JP4320169B2 - 研磨パッドおよび研磨装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被研磨物と圧接され、該被研磨物との相対移動によって研磨を行う研磨パッドおよび研磨装置に関し、特に半導体素子などの製造工程において、化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Planarization;CMP)により、シリコンウエハなどの被研磨物の平坦化を行う研磨パッドおよび研磨装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造の分野では、半導体素子の微細化および多層化による高集積化に伴い、半導体層や金属層の平坦化技術が重要な要素技術となっている。ウエハに集積回路を形成する際、電極配線などによる凹凸を平坦化せずに層を重ねると、段差が大きくなり、絶縁膜などの被覆性が悪くなる。また段差が大きくなった場合、フォトリソグラフィにおいて凹部と凸部の両方に焦点を合わせることが困難になり微細化を実現することができなくなる。したがって、積層中の然るべき段階でウエハ表面の凹凸を除去するための平坦化処理を行う必要がある。平坦化処理には、エッチングにより凹凸部を除去するエッチバック法、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)などにより平坦な膜を形成する成膜法、熱処理によって平坦化する流動化法、選択CVDなどにより凹部の埋め込みを行う選択成長法などがある。
【0003】
以上の方法は、絶縁膜、金属膜など膜の種類によって適否があることや平坦化できる領域がきわめて狭いという問題がある。このような問題を克服することができる平坦化処理技術としてCMPによる平坦化がある。
【0004】
CMPによる平坦化処理では、微細な粒子(砥粒)を懸濁したスラリを研磨パッド表面に供給しながら、圧接した研磨パッドとシリコンウエハとを相対移動させて表面を研磨することにより、広範囲にわたるウエハ表面を高精度に平坦化することができる。
【0005】
CMPによる平坦化を行うCMP装置は、主に回転定盤部、キャリア部、スラリ供給部およびドレッシング部から構成される。回転定盤部は、その上面に粘着テープなどで研磨パッドが貼り付けられ、下面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。キャリア部は、その下面にバッキング材およびリテーナリングによって被研磨物であるシリコンウエハを保持し、シリコンウエハの加工面を研磨パッドに圧接させる。上面側は、回転駆動機構と、回転軸を介して接続される。スラリ供給部は、シリカ、セリアおよびアルミナなどの粒子を媒体に懸濁させたスラリを研磨パッドの表面に供給する。供給されたスラリは、研磨パッド表層の微細孔に保持され、シリコンウエハと研磨パッドとの間で化学的および機械的に作用する。
【0006】
ドレッシング部は、研磨パッドが高い研磨特性を発揮する上で、特に重要な構成である。研磨処理が進むにつれて、被研磨物および研磨パッドの削り屑が研磨パッド表層の微細孔に詰まり(グレージング)、研磨レートの低下が生じる。また、研磨処理が進むにつれて研磨パッドの表面プロファイルが変化し、被研磨物に加わる圧力が変化して、平面均一性の低下が生じる。ドレッシング部の役割は、研磨パッド表面を再生して、研磨レートの低下および平面均一性の低下を防止することである。ドレッシング部の具体的な構成としては、プレート上に産業用ダイヤモンド粒子を電着したダイヤモンドコンディショナを備えているものが主流となっている。ダイヤモンドコンディショナは機械的に研磨パッドの表面を削り取って、研磨パッド表面を再生している。
【0007】
図9は、研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。ドレッシングを行う前の研磨パッド表面(図9(1))は、目詰まりを起こしており、これを削り取ることで新たな研磨パッドの表面(図9(2))が露出する。
【0008】
特性向上のために研磨パッドの表層部には、溝や孔形状の加工を施すことが一般的になっている。図10は、表層部が加工された研磨パッドの平面図である。図10(1)の研磨パッドには、研磨パッド中心を中心とする同心円状の複数の溝が、半径方向にその間隔を変化させて形成されている。図10(2)の研磨パッドには、図10(1)と同じく同心円状の溝であるが、半径方向に等間隔で形成されている。図10(3)の研磨パッドには、格子状の溝が形成されている。図10(4)の研磨パッドには、同心円状の溝と、研磨パッド中心から放射状に延びる溝とが形成されている。図10(5)の研磨パッドには、図10(4)と同じく、同心円状の溝と、研磨パッド中心から放射状に延びる溝であるが、放射状溝は、中心領域にのみ形成されている。図10(6)の研磨パッドには、研磨パッド表面に略円形に臨む孔が複数形成されている。なお、これらの加工は、研磨パッドやウエハの種類、スラリの種類など研磨条件によって、図10(1)の同心円状の溝と図10(6)の孔のように複数の形状を組み合わせてもよい。
【0009】
上記の溝や孔形状の加工は、スラリの保持性および流動性、ウエハの加工平坦性および均一性の向上、ウエハの研磨パッドへの吸着力低減などを目的としている。このような目的を他制するために、溝部の断面形状も複数提案されている。図11は、研磨パッド表層に形成される溝部の断面図である。断面形状には、たとえば、図11(1)に示す矩形状、図11(2)に示すU字状、図11(3)に示すV字状、図11(4)に示す円弧状などがあり、研磨パッドやウエハの種類、スラリの種類など研磨条件によって適宜選択される。
【0010】
前述のダイヤモンドコンディショナによるドレッシングによって研磨パッドが削られ、厚みが減少すると、当然に溝の深さも変化して浅くなる。図11(2)〜(4)のように、断面形状が研磨パッドの厚み方向に一定でない場合は、ドレシングによって形状も変化する。溝の深さと形状とが変化すれば、スラリの保持性および流動性が変化し、研磨レートおよび非均一性などの研磨特性が劣化してしまう。
【0011】
図12は、研磨レートに対する研磨パッド表層に形成された溝の深さの影響を示す図である。縦軸は、研磨レート(Å/min)を示し、数値が大きいほど特性は良好である。なお、研磨レートについては、本発明の実施の形態の項で詳述する。
【0012】
測定は、回転定盤部およびキャリア部の回転数をそれぞれ60rpm,60rpmとし、研磨対象をシリコンウエハのTEOS(Tetraethylorthosilicate)層とし、Nanometrics社製の膜圧測定システム(製品名nanospec)でシリコンウエハの厚みを測定した。研磨パッドの表層には、図10(1)に示した同心円状の溝を形成した。溝深さは、0.76mm,0.38mm,0.13mmとした。
【0013】
図12において、折れ線61は、溝深さが0.76mmの場合を示し、折れ線62は、溝深さが0.38mmの場合を示し、折れ線63は、溝深さが0.13mmの場合を示している。図からわかるように、溝深さが0.13mmの場合、0.38mmおよび0.76mmの場合に比べて、研磨レートが大きく低下し、研磨特性が劣化していることがわかる。
【0014】
図13は、非均一性に対する研磨パッド表層に形成された溝の深さの影響を示す図である。縦軸は、非均一性(%)を示し、数値が小さいほど特性は良好である。なお、非均一性については、本発明の実施の形態の項で詳述する。
【0015】
測定は、回転定盤部およびキャリア部の回転数をそれぞれ60rpm,60rpmとし、研磨対象をシリコンウエハのTEOS層とし、
前述と同様にnanospecでシリコンウエハの厚みを測定した。研磨パッドの表層には、図10(1)に示した同心円状の溝を形成した。溝深さは、0.76mm,0.38mm,0.13mmとした。
【0016】
図13において、折れ線64は、溝深さが0.76mmの場合を示し、折れ線65は、溝深さが0.38mmの場合を示し、折れ線66は、溝深さが0.13mmの場合を示している。図からわかるように、溝深さが0.13mmの場合、0.38mmおよび0.76mmの場合に比べて、非均一性が増加し、研磨特性が劣化していることがわかる。
【0017】
このように、研磨パッド表層の溝の深さが所定の深さにまで浅くなると、十分な研磨特性が得られないため、新しいパッドに交換する必要がある。
【0018】
【特許文献1】
特開平10−128654号公報
【特許文献2】
特開平11−151662号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
研磨パッドの交換時期が早過ぎると、必要以上の研磨パッドを使用することになり、コストが増加する。交換時期が遅すぎると、研磨不良が発生し、歩留まりが低下する。
【0020】
従来、研磨パッドを管理するために、研磨パッドの表面プロファイルを測定しているが、溝深さは測定していない。したがって、適正な研磨パッドの交換時期を知るには、研磨パッド表層に形成された溝深さを測定する必要がある。
【0021】
溝幅が十分に広い場合は、目視にて溝深さを確認することも可能であるが、たとえば溝幅が0.5mm以下になると深さゲージや変位センサなどの測定設備が別途必要となる。この場合、装置規模および装置コストが増大する。また測定設備によっては、研磨を一旦中断して測定する必要があり、装置のスループットが低下する。
【0022】
このような課題を克服するための技術が開示されている。特許文献1記載の研磨布は、溝部(凹部)に他の部分より浅く加工された部分を使用限界検出部として備え、この使用限界検出部が表面に露出した時点を使用限界と検出する。これにより、溝部の深さを測定するための設備が不要となる。
【0023】
図14は、特許文献1記載の研磨布101の構造を示す図である。図14(1)は平面図を示し、図14(2)は断面図を示している。研磨布101の所定の位置に使用限界検出部102が備えられている。特許文献1では、使用限界検出部102の位置および数に言及する記載は見られない。特許文献1の図面から、図14のように研磨パッド半径の約50%の位置に使用限界検出部102を設けていると考えられる。表面プロファイルからわかるように、研磨パッドの表面は、表面上の位置によって厚みが異なるため、研磨布101の使用限界検出部102では、表面の一部分の状態しか検出することができない。また、使用限界検出部102の幅は、溝幅と同じであるため、表面に露出したことを目視で確認することが困難である。
【0024】
また、特許文献2記載の研磨布は、溝部(凹部)の深さが周りより浅い領域を設けている。
【0025】
図15は、特許文献2記載の研磨布103の構造を示す図である。図15(1)は平面図を示し、図15(2)はA−A’線断面図を示している。
【0026】
研磨布103には、凹部の深さが周りより浅い領域B〜Dが設けられ、研磨の進行によって、各領域が平坦部として現れる。特許文献2の図面からわかるように、各領域が研磨パッド表面に占める割合は、大きいため、現れる平坦部も大きく、目視で十分に確認することが可能である。しかし、目視を可能とするため、領域内には、複数の浅い溝が設けられている。溝が浅くなると研磨特性が低下するのは前述の通りである。初期の状態では、領域B〜Dの浅い溝であっても研磨特性に与える影響は少ないかもしれないが、研磨が進行し、溝が浅くなるにしたがって、影響は大きくなる。このように研磨布103は、目視可能なまでに広い領域B〜Dを設けることによって研磨特性が低下してしまう。
【0027】
本発明の目的は、交換時期を容易に確認することができる研磨パッドおよびこの研磨パッドを備える研磨装置を提供することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
本発明は、砥粒と媒体とからなるスラリを収納し、被研磨物を研磨する研磨面に臨む1または複数の溝が形成された研磨パッドであって、
前記研磨面に臨み、前記溝の幅より広い幅を有する凹部と、前記凹部の底部に設けられた突起部とからなる表面状態検出部を備えることを特徴とする研磨パッドである。
【0029】
また本発明は、前記溝の幅は、0.1mm以上、1mm以下であることを特徴とする。
【0030】
また本発明は、前記突起部の形状は、柱状または錐台形状であり、
前記突起部の先端の表面と、研磨面とが同一平面内にあることを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、被研磨物を研磨する研磨面に臨む1または複数の溝が形成され、研磨時にはこの溝が砥粒と媒体とからなるスラリを収納して保持する。
【0032】
研磨パッドは、研磨面に臨み、前記溝の幅より広い幅を有する凹部と、この凹部の底部に設けられた突起部とからなる表面状態検出部を備えている。
【0033】
研磨パッドは、研磨処理を行うにつれて研磨面を含む表層部が除去され、その厚みは減少する。特に、スラリを保持するための溝が設けられた研磨パッドの場合、厚みの減少はすなわち溝深さの減少となり、溝が所定の深さとなったときにスラリの保持量不足で研磨特性が劣化する。したがって、作業者は溝深さを確認して研磨パッドの交換を行わなければならないが、溝の幅が1mm以下になると、人間が目視によって溝の深さを確認することが困難となる。溝の幅が1mmより広くなると、作業者が目視で溝深さを確認することができ、0.1mmより狭くなると、十分なスラリの保持量が得られない。
【0034】
表面状態検出部は、溝の幅より広い幅を有する凹部を備えており、たとえば、凹部の深さを溝の深さと同じにしておけば、作業者は、広い幅の凹部を目視して確認することで、間接的に溝の深さを確認することができる。また、凹部の底部には、四角柱や円柱などの柱状、または四角錐台や円錐台などの錐台形状の突起部が設けられており、突起物先端の表面は、研磨面と同一平面内にある。
【0035】
これにより、突起物が研磨面の一部として機能し、凹部の開口面積を減少させ、凹部による研磨特性の劣化を防止している。
【0036】
このように、凹部を目視することで作業者は容易に溝深さを知ることができ、研磨パッドの交換時期を確認することができる。また、突起部を設けることで、凹部によって研磨特性が劣化することも防止できる。
【0037】
また本発明は、前記凹部は、研磨面に矩形に臨んで形成され、その矩形の一辺の長さが6mm以上かつ42mm以下であることを特徴とする。
【0038】
また本発明は、前記凹部は、研磨面に円形に臨んで形成され、その直径が6mm以上かつ42mm以下であることを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、凹部は、研磨面に矩形または円形に臨んで形成される。矩形の場合は、一辺の長さが6mm以上かつ42mm以下であり、円形の場合は、直径が6mm以上かつ42mm以下である。
【0040】
突起部の大きさおよび突起部と凹部の外周との距離は、表面状態検出部の目視し易さおよび研磨特性への影響を考慮して最適な範囲が決定される。突起部の先端表面が矩形である場合、表面矩形の一辺および突起部と凹部の外周との距離は、ともに2mm以上、20mm以下であることが望ましい。2mmより小さいと目視が困難になり、20mmより大きいと加工の均一性が低下する。これらの範囲を満足するような凹部の大きさを、6mm以上かつ42mm以下とする。すなわち、突起部の一辺の長さおよび突起部と凹部外周との距離の和が、6mm以上かつ42mm以下となるようにそれぞれの大きさを決定すればよい。
【0041】
これにより、凹部を単純な形状とすることで、表面状態検出部を容易に形成することができる。
【0042】
また本発明は、前記凹部の深さは、前記溝の深さより浅いことを特徴とする。
本発明に従えば、凹部の深さが、溝の深さより浅く形成されている。たとえば、凹部の深さを溝の使用限界の深さ分だけ浅くしておけば、研磨パッドの厚みが減少し、溝が使用限界の深さになったときに表面状態検出部は無くなり、平坦部となる。したがって、作業者は、表面状態検出部がなくなったことを知るだけで、容易に研磨パッドの交換時期を確認することができる。
【0043】
また本発明は、前記研磨面は、円形であり、
前記表面状態検出部は、複数あり、
各表面状態検出部は、前記研磨面の中心から前記凹部の底部の中央までの距離が、それぞれ異なるように配置したことを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、研磨面は円形であり、その中心まわりに回転することで被研磨物を研磨する。また、表面状態検出部は複数形成され、円形研磨面の中心から凹部の底部の中央までの距離が、それぞれ異なるように配置される。
【0045】
これにより、それぞれ配置された表面状態検出部は、表面状態検出部の近傍領域を円形研磨面の中心まわりに回転した円環を代表し、円環は、研磨面の略全面を覆うことになるので、作業者は研磨パッドの表面の略全面にわたる溝深さを確認することができる。
【0046】
また本発明は、各表面状態検出部は、前記研磨面の中心から前記凹部の底部の中央に延びる仮想線が、等角で交わるように配置したことを特徴とする。
【0047】
本発明に従えば、研磨面の中心から凹部の底部の中央に延びる仮想線が、等角で交わるように各表面状態検出部が配置される。
【0048】
これにより、表面状態検出部が研磨面に分散されて配置されるので、作業者は、精度良く溝深さを確認することができる。また、表面状態検出部が集中して配置されないので、研磨特性への影響も抑えられる。
【0054】
また本発明は、上記の研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを、前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段と、
コンディショナを備え、研磨特性が劣化した研磨面を前記コンディショナで削り取ることで研磨面の研磨特性を再生する再生手段とを有することを特徴とする研磨装置である。
【0055】
本発明に従えば、支持手段が研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転し、被研磨物を保持した保持手段が、研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する。このとき、スラリ供給手段は、媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを、前記研磨パッドの研磨面に供給する。また、コンディショナを備える再生装置は、研磨処理中に研磨特性が劣化した研磨面を前記コンディショナで削り取ることで研磨面の研磨特性を再生する。
【0056】
研磨装置に使用される研磨パッドは上記のように、作業者が、容易に目視で交換時期を確認することができるので、溝の深さを測定するための設備が不要となり、研磨装置の規模および研磨装置にかかるコストを削減することができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。CMP装置100は、研磨パッド1と、回転定盤部21、キャリア部22、スラリ供給部23およびドレッシング部24から構成される。研磨パッド1は、CMP装置100のキャリア部22に保持されたシリコンウエハなどの被研磨物と圧接され、シリコンウエハとの相対移動によって、シリコンウエハ表面を研磨する。
【0058】
回転定盤部21は、研磨パッド1を上面の略前面にわたって粘着テープなどで貼り付けて支持する定盤4と、その定盤4の下面側に設けられる回転軸を介して接続される回転駆動機構5とからなる支持手段である。回転駆動機構5による回転駆動力は回転軸を通じて定盤4に伝達され、定盤4は研磨パッド1とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。
【0059】
キャリア部22は、図2の断面図に示す通り、キャリア本体6と、バッキング材7と、リテーナリング8と、回転駆動機構10とからなり、被研磨物であるシリコンウエハ9を保持し、研磨パッド1とシリコンウエハ9と圧接させた状態で回転する保持手段である。シリコンウエハ9のキャリア本体6への固定は、バッキング材7を湿潤させ、水の表面張力によって吸着させて行う。さらに研磨処理中にシリコンウエハ9が外れないように、リテーナリング8によってシリコンウエハ9の外周部を保持している。回転駆動機構10は、回転軸を介してキャリア本体6の上面側に接続される。回転駆動機構10による回転駆動力は回転軸を通じてキャリア本体6に伝達され、キャリア本体6はシリコンウエハ9とともに所定の回転数で鉛直方向軸線まわりに回転する。回転数は自由に設定することが可能で、回転定盤部21と同様に、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切な回転数が選択される。またキャリア部22は、回転定盤部21に近接する方向、鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接される。キャリア部22の加圧は、回転駆動機構10が行ってもよいし、別途加圧機構を用いてもよい。
【0060】
スラリ供給部23は、ノズル11、スラリ供給管12およびスラリタンク13からなる供給手段である。ポンプなどによりスラリタンク13に貯溜されているスラリを、スラリ供給管12内に流し、回転定盤部21の上部かつ略中央部に設置したノズル11から研磨パッド1表面に対して所定の流量で供給する。スラリの種類には、シリカ(SiO2)系、セリア(CeO2)系、アルミナ(Al2O3)系、ジルコニア(ZrO2)系および酸化マンガン(MnO2,Mn2O3)系などがあり、主に各酸化物の粒子を砥粒としてpH調整されたKOH,NH4OH溶液などのアルカリ性の媒体に懸濁させて得られる。用いられるスラリの種類や特性についても、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、研磨パッド1の種類などによって適切に選択される。
【0061】
研磨の進行に伴い、研磨パッド1の研磨面近傍の微細孔には研磨屑や砥粒などが詰まり、研磨レートなどの研磨特性が低下する。ドレッシング部24は、コンディショナである産業用ダイヤモンド粒子を電着したプレート14と、回転軸を介してプレート14と接続される回転駆動機構15とから構成される再生手段である。ドレッシング時には、回転駆動機構15によりプレート14を回転させ、ダイヤモンド粒子と研磨パッド1の研磨面を接触させ、目詰まりした部分を削り取ることで、研磨パッド1の研磨特性を再生する。
【0062】
研磨処理時の各部位の動作については、キャリア部22が鉛直下向きに加圧され、研磨パッド1とシリコンウエハ9とが圧接された状態で、スラリ供給部23が研磨液を供給する。供給されたスラリが、研磨パッド1とシリコンウエハ9との間に浸透し、回転定盤部21とキャリア部22とを回転かつ相対移動させることで、媒体による化学的作用と砥粒による機械的作用によりシリコンウエハ9の表面を高精度で研磨する。
【0063】
回転定盤部21とキャリア部12との相対移動については以下のような複数のパターンがある。
【0064】
(1)図に示すように、キャリア部22の中心が、回転定盤部21の回転中心から半径方向に略1/2の位置となるようにキャリア部22を配置し、回転定盤部21とキャリア部22の自転のみで研磨処理を行う。
【0065】
(2)研磨パッド1の半径とシリコンウエハ9の直径との差があまり大きくない場合は(1)でもよいが、研磨パッド1の半径がシリコンウエハ9の直径より大きい場合は、研磨パッド1の表面のうちシリコンウエハ9と接触しない部分が存在するので、研磨パッド1の全面を使用できるように、(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を回転定盤部21の半径方向に往復移動させる。
【0066】
(3)(1)の回転定盤部21とキャリア部22の自転に加えて、キャリア部22を、回転定盤部21の中心回りに回転移動させる。
【0067】
(4)(2)と同じく研磨パッド1の半径がシリコンウエハ9の直径より大きい場合は、半径方向の往復移動と回転定盤部11の中心回りの回転移動と組み合わせる。たとえば、キャリア部22が回転定盤部11の中心回りに螺旋軌道を描くように移動させればよい。
【0068】
なお、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転方向は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、回転定盤部21およびキャリア部22の自転回転速度も同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0069】
ドレッシング部24によるドレッシング時期は、1または複数のシリコンウエハを研磨処理した後に行う場合と、研磨処理中に行う場合とがある。ドレッシング部24のダイヤモンドプレート14の直径は、研磨パッド1の半径よりも小さい場合が多いので、研磨処理後にドレッシングを行う場合は、上記の回転定盤部21とキャリア部22との相対移動のパターン(2)および(4)とほぼ同様にして行えばよい。研磨処理中に行う場合は、図に示すように、回転定盤部21の中心を挟んでキャリア部22と反対側に配置し、相対移動のパターン(2)とほぼ同様にして行えばよい。
【0070】
図3は、研磨パッド1の断面図である。研磨パッド1は、キャリア部22に保持されたシリコンウエハ9と接触し、研磨を行う層(上層)2と、粘着テープなどで回転定盤に固定される層(下層)3とからなる2層構造を有している。上層2は、ポリウレタンなどの発泡性の合成樹脂を発泡硬化させて形成される硬質層である。下層3は、ウレタンを含浸させて得られる不織布タイプまたはフォームタイプの軟質層である。これらの硬質層および軟質層の組み合わせにより、高精度の平坦化と均一性とを同時に実現することができる。また上層2の厚みは0.6mm〜2.5mmで形成され、下層3の厚みは0.6mm〜1.5mmで形成される。
【0071】
上層2には、スラリの保持性および流動性を向上させるために溝31を複数設けている。しかし、ドレッシング部24によって研磨パッド1の表層が削り取られ、上層2の厚みが減少すると、溝31の深さが浅くなり、研磨特性が低下する。したがって、溝31の深さが所定の深さとなったときに、研磨パッド1を交換しなければならない。
【0072】
この研磨パッド1の交換時期を目視で容易に確認することができるように、研磨パッド1の上層2には、表面状態検出部30が設けられている。表面状態検出部30は、凹部30aと、凹部30aの底部の略中央に設けられる突起部30bとからなる。凹部30aの幅W1は、少なくとも溝31の幅W2より大きく、目視可能な幅で形成される。溝31の幅W2は、通常、0.3mm〜3mmの範囲で形成され、特に、幅が1mm以下になると目視で深さを確認することが困難になる。したがって、凹部30aの幅W1は、1mm以上であることが望ましい。
【0073】
図4は、表面状態検出部30(図3の破線で囲まれた領域)の斜視図である。図4(1)は、突起部30bの形状が四角柱形状であり、図4(2)は、突起部30bの形状が円柱形状である。突起部30bの形状が四角柱形状の場合、突起部30bの研磨面2a方向断面の1辺の長さは2mm以上、20mm以下が望ましい。突起部30bの形状が円柱形状の場合、突起部30bの研磨面2a方向断面の直径は2mm以上、20mm以下が望ましい。2mmより短いと目視が困難になり、20mmより長いと均一性が劣化する。
【0074】
また、突起部30bと凹部30aの外周との距離は、2mm以上、20mm以下が望ましい。2mmより短いと目視が困難になり、20mmより長いと均一性が劣化する。
【0075】
図4では、凹部30aが研磨パッド1表面に略正方形に臨んで形成されているが、矩形や多角形であっても円形であってもよい。突起部30bの大きさおよび突起部30bと凹部30aの外周との距離が上記のような範囲であることから、矩形の場合は、一辺が6mm以上、42mm以下が望ましく、円形の場合は、直径が6mm以上、42mm以下が望ましい。
【0076】
突起物30bの形状についても図に示す形状に限らず、四角柱や六角柱などの多角柱および円柱などの柱状であってもよいし、四角錐台や六角錐台などの多角錐台および円錐台などの錐台形状であってもよい。
【0077】
また、突起部30bの先端の表面と、研磨面2aとは同一平面内にあり、この先端の表面が研磨面2aと同様に働き、凹部30aによる研磨特性の劣化を防止している。
【0078】
なお、表面状態検出部30は、上層2の表層に凹部30aを形成した後、別途突起部30bを設けてもよいし、上層2の表層に環状の凹部を形成することによって、凹部30aと突起部30bを同時に形成してもよい。
【0079】
再度図3を参照し、表面状態検出部30の深さD1について説明する。深さD2は、研磨前の溝31の初期深さで、通常は0.3mm〜3mmの範囲で形成される。深さD3は、研磨特性の低下が生じる溝31の使用限界深さで、初期深さD1の10%〜50%である。溝31の深さがD3となったときに研磨パッド1も使用限界となり、作業者は研磨パッド1の交換を行う。
【0080】
深さD2および深さD3は、研磨の対象となるウエハの種類や膜の種類、スラリの種類および研磨パッド1の種類などによって適切に選択される。深さD2および深さD3が決まると、形成すべき表面状態検出部30の深さD1は、D1=D2−D3で決定される。
【0081】
研磨処理が進行して、研磨パッド1の厚みが減少し、溝31の深さが使用限界深さになると、表面状態検出部30は削り取られて平坦部となる。表面状態検出部30は、目視に十分な大きさに形成されているので、作業者は、使用限界となるまで研磨パッド1の表面に表面状態検出部30があることを確認し、研磨パッド1の表面に表面状態検出部30が見えなくなったときに使用限界となったことを確認することができる。
【0082】
表面状態検出部30が大きければ大きいほど容易に目視で確認することができるが、大き過ぎる場合は、表面状態検出部30があることによって研磨面2aの特性が局所的に変化し、研磨特性を劣化させてしまうことが考えられる。
【0083】
表面状態検出部30が凹部30aのみであれば、表面状態検出部30と、周辺との差が著しくなり、局所的な特性変化が大きくなるが、突起部30bを形成することにより、周辺との差を小さくし、特性変化を最小限に抑えることができる。
【0084】
このように、大きな凹部30aと、突起物30bとを組み合わせることにより、容易に目視可能で、かつ研磨パッド1の表面2aの特性変化を小さくすることができる。
【0085】
次に、表面状態検出部30の配置について説明する。上記のように、表面状態検出部30は、容易に目視可能で、かつ表面2aの特性を変化させることはないが、特許文献1記載の研磨布のように一箇所に配置しただけでは、研磨パッド1の表面状態を十分に検出できるとは言えない。1つの表面状態検出部30による表面2aの特性変化は小さいが、表面状態を十分に検出するために全面に配置してしまうと、特性変化を無視することはできなくなってしまう。したがって、適切な数の表面状態検出部30を適切な位置に配置することが必要である。
【0086】
図5は、研磨パッド1における表面状態検出部30の配置を示す図である。表面状態検出部30を中心とする近傍領域の表面状態は、表面状態検出部30で代表できる。また、前述のようにCMP装置100に設置された研磨パッド1は、所定の回転数で回転して研磨処理を行う。したがって、図に示すように位置aに表面状態検出部30を配置した場合、表面状態検出部30を中心とする近傍領域を、研磨パッド1の中心まわりに回転させたときの軌跡となる円環の表面状態においては、位置aに配置された表面状態検出部30で代表できる。表面状態検出部30の位置を、研磨パッド1の半径方向に変化させれば、上記の円環の位置は変化させることができる。
【0087】
以上のことから、研磨パッド1の中心からの距離がそれぞれ異なる複数の位置に表面状態検出部30を配置すればよい。本実施形態では、上記のような円環が研磨パッド1の表面2a全面を覆うように、研磨パッド1の中心から凹部30aの中央までの距離が異なる4つの表面状態検出部30を配置している。具体的には、位置a、位置b、位置c、位置dの研磨パッド1の中心からの距離X1,X2,X3,X4が、研磨パッド1の半径の90%、60%、40%、10%である。
【0088】
上記のように、研磨パッド1の中心からの距離がそれぞれ異なるような複数の位置に表面状態検出部30を配置すれば、研磨パッド1の表面2a全面について状態検出が可能であるが、さらに、精度よく表面状態を検出するために、半径方向だけでなく周方向の位置もそれぞれ異なるように配置する。表面状態検出部30の周方向の位置を異ならせることは、研磨パッド1の表面2aの特性変化を小さくする効果もある。たとえば、前述の4つの表面状態検出部30を、研磨パッド1の中心から半径方向に延びる1本の仮想線上に配置すると、表面状態検出部30が集中し、仮想線上近傍の特性変化が大きくなってしまう。周方向の位置を異ならせれば特性変化を分散させることができる。
【0089】
複数の表面状態検出部30を研磨パッド1の周方向に最も離れて配置するには、研磨パッド1の中心とそれぞれの表面状態検出部30とを結ぶ仮想線が等角に交わるように配置すればよい。たとえば、4つの表面状態検出部30を配置する場合は、図5に示すように、研磨パッド1の中心とそれぞれの表面状態検出部30とを結ぶ仮想線が略90度で交わるように配置する。表面状態検出部30が5つのときは、略72度で交わるように配置し、6つのときは略60度で交わるように配置する。すなわち、配置すべき表面状態検出部30の数をNとすると、研磨パッド1の中心とそれぞれの表面状態検出部30とを結ぶ仮想線は、360/N(度)で交わるように配置すればよい。
【0090】
以上のように、適切な数の表面状態検出部30を適切な位置に配置することで、研磨パッド1の表面特性を変化させることなく、表面状態の検出精度を向上させ、作業者は、より適切な研磨パッドの交換時期を知ることができる。
【0091】
次に、本発明の実施例として表面状態検出部30を設けた研磨パッド1を作製し、各種の測定を行った。
【0092】
・研磨パッド1の作製
本実施例の研磨パッド1は、半径300mmの円板状で2層構造とした。
上層2(厚み=1.1〜1.2mm):発泡硬化したポリウレタン樹脂
下層3(厚み=1.2〜1.3mm):ウレタンを含浸させた不織布
【0093】
上層2の表面2aには、幅0.3mm、深さ0.8mm、ピッチ1.6mmの同心円状の溝31を形成した。
【0094】
表面状態検出部30は、図5で示した位置に設けた。研磨パッド1の半径が300mmであるので、各表面状態検出部30の、中心からの距離は、X1=270mm、X2=180mm、X3=120mm、X4=30mmとした。
【0095】
なお、比較例として、表面状態検出部30を形成すること以外の条件を上記実施例と同様にした研磨パッドを作成した。
【0096】
・研磨条件
研磨処理は、ブレークイン(初期投入)工程、ドレッシング工程、研磨工程の3工程からなる。まず、作製した研磨パッド1の表面2aを整えるために、ブレークイン工程ではドレッシング部24によって、研磨パッド1の表面2aを平坦化する。研磨工程とドレッシング工程とは交互に繰り返し行った。
【0097】
各工程の条件を以下に示す。
(1)ブレークイン工程
ゲージ圧:1.90
回転数(ドレッシング部/常盤):28rpm/59rpm
処理時間:10min
(2)ドレッシング工程
ゲージ圧:1.06
回転数(ドレッシング部/常盤):83rpm/60rpm
処理時間:0.5min
(3)研磨工程
ゲージ圧:1.94
回転数(キャリア部/常盤):60rpm/60rpm
処理時間:2min
【0098】
ゲージ圧は、CMP装置100で設定されるドレッシング部と常盤またはキャリア部と常盤を圧接させるための圧力である。なお、本実施例では、1.06ゲージ圧=10kg/cm2である。
【0099】
ブレークイン工程終了後、ダミーウエハを5枚処理した後、測定用ウエハ(1st wafer)に研磨処理を施して各種測定行った。同様にダミーウエハを3枚処理した後、測定用ウエハ(2nd wafer)の研磨処理と測定を行い、さらに、ダミーウエハを3枚処理した後、測定用ウエハ(3rd wafer)の研磨処理と測定を行った。
【0100】
測定用ウエハは、半径200mmのシリコンウエハを用いた。
スラリには、ILD1300(商品名、ロデール・ニッタ社製)を用いた。
【0101】
・測定項目
(1)表面状態検出部30の深さ
(2)研磨パッド1の表面プロファイル
(3)研磨レート
(4)非均一性
【0102】
以下では測定結果について説明する。
(1)表面状態検出部30の深さ
上記の研磨処理が終了した後(測定用ウエハ(3rd wafer)の研磨工程が終了した後)、位置a,b,c,dの表面状態検出部30について、凹部30aの深さを測定し、溝31の深さと比較した。結果を表1に示す。なお、本測定の目的は、表面状態検出部30の深さが、溝31の深さと同様に変化するかどうかを検証することであるので、凹部30aの深さと溝31の深さとを同じに加工した。
【0103】
【表1】
【0104】
各位置に配置された表面状態検出部30の凹部30aの深さを測定し、各位置の近傍の溝深さをそれぞれ3回づつ測定し、その平均値を溝31の深さとした。
【0105】
表1からわかるように、凹部30aの深さと、溝31の深さとはほぼ等しく、表面状態検出部30が近傍領域の表面状態を代表することがわかった。
【0106】
(2)研磨パッド1の表面プロファイル
上記の研磨処理が終了した後、研磨パッド1の表面プロファイルを測定した。結果を図6に示す。縦軸は、研磨パッド1の溝31の深さ(mm)を示し、横軸は、中心からの距離(cm)を示している。この表面プロファイルを示すグラフに上記の凹部30aの深さをプロットすると、ほぼ一致することがわかった。
【0107】
これにより、少なくとも表面状態検出部30の深さを測定すれば、簡略的な表面プロファイルを得ることができる。
【0108】
(3)研磨レート(Removal Rate : RR)
研磨条件で示した各測定用ウエハ(1st, 2nd, 3rd wafer)について、実施例の研磨パッド1および比較例の研磨パッドの研磨レート(Å/min)を測定した。なお、研磨レートは、単位時間(min)当たりに研磨されたウエハの層厚み(Å)である。
【0109】
図7は、測定用ウエハごとの研磨レートを示す図である。折れ線41は、実施例の研磨パッド1の結果を示し、折れ線51は、比較例の研磨パッドの結果を示している。図からわかるように、実施例と比較例とでは、ほぼ同じ研磨レートであった。
【0110】
これにより、研磨パッド1に表面状態検出部30を形成しても、研磨レートに影響を与えない、すなわち研磨特性を劣化させないことがわかった。
【0111】
(4)非均一性(Non-Uniformity : NU)
研磨条件で示した各測定用ウエハ(1st, 2nd, 3rd wafer)について、実施例の研磨パッド1および比較例の研磨パッドの非均一性(%)を測定した。非均一性は、STDV/Average×100によって算出され、値が小さいほどウエハ加工面の均一性が優れている。NUを算出するには、まず研磨されたシリコンウエハの複数箇所、たとえば49箇所で研磨量を測定する。これらの測定値から標準偏差(STDV)および平均値(Average)を算出し、上記の式にそれぞれの値を代入してNUを算出する。
【0112】
図8は、測定用ウエハごとの非均一性を示す図である。折れ線42は、実施例の研磨パッド1の結果を示し、折れ線52は、比較例の研磨パッドの結果を示している。図からわかるように、実施例と比較例とでは、ほぼ同じ非均一性であった。
【0113】
これにより、研磨パッド1に表面状態検出部30を形成しても、非均一性に影響を与えない、すなわち研磨特性を劣化させないことがわかった。
【0114】
なお、上記の実施形態ではCMPに用いられる研磨パッドとして説明したが、これに限らず、CMP以外の既存の研磨装置に適用してもよい。
【0115】
また、図5に示すように、研磨パッド1に形成する溝31を同心円状としているが、これに限らず、螺旋状の溝でもよいし、図10(3)のように格子状であってもよいし、図10に示すような種々の形状を組み合わせてもよい。
【0116】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、凹部を目視することで作業者は容易に溝深さを知ることができ、研磨パッドの交換時期を確認することができる。また、突起部を設けることで、凹部によって研磨特性が劣化することも防止できる。
【0117】
また本発明によれば、凹部を単純な形状とすることで、表面状態検出部を容易に形成することができる。
【0118】
また本発明によれば、作業者は、表面状態検出部がなくなったことを知るだけで、容易に研磨パッドの交換時期を確認することができる。
【0119】
また本発明によれば、それぞれ配置された表面状態検出部は、表面状態検出部の近傍領域を円形研磨面の中心まわりに回転した円環を代表し、円環は、研磨面の略全面を覆うことになるので、作業者は研磨パッドの表面の略全面にわたる溝深さを確認することができる。
【0120】
また本発明によれば、表面状態検出部が研磨面に分散されて配置されるので、作業者は、精度良く溝深さを確認することができる。また、表面状態検出部が集中して配置されないので、研磨特性への影響も抑えられる。
【0121】
また本発明によれば、作業者が、容易に目視で研磨パッドの交換時期を確認することができるので、溝の深さを測定するための設備が不要となり、研磨装置の規模および研磨装置にかかるコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるCMP装置100の概略を示す外観図である。
【図2】キャリア部22の断面図である。
【図3】研磨パッド1の断面図である。
【図4】図4は、表面状態検出部30(図3の破線で囲まれた領域)の斜視図である。
【図5】研磨パッド1における表面状態検出部30の配置を示す図である。
【図6】研磨パッド1の表面プロファイルを示す図である。
【図7】測定用ウエハごとの研磨レートを示す図である。
【図8】測定用ウエハごとの非均一性を示す図である。
【図9】研磨パッド表面のSEM(Scanning Electron Microscope)写真である。
【図10】表層部が加工された研磨パッドの平面図である。
【図11】研磨パッド表層に形成される溝部の断面図である。
【図12】研磨レートに対する研磨パッド表層に形成された溝の深さの影響を示す図である。
【図13】非均一性に対する研磨パッド表層に形成された溝の深さの影響を示す図である。
【図14】特許文献1記載の研磨布101の構造を示す図である。
【図15】特許文献2記載の研磨布103の構造を示す図である。
【符号の説明】
1,101,103 研磨パッド
2 上層
2a 研磨面
3 下層
4 定盤
5,10,15 回転駆動機構
6 キャリア本体
7 バッキング材
8 リテーナリング
9 シリコンウエハ
11 ノズル
12 供給管
13 スラリ貯溜タンク
14 ダイヤモンドプレート
21 回転定盤部
22 キャリア部
23 スラリ供給部
24 膨潤処理液供給部
30 表面状態検出部
30a 凹部
30b 突起物
31 溝
100 CMP装置
Claims (9)
- 砥粒と媒体とからなるスラリを収納し、被研磨物を研磨する研磨面に臨む1または複数の溝が形成された研磨パッドであって、
前記研磨面に臨み、前記溝の幅より広い幅を有する凹部と、前記凹部の底部に設けられた突起部とからなる表面状態検出部を備えることを特徴とする研磨パッド。 - 前記溝の幅は、0.1mm以上、1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の研磨パッド。
- 前記凹部は、研磨面に矩形に臨んで形成され、その矩形の一辺の長さが6mm以上、42mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨パッド。
- 前記凹部は、研磨面に円形に臨んで形成され、その直径が6mm以上、42mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の研磨パッド。
- 前記凹部の深さは、前記溝の深さより浅いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の研磨パッド。
- 前記突起部の形状は、柱状または錐台形状であり、
前記突起部の先端の表面と、研磨面とが同一平面内にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の研磨パッド。 - 前記研磨面は、円形であり、その中心まわりに回転することで被研磨物を研磨し、
前記表面状態検出部は、複数あり、
各表面状態検出部は、前記研磨面の中心から前記凹部の底部の中央までの距離が、それぞれ異なるように配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の研磨パッド。 - 各表面状態検出部は、前記研磨面の中心から前記凹部の底部の中央に延びる仮想線が、等角で交わるように配置したことを特徴とする請求項7記載の研磨パッド。
- 請求項1〜8のいずれか1つに記載の研磨パッドと、
前記研磨パッドを支持するとともに、縦の軸線まわりに回転する支持手段と、
被研磨物を保持し、前記研磨パッドと前記被研磨物とが圧接した状態で、縦の軸線まわりに回転する保持手段と、
媒体とこの媒体に分散させた砥粒とからなるスラリを、前記研磨パッドの研磨面に供給するスラリ供給手段と、
コンディショナを備え、研磨特性が劣化した研磨面を前記コンディショナで削り取ることで研磨面の研磨特性を再生する再生手段とを有することを特徴とする研磨装置。
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