JP4319795B2 - 電位検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電位検出装置に関するものであり、特に有機系汚水の生物処理装置に用いられる曝気槽内の試料の酸化還元電位や、pH値の測定に好適に用いることのできる電位検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水等の有機性汚水の処理を行うにあたっては、脱窒、脱燐、有害化学物質の除去、希薄濃度排水および高濃度排水の処理等が重要な課題である。近年は、これらの処理を行うに際して、コストやエネルギーの点で優れている微生物を利用した生物処理装置を用いる方法が注目されている。
【0003】
このような生物処理方法の代表的なものに、活性汚泥のフロック形成能と生物学的酸素要求量(BOD)低下能を利用した活性汚泥法がある。活性汚泥法で生物処理を行うシステムには、曝気槽の前半部を嫌気性槽としたAOシステム、あるいはAOシステムの嫌気性槽と好気性槽の間に無酸素性の脱りん脱窒槽を設けたAOシステムなどが知られている。これらのAOシステムやAOシステムでは、好気性槽の前段に嫌気性槽を設けて、糸状性細菌の生育を阻害して、好気性槽内でのバルキングの発生を防ぐようにしている。
【0004】
このような生物処理装置の処理能力を表す指針の一つに、曝気槽内の酸化還元電位がある。例えば、嫌気性槽では、槽内の酸化還元電位を測定してその測定値に基づいて嫌気性槽内に微散気を行ったり、あるいは接触曝気槽から嫌気性槽内に処理水を返送することによって、汚水処理能力を一定に保つようにする制御法がある。このように、槽の処理能力を一定以上のレベルに保つためには、槽内の試料の酸化還元電位をモニタリングすることが有効である。
【0005】
しかしながら、酸化還元電位の測定では、金属電極の表面状態(汚れの付着状態)と、試料中の溶存酸素とが測定結果に大きく影響するため、試料に流れがなく、溶存酸素の値が低い嫌気性槽内の試料の酸化還元電位を正確かつ安定した状態で連続的にモニタリングを行うのは困難であった。
【0006】
従来より、この嫌気性槽内の酸化還元電位を測定するにあたっては、槽内の嫌気状態を壊さないために長さ1〜2mの浸漬型の検出器が用いられている。しかし、嫌気槽内では試料の動きがほとんどなく、また試料中の溶存酸素量を低く保つ必要があるため槽内をエアレーションすることができないため、検出器の電極部分に汚れが付着しやすく、検出精度が低下してしまうという問題がある。
【0007】
この付着した汚れを落とすため、検出器先端の電極部分に機械的な洗浄装置を設けて連続的にあるいは間欠的に電極の洗浄を行うことが試みられている。このような洗浄装置として、水ジェット式洗浄装置、超音波洗浄装置、あるいはセラミックス研磨式洗浄装置などが開発されているが、これらの方式のうち、セラミックス刃を用いて電極部分を研磨して汚れを落とすようにしたセラミックス研磨方式によるものが電極近傍の試料の溶存酸素濃度への影響が少ないため、洗浄時の外乱による影響が小さく安定して電位検出ができるものと期待されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、試料自体に動きがない嫌気性槽内において電位の測定を行う場合、従来のセラミックス研磨式の酸化還元電位検出装置では、測定電極が露出している装置先端に筒状部を有する保護カバーが設けられているため、カバーとセラミックス研磨洗浄装置との間に汚れが溜まり、セラミックスによる研磨動作が逆に電極部に汚れをなすりつけることになってうまく洗浄できないという問題がある。
【0009】
図11に、従来のセラミック研磨型の電位検出装置の保護カバーの構成を示す。図11に示すように、この保護カバーは、先端が筒状をなしており、ここに4方に円形の孔が設けられている。このカバーの開口率は13.68%であり、以下の実施例で説明するとおり、この構成では研磨動作によって逆に電極部に汚れがなすりつけられてしまい、所望の測定値が得られない。
【0010】
本発明は、これらの問題点を解決して、電極表面に汚れを付着させることなく、正確かつ安定した状態で試料の電位を連続的にモニタリングすることができる電位検出装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の電位検出装置は、電極と、先端において当該電極を支持する棒状の電極支持体と、当該電極支持体の先端を保護する保護カバーと、前記電極で感知した電位を測定する測定表示部と、前記電極表面を研磨する電極研磨手段とを具え、前記電極を液体試料に接触させて当該試料の電位を検出する電位検出装置において、前記保護カバーの先端を平坦面として、当該平坦面の位置を前記電極の表面と同レベルに、あるいは、前記電極の表面より手元側に存在させたことを特徴とする。
【0012】
このように本発明の電位検出装置では、従来の装置の先端に設けられている筒状部を取り去って、電極支持体の先端を保護する保護カバーが先端を平坦面としたため、従来のセラミック研磨方式の電位検出器で生じていた、研磨によってかえって電極部が汚れてしまうという問題を解決することができる。従来の装置の構造では、保護カバー先端外周の筒状部の内壁面とセラミック研磨手段との間にある隙間に汚れが溜まり、研磨動作によってこの汚れが逆に電極部になすりつけられることになっていたが、本発明の電位検出装置の構成によれば、保護カバー先端を平坦面として、この面のレベルを電極表面と同レベルか、あるいは電極表面のレベルより手元側に位置させるようにしているので、セラミック研磨刃と保護カバーとの間に汚れが溜まりやすいギャップが存在しない。従って電極を研磨して電極表面からこそげ落とした汚れは電極支持体の外側に押し出され、研磨動作によって電極表面をきれいに保つことができる。
【0013】
なお、本発明の電位検出装置は、前記保護カバーがその外周部先端に前記電極支持体の延在方向に延在する複数の脚部を具え、当該脚部同士の間を外周全体に対して少なくとも70%以上開放したことを特徴とする。
【0014】
このように、保護カバーの外周部先端に複数の脚部を設けるようにしてもよい。セラミック研磨刃は電位検出装置の先端、すなわち電位検出部に設けられており、装置のメンテナンスの際に、前記突出部を脚として電位検出部を立てておくことによって、メンテナンス動作を容易に行うことができる。ただし、この場合、脚部同士の間が、外周全体に対して少なくとも70%以上開放させて、脚部とセラミック研磨手段との間に汚れが溜まるようなギャップを作らないようにする。開口の割合が70%以下になると、セラミック研磨刃と保護カバーの脚部との間に有意にギャップが存在することとなり、電極を研磨して電極表面からこそげ落とした汚れがこのギャップに溜まり、電極研磨の効果を妨げてしまう。
【0015】
さらに、本発明の電位検出装置は、前記保護カバーが銅でできていることを特徴とする。銅には殺菌作用があり、微生物が付着しにくいため、保護カバーの材質として好適である。なお、保護カバーは、嵌込み式とすることで、電位検出装置の製造、メンテナンスをより簡易化することができる。
【0016】
さらに、本発明の電位検出装置は、前記電極が金または白金でできていることを特徴とする。金、白金、いずれも電極材料として好適であるが、特に、金は研磨前後の指示再現性が高く、検出値の戻りが早いという特性がある。また、白金は、電流−電圧特性の立ち上がり電圧が金より高く、幅が狭いので、溶存酸素の僅かな変動による測定値の変動が小さいという特性を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の電位検出装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明にかかる電位検出装置の第1実施形態の構成を示す図である。図1において、符号1は棒状の電極支持体、2は測定電極、3は研磨用カッタ、4はカッタ駆動用インダクションモータ、5は比較電極、6は保護カバー、7はカッタ3の駆動シャフト、8は液絡部である。環状円形の測定電極2は棒状の電極支持体1の先端表面に露出しており、電極支持体1を嫌気槽内に設置して試料との接触を図り、測定電極2と比較電極5間の酸化還元電位を測定する。電極支持体1を試料内に侵漬させた状態で時間が経過すると、電極表面に汚れが付着するため、所定のインターバルで、インダクションモータ4を駆動して研磨用カッタを回転させ測定電極2の表面を研磨して付着した汚れを除去するようにしている。
【0019】
図2は、図1に示す電位検出装置の電極支持体1の先端の電極周辺部の構成を示す図であり、図2(a)は側面図(b)は正面図である。電極支持体1の先端部には測定電極2の先端が試料と接触すべく突出している。なお、測定電極2の周囲は電極カバー2aで保護されている。電極2の先端には、電極2の中央を挿通する駆動シャフト7を介して研磨用カッタ3が取り付けられている。研磨用カッタ3は、カッタ取付台3aと、カッタ刃3bと、スライム除去用羽根3cを具えている。装置手元側のインダションタモータ4の回転がシャフト7を介してカッタ取付台3aに伝わり、カッタ刃3bおよびスライム除去用羽根3cを回転させる。カッタ刃3bの先端は、電極2の露出部分に当接しており、カッタ取付台3aの回転に伴って電極2の先端露出部分に沿って回転し、電極表面に付着した汚れをこそげ落として除去する。また、スライム除去用羽根3cは、電極カバー2aの外周面に当接しており、この外周面に付着した汚れを除去するためのものである。なお、電極支持体1の先端には銅製の保護カバー6が設けられている。
【0020】
図3は、保護カバー6の構成を示す図であり、図3(a)は側面図、(b)は正面図である。保護カバー6は嵌込み式に構成されており、カバー本体6aの内周面と電極支持体1の外周面に互いに螺合するねじ構造を設けて、保護カバー6を電極支持体1に容易に取り付けることができるように構成されている。本実施形態の装置では、カバー本体6aの外周部先端の4カ所に細い脚部6bが設けられており、研磨用カッタ3のメンテナンス作業を容易に行い得るようにしている。この脚部6bは、上記のこそげ落とした汚れが電極支持体1の外側に押し出される効果を妨げず、かつ、メンテナンス作業中に電極支持体1を立てて保持できる程度の幅を有する。本例では、脚部同士の間に存在する開口部が外周面全体の83.28%を占めており、図2(b)の正面図に示すように、ほとんどの部分が開放されている。なお、脚部の数は4本に限らず、3本以上であればよい。
【0021】
図4は、本発明の第2実施形態の構成を示す図でり、図4(a)は側面図、図4(b)は正面図である。第2実施形態では、従来の装置の保護カバーにある筒状部を全面的に取り去って、保護カバー6の先端部全体を平坦面とした。カバー本体6aの端面は測定電極2の先端のレベルより手元側に位置しており、カッタ刃3bの回転によってこそげ落とされた汚れが、電極支持体1の先端部の外側に押し出されるように構成されている。なお、脚部が設けられていない点を除いて、その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0022】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を示す。この実施例では、本発明の電位検出装置をORP(酸化還元電位)計に適用し、生物反応槽の運転管理指標とした。この場合、特に、試料に動きの少ない嫌気槽での測定で、指示値の不安定さや不確実さが問題となる。この不安定な測定結果を引き起こす原因として以下の4項目が考えられ、これを実験によって検証した。
(1)試料の置換
電極表面における試料の置換が少ないと正しい測定値が得られない。
(2)電極および周辺への汚れの付着
電極表面の電位を測定するので、電極及び電極周辺に汚れが付着して試料と隔たりができると正しい測定値は得られない。
(3)検知電極の表面状態
水素吸着、研磨その他の要因で、電極が持つ電位が変化すると、それに応じてORP値も変化する。
(4)試料中の溶存酸素の有無
「ポーラログラフにおける電流−電圧特性上の電流が流れない(0μA)時の電圧がORP値である」という原理的な考え方を基に、明確な酸化還元系が存在しない溶液中において溶存酸素の有無による電流−電圧特性の違いに着目した。すなわち、溶存酸素が存在しない溶液では、電流が流れないときの電圧範囲が広く、観察される電圧、すなわちORP値が不安定になる。
【0023】
なお、検知電極は、その貴金属固有の単極電位の違いがあるため、材質によって測定値に差が出ると考えられる。また、上記の不安定要因のうち、(3)および(4)は、検知電極の材質によって、その影響の度合いが異なると考えられる。
【0024】
上記考察を実証すべく次の実験を行った。
実験1
まず、電極の材質、形状、洗浄方式、電極支持体の構造が異なる6種類の浸漬型検出器を用意して、生物反応槽に設置して測定データを得、各測定装置の長期安定性を比較した。生物反応槽は、分流式下水が流入する担体投入型A20法(嫌気槽、無酸素槽、好気槽)を用いて、好気槽と嫌気槽に検出器を浸漬させて、2000年7月から実験を開始した。
【0025】
Figure 0004319795
【0026】
電極材料は、金および白金を用いた。電極洗浄方式はセラミック研磨方式、ナイロンブラシによる洗浄方式、超音波洗浄方式、および揺動による洗浄方式を用いた。セラミック研磨方式と、ナイロンブラシ方式では、タイマーを用いて間欠的に洗浄した。また超音波式では連続的に超音波を照射し、揺動式では検出器の上部(槽上に出ている部分)を支点にして槽内の試料流速で検出器自体を振り子状に揺動させて洗浄効果を持たせるようにした。水洗浄や、エアパージは、過剰の酸素を供給して嫌気雰囲気を損なうおそれがあるため、行わなかった。なお、超音波式洗浄方式の装置である装置3と4、揺動式洗浄方式の装置5と6については、いずれか一方を運転するようにして、並行運転はしていない。
【0027】
なお、セラミック研磨方式を採っている装置番号1の装置では、実験開始当初は、図11に示す先端が筒状になった開口部の少ない保護カバーを用いて実験を行い、実験途中で図2〜図3に示す本発明の電極保護カバー、すなわち、筒状部を取り去って、脚部間の開放部分を大きく取った保護カバーに変更した。また、図2に示す保護カバーは、最初ステンレス製のものを用い、次いで、殺菌作用があり、微生物が付着しにくい銅製のものに交換して実験を続けた。
【0028】
装置番号1では、嫌気槽、好気槽共に安定した測定結果が得られた。ただし、実験当初、検出器先端の保護カバーに従来の筒状部分を有するカバーを用いたときは、汚れの付着によって測定値が徐々に下がってしまった。これを図2に示す開口部を広く取った保護カバーに変更したところ、測定値が下がることなく安定した測定結果が得られるようになった。更に、検出器先端部の保護カバーを銅製のカバーに変更したところ、汚れの付着が極端に少なくなった。本実験では、図5のグラフに示すとおり、研磨時には指示値が下がり、研磨後約30分で元の指示値に戻った。なお、嫌気槽では研磨を行わないと、約1週間で電極部に汚れが付着して指示値が下がり、−450Vから変化しなくなった。
【0029】
装置番号2は、嫌気槽のみに設置したが、安定した測定結果が得られた。洗浄時には指示値が下がり、洗浄後徐々に元の値に戻った。装置番号1の測定値に比べて、測定値の変化幅が小さかった。
【0030】
装置番号3ないし6は、好気槽にのみ設置した。超音波洗浄方式を用いた装置番号3および4のいずれにおいても安定した測定結果が得られたが、電極に白金を用いた装置番号4の測定値が、金を用いた装置番号3の測定値より約100mV高めであった。
【0031】
装置番号5も安定した測定結果が得られた。装置番号6の測定値は、番号5の装置と相関傾向が見られるが、変化が徐々に大きくなる傾向があった。装置番号6では、検出器を槽外へ引き上げてサンドペーパで研磨洗浄すると、測定値が+側にシフトし、元の値に戻らなかった。
【0032】
このように、最も安定した測定値が得られたのは、セラミック研磨式で洗浄を行い、先端を開放した、銅製の電極保護カバーを付けた、装置番号1の検出器であった。
【0033】
なお、好気槽では曝気するため槽内で試料がよく動き、揺動型の洗浄方式を採った電極No.5および6の検出器においても洗浄効果が得られたが、嫌気槽では試料の流れが少なく、何らかの能動的な洗浄手段を必要とする。セラミック研磨方式とブラシ方式を比較すると、ブラシ式の方が測定値の動きが小さかった。しかし、これは電極の材質が異なると共に、ブラシ式では測定時に測定電極がブラシの中に埋もれる構造であるため、セラミック研磨方式に比べて試料の動きが得られないことが原因すると考えられる。なお、セラミック研磨方式と、ブラシ式双方ともに電極表面の試料を置換する効果が期待できる。
【0034】
図5は、2001年1月26日の測定値の変動を示すグラフであり、図6は好気槽における電極材質の違い(金と白金)による測定値差を示すグラフである。
【0035】
実験2
逆浸透水に塩化ナトリウムを加えて導電率を1mS/cm増加させたものに、窒素ガスを吹き込んで脱酸素した試料と、空気を吹き込んで酸素飽和にした試料を準備して、対極が塩化銀で検知極が金の電極系と、対局が塩化銀で検知局が白金の電極系とを用いて、電流−電圧特性とORP測定を行って、それぞれを比較した。
【0036】
図7〜図10は、検知電極の各材質(金/白金)についての電流−電圧特性を示すグラフであり、試料内に溶存酸素(DO)がない場合を図7(白金)及び図9(金)に、試料内に溶存酸素が有る場合を図8(白金)及び図10(金)に示す。グラフ横軸の電圧は、対極(塩化銀)と検知極間に印可した電圧である。このグラフにおいて、電流が流れない時の電圧をORP値と読むことができる。なお、この対極とORP電極の参照電極は約+60mVの電位差を持つ。従って、ORP値に換算する場合は図の電圧ゼロ点を+60mVと読み替える必要がある。
【0037】
図7〜図10に示す電流−電圧特性によると、溶存酸素が存在している状態よりも、溶存酸素がない状態において、電流が流れない領域が漫然と存在していることがわかる。このことは、溶存酸素がない状態では、溶存酸素が存在している場合よりもORP値が不安定になりやすいことを示している。
【0038】
また、溶存酸素がない状態では(図7及び図9)、検知極に白金を用いた場合(図7)、金を用いた場合(図9)に比べて、電流が流れない領域がやや傾斜しており、電極に金を用いた場合の方が水平部分が広い。これは、溶存酸素がない状態では、白金電極の測定値は微量酸素による変動が少なく、一方、金電極は槽内の試料の状態に影響されやすいことを示す。この実験は、清浄な逆浸透水を用いて行っているが、雑多な試料が混在し、明確な酸化還元反応系が存在するとは言えない活性汚泥法の反応槽でも同じ傾向にあると考えられる。
【0039】
なお、それぞれの検知極表面を紙やすりで磨いて測定を行うと、金を用いた場合は測定値に差が生じないが、白金を用いた場合は研磨後にゼロ付近の傾斜が小さくなる傾向があることがわかった。このことは、白金電極を用いた装置の測定値が電極表面の状態に影響されやすいことを示唆するものである。また、同一の試料を測定した場合、電流−電圧特性の立ち上がり電圧は、白金電極の方が、金電極より高いことがわかる。これは、上述した実験において検知電極材質によってORP測定値に差異が生じるのと同じ傾向を示している。
【0040】
以上の2つの実験から明らかなとおり、セラミック研磨による洗浄方式(メカニカル研磨方式)を採る電位測定装置を嫌気槽におけるORP測定に好適に使用できることがわかった。なお、検出器先端の保護カバー先端に筒状部分を設けずに、電極を極力試料内に露出させるとともに、電極支持材に殺菌作用を有し汚れが付着しにくい銅を用いることによって、嫌気槽でも安定したORP測定を行うことができる。
【0041】
また、電極材料には金または白金を好適に用いることができる。金は白金に比べると嫌気状態での測定値に多少の変動が見られるものの、研磨に強く、白金より安価である。一方、白金は金に比して嫌気状態での測定値の変動は小さいが、研磨に弱いのでセラミックスではなくブラシなどの穏やかな研磨材で連続的に研磨する、あるいは間欠的に研磨する場合はその周期を短くするなどの工夫が必要となることがわかった。
【0042】
【発明の効果】
上述したとおり、本発明の電位検出装置によれば、試料に動きのない、あるいは動きの小さい嫌気槽においても、セラミック研磨洗浄手段を用いて、安定してORP値などの測定を行うことが可能である。すなわち、本発明の装置の構造によれば、セラミック研磨手段と電極支持体先端の保護カバーとの間に汚れが溜まらないため、研磨を好適に行って電極を常にきれいな状態に保つことが可能である。なお、電極の材質に殺菌作用を有する銅を用いることによって、より一層の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる電位検出装置の全体の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明にかかる電位検出装置の第1実施形態の構成を示す図であり、図2(a)は側面図、図2(b)は正面図である。
【図3】図3は、図2に示す検出装置の保護カバーの構成を示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は正面図である。
【図4】図4は、本発明にかかる電位検出装置の第2実施形態の構成を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例における測定結果を表す表である。
【図6】図6は、電極の材質による測定値の差を比較するグラフである。
【図7】図7は、電極に白金を用い、溶存酸素のない試料で測定したポーログラフ特性を示すグラフである。
【図8】図8は、電極に白金を用い、溶存酸素を飽和させた試料で測定したポーログラフ特性を示すグラフである。
【図9】図9は、電極に金を用い、溶存酸素のない試料で測定したポーログラフ特性を示すグラフである。
【図10】図10は、電極に金を用い、溶存酸素を飽和させた試料で測定したポーログラフ特性を示すグラフである。
【図11】図11は、従来の保護カバーの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 電極支持体
2 測定電極
3 セラミック洗浄装置
4 インダクションモータ
5 比較電極
6 保護カバー
7 駆動シャフト
8 液絡部

Claims (5)

  1. 電極と、先端において当該電極を支持する棒状の電極支持体と、当該電極支持体の先端を保護する保護カバーと、前記電極で感知した電位を測定する測定表示部と、前記電極表面を研磨する電極研磨手段とを具え、前記電極を液体試料に接触させて当該試料の電位を検出する電位検出装置において、前記保護カバーの先端を平坦面とし、該平坦面の位置を、前記電極支持体の延在方向において前記電極の表面と同レベルに、あるいは、前記電極の表面より手元側に存在させたことを特徴とする電位検出装置。
  2. 電極と、先端において当該電極を支持する棒状の電極支持体と、当該電極支持体の先端を保護する保護カバーと、前記電極で感知した電位を測定する測定表示部と、前記電極表面を研磨する電極研磨手段とを具え、前記電極を液体試料に接触させて当該試料の電位を検出する電位検出装置において、前記保護カバーが、前記電極支持体の延在方向において前記電極の表面と同レベルに、あるいは、前記電極の表面より手元側に存在する前記保護カバーの外周部先端から前記電極支持体の延在方向に延在する複数の脚部を具え前記脚部同士の間が前記保護カバーの外周全体に対して少なくとも70%以上開放していることを特徴とする電位検出装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電位検出装置において、前記保護カバーが銅でできていることを特徴とする電位検出装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の電位検出装置において、前記電極が金または白金でできていることを特徴とする電位検出装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の電位検出装置に使用する電極支持体保護カバー。
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