JP4322362B2 - 液体洗剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体洗剤に関する
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般家庭において衣類の洗浄には弱アルカリ性の粉末洗剤を用いて洗濯されるが、衿や袖口汚れ等の頑固な皮脂汚れに対しては汚れに直接塗布できる点から液体洗剤が有効である。しかしながら、このような洗浄方法を行ってもまだ十分満足できる洗浄力が得られないため、液体洗剤に酵素や溶剤を配合する試みがなされている。特開平8−157871号公報にはプロテアーゼを含有する液体洗浄剤組成物が、また、特開平9−169994号公報には特定のポリオキシアルキレン型の溶剤を含有する液体洗浄剤が高い洗浄効果を有することが開示されているが、更に洗浄効果を高めることが望まれている。また、欧州特許公開0385256号公報には、アルキレンオキシ基が付加したグリセリルエーテルが開示されているが、頑固な皮脂汚れに対しては十分な洗浄力を示さない。
【0003】
従って本発明の目的は、衿や袖口汚れ等の頑固な皮脂汚れに対して高い洗浄効果を有する液体洗剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)界面活性剤1〜50重量%、(b)下記一般式(I)で表される化合物0.5〜20重量%、(c)酵素及び(d)ホウ素化合物を含有する液体洗剤を提供する。
【0005】
R−OCH2CH(OH)CH2OH (I)
〔式中は炭素数1〜16の炭化水素基である。〕
【0006】
【発明の実施の形態】
(a)成分
本発明で用いる界面活性剤(a)としては、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤の1種以上を使用することができる。陽イオン界面活性剤としては、4級アンモニウム塩類等が、非イオン界面活性剤としてはポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、アルキルグルコシド、グルコースアミド等が、陰イオン界面活性剤としてはアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩若しくはそのエステル等が、両性界面活性剤としてはアミンオキシド、スルホベタイン、カルボベタイン等が挙げられる。
【0007】
本発明では洗浄性能の点で特に下記(i)〜(v)の界面活性剤の1種以上が好ましい。
(i)下記一般式(II)で示されるポリオキシアルキレン型非イオン界面活性剤
R1−X−[(PO)m(EO)n−H]p (II)
〔式中、R1は炭素数8〜20、好ましくは10〜18の炭化水素基、好ましくは直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、Xは酸素原子又は窒素原子であり、POはプロピレンオキシド、EOはエチレンオキシドである。ここで、EOはランダム付加体又はブロック付加体の何れでもよく、またEOとPOの順序は問わないが、ブロック付加体が好ましい。m、nはそれぞれ独立に0〜20の数であり、n+m=3〜25、好ましくは5〜20である。また、Xが酸素原子の場合はp=1であり、Xが窒素原子の場合はp=2である。〕
(ii)炭素数8〜18、好ましくは10〜16、平均付加モル数1〜8、好ましくは1〜6のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩
(iii) 炭素数8〜16、好ましくは8〜14のアルキル基を有し、グルコースの平均重合度が1〜3、好ましくは1〜2のアルキルポリグルコシド
(iv)炭素数8〜20、好ましくは8〜18のアルキル基、又はアルケニル基を少なくとも1つ有する4級アンモニウム塩
(v)炭素数8〜20、好ましくは8〜18のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有するカルボベタイン、スルホベタイン又はアミンオキシド。
【0008】
本発明では界面活性剤(a)の配合量は、液体洗剤中1〜50重量%、好ましくは5〜45重量%が洗浄効果の点から望ましい。
(b)成分
本発明で用いる(b)成分は一般式(I)の化合物である。
【0009】
R−OCH2CH(OH)CH2OH (I)
〔式中Rは炭素数1〜16、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜10の炭化水素基である。〕
特に、塗布洗浄における衿、袖口との皮脂汚れに対する洗浄性能の点から、一般式(I)中のRは炭素数4〜10、更に7〜9、特に8のアルキル基が好ましい。
【0010】
本発明ではこのような(b)成分を液体洗剤中に0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、特には1〜15重量%配合することが洗浄性能の点から望ましい。
【0011】
一般式(I)の化合物はR−OHとエピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物をBF3等の酸触媒を用いて反応させて製造する方法が一般的である。しかしながら、アルコールとエポキシ化合物の反応はエポキシ化合物の1位と2位にランダムに反応し、更に多付加体も生成する。このため、1位にアルコールが付加した一般式(I)の化合物以外に、異性体として2−アルコキシ−1,3プロパンジオールや、グリセリル基が多数付加した多量体が存在する。本発明では上記異性体や多量体が混入した化合物を使用しても差し支えないが、洗浄性能向上の点から、異性体及び多量体を低減化させるために一般式(III) のアルミニウム触媒を用いて一般式(I)の化合物を製造することが好ましい。
【0012】
Al(OSO2−R2)l(OR3)m(OR4)n (III)
〔式中、R2は置換基を有していてもよい炭化水素を示し、R3及びR4は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。lは1〜3、m及びnはそれぞれ0〜2の数であって、l+m+n=3である。〕
該触媒の製法としては例えばトリアルキルアルミニウム、トリアルコキシアルミニウム又はトリハロゲン化アルミニウム等にスルホン酸類等を反応させて、該アルミニウム化合物のアルキル基、アルコキシル基又はハロゲン基を該スルホン酸塩類で一部又は全部置換した後、残りのアルキル基、アルコキシル基又はハロゲン基を更に適当なアルコール類又はフェノール類で置換することにより製造することができる。該置換反応は、炭化水素やアルコール等の溶媒中で加熱混合することにより行われる。
【0013】
本発明で上記アルミニウム触媒を使用する場合は、エピハロヒドリンやグリシドール等のエポキシ化合物をR−OHに対して0.5〜1.5モル当量、好ましくは1.0〜1.2モル当量使用し、一般式(III) のアルミニウム触媒をR−OHに対して0.001〜0.1モル当量、好ましくは0.01〜0.05モル当量用い、反応温度を10〜120℃、好ましくは70〜110℃で1〜5時間反応することが良好である。
(c)成分
(c)成分の酵素としては、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ等が挙げられるが、中でもセルラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上が好ましい。好適なセルラーゼとしては、細菌セルラーゼと真菌セルラーゼを挙げることができ、特に5〜9.5に至適pHを有するものが好ましい。該セルラーゼとしては、特開昭63−264699号公報4頁右上欄13行目〜5頁右下欄12行目に記載のものを使用することができ、特に好アルカリ性微生物バチルス・エスピー KSM−635(FERM BP−1485)又はその変異株から生産されるアルカリセルラーゼを使用することが好ましい。また、特開平8−53699号公報第5欄3行目〜21行目のセルラーゼを使用することもできる。より具体的には、KAC500(花王社製)、セルザイム及びケアザイム(いずれもノボ・ノルディスク社製)等が挙げられる。また、好適なプロテアーゼとしては、至適pHが8以上、好ましくは8〜11のアルカリプロテアーゼである。このようなプロテアーゼとしてはアルカラーゼ、サビナーゼ(いずれもノボ・ノルディスク社製、登録商標)、プラフェクト(ジェネンコ社製、登録商標)、KAP4.3G、KAP11.1G(いずれも花王社製、登録商標)等が挙げられるが、特にKAP4.3G、KAP11.1Gが優れている。
【0014】
これら酵素(c)の配合量は、洗浄効果の点で液体洗剤中に酵素原末として好ましくは0.005〜3重量%、より好ましくは0.01〜2.0重量%である。
(d)成分
(d)成分のホウ素化合物としては、ホウ砂、オルトホウ酸、メタホウ酸、ピロホウ酸、4ホウ酸、5ホウ酸、フェニルボロン酸、ブタンボロン酸、p−ブロモフェニルボロン及びこれらのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩類が挙げられるが、好ましくはホウ砂、オルトホウ酸、メタホウ酸及びピロホウ酸から選ばれる1種以上である。(d)成分は、本発明の液体洗剤中、好ましくは0.01〜2重量%、特に0.05〜1重量%配合されることが、洗浄効果及び酵素の貯蔵安定性の点から好ましい。
【0015】
本発明では上記必須成分以外にアルカリ剤や金属封鎖剤を配合しても差し支えない。
【0016】
アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の珪酸塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができ、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンから選ばれる1種以上が好ましい。アルカリ剤は、液体洗剤中に洗浄効果の点から0〜20重量%、好ましくは0.1〜20重量%配合される。
【0017】
また、金属封鎖剤としては(1)フィチン酸等のリン酸系化合物又はその塩、(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸又はそれらの塩、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸又はその塩、(3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸又はその塩、(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸又はその塩、(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸又はその塩、(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキメチル酒石酸等の有機酸又はその塩、(7)アミノポリ(メチレンホスホン酸)、ポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)及びこれらの塩、(8)アルキルグリシン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸及びこれらの塩等が挙げられる。これらの中で、上記(2)、(5)、(6)及び(8)から選ばれる1種以上が好ましい。このような金属封鎖剤の配合量は、洗浄性能の点から0〜30重量%、好ましくは0.01〜15重量%が望ましい。
【0018】
その他成分として、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール等を配合してもよい。また、香料、色素、防腐・防黴剤、増粘剤等を所望により添加しても良い。
【0019】
本発明の液体洗剤は、衣料用洗剤の他に、食器用洗剤、住居用洗剤としても用いることができる。pHは用途により異なるが、衣料用洗剤の場合8〜11が好ましく、食器用洗剤の場合6〜9が好ましく、住居用洗剤の場合7〜11が好ましい。また、本発明の液体洗剤は水を20〜95重量%、特に25〜90重量%含有するものが好ましい。
【0020】
【実施例】
合成例1(b−1の合成)
イソアミルアルコール158g(1.78mol)、アルミニウムトリイソプロポキシド3.61g(17.7mmol)及びp−フェノールスルホン酸9.40g(5.4mol)を1Lフラスコに入れ、攪拌しながら90℃まで昇温した。更に減圧下(200mmHg)1時間攪拌後、100℃まで昇温し、エピクロルヒドリン170gを30分で滴下し、更に3時間攪拌した。この反応混合物を50℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液800mlを1時間で滴下し、更に3時間攪拌後、400mlの水を加え、分層させた。水層を除去した後、油層を500mlの水で2回洗浄し、粗反応物を280g得た。次に粗反応物140g、水140g、ラウリン酸7.64g及び水酸化カリウム2.14gを2Lオートクレーブに入れ、攪拌しながら157℃まで昇温した。5時間攪拌後、室温まで冷却し、反応物を500mlの酢酸エチルで抽出し、更に300mlの水で2回洗浄し、酢酸エチルを減圧留去したところ、(b)成分に相当する、一般式(I)中のRがイソアミル基の化合物(b−1)を得た。
合成例2(b−2の合成)
合成例1においてイソアミルアルコールに代えて、n−オクタノール1.78molを用いた以外は同様の方法で製造したところ、(b)成分に相当する、一般式(I)中のRがn−オクチル基の化合物(b−2)を得た。
合成例3(b−3の合成)
イソアミルアルコール158g(1.78mol)、BF3エチルエーテル錯体4.9g(34.9mmol)を1Lフラスコに入れ、攪拌しながらエピクロルヒドリン170gを30分で滴下し、更に3時間攪拌した。この反応混合物を50℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液800mlを1時間で滴下し、更に3時間攪拌後、400mlの水を加え、分層させた。水層を除去した後、油層を500mlの水で2回洗浄し、粗反応物を272g得た。次に粗反応物140g、水140g、ラウリン酸7.64g及び水酸化カリウム2.14gを2Lオートクレーブに入れ、攪拌しながら157℃まで昇温した。5時間攪拌後、室温まで冷却し、反応物を500mlの酢酸エチルで抽出し、更に300mlの水で2回洗浄し、酢酸エチルを減圧留去したところ、(b)成分に相当する、一般式(I)中のRがイソアミル基の化合物(b−3)を得た。
実施例
<配合成分>
・RPOEO;炭素数10〜14の1級アルコールにEO5モル、PO2モル、EO3モルをこの順でブロック状に付加させたもの
・LAS;炭素数12のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・AG12;炭素数12のアルキルポリグルコシド(平均重合度1.5)
・MAQAC;炭素数16,18(含有比3:7)のアルキル基を有する、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウムクロリド
・LDAO;ラウリルジメチルアミンオキシド
・REO;炭素数12、13の2級アルコールにEO7モル付加したもの
・SLES;ポリオキシエチレン(POE=2.5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム
・KAP4.3G;プロテアーゼ(花王株社製)
・KAC500;セルラーゼ(花王株社製)
・TEGPhE;トリエチレングルコールモノフェニルエーテル
・MA/DIB;マレイン酸/ジイソブテン(50/50モル比)共重合体、分子量1万
・pTS;p−トルエンスルホン酸ナトリウム。
<衣料用液体洗剤の調製>
上記化合物及び合成例の各化合物を用いて表1の液体洗剤を作製し、下記に示す脱脂率により洗浄力を評価した。結果を表1に示す。
<脱脂率の測定法>
トリオレイン200gを80Lのパークレンに溶解し、金巾#2003布を浸漬して付着させた後、パークレンを乾燥除去し、人工汚染布とした。この人工汚染布を5×5cmに裁断し、人工汚染布1枚当たり0.2gの液体洗剤を2×2cmの面積に塗布し、5枚1組をターゴトメータにて100rpmで洗浄した(水温20℃、硬度4°DH、洗浄時間10分、5分間水道水で流水すすぎ)。洗浄後、液体洗剤を塗布した部分を2×2cmに正確に切り取り、5枚1組をクロロホルムを溶媒として12時間ソックスレー抽出を行った。また、未洗浄の人工汚染布も同様の操作で抽出した。抽出液のクロロホルムをエバポレータで減圧留去し、得られた抽出トリオレインの量を求め、次式により脱脂率を測定した。
【0021】
【数1】
【0022】
【表1】
Claims (4)
- (a)界面活性剤1〜50重量%、(b)下記一般式(I)で表される化合物0.5〜20重量%、(c)酵素及び(d)ホウ素化合物を含有する液体洗剤であって、(b)下記一般式(I)で表される化合物が、R−OH〔Rは一般式(I)と同じ〕とエポキシ化合物とを、下記一般式(III)のアルミニウム触媒を用いて反応させて製造されたものである、液体洗剤。
R−OCH2CH(OH)CH2OH (I)
〔式中Rは炭素数1〜16の炭化水素基である。〕
Al(OSO 2 −R 2 ) l (OR 3 ) m (OR 4 ) n (III)
〔式中、R 2 は置換基を有していてもよい炭化水素を示し、R 3 及びR 4 は同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。lは1〜3、m及びnはそれぞれ0〜2の数であって、l+m+n=3である。〕 - 一般式(I)中のRが炭素数8のアルキル基である請求項1記載の液体洗剤。
- 酵素(c)が、セルラーゼ及びプロテアーゼから選ばれる1種以上の酵素である請求項1又は2記載の液体洗剤。
- 塗布洗浄に用いられる請求項1〜3の何れか1項記載の液体洗剤。
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