JP4324303B2 - 透明材料または透明材料で包まれた物体の検査装置及び検査方法 - Google Patents

透明材料または透明材料で包まれた物体の検査装置及び検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明な材料または透明な材料で包まれたパッケージの検査装置及び検査方法に関し、特に透明なフィルムまたはフィルムパッケージの表面やパッケージの内部の状態に拘わらずフィルム等を検査できる検査装置及び検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、透明なフィルムまたはフィルムパッケージの検査は、図8に示すようにフィルムパッケージ等1を、検査対象面への入射角が90°付近になるような方向から光源4で照明し、照明によってできる折り目の影等を肉眼5で目視したり、カメラを使って観察することにより行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上のような従来の方法によれば、フィルムやフィルムパッケージ1の検査対象面にしわやよれなどがあると、その部分が光る所謂てかり現象2が起こるため、見たい折れ目のみを観察することが難しく、またフィルムの製造むら、傷、ピンホール等の欠陥が判別しにくかった。また、フィルムパッケージではフィルムが透明であるために、下地の文字や絵3などが透けて見えるため、パッケージの状態を分離して観察することができなかった。
【0004】
そこで本発明は、フィルムのような透明な材料または透明な材料により包まれたパッケージの表面や透明な材料で包まれたパッケージの内部の状態に拘わらずそのような透明な材料等を検査することができる検査装置及び検査方法を提供することを目的にしている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る検査装置は、例えば図1に示すように、透明な材料または透明な材料により包まれたパッケージ1を検査対象とする検査装置において;検査対象1に異なる方向から光束を照射する少なくとも1つの照射装置11と;少なくとも1つの照射装置11で照射された検査対象に生じる影の像を結像する結像光学系21aと;結像光学系21aで結像された、前記異なる方向から照射されたことにより生じる少なくとも2つの画像に基づいて検査対象1の良否を判定する判定装置41とを備える。
【0007】
透明な材料とは典型的には透明なフィルムである。透明とは半透明を含む概念とする。半透明とは、そのような材料の一方の側から他方の側に置かれた物を見たとき、その物の形状あるいは模様を識別できる程度の透明度を有する場合をいう。検査対象に生じる影とは、例えば透明な材料にあるピンホール等により作られる影や、パッケージをするときに形成される透明な材料の折り目により光が遮られて生じる影である。
【0008】
結像は例えば撮像素子上にされる。撮像素子は例えばCCD撮像素子である。撮像素子からの信号は判定装置に送られる。判定装置は、典型的には、2つの異なる方向から照明されることによって生じる検査対象物の少なくとも2つの異なる画像に基づいて判定するように構成されている。2つの画像を処理することにより判定しやすい画像を得て判定する。検査対象の良否とは、例えば、透明材料にピンホール等の欠陥がないか、物体を包んだ透明材料の包み方に不良(パッケージ不良)がないかである。
【0009】
異なる方向から光束を照射する照射装置は、典型的には2つの照射装置を備える1組の照射装置である(2組以上であってもよい)。その照射装置を1つずつ作動させて、それぞれの作動により得られた画像を典型的には1対の画像とする。作動は、照射装置の光源を1つずつ点灯して行ってもよいし、例えばシャッターを開閉して行ってもよい。または、1つの照射装置を検査対象に対して相対的に移動または回転させて異なる方向から検査対象を照射するようにしてもよい。
【0010】
また本発明の第2の態様に係る検査装置のように、第1の態様に係る検査装置では、判定装置41は、前記少なくとも2つの画像の差画像を作る画像処理部を有することを特徴としてもよい。このように構成すると、少なくとも2つの画像同士で差算して差画像を得るので、典型的には、差画像では検査対象の状態が強調される。したがって、良否の判定が容易になる。
【0011】
さらに本発明の第3の態様に係る検査装置のように、第1の態様または第2の態様に係る検査装置では、前記光束は偏光された光とするのが好ましい。偏光された光は、典型的には直線偏光された光とする。また、前記偏光された光束を照射された検査対象の結像される像は特定の偏光方位の偏光のみに基づく像であるように構成するとよい。例えば結像光学系に検光子を挿入配置する。あるいは撮像素子を備える場合は、その撮像素子が特定の偏光方位の偏光のみを検出するように構成されていてもよい。
【0012】
また、以上の検査装置では、典型的には、前記光束が略平行光束であることを特徴とするのが好ましい。このように構成すると、光源からの距離に拘わらず照度が変化しないし、透明な材料に例えば折り目があって、光束が照射された折り目の影ができるとき、その影がシャープに見えるので好ましい。
【0013】
さらに本発明の第4の態様に係る検査装置のように、第1の態様乃至第3の態様のいずれかに係る検査装置では、前記異なる方向から照射された検査対象の表面1aにおける照度が、各方向同士でほぼ等しくなるように構成するのが好ましい。
【0014】
典型的には、同じ明るさの光源を検査対象の表面から等距離、等入射角度方向に置けばよい。また平行光束として、検査対象表面への入射角度を等しくしてもよい。
【0015】
また本発明の第5の態様に係る検査装置のように、第1の態様乃至第4の態様のいずれかに係る検査装置では、前記異なる方向が、検査対象の表面1aの法線回りに互いに90°の方向であるようにしてもよい。
【0016】
前記目的を達成するために、本発明の第6の態様に係る検査方法は、透明な材料または透明な材料により包まれたパッケージを検査対象とする検査方法において;前記検査対象に、少なくとも2つの異なる方向から光束を照射する工程と;前記照射された検査対象に生じる影の像を結像する工程と;前記結像された、前記異なる方向から照射されたことにより生じる少なくとも2つの画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する工程とを備える。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号または類似符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
図1の斜視図を参照して本発明の実施の形態を説明する。図中フィルムパッケージ1は、透明な材料である透明なフィルムで包装されている。このフィルムは透明であるので、下地の模様や文字、即ち包装された内側のたばこやキャラメルの箱の模様等が透けて見える。このフィルムパッケージ1の表面1aに対して、平面であるフィルムパッケージ1の表面1aの、図中斜め上方に照射光束L1を発する光源11が配置されている。
【0019】
フィルムパッケージ1の表面1aは平面であり、光源11は、それから発せられる光束L1が表面1aに斜めに入射するように、即ち表面1aのほぼ中央部に立てた法線に対して例えば45°の入射角をもって入射するように配置されている。
【0020】
ここで透明とは、フィルムの一方の側から他方の側を見たとき、他方の側に置かれた物を目視で識別することができる程度に半透明な場合も含むものとする。包装用の透明フィルムは、一般にポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子材料を実質的に一定の方向に延伸することによってシート状に形成して製造される。
【0021】
フィルムパッケージ1に対向して、平面である表面1aの法線方向には、本発明の撮像素子としてのCCD素子を結像面に2次元に配列したCCDカメラ21aが配置されている。CCDカメラ21aには画像処理装置41が電気的に接続されている。
【0022】
図2の斜視図を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。図中、フィルムパッケージ1の検査対象である表面1aのほぼ中心に立てた法線に対して、光源11と対称に照射光束L1’を発する別の光源12が配置されている。光源12は、表面1aを照射する方向が異なる点(好ましくは180°)を除けば、表面1aに対する関係については、光源11と同様である。光源12は、表面1aのほぼ中心に立てた法線に対して、光源11と対称に配置されているということは、光源11と光源12とは、表面1aのほぼ中心に立てた法線を含む平面内にあると言ってもよい。
【0023】
光源11による表面1aにおける照度と光源12による表面1aにおける照度とがほぼ等しくなるように構成するのがよい。例えば、各光源の明るさを同一、表面1aからの各光源の高さを同一、且つ各光源から表面1aへの入射角を同一にする。あるいは、高さは異なっても、各光源から表面1aまでの距離を調整するか、光源の明るさを適切に設定すれば、表面1aの照度を等しくすることができる。
【0024】
図3を参照して、第1の実施の形態の作用を説明する。ここで、フィルムパッケージ1の検査対象の表面1aに平行にXY直角座標をとり(X軸を図3(a)(b)の紙面に垂直、Y軸を紙面に平行にとる)、表面1aの法線方向にZ軸(図3(a)(b)の紙面に平行)をとる。図の(a)は、図中左上方約45°の方向から光束L1を表面1aに照射した状態を示す。これはY軸とZ軸に約45°、X軸に直交する方向である。このように照射すると、X軸にほぼ平行に存在する透明フィルムの折り目56の図中右側、折り目から極く僅かにずれた位置に影61ができる。これをA画像と呼ぶ。同様に図の(b)は、図中右上方約45°の方向から光束L1’を表面1aに照射した状態を示す。このように照射すると、(a)の場合とは反対側、即ち透明フィルムの折り目56の図中左側に極く僅かにずれた位置に影61’ができる。これをB画像と呼ぶ。
【0025】
なお図3では、影61、61’は、折り目56の直下の透明フィルム上に生じる場合で示してあるが、下地1b上に生じてもよい。通常は下地1bと透明フィルムとはほとんど接触しているので、下地1bに生じる影も、折り目56から僅かにずれた位置にできることに変わりはない。これは、後で説明する図7の場合も同様である。
【0026】
このようなA画像とB画像とでは、影61と影61’とは、位置は移動する(即ちA画像とB画像とで変化がある)が、パッケージの検査対象である表面1aの下地の紙1bに描かれた絵や文字は移動しない(即ちA画像とB画像とで変化がない)。そこでA画像とB画像との間で差算(A画像−B画像)をすると、画像に変化のない下地1bの文字や絵が消えて、折り目56の影が残る。
【0027】
図3の例で差画像についてさらに説明する。A画像の影61は暗い。影61以外の部分は明るい。B画像も同様に影61’は暗く、影61’以外の部分は明るい。したがって、A画像からB画像を減ずると、影61の部分は、B画像の明るい部分をマイナスするので、暗いままである。また、A画像の影61以外の明るい部分のうち、B画像の影61’以外の明るい部分をマイナスする部分は、ほぼ同じ明るさ同士の差になるので、暗くなる。ところで、A画像の影61以外の明るい部分のうち、B画像の影61’をマイナスする部分は、明るい部分から暗い部分をマイナスするので、明るく残る。すなわち、A画像とB画像の差画像を作ると、B画像の線状の影61’が、暗い背景の中に残った線状の明るい像となる。
なお、差をとる代わりに一方の画像の反転画像を作って和を作ってもよい。また影を明るい像としてではなく暗い影で判定をした方が判定し易い場合は、差画像の反転画像を作ってもよい。そのようにすると、明るい背景の中に暗い影が残った画像となる。
【0028】
図4を参照して、第1の実施の形態で得られる画像を説明する。図の(a)(b)(c)は、いずれも表面1aをその法線方向、即ち図2、図3に示すCCDカメラ21aの方向から見た平面図である。(a)は、図2に示す光源11からの光束L1と、光源12からの光束L1’とで、長方形の表面1aの長手方向からフィルムパッケージ1を別々に照射し、それぞれによる画像、A画像とB画像とを得て、差画像を作ったものである。下地の絵や文字は消えている。
【0029】
太線で図示する折り目51、53は、光束L1あるいは光束L1’の進行方向に直角ないしは角度を持った方向であるので、明瞭に見える。しかしながら、細線で図示する折り目52、54は、光束L1あるいは光束L1’の進行方向に平行ないしはほぼ平行であるので、影はできにくく、たとえ影が形成されたとしても、A画像とB画像とでほとんど同じ位置に形成されるので、差画像を作った結果、下地の絵や文字と同様に消去されてしまう。したがってほとんど見えないか、極薄く見えるだけである。
【0030】
一方(b)は、図1または図2には不図示であるが、検査対象の表面1aの法線回りに、光束L1と光束L1’に対して90°をなす方向から照射される光束L2と光束L2’で照射して、光束L1と光束L1’の場合と同様に作った差画像である。光束L2と光束L2’は、長方形の表面1aの幅方向からフィルムパッケージ1を照射した場合ということになる。(a)に示す画像と(b)に示す画像とは、別々に作る。光束L2、L2’の進行方向に直角ないしは角度を持った方向の折り目52、54が明瞭に見えて、光束L2、L2’の進行方向に平行ないしはほぼ平行な折り目51、53が、ほとんど見えないのは、(a)の場合と同様である。しかしながら、照射する方向が異なるので、(a)の場合に明瞭に見えなかった折り目が(b)では明瞭に見え、逆に(a)で明瞭だった折り目が、(b)では明瞭ではない。
【0031】
(c)は、(a)と(b)の場合のそれぞれの画像を、画像処理装置41で合成して和をとった場合の合成画像を示す。図示のように、全ての折り目が明瞭に見えるようになる。なお、パッケージの種類によって、折り目に不良の出やすい方向のみを観察すればよい場合があり、そのようなときは(a)と(b)の画像の和画像を作る必要はない。たとえば矩形の表面1aの幅方向に走る折り目を特に検査したいときは(a)の画像を作るだけでよいし、逆に表面1aの長手方向に走る折り目を検査したいときは、(b)の画像だけを作ればよい。
【0032】
光束L1と光束L1’とを別々に照射するためには、光源11と光源12とを、一方を点灯しているとき他方を消灯するように点滅させてもよいし、1つの光源11に対して検査対象を相対的に表面1aの法線回りに回転させて、所定の回転位置での光を検出するようにしてもよい。但し検査対象をCCDカメラ21aに対して回転させたときは、画像処理の際に多少手を加える必要がある。即ち、回転前後で、検査対象の形状は変わらないが、検査対象上の各点を結像するCCD素子は変わるので、その点を補正して評価しなければならないからである。
【0033】
CCDカメラ21aが表面1aの法線方向に配置されるときは、フィルムの表面で正反射される光をあまり検出しないので、所謂てかりの影響をある程度排除することができる。
【0034】
図4を参照して、本発明の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、2つの異なる方向が、表面1aのほぼ中心に立てた法線に対して線対称な方向の場合である。即ち光束L1とL1’とで照射されることによって生じる2つの画像の差画像を作る。あるいは、光束L2とL2’とで照射されることによって生じる2つの画像の差画像を作る。
【0035】
これに対して第2の実施の形態では、2つの異なる方向が表面1aのほぼ中心に立てた法線回りに互いに90°の方向である。即ち図4を参照して説明すれば、光束L1と光束L2とで照射されることによって生じる2つの画像の差画像を作る。このとき光束L1’と光束L2’は照射しない。ここで、光束L1によって生じる画像をA画像、光束L2によって生じる画像をB画像とし、A画像からB画像をマイナスする差画像を作ると、その差画像はB画像の影の部分が明るく残った像、即ち影52、54部分が明るく残った像となる。その他の部分は、A画像の影からB画像の明るい部分をマイナスするか、A画像とB画像のほぼ同じ明るさ同士の差となり、暗くなるからである。
【0036】
一方、B画像からA画像をマイナスする差画像を作ると、その差画像はA画像の影の部分が明るく残った像、即ち影51、53部分が明るく残った像となる。その他の部分が、暗くなるのはA画像からB画像をマイナスした場合と同様である。
【0037】
このようにして作られた、影52と影54の強調された画像と影51と影53の強調された画像との和画像を作ると、図4の(c)に示すように、全ての折り目(の影)が強調された画像が得られる。即ち、全ての折り目を強調するのに必要な差画像を作る処理回数は、第1の実施の形態と同様に2回であるが、光束を照射する方向は、第1の実施の形態では4方向であったのに対して、2方向で済む。
【0038】
図5を参照して、画像処理装置41に形成された画像を用いて、パッケージの良否を判定する方法について説明する。図中(a)は、従来の方法でフィルムパッケージ1を観察した場合の画像を示す。フィルムパッケージ1を、図4を参照して説明したように画像処理すると、(b)に示すような全ての折り目が強調された画像となる。したがって、例えば(c)に示すような異常な折り目55が出来ている場合、そのような折り目も強調されて明瞭に観察することができる。
【0039】
さらに、あらかじめ(b)に対応するような、良品の画像を撮像して画像処理装置41に参照画像として保存しておけば、実際の検査対象から得られた画像を、その参照画像と比較して、その一致度により、検査対象の良否を判定することができる。例えば95%以上の一致度であれば良品と判定する。(c)に示すように、折り目55が斜めになっているときは、一致度が例えば70%になり、不良品と判定される。
【0040】
図6を参照して、本発明の第3の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、光束L1、L1’、L2、L2’は、光源から発散する光束であるものとしたが、第3の実施の形態では、平行な光束を用いる。平行光束を得るために、光源11と検査対象の表面1aとの間にコリメータレンズ71が配置されている。さらにコリメータレンズ71と表面1aとの間には偏光子31が配置されている。コリメータレンズ71で平行にされた平行光束L3は、表面1aに入射角θ(表面1aの法線に対してθ)で入射する。
【0041】
表面1aに対向して、表面1aの法線方向には、結像面にCCD素子のような撮像素子21(不図示)を2次元に(平面状に)配列して構成されるカメラ21aが配置されている。即ちカメラ21aは、表面1aを真上から観察できるように配置されている。またカメラ21aと表面1aとの間には、検光子32が配置されている。検光子32は、偏光子31に対して、偏光方位が直交ニコルの関係になるように配置する。偏光子31と検光子32とが直交ニコルの関係にあるとは、偏光子31と検光子32とを透過する直線偏光の電気ベクトルの振動面が互いに垂直になるようにこれら偏光子31と検光子32とを光路中に配置した状態をいう。即ち、偏光子31を透過した光が、透明フィルムによって偏光状態の特別な変化を受けることなく正反射された光の振動面と、検光子32を透過する光の振動面が直交する関係にあることをいう。
【0042】
第3の実施の形態では、光束が拡散しないので、表面1a全体に渡って一様な照度を得ることができる。光束L3で照射して得られる表面1aの画像をA画像とする。
【0043】
同様に、表面1aの法線に対して対称に、光源11を備える照射系と全く同様な照射系が備えられている。すなわち表面1aに入射角θで入射する平行光線を発生するように、光源12’、コリメータレンズ71’、偏光子31’が配置され、平行光束L3’を表面1aに照射するように構成されている。光束L3’で照射して得られる表面1aの画像をB画像とする。
【0044】
図7を参照して、本発明の前記第3の実施の形態の作用を説明する。(a)(b)共に、フィルムパッケージ1の検査対象の表面1a部分を拡大してX軸方向に見た部分断面図である。
【0045】
検査対象の表面1aに照射された平行光束L3は、この光束に直交するか又は角度をもって存在するフィルムの折り目56に当たると、折り目56の極く近傍に影61を生じさせる。この影は、カメラ21aにより明瞭な折り目像として検出される。しかしながら、(a)に示すようにフィルムに皺やよれ57があると、平行光束L3はここで正反射して、正反射光L5はカメラ21aに向かう。このようにして、検光子32が無い場合は、正反射光L5が、直接カメラ21aで受光されるので、折り目ではないところも光ってしまう。即ち観察したいのは折り目による散乱光あるいは影のみであるにもかかわらず、その他の部分からの正反射光も受光してしまい、所謂てかりが発生してしまう。
【0046】
第3の実施の形態では、先に構成を説明したように、平行光束L3が検査対象の表面1aに入射する前に偏光されるように、平行光束L3の光路中に偏光子31を挿入してあり、また、表面1aとカメラ21aとの間には、検光子32が配置されている。検光子32は、偏光子31に対して、偏光方位が直交ニコルの関係になるように配置されているので、偏光子31を透過し、表面1aの皺やよれ57で正反射した光が、検光子32でカットされる。したがって、表面1aのてかりをカメラ21aが検出するのを防止することができる。
【0047】
なお偏光子31は、検査対象の表面1aの直前に配置しなくてもよい。例えば、図6の光源11から表面1aまでのいずれかの位置に挿入配置すればよい。また、ここでは偏光子31を用いるものとして説明したが、光源そのものを偏光を発生する光源例えばLD(レーザーダイオード)とすれば、偏光子31は設けなくてもよい。要は、検査対象を偏光した光、特に直線偏光した光で照射すればよい。
【0048】
(b)には、表面1aが平行光束L3’で照射される様子を示してある。折り目56の影61’は、折り目56の極く近傍に生じる。影61’は、(a)の影61とは折り目56に対して反対側に生じる。したがってA画像とB画像の差画像を作ると図4(a)で説明したような画像となる。第3の実施の形態では、てかりの検出を効果的に防止できるので、偏光子31、31’と検光子32を設けない場合よりもさらに明瞭な画像が得られる。もっとも、皺やよれのあまりない検査対象を検査する検査装置としては、平行光束L3、L3’を用いるが、偏光子31、31’と検光子32を用いない装置としてもよい。
【0049】
また図2に示すような発散光束L1、L1’に、クロスニコルの関係にある偏光子31、31’と検光子32とを用いる装置としてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、結像光学系で結像された、異なる方向から照射されたことにより生じる少なくとも2つの画像に基づいて検査対象の良否を判定する判定装置を備えるので、透明な材料または透明な材料により包まれたパッケージの良否を効率的に検査することのできる検査装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である検査装置の概略を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態である検査装置の概念的斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の検査装置の作用を説明する部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態である検査装置を用いて、フィルムパッケージの表面をCCDカメラで撮像し、画像処理した画像の例を示し、又第2の実施の形態を説明する平面図である。
【図5】本発明の実施の形態である検査装置を用いて、観察したフィルムパッケージの表面を示す平面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態である検査装置の概念的正面図である。
【図7】第3の実施の形態の検査装置の作用を説明する部分断面図である。
【図8】従来の検査方法を説明する概念的斜視図である。
【符号の説明】
1 フィルムパッケージ
11、12 光源
31、31’ 偏光子
32 検光子
21a CCDカメラ
41 画像処理装置
56 折り目
61、61’ 影
62 てかり
71 コリメータレンズ

Claims (5)

  1. パッケージを包んでいる透明な材料を検査対象とする検査装置において;
    前記検査対象に異なる方向から光束を照射する少なくとも1つの照射装置と;
    前記少なくとも1つの照射装置で照射された前記透明な材料の折り目により生じる影の像を結像する結像光学系と;
    前記結像光学系で結像された、前記異なる方向から照射されたことにより生じる少なくとも2つの前記影の像の差画像を作る画像処理部と;
    前記差画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する判定装置とを備える;
    検査装置。
  2. 前記光束は偏光された光であることを特徴とする、請求項1に記載の検査装置。
  3. 前記異なる方向から照射された検査対象の表面における照度が、各方向同士でほぼ等しくなるように構成されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の検査装置。
  4. 前記異なる方向が、前記検査対象の表面の法線回りに互いに90°の方向であることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の検査装置。
  5. パッケージを包んでいる透明な材料を検査対象とする検査方法において;
    前記検査対象に、少なくとも2つの異なる方向から光束を照射する工程と;
    前記照射された前記透明な材料の折り目により生じる影の像を結像する工程と;
    前記結像された、前記異なる方向から照射されたことにより生じる少なくとも2つの前記影の像の差画像を作る工程と;
    前記差画像に基づいて前記検査対象の良否を判定する工程とを備える;
    検査方法。
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