ係数Iとから、
ΔNi1=(Tdt−Tet)/I
の演算により求めることができる。
そして、イナーシャフェーズ開始時t2の変速機入力回転数はNi1と、上記の入力回転段差ΔNi1とから、瞬時t3における目標変速機入力回転数Nit1は
Nit=Ni1−ΔNi1
により求め得る。
次に、瞬時t3における目標変速機入力回転数Nit1を、同瞬時t3における変速機出力回転数Noで除算することにより、変速用目標ギヤ比Grt1(= Nit1/No)を求めることができる。
【0029】
以上の演算を逐一実行することにより、イナーシャフェーズ期間t2〜t4間における目標変速機入力回転数Nitおよび変速用目標ギヤ比Grtを図3に破線で示すように求めることができる。
自動変速機の動作特性に経時変化や、作動液の温度に伴う特性変化や、外乱による特性変化がなければ、前記した変速時目標エンジントルクTetをエンジンに指令するだけで目標出力トルク波形を実現することができるが、実際には自動変速機の動作特性は経時変化するし、作動液の温度に伴う特性変化や、外乱による特性変化が避けられないことから、前記した変速時目標エンジントルクTetで目標出力トルク波形を正確に実現することができない。
【0030】
そこで本実施の形態においては、以下に説明するようにして前記の変速用目標ギヤ比Grtと実効ギヤ比Grとの間におけるギヤ比偏差ΔGr(=Grt−Gr)に応じたフィードバック制御により、変速時目標エンジントルクTetをギヤ比偏差ΔGrが解消される方向へ補正して、変速ショック防止用のエンジン出力トルク制御に資する。
つまり先ず、目標トルク波形設定手段に相当するステップS8で、ステップS2におけると同様にして、イナーシャフェーズ期間t2〜t4(図3参照)中の目標とすべき変速機出力トルクToの時系列変化を規定した目標出力トルク波形を選択する。
次にステップS9で、ステップS3におけると同様にして、上記選択した目標出力トルク波形から目標変速時間Δt(shift)および変速時目標出力トルクTo(shift)を設定する。
【0031】
その後ステップS10で、ステップS4におけると同様にして、変速機入力トルクTiと変速時目標出力トルクTo(shift)とから、変速用摩擦要素の変速時目標締結容量Tdtを演算すると共に、この変速時目標締結容量Tdtおよび上記した目標変速時間Δt(shift)から、変速時目標エンジントルクTetを演算し、この変速時目標エンジントルクTetおよび目標変速時間Δt(shift)から、変速時目標エンジントルクTetの波形を例えば図3に実線で示すように設定する。
【0032】
摩擦要素締結制御手段に相当するステップS11では、変速用摩擦要素の締結容量Tdが図3に示すごとく変速時目標締結容量Tdtに保たれるように変速用摩擦要素の作動液圧を指令し、これによりイナーシャフェーズを進行させる。
ステップS12においては、変速時目標エンジントルクTetをフィードバック補正ステップS13に出力する。
ステップS14においては、ギヤ比偏差ΔGr(=Grt−Gr)が解消されるような変速時目標エンジントルクTetのフィードバック補正量Δtetを、例えば周知のPID制御により演算する。
【0033】
ステップS15においては、このフィードバック補正量Δtetをフィードバック補正ステップS13に出力し、
ステップS13では、変速時目標エンジントルクTetをフィードバック補正量Δtetだけ補正する。
エンジンコントローラ6は、この補正済変速時目標エンジントルクをステップS16で受信し、動力源トルク制御手段に相当するステップS17において、この補正済目標エンジントルクが実現されるようエンジンをスロットル開度制御および/または点火時期制御する。
【0034】
変速機コントローラは、図2のステップS18でイナーシャフェーズが終了して最終フェーズ開始条件が成立する図3の瞬時t4に至ったか否かをチェックし、最終フェーズ開始条件が成立する瞬時t4まではステップS7〜ステップS18のループを繰り返すことによりイナーシャフェーズを進行させる。
最終フェーズ開始条件が成立した場合は、制御をステップS19に進め、ここで、変速用摩擦要素の締結容量Tdが図3の瞬時t4以後に例示するごとく最大値に向け増大するように変速用摩擦要素の作動液圧を指令し、これにより変速を終了させる。
【0035】
ところで本実施の形態においては、車速VSPや、スロットル開度TVOや、変速機入力トルクTiなどの運転状態、および変速の種類から、イナーシャフェーズ中における目標とすべき変速機出力トルクToの時系列変化を規定した、図3に例示するような目標出力トルク波形を、目標変速時間Δt(shift)および変速時目標出力トルクTo(shift)の組み合わせとして設定し、
この変速時目標出力トルクTo(shift)から求めた変速用摩擦要素の目標締結容量Tdtと、上記目標変速時間Δt(shift)とから、目標出力トルク波形を実現するための変速時目標エンジントルクTetおよびその継続時間を演算し、この変速時目標エンジントルクTetおよび上記変速用摩擦要素の目標締結容量Tdtと、変速用摩擦要素よりもエンジン側における回転部分の回転イナーシャIとから目標変速機入力回転数Nitを逐一演算し、
この目標変速機入力回転数Nitおよび変速機出力回転数Noから目標ギヤ比Grtを演算するため、
目標とすべき変速機出力トルクToの時系列変化である目標出力トルク波形を基にしてこれから変速用目標ギヤ比Grtを逐一演算により求めることとなり、この変速用目標ギヤ比Grtが、図3に示すごとく逐一変化するところからも明らかなように、いきなり一定のギヤ比の時系列変化として決定したものではなく、変速中も常に最適な値であり続けることができる。
これがため、目標ギヤ比Grtへの収束の応答を高めるため実効ギヤ比Grおよび変速用目標ギヤ比Grt間のギヤ比偏差ΔGrに対するフィードバック制御ゲインを大きくしても、変速ショック軽減効果が薄れることがなく、かかる変速ショックのためにフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなって、変速応答と変速ショックの軽減とを両立させることができる。
【0036】
また目標出力トルク波形を実現する変速制御に際し、変速用摩擦要素の締結容量Tdをイナーシャフェーズ中、上記目標締結容量Tdtが達成されるよう制御し、実効ギヤ比Grおよび変速用目標ギヤ比Grt間のギヤ比偏差ΔGrが解消されるよう変速時目標エンジントルクTetを補正して得られた補正済目標動力源トルク(同じ符号Tetにより示した)が達成されるよう、エンジントルクTeをイナーシャフェーズ中フィードバック制御するため、
変速用目標ギヤ比Grtに実効ギヤ比Grを追従させて常に目標出力トルク波形を実現する変速制御が可能であるが、この際、これらギヤ比間におけるギヤ比偏差ΔGrに応じたフィードバック制御の対象を変速用摩擦要素の締結力ではなく、これよりも高精度で高応答な制御が可能なエンジンのトルクとすることとなり、
当該フィードバック制御によるトルク変動が変速機出力トルクに直接乗ることがなく、この点でもフィードバック制御ゲインを小さくする必要がなくなるようにし得ると共に、変速用摩擦要素の締結容量(液圧)制御に高精度で高応答な液圧アクチュエータを用いる必要がなくてコスト的にも有利な変速制御とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になる自動変速機の目標ギヤ比設定装置および変速制御装置を具えた車両のパワートレーンをその制御系と共に示すシステム図である。
【図2】 同実施の形態において変速機コントローラが実行すべき変速制御プログラムを、エンジンコントローラが変速制御用に実行するエンジントルク制御プログラムと共に示すフローチャートである。
【図3】 同実施の形態における目標ギヤ比設定動作および変速制御動作を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 アクセルペダル
4 スロットルバルブ
5 スロットルアクチュエータ
6 エンジンコントローラ
7 スロットル開度センサ
8 エンジン回転センサ
11 コントロールバルブ
12 デューティソレノイド
13 デューティソレノイド
14 デューティソレノイド
15 変速機コントローラ
16 変速機入力回転センサ
17 変速機出力回転センサ
Claims (3)
- 変速機出力回転数に対する変速機入力回転数の比で表される実効ギヤ比が目標ギヤ比に追従するよう、自動変速機内における変速用摩擦要素の締結制御および動力源のトルク制御を行うようにした変速制御装置において、
運転状態から、目標とすべき変速機出力トルクの時系列変化を規定した目標出力トルク波形を設定する目標出力トルク波形設定手段と、
この目標出力トルク波形と、前記変速用摩擦要素よりも動力源側における回転部分の回転イナーシャとから、目標変速機入力回転数を逐一演算する目標変速機入力回転数演算手段と、
この目標変速機入力回転数および変速機出力回転数から前記目標ギヤ比を演算する目標ギヤ比演算手段とを具備してなることを特徴とする自動変速機の変速用目標ギヤ比設定装置。 - 請求項1に記載の変速用目標ギヤ比設定装置において、
前記目標出力トルク波形設定手段は、前記目標出力トルク波形を目標変速時間および変速時目標出力トルクの組み合わせとして設定するよう構成し、
前記目標変速機入力回転数演算手段は、この変速時目標出力トルクから求めた前記変速用摩擦要素の目標締結容量と、前記目標変速時間とから、前記目標出力トルク波形を実現するための変速時目標動力源トルクを演算し、この変速時目標動力源トルクおよび前記変速用摩擦要素の目標締結容量と、前記回転イナーシャとから前記目標変速機入力回転数を逐一演算するよう構成したものであることを特徴とする自動変速機の変速用目標ギヤ比設定装置。 - 請求項2に記載の変速用目標ギヤ比設定装置により設定した変速用目標ギヤ比に前記実効ギヤ比が追従するよう、前記変速用摩擦要素の締結制御および動力源のトルク制御を行うようにした変速制御装置において、
前記変速用摩擦要素の締結力を変速中、前記目標締結容量が達成されるよう制御する摩擦要素締結制御手段と、
前記実効ギヤ比および変速用目標ギヤ比間におけるギヤ比偏差が解消されるよう前記変速時目標動力源トルクを補正して得られた補正済目標動力源トルクが達成されるよう、変速中における前記動力源の出力トルクを制御する動力源トルク制御手段とを具備してなることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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