実施形態の光記録媒体に情報を記録する光記録装置は、光ビームを導くために予め形成された(プリフォーマット)ガイド部およびこのガイド部の位置を特定するためのアドレス部を有する光記録媒体にプリフォーマット後記録情報の記録をおこなう装置であって、このガイド部に沿って、所定のフォーマットに基づいた再生可能な情報である有意な情報を記録するとともに、少なくともこのガイド部またはアドレス部のいずれか一方の一部、またはその両方の一部を破壊して、破壊領域を形成する機能を有する光記録装置である。ここで、ガイド部は、連続した溝部であっても良いし、離散的に配されたピットであっても良いものである。また、ガイド部の位置を特定するためのアドレス部は、均一形状のガイド部にガイド部の所定の位置を表す形状変化部を有するものであっても良いし、ガイド部自体の形状を変化させることによってガイド部とアドレス部とを共用するものであっても良いものである。
ここで有意な情報とは、その光記録媒体に記録されることが本来予定されているフォーマットにしたがった利用価値のある情報を言うものであり、その光記録媒体からの情報を再生する光再生装置で再生が可能な情報を言うものである。例えば、以下に具体的な実施形態として説明するDVD−Rの場合については、DVD−Rを記録するための媒体に対するDVD−Rフォーマットに従った情報をいうものであり、このような場合には、再生はこれに対応したLSI(集積回路)を用いて再生が可能とされている。
このガイド部または/およびアドレス部の一部の破壊は、レーザ光の照射される領域の温度を上昇させ、光記録媒体のガイド部またはアドレス部の少なくともいずれかを物理的に熱破壊することによって達成されるものである。このために実施形態の光記録装置は、プリフォーマット後記録情報を記録する記録領域、および、破壊領域の各々を光記録媒体上の所定の位置として特定するために、これらの各々の領域の位置情報を検出する位置情報検出手段を備えている。この位置検出手段は、アドレス部に書き込まれたアドレス情報検出回路を主要部として構成されている。
また、実施形態の光記録装置は、この位置情報に基づき光ビームの配置を制御するサーボ手段を備えている。このサーボ手段は、フォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号、スライド送りモータ制御信号、スピンドルモータ制御信号の各々を検出し、位相補償およびゲイン定数の積算等の演算をおこなう演算器、さらには、これらの演算された信号を供給される、フォーカスアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ、スライド送りモータ、スピンドルモータのアクチュエータ類から構成されている。そして、このサーボ手段が有機的に動作して、この位置情報に基づき光ビームの光記録媒体上における配置を制御する。
また、実施形態の光記録装置は、光ビームの強度を調整するレーザ光強度調整手段を備えている。このレーザ光強度調整手段は、レーザ光源、このレーザ光源に印加される電流の設定回路、この電流を流すか流さないかを制御する回路から構成されている。そして、レーザ光強度調整手段によって、記録領域に所定のフォーマットに基づく情報を記録し、破壊領域を熱破壊するように光ビームの強度を調整する。
ここで、破壊領域のみを熱破壊をする方法としては、レーザ光源からのレーザ光の強度を上げて、ガイド部またはアドレス部の破壊をするための温度上昇を生じさせるようにしても良く、また、レーザ光の強度を上げることなく光記録媒体と光ビームとの相対速度を低くして、ガイド部またはアドレス部の破壊をするための温度上昇を生じさせるようにしても良く、さらに、レーザ光の強度を上げるとともに光記録媒体と光ビームとの相対速度を低くして熱破壊が生じるようにしても良いものである。
このように、少なくともこのガイド部またはアドレス部のいずれかのプリフォーマット情報が破壊された領域に、所定のプリフォーマット後記録情報とは異なるフォーマットを有するプリフォーマット後記録情報(有意なプリフォーマット後記録情報ではない情報)を記録する場合、または、プリフォーマット後記録情報を記録することがない場合には、プリフォーマット後記録情報を読出すことができないのみならず、プリフォーマット情報も読出すことができないこととなる。
ここで、このガイド部またはアドレス部のいずれかのプリフォーマット情報を破壊するに際しては、通常の記録再生をおこなう場合と同様に、光ビームをガイド部に沿って導けるように作用する程度に破壊することによって、所望の領域のみを破壊することができる。さらには、光ビームによってガイド部またはアドレス部をより広範囲に破壊して、この破壊されたアドレス部またはガイド部からの信号によっては、上述したサーボ信号を得ることができなくすることができる。この場合には、破壊の効果によって、もはや、ガイド部からは上述したフォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライド送りサーボ、スピンドルサーボ等のサーボ系の動作を維持するサーボ情報が得られないこととなるので、この破壊されたガイド部以外のガイド部からの情報を頼りに、破壊すべきではない領域の情報は破壊することなく、破壊すべき部分のみを特定するために必要とされるサーボのための信号を生成して、フォーカスサーボ、トラッキングサーボ、スライド送りサーボ、スピンドルサーボ等のサーボ系の動作を維持する手段を設けた記録装置によって、このような形態で長い区間に渡りガイド部を破壊することが可能とされる。
また、トラッキングサーボの作用によって、光ビームが、例えば、グルーブをトレースできない程度の長い区間に渡りガイド部として機能するグルーブが破壊される場合においては、破壊された領域におけるプリフォーマット後記録情報の如何に関わらず、トラッキングサーボが適切に作用することがないので、その領域からの情報の再生はできないこととなる。したがって、このような長い区間に渡りグルーブを破壊することによっても、DVDコピーを防止する対策とすることができる。
このような破壊されたプリフォーマット領域を設け、または、このような破壊されたプリフォーマット領域を設けることに併せて有意なプリフォーマット後記録情報ではない情報を記録することによって、1対1のデジタルデータのコピーの機能を有するソフトをインストールされたPCを介してのプリフォーマット後記録情報のDVDコピーの防止が図られる。一方、このように一部が破壊された光記録媒体からの情報を読出す機能を有する専用機を用いれば、プリフォーマット情報が破壊された領域を回避しながらプリフォーマット後記録情報を読出すことができるので、再生の障害となることはない。
ここで、ガイド部またはアドレス部のいずれかの破壊は、プリフォーマット後記録情報を光記録媒体に記録した後に破壊しても良く、プリフォーマット情報が、ガイド部またはアドレス部としての機能を有さないように最初から破壊されている部分を含むものであっても良い。そして、プリフォーマット後記録情報を光記録媒体に記録した後に破壊する場合としては、光記録装置が自らプリフォーマット情報を破壊しながらプリフォーマット後記録情報を書き込むようにしても良く、また、必要とされる所定領域にプリフォーマット後記録情報を書き込み、その後に、部分的にプリフォーマット情報を破壊するようにしても良い。また、プリフォーマット情報が、ガイド部またはアドレス部としての機能を有さないように最初から破壊されている部分を含む場合としては、部分的にプリフォーマット情報が予め破壊された光記録媒体の提供を受けて、記録装置が自らプリフォーマット情報を破壊することはないものとしても良く、さらに、記録装置が最初に部分的にプリフォーマット情報を破壊し、その後、プリフォーマット情報が破壊された領域以外の領域にプリフォーマット後記録情報を記録してDVDコピー防止機能を有するものであっても良い。
実施形態の光記録媒体の記録方法は、光ビームを導くために予め形成されたガイド部およびこのガイド部の位置を特定するためのアドレス部を有する光記録媒体の記録方法である。この記録方法は、ガイド部に沿った所定のフォーマットに基づいた再生可能な情報である有意な情報を記録する領域、および、光ビームによって検出ができないように破壊されるガイド部または/およびアドレス部の一部の領域である破壊領域の位置情報を検出する。そして、この位置情報に基づき光ビームを光記録媒体上の所望の位置に配置するように制御し、記録領域に光ビームを出射して、所定のフォーマットに基づく情報を記録する。また、破壊領域に光ビームを出射して、この破壊領域を熱破壊する。ここで、情報を記録するか、熱破壊をするかは、光ビームが光記録媒体の集光点に与える温度上昇の大きさによって、両者のいずれかが選択される。このような記録方法を採用して記録がなされた光記録媒体から情報を再生する場合には、破壊領域が予め解っている場合には、この領域を避けた再生(ノンリニア再生)が可能であるが、例えば、内周から外周へ連続して再生(リニア再生)をおこなって1対1に1対1のデジタルデータのコピーをおこなうことはできない。
実施形態の光記録媒体は、光ビームを導くために予め形成されたガイド部およびこのガイド部の位置を特定するためのアドレス部を有する光記録媒体であって、有意な情報を記録するための光ビームを導くガイド部およびアドレス部が配される領域と、ガイド部またはアドレス部のいずれかの一部、またはその両方の一部が欠損された領域と、を備える。
このような光記録媒体は、未だ有意な情報が記録されていない未記録光記録媒体として製造、拡販できる。例えば、本実施形態の記録装置を用いて、破壊領域を熱破壊し、記録領域にはいかなる情報も記録しないことによって、このような未記録光記録媒体を製造することができる。また、通常のマスタリング、スタンピングのプロセスを用いて、ガイド部およびアドレス部が配される領域と、ガイド部またはアドレス部のいずれか、またはその両方が欠損された領域と、を備える光記録媒体を製造して、拡販しても良いものである。このような光記録媒体を拡販すれば、このような光記録媒体を購入した者は、レーザの出射パワーの小さい光記録装置を用いて、DVDコピーを防止できるプリフォーマット後記録情報を記録した光媒体を製造することができる。
また、このような光記録媒体は、有意な情報が既に記録された記録済み光記録媒体として製造、拡販できる。例えば、本実施形態の記録装置を用いて、破壊領域を熱破壊し、一方、記録領域には、所定のフォーマットに基づいた再生可能な情報である有意な情報を記録することによって、このような記録済み光記録媒体を製造することができる。このような光記録媒体は1対1のデジタルデータのコピーができないので、広く拡販した場合にも著作権者を保護することができる。
以下に具体的により詳細に実施形態について説明する。
「第1実施形態」
以下、光記録媒体の一実施形態がDVD−R(以下、記録媒体であることを明確にするために、媒体を指す場合には、DVD−R記録媒体の用語を用いる)である場合において、光記録媒体にプリフォーマット後記録情報を記録する記録装置の一実施形態として、このDVD−R記録媒体への記録をおこなうDVD−R記録装置、および、DVD−R記録媒体への記録方法、さらには、1対1のDVDコピーの防止機能を有するDVD−R記録媒体について図面に沿って説明する。
(DVD−R記録媒体の説明)
図1は、従来から知られている追記型のDVD記録媒体である、DVD−R記録媒体のプリフォーマットを模式的に示す図である。DVD−R記録媒体のプリフォーマットは、DVD−ROM媒体との親和性、再生互換性を有するように構成されているものである。以下に、図1を参照して、このプリフォーマットを始めとして、DVD−R記録媒体について簡単に説明する。
図1は、直径12cmの円盤形状のDVD−R記録媒体の記録面の一部を拡大したものであり、記録面は、波長635nmまたは波長650nmのレーザ光で記録が可能な有機色素の記録膜を有している。DVD−R記録媒体の基板の材質は、ポリカーボネートであり、射出成型により形成された略全面に渡るスパイラル状の1本の連続したグルーブ(案内溝)41を有する。また、隣接するグルーブの間の部分であるランド部43を有する。本実施形態におけるグルーブ41は、光ビームを導くために予め形成されたガイド部の一実施形態である。
グルーブ41の幅と深さとは、例えば、差動位相検出方式、プッシュプル方式によってラジアル方向(DVD−R記録媒体の半径方向)へのサーボであるトラッキングサーボを可能とするトラッキング誤差信号を検出するために適したものとされ、さらに、プリフォーマット後記録情報を良好なる特性を有して記録することができるものとされている。また、グルーブ41は、このDVD−R記録媒体の回転数と記録データのクロック周波数を制御するための情報として用いるために単一周期で略正弦波状に半径方向に僅かに蛇行(ウォブル)させたものとして形成されている。
また、各々のグルーブ41の間のランド部43には、アドレス情報を記録するピットであるアドレスピット42として、深さがグルーブ41と同一であって、プリフォーマット後記録情報に混入して検出されることがないように幅の狭い溝が形成されている。各々のアドレスピット42は、隣接するグルーブ41を連結し、半径方向へ延びる溝として形成されている。このアドレスピット42は、「1」または「0」の2値情報に対応して形成されており、「1」に対応する位置にはアドレスピット42が有り、「0」に対応する位置にはアドレスピットは無いものとされている。そして、このグルーブ41とアドレスピット42とランド部43とを覆うものとして上述したように有機色素材料からなる記録膜が形成されている。本実施形態におけるアドレスピット42は、ガイド部の位置を特定するためのアドレス部の一実施形態である。
フォーカスサーボの作用によって記録面に略円形のスポットとして焦点を結んだ光ビーム44は図示するように集光されるとともに、トラッキングサーボの作用によって図示するようにグルーブ41の略中心部に配置され、スピンドルサーボの作用によってDVD−R記録媒体をスピンドルモータ(図4を参照)の発生する回転力で回転させ、光ビーム44とDVD−R記録媒体との相対位置をラジアル方向と直交するタンジェンシャル方向に移動させる。
図2は、グルーブ41に沿って光ビーム44が移動したときに、フォトディテクタ50a(図5を参照)からの差信号として得られるプッシュプル信号を示すものである。具体的には、内周側のアドレスピット42によるアドレスパルスと、これとは逆の極性を有する外周側のアドレスピット42によるアドレスパルスとが得られる。したがって、これらのいずれか一方に基づいて光ビーム44がどの位置に配されているかを表すアドレス情報を検出することができるものとなる。アドレス情報の検出については後述する。
このようなアドレスの配置においては、2値情報の「0」が連続すると、アドレスピット42が記録されない状態が連続し、「0」のあるべき位置の検出が困難となることが予想されるので、アドレスピット42として記録すべきアドレス情報を予めバイフェイズ変調して「0」は、最大でも2個しか連続しないものとしている。
上述の形態を有するアドレスピット42は、光ビーム44の進行方向に対しては、上述したように極めて幅が狭いものとされているので、フォトディテクタ50aからの和信号として得られるプリフォーマット後記録情報に影響を与えるものではない。このようにして、プリフォーマット情報がプリフォーマット後記録情報の検出に悪影響を与えないようにされている。
図3は、プリフォーマット情報として、アドレスピット42の組み合わせによってセクター毎に記録されたアドレス情報のフォーマットである。先頭のSYNC部は複数の所定配列されたアドレスピット42による同期パターンによって構成される部分であり、SYNC部につづくアドレスデータ部は、アドレスピット42の組み合わせによって、DVD−R記録媒体上の当該ピットが配された位置を特定する部分であり、ECCパリティ部は、アドレスデータ部の情報に対するECC(Error Corection Code)を記録した部分であり、ECCは、リードソロモン符号によって構成されている。ここで、同期パターンは、アドレスデータ部およびECCパリティ部には存在しないパターンとされているので、SYNC部の検出は容易にできるものである。
(DVD−R記録装置の説明)
次に、記録媒体記録装置の一実施形態である、上述の構成を有するDVD−R記録媒体に信号を記録するDVD−R記録装置について説明する。まず、図4を参照してDVD−R記録装置10の全体の構成について実施形態の説明に必要な範囲で簡単に説明し、その後、図5を参照してアドレスピット42を取り扱うDVD−R記録装置のサーボ信号検出・アドレス情報検出部100について説明する。本実施形態では、サーボ信号検出・アドレス情報検出部100は、位置情報検出手段の一実施形態の一部を構成し、サーボ手段の一実施形態の一部を構成するものである。
図4に示すDVD−R記録装置10はDVD−R記録媒体40に情報を記録する装置であり、光学ヘッド50、サーボ信号検出・アドレス情報検出部100、スピンドルモータ52、コントロール部200を主要なる構成要素とする。コントロール部200は外部装置、例えば、CPUからの指令に基づきDVD−R記録媒体40に情報を書き込むためのすべての制御をおこなう。本実施形態では、光学ヘッド50は、位置情報検出手段の一実施形態の一部を構成し、サーボ手段の一実施形態の一部を構成し、レーザ光強度調整手段の一実施形態の一部を構成するものである。
光学ヘッド(光学部)50は、種々の光学部品を備える光学系を有している。例えば、光ビームを発生させるレーザ光源(図示しない)、レーザ光源制御部(図示しない)およびフォトディテクタ50a(図5を参照)は光学系の一部を構成するものである。また、光学系は、対物レンズ(図示しない)を有しており、光学ヘッド50はこの対物レンズとDVD−R記録媒体40との距離を変化させるフォーカスアクチュエータ(図示しない)、対物レンズとDVD−R記録媒体40とのラジアル方向の相対位置を移動させるトラッキングアクチュエータ(図示しない)、光学ヘッド50の全体とDVD−R記録媒体40とのラジアル方向の相対位置を、トラッキングアクチュエータによるものよりもより大きく移動させるスライド送りモータ(図示しない)を具備している。
次に、図5を参照して、サーボ信号検出・アドレス情報検出部100の説明をする。図1に示すようにして、グルーブ41の上に集光された光ビーム44がDVD−R記録媒体40から反射して再び光学系に戻り光として戻る。この戻り光を、4分割のPINダイオードA、PINダイオードB、PINダイオードC、PINダイオードDによって構成されるフォトディテクタ50aによって検出し、PINダイオードAないしPINダイオードDの各々によって得られる電流をI−V変換器(電流・電圧変換器)51aないしI−V変換器51dの各々でI−V変換(電流・電圧変換)して、4分割された各々のダイオードから得られる電流に対応する電圧信号VA、電圧信号VB、電圧信号VC、電圧信号VDを得る。ここで、フォトディテクタ50a、I−V変換器51aないしI−V変換器51dは光学ヘッド50に組み込まれている。
これらの電圧信号VAないし電圧信号VDを演算器33、演算器34、演算器35の各々に入力して以下の各々の演算信号を得る。すなわち、演算器33では、電圧信号VAないし電圧信号VDのすべてを加算し、(VA+VB+VC+VD)を和(加算)信号として得る。また演算器34では、対角方向に配置されたPINダイオードからの差信号を得る演算である(VA+VC−VB−VD)なる演算を行い、非点収差方式のフォーカス誤差信号SFを得る。演算器34で得られるフォーカス誤差信号SFは、コントロール部200(図4を参照)へ送出される。本実施形態では、コントロール部200は、位置情報検出手段の一実施形態の一部を構成し、サーボ手段の一実施形態の一部を構成し、レーザ光強度調整手段の一実施形態の一部を構成するものである。
また、演算器35では、ラジアル方向に配置されたPINダイオードからの差信号を得る演算である(VA+VB−VC−VD)なる演算を行い、プッシュプル信号を演算器35の出力として得る。ここで、演算器35で得られる信号は、グルーブ41およびアドレスピット42と光ビーム44の半径方向の相対位置に対応した信号であるから、トラッキング誤差信号STに加え、グルーブ41のウォブルに応じたウォブル信号も同時に再生され、さらに、アドレスピット42が記録された位置を光ビーム44が通過するに際しては、アドレスピット42がグルーブ41に対してディスクの内周側であるか外周側であるかに応じて、図2に示すように、上述したプラスあるいはマイナスのアドレスパルスが再生できる
トラッキング誤差信号ST、ウォブル信号およびアドレスパルスをどのようにして分離するかについて説明する。演算器35で得られるプッシュプル信号をLPF(ローパスフィルタ)17に通すことによってトラッキング誤差信号STのみを取り出すことができる。すなわち、ウォブル信号の周波数は、トラッキングアクチュエータによって対物レンズが応答する周波数よりも高い周波数であるので、トラッキング誤差信号STから除外してもトラッキングサーボの特性に悪影響を与えることがないので、LPF17で除外されるものである。
また、プッシュプル信号に含まれるウォブル信号は、狭い帯域の信号であるから、その帯域を通過させるBPF(バンドパスフィルター)21を用いることによって、良好なS/Nのウォブル信号を得ることができる。得られたウォブル信号は、2値化回路22によって2値化され、この2値化データに基づいてプリフォーマット情報のクロック成分であるプリフォーマットクロックPCKが得られる。より具体的には、2値化回路22で得られる2値化信号は、DVD−R記録媒体のゴミ等によって抜けが生じたり、波形の乱れが生じたりするので、PLL(Phase Locked Loop)で構成されるプリフォーマットクロック再生回路25によって、これらの影響を排除したプリフォーマットクロックPCKが得られる。また、このプリフォーマットクロックPCKをコントロール部200で分周してスピンドルモータ制御信号が得られる。
さらに、このプリフォーマットクロックPCKは、アドレス情報検出回路へ入力され、アドレス情報SADを検出するためのクロック信号としても機能する。すなわち、プッシュプル信号に含まれるアドレスピット42に応じた信号は、HPF(ハイパスフィルタ)20を用いウォブル信号の影響、低周波数帯域のノイズの影響を排除して、内周側または外周側のいずれかのアドレスピット42によって発生される成分のみをその極性に応じて検出し、プリフォーマットクロックPCKを基準のクロックとして、アドレス情報検出回路24によってアドレス情報SADがデコードされる。具体的には、アドレス情報検出回路24では、SYNC部が分離されてアドレスデータ部の内容が特定され、ECCパリティを用いて誤り訂正がなされアドレス情報SADがデコードされる。アドレス情報検出回路24で得られるアドレス情報SADは、コントロール部200へ送出される。本実施形態におけるアドレス情報検出回路24は、位置情報検出手段の一実施形態の一部を構成する。
さらに、和信号によって、プリフォーマット後記録情報の一実施形態であるDVDフォーマットに基づく情報が検出される。すなわち、この和信号は、DVD−ROM媒体から検出される信号と完全に互換性を有する信号であるので、プリフォーマット情報であるアドレスピット42から得られる信号を全く考慮することなく、DVD−R記録媒体から得られるプリフォーマット後記録情報を再生データRDTとして得て、DVD−ROM媒体からの信号を処理すると同様の信号処理回路によって処理することができる。
より詳細には、和信号は、等化回路11で記録再生の周波数特性を補償した後、2値化回路12によって2値化することにより再生データRDTが得られ、位相比較回路13とVCO(電圧制御発振器)14とによって構成したPLL回路により、この2値化データから再生データRDTのクロックである再生クロックRCKが得られる。再生データRDTと再生クロックRCKは、上述したようにコントロール部200に送られ、コントロール部200に配されたLSI(集積回路)に入力され、種々の信号処理がなされる。
上述した説明から明らかなように、DVD−R記録媒体40のプリフォーマットから検出する情報としては、フォトディテクタ50aからの電圧信号VAないし電圧信号VDに基づく差信号から、フォーカス誤差信号SF、トラッキング誤差信号ST、アドレス情報SADおよびスピンドルモータ制御信号を得ることができ、一方、電圧信号VAないし電圧信号VDに基づく和信号からプリフォーマット後記録情報として、再生クロックRCKおよび再生データRDTを得ることができる。ここで、DVD−R記録媒体40の規格に規定された通常の使用では、上述した差信号と和信号との干渉は生じることがなく、和信号として、DVD−ROM媒体の規格に従ったフォーマットによって、ビデオ情報、オーディオ情報、その他のデジタル情報、例えば、PCで用いるソフトウエアを記録して、再生することができる。このように、DVD−R記録媒体40はDVD−ROM媒体と親和性の高いものとされている。
コントロール部200は、上述した信号処理のためのLSI、A/D変換器、D/A変換器、RAM(Rondom Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、電力用のドライバー等のペリフェラル、ROMに記憶されたプログラムに従って処理をおこなうDVD−R記録装置の制御のための専用のCPU(Centoral Processing Unit)を主要な構成部分として備えるものである。また、コントロール部200は外部装置、例えば、PCのCPUと接続され、バスラインを介して、コマンド(命令)とデータのやり取りをするようになされている。例えば、DVDコピーに際しては、PCのCPUはバスラインを介して所定のセクターの読み取りを命令する読取コマンドをコントロール部200に送出し、コントロール部200は、読取コマンドを解読して所定の手順でDVD−記録媒体から読み出したセクター毎のデータをPCに送出する。このようにして、セクター毎のデータを順次、CPUに送り、CPUは、他の記録媒体(図示せず)に、このセクター毎のデータを順次送ることによってDVDコピーはおこなわれる。
コントロール部200では、フォーカス誤差信号SFに対して位相補償がおこなわれ、対物レンズの焦点位置を制御するフォーカス駆動信号DFが出力される。このフォーカス駆動信号DFはフォーカスアクチュエータに印加され、フィードバック制御系としてフォーカスサーボ系を動作させ、光ビーム44をDVD−R記録媒体40の記録膜に集光する。
また、コントロール部200では、トラッキング誤差信号STに対して位相補償がおこなわれ、トラッキング駆動信号DTを出力する。ここで、トラッキング誤差信号STとして要求される周波数帯域は、ウォブルによって発生される正弦波信号であるウォブル信号の周波数よりも低いために、LPF17の作用によってウォブル信号がサーボ特性に与える影響はほとんどないものである。このトラッキング駆動信号DTはトラッキングアクチュエータに印加され、フィードバック制御系としてトラッキングサーボ系を動作させ、光ビーム44をグルーブ41の略中心部に配置する。
また、コントロール部200では、トラッキング誤差信号STの低域成分を演算して発生させスライド送りモータ制御信号を得、このスライド送りモータ制御信号に位相補償と所定倍率のゲイン定数を掛けてスライド送りモータ駆動信号DLを出力する。スライド送りモータ駆動信号DLはスライド送りモータに供給されて、トラッキングアクチュエータが受け持つ範囲よりも広範囲なラジアル方向の相対位置を制御するフィードバック制御系が構成される。
また、コントロール部200では、DVD−R記録媒体に情報を記録するに際しては、プリフォーマットクロックPCKとコントロール部200で発生される基準周波数と比較してスピンドル誤差信号を得、スピンドル誤差信号に位相補償を施してスピンドルモータ駆動信号DSを得る。スピンドルモータ駆動信号DSによってスピンドルモータ52は駆動され、CLV(Constant Linear Velocity)、CAV(Constant Angular Velocity)等の所定のモード、所定の回転数でDVD−R記録媒体40は回転する。このようにして構成されるスピンドルサーボ系は、フィードバック制御系として動作し、光ビーム44をDVD−R記録媒体のタンジェンシャル方向に配置する。
また、コントロール部200では、DVD−R記録媒体に記録された情報を再生するに際しては、再生クロックRCKとコントロール部200で発生される基準周波数と比較演算してスピンドル誤差信号を得、このスピンドル誤差信号に位相補償を施してスピンドルモータ駆動信号DSを得る。そして、スピンドルモータ駆動信号DSによってスピンドルモータ52は駆動され、CLV(Constant Linear Verocity)、CAV(Constant Angular Verocity)等の所定のモード、所定の回転数でDVD−R記録媒体40は回転する。このようにして構成されるスピンドルサーボ系は、フィードバック制御系として動作し、光ビーム44をDVD−R記録媒体のタンジェンシャル方向に配置する。
また、コントロール部200では、レーザ光源制御部をレーザ光源駆動信号DLDによって制御する。通常の再生においては、レーザ光源制御部によって制御されるレーザ光源からの光ビームは、有機色素で形成される記録膜の反射率を変化させない程度の弱い光強度とし、通常の記録時においては、グルーブ41およびアドレスピット42を熱破壊することはないが、記録膜の反射率を変化させる強い光強度として「1」を記録し、弱い光強度として「0」を記録する。「1」、「0」の変調は、記録信号WDTによっておこなわれる。コントロール部200でおこなう本実施形態特有の処理、および、他の処理については随時、後述する。
(DVD記録装置における複製防止の原理)
本実施形態における複製(DVDコピー)の防止原理につき説明する。上述したように、民生用の再生専用のDVD−ROM再生装置によって、DVD−R記録媒体に記録されている情報を読み出す場合(DVD−VIDEOフォーマットで記録されたデータを映像として再生する場合)と、PCを用いてDVDコピーをする場合とは、DVD−R記録媒体からの情報の読み取り手順が異なるので、まず、これについて、説明する。
図6は、DVD−R記録媒体からの情報の読み取り手順を示す図である。図6に示すように、DVDビデオの再生の規格においては、記録された情報は、それぞれの固有のID(識別番号)が付される複数のセルを有している。プログラムチェイン1は、そのセルの再生順序を示すものであり、セルのID番号とは別に、プログラムチェイン1内での再生順序が定められている。図6に示す、プログラム2を含むプログラムチェイン1は、セル3a、セル3bおよびセル3cとプログラム2の最初に付加されたナビゲーションコマンドであるプリコマンド4aとプログラム2の最後に付加されたナビゲーションコマンドであるポストコマンド4b並びにセルに含まれるセルコマンド4cとを有している。図6の紙面左側は、DVD−R記録媒体にスパイラル状に記録された情報の配置のより内周側を示し、左から右に連続して記録された情報が配置されていることを表している。
DVDビデオの再生機能を有するDVD−ROM再生装置で読み出すためのプログラムチェイン1は、例えば、以下のように構成されている。バイパス領域である最初の付加セル5aが最初のセル3aの前に挿入され、2番目の付加セル5bが2番目のセル3bの前に付加され、最初の分岐命令がプリコマンド4aに書かれ、2番目の分岐命令がセルコマンド4cに書かれている。そして、最初の分岐命令の目標アドレスはセル3aにセットされ、2番目の分岐命令の目標アドレスはセル3bにセットされている。このようにして、プリコマンド4aはDVD−ROM再生装置が最初のセル3aから再生をスタートさせるようにして付加セル5aをアクセスしないようにし、セルコマンド4cはDVD−ROM再生装置が最初のセル3aの再生に続けてセル3bを再生するようにして付加セル5bをアクセスしないようにする。いわゆる、ノンリニア再生がおこなわれる。
ここで、付加セル5a、付加セル5bおよび付加セル5cが、再生不能なセルであったとしても、プログラムチェイン1の再生に何ら障害となることはない。一方、連続的に、1対1にDVDコピーをおこなう場合には、このような付加セル5a、付加セル5bおよび付加セル5cの再生を回避するナビゲーションのデータを使用することがないので、付加セル5a、最初のセル3a、2番目の付加セル5b、2番目のセル3b、3番目のセル3cの順で、いわゆる、リニアな再生をおこなう。したがって、DVDコピーにおいては、付加セル5a、付加セル5bおよび付加セル5cの内容を読み取ることができず、複製の動作は中断される。
この場合、付加セル5a、付加セル5bおよび付加セル5cに記録される情報は、例えば、以下のようなものとされている。(1)EFM+(Eight to Fourteen Modulation plus)のルール以外でコーディング、(2)ECC(Error Correction Code)のフォーマットの変更、(3)ID(Identification Data)のフォーマット変更、(4)IED(ID Error Correction)フォーマットの変更、(5)CPR_MAI(Copyright Management Information)のフォーマットの変更、(6)EDC(Error Detection Code)のフォーマットの変更。
ここで、EFM+とは変調のフォーマットであり、8ビットの記録データ(変調前データ)を16ビットのチャンネルデータ(変調後データ)に変換するものである。また、ECCは、横172バイトに対して10バイトのRS(リードソロモン)コードが付加され、縦192行に対して16バイトのRS(リードソロモン)コードが付加されたものである。また、IDは、2K(キロ・バイト)ごとに、4バイトで構成するIDが付加される。IEDは、4バイトのIDに対して2バイトが付加され、簡易なエラー訂正でIDが読み取れるようになされている。EDCは、メインの2Kバイトデータ、ID、IED、CPR_MAIに対して付加される4バイトから構成され、このEDCコードによって、スクランブルが正しいか否か、誤訂正をしていないかをチェックできるものとされている。
DVDコピーを防止するために、上述したようなナビゲーションコマンドを使用することはオプションのひとつに過ぎず、他のオプションとしては、DVDビデオの規格で定めるインターリーブ構造を利用するものが考えられる。このようなインターリーブ構造の本来の目的とするところは、並列再生のパスを構築し、シームレスに各々のパス間を移動することであるが、リニア再生をするDVDコピーの防止の策としてこのインターリーブ構造を利用することができる。
図7にインターリブブロック6の構造を示す。インターリブブロック6は2つの並列パスであるパス7とパス8とを要素とするインターリーブユニットで構成されている。そして、パス7はインターリーブユニット7a、インターリーブユニット7bおよびインターリーブユニット7cから構成され、パス8はインターリーブユニット8a、インターリーブユニット8bおよびインターリーブユニット8cから構成されている。そして、DVD−R媒体上においては、タンジェンシャル方向に、インターリーブユニット8a、インターリーブユニット7a、インターリーブユニット8b、インターリーブユニット7b、インターリーブユニット8c、インターリーブユニット7cの順で記録されている。DVDビデオの再生装置においては、パス7またはパス8のいずれかをジャンプしながら繋ぎあわせるノンリニア再生が予定されているが、PCを用いて、デジタルデータのコピーとしておこなうDVDコピーにおいては、データの最初から順に再生をし(リニア再生をし)、再生したデータをコピーする。したがって、例えば、DVDビデオの再生に寄与しないパスであるパス8に再生不能な情報を記録しておけば、DVDビデオの再生には問題が生じないが、DVDコピーをおこなうに際しては、再生不能となり複製が防止できることとなる。
すなわち、インターリーブユニット8a、インターリーブユニット8bおよびインターリーブユニット8cに記録される情報は、例えば、以下のようなものとされている。(1)EFM+のルール以外でコーディング、(2)ECCのフォーマットの変更、(3)IDのフォーマット変更、(4)IEDフォーマットの変更、(5)CPR_MAIのフォーマットの変更、(6)EDCのフォーマットの変更。
上述のDVDコピーの防止の方策は、DVD−R記録媒体の再生のみをおこなうDVD−R再生装置を備えるPCにおいては、妥当で効果的であるが、DVD−R記録媒体に記録再生をおこなうDVD−R記録再生装置を備えるPCにおいては、DVDコピーの防止を十分におこなうことができない場合がある。以下にこのような場合について説明する。
DVDコピーの機能から見た場合のDVD−R記録再生装置とDVD−ROM再生装置との最も大きな差異は、DVD−ROM再生装置は、DVD−ROMとの互換性のみが配慮された装置であるためにプリフォーマット情報を読み取る機能を有しないのに対して、DVD−R記録再生装置はプリフォーマット情報を読み取る機能を有する点である。さらに、DVD−R記録再生装置においては、プリフォーマット後記録情報が読み出せない場合にDVD−R記録再生装置の制御部が、プリフォーマット情報を読み取り、プリフォーマット情報に基づいて所定の異常検出後の回避動作をするように設定されている点において、DVD−ROM再生装置とは異なるものである。この結果、DVD−R記録再生装置を用いてDVDコピーをおこなう場合には上述したコピー防止の対策が効果を生じない場合があり得る。
[1]、(1)EFM+のルール以外でコーディングした場合、(2)ECCのフォーマットの変更の場合、および(6)セクターデータ部のEDCのフォーマットの変更の場合。この場合には、DVD−R記録再生装置は、未記録領域(プリフォーマット後記録情報が書かれていない領域)において情報で読み出していると判断して、プリフォーマット情報を頼りに次の記録領域を探すように動作し、結果的にこれらの部分におけるプリフォーマット後記録情報は無視され、再生の停止が生じることがなく、DVDコピーの停止が生じることはない。
[2]、(3)IDのフォーマット変更、(4)IEDフォーマットの変更、および(6)ID部のEDCのフォーマットの変更の場合。この場合には、プリフォーマット後記録情報から現在のIDを検出することができないので、プリフォーマット情報を読む動作をおこなう。そしてプリフォーマット情報から得られたID(DVD−R記録媒体にプリフォーマットされているID)を検出後、所定の変換テーブルまたは所定の演算式に基づき、プリフォーマット後記録情報のIDを推定してIDを得て、再生の処理は続行し、記録された情報が検出されない場合には、上述の[1]と同様に処理が進み、DVDコピーが妨げられることはない。
[3]、(5)CPR_MAIのフォーマットの変更の場合。DVDコピーでは、CPR_MAIの影響を受けずにコピーがおこなわれる場合も多く、この場合にはDVDコピーが妨げられることはない。
本実施形態の、さらに、機能を拡張したDVDコピーの防止方法では、プリフォーマット部に注目し、プリフォーマット部の再生を困難とすることによって、DVDコピーの防止の対策をより効果的にするものである。以下、具体的にその内容について説明する。
上述したように、DVD−R記録媒体のプリフォーマット部は、深さ方向(DVD−R記録媒体の表面に垂直方向)に変化を有する位相溝または位相ピットとして形成されている。この位相溝または位相ピットからの回折光を、対物レンズを介してフォトディテクタ(図5のフォトディテクタ50aを参照)で電気信号として検出することによって、位相溝または位相ピットの形状を間接的に検出し、グルーブ(図1のグルーブ41を参照)に沿って、トラッキングサーボを可能とし、アドレスピット(図1のアドレスピット42を参照)からアドレスの検出を可能としている。また、フォトディテクタで検出する電気信号は、有機色素材料の記録膜で反射した回折光として検出されている。
したがって、グルーブ形状、アドレスピット形状、記録膜の反射率を物理的に通常の再生特性を得るものと異なるものとすれば、これらのグルーブ、アドレスピットからプリピット情報を得ることができなくなり、DVD−R記録再生装置において、プリフォーマット後記録情報が読み出せない場合にDVD−R記録再生装置が、プリフォーマット情報を読み取り、プリフォーマット情報に基づいて所定の異常検出後の回避動作をしようとしても、このような回避動作ができず、よって、DVDコピーをより確実に防止できるものである。
第1実施形態としては、アドレスピット42をフォトディテクタ50aからの電気信号によって検出できないような物理的な構造の変化を与えることが考えられる。これによって、アドレスピット42からアドレスはもはや検出できなくなり、DVDコピーを防止することができるものとなる。以下、より具体的に説明する。
図1に示すように光ビーム44がグルーブ41に追従するようにトラッキングサーボはおこなわれている。ここで、アドレスピット42の位置における情報(この情報が「1」の場合にはアドレスピット42は存在し、「0」の場合にはアドレスピット42は存在しない。また、アドレスピット42の位置と言う場合には、「1」または「0」のアドレス情報の一部が得られるDVD−R記録媒体における位置をいう)は、プリフォーマットクロックPCK(図5を参照)をビット同期を得るための基準クロックとし、セクター同期を得るための同期信号をSYNC部(図3を参照)として、アドレス情報SAD(図5を参照)を得ている。
ここで、ポリカーボネートの基板で形成されているDVD−R記録媒体は、熱を加えることによって変形するので、アドレスピット42の位置の部分のポリカーボネートを熱変形させ、アドレスピット42の位置にピットが存在するか存在しないか、すなわち、「1」か「0」かの検出が不能となるようにできる。熱変形は、光強度が大きい光ビーム44を照射することによって、あるいは、DVD−R記録媒体と光ビーム44との相対回転速度を遅くすることによって生じさせることができる。本実施形態における、この熱変形させる領域は破壊領域の一実施形態である。
図8は、アドレスピット42の位置における情報から、「1」または「0」を検出するに際しての、信号対雑音比(S/N)と光ビーム44が生じる熱との関係を示すものである。ここで、光ビーム44が、ポリカーボネートの基板に与える熱は、光学ヘッド50(図4を参照)に配された半導体レーザの記録レーザパワーに略比例し、DVD−R記録媒体の回転数の平方根に反比例する。また、アドレスピット42の位置における熱変形も光ビーム44が発生する熱に応じたものとなる。そして、信号対雑音比(S/N)が、所定閾値THより下回る場合には、熱変形によって、アドレスピット42からアドレス情報を検出することが困難となる。
図1の模式図においては、アドレスピット42を分かり易く説明するために、アドレスピット42の位置の発生頻度は高いものとして記載されているが、現実には、図1に示すものより発生頻度は少ないものである。したがって、アドレスピット42の位置の近傍のみを光ビーム44の熱によって破壊した場合でも、他のグルーブ41のウォブル状の部分に熱変形はおよばず、トラッキング誤差信号ST、プリフォーマットクロックPCKの検出に支障は生じない。したがって、アドレスピット42の位置の部分のポリカーボネートを熱変形させる本実施形態は、トラッキングサーボの乱れを生じさせることなく、正確にグルーブ41に沿ってトラッキングサーボをおこないながらアドレスピット42の位置の部分のみを正確に破壊して、アドレス情報を得ることを防止できる効果がある。この結果として、サーボのための各種の誤差信号のダメージが生じるのは破壊された領域の近傍においてのみであり、DVD−R記録再生装置のサーボ処理に対する負担は少ないものである。
ここで、レーザパワーの制御は、コントロール部200においておこなわれる。所定範囲のアドレスピット42の位置に熱変形を与える場合には、フォーカスサーボ、トラッキングサーボを働かせて、光ビーム44をグルーブ41に追従させる。そして、アドレス情報を解読し、破壊すべきアドレスピット42の位置の直前のアドレスのSYNC部を検出した直後から、アドレスデータ部(図3を参照)を破壊するための、コントロール部200に配されたアドレス部検出カウンタ(図示せず)を働かせ、順次連続した所定範囲のアドレスピット42の位置を外挿によって検出する。ここで、外挿によってアドレスピット42の位置を検出するのは、記録レーザパワーを大きくすることによって、I−V変換器51aないしI−V変換器51dが飽和し、差信号の検出が困難となり、アドレスピット42の位置からアドレス情報SADを構成する「1」または「0」の情報を得ることができないからである。
コントロール部200に配置されたアドレス部検出カウンタは、サーボ信号検出・アドレス情報検出部100(図4を参照)における処理によってSYNC部(図3を参照)を表す信号であるSYNC部信号SSCを一度見つけ出した後は、プリフォーマットクロックPCKの数をコントロール部200においてカウントすることによって、アドレスピット42の位置における情報を外挿によって検出する作用を有するものである。本実施形態におけるアドレス部検出カウンタは、位置情報検出手段の一実施形態の一部を構成する。
第1実施形態においては、アドレスピット42の位置に熱変形を与える光強度によってI−V変換器51aないしI−V変換器51dが飽和する場合には、アドレス情報SADが得られないのみならず、フォーカス誤差信号SF、トラッキング誤差信号STも得られず、サーボが誤動作する蓋然性が高くなるので、この部分をマスクして、フォーカス誤差信号SF、トラッキング誤差信号STのいずれも前値ホールドしている。
光強度が大きい光ビーム44を照射することによって、アドレスピット42に熱変形を生じさせアドレス情報SADの検出をできないようにする場合には、SYNC部信号SSCを検出する毎に、次のアドレスピット42の位置をコントロール部200が予測する演算をしてその位置を検出する。また、SYNC部も含めて、アドレスピット42に熱変形を生じさせる場合には上述したアドレス部検出カウンタが外挿した連続する複数個のアドレスピット42の位置をコントロール部200が演算して、さらに、コントロール部200は、光学ヘッド50に配されたレーザ光源制御部をレーザ光源駆動信号DLDによって制御して、光ビーム44の光強度を上昇させる。このようにすれば、DVD−R記録媒体の回転数は高速に一定のままに保ち、アドレスピット42の熱破壊(情報の読み取りが困難となるS/Nの劣化を生じさせる程度の熱変形を含む)を生じさせることができる。
また、図8に示すグラフが示すように、アドレスピット42の位置を熱破壊するに際しては、記録レーザパワーを上昇させることなく、DVD−R記録媒体の回転数を、プリフォーマット後記録情報を読み出す場合の通常の回転数とすることなく、より低回転としても良い。この場合においては、まず、コントロール部200は、スピンドルモータ52を低速回転とするスピンドルモータ駆動信号DSを出力する。これによって、アドレスピット42を熱破壊してアドレス情報SADの読み取りを困難とすることができる。このようにすれば、光学ヘッド50に配されたレーザ光源から出射される光ビームの光強度を低く保ちながらアドレスピット42の熱破壊ができる。なお、この場合には、アドレスピット42の配置された部分以外では、レーザ光源から出射される光ビームの光強度をさらに低く制御して、アドレスピット42の位置以外での熱破壊は生じないようにする。
光強度が大きい光ビーム44を照射することによって、アドレスピット42に熱変形を生じさせアドレス情報SADの検出をできないようにする場合、DVD−R記録媒体の回転数をより低回転としてアドレスピット42に熱変形を生じさせアドレス情報SADの検出をできないようにする場合、のいずれの場合にも、アドレス情報SADが含まれるアドレス部のみを熱破壊するものであっても良く、ECCパリティ部のみを熱破壊しエラー訂正を不可能としてアドレス情報SADの再生を不可能とするものであっても良く、アドレス部とECCパリティ部との両方を熱破壊するものであっても良い。さらには、SYNC部を熱破壊して、プリフォーマット情報からアドレス情報SADが検出できないものとするものであっても良い。
また、上述したアドレスピット42に熱変形を生じさせる範囲は、有意な情報を含まないプリフォーマット後記録情報を記録する領域である付加セル部分(図6の付加セル5a、付加セル5bを参照)に対応しており、この付加セル部分のプリフォーマット後記録情報は、コントロール部200に配置されたLSIによって再生ができないものとされている。
コントロール部200に配されたLSIによって再生ができない情報である、有意な情報に該当しないプリフォーマット後記録情報としては、上述したような、(1)EFM+のルール以外でコーディング、(2)ECCのフォーマットの変更、(3)IDのフォーマット変更、(4)IEDフォーマットの変更、(5)CPR_MAIのフォーマットの変更、(6)EDCのフォーマットの変更、等の処理のいずれか、または、それらの2以上の組み合わせの処理がなされた情報であっても良い。さらに、(1)のEFM+のルール以外でコーディングには、例えば、1−7変調のようにコーディングのルールそれ自体が異なるものの他として、コーディングルールそのものはEFM+に準じているもののブロックコードとして、予め、規定されたコード表に当てはめられるもの以外のいわゆる、アウト・オブ・EFM+パターン(EFM+のフォーマットには存在しないパターン)を含むものである。このような処理がなされた情報は、上述したように、通常のDVD−R記録装置に用いられるLSIによっては再生ができないものである。
図9を参照して、コントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報のいくつかの具体例を以下に示す。なお、図9の(A)は、プリフォーマット後記録情報が記録される区間を示すものであり、また、図9の(B)は、チャンネルビットクロックを示すものである。
図9の(C)は、コントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報として、「1」のみの情報、すなわち、常時記録するものとする場合を示すものである。また、図9には図示しないが、プリフォーマット後記録情報としては、「1」のみの情報を記録することなく。「0」のみの情報を記録することもできる。この場合には、DVD−Rフォーマットで記録された部分に比べて、「0」のみを記録する場合には高い反射率を有し、その結果としてサーボ系の開ループゲインは高いものとなってしまい、「1」のみを記録する場合には低い反射率を有し、その結果としてサーボ系の開ループゲインは低いものとなってしまう。しかしながら、開ループゲインの自動調整機能をコントロール部200が有することによって、動作に支障は生じない。このようにして、連続する「0」または「1」のいずれも簡単に発生可能な情報を用い、プリフォーマット後記録情報の内容をDVDフォーマットに基づくものとは異ならせることによって、信号処理のLSIによるプリフォーマット後記録情報の再生を困難とすることができる。このような場合には、コントロール部200に配されたLSIの変更をすることなく、簡単なハードウエアを付加し、または、直接にCPUから「1」と「0」を発生させ、コントロール部200からの記録信号WDTを「1」または「0」に制御することができるので、LSIになんら変更を加える必要がないという利益が得られる。
また、図9の(E)、図9の(F)に示すように、別のコントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報としては、DVD−R媒体の回転数とチャンネルクロックとの関係、すなわち、線方向(タンジェンシャル方向)記録密度をDVDフォーマットからずらすようにしても良い。このような線方向記録密度が記録領域毎に変化するプリフォーマット後記録情報は、DCフリーの性質は維持してサーボ系への負担を小さく抑えながら、信号処理のLSIによるプリフォーマット後記録情報の再生を困難とすることができる。なお、図9の(D)は、規定の記録密度で記録する場合を示すものである。
具体的には、図9の(E)には、プリフォーマット後記録情報としては、2倍速相当(ここでは、上述の記録密度が2倍となる場合をいう)とする場合を示し、図9の(F)には、1/2倍速相当(ここでは、上述の記録密度が1/2倍となる場合をいう)とする場合を示すものである。
また、図9の(G)に示すように、別のコントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報としては、マーク間変調によるものではなくピットポジション変調によるものを用いることもできる。この例では1−7変調を用いている。
また、図9の(H)に示すように、別のコントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報としては、チャンネルクロックと同期した任意のマーク長の組み合わせを有する出力データとすることができる。ここで、任意のマーク長の組み合わせは、図9の(J)に示すように、後述するDSV制御をおこなうものとすることが望ましいが、図9の(K)に示すようにDSV制御をおこなわないものであっても良い。
また、図9の(I)に示すように、別のコントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報としては、チャンネルクロックと非同期同期の任意のマーク長の組み合わせを有する出力データとするものであっても良い。
上述した図9の(H)ないし図9の(K)に示す出力データの発生に際しては、コントロール部200に配置された乱数発生器からの「1」、「0」の乱数情報に基づいた情報であっても良い。このような場合には、コントロール部200に配されたLSIの変更をすることなく、簡単なハードウエアを付加し、または、直接にコントロール部200から乱数を発生させることができるので、LSIになんら変更を加える必要がないという利益が得られる。すなわち、簡単なハードウエア、または、コントロール部200が直接に、パルス、または、乱数を発生し、このパルスまたは乱数で変調されたレーザ光源駆動信号DLDによってレーザ光源制御部を制御することができ、LSIに頼ることなく処理ができるからである。なお、LSIに変更を加える場合においても、このような信号は簡単なLSIの変更で発生させることができるようにして対処できる。なお、DSV制御をする場合には、コントロール部200で、後述するDSVの累積加算値を求めて、所定区間におけるDSVの累積値を零とする。
また別のコントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報としては、図9には図示しないが、CD(Compact Disc)フォーマットがあり、このようなフォーマットによって、プリフォーマット後記録情報を記録することができる。PCに搭載されるDVD−R記録再生装置の多くは、CD−R(Compact Disc Readable)記録媒体へも記録再生ができる機能を有しており、この場合には、信号処理のLSIをCPUで制御して、または、信号処理のLSIの配線を一部変更する新たなICを製造することによって、CDフォーマットでのプリフォーマット後記録情報の記録が容易にできるものとなる。
さらに、図9に示す各種の出力データの形式において、DSV制御をおこなう場合には、DVD−R記録媒体においては、光ビーム44が照射されることによって、反射率が低くなる有機色素膜が一般的に用いられるので、DCフリーとされた「1」、「0」の情報の記録がなされ、フォトディテクタ50aへの戻り光量に応じて開ループゲインが定まるサーボ系に対する悪影響は少ないものとすることができる。
ここで、DCフリーの概念およびDCフリーとするための条件を満たすための符号化に付随する概念であるDSV(Digital Sum Value)について、以下、簡単に説明する。光記録における記録フォーマットとしては、通常、マーク長記録が採用される。この場合には、反転区間長の区間は「1」または「0」が連続したチャンネルコーディングがなされる。ここで、記録においては、例えば、「1」はレーザの発光強度が、記録膜に情報を記録するに十分な強度を有し、「0」は、記録膜に情報が記録されない強度を有するようにレーザ光源を変調するものである。また、再生においては、「1」は、例えば、記録媒体の反射率が小さく戻り光のレベルが小さく、「0」は、記録媒体の反射率が大きく戻り光のレベルが大きいことを示すものである。ここにおいて、「1」を+1に対応させ、「0」を−1に対応させて、時系列で発生する+1と−1とを累積加算をしたときの所定区間(所定時間)における累積加算値をDSVと称し、このDSVの値が略零となる場合がDCフリーと称されている。
完全なるDCフリーを実現することは困難が伴うが、DCフリーに近い特性とするために、EFMやEFM+の様なブロック化符号では、DSVを所定の長さに渡り計算し、結合ビットによって、DSVの値を零とし、あるいは、一のブロック化データに対して、そのブロック中におけるDSVの値が+または−となるような複数のブロック化チャンネルデータのいずれかを選択するようにしてDSVの値を零としている。また、RLL(可変長符号)を用いる場合においても、所定の期間に渡りDSVを計算し、適宜、DSVを零とするための、DSV制御ビットを挿入してDSVが略零となるようにしている。また、さらに、図9の(F)に示すピットポジション記録についても、同様な手法を用いて、DCフリーを実現することができる。DCフリーとすることによる効果は、上述したように、サーボ系に対しては、高域成分をサーボの帯域以上とすることによって、サーボ部の構成の簡略化を図ることができ、信号再生系に対しては、いわゆる、アシンメトリの補正が簡単なフィードバック系で実現できることを利用して信号再生部の構成の簡略化を図ることができるものである。
しかしながら、DCフリー化がおこなわれていない、図9の(G)、図9の(J)に示す場合においても、サーボ系については、サーボ帯域の応答に追従する程度の高速なる開ループゲインの自動調整回路を用いることによって、安定したサーボが可能となり、信号再生系については、コントロール部200に配されたLSIによって再生ができないプリフォーマット後記録情報とすることをその趣旨とする本実施形態においては、特段に問題が生じることはないものである。
以上に説明したようにして、アドレスピット42の熱破壊をした後には、予め定めたDVD−R記録媒体の所定の領域、例えば、最内周部または最外周部に、破壊した領域の位置(アドレス)を示す管理情報をDVD−Rフォーマットでプリフォーマット後記録情報として書き込む。このようにすることによって、映像としての再生においては、アドレスピット42が破壊された領域を避けた、DVD−R記録媒体からのプリフォーマット後記録情報のノンリニア再生が可能となる。また、アドレスピット42の熱破壊をする領域が予め特定されている場合、または、後述するように、アドレスピット42の熱破壊をする領域がフレキシブルディスク等の別の媒体で提供される場合には、このDVD−R記録媒体に、破壊した領域の位置を記録する必要がないものである。
以上の第1実施形態の処理がされたDVD−R記録媒体を複製される記録媒体として、PCを用いて他の記録媒体にDVDコピーをする場合における作用について以下に説明をする。
上述したように、DVDコピーにおいては、リニア再生、すなわち、物理的に連続したスパイラルに沿って順次、プリフォーマット後記録情報を再生し、順次、他の記録媒体にコピーをする。この際に、有意な情報を含まない付加セル部分も再生することになる。ここで、付加セル部分は、(1)EFM+のルール以外でコーディング、(2)ECCのフォーマットの変更、(3)IDのフォーマット変更、(4)IEDフォーマットの変更、(5)CPR_MAIのフォーマットの変更、(6)EDCのフォーマットの変更、(7)プリフォーマット後記録情報の全部または一部が、乱数情報に基づいた情報、パルス情報で記録されている、(8)プリフォーマット後記録情報の全部または一部が、CDフォーマットで記録されている、(9)線方向記録密度が記録領域毎に変化する情報、(10)未記録領域等とされている。上述の(1)ないし(10)のいずれも、DVDの信号処理のLSIによっては、プリフォーマット後記録情報の内容を再生することができない。
このような場合には、DVD−R記録再生装置が備える機能に基づき、プリフォーマット情報に置き換え再生を続行しようとするものの、アドレスピット42が熱破壊されているので、アドレス情報SADの読み取りができない。この結果、付加セル部分では、データとしての再生の動作は停止してしまい。コントロール部200はDVDコピーの動作を中止して、外部装置であるPCのCPUに対してDVDコピーが不可能である旨の情報を送出する。このようにしてDVDコピーの防止ができる。
一方、このような記録がされたDVD−R記録媒体を再生専用機で映像として再生する場合においては、有意な情報を含まない付加セル部分がスキップされるノンリニア再生がおこなわれ、再生の動作に支障を来すことはない。したがって、このDVD−R記録媒体が不正コピーされたものではない場合においては、その再生の動作には何ら支障がない。
ここにおいて、アドレスピット42およびアドレスピット42の付近のグルーブ41の領域は熱破壊されるものの、それ以外のグルーブ41の領域は熱破壊されることがなく、上述のノンリニア再生においては、熱破壊がおこなわれた領域がサーボの帯域との関係で、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ、スピンドルサーボのいずれにも影響をおよぼすことがなく、正常にサーボの動作がおこなわれる。その結果、再生における有意なセルへのアクセス(到達)が容易におこなわれ、安定したノンリニア再生が可能となる。ここで、有意なセルとは有意な情報のみを含むセルを言うものである。
上述のアドレスピット42およびアドレスピット42の付近のグルーブ41の領域の熱破壊は、DVD−R記録媒体に情報を記録しながら、熱破壊をしたい領域に光ビーム44が到達する毎に、コントロール部200が、レーザ光源駆動信号DLDを制御して光ビーム44の光量を大きなものとすることによっておこなうことができるが、これ以外にも、通常の記録のための光ビーム44の光量で、DVD−R記録媒体にすべての情報を記録した後に、コントロール部200からの指令によって、所定領域のアドレスピット42およびアドレスピット42の付近のグルーブ41の領域の熱破壊をおこなうようにしても良い。
また、アドレスピット42およびグルーブ41が配された、プリフォーマット領域の熱破壊は、プリフォーマット後記録情報が全く記録されていない未記録のDVD−R記録媒体をDVD−R記録装置に装着して、コントロール部200が、指定する領域で、レーザ光源駆動信号DLDを制御して光ビーム44の光量を大きなものとすることによって、予め、DVD−R記録媒体に読むことができないアドレスピット42を設けることができる。この読むことができない領域がどのアドレスかを示す情報は、当該DVD−R記録媒体の所定領域、例えば、最内周領域に記録され、このDVD−R記録媒体に記録をおこなうに際しては、最内周領域を最初に読み、アドレスピット42が破壊された領域(例えば、アドレスピット42が破壊されていない直前のアドレスからの線方向の長さで特定する)を知って、この領域に有意なプリフォーマット後記録情報を書き込まないようにすることができる。各々のDVD−R記録媒体毎に、例えば、乱数によって指定されるアドレスピット42が破壊された領域を有する未記録媒体を拡販すれば、プリフォーマット部を破壊するための高出力のレーザ光源は不要となるので、この未記録媒体を用いて記録をおこなうDVD−R記録装置の光源に対する負担を小さなものとできる。
「第2実施形態」
アドレスピット42はランド部43に設けられる溝として形成されている。そして、上述した第1実施形態では、トラッキングサーボの作用によって、光ビーム44はグルーブ41に沿って配置されるようになされている。一方、光ビーム44の光エネルギーは、半径方向にガウス分布するものであるので、ランド部43に形成されるアドレスピット42を熱破壊する場合には、光ビーム44の全体の強度を大きなものとしなければならず、レーザ光を出射する光源にとっては大きな負担となった。すなわち、グルーブ41に沿って光ビーム44を照射するよりも、直接にランド部43に光ビーム44を照射する方がより効率が良いものであるので、第2実施形態では、以下のようにして、ランド部43に光ビーム44を照射して、アドレスピット42の破壊をより少ない光ビーム44の光量でおこなうことができるものである。
具体的な制御は以下のようにおこなう。まず、コントロール部200はグルーブ41に沿ってトラッキングサーボをおこなう。この場合には、アドレスピット42から、アドレス情報SADを読み取ることができる。そして、アドレスピット42の熱破壊をおこなう一つ前のアドレスピット42検出した直後にコントロール部200はトラッキング誤差信号STの位相を180°反転して、この信号をトラッキング駆動信号DTとしてトラッキングアクチュエータに出力する。これによって、光ビーム44はランド部43に照射される。
この場合に、光ビーム44は隣接する両方のグルーブからウォブル信号を得ることになり、両方のウォブルの差の周波数(ビート周波数)のウォブル信号得られる。このために、このようなウォブル信号に基づき生成されたスピンドルモータ制御信号は、スピンドルモータ52の制御に使うこともできないばかりか、ウォブル信号をアドレスピット42の位置を検出するための基準信号として使うことも困難である。したがって、この場合には、スピンドルモータ52の回転数を検出する周波数発生器(Frequency Generator)53等によってスピンドルモータ52の回転数に応じた回転信号SFGを検出して、コントロール部200は、回転信号SFGに基づきスピンドルモータ駆動信号DSをスピンドルモータ52に印加して、トラッキング誤差信号STの位相を180°反転する直前の回転数で回転するように制御する。
そして、トラッキング誤差信号STの位相を180°反転した直後に、レーザ光源駆動信号DLDを制御して光ビーム44の光量をより大きなものとする。これによって、アドレスピット42を少ない光量の光ビーム44で効率的に熱破壊することができる。この場合に、熱破壊する領域は、回転信号SFGと、直前に検出したアドレスピット42から検出したアドレス情報SADとからコントロール部200において割り出した時間長とし、この時間長、光ビーム44の光量をより大きなものとすることによって、所定のセクター長に対応する長さのアドレスピット42を熱破壊することができる。
そして、所定のセクター長に対応する長さのアドレスピット42を熱破壊した後に、再びトラッキング誤差信号STの位相を180°反転して、グルーブ41に沿って再びトラッキングサーボをおこなう。そして、ウォブル信号、アドレス情報SADを含むプリフォーマット後記録情報を検出することができる。この場合にアドレスピット42を熱破壊するに必要な光ビーム44の光量は第1実施形態の処理におけるよりも少ないものとできる。
以上の第2実施形態の処理がされたDVD−R記録媒体を複製される記録媒体として、PCを用いて他の記録媒体にDVDコピーをする場合における作用について以下に説明をする。
上述したように、アドレスピット42が破壊された範囲のランド部43には、光ビーム44の光量として、通常の再生時におけるよりも大きな光量が照射されているので、ランド部43の部分の有機色素膜の反射率は小さなものとなっている。そのために、有意なプリフォーマット後記録情報を再生するためにグルーブ41に沿ってトラッキングサーボがおこなわれてきた場合には、ランド部43の反射率が高い領域に達したときには、グルーブ41によって生じるフォトディテクタ50aにおける回折光の光量の分布は、大きく変化し、この回折光の光量の分布に応じて発生するトラッキング誤差信号STを零とするようにトラッキングサーボは作用する。
この結果、この領域が付加セル部分として、プリフォーマット後記録情報が書かれていた場合にも、その情報の内容を再生することができない。そして、プリフォーマット情報に基づいて再生の動作を続けようとする場合においても、アドレスピット42が破壊されているので、プリフォーマット情報の検出も不可能である。この結果、付加セル部分では、再生の動作は停止してしまい。コントロール部200はDVDコピーの動作を中止して、外部装置に対してDVDコピーが不可能である旨の情報を送出する。このようにしてDVDコピーの防止ができる。
一方、このような記録がされたDVD−R記録媒体を再生専用機で再生する場合においては、有意な情報を含まない付加セル部分がスキップされるノンリニア再生がおこなわれ、再生の動作に支障を来すことはない。特に、第2実施形態においては、ランド部43の反射率が低い領域では、トラッキングサーボの作用の結果として、光ビーム44はグルーブ41の中心をトレースするようにして移動し、ランド部43の反射率が低い領域では、光ビーム44はグルーブ41の中心からずれて移動することとなるが、いずれの場合にもグルーブ41に沿ってトラッキングサーボはおこなわれる。
「第3実施形態」
以上においては、プリフォーマットとして形成されているアドレスピット42を破壊することを主眼とするものであった。別の実施形態としては、プリフォーマット後記録情報の記録をおこなう以前に、DVD−R記録媒体の一部の領域において、グルーブ41およびアドレスピット42またはグルーブ41を熱破壊しておくか、グルーブ41を当初から設けないものとすることができる。グルーブ41を当初から設けない場合には、マスタリング時点で、スタンパーを製造するために塗布されたフォトレジストに照射するグルーブを設けるための光ビームの発光を一時中断して、グルーブに対応する部分が一部欠落したスタンパーを製造して、このスタンパーからDVD−R記録媒体を製造するものとすることができる。このスタンパーから製造されたDVD−R記録媒体の内周部には、グルーブ41の欠落部分の位置を表す情報がプリフォーマット情報として記録されている。
マスタリング、スタンピングのプロセスを経て、このようなDVD−R記録媒体を製造し、それを拡販し、用いる場合には以下のような使用方法が可能である。スタンピングのプロセスを経て製造された特別仕様のDVD−R記録媒体は、限られた第1ユーザ(単数または複数)のみに対して、1枚毎、または、複数枚を1セットとして配布される。ここで、アドレスピット42のどの領域が破壊されているかの破壊領域情報を、第1ユーザ以外は知ることができないようにしておく。具体的には、このような特別仕様の特定のDVD−R記録媒体と、この特定のDVD−R記録媒体に関する破壊領域情報とは、例えば、密封された同一梱包によって販売される。DVD−R記録媒体の製造業者には、破壊領域情報および第1ユーザに関する情報についての守秘義務が課せられ、DVD−R記録媒体の製造業者からこのような情報が漏れることはないようになされている。そして、この第1ユーザ(著作権者または著作権者から複製権等を付与された者)は、このDVD−R記録媒体に情報を記録した後、第2ユーザにこの記録済みのDVD−R記録媒体を配布するとともに、破壊された領域がどの部分であるかの情報、または、この特定のDVD−R記録媒体をノンリニア再生するためのソフトウエア情報を別の情報伝達路を介した情報として、例えば、フレキシブルディスクに記録された情報、暗号化されたインターネット情報として、第2ユーザに通報する。ここで、第2ユーザは、著作権者または著作権者の委託を受けた代理人から適法に著作物の利用の許諾を受けた者(複数または単数)である。このようにすれば、最終的に著作権者からライセンスを受けた第2ユーザは、著作権者から直接的または間接的に、この特別の破壊された領域の破壊領域情報、または、この特別の破壊された領域をさけてノンリニア再生をするソフトウエアの提供を受けることができる。なお、破壊された領域を避けて再生するようにナビゲーションデータを設定している場合には、ノンリニア再生をするソフトウエアの提供を受けた第2ユーザに対して提供を行わなくても、映像の再生は可能である。そして、例えば、このソフトウエアをPCにダウンロードして、所望の情報が記録されたDVD−R媒体からのノンリニア再生が可能となる。ここにおいて、スタンピングによって多量に製造された、このような特別仕様のDVD−R記録媒体は、その製作の費用を安くすることができる。
このような、DVD−R記録媒体では、グルーブ41およびアドレスピット42またはグルーブ41が欠落した部分を短くして、上述したようにサーボに対する影響を小さなものとすることができるが、マスタリングのプロセスによって、グルーブ41が欠落した部分を長くして、トラッキングサーボが不可能とすることによって別の利益を得ることができる。トラッキングサーボが不可能となる場合には、プリフォーマット後記録情報を書きことができないのみか、プリフォーマット情報を得ることができないので、DVDコピーは、不可能となる。すなわち、グルーブ41およびアドレスピット42またはグルーブ41が欠落した部分にDVD−Rフォーマット情報とは異なる情報を書き込む必要がないので、新規なLSIも必要とされないこととなる。
この場合において、グルーブ41または/およびアドレスピット42が存在しない領域の直後に有意な情報を書き込むと、その部分へのアクセスが困難となるので、適宜、アクセスを可能とするための有意なプリフォーマット情報、または、プリフォーマット後記録情報としてのダミー情報を記録後、実際の再生に寄与する有意なプリフォーマット後記録情報を記録することとなる。
「第4実施形態」
上述した第1ないし第3実施形態においては、マスタリングのプロセスを用いる場合以外は、光ビームが破壊するガイド部、例えば、グルーブ41は、破壊によっても、サーボの機能が害されない範囲のものであった。すなわち、サーボ系を適切に動作させて、ノンリニア再生においては問題を生じない領域のみを選択的に破壊するものであった。このようにして、サーボ系の作用によって、本来は、破壊すべきでない有意な情報を記録した領域を破壊から防止することができた。
しかしながら、より広範な領域、すなわち、通常のDVD記録再生装置を用いる場合において、サーボ系の動作が異常を生じる程、記録装置によってグルーブ41を破壊すれば、より、DVDコピーが困難となるものである。第4実施形態はこのような観点から提案される実施形態である。以下、図10に沿って、第4実施形態の説明をする。
図10の(A)は、プリフォーマット後記録情報が記録される区間を示すものであり、また、図10の(B)は、チャンネルビットクロックを示すものである。ここで、図10の(A)に示すプリフォーマット後記録情報が記録される区間の長さは、通常のDVD記録再生装置のサーボ系、例えば、フォーカスサーボ、または、トラッキングサーボ系が異常動作を呈する程度に長いものとされており、図9の(A)に示す区間よりも長いものとされている。このような場合において、図10の(C)に示すように、レーザ光の強度をグルーブが破壊されるか否かの限界の強度である記録破壊閾値よりも大きくして、ガイド部として機能するグルーブを連続して破壊することができる。図10の(D)は通常の再生時点におけるレーザ光の強度を示すものである。
ここで、このように、長い記録区間に渡りガイド部を破壊する場合には、サーボ系の動作が異常になるので、このような記録をおこなうためには、通常のDVD記録装置には備わっていないサーボの機能が必要とされることとなる。このような、機能を実現するために、例えば、以下のような、図示しない構成を有する記録装置が提供されるものである。
まず、光学部は、光源からの光ビームを、0次光、+1次光、−1次光に分離するため回折格子が用いられ、3スポット構成とされる。そして、各々の光スポットは、光記録媒体のグルーブのラジアル方向の異なる位置に配置される。ここで、これらの光スポットの各々は、グルーブが破壊される記録区間長に対応するラジアル方向の距離よりも、離間して配置されるものとする。また、この3スポットのうち、0次光に対応する光ビームは、第1実施形態ないし第3実施形態に示すと同様のフォトディテクタに照射され、+1次光および−1次光の各々に対応する光ビームの戻光を受光するために、2つの追加のフォトディテクタを有する。この追加のフォトディテクタの各々は、4分割され、各々の4分割のフォトディテクタからの信号によってフォーカスサーボのための例えばアスティグマ信号、および、トラッキングサーボのための例えばプッシュプル信号が得られるようにされている。また、0次光の光量と、+1次光および−1次光の光量との割合は、不均一とされ、ガイド部を破壊する程度のレーザ出力パワーとする場合においても、+1次光および−1次光の光量を受光するフォトディテクタからのアスティグマ信号、および、プッシュプル信号は飽和をすることがないように設定されている。
上述のような構成を有するDVD記録装置は以下のように動作する。通常の記録区間においては、0次光によってサーボ系を動作させる。図10の(A)の記録区間(ハイレベル)においては、+1次光、または、−1次光を用い非破壊部のグルーブに基づきサーボをおこなうとともに、非破壊部からのアドレス情報によって、0次光の照射される位置を推定する。予め、0次光と、+1次光および−1次光との相対位置が既知であるので0次光の照射される位置の推定に困難はない。このようにして、+1次光、または、−1次光を用いサーボを正常に動作させながら、0次光によってプリグルーブの破壊をおこなうことができる。
図10の(F)は、記録時における、別のレーザ出力パワーを示すものである。すなわち、記録区間において常時「1」を出力データとするものである。また、図10の(I)は、記録区間において常時「0」を出力データとするものである。ここで、光学部の構成として、記録信号WDTを正論理としても良く、負論理としても良いことを表すものであり、図10の(G)および図10の(J)に示す記録時におけるレーザ出力パワーは同一である。また、図10の(H)および図10の(K)は、再生時におけるレーザ出力パワーを示すものである。
「実施形態の変形例」
上述の実施の形態は、DVD−R記録媒体を一例として説明したが、実施形態の他の変形例としては、例えば、光記録媒体に記録する記録フォーマットとしては、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、DVD−RAMを用いることができる。さらには、DVDフォーマットに限定されるものではなく、CD−Rフォーマットを始めとして、他のいかなるフォーマットに変形したものであっても同様に実施が可能である。
また、光ビームを導くためのプリフォーマットのガイド部は、溝として形成されるものに限らず、ピットとして形成されているものであっても同様に実施が可能である。また、このガイド部の位置を特定するためのアドレス部は、ランド部に配されたピットとして形成されるのみならず、アドレス部とガイド部とを共用して、ピットの長さによってアドレスを表すものとしても良く、一定周期のウォブル溝とすることなく、ウォブルの周期を変化させることによってアドレス情報を表すものであっても良いものである。
また、プリフォーマット後記録情報を書き込むための記録膜は、有機色素を用いるのみならず、合金層として熱によってアモルファス化させ反射率を変化させるものであっても良く、相変化膜であっても良く、さらには、光磁気膜として、光学系としては、カー回転角を検出するものを使用するものであっても良いものである。
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