JP4318987B2 - 畦塗り機 - Google Patents

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本発明は、前処理体及び整畦体により形成された畦の底部片側に沿ってできた溝に土を供給し、圃場に湛水したとき、畦の底部に水が浸入して畦が溝側に崩れるのを防止する土供給装置を備えた畦塗り機に関する。
従来、走行機体に装着され、該走行機体から動力を受けて作動する作業部を設け、該作業部は一つの機体に、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体と、該前処理体により盛り上げられた土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体と、を備えた畦塗り機が、特許文献1により提案されている。
上記先行技術の畦塗り機においては、前処理体により元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げ、該前処理体により盛り上げられた土壌を、ドラム状の整畦体が回転しながら畦に成形している。この成形された畦の底部一側に沿って、前処理体により耕耘されて元畦側に盛り上げられた土壌の掘り上げ溝(窪み)が連続して形成されており、畦成形後に圃場に湛水すると、その水が畦の底部内に浸入して畦が溝側に崩れ易くなっている。
特開平6−22604号
上記従来の畦塗り機により形成された畦は、前処理体により元畦の一部と共に圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げ、その盛り上げられた土壌を整畦体により畦に成形しているので、完成した畦の底部の片側に沿って連続した溝が形成されることになり、圃場に湛水したときにその水が畦の底部内に浸入した際、畦の底部が溝側に崩れ易くなっている、という問題点があった。また、特許文献1以降に開発された畦塗り機において、前処理体及び整畦体を、走行機体に対して前進作業位置から水平回動及び水平移動させて後進作業位置とし、機体を後進させながら圃場全体の整畦作業を行うようにしたものがあり、その場合、走行機体の片側の車輪が前記溝に落ち込んで傾斜した状態で走行することになって精度の良い整畦作業が行えなくなる、といった問題点もあった。
本発明は、上記の問題点を解決することを目的になされたもので、前処理体及び整畦体により形成された畦の底部、及びその一側に沿ってできた溝に対して土を供給し、圃場に湛水したとき、畦の底部に水が浸入し難くして畦が崩れるのを防止し、また、前処理体及び整畦体を後進作業位置にして作業する際、走行機体が傾斜することなく走行することができて、精度の良い整畦作業が行えるようにした畦塗り機を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明の畦塗り機は、以下の構成を特徴としている。
走行機体に装着され、該走行機体から動力を受けて作動する作業部を設け、該作業部は一つの機体に、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体と、該前処理体により盛り上げられた土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体と、を備えた畦塗り機において、機体の後方側に、前処理体及び整畦体により形成された畦の底部に土を供給する土供給装置を上下調節自在に配設し、土供給装置を、走行機体の走行方向を向いた軸回りに突設された爪の回転により耕耘した土を側方に向け放出し畦の底部に供給するロータリ耕耘部とした。
記の構成により、土供給装置によって前処理体及び整畦体により形成された畦の底部に土が供給されることにより、畦の底部へ水が浸入し難くなって畦が崩れるのを防止すると共に、畦の強度を増すことができる。また、畦の底部に土が供給されるのと同時に、畦の底部に沿って形成されている溝が埋められ、前処理体及び整畦体を後進作業位置にして作業する際、走行機体は傾斜することなく走行することができ、精度の良い整畦作業を行うことができる。
また、ロータリ耕耘部により耕耘された土を、前処理体及び整畦体により形成された畦の底部に対して供給し、また同時に、畦の底部に沿って形成されている溝を埋め戻すことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明による畦塗り機の第1実施例における平面図である。図2は、同側面図である。図3は、同一部省略した背面図である。図4は、本発明による畦塗り機の第2実施例における一部省略した背面図である。図5は、本発明による畦塗り機の第3実施例における一部省略した背面図である。図6は、本発明による畦塗り機の第4実施例における一部省略した背面図である。
図1〜図3において、本発明による第1実施例の畦塗り機1は、連結フレーム2の前部に設けたロアリンク連結部3,3及びトップマスト4を、図示省略したトラクタ(走行車体)の後部に設けられた左右一対のロアリンク及びトップリンクからなる3点リンクヒッチに連結されて昇降可能であり、水田圃場に導入されて整畦作業を行うものである。連結フレーム2の前部には、入力軸ケースから前側に入力軸5が突出しており、この入力軸5にトラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント、伝動シャフトを介して動力が伝達される。連結フレーム2の後方に、左右一対の支持アーム6,6を介して、左右中央部に前記入力軸ケースや入力軸5を前後方向に支持する主フレーム7が支持されている。入力軸5の後端部は入力軸ケースから後方に突出していて、作業部側に動力を伝達する出力軸となっている。
前記主フレーム7の左右両側部と、作業部である前処理体8及び整畦体9を支持して、該前処理体8及び整畦体9に動力を伝達する伝動ケース10を含む後フレーム13との間を、左右一対の平行リンク11,12により連結している。そして、主フレーム7に対して前処理体8及び整畦体9を支持する後フレーム13が、平行リンク11,12を介して水平方向に移動し、図1に示す前進作業位置にオフセットした状態から、前処理体8及び整畦体9がトラクタの後方位置に来る格納位置になるまで移動可能である。平行リンク11の後フレーム13側の支点11aと、平行リンク12の長さ方向中間位置との間に、伸縮シリンダ状の調整ロッド14が設けられている。この調整ロッド14は、平行リンク11,12を介して前処理体8及び整畦体9を水平移動させてオフセット量を調整し、その調整位置に固定する調整位置決め機能と、前処理体8及び整畦体9を水平移動する際の平行リンク11,12の回動位置決め機能と、前処理体8及び整畦体9を前進作業位置及び格納位置にしたときの水平移動をロックする機能とを兼ね備えている。該調整ロッド14は、油圧シリンダにしても良いものである。
前記主フレーム7に設けられた前記入力軸ケース及び入力軸5からなる入・出力部7aと、後フレーム13に設けられた作業部入力部13aとの間に、ユニバーサルジョイント及び伝動シャフトからなる伝動装置15が介装され、トラクタから入力軸5に入力された動力を、伝動装置15を介して作業部入力部13aに伝達し、伝動ケース10を含む後フレーム13を介して前処理体8及び整畦体9に動力を伝達して、これらを駆動して整畦作業を行うようにしている。
前記前処理体8はロータリ耕耘装置からなり、その耕耘軸を機体の進行方向と平行にかつ水平に軸支し、該耕耘軸の軸周に複数本の耕耘爪8a及び土寄せ板8bを放射方向に装着すると共に、その上方をカバー8cにより覆い、耕耘爪8a及び土寄せ板8bにより元畦の一部及び圃場を耕耘して畦状に盛り上げる機能を備えた従来周知のものと同様のものである。また、前記整畦体9は、伝動ケース10から後方に屈曲した伝動ケース、デフケース等を介して動力を受けて、多面の整畦面が偏心しながら回転して畦法面を叩いて畦に成形する多面体ドラム9aを取付け、この多面体ドラム9aのドラム中心の基部に畦の頂部を平らに形成する水平円筒部9bを一体的に取付けてカバー9cにより覆っている。この水平円筒部9bには、外側に向け延長部が取付け可能であり、従来周知のものと同様のものである。該整畦体9を支持し、動力を伝達する整畦体支持フレーム13bには、整畦体9全体の上下高さを調節可能にした整畦体上下調節装置17を設けている。
ここで本発明においては、機体の後方側に設けられている前記整畦体支持フレーム13bの端部に、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部に向け耕耘した土を供給する土供給装置としてのディスクプラウ18を配設している。該ディスクプラウ18は、上下調節装置18aの下端部に支持されていて、上下調節装置18aの上端部に設けた回転ハンドルを回転することにより耕耘深さが調節され、畦の底部に向け供給する土の量を調節可能にしている。前記後フレーム13の前処理体8及び整畦体9を支持した側と反対側の端部に、作業部全体の上下高さ(作業深さ)を調節するコールタ状の作業深さ調節輪19が設けられている。この作業深さ調節輪19も、前記上下調節装置18aと同様の上下調節装置19aの下端部に支持されていて、上下調節装置19aの上端部に設けた回転ハンドルを回転することにより作業部全体の作業深さが調節される。図1において、符号20は作業部の前後方向の水平レベルを表示する作業部前後方向水準器、21は作業部の左右方向の水平レベルを表示する作業部左右方向水準器であり、後フレーム13の上面に並設されている。
図4に示す本発明による畦塗り機1の第2実施例のものは、上記図1〜図3に示される第1実施例における土供給装置としてのディスクプラウ18及び上下調節装置18aに代えて、ストレートの鋤タイプ排土板22及び上下調節装置22aを装着したものである。その他の構成は、第1実施例のものと同じである。そして、排土板22により斜め側方に向け押し出された土は、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部に向けて供給される。
図5に示す本発明による畦塗り機1の第3実施例のものは、上記図1〜図3に示される第1実施例における土供給装置としてのディスクプラウ18及び上下調節装置18a、または図4に示される第2実施例における土供給装置としての排土板22及び上下調節装置22aに代えて、曲面からなる鋤タイプ排土板23及び上下調節装置23aを装着したものである。その他の構成は、第1実施例及び第2実施例のものと同じである。そして、排土板23により斜め側方に向け押し出された土は、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部に向けて供給される。
図6に示す本発明による畦塗り機1の第4実施例のものは、上記図1〜図3に示される第1実施例における土供給装置としてのディスクプラウ18及び上下調節装置18a、または図4に示される第2実施例における土供給装置としての排土板22及び上下調節装置22a、あるいは図5に示される第3実施例における土供給装置としての排土板23及び上下調節装置23aに代えて、ロータリ耕耘部24及び上下調節装置24aを装着したものである。その他の構成は、第1実施例、第2実施例、及び第3実施例のものと同じである。そして、ロータリ耕耘部24により耕耘されて斜め側方に向け放出された土は、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部に供給される。
このような構成の畦塗り機1においては、図示しないトラクタの後部に3点リンクのロアリンクがロアリンク連結部3に、トップリンクがトップマスト4にそれぞれ連結され、トラクタのPTO軸からユニバーサルジョイント,伝動軸、ユニバーサルジョイントを介して入力軸5に動力が伝達される。トラクタ及び畦塗り機1が道路や圃場通路を移動するときには、前処理体8及び整畦体9を格納位置にしておく。この状態では、平行リンク11,12の回動が調整ロッド14により規制され、前処理体8及び整畦体9の水平移動が阻止され、畦塗り機1は安定した状態で移動できる。
畦塗り機1を格納状態から図1の前進作業状態に切り換えて整畦作業を行うときは、調整ロッド14のロックを解除し、平行リンク11,12を回動させて前処理体8及び整畦体9を水平移動させ、前進作業状態にまで移動(オフセット)させる。この平行リンク11,12の回動に伴って調整ロッド14も伸縮する。そして、前処理体8及び整畦体9が前進作業位置に達したとき、調整ロッド14をロック状態にして平行リンク11,12の回動を阻止し、前処理体8及び整畦体9は左右水平方向に移動しなくなる。前処理体8及び整畦体9全体の作業深さの調整はトラクタの3点リンクによって行うこともできるが、作業深さ調節輪19を上下調節装置19aによって上下動させて行う。また、整畦体9の作業深さを調節するときは、整畦体上下調節装置17によって行う。前処理体8及び整畦体9は、作業姿勢を前後左右に水平を保って作業することが好ましいが、その調整を行うときは、作業部前後方向水準器20及び作業部左右方向水準器21が用いられる。そして、トラクタの走行と共に前処理体8及び整畦体9を駆動させて整畦作業が行われる。
本発明においては、機体の後方側に、土供給装置としてのディスクプラウ18,排土板22,23、ロータリ耕耘部24などを配設しているので、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部及び前処理体8により掘られた連続した溝に対して土が供給され、畦の底部へ水が浸入し難くなって畦が崩れるのを防止し、畦の強度を増大させる。また、畦の底部に沿って形成されている溝が埋められ、前処理体8及び整畦体9を後進作業位置にして後進しながら整畦作業をする形式の畦塗り機においては、トラクタが傾斜することなく走行することができ、前処理体8及び整畦体9の作業精度が向上する。
本発明の畦塗り機1により、前処理体8及び整畦体9により形成された畦の底部及び前処理体8により形成される連続した溝に対して、土供給装置により土が供給され、畦の底部への水の浸入が阻止されて畦が崩れるのを防止する。また、畦の底部に沿って形成されている溝が埋められ、前処理体8及び整畦体9を後進作業位置にして後進しながら整畦作業を行う形式の畦塗り機においては、走行機体が傾斜することなく走行し、前処理体8及び整畦体9の作業精度を向上させることができる。
本発明による畦塗り機の第1実施例(土供給装置としてディスクプラウを使用)の平面図である。 同側面図である。 同一部省略した背面図である。 本発明による畦塗り機の第2実施例(土供給装置としてストレートの鋤タイプ排土板を使用)における一部省略した背面図である。 本発明による畦塗り機の第3実施例(土供給装置として曲面からなる鋤タイプ排土板を使用)における一部省略した背面図である。 本発明による畦塗り機の第4実施例(土供給装置としてロータリ耕耘機構を使用)における一部省略した背面図である。
符号の説明
1 畦塗り機
2 連結フレーム
3 ロアリンク連結部
4 トップマスト
5 入力軸
6 支持アーム
7 主フレーム 7a 入・出力部
8 前処理体 8a 耕耘爪 8b 土寄せ板 8c カバー
9 整畦体 9a 多面体ドラム 9b 水平円筒部 9c カバー
10 伝動ケース
11,12 平行リンク 11a 後フレーム側支点
13 後フレーム 13a 作業部入力部 13b 整畦体支持フレーム
14 調整ロッド
15 伝動装置
17 整畦体上下調節装置
18 ディスクプラウ(土供給装置) 18a ディスクプラウ上下調節装置
19 作業深さ調節輪 19a 作業深さ調節輪上下調節装置
20 作業部の前後方向水準器
21 作業部の左右方向水準器
22 ストレートの鋤タイプ排土板 22a 排土板上下調節装置
23 曲面からなる鋤タイプ排土板 23a 排土板上下調節装置
24 ロータリ耕耘部 24a ロータリ耕耘部上下調節装置

Claims (1)

  1. 走行機体に装着され、該走行機体から動力を受けて作動する作業部を設け、該作業部は一つの機体に、元畦の一部及び圃場を耕耘して元畦側に畦状に盛り上げる前処理体と、該前処理体により盛り上げられた土壌を回転しながら畦に成形するドラム状の整畦体と、を備えた畦塗り機において、
    前記機体の後方側に、前処理体及び整畦体により形成された畦の底部に土を供給する土供給装置を上下調節自在に配設し、
    前記土供給装置を、前記走行機体の走行方向を向いた軸回りに突設された爪の回転により耕耘した土を側方に向け放出し畦の底部に供給するロータリ耕耘部としたことを特徴とする畦塗り機。
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