JP4323728B2 - 施錠装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、机や袖机などの筐体に対し、引出しなどの開閉体を開放不能に施錠する施錠装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オフィスの事務机や家庭などの机や袖机、病院内における入院患者用の脇机など、このような家具や什器には引出しが設けられている。一般に引出しは複数設けられ、机等を所有もしくは使用する各個人の私物等が収納される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような机や脇机などでは、例えば、入院患者用の脇机などは、使用者が常に入れ替わることから、施錠機構を備えない脇机などが配置されることがあり、プライバシーとしての問題を抱え、また、金銭などを引出し内に収納する場合にはセキュリティとしての問題もある。
【0004】
また、上記のような机や脇机などに、簡易な施錠機構を備えているものもあり、引出し内に収納される私物に対し、他人が持ち出すことのないように引出しを施錠させることが可能なものもあるが、この施錠機構は、例えば複数の引出しのうちの1つの引出しの前面に鍵穴が位置するように配設され、内部において全ての引出しと机の筐体部分とにわたり閂部材を作動させ、筐体に対して全引出しの開放を阻止する構造とされ、すなわち、施錠機構本体が引出しに配設され、この施錠機構に対して施解錠を行う鍵を別途備え、複数の各引出しを全て施錠させてしまう構造とされており、各引出し毎の施錠を行うには、各引出しに施錠機構を配置する必要があり、例えば、各引出しを複数人で使用する場合には、このような施錠機構では管理が容易でなく、使い勝手の悪いものとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記欠点を解消するためになされたもので、施錠機構を備えない引出しに対し、容易に施錠の行える機構を設けることを可能とし、また、複数の引出しをそれぞれ個別に施錠させることを可能とする施錠装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明に係る請求項1記載の施錠装置1は、筐体3に対し、手前方向に開閉自在とされる開閉体5の開放を阻止する施錠装置1であって、
基部11の表面側に左右の側面から突出されるフランジ13を有し、該フランジ13の中途位置に該フランジ13及び前記基部11を欠切した係合凹部15が形成されて、前記開閉体5の開閉動作に干渉しない位置で、かつ該開閉体5の縁部近傍に位置して前記筐体3に固定される係合体7と、
該係合体7が挿入される挿入口21cを一側に有し、裏板29の基板部29aの左右に上下方向に長い鍔部29bを有し、該左右の鍔部29bと基板部29aの左右との間に間隙よりなる係合部29cが形成され、前記挿入口21cからスライド挿入される前記係合体7のフランジ13が前記係合部29cに嵌挿されて係合し、閉鎖状態となっている前記開閉体5の前面に延出して位置して前記開閉体5の開放動作を裏板29で規制する施錠手段9と、
該施錠手段9の係合部29cに設けられ、該係合部29cが前記係合体7に嵌挿された際に、該係合体7の係合凹部15に対して係合し、該係合体7の挿入方向のスライドを規制して、前記係合部29cを前記係合体7より抜脱不能とするラッチ27と、
前記施錠手段9に設けられ、該ラッチ27に連動連結されて該ラッチ27の前記係合凹部15に対する係合状態を解除する解除手段25と、
該解除手段25における前記係合凹部15に係合しているラッチ27の解除操作を行うキー32と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
この施錠装置1では、筐体3における開閉体5の縁部近傍に係合体7が固定され、この係合体7に施錠手段9がスライドされて、係合部29cがこの係合体7に対し挿入され、ラッチ27が係合凹部15に係合されることで、スライドが規制され施錠手段9の裏板が開閉体5の前面に延出して配置されて、閉鎖状態の開閉体5が開放不能な施錠状態となる。すなわち、筐体3に設けられる1つの開閉体5に対して施錠が可能となり、複数ある開閉体5、例えば引出し5に対し、各引出し5毎に施錠を行いたい場合などに有効となる。すなわち、複数人で、各引出し5をそれぞれ個別に使う場合などに有効となる。
【0008】
請求項2記載の施錠装置1は、前記施錠手段8の裏面に、前記裏板29に沿い前記左右鍔部29b間に位置して設けられ、該裏板29に平行な回動軸41を中心に回動されて前記裏板29から該裏板29に対して垂直に突出され、該突出状態で前記開閉体5の前面に位置して閉鎖状態の前記開閉体5の開放動作を規制するストッパ31を備えたことを特徴とする。
【0009】
この施錠装置1では、施錠手段9の裏面からストッパ31が垂直に突出し、すなわち裏面とストッパ31にて略L字形状となる。したがって、例えば開閉体5の前面板が筐体左右の柱3aの前端面を覆う構造の筐体3の場合、つまり、柱3aが露出されない場合においても、筐体3の側面3bに固定した係合体7に対して、ストッパ31を突出させた施錠手段9が係合されると、ストッパ31が開閉体5の前面に配置され、開閉体5の開放が規制されることになる。つまり、施錠手段9が縦方向と横方向との両方の向きで使用可能になる。
【0010】
請求項3記載の施錠装置1は、前記施錠手段9の裏板29が前記開閉体5の開放動作を規制する位置に配置されるように、該施錠手段9に対する前記係合体7の相対位置が位置決め金具19によって前記筐体3に位置決めされることを特徴とする。
【0011】
この施錠装置1では、係合体7が位置決め金具19を介して筐体3に取り付けられることで、施錠手段1が所定の位置に配置され、施錠手段9の裏板29が開閉体5の開放動作を規制することになる。なお、位置決め金具19自身は、例えば、開閉体5の前面板と柱3aとの間に挿入される差込片19bを有し、この差込片19bを開閉体5と柱3aとの間に差し込んで取り付けることで、開閉体5に対する係合体7の位置決めが容易に行える。
【0012】
請求項4記載の施錠装置1は、前記解除手段が、シリンダ錠25であることを特徴とする。
【0013】
この施錠装置1では、解除手段として、シリンダ錠25が用いられ、汎用の部材を用いて、ラッチ27を係合又は係合解除させる施錠構造が簡便に得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の施錠装置の好適な実施の形態を詳述する。
この施錠装置1は、事務机や袖机、脇机などの家具や什器に用いられ、これら机などに備えられる引出しに対する施錠を行うものである。
【0015】
図1は本発明に係る施錠装置の実施の形態を示す分解斜視図、図2は同実施の形態の施錠装置を裏面から見た分解斜視図、図3は同施錠装置を表面から見た斜視図、図4は同施錠装置に用いられる係合体を裏面から見た斜視図、図5は同施錠装置が取り付けられる筐体の斜視図である。
【0016】
この実施の形態の施錠装置1は、図5に示すような、筐体としての事務机や袖机等の机本体3の角部分に取り付けられ、机本体3の前面に手前方向にスライドする開閉体としての引出し5に対する施錠を行うものである。この施錠装置1は、図3に示すように、係合体7と、施錠手段9とに大別構成される。
【0017】
係合体7は、引出し5の開閉動作に干渉しない位置で、かつ机本体3の縁部近傍に位置して机本体3に固定される。図4に示すように、係合体7は、基部11の表面側が左右の側面から突出されたフランジ13を有している。
【0018】
係合体7の両側部には、基部11及びフランジ13を欠切した係合凹部15が一対形成されている。この係合凹部15には、後述のラッチ27が係合される。この実施の形態の係合体7には上下に位置して二つの取付穴17が穿設されている。係合体7は、L字型の位置決め金具である図1に示すL金具19を介して机本体3の柱3aに固定される。
【0019】
L金具19は、図1に示すように、取付片19aと、差込片19bとからなる。L金具19は、差込片19bを、引出し5と柱3aとの間隙に挿入し、取付片19aに穿設された貫通穴19cに、図示しないネジを挿入して柱3aに固定される。この際、ネジは、係合体7の取付穴17に挿通され、係合体7とL金具19とがともに柱3aに固定される。なお、L金具19の裏面に両面接着テープなどを貼着する構成とすることで、このL金具19を、柱3aに先に貼着固定し係合体7の取付位置を決定させ、その後に貫通孔19cに取付孔17を合わせて貫通させるようにネジにて固定させることも可能である。
【0020】
図6は同施錠装置に用いられる裏板を裏面から見た斜視図、図7は同施錠装置に用いられるシリンダ錠を裏面から見た斜視図、図8は同施錠装置に用いられるラッチを表面から見た斜視図、図9は同施錠装置のラッチ係合状態を(a),ラッチ係合解除状態を(b)で示した背面図、図10は同施錠装置の背面図、図11は同施錠装置が縦方向で使用された状態を示す平面図である。
【0021】
施錠手段9は、表カバー21と、中間部材23と、シリンダ錠25と、ラッチ27と、裏板29と、ストッパ31とからなる。
【0022】
図1に示す表カバー21は、表面の下部に、シリンダ錠25を露出させる筒部21aを有している。筒部21aの上方には、上向きの挿着マーク21bが設けられている。また、表カバー21の上端面には挿入口21cが形成され、この挿入口21cに上記した係合体7が挿入されるようになっている。つまり、挿着マーク21bは、施錠手段9の挿入方向を示している。
【0023】
中間部材23は、表カバー21の内側に取り付けられ、筒部21aに挿入される円筒体23aと、上記した挿入口21cに一致する切欠23bとを有している。また、図2に示すように、後述のラッチ27を支持するための支持軸23cを有している。円筒体23aの内部には後述のシリンダ錠25が回転不能に挿着される。つまり、シリンダ錠25は、円筒体23aに挿着され、この円筒体23aがさらに、筒部21aに挿入されて表カバー21の筒部21aから表出される。
【0024】
中間部材23は、中央部に、固定穴23dが穿設され、この固定穴23dに、裏面から図示しないネジが挿入されて、表カバー21の裏面に固定される。中間部材23の裏面の左右には、それぞれ上下方向に、三つのかしめ用突起23eが突設されている。このかしめ用突起23eは、裏板29の固定に用いられる。
【0025】
図6に示すように、裏板29は、基板部29aの左右に、上下方向に長い鍔部29bを有している。この鍔部29bは、基板部29aと平行となって、基板部29aより裏側へ突出されている。この左右の鍔部29bと、基板部29aの左右との間には、間隙よりなる係合部29cが形成され、この係合部29cには上記した係合体7のフランジ13が挿入される。
【0026】
また、裏板29は、施錠手段9が係合体7に係合されると、引出し5の前方に配置され、鍔部29bの裏面が引出し5に当接することで、引出し5の開放動作を規制するように働く。裏板29は、鍔部29bの取付穴29dがかしめ用突起23eにかしめられる。
【0027】
ラッチ27は、中間部材23の支持軸23cに揺動自在に支持される。図8に示すように、ラッチ27の揺動先端には爪27aが形成され、爪27aは係合部29cに係合した係合体7の係合凹部15に係合する。これにより、施錠手段9と係合体7とは、挿入方向のスライドが規制される。つまり、係合部29cが、係合体7より抜脱不能となる。また、爪27aと反対側の端部は、爪27aを揺動させる作動部27bとなっている。そしてラッチ27は、中途部の穴27cが支持軸23cに軸支されて揺動自在となる。
【0028】
中間部材23には上記した解除手段であるシリンダ錠25が挿着される。図7に示すように、このシリンダ錠25の裏面にはロック爪25aと、解除爪25bとが一体に設けられている。このロック爪25a及び解除爪25bは、シリンダ錠25のキー挿入口25cに挿入される特定のキー32によって回動される。
【0029】
図9(a)に示すように、通常時、ラッチ27の爪27aは、シリンダ錠25に内蔵された付勢バネによって、作動部27bがロック爪25aによって押圧され、若しくはラッチ27に装着される図示しない付勢バネの付勢力によって係合部29cに突出した状態となっている。これにより、係合部29cに挿入された係合体7は、係合凹部15が爪27aに一致した時に、爪27aによってロックされる。また、シリンダ錠25に特定のキーが挿入され、キーが解錠方向に操作されることで、図9(b)に示すように、解除爪25bが作動部27bを押圧して、爪27aを係合凹部15から係合解除する方向へ移動させるようになっている。
【0030】
また、この実施の形態による施錠手段9は、裏板29の裏側に、ストッパ31を有している。ストッパ31は、図13に示すように、裏板29の裏面に平行な回動軸41を中心に回動され、裏板29から垂直に突出され、すなわち裏板29とストッパ31とで略L字状な形状となる。ストッパ31は、施錠手段9が後述の横方向で使用された際、突出状態で引出し5の前面に位置して引出し5の開放動作を規制するように働く。
【0031】
次に、上記した施錠装置1の動作について説明する。
この動作の説明では、先ず最初に、施錠装置1が、縦方向で使用された場合(挿着方向が図3に示す柱3aと引出し5との境界線に沿う方向である縦方向の場合)を例に説明する。図3に示すように、予め、机本体3の、引出し5の縁部近傍となる角部分である柱3aに係合体7を固定する。
この固定は、引出し5と柱3aとの間に、L金具19の差込片19bを差し込み、係合体7と取付片19aとに挿通したネジ49を、柱3aの前面に固定することで行う。固定された係合体7は、L金具19によって所定の位置に位置決めされ、引出し5の開閉に干渉することはない。
【0032】
施錠を行うには、引出し5を閉鎖し、係合体7の下方に施錠手段9を配置させ、施錠手段9を上方へ移動させることで、表カバー21の挿入口21cに係合体7を挿入して行う。
挿入口21cに挿入された係合体7は、フランジ13が係合部29cに進入する。フランジ13は、係合部29cに突出されたラッチ27の爪27aを係合部29cから退避させながら進入し、係合凹部15に爪27aが一致した時に、ラッチ27と係合体7とが係合して、スライドが不能となる。これにより、図10,図11に示すように、係合体7に対して施錠手段9が抜脱不能となる。
【0033】
そして、施錠手段9の裏板29が、柱3aの前面から引出し5の正面に延出し、この引出し正面に当接することとなり、引出し5を開けようとしても、裏板29が当接していることから、開放が不可能となり、すなわち施錠となる(図11参照)。
【0034】
次に、解錠動作について説明する。
解錠を行うには、特定のキー32をシリンダ錠25のキー挿入口25cに挿入し、キー32を回動操作する。本実施の形態では、キー32を図1中時計回り方向とする。
キー32の回動により、シリンダ錠25は回動し、これに伴い解除爪25bが回動する。
【0035】
解除爪25bは、ラッチ27の作動部27bを押圧し、ラッチ27を図9中時計回り方向に回動させる。すると、爪27aが係合体7の係合凹部15から外れ、ラッチ27と係合体7との係合が解除される。これにより、施錠手段9は、係合体7から抜脱可能となり、施錠手段9が係合体7から外されることで、引出し5が開放可能な状態となる。
【0036】
次に、施錠装置1を横方向で使用する場合を説明する。
図12は同施錠装置を横方向で使用する際に用いられる位置決め金具及び係合体を示した斜視図、図13は同施錠装置のストッパが突出された状態を側面から見た縦断面図、図14は同施錠装置の横方向の挿入方向を示した斜視図、図15は同施錠装置が横方向で使用された状態を示す平面図である。
【0037】
施錠装置1を横方向で使用する場合には、図12に示すL金具51が使用される。このL金具51は、図1に示したL金具19と異なり、取付片51aの横方向に二つの取付穴51bが穿設されている。
このL金具51に取り付けられる係合体は上記した係合体7と同様のものを使用することが可能である。また、この係合体7は、図12(b)に示すように、挿入方向が長尺に形成される係合体53を使用してもよい。
【0038】
この場合、係合体53は、図12(b)に示すように、係合凹部15が両側のフランジ13に形成され、机本体3の左右側面のいずれに対しても使用できるようになっている。
このように、挿入方向の全長を長くした係合体53によれば、係合体53と施錠手段9との互いの係合強度を高めることができる。
なお、この場合には、図12(b)に示すように、L金具は、取付片55aが対応した長さに形成されるL金具55を用いる。
【0039】
L金具19は、図14に示したように、差込片19bを引出し5の前板5aと、柱3aとの間に差し込む。そして、係合体7を、L金具51の取付片51aとともに、机本体3の側面3bに固定する。
【0040】
次に、施錠手段9は、図13に示すように、ストッパ31を回動させて、裏板29に対して垂直に突出させる。施錠手段9は、図14に示すように、挿入口21cを係合体7に向け、矢印方向(引出し5の移動方向と同方向)に移動させて、係合体7と施錠手段9とを係合させる。係合体7に挿入された施錠手段9は、上記の動作と同様にして、ラッチ27の爪27aが、係合体7の係合凹部15に係合して、抜脱が規制される。
【0041】
これにより、裏板29から突出されたストッパ31が、図15に示すように、引出し5の前面に当接することになり、引出し5は、ストッパ31により開放が規制され、施錠されることになる。
また、施錠装置1の施錠解除は、上記と同様に、シリンダ錠25にキー32を挿入し、キー32を回転させることにより、ラッチ27と係合体7との係合を解除し、施錠手段9を係合体7から抜脱することにより行う。
【0042】
従って、上述した施錠装置1によれば、机本体3の、引出し5の縁部近傍に固定される係合体7に、施錠手段9の係合部29cを挿入し係合させることで、引出し5を開放不能な施錠状態とすることが可能となる。
すなわち、机本体3に設けられる1つの引出し5に対して施錠を行うことが可能となり、例えば、複数ある引出し5に対し、各引出し毎に施錠を行いたい場合などに有効となる。すなわち複数人で、各引出し5をそれぞれ個別に使用する場合などに有効となる。
【0043】
また、この施錠装置1によれば、係合体7を机本体3に固定する構造が、机本体側に大きな加工を施すことなく、机本体3の柱3aを利用し、机本体3と引出し5との遊び部分である間隙を利用することから、机本体3に対して容易に施錠装置1を構成させることができ、既存の机などに対し、簡単に施錠構造を付加させることが可能となる。
【0044】
そして、施錠手段9の裏面から垂直に突出可能となるストッパ31を備えたので、引出し5が柱3aを覆う構造の机本体3の場合においても、机本体3の側面に固定した係合体7に対して、ストッパ31を突出させた施錠手段9を係合させることで、ストッパ31を引出し5の前面に配置させることができ、引出し5の開放を規制することができる。つまり、施錠手段9が縦方向と横方向との両方の向きで使用できるようになる。
【0045】
さらに、この施錠装置1によれば、上述した例では、机本体3の一方の縁部である、図5に示す右方に構成させる例を示したが、係合体7の形状を、左右対称形状としたので、係合体7の固定位置は、図5中左方(図中点線円部分)として構成することもでき、机本体3の構造等に応じ、どちらの縁部に対しても取り付け可能な構造とすることができ、すなわち、左右勝手のない構造となっている。
【0046】
また、係合体7は、L金具19によって位置決めされ、L金具19は差込片19bを引出し5と柱3aとの間に挿入することで位置決めされる。したがって、係合体7がL金具19を介して机本体3に取り付けられることで、施錠手段9が所定の位置に配置され、施錠手段9の裏板29が引出し5の開放動作を規制することになる。
【0047】
なお、上記した実施の形態では、施錠を行う対象を、机に備えられる引出し5とした例を示したが、本発明に係る施錠装置は、手前方向に開閉自在とされる筐体、例えば家具や什器などの本体と、この本体に対して蝶番などを介して開閉する扉に対しての施錠装置としても有効である。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による施錠装置によれば、筐体における開閉体の縁部近傍に固定される係合体に、施錠手段の係合部を係合させることで、施錠手段の裏板を開閉体の前面に配置して、開閉体を開放不能な施錠状態とすることが可能となる。すなわち、筐体に設けられる1つの開閉体に対して施錠を行うことが可能となり、複数ある開閉体、例えば引出しに対し、各引出し毎に施錠を行いたい場合などに有効となる。これにより、複数人で、各引出しをそれぞれ個別に使うことができるようになる。
【0049】
そして、施錠手段の裏面から垂直に突出可能となるストッパを備えたので、例えば開閉体の前面板が筐体左右の柱を覆う構造の筐体の場合においても、筐体の側面に固定した係合体に対して、ストッパを突出させた施錠手段を係合させることで、ストッパを開閉体の前面に配置させることができ、開閉体の開放を規制することができる。つまり、施錠手段が縦方向と横方向との両方の向きで使用できるようになる。
【0050】
また、係合体と施錠手段との簡素な構成にて得られることから、施錠機構を有しない既存の筐体、例えば机や袖机などに、容易に採用することが可能となる。特に、この施錠装置によれば、係合体を筐体に固定する構造が、筐体側に大きな加工を施すことなく、筐体と開閉体との遊び部分である間隙を利用し、筐体の縁部を構成する柱体に固定する構造としたので、筐体に対して容易に施錠装置を構成させることができ、既存の机などに対し、簡単に施錠構造を付加させることが可能となる。
【0051】
このようなことから、例えば、病院内における入院患者用の脇机など、使用者が常に入れ替わるような場合に、その脇机に備えられる引出しに対し、入院患者自身で本発明の施錠装置を使用することで、管理を行うことができ、入院中における金銭の管理などを可能とし、また、オフィスにおける机を、一時的に他の人員に貸与する場合に、その人員に机の引出しの管理を行わせることが可能となる。さらに、家庭内における家具や机などに備えられる引出しなどの開閉体を施錠可能としたい場合などに、追加構成させることが可能であり、容易に引出しなどの開閉体の施錠装置を、家具や机、什器などに設けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る施錠装置の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同実施の形態の施錠装置を裏面から見た分解斜視図である。
【図3】同施錠装置を表面から見た斜視図である。
【図4】同施錠装置に用いられる係合体を裏面から見た斜視図である。
【図5】同施錠装置が取り付けられる筐体の斜視図である。
【図6】同施錠装置に用いられる裏板を裏面から見た斜視図である。
【図7】同施錠装置に用いられるシリンダ錠を裏面から見た斜視図である。
【図8】同施錠装置に用いられるラッチを表面から見た斜視図である。
【図9】同施錠装置のラッチ係合状態を(a),ラッチ係合解除状態を(b)で示した背面図である。
【図10】同施錠装置の背面図である。
【図11】同施錠装置が縦方向で使用された状態を示す平面図である。
【図12】同施錠装置を横方向で使用する際に用いられる位置決め金具及び係合体を示した斜視図である。
【図13】同施錠装置のストッパが突出された状態を側面から見た縦断面図である。
【図14】同施錠装置の横方向の挿入方向を示した斜視図である。
【図15】同施錠装置が横方向で使用された状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1…施錠装置
3…筐体(机本体)
5…開閉体(引出し)
7…係合体
9…施錠手段
19,51,55…位置決め金具(L金具)
25…解除手段(シリンダ錠)
27…ラッチ
29…裏板
29c…係合部
31…ストッパ
32…キー
41…回動軸

Claims (4)

  1. 筐体に対し、手前方向に開閉自在とされる開閉体の開放を阻止する施錠装置であって、
    基部の表面側に左右の側面から突出されるフランジを有し、該フランジの中途位置に該フランジ及び前記基部を欠切した係合凹部が形成されて、前記開閉体の開閉動作に干渉しない位置で、かつ該開閉体の縁部近傍に位置して前記筐体に固定される係合体と、
    該係合体が挿入される挿入口を一側に有し、裏板の基板部の左右に上下方向に長い鍔部を有し、該左右の鍔部と左右の基板部との間に間隙よりなる係合部が形成され、前記挿入口からスライド挿入される前記係合体のフランジが前記係合部に嵌挿されて係合し、閉鎖状態となっている前記開閉体の前面に延出して位置して前記開閉体の開放動作を裏板で規制する施錠手段と、
    該施錠手段の係合部に設けられ、該係合部が前記係合体に嵌挿された際に、該係合体の係合凹部に対して係合し、該係合体の挿入方向のスライドを規制して、前記係合部を前記係合体より抜脱不能とするラッチと、
    前記施錠手段に設けられ、該ラッチに連動連結されて該ラッチの前記係合凹部に対する係合状態を解除する解除手段と、
    該解除手段における前記係合凹部に係合しているラッチの解除操作を行うキーと、
    を具備することを特徴とする施錠装置。
  2. 前記施錠手段の裏面に、前記裏板に沿い前記左右鍔部間に位置して設けられ、該裏に平行な回動軸を中心に回動されて前記裏から該裏板に対して垂直に突出され、該突出状態で前記開閉体の前面に位置して閉鎖状態の前記開閉体の開放動作を規制するストッパを備えたことを特徴とする請求項1記載の施錠装置。
  3. 前記施錠手段の裏板が前記開閉体の開放動作を規制する位置に配置されるように、該施錠手段に対する前記係合体の相対位置が位置決め金具によって前記筐体に位置決めされることを特徴とする請求項1記載の施錠装置。
  4. 前記解除手段が、シリンダ錠であることを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1項に記載の施錠装置。
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