JP4320856B2 - 中空形材の曲げ加工方法並びにシートバックフレーム製造方法及びシートバックフレーム構造 - Google Patents

中空形材の曲げ加工方法並びにシートバックフレーム製造方法及びシートバックフレーム構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空形材を曲げ加工する方法に関し、特に小さな曲げ半径でアルミニウム合金の中空押出形材を曲げ加工する場合に有効な中空形材の曲げ加工方法に関する。さらに本発明は、前記中空形材の曲げ加工方法を用いたシートバックフレームの製造方法及びシートバックフレームの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、自動車用のシートバックフレームを表す斜視図である。このシートバックフレーム20’は、自動車の前列・後列座席、ウォークスルー形式の前列座席、RV車等の中列座席その他の独立して強度を保持する構成の座席(以下、単に「座席」という。)の背もたれの骨組となるものであり、一人用の右シートバックフレーム21’と二人用の左シートバックフレーム22’とからなっている。そして、右シートバックフレーム21’は、横上側フレーム材21a’、横下側フレーム材21b’、縦外側フレーム材21c’、縦内側フレーム材21d’を組み合わせて構成されており、左シートバックフレーム22’は、横上側フレーム材22a’、横下側フレーム材22b’、縦外側フレーム材22c’、縦中央フレーム材22d’、縦内側フレーム材22e’を組み合わせて構成されている。
【0003】
これらの各フレーム材としては、近年における自動車の軽量化の要請に応えつつも自動車の衝突時に破断しない強度を確保するため、アルミニウム合金を押出成形した中空断面形材を利用することが考えられている。そして、このようなフレーム材同士の接合方法としては、縦方向のフレーム材(例えば縦外側フレーム材21c’,22c’)と横方向のフレーム材(例えば横上側フレーム材21a’,22a’)とを、溶接又はボルトにより接合するものが一般的であった(ボルト接合については、例えば特願平11−196888号参照)。
【0004】
ここで、溶接による接合方法は熱影響によるフレーム材の材料強度低下を招き、ボルトによる接合方法は加工組立工数の増大を招くという欠点があるため、シートバックフレームの製造に際しては、溶接又はボルトによる接合部位を極力減らすことが望ましい。また、単に一方のフレーム材の端面を他方のフレーム材の側面に対して溶接又はボルトにより接合した場合、接合角部分の外形に丸みをもたせることができないため、例えばシートバックフレーム21’,22’に被せられるシートバッククッション23の角部分の厚みnが不足するという不都合を生じる。
【0005】
したがって、溶接又はボルトによる接合部位を極力減らすとともに、シートバッククッション23の角部分の厚みnを確保するためには、全てのフレーム材を溶接又はボルトにより接合することによりシートバックフレームを製造するのではなく、例えば一本の直管状のフレーム材をL字形又はコ字形に曲げ加工し、これをシートバックフレームの一部(例えばL字形の場合には、縦外側フレーム材21c’と横上側フレーム材21a’とを接合したもの、コ字形の場合には、縦外側フレーム材21c’と横上側フレーム材21a’と縦内側フレーム材21d’を接合したもの)として用いればよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、横断面外形の大きな中空フレーム材を通常の方法により小さな曲げ半径で曲げ加工すると、湾曲部外側面に亀裂Kが発生したり(図6(a)参照)、湾曲部外側面に凹みHが生じたり(図6(b)参照)、湾曲部内側面にシワSが寄る(図6(c)参照)という問題が生じる。一方、このような問題が生じない程度の大きな曲げ半径で曲げ加工した場合には、本来フレーム材の平坦面に固定すべき部材を、曲げ加工によって生じるフレーム材の湾曲面に固定せざるを得なくなり(例えば図7におけるヘッドレストブラケット24を取り付けるためのブラケット固定パイプ25)、加工上あるいは構造上好ましくない。
【0007】
このような弊害を回避するための方策として、例えば一本のフレーム材に切り欠き26を設けておき(図8(a)参照)、この切り欠き26が湾曲部内側に位置するようにフレーム材を曲げ加工し、切り欠き26の対向面同士を溶接する(図8(b)参照)というものも考えられる。しかし、この方策によれば、湾曲部に亀裂・凹み・シワ等を発生させずに小さな曲げ半径でフレーム材を曲げ加工することはできるものの、切り欠き26を形成する加工手間が余計にかかり、溶接による熱影響の問題もある。
【0008】
なお、以上の問題は、自動車用のシートバックフレームに用いるアルミニウム合金を押出成形した中空フレーム材だけでなく、用途・材質等を問わず中空形材一般についてあてはまるものである。
【0009】
本発明は、以上のような問題に鑑み、湾曲部に有害な亀裂・凹み・シワ等を発生させることなく小さな曲げ半径で中空形材を曲げ加工できるとともに、加工手間が煩わしくなく、溶接による熱影響も生じない中空形材の曲げ加工方法を提案することを目的とし、さらにはこの中空形材の曲げ加工方法を利用したシートバックフレーム製造方法及びシートバックフレーム構造を提案することをも目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に係る発明は、第一中空部と第二中空部とを有する中空形材を曲げ加工する方法であって、前記中空形材が、前記第一中空部と前記第二中空部の間に、前記中空形材の曲げ半径方向と直交する仕切壁を備えており、前記中空形材の曲げ半径方向と平行な前記第二中空部の側壁を、少なくともこの中空形材の曲げ加工を施すべき部分において、当該中空形材の長手方向に沿って前記第二中空部内方向に谷折り変形させて谷折り変形部分を形成しておき、その後、前記第一中空部を湾曲部外側に位置させるとともに前記第二中空部を湾曲部内側に位置させた状態で、前記谷折り変形部を前記第二中空部内方向にさらに変形させつつ前記中空形材を曲げ加工することを特徴とする中空形材の曲げ加工方法である。
【0011】
なお、ここでいう「中空形材の曲げ加工を施すべき部分」とは、曲げ加工後に材軸が直線ではなく曲線となるような中空形材の区間部分(以下「湾曲部」ともいう。)を意味する。また「中空形材の曲げ加工を施すべき部分において」とは、曲げ加工後に材軸が曲線となるような中空形材の区間部分と全く同じ区間部分について側壁を変形させておくことに限定されず、それより若干長い区間部分又はそれより若干短い区間部分について側壁を変形させておくことをも包含する趣旨である。さらに「少なくとも」とあることから、中空形材の全長にわたって側壁を変形させておくことも含まれる。さらにまた「中空形材の長手方向に沿って」とは、例えば側壁を谷折り変形させておく場合に、谷底線の向きが中空形材の材軸方向に平行であることを意味する。
【0012】
このように請求項1に係る発明は、中空形材を曲げ加工するに際して、曲げ半径方向と平行な側壁を、少なくとも中空形材の曲げ加工を施すべき部分において、長手方向に沿って中空部内方向に変形させておくことにより、曲げ加工に伴う中空形材の変形を側壁に集中させるものである。すなわち、中空形材の一部を変形させやすいようにしておくことにより曲げ加工に伴って生じる変形を当該部位に集中させ、他の部位には有害な亀裂・凹み・シワ等が発生することを回避する点に特徴がある。そして、このような方策によれば、小さな曲げ半径で中空形材を曲げ加工できるとともに、曲げ加工に際して切り欠きを設ける等の煩わしい加工手間が不要であり、曲げ加工後の中空形材に溶接による熱影響も生じない。なお、曲げ加工後の曲げ変形された区間における中空形材の横断面外形は曲げ加工前に比べて小さくなるが、中空形材の断面積が減るわけではないため、中空形材の最終的な破断強度は低下しない。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、第一中空部と第二中空部とを有する中空形材を曲げ加工する方法であって、前記中空形材が、前記第一中空部と前記第二中空部の間に、前記中空形材の曲げ半径方向と直交する仕切壁を備えており、前記中空形材の押出成形時に、この中空形材の曲げ半径方向と平行な前記第二中空部の側壁を、当該中空形材の長手方向に沿ってその全長にわたり前記第二中空部内方向に谷折り変形させて谷折り変形部分を形成しておき、その後、前記第一中空部を湾曲部外側に位置させるとともに前記第二中空部を湾曲部内側に位置させた状態で、前記谷折り変形部分を前記第二中空部内方向にさらに変形させつつ前記中空形材を曲げ加工することを特徴とする中空形材の曲げ加工方法である。
【0014】
かかる中空形材の曲げ加工方法は、請求項1に係る発明と略同様の手段を採用するものであるが、中空形材の押出成形時、すなわち中空形材の製造と同時に、中空形材の全長にわたって側壁を変形させておく点に特徴がある。したがって、中空形材の製造後から曲げ加工前までの間に側壁を変形させる加工手間が省け、コストダウンを図ることができる。
【0016】
また、本発明によれば、中空部が曲げ半径方向に連続する複数の室に分かれている横断面の中空形材であっても、曲げ半径方向と平行な側壁を長手方向の所定区間にわたって中空部内方向に変形させておくことにより、曲げ加工後に伴って生じる中空形材の変形を当該側壁に集中させることができる。
【0017】
さらに、請求項に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の中空形材の曲げ加工方法によりL字形又はコ字形に曲げ加工したアルミニウム合金の中空押出形材を、シートバックフレームの一部として用いることを特徴とするシートバックフレーム製造方法であり、請求項に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の中空形材の曲げ加工方法によりL字形又はコ字形に曲げ加工したアルミニウム合金の中空押出形材を一部に用いてなることを特徴とするシートバックフレーム構造である。
【0018】
かかるシートバックフレーム製造方法ないしシートバックフレーム構造は、L字形又はコ字形に曲げ加工した曲げフレーム材をシートバックフレームの一部として用いるため、従来のシートバックフレームに比べて溶接やボルトによる接合部位が減り、大幅な加工工数の削減を図ることができる。しかも、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の中空形材の曲げ加工方法を用いて曲げ加工を行うため、従来のシートバックフレームと略同等の強度を確保することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明に係る中空形材の曲げ加工方法の一実施形態の説明図である。図1(a)に示すように、曲げ加工対象の中空形材10は第一中空部10Aと第二中空部10Bとを有しており、第一中空部10Aは上壁11、側壁12,13、仕切壁14で囲まれ、第二中空部10Bは仕切壁14、側壁13,15、下壁16で囲まれている。そして、この中空形材10を、上壁11が湾曲部外側面、下壁16が湾曲部内側面となるように曲げ加工する。
【0021】
ここで同図に示すように、曲げ半径方向と平行な側壁12,13,15のうち側壁13の湾曲部内側及び側壁15の中央部を、第二中空部10B内方向に向けて谷折り変形させておく(以下、図中において谷折り変形部分を符号Tで示す。)。ここで、谷折り変形部分Tの向きは、同図に示すように中空形材10の材軸方向に平行とする。谷折り変形部分Tの長さmは、中空形材10を曲げ加工したときにその材軸が曲線となる区間長さm’(図1(b)参照)と同じ又はこれよりも若干長めとすればよいが、これより若干短めとしてもよい。また、中空形材10の全長Lにわたって谷折り変形部分Tを形成してもよく、この場合には中空形材10を押出成形する際に谷折り変形部分Tを形成しておくことができる。また、谷折り変形部分Tの深さは、側壁13,15に僅かに折れ線を付ける程度でよい。なお、山折り変形とせず谷折り変形としたのは、山折り変形しておくと中空形材10の曲げ加工後に湾曲部の横断面外形が膨らんでしまい、他の部材との取合い上不都合を生じるのに対し、谷折り変形しておく場合にはこのような不都合が生じず、しかも変形加工が容易だからである。
【0022】
このように側壁13,15を第二中空部10B内方向に向けて谷折り変形させた後、図1(b)に示すように、上壁11が湾曲部外側面、下壁16が湾曲部内側面となるように中空形材10を曲げ加工する。すると、側壁13,15の谷折り変形部分Tが第二中空部10B内方向に向かってさらに食い込み、湾曲部において第二中空部10Bが潰れた格好となるが、湾曲部以外の部位は全く健全な横断面形状が保持される。湾曲部においても上壁11、側壁12、側壁13の湾曲部外側、仕切壁14、下壁16には有害な亀裂・凹み・シワ等が発生せず、第一中空部10Aは全く健全な横断面形状が保持される。このように、側壁13,15の所定区間を変形させやすいようにしておき、曲げ加工に伴う中空形材10の変形を側壁13,15の当該区間に集中させることにより、その他の部位の横断面形状を健全に保持することが可能となる。
【0023】
したがって、小さな曲げ半径で曲げ加工しても中空形材10に有害な亀裂・凹み・シワ等が発生せず、曲げ加工に際して切り欠きを設ける等の煩わしい加工手間も不要であり、さらに曲げ加工後の中空形材10に溶接による熱影響も生じない。なお、曲げ加工後の湾曲部における中空形材10の横断面外形は曲げ加工前に比べて小さくなるが、中空形材10の断面積が減るわけではないため、中空形材10の最終的な破断強度が低下することはない。
【0024】
次に、図1を参照して説明した実施形態をより具体的に説明する。図2は、回転式曲げ加工機30を用いて、中空形材10を曲げ加工する方法を表す説明図である。回転式曲げ加工機30は、概略、搬送台(図示せず)、ガイド31、曲げ金型32、クランプ33、ワイパー34からなっている。ここで搬送台は、中空形材10を定置してこれを図中右方向へ搬送する装置である。またガイド31及びワイパー34はそれぞれ、搬送台により搬送された中空形材10の上壁11及び下壁16に当接して、曲げ金型32に至る直前の中空形材10が図中左右方向にスライド自在であるようにこれを図中上下方向から挟持する装置である。そして、曲げ金型32は、中空形材10の湾曲部内側面となる下壁16を受け込む金型溝部32aを有する円筒体であり、その回転軸32bに連結された回転駆動装置(図示せず)によって、中空形材10の搬送方向と一致する方向(図では時計まわり)に回転するようになっている。クランプ33は、図示しない支柱によって曲げ金型32の回転軸32bに連結され、曲げ金型32と一緒に同方向に回転するようになっている。またこのクランプ33は、中空形材10の湾曲部外側面となる上壁11を受け込むクランプ溝33aを有していて、クランプ溝33aと金型溝部32aとの間に中空形材10を挟持するようになっている。
【0025】
はじめに、中空形材10の側壁13,15を長手方向の所定区間にわたって第二中空部10B内方向に向かって谷折り変形させ、谷折り変形部分Tを形成しておく(図1(a)参照)。その後、中空形材10を回転式曲げ加工機30の搬送台に定置するとともに、中空形材10の後端部の開口から、出し入れ自在の挿入棒35の先端に固定した芯型36a,36bを中空内部に挿入する。そして、中空形材10の湾曲部の前方先端を金型溝部32aとクランプ溝33aとの間に挟んで固定する(図2(a)参照)。ここで、第一中空部10A内に挿入される芯型36aは、第一中空部10Aの横断面形状と略同様の横断面形状を呈しており、第二中空部10B内に挿入される芯型36bも、第二中空部10Bの谷折り変形区間の横断面形状と略同様の横断面形状を呈している。(図2(a)のI−I断面を示す図2(b)参照)。
【0026】
次に、この状態で回転軸32bを中心として曲げ金型32とクランプ33とを一緒に図中時計まわりに回転させると、中空形材10の湾曲部の前方先端が金型溝部32aとクランプ溝33aとの間に挟持されているのに対し、ガイド31及びワイパー34並びに芯型36a,36bの位置が固定されているため、中空形材10が引張り出されてL字形に曲げ加工される(図2(c)参照)。このとき、中空形材10の湾曲部において、側壁13,15が第二中空部10B内方向ヘ向かってさらに食い込み、第二中空部10Bの横断面形状が両側から潰れる格好となるが(図2(c)のII−II断面を示す図2(d)参照)、湾曲部以外の部位は全く健全な横断面形状が保持される。湾曲部においても上壁11、側壁12、側壁13の湾曲部外側、仕切壁14、下壁16には有害な亀裂・凹み・シワ等が発生せず、第一中空部10Aは全く健全な横断面形状が保持される。
なお、上記曲げ加工において、曲げ金型32とクランプ33とを一緒に回転させる回転軸32bの回転角は、スプリングバックを考慮して90°よりも若干大きくなる。
【0027】
なお、これまでの説明中、中空形材として第一中空部10Aと第二中空部10Bとを有する段差付異形横断面形状のものを例に挙げたが、本発明の適用対象となる中空形材の横断面形状はこれに限定されるものではない。例えば、図3(b)に示すように曲げ半径方向に直交する仕切壁18を有する、段差のない方形横断面形状のものであってもよい。なお、図3においても図1と同様、湾曲部外側面を上方向と、湾曲部内側面を下方向と想定している。
【0028】
また、変形させる区間長さは、曲げ加工が施される部分より若干長くても短くてもよく、中空形材10の全長にわたるものでもよい。これらのうち最も好ましいのは曲げ加工が施される部分より若干長いものであるが、その理由は、曲げ加工がなされない箇所の強度低下がなく、曲げ加工に際して曲げ部分の変形の程度が大きくなるのみで済むためである。また、中空形材10の全長にわたり変形させておく場合には、中空形材10の押出成形に際して側壁を変形させておくことができるという利点がある。
【0029】
さらに、図2においては回転式曲げ加工機30を用いて中空形材の曲げ加工方法を説明したが、本発明に係る中空形材の曲げ加工方法の実施は、回転式曲げ加工機に限らず他の曲げ加工機(例えばプレス曲げ加工機、ロール曲げ加工機等)を用いても可能であることは言うまでもない。
【0030】
引き続いて、以上説明した中空形材の曲げ加工方法を用いた、本発明に係るシートバックフレーム構造ないしシートバックフレーム製造方法について説明する。図4は、本発明に係るシートバックフレーム構造の一実施形態を表す斜視図である。同図に示すシートバックフレーム20は、図5に示した従来のシートバックフレーム20’と同様に座席の背もたれの骨組となるものであり、一人用の右シートバックフレーム21と二人用の左シートバックフレーム22とからなっている。そして、右シートバックフレーム21は、コ字形に曲げ加工された上部フレーム材21a、直線状の横下側フレーム材21b、L字形に曲げ加工された下外側フレーム材21c、下内側フレーム材21dを組み合わせて構成されており、左シートバックフレーム22は、コ字形に曲げ加工された上部フレーム材22a、直線状の縦中央フレーム材22b、横下側フレーム材22c、L字形に曲げ加工された下外側フレーム材22d、下内側フレーム材22eを組み合わせて構成されている。なお、各フレーム材はいずれも、近年における自動車の軽量化の要請に応えつつも自動車の衝突時に破断しない強度を確保するため、アルミニウム合金を押出成形した中空断面形材を用いている。
【0031】
ここで、右シートバックフレーム21におけるコ字形に曲げ加工された上部フレーム材21a、L字形に曲げ加工された下外側フレーム材21c及び下内側フレーム材21d、左シートバックフレーム22におけるコ字形に曲げ加工された上部フレーム材22a、L字形に曲げ加工された下外側フレーム材22d及び下内側フレーム材22eは、先に説明した中空形材の曲げ加工方法を用いて曲げ加工されている。したがって、図5に示した従来のシートバックフレーム20’に比べて溶接又はボルトによる接合部位が少なく、加工組立工数の削減を図ることができるとともに、熱影響によるフレーム材の材料強度低下を極力回避することができる。また、小さな曲げ半径で曲げ加工された曲げフレーム材を用いるため、例えばシートバックフレーム20に被せられるシートバッククッション23の角部分の厚みnが不足するという不都合も生じない。さらに、従来のシートバックフレーム20’と略同等の強度を確保することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る発明は、中空形材を曲げ加工するに際して、曲げ半径方向と平行な側壁を、少なくとも中空形材の曲げ加工を施すべき部分において、長手方向に沿って中空部内方向に変形させておくことにより、曲げ加工に伴う中空形材の変形を側壁に集中させ、他の部位には有害な亀裂・凹み・シワ等が発生することを回避することができる。そして、このような方策によれば、小さな曲げ半径で中空形材を曲げ加工できるとともに、曲げ加工に際して切り欠きを設ける等の煩わしい加工手間が不要であり、曲げ加工後の中空形材に溶接による熱影響も生じない。なお、曲げ加工後の曲げ変形された区間における中空形材の横断面外形は曲げ加工前に比べて小さくなるが、中空形材の断面積が減るわけではないため、中空形材の最終的な破断強度は低下しない。
【0033】
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明と略同様の作用・効果を奏するのみならず、中空形材の製造後から曲げ加工前までの間に側壁を変形させる加工手間が省け、コストダウンを図ることができる。
【0034】
また、発明によれば、中空部が曲げ半径方向に連続する複数の室に分かれている横断面の中空形材であっても、曲げ半径方向と平行な側壁を長手方向の所定区間にわたって中空部内方向に変形させておくことにより、曲げ加工後に伴って生じる中空形材の変形を当該側壁に集中させることができる。
【0035】
さらに、請求項又は請求項に係る発明によれば、L字形又はコ字形に曲げ加工した曲げフレーム材をシートバックフレームの一部として用い、従来のシートバックフレームに比べて溶接やボルトによる接合部位が減るため、大幅な加工工数の削減を図ることができる。しかも、請求項1又は請求項2に記載の中空形材の曲げ加工方法を用いて曲げ加工を行うため、従来のシートバックフレームと略同等の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る中空形材の曲げ加工方法の一実施形態の説明図である。
【図2】回転式曲げ加工機を用いて中空形材を曲げ加工する方法を表す説明図である。
【図3】(a)は参考実施形態に係る中空形材の断面パターンを表す図、(b)は本発明に係る中空形材の曲げ加工方法の適用対象となる中空形材の断面パターンを表す図である。
【図4】本発明に係るシートバックフレーム構造の一実施形態を表す斜視図である。
【図5】自動車用のシートバックフレームを表す斜視図である。
【図6】横断面外形の大きな中空フレーム材を通常の方法により小さな曲げ半径で曲げ加工したときの問題点を説明する図である。
【図7】横断面外形の大きな中空フレーム材を大きな曲げ半径で曲げ加工したときの問題点を説明する図である。
【図8】横断面外形の大きな中空フレーム材を小さな曲げ半径で曲げ加工する従来の方策の説明図である。
【符号の説明】
10 … 中空形材
10A … 第一中空部
10B … 第二中空部
11 … 上壁
12,13,15 … 側壁
14,18 … 仕切壁
16 … 下壁
17… リブ
20,20’ … シートバックフレーム
21,21’ … 右シートバックフレーム
21a … 上部フレーム材
21b … 横下側フレーム材
21c … 下外側フレーム材
21d … 下内側フレーム材
21a’… 横上側フレーム材
21b’… 横下側フレーム材
21c’… 縦外側フレーム材
21d’… 縦内側フレーム材
22,22’ … 左シートバックフレーム
22a … 上部フレーム材
22b … 縦中央フレーム材
22c … 横下側フレーム材
22d … 下外側フレーム材
22e … 下内側フレーム材
22a’… 横上側フレーム材
22b’… 横下側フレーム材
22c’… 縦外側フレーム材
22d’… 縦中央フレーム材
22e’… 縦内側フレーム材
23 … シートバッククッション
24 … ヘッドレストブラケット
25 … ブラケット固定パイプ
26 … 切り欠き
30 … 回転式曲げ加工機
31 … ガイド
32 … 曲げ金型
32a … 金型溝部
32b … 回転軸
33 … クランプ
33a … クランプ溝
34 … ワイパー
35 … 挿入棒
36a,36b … 芯型
H … 凹み
K … 亀裂
S … シワ

Claims (4)

  1. 第一中空部と第二中空部とを有する中空形材を曲げ加工する方法であって、
    前記中空形材が、前記第一中空部と前記第二中空部の間に、前記中空形材の曲げ半径方向と直交する仕切壁を備えており、
    前記中空形材の曲げ半径方向と平行な前記第二中空部の側壁を、少なくとも前記中空形材の曲げ加工を施すべき部分において、当該中空形材の長手方向に沿って前記第二中空部内方向に谷折り変形させて谷折り変形部分を形成しておき、その後、前記第一中空部を湾曲部外側に位置させるとともに前記第二中空部を湾曲部内側に位置させた状態で、前記谷折り変形部分を前記第二中空部内方向にさらに変形させつつ前記中空形材を曲げ加工することを特徴とする中空形材の曲げ加工方法。
  2. 第一中空部と第二中空部とを有する中空形材を曲げ加工する方法であって、
    前記中空形材が、前記第一中空部と前記第二中空部の間に、前記中空形材の曲げ半径方向と直交する仕切壁を備えており、
    前記中空形材の押出成形時に、この中空形材の曲げ半径方向と平行な前記第二中空部の側壁を、当該中空形材の長手方向に沿ってその全長にわたり前記第二中空部内方向に谷折り変形させて谷折り変形部分を形成しておき、その後、前記第一中空部を湾曲部外側に位置させるとともに前記第二中空部を湾曲部内側に位置させた状態で、前記谷折り変形部分を前記第二中空部内方向にさらに変形させつつ前記中空形材を曲げ加工することを特徴とする中空形材の曲げ加工方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の中空形材の曲げ加工方法によりL字形又はコ字形に曲げ加工したアルミニウム合金の中空押出形材を、シートバックフレームの一部として用いることを特徴とするシートバックフレーム製造方法。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の中空形材の曲げ加工方法によりL字形又はコ字形に曲げ加工したアルミニウム合金の中空押出形材を一部に用いてなることを特徴とするシートバックフレーム構造。
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