JP4322540B2 - フラーレンウイスカー及びフラーレンウイスカーの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラーレンウイスカー及びフラーレンウイスカーの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、フラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレンからなる新規なフラーレンウイスカー、及び前記フラーレンウイスカーを液−液界面析出法により効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、新しい構造を有する炭素として、フラーレンや炭素ナノチューブが注目されている。フラーレンは、炭素原子が60個以上集合して球状の閉殻構造を形成している分子であって、このフラーレンを形成する炭素原子同士は共有結合でつながれており、その結合は5員環と6員環の規則的な組合わせからなっている。
上記フラーレンの中で、代表的なものとして知られているC60フラーレンは、炭素原子の六員環20個を12個の五員環ができるように集めたサッカーボール状の形状を有している。このC60の六員環を30個に増やしたものがC70であり、さらに六員環を増やしていくことによって、より大きなC76、C78、C82からC240、さらにC540に至る大きな球形分子あるいは長いチューブを生成し得ることが知られている。
【0003】
このようなフラーレン類は、芳香族性を有する化合物としては異例に反応性が高く、六員環−六員環接合部の二重結合に様々な置換基を付加し得ることが知られており、そして、この付加する置換基の数は、反応条件によってある程度制御することができる。また、複数の置換基が導入される場合には、位置異性体が生成するが、その種類、生成比は置換基の種類によって決まる。
フラーレンに置換基が導入されると、分子の極性や溶解度が変化するのみではなく、sp2炭素がsp3に変換されることにより、フラーレン骨格の電子状態も大きく変化すると共に、導入する置換基の物性に応じた変化もみられる。これらにより、HOMO(最高被占分子軌道)やLUMO(最低空分子軌道)のエネルギーレベルが変化し、酸化還元電位や光励起活性酸素生成などに影響を及ぼすことが明らかにされている。したがって、フラーレンは、置換基導入などの化学修飾によって、応用範囲が格段に広がっている。
【0004】
具体的には、C60フラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン、特に酸素原子を含む有機基を側鎖に有するメタノフラーレンは、一般に分子サイズが1nm以下であって、有機溶剤に可溶であるが、これに電子線を照射すると有機溶剤に不溶になるので、この性質を利用して、前記メタノフラーレンを電子線レジストに利用することが試みられている(例えば特許文献1参照)。
また、本発明者らは、フラーレンをマロン酸で化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体が、電子授受反応に基づく抗酸化活性があることを明らかにしてきた。さらに、光励起されたフラーレン誘導体による活性酸素生成に基づく抗がん剤、HIVプロテアーゼなどの酵素阻害活性に基づく抗HIV薬、DNAとの結合能に基づく遺伝子操作試薬、光電子移動能に基づく太陽光電池や光電変換デバイスなどへの応用が報告されている。
【0005】
一方、フラーレンからなるウイスカーは知られているが(例えば、特許文献2参照)、このウイスカーは、それを構成するフラーレンが化学修飾されていないため、物性や電子的特性などが限定され、その応用範囲が制限されるのを免れない。例えばこのウイスカーの電気伝導性はウイスカーの太さでしか制御することができない。
本発明者らは、このフラーレンウイスカーの応用範囲を広げるべく、ウイスカー自体の化学修飾を試みたが、ウイスカー構造が崩壊しやすく、化学修飾は困難であることが分かった。また、たとえ、該ウイスカーを化学修飾できたとしても、導入される置換基の数を制御することは難しく、均一な化学修飾ウイスカーを再現性よく得ることは困難であると考えられる。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−143074号公報
【特許文献2】
特開2003−1600号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、新しい機能性材料として、種々の用途に利用が期待できる新規なフラーレンウイスカー、及び前記フラーレンウイスカーを効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、フラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体、特にマロン酸ジアルキルエステル等のマロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾して得られるフラーレン誘導体からなるウイスカーが、新しい機能性材料として種々の用途に利用が期待できること、そして、マロン酸ジアルキルエステル等のマロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体から、液−液界面析出法により、フラーレンウイスカーが効率よく得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)フラーレンを化学修飾して得られるフラーレン誘導体から構成されていることを特徴とするフラーレンウイスカー、
(2)フラーレン誘導体がメタノフラーレンである上記(1)のフラーレンウイスカー、
(3)マロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレンから構成されている上記(2)のフラーレンウイスカー、
(4)マロン酸誘導体がアルキル基の炭素数が1〜4のマロン酸ジアルキルエステルである上記(3)のフラーレンウイスカー、
(5)平均径が100nm〜1μmであり、かつ平均長さが1μm〜100μmである上記(1)〜(4)のいずれかのフラーレンウイスカー、
(6)フラーレン誘導体がC60フラーレンを化学修飾して得られたものである上記(1)〜(5)のいずれかのフラーレンウイスカー。
【0010】
(7)マロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾して得られるフラーレン誘導体を溶解してなる良溶媒溶液と、前記フラーレン誘導体の貧溶媒を接触させて、前記良溶媒溶液と前記貧溶媒との間に液−液界面を形成させ、この液−液界面においてフラーレン誘導体からなるウイスカーを析出させることを特徴とするフラーレンウイスカーの製造方法、
(8)マロン酸誘導体がアルキル基の炭素数が1〜4のマロン酸ジアルキルエステルであり、フラーレン誘導体がメタノフラーレンである上記(7)のフラーレンウイスカーの製造方法、
(9)メタノフラーレンの良溶媒が、炭化水素系溶媒である上記(8)のフラーレンウイスカーの製造方法、
(10)炭化水素系溶媒が、芳香族炭化水素化合物、脂肪族炭化水素化合物及び脂環式炭化水素化合物の中から選ばれる少なくとも一種である上記(9)のフラーレンウイスカーの製造方法、
(11)メタノフラーレンの貧溶媒が、アルコール系溶媒である上記(8)〜(10)のいずれかのフラーレンウイスカーの製造方法、
(12)アルコール系溶媒が、炭素数1〜6の脂肪族一価アルコールの中から選ばれる少なくとも一種である上記(11)のフラーレンウイスカーの製造方法、
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のフラーレンウイスカーは、フラーレンを化学修飾して得られるフラーレン誘導体から構成されている。このフラーレン誘導体の原料として用いられるフラーレンとしては特に制限はなく、C60、C70、C76、C78、C82、C240、C540など、いずれも用いることができるが、これらの中で、特にC60フラーレンが好適である。
前記C60フラーレンを化学修飾して得られるフラーレン誘導体としては例えば下記の構造式(I)で示されるメタノフラーレンが挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R1及びR2は有機基を示し、それらはたがいに同一であっても異なっていてもよく、また、たがいに結合して環構造を形成していてもよい。)
このメタノフラーレンは、構造式(I)に示されるように、フラーレンを構成する炭素原子の六員環と五員環のネットワークに炭素原子を架橋させ、その炭素原子に側鎖(R1,R2)が導入された構造を有するものである。なお、前記構造式(I)においては、フラーレンの炭素原子による架橋が1個所の場合について記しているが、この架橋は複数個所あってもよい。このメタノフラーレンは、従来公知の方法により、容易に製造することができる。
本発明においては、前記構造式(I)で表されるメタノフラーレンの中で、R1及びR2が、いずれも−COOR(ただし、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)であるものが好ましい。このようなメタノフラーレン等のフラーレン誘導体は、アルキル基の炭素数が1〜4のマロン酸ジアルキルエステル等のマロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾することにより製造することができる。この製造方法の詳細については後で説明する。
【0014】
前記メタノフラーレン等のフラーレン誘導体から構成される本発明のフラーレンウイスカーは、通常平均径が100nm〜1μmであり、かつ平均長さが1μm〜100μmである。上記平均径及び平均長さは、フラーレンの種類、該フラーレンに導入される置換基の種類や数などによって左右される。
【0015】
次に、本発明のフラーレンウイスカーの製造方法について、フラーレン誘導体としてメタノフラーレンを用いた場合を例として以下に説明する。
本発明の方法においては、アルキル基の炭素数が1〜4のマロン酸ジアルキルエステルでフラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液と、前記メタノフラーレンの貧溶媒を接触させて、前記良溶媒溶液と前記貧溶媒との間に液−液界面を形成させ、この液−液界面においてメタノフラーレンからなるウイスカーを析出させることにより、所望のフラーレンウイスカーを製造する。
本発明の方法において用いられる前記メタノフラーレンは、例えば「J.Chem.Soc.,Chem.Commum.」、第1727ページ(1994年)に報告されている方法に従って、アルキル基の炭素数が1〜4のマロン酸ジアルキルエステルでC60フラーレンなどのフラーレンを化学修飾することにより得ることができる。
【0016】
具体的には、フラーレンの良溶媒であるトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒中にC60フラーレンなどのフラーレンを溶解させ、次いでこれに上記フラーレンに対して、実質上等モルのブロモマロン酸ジアルキルエステルと過剰の水素化ナトリウムを加えたのち、100〜150℃程度に加熱して、30分〜3時間程度反応を行なう。この反応は、反応系に硫酸などの酸を加えることにより、停止させることができる。
反応終了液は、無水硫酸マグネシウムなどで乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどに付し、分離精製することにより例えば未反応のC60フラーレンと、C60[C(COOR)2](Rは炭素数1〜4のアルキル基である。)メタノフラーレンとを分離することができる。この反応式を、フラーレンとしてC60を用いた場合について、以下に示す。
【0017】
【化2】
【0018】
本発明においては、このようにして得られたC60[C(COOR)2]などのメタノフラーレンをその良溶媒に溶解して、溶液を調製する。ここで、該メタノフラーレンの良溶媒としては、炭化水素系溶媒を挙げることができる。この炭化水素系溶媒は、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素化合物、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物等の中から、適宜選択して用いることができる。この良溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、当該メタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液は、飽和溶液及び未飽和溶液のいずれであってもよいが、メタノフラーレンを析出させる能力に優れる点から、飽和溶液を用いることが好ましい。
【0019】
本発明においては、当該メタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液と、当該メタノフラーレンの貧溶媒を接触させて、前記良溶媒溶液と前記貧溶媒との間に液−液界面を形成させる。このような液−液界面を形成し得る貧溶媒としては、アルコール系溶媒を好ましく用いることができ、特に炭素数1〜6の脂肪族一価アルコールが好適である。具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、n−ヘキシルアルコールなどの中から、適宜選択して用いることができる。この貧溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
当該メタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液と前記貧溶媒を接触させて、液−液界面を形成させる方法としては特に制限はないが、当該メタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液に、該貧溶媒を静かに添加するなどの方法を用いることができる。この際、良溶媒と貧溶媒とが、少なくとも一部において、たがいに混ざり合う種類の溶媒系で構成される場合、特に有効である。
このような液−液界面は、貧溶媒の添加初期、メタノフラーレンの核の生成期、メタノフラーレンの析出期、及びメタノフラーレンの成長期のうち、少なくとも一種の過程で形成することができ、維持することができる。また、当該メタノフラーレンを溶解する良溶媒と、この良溶媒と密度が異なる貧溶媒を用いることにより、メタノフラーレン溶液と貧溶媒との間に液−液界面が形成されやすくなる。
これらを考慮すると、良溶媒がトルエンであり、貧溶媒がイソプロピルアルコールである組合わせを、好ましく挙げることができる。
【0021】
本発明においては、前記貧溶媒には、メタノフラーレンの析出を促進するための適当な助剤を、必要に応じ添加してもよい。また、メタノフラーレンの核生成を促進させるために、必要に応じ金属線を用いることができる。この金属線としては、例えば銅線、アルミニウム線、金線、ステンレス鋼線などを挙げることができる。
当該メタノフラーレンから構成されるウイスカーの析出には、出発物質であるメタノフラーレンの種類、純度や使用量、良溶媒及び貧溶媒の選定、良溶媒の使用量、貧溶媒の添加量及び添加方法、助剤の選定、核の生成、核の添加、核の成長、液−液界面の形成及び維持、温度など、種々の条件を設定することができる。
本発明においては、当該メタノフラーレンから構成されるウイスカーの析出を効果的に行うために、必要に応じ1〜30分間程度、室温にて超音波処理を施すことができる。
【0022】
また、結晶成長を促進させるために、金属触媒又は金属酸化物触媒を用いることができる。ここで、金属触媒としては、例えば銅、アルミニウム、鉄、金などを挙げることができ、金属酸化物触媒としては、例えばチタン酸鉛、ジルコン酸鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉛などを挙げることができる。
当該メタノフラーレンから構成されるウイスカーの析出は、室温で行うことができるが、好ましくは−20〜75℃の温度、より好ましくは10〜30℃の温度で行うのが有利である。
【0023】
本発明のフラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体から構成されるフラーレンウイスカーは、例えば以下に示す用途が考えられる。
(1)フラーレンに導入される置換基の種類と数を変えることにより、強度、絶縁性、電気伝導異方性を変化させることが可能で、用途に応じた新規な炭素繊維を開発することができる。例えば、従来のウイスカーでは、電気伝導性をウイスカーの太さでしか制御することができないが、置換基の種類に応じて、様々に変えることも可能と考えられる。
(2)フラーレンに結合している置換基を、さらに化学修飾することにより、新たな素材を開発することができる。例えば+電荷をもつメタノフラーレンから構成されるウイスカーは、−イオンのトラップ、あるいは貯蔵体となり、逆に−電荷をもつメタノフラーレンから構成されるウイスカーは、+イオンのトラップ、あるいは貯蔵体となり得ると考えられる。
(3)複数種のメタノフラーレン等のフラーレン誘導体から構成されるウイスカーは、新たな機能を発現する可能性がある。例えば、+電荷をもつメタノフラーレンと、−電荷をもつメタノフラーレンから構成されるウイスカーは、静電的相互作用から、交互に配列すると考えられ、このウイスカーは、+と−のチャージが交互に並び、極めて高い電気伝導性が期待できる。
(4)メタノフラーレン等のフラーレン誘導体がもつ機能をウイスカーにもたせることが可能であり、例えば抗酸化活性を有するウイスカーの開発が可能となる。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
(1)メタノフラーレンの製造
乾燥トルエン200ミリリットル中にC60フラーレン435mg(0.6ミリモル)を溶解させ、そこにブロモマロン酸ジエチル144mg(0.6ミリモル)及び水素化ナトリウム216mg(9ミリモル)を加えた。水素化ナトリウムは溶解せず、懸濁状態となる。次いで、130℃に加熱し、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(TLC)により反応の進行状況を確認しながら、約90分間経過後に、1モル/リットル硫酸水溶液8ミリリットルを加えて反応を停止させた。
次に、この反応終了液を無水硫酸マグネシウムで乾燥処理後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒トルエン:ヘキサン重量比=1:1)に付したところ、原料のC60フラーレン及び目的物のC60[C(COOC2H5)2]メタノフラーレンが順に溶出した。このメタノフラーレンの収量は110mgであった。
【0025】
(2)ウイスカーの作製
上記(1)で得られたC60[C(COOC2H5)2]メタノフラーレンをトルエンに溶解して、C60[C(COOC2H5)2]のトルエン飽和溶液を調製した。次いで、この溶液100重量部に、イソプロピルアルコール100重量部を静かに滴下して、トルエン溶液−イソプロピルアルコール界面を形成させ、室温(23℃)にて7日間静置することにより、C60[C(COOC2H5)2]メタノフラーレンから構成されるウイスカーを析出させた。
ろ過により、このウイスカーを分離し、透過型電子顕微鏡[TEM、日本電子株式会社製「JEM−4010」(400kV)]により観察した。
【0026】
図1に、前記ウイスカーのTEM写真図を示す。該ウイスカーは、平均径が約400nmで、平均長さは21μmであり、かつ蛇行形状を有していた。
図2に、該ウイスカーの高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)写真図を示す。正方形で囲んだ部分はハローパターンである。FFT(高速フーリエ変換)解析により、C60[C(COOC2H5)2]メタノフラーレンの分子間距離は、成長軸方向に0.96nmと求められ、C60フラーレン結晶に比べて約4%縮小していることが分かった。
【0027】
【発明の効果】
本発明のフラーレンウイスカーは、フラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体からなる新規なウイスカーであって、新しい機能性材料として、種々の用途に利用が期待できる。
また、本発明の方法によれば、マロン酸ジアルキルエステル等のマロン酸誘導体でフラーレンを化学修飾して得られるメタノフラーレン等のフラーレン誘導体から、液−液界面析出法により、フラーレンウイスカーを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたウイスカーの透過型電子顕微鏡写真図である。
【図2】実施例1で得られたウイスカーの高分解能透過型電子顕微鏡写真図とハローパターンである。
Claims (7)
- 平均径が100nm〜1μmであり、かつ平均長さが1μm〜100μmである請求項1に記載のフラーレンウイスカー。
- 請求項1に記載の構造式(I)で示されるメタノフラーレンを溶解してなる良溶媒溶液と、前記メタノフラーレンの貧溶媒を接触させて、前記良溶媒溶液と前記貧溶媒との間に液−液界面を形成させ、この液−液界面においてメタノフラーレンからなるウイスカーを析出させることを特徴とするフラーレンウイスカーの製造方法。
- メタノフラーレンの良溶媒が、炭化水素系溶媒である請求項3記載のフラーレンウイスカーの製造方法。
- 炭化水素系溶媒が、芳香族炭化水素化合物、脂肪族炭化水素化合物及び脂環式炭化水素化合物の中から選ばれる少なくとも一種である請求項4記載のフラーレンウイスカーの製造方法。
- メタノフラーレンの貧溶媒が、アルコール系溶媒である請求項3〜5のいずれかに記載のフラーレンウイスカーの製造方法。
- アルコール系溶媒が、炭素数1〜6の脂肪族一価アルコールの中から選ばれる少なくとも一種である請求項6記載のフラーレンウイスカーの製造方法。
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