JP4322517B2 - 新規血圧上昇抑制物質 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な血圧上昇抑制物質とこれを用いた健康食品、健康補助食品等の機能性食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超高齢化の進行と共に増える生活習慣病とその予備軍に対して、高血圧や動脈硬化を基盤とした疾病対策として、食による一次予防の認識の高まりは「健康志向型食品」市場を形成させ、健康食品・健康補助食品、栄養食品・栄養補助食品、特定保健用食品、成分調整食品等の業界で機能性を明確にした多様な食品形態(健康飲料、食パン、麺類、菓子等)で利用され、使用に供されている。
65歳以上人口が増え、50歳以上の成人の多くが高血圧になり、生活習慣病の主たる危険因子としての高血圧は、その成因別に該当する薬剤を服用することにより正常血圧内に維持されている。個人体質や生活習慣が異なるように、成因も様々で適切な薬に出会うまでが時間を要し、且つ終生服用することになる。
一方、生活習慣病に対する食による一次予防の認識の高まりにより、機能性成分や栄養成分を一般食品に添加した成分調整食品がここ数年の「健康志向型食品」市場をリードしている中で、深度300メートル程度までの海洋中層海水をベースにした海洋深層水関連の健康飲料や食品群が市場に出回っているが、その機能性の科学的検証なしに誇大宣伝とイメージ商品化が問題となっている。
また、海洋深層水関連の健康飲料や食品に関する特許出願も少なからず見られるが、ミネラル一般の供給源としての飲料に関するもの(例えば、特許文献1,特許文献2参照。)、ミネラル一般の供給源としての海水乾燥物に関するもの(例えば、特許文献3参照。)、生物機能賦活化能を有する機能水にかんするもの(例えば、特許文献4参照。)等に留まっているのが現状である。
【0003】
【特許文献1】
特開2001‐190255号公報
【特許文献2】
特開2001‐190256号公報
【特許文献3】
特開2001‐48528号公報
【特許文献4】
特開2001‐79566号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、人体への悪影響が全くないか或いや極めて少ない新規な血圧上昇抑制物質とこれを用いた健康食品、健康補助食品等の機能性食品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可溶性ケイ素化合物を含んでなることを特徴とする血圧上昇抑制物質に関するもので、就中、可溶性ケイ素化合物がメタケイ酸又はその塩類である上記血圧上昇抑制物質に関する。
【0006】
また、本発明は、可溶性ケイ素化合物を含有する海洋深層水又はその乾燥物からなる血圧上昇抑制物質に関する。
【0007】
更に、本発明は、可溶性ケイ素化合物を含有する海洋深層水又はその乾燥物と、メタケイ酸又はその塩類とを併用した血圧上昇抑制物質に関する。
【0008】
更にまた、本発明は、上記何れかの血圧上昇抑制物質を含有する健康食品、健康補助食品等の食品に関する。
【0009】
即ち、本発明者は、海洋深層水には未知の健康資源が含まれている可能性があると言うことを念頭において鋭意研究を重ねた結果、海洋深層水には血圧上昇抑制作用があることを新たに見出した。
海水中には当然Na、Ca、Mgなどの元素が含まれていることは周知の事実であり(海洋と生物,vol.23 no.4,343‐349,2001等)、また、Na、Mgが血圧と大きく関わると言うことも周知の事実である(橘 敏也著:病態生理、1〜23頁)。
しかし、本発明に関わる海洋深層水中の血圧上昇抑制作用物質はその様な既に知られているものではなく、他の新しい物質であることを本発明者は新たに見出した。
以下にその発明の経過と内容を説明する。
深層水と表層海水との異なる点として、「栄養塩」と呼ばれる窒素態塩、燐態塩、ケイ素態塩が深度と共に増加する(海洋と生物 vol.23,前述)点が挙げられる(因みに、Na、Mg、Caなどの塩は水深に関わりなく一定の濃度である。)。そのうちケイ素元素(Si)の人体含量分布は、大動脈に最も多く、加齢と共に減少し、動脈の正常部位よりも硬化部位で減少という25年前の文献報告(Biochemistry of Silicon and Related Problems,G. Bendz and I. Lindquist,eds.,Plenum Press, New York,1978,pp.281‐296.)はあるが、血圧上昇抑制効果の観点からケイ素化合物や海洋深層水について検証された例はこれまでになく、この点についての知見は何ら得られていない。
本発明は、深層水の深度が深くなるにつれケイ素濃度が高くなる事(角皆・乗木著:海洋化学、産業図書、1994、104〜106 頁)と上記論文の記載とを関連づけ、これまで誰も注目していなかったケイ素濃度に着目して研究を行い本発明を完成するに到った。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、血圧上昇抑制物質として用いられる可溶性ケイ素化合物としては、例えば、メタケイ酸又はその塩が挙げられ、メタケイ酸の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
本発明において、血圧上昇抑制物質として用いられる海洋深層水としては、どの地域の海洋深層水でも良く、地域に限定されるものではないが、ケイ酸態ケイ素(SiO2−Si)の含有量が、少なくとも25μM以上であることが望ましく、40μM以上のものがより好ましい。そのような海洋深層水として、通常、水深300m乃至それ以上の深層海水、好ましくは、水深600m乃至それ以上の深層海水が用いられる。
また、本発明で用いられる海洋深層水の乾燥物としては、上記した如き海洋深層水を乾燥して水を除去したものが挙げられるが、乾燥方法としては、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥、スプレードライヤー等の一般的な乾燥方法、或いは特開2001−48528号公報に記載の逆浸透膜処理し乾燥する方法等、何れの乾燥方法により乾燥したものでも良い。
【0011】
本発明の血圧上昇抑制物質は、例えば血圧上昇抑制作用を有する健康食品、健康補助食品、栄養食品、栄養補助食品等の食品として使用し得る。
【0012】
本発明に係る食品は、更に、他の食品類、食品添加物類、ビタミン類又は/及びミネラル類等を含んでいてもよい。
これら他の食品類、食品添加物類、ビタミン類、ミネラル類等に関しては、通常、医薬品、食品等の分野において用いられているもの、或いは将来的にその可能性があるものであれば何れのものでもよいが、本発明にかかる食品は、本来的に、血圧上昇抑制作用を有する健康食品、健康補助食品、栄養食品、栄養補助食品等の食品であることからして、その作用を阻害するような食品類、食品添加物類、ビタミン類、ミネラル類等の併用は当然のことながら好ましくはない。
本発明にかかる食品の形状は、液状、ゲル状、固形状、粉末状、顆粒状、錠剤型、カプセル、その他何れの形状のものでもよい。
【0013】
また、上記形状の如何に拘わらず既存の食品(飲食物)に、本発明の血圧上昇抑制物質を含有させた飲食物は全て本発明の食品に該当する。
そのような飲食物の例としては、例えば、清涼飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料などの飲料(これらの飲料を調製する為の濃縮原液及び/又は調整粉末を含む);アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓;そば、うどん、パン、餅、各種ご飯類、各種パスタ類、餃子の皮などの穀物の加工品;飴、キャンディー、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、クッキー、クラッカー、ゼリー、ジャムなどの菓子類;かまぼこ、はんぺん、ハム、ソーセージなどの水産、畜産加工食品;加工乳、チーズ、バターなどの乳製品;マーガリン、ラード、マヨネーズなどの油脂および油脂加工食品;醤油、ソース、味噌、ポン酢、昆布だし、スープの素などの調味料;各種惣菜類;漬物類;その他の各種形態の健康及び栄養(補助)食品などが挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明の血圧上昇抑制物質を含有する食品は、抗高血圧効果を有する健康(補助)食品、例えばサプリメント(特定保健用食品=トクホ)等としても、大いに期待されるものである。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0016】
実施例1
実験動物として自然発症高血圧ラット(SHR)を用いた。
また海洋深層水は、(1)海洋深層水中の深度と共に増加する可溶性ケイ素化合物と(2)可溶性ケイ素化合物メタケイ酸ナトリウム・9水和物(Na2SiO3・9H2O)の血圧上昇抑制作用、(3)海洋深層水とメタけい酸ナトリウム混和物の血圧上昇抑制作用増強効果を、水道水や表層海水と比較して証明する事とした。SHRを用いた血圧関連実験では、投与する飲料水又は飼料に1%NaClを含有させてラットの高血圧発症を確実にするのが慣例であるので海水は1/3に希釈して使用した。メタケイ酸ナトリウムは海水を希釈したために元々海洋深層水中に存在したケイ素の濃度を補充するために加えて、飲料水として投与する実験を行った。しかし、希釈した深層水を飲料水として摂取させると摂水量(NaCl摂取量)が不揃いになったので、海水は原水一定量を粉末飼料に混合し半固形にして以下の方法で再実施した。
7週齢の雄SHR25匹を5匹づつ以下の5群に分け、各群調製粉末飼料を40%水分で団子形にして1週間の予備飼育後、7週間試験食を自由摂取させた。1%食塩を餌から摂取させ水道水を自由給水した。その間摂食量及び体重を測定し、4日毎にラット尾静脈より血圧を測定した。血圧測定は午後4時から6時の間に行った。12時間絶食後屠殺し、血清、肝臓、および腎臓を採取し、重量及び諸分析を行った。本発明に用いた海水は沖縄県海洋深層水研究所で取水した久米島沖3km深度612メートルの海洋深層水と深度15メートルの表層海水である。
[群分けと給餌内容]
(1)対照群は粉末普通食(含0.37%NaCl)+0.63%NaCl、(2)Si200群は上記(1)食に Na2SiO3・9H2OをSiとして200ppmとなるように添加、
(3)深層水+Si200群は粉末普通食(含0.37%NaCl)+深層水23.6ml(含0.63%NaCl)+Si200ppm、
(4)深層水+Si50群は上記(3)食のSiを50ppmになるように減じて添加、
(5)表層水+Si200群は上記(3)食の深層水を表層海水に替えた。
[結果]
実施例1の結果を図1と表1及び表2に示した。
なお、図1中、−▲−は対照群、--□--は表層水+Si200、−■−は深層水+Si200、--○--はSi200、−●−は深層水+Si50の場合をそれぞれ示す。
また、☆はP<0.05vs対照群、★はP<0.005vs対照群、*はP<0.05vs表層水群、**はP<0.005vs表層水群をそれぞれ示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
図1並びに表1及び表2から明らかなように、表層海水以外の3試験食群は、10週齢以降有意に血圧上昇を抑制し、終了時の14週齢では、深層水+Si200ppm添加群とSi200ppm単独群では約10mmHgの有意(p<0.05)の同程度の血圧上昇抑制効果であったが、Si200ppmより少ない50ppm Siを深層海水に添加した群が最も効果的(p<0.005)に対照群の平均血圧から20mmHgも低下させた。この事から、添加するSiを適当量に選択することにより、海洋深層水とメタケイ酸ナトリウム混和物の血圧上昇抑制作用に増強効果があることが判った。この作用増強効果のために、Si添加量に適量が存在する事は後述する実施例2の大動脈平滑筋細胞培養実験によっても確認された。
上記結果を解析するに、まず、海水中に含まれるNa、Mgの血圧に及ぼす影響が考えられるが、海水中で表層水と深層水に於けるこれらの元素濃度は変わらない事が分かっているので(角皆・乗木著:海洋化学、産業図書、1994、68〜69頁; 海洋と生物 vol.28、344 頁)、表層水と深層水を比較すると明らかに深層水の血圧上昇抑制作用が強いことから、Na、Mg及びその他の元素の影響は除外される。また、図1並びに表1及び表2の結果から5%の有意差をもって深層水に血圧上昇抑制作用があることが判ったことから、血圧上昇抑制作用が深層水中に含まれる可溶性ケイ素化合物に起因するとの結論に至るが、深層水中のその他の化合物も関係しているかどうかについては現時点では明らかでない。
この様に簡単で不活性と考えられるケイ素化合物に血圧上昇抑制作用があることについての知見はこれまで他では得られておらず、極めて画期的なことである。
なお、ここで用いた海洋深層水は沖縄久米島近海のものであるが、地域としてはここに限らず、どの地域で得られた海洋深層水でも同じ結果が得られる筈である。
【0020】
実施例2
実施例1のケイ素化合物による血圧上昇抑制作用の機序について、ラット大動脈平滑筋細胞(smooth muscle cells,SMC)を用いて細胞培養実験で検討した。
ヒトの本態性高血圧においては総末梢血管抵抗の増加が血圧を上昇し、高血圧を発症すると考えられている。総末梢血管抵抗の増加の発現機序は、細胞内カルシウム(Ca)濃度が増加し、動脈平滑筋が過収縮および不完全弛緩を起こす結果として、動脈内腔が狭細化する事によると考えられている(Aoki K,et al.:Jpn.Heart J.27:467 1986)。細胞外Caが1mMに対して細胞内Caは1万分の1の濃度勾配である100nM以下に細胞膜酵素群の複雑な働きにより維持されなければならない。マグネシウム(Mg)は天然のCa拮抗剤として知られ、細胞外から細胞内へのCaの流入を阻害する(総説、Magnesium-Bulletin 8:338‐350 1986)。また、細胞内のMgは▲1▼Na-K ATPaseを活性化しNaを細胞外へ排出して細胞内Naを低下させ、▲2▼Mg感受性ATPaseやアデニル酸キナーゼ活性化によりNa-Kポンプを賦活化し細胞外へCaの排出を促進して細胞内Caを低下させる作用により、血管平滑筋を弛緩させ、血圧降下をもたらす(Fed, Proc.40:2672‐2679 1981)。実験的にMg欠乏食投与ラットの血圧が正常食ラット血圧より上昇した報告もある(Science 223:1315‐1317,1984)。Mgによる血管平滑筋の収縮抑制は直接作用ではなく、常にCaとの関わりの上に成り立っている。
そこで、海水中で表層水と深層水に於けるこれらの2元素濃度は変わらず、「栄養塩型」可溶性ケイ素化合物は深度と共に増えるので、実施例1に於ける可溶性ケイ素化合物の血圧上昇抑制作用は、i)Mgの細胞への取り込み利用促進によるのではないかと言うことと、ii)Mgの細胞への取り込み利用促進はSi量により影響されるのではないかと言うことの2点について以下に述べる細胞培養法で検証した。
ラットSMCを生理的血中Mg濃度である1mMと高濃度4mMの培地にそれぞれNa2SiO3・9H2OをSiとして0,5.6,56ppm(0,0.2,2mM)になるように共存させ、それぞれ3乃至5日間培養後、細胞を採取した。培地をよく洗浄除去後、細胞を0.1N硝酸で可溶化し、原子吸光法で細胞Mg含量を測定した。細胞培養は2重測定し、その平均値を表3にまとめた。
【0021】
【表3】
【0022】
表3から明らかなように、どの培養条件でもSi5.6ppm(0.2mM)共存下でMgの細胞内取り込みは効率がよく、生理的血中Mg濃度である1mMでは5日の長時間培養細胞内への利用が良かった。Mgの細胞への取り込みを促進するには、適当量のSi添加が必要である事がわかる。
この結果から、可溶性ケイ素化合物の血圧上昇抑制作用は、Mgの細胞への取り込み利用促進を介して起こっていると推定されるが、Si200ppm添加をした表層水と深層水に於けるMg濃度は同じであるにも拘わらず深層水+Si200ppmや深層水+Si50ppmでのみ血圧上昇抑制作用が認められたことから、▲1▼深層水中に存在している細胞膜から易吸収性Si化合物の化学形へ添加したメタケイ酸ナトリウムが平衡的に変換されるのか、▲2▼その他の深層水中に存在している未知の元素や物質が関係しているのか、現時点では不明である。
【0023】
実施例3 マグネシウム正常食及び欠乏食投与自然発症高血圧ラット(SHR)の血圧上昇に対する可溶性ケイ素の血圧上昇抑制効果
実施例1における可溶性ケイ素化合物メタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3・9H2O)によるSHRの血圧上昇抑制作用の機序は、実施例2で可溶性ケイ素化合物による「Mgの細胞への取り込み利用促進による」ことが、ラット大動脈平滑筋細胞を用いた細胞培養実験で示された。それ等の結果の確認・展開として本実施例では、マグネシウム正常食や欠乏食投与SHRの血圧上昇に対する可溶性ケイ素(Si)の血圧上昇抑制効果に関する動物飼育実験を、7匹1群の4群に下記表4の飼料(即ち、オリエンタル標準配合食及びマグネシウム欠乏食)を給餌し、それ以外は基本的に実施例1の方法に従って実施した。ラット尾静脈の血圧測定は週2回(3、4日毎)測定し、平均値を各週の測定値とした。
【0024】
【表4】
【0025】
[結果]
結果を図2と表5[食餌からのNaCl摂取量、摂食量、摂水量、体重(全期間のデータ及び統計)]、表6(収縮期血圧変化)及び表7(統計)に示した。
なお、図2中、--▲--はMg欠乏食群、−▲−はMg欠乏食+Si50ppm群、--●--はMg正常食群、−▲−はMg正常食+Si50ppm群の場合をそれぞれ示す。
また、図2及び表6中、☆はP<0.05vsMg正常食群、★はP<0.005vsMg正常食群、*はP<0.05vsMg欠乏食群、※はP<0.05vsMg欠乏食+Si50ppm群をそれぞれ示す。
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
【表7】
【0029】
表6,7及び図2から明らかなように、Mg欠乏食ではSi添加と無添加による血圧上昇の差は見られず、マグネシウム正常食投与の場合のみ50ppmSi添加により有意[p<0.001(14週のt検定)、表7参照。]に17.4mmHg血圧上昇抑制効果(図2及び表6参照。)が得られた。この結果は実施例1とほぼ同程度の血圧上昇抑制効果であり、その再確認となった。また、実施例2の大動脈平滑筋細胞を用いた細胞培養実験でSiの作用標的が「Mgの細胞への取り込み利用促進による」結果を動物個体で確認した事になる。
実施例3の結果は、実用的観点からは通常のMg摂取量においても適量のSiの存否はMgの効果的利用に影響する事を示唆している。
【0030】
【発明の効果】
可溶性無機ケイ素化合物の無害性については、例えばラット心臓内投与ケイ酸、31Si(OH)4(半減期156分のSi放射線同位元素)は血中では殆どが非蛋白結合の遊離型で、投与量の77±12%が4時間以内に尿中排泄され、特に脳内移行は殆どなかった報告(Am. J. Physiol. 251 (Endocrinol. Metab. 14):E670‐E673, 1986.)や、27匹マウス、3匹ウサギ、1匹サル、1匹イヌ等へNa2SiO3・9H2OをSiとして0.005%(50ppm)、0.1%、2.0%Si含有飲料水を4ケ月間投与により、脳、心、腎、肝、脾臓等の外観上や組織染色後顕微鏡下の変化が見られず、0.1%(1000ppm)Si含有飲料水を17ケ月間投与でもこれら諸臓器のSi含量に変化はなかった報告(Biochemistry of silicon and Related Problems,G. Bendz and I. Lindquist, eds., Plenum press, New York,1978 pp.255‐268)等から体外への迅速な排除が考えられる。
また腎透析患者の透析痴呆やアルツハイマー病発症の危険因子といわれている飲料水中アルミニウム(Al)濃度と痴呆との関連を3,777人の65歳以上老人について8年間の追跡調査をした最近の疫学研究(Am. J. Epidemiol. 152(1):59‐66, 2000 ; Molecular Medicine, 37(9):992‐998, 2000)で、飲料水中の高濃度(≧11.25 mg/L)Si(ケイ酸)はAl毒性の高い危険率に対して保護効果があると報告されている。
以上のことから、本発明の、可溶性ケイ素化合物(例えばメタケイ酸ナトリウム等)を含んでなる血圧上昇抑制物質、可溶性ケイ素化合物を含有する海洋深層水又はその乾燥物からなる血圧上昇抑制物質、或いは可溶性ケイ素化合物を含有する海洋深層水又はその乾燥物と可溶性ケイ素化合物(例えばメタケイ酸ナトリウム等)の両方を含んでなる血圧上昇抑制物質は、何れも人体に無害であると考えて差し支えないであろう。従って、これら血圧上昇抑制物質の直接摂取或いは添加飲料水(例えば、可溶性ケイ素化合物がケイ素として5mg/L含有されている飲料水等)や添加食品の摂取により抗高血圧効果が大いに期待出来ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られた、収縮期血圧変化を示すグラフで、横軸は飼育期間(週齢)、縦軸は血圧(mmHg)をそれぞれ示している。
【図2】図2は、実施例3で得られた、収縮期血圧変化を示すグラフで、横軸は飼育期間(週齢)、縦軸は血圧(mmHg)をそれぞれ示している。
Claims (2)
- メタケイ酸又はその塩類を有効成分として含んでなる、血圧上昇抑制剤(ただし、メタケイ酸又はその塩類と、深度600メートル未満の海水とを含むものを除く)。
- メタケイ酸又はその塩類と、水深600m乃至それ以上の深層海水又はその乾燥物とを、含んでなる、請求項1に記載の血圧上昇抑制剤。
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