JP4321459B2 - ブスバーの放熱プレートへの取り付け構造 - Google Patents

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パワーエレクトロニクス回路等の大電流配線に使用されるブスバーの放熱プレートへの取り付け構造に関する。
内燃機関車、ハイブリッド車、燃料電池車などの種々の動力形式の自動車では、直流−交流変換用の単層または三相のインバータ、直流−直流変換用のDC−DCコンバータなどが使用されている。これらインバータやコンバータといった所謂パワーエレクトロニクス回路部品では、大電流が流れるため、ジュール損や銅損などにより発熱し、温度が上昇する。温度が上昇すると、回路部品そのものの耐久性や信頼性が損なわれだけでなく、車両の火災の原因にもなりかねない。
そこで、これまでも温度上昇を抑えるために様々な工夫がなされてきた。たとえば、DC−DCコンバータの温度上昇を抑えるために、コンバータを構成するトランスやチョークコイルのコアを金属製の放熱プレートに接触させている。また、発熱源である電流が流れるコイル自身をブスバー(長板状導体片)で構成し、そのブスバーを絶縁のため樹脂プレートに埋め込み、ブスバーの入出力端部において樹脂プレートの下面を放熱プレートの上面に密着させている(例えば、特許文献1参照)。
この樹脂プレートに埋め込んだブスバーを放熱プレートに密着させる従来技術は、いくつかの問題を有している。すなわち、ブスバーと放熱プレートの上面の間には樹脂プレートの樹脂層が介在し、且つ単に樹脂プレートの下面を放熱プレートの上面に密着させているだけであるため、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が低く、冷却効率が低い。また、自動車の走行などによる振動により密着度合いが悪くなり、益々冷却効率が低下する。
密着度合いを増すため、ブスバーにねじが貫通するバカ穴をあけ、放熱プレートの上面にねじ穴をあけてねじ止めするブスバーの放熱プレートへの取り付け構造は容易に考えられる。
しかし、この放熱プレートの上面にねじ穴をあけてねじ止めする取り付け構造でも、問題を有している。すなわち、最初一定のトルクでねじを締めて密着させても、通常ブスバーの温度が100〜150℃程度になるため、樹脂プレートの弾性力がクリープ現象により低下してねじが緩み、密着度合いが悪くなり益々冷却効率が低下する。
特開2002−369527号公報
従来のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造は、上記したように、元々ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が低いために冷却効率が低く、また、振動やクリープにより密着度合いが悪くなり益々熱伝導が低くなり益々冷却効率が低くなるといった問題を有していた。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が高く、熱伝導度の低下の少ない高い冷却効率が維持されるブスバーの放熱プレートへの取り付け構造を提供することを課題としている。
課題を解決するためになされた発明ブスバーの放熱プレートへの取り付け構造は、金属製の放熱プレートと、発熱体となるブスバーを持つ電子回路部品と、該ブスバーと該放熱プレートの間を絶縁する絶縁部材と、ねじと、を備え、該放熱プレートは、上面に上方に突き出す凸部を持ち、該凸部の上端面から下方にねじ穴が形成されており、該ブスバーは該凸部が嵌挿される穴を持つ板状導体片であり、該ブスバーの該穴に該凸部を嵌挿させて該ブスバーの下面を該絶縁部材を介して該放熱プレートの上面に当接させ、該ねじ穴に該ねじを螺合して該ブスバーを該放熱プレートに締結して該ねじの頭が該凸部の上端面に当接することを特徴としている。
ブスバーを絶縁部材を介して放熱プレートに当接させ、さらにねじで締結するのでブスバーが放熱プレートの上面に加圧される。したがって、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が高く、冷却効率が高い。また、放熱プレートが金属製で、その凸部のねじ穴にねじを螺合してブスバーを放熱プレートに加圧締結する構造であり、ねじ締めトルクは凸部の上端面からねじの頭に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗とバランスしている。したがって、ブスバーの温度が上昇しても金属のクリープ量が微少であるので、凸部の上端面からねじの頭に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗は変わらず、ねじが緩むことがない。さらに、ブスバーの穴に放熱プレートの凸部が嵌挿されるので、放熱プレートの凸部の位置を所定の位置にすることで、ブスバーを放熱プレートの所定の位置に位置決めすることが容易になる。
また、記のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造において、前記絶縁部材は、絶縁シート又は絶縁グリスであるとよい
絶縁シート及び絶縁グリスは、薄くても絶縁性が高いので、ブスバーの下面と放熱プレートの上面の間隔を狭くすることができ、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度がさらに高くなり、冷却効率がさらに高くなる。
課題を解決するためになされた発明ブスバーの放熱プレートへの取り付け構造は、金属製の放熱プレートと、発熱体となるブスバーを持つ電子回路部品と、ねじと、を備え、該放熱プレートは、上面に上方に突き出す凸部を持ち、該凸部の上端面から下方にねじ穴が形成されており、該ブスバーは該凸部が嵌挿される穴を持つ板状導体片で、樹脂モールドされており、該ブスバーの該穴に該凸部を嵌挿させて該ブスバーの下面を該放熱プレートの上面に当接させ、該ねじ穴に該ねじを螺合して該ブスバーを該放熱プレートに締結することを特徴としている。
ブスバーが樹脂モールドされているので、ブスバーと放熱プレートの間の絶縁部材を必要とせず、ブスバーの放熱プレートへの取付を短時間且つ容易に行うことができる。
また、記のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造において、さらに、前記樹脂モールドされたブスバーと前記放熱プレートの間に放熱グリスを備えるとよい
樹脂モールドされたブスバーが放熱グリスを介して放熱プレートに当接されるので、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が高くなり、冷却効率が高くなる。
また、前記凸部は角柱であるとよい
凸部が角柱の場合、凸部が嵌挿されるブスバーの穴は角穴であり、ブスバーの回り止め機能が発揮される。
また、さらに、前記ねじと前記ブスバーの間に加圧プレートを備えるとよい
ブスバーを絶縁部材を介して放熱プレートに当接させ、さらにねじで締結するのでブスバーが放熱プレートの上面に加圧されるが、ねじの加圧力が加圧プレートによってより広い領域に加えられるので、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度がさらに高くなり、冷却効率がさらに高くなる。
また、前記加圧プレートは、バネ形状を有するとよい
絶縁部材が樹脂のためクリープしても、バネ形状による付勢力で所定以上に加圧できるので、クリープによる加圧力の低下(熱伝導度の低下)を防ぐことができる。
また、前記電子回路部品は、コンバータである。
コンバータは、磁気部品であるトランスやチョークコイルを含んでいる。トランスの1次コイルと2次コイル及びチョークコイルは、配線長が長く、且つ表皮効果や近接効果による銅損により、発熱量が大で高温になるが、それらコイルの入出力端をなすブスバーが放熱プレートで効率よく冷却されるので、高温になることを防ぐことができる。
ブスバーを絶縁部材を介して放熱プレートに当接させ、さらにねじで締結するのでブスバーが放熱プレートの上面に加圧される。したがって、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度が高く、冷却効率が高い。また、放熱プレートが金属製で、その凸部のねじ穴にねじを螺合してブスバーを放熱プレートに加圧締結する構造であり、ねじ締めトルクは凸部の上端面からねじの頭に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗とバランスしている。したがって、ブスバーの温度が上昇しても金属のクリープ温度以下であるので、凸部の上端面からねじの頭に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗は変わらず、ねじが緩むことがない。
本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
(実施形態1)
最も基本的なブスバーの放熱プレートへの取り付け構造は、図1に示すように、金属製の放熱プレート1と、ブスバー2を持つ電子回路部品(図示せず)と、ブスバー2と放熱プレート1の間を絶縁する絶縁部材3と、ねじ4と、を備え、放熱プレート1は、上面11に上方に突き出す凸部12を持ち、凸部12の上端面13から下方にねじ穴14が形成されており、ブスバー2は凸部12が嵌挿される穴21を持つ板状導体片であり、ブスバー2の穴21に凸部12を嵌挿させてブスバー2の下面22を絶縁部材3を介して放熱プレート1の上面11に当接させ、ねじ穴14にねじ4を螺合してブスバー2を放熱プレート1に締結するものである。図2は、図1のA−A線断面図であるが、この図に示すように凸部12は正四角柱であり、ブスバー2の穴21の形状は、その正四角柱12が嵌挿するように正方形をしている。
放熱プレート1は、熱伝導度の高いAl又はCu製が好ましい。凸部12の高さは、放熱プレート1の上面11に積層される絶縁部材3とブスバー2の合計厚さより低く設定されている。放熱プレート1とブスバー2の電気絶縁は、絶縁部材3で行われる。絶縁部材3としては、各種樹脂を使うことができるが、テフロン(登録商標)シートやシリコーンシートなどの絶縁シートや放熱シートを用いるとよい。テフロン(登録商標)は絶縁性が高いので、その分薄く(例えば30μm程度に)でき、ブスバー2から放熱プレート1への熱伝導度が高くなる。シリコーンは、樹脂(高分子)の中でも熱伝導度が高いので、100μm程度の厚さでもブスバー2から放熱プレート1への熱伝導度が高くなる。ねじ4が金属製である場合は、ねじ4とブスバー2の間にも絶縁部材3を介在させる必要がある。また、ねじ4としては、頭41が凸部21の外形寸法より大きいものを使用する。なお、以下の実施形態のように、ワッシャ作用を有する加圧プレートを使用すればこの限りでない。
次に、本実施形態でのブスバーの放熱プレートへの取り付け方を説明する。先ず、放熱プレート1の上面11に絶縁部材3を配置し、その後ブスバー2の穴21に凸部12を嵌挿させてブスバー2を配置する。次に、ねじ4を所定のトルクで螺合する。すると、先ず、ねじ4の頭41の下部がブスバー2の上面23に当接し、下向きの力が加わり、絶縁部材3がわずかに圧縮され、ついには頭41の下部が凸部12の上端面13に当接し、ねじ4を螺合するトルクと、凸部12の上端面13からねじ4の頭41に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗と、がバランスしたところで締結が完了する。
ブスバー2の温度が上昇しても金属のクリープ温度以下であるので、凸部12の上端面13からねじ4の頭41に加わる上向きの圧力によるねじの回転抵抗は変わらず、ねじが緩むことがない。
また、凸部12が四角柱で、ブスバー2の穴21の形状が四角形であるので、ブスバー2の回転が阻止される。
(実施形態2)
本実施形態は、図3に示すように、実施形態1におけるねじ4を金属製にし、ねじ4´とブスバー2の間に絶縁部材3´を介在させ、ねじ4´の頭41´と凸部12の上端面13との間にバネ形状を有する加圧プレート5を挿入したものである。加圧プレート5は、バネ鋼製で、点線で示すように、フリー状態のとき周縁部が下に凹んだ形状をしているものがよい。なお、絶縁部材3´は、凸部12が嵌挿されるブスバー2の穴21に回り込んでおり、ブスバー2と凸部12との間の絶縁も分担している。本実施形態における絶縁部材3は、たとえばシリコーン製の放熱シートであり、絶縁部材3´は、たとえばPBT樹脂である。絶縁部材3´は、主にねじ4´とブスバー2との間を絶縁するためのものであり、熱伝導度が高い必要がないので、比較的安価なPBT樹脂などでよい。なお、ブスバー2が樹脂モールドされた所謂インサートブスバーの場合、絶縁部材3及び3’を省くことができるので、取り付け作業が簡単になる。
本実施形態では、ねじ4´を螺合するトルクによる圧力が加圧プレート5で絶縁部材3´の広い領域に加えられるので、ブスバー2の下面22と絶縁部材3の間及び絶縁部材3と放熱プレート1の上面11の間の密着性が増し、ブスバーから放熱プレートへの熱伝導度がさらに高くなり、冷却効率がさらに高くなる。
また、絶縁部材3及び3´は、クリープ現象により弾性力が低下し厚みが減少するが、本実施形態ではバネ形状を有する加圧プレート5を用いているので、厚みが減少しても点線のように加圧プレート5の周縁部が下に凹んで絶縁部材3´を加圧するので、クリープによる加圧力の低下を防ぐことができる。
(実施形態3)
本実施形態は、図4に示すように、実施形態2におけるブスバー2をDC−DCコンバータ10の出力端子とし、トランスコア101を放熱プレート1に固定するためのホルダ103の端部をバネ形状を有する加圧プレート5´としたものである。
DC−DCコンバータ10は、トランスやチョークコイル、スイッチングダイオードなどからなるが、図4にはトランスのコア101と、コア101に巻回されているブスバー2の樹脂モールド102及びコア101を固定するホルダ103だけを図示し、他は図示を省略している。
通常、ホルダ103は、バネ鋼で作られているので、本実施形態のようにホルダ103の端部をバネ形状を有する加圧プレート5´にして利用すれば、別途加圧プレートを用意する必要がないし、ブスバーとコアの放熱プレートへの固定を同時に行うことができる。また、DC−DCコンバータは、各種コイルでの配線長が長く、且つ表皮効果や近接効果による銅損により発熱量が大であるが、本実施形態のように、コアが放熱プレートで冷却されると共に、ブスバーが放熱プレートで効率よく冷却されるので、高温になることを防ぐことができる。
本発明の実施形態1におけるブスバーの放熱プレートへの取り付け構造の断面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施形態2におけるブスバーの放熱プレートへの取り付け構造の断面図である。 本発明の実施形態3におけるブスバーの放熱プレートへの取り付け構造の断面図である。
符号の説明
1・・・・・・放熱プレート
2・・・・・・ブスバー
3、3´・・・絶縁部材
4、4´・・・ねじ
5、5’・・・・加圧プレート
10・・・・・電子回路部品(コンバータ)
11・・・・・放熱プレートの上面
12・・・・・凸部
13・・・・・上端面
14・・・・・ねじ穴
21・・・・・穴
22・・・・・ブスバーの下面

Claims (6)

  1. 金属製の放熱プレートと、
    発熱体となるブスバーを持つ電子回路部品と、
    該ブスバーと該放熱プレートの間を絶縁する絶縁部材と、
    ねじと、を備え、
    該放熱プレートは、上面に上方に突き出す凸部を持ち、該凸部の上端面から下方にねじ穴が形成されており、
    該ブスバーは該凸部が嵌挿される穴を持つ板状導体片であり、
    該ブスバーの該穴に該凸部を嵌挿させて該ブスバーの下面を該絶縁部材を介して該放熱プレートの上面に当接させ、該ねじ穴に該ねじを螺合して該ブスバーを該放熱プレートに締結して該ねじの頭が該凸部の上端面に当接することを特徴とするブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
  2. 前記絶縁部材は、絶縁シート又は絶縁グリスであることを特徴とする請求項1に記載のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
  3. 前記凸部は角柱であることを特徴とする請求項1または2に記載のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
  4. さらに、前記ねじと前記ブスバーの間に加圧プレートを備えることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
  5. 前記加圧プレートは、バネ形状を有することを特徴とする請求項に記載のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
  6. 前記電子回路部品は、コンバータであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載のブスバーの放熱プレートへの取り付け構造。
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