JP4323434B2 - 髄内釘 - Google Patents

Description

本発明は、特許請求の範囲第１項の前文に記載の、特に遠位頸骨用の髄内釘に関する。

従来技術により、すでに髄内釘が周知であるが、これらは、同じ髄内釘が左右の長管骨用に使用可能であるように同じ高さで２つの交差する横ボアホールを有する。
これら周知の構成の不利点は、両方（もしくは複数）のボアホールが交差し、その軸交差点が釘の長手方向軸上に位置することになるため、比較的多くの材料が髄内釘の断面から除去され、これによりこの箇所における髄内釘の相当の機械的な弱体化がもたらされることである。

この点で本発明は改善を提供する。本発明の課題は、従来技術と比較して改善された機械的な安定性を有するが、髄内釘の断面を拡大させる必要がない、２つ（もしくは複数）の交差する横ボアホールを有する髄内釘を提供することである。

本発明は、請求項１の特徴を有する髄内釘で上記の課題を解決する。
変形は、両方の貫通するボアホール円筒の円筒軸が、長手方向軸の距離ｄ＞０を有する交差点Ｐで交差する点にある。有利には、髄内釘の直径Ｄに対する距離ｄが０．０００１Ｄ＜ｄ＜０．６０００Ｄの範囲、好ましくは、０．２Ｄ＜ｄ＜０．５Ｄの範囲である。
他の変形は、両方の貫通するボアホール円筒の円筒軸が傾斜しており、かつ長さｘ＞０の最短距離を有する。この場合、長さｘは、総じて両方のボアホール円筒の貫通が起こるように、貫通するボアホール円筒の両方の直径の半分の合計よりも小さいこととする点にある。両方の曲がった円筒軸間の長さｘの最短距離を形成する区間Ｓは、長手方向軸に対して平行または曲がって走りうるとともに、最短距離ｙ＞０を有しうる。この場合、距離ｙは、有利には、Ｄ／２よりも小さいが、０．４Ｄよりも大きい。
別の実施形態においては、両方の貫通するボアホール円筒の円筒軸は長手方向軸に対して直交の平面に位置している。それに対して、他の実施形態においては、両方の貫通するボアホール円筒の円筒軸は、長手方向軸から角度αで貫通される平面に位置しており、ここで０°＜α＜６０°、かつ好ましくは、０°＜α＜３０°である。直交の配置と比較してこの傾斜した配置の利点は、ボアホール円筒へ導入されるネジの潜在的に長い接合長さにあり、これにより高い安定性が生じる。別の利点は、最適な骨折管理にある。
別の実施形態においては、両方の貫通するボアホール円筒の円筒軸は角度βで交差するが、ここで３０°＜β＜８０°、好ましくは、５０°＜β＜８０°である。最適な角度選択により髄内釘の壁厚の最適化が得られる。
好ましい実施形態においては、貫通するボアホール円筒は髄内釘への２つの分離した入口を有するが、髄内釘からの唯一の共通の出口を有する。４つの開口に対する利点は、可能な限り少ない材料損失、すなわち髄内釘のより高い安定性にある。
貫通するボアホール円筒の直径Ｄｂは、有利には、Ｄの最高でも０．６倍、好ましくは、０．５倍である。
別の実施形態においては、髄内釘は、中心長手方向軸に対して同軸の長手方向ボアホールを有する。髄内釘の直径がボアホール円筒の直径に対して大きいほど、貫通する横ボアホールは互いに傾斜して位置するが、髄内釘の断面積は影響されることはなく、すなわち、髄内釘の安定性が低下することはない。
本発明および本発明の展開を以下、複数の実施例の部分的概略図を用いてさらに詳しく述べる。

（図面の簡単な説明）
図１は、２つの交差する横ボアホールを有する髄内釘を示す前面および背面図である。
図２は、ボアホール円筒の概略透視図とともに髄内釘を示す前面図である。
図３は、交差する横ボアホールの範囲における図２による髄内釘を示す直交断面図である。
図４は、曲がった円筒軸とともに２つの貫通するボアホール円筒を示す概略透視図である。

図１ないし図３に示されている髄内釘は、髄腔への導入に適した遠位端（２）、近位端（３）、中心長手方向軸（４）、およびボア軸（６）を有する２つの横ボアホール（５）を有し、ボア軸（６）はそれぞれ実質的なボアホール円筒（８）を円筒軸（９）で規定し、円筒軸（９）は規定する横ボアホール（５）のボア軸（６）に対応する。髄内釘は、実質的に一定の直径Ｄ、および中心長手方向軸（４）に対して同軸の長手方向ボアホール（１０）を有する。
図３に示されているように、両方の横ボアホール（５）のボアホール円筒（８）は相互に貫通するが、ここで両方の貫通するボアホール円筒（８）の円筒軸（９）は、長手方向軸４からの距離ｄ＝０．４Ｄを有する点Ｐで交差する。換言すれば、点Ｐは髄内釘の長手方向軸（４）上には位置していない。
貫通するボアホール円筒（８）は、髄内釘（１）への２つの分離した入口を有するが、髄内釘（１）からの唯一の共通の出口を有する。両方の貫通するボアホール円筒（８）の円筒軸（９）は、図３の図面レベルに対応する長手方向軸４に対して直交の平面に位置している。しかし、両方の貫通するボアホール円筒（８）の円筒軸（９）は、長手方向軸４から所定角度αで貫通される平面にも位置しうる（図２）。
示されている実施例においては、両方の貫通するボアホール円筒（８）の円筒軸（９）は６０°の角度βで交差する。
貫通するボアホール円筒（８）の直径Ｄｂは、示されている実施例においては、Ｄの０．３倍である。
図４に示されているように、別の実施形態においては、両方の貫通するボアホール円筒（８）の円筒軸（９）はまた曲がって走りうるとともに、貫通するボアホール円筒（８）の両方の直径の半分の合計よりも小さい所定の長さｘの最短距離（１１）を有しうる。両方の曲がった円筒軸（９）間の長さｘの最短距離（１１）を形成する区間Ｓは、示されている実施例においては、長手方向軸４に対して平行に走り、かつ最短距離ｙ＞０を有する。しかし、区間Ｓはまた長手方向軸（４）に対して曲がって走りうる。距離ｙは、Ｄ／２＞ｙ＞０．４Ｄの範囲である。

２つの交差する横ボアホールを有する髄内釘を示す前面および背面図である。 ボアホール円筒の概略透視図とともに髄内釘を示す前面図である。 交差する横ボアホールの範囲における図２による髄内釘を示す直交断面図である。 曲がった円筒軸とともに２つの貫通するボアホール円筒を示す概略透視図である。

符号の説明

１ 髄内釘 ２ 遠位端 ３ 近位端 ４ 中心長手方向軸
５ 横ボアホール ６ ボアホール軸 ８ ボアホール円筒
９ 円筒軸 １０ 長手方向ボアホール １１ 最短の距離

Claims (10)

1. 髄内釘（１）であって、
   Ａ）髄腔への導入に適した遠位端（２）であって、前記髄内釘（１）の前記遠位端（２）に面した部分が直径Ｄを有する前記遠位端（２）と、
   Ｂ）近位端（３）と、
   Ｃ）中心長手方向軸（４）と、
   Ｄ）ボアホール軸（６）を有する複数の横ボアホール（５）であって、それぞれの前記横ボアホール（５）のボアホール軸（６）が対応する円筒軸（９）で仮想のボアホール円筒（８）を規定する複数の横ボアホール（５）を有し、ここで
   Ｅ）少なくとも２つの横ボアホール（５）の前記ボアホール円筒（８）が互いに貫通し、かつ
   Ｆ）両方の貫通するボアホール円筒（８）の前記円筒軸（９）が前記長手方向軸（４）上に共通の交差点Ｐを有さない髄内釘（１）において、
   Ｇ）前記両方の貫通するボアホール円筒（８）の前記円筒軸（９）が前記長手方向軸（４）に対して直交の平面に位置していることを特徴とする髄内釘（１）。
2. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）の前記円筒軸（９）が、前記長手方向軸（４）からの距離ｄ＞０を有する交差点Ｐで交差することを特徴とする請求項１に記載の髄内釘（１）。
3. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）の前記円筒（９）が角度βで交差し、ここで３０°＜β＜９０°であることを特徴とする請求項１または２に記載の髄内釘（１）。
4. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）の前記円筒（９）が角度βで交差し、ここで５０°＜β＜８０°であることを特徴とする請求項１または２に記載の髄内釘（１）。
5. 前記直径Ｄに対する前記距離ｄが０．０００１Ｄ＜ｄ＜０．６０００Ｄの範囲であることを特徴とする請求項１から４のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
6. 前記直径Ｄに対する前記距離ｄが０．２Ｄ＜ｄ＜０．５Ｄの範囲であることを特徴とする請求項１から４のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
7. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）が、前記髄内釘（１）への２つの分離した入口を有するが、前記髄内釘（１）からの唯一の共通の出口を有することを特徴とする請求項１から６のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
8. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）の直径Ｄ_Ｂが、Ｄの最高でも０．６倍であることを特徴とする請求項１から７のいずれか１つに記載の髄内釘（１）
9. 前記互いに貫通しあうボアホール円筒（８）の直径Ｄ _Ｂ が、Ｄの最高でも０．５倍であることを特徴とする請求項１から７のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。
10. 前記中心長手方向軸（４）に対して同軸の長手方向ボアホール（１０）を有することを特徴とする請求項１から９のいずれか１つに記載の髄内釘（１）。

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