JP4318533B2 - ボールバンプ形成用リボン - Google Patents

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Description

本発明は、ボールバンプ形成用リボンに関し、特に半導体装置のICチップ電極と配線基板とをボールバンプによって接続するためのリボンに関する。
近年、半導体装置の実装方法において、多ピン化、薄型化及び微細化が進んでいる。これに対応する技術として、メッキ処理によりバンプ電極を形成する方法が主流である。しかしながら、メッキ法は初期の設備投資を含めたバンプ形成コストが比較的高く、また形成できるバンプ電極の高さに限界がある。そこで、このメッキ法に代わるバンプ電極の形成方法として細線を用いた方法が開発され、ICチップの電極パッドと外部の配線端子等をバンプを介して直接接合する技術が開発された。このいわゆるワイヤレスボンディング方法は、ボンディングワイヤで配線する場合に比べて接合部分の高さを低くすることができるので、薄型パッケージに適しているという利点がある。
この細線によるバンプ形成方法で一般的なものは、ボールバンプによる方法である。すなわち、キャピラリーに挿通された細線の先端に熱エネルギーを加え、細線の先端を加熱溶融してボールを形成し、このボールをキャピラリーによってICチップの電極パッド上に加熱圧着する。この場合、必要に応じて超音波を併用する。その後、キャピラリーとともに細線を上方に引張って細線をボール頂上付近で引きちぎる。この工程を繰り返すことによってICチップの電極パッド上に多数のボールバンプを効率よく形成することができる。次いで、この多数のバンプ電極と配線基板上の実装用パッドとの位置合わせを行い、半導体素子が配線基板上に加圧圧接され、バンプ電極と実装用パッドとが電気的に接続される。
しかしながら、このような方法では、引きちぎられてバンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが大きいため、バンプ電極と実装用パッドとを電気的に接続させる際に全体を均一に加圧することができなくなり、多数のバンプ電極の一部に接合不良が発生しやすいという欠点があった。逆にボール直上部で切断されやすいように、切断しやすい元素を多く添加していくと、熱エネルギーで形成したボールが硬くなり、ICチップの電極パッド上に加熱圧着した時に電極部にクラックが入ってしまうという欠点があった。
このような欠点を解決するため従来から様々な方法が模索された。例えば、単にボンディングワイヤ用のAu、Cu、Pt、Pd、Au合金又はAuを被覆したCu、Ni、Al、Pd若しくはこれらの合金材料を代用するだけでなく、バンプ形成用の材料を新たに開発することである。特公平4−76497号公報にはPd金属が開示され、特許第737953号公報や特許第3064692号公報や特開平9−321076号公報にはAu−Pd含有合金が、特開平10−287936号公報にはAuに3種類の白金族金属を含有させた合金が開示されている。また、特許第2778093号公報にはAuに希土類元素等を微量添加させた合金が、特開平8−264544号公報にはAuにSiを微量添加させた合金が、特開平9−272930号公報にはAuにMnを微量添加させた合金が、そして特開平11−340264号公報にはAuにZn、Co、Mo又はCrを含有させた合金が、それぞれ開示されている。また、特開2000−68310号公報には熱処理された金線が開示されている。
ところが、このように素材を変えても、細線の先端を加熱溶融してボールを形成してから加熱圧着するまでの間に、細線を伝わる熱の速度にほとんど影響がないことから、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキはほとんど解消されない。
他方、キャピラリーを使ってバンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを解消しようとしたものもある。特公平4−41519号公報(特許文献1)には、「キャピラリーの下端面によりワイヤのボール近くに切欠部を付与し、次いでワイヤをこの切欠き部で引き切る」発明が開示されている。特開昭62−211937号公報(特許文献2)には、「ワイヤ挿通孔の下面開放部に設けられ所定形状の接合金属粒を形成固着させる凹状の加圧形成部を具備する」キャピラリーによって切断する発明が開示されている。特公平6−95468号公報や特公平6−3820号公報には、キャピラリーを上方に移動させた後「キャピラリーをループ状軌道を持って移動したのち金属ワイヤを切断」する発明が開示されている。特公平7−70559号公報(特許文献3)又は特開平10−303201号公報には、「キャピラリーの下端面によりワイヤのボール近くに切欠部を付与し、次いでワイヤをこの切欠き部で引き切る」発明又はキャピラリーの「ワイヤを通す貫通孔が開口する下端面に略釣鐘状の凹部を形成してなる」キャピラリーによってワイヤを切断する発明が開示されている。特許第2735022号公報には、「キャピラリーを再度第1のバンプへ向けて押圧しつつ超音波を印加してから前記バンプ製造用キャピラリーを前記第1のバンプから引き離してワイヤを前記第1のバンプから切断する」発明が開示されている。特開平11−74300号公報には、「熱エネルギによって形成されたボールがキャピラリーの先端面に突き当てられることにより、金属ワイヤのボールとの接続部位に括れ部が形成され、この括れ部にて前記金属ワイヤが切断される」発明が開示されている。
ところが、これらの方法も細線とキャピラリーの熱伝導度がバンプを形成するたびごとに異なるため、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキはほとんど解消されない。しかも余分な工程が入り込むため、バンプ1個当たりの時間が長くなってしまい、コスト高になってしまう。
そのほか、特開昭64−12555号公報(特許文献4)(特許第621881号公報も同じ。)、特許第2624567号公報、特開平9−97794号公報、又は実公平7−49794号公報、あるいは特開平10−199888号公報には、「ワイヤを切断して分離することによってバンプ素材を形成し、前記バンプ素材を押圧してその上面を所定高さの平坦な面に整形する」発明、半導体チップ上のバンプ群を「レベリングヘッドで加圧することにより、チップ固定台がレベリングヘッドによる加圧のストッパとなり、バンプの頭頂部のみを加圧して成形し、短時間で簡単にバンプの高さを均一にする」発明、「バンプの高さを揃えるために切断面をハンマでたたいて平坦化する」発明、又は「接合部の信頼性を高める手段として、テイルを押し付けて、バンプの頭頂部を平坦に成形する」発明、あるいは「ボールの付け根を両側から一対のカッターで切断して電極上にバンプを形成する」発明が、それぞれ開示されている。
ところが、これらの方法は装置が複雑になり、バンプ1個当たりの形成時間が長くなってしまい、コスト高になってしまう。また、特開平10−199888号公報以外の発明は、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが大きい場合にはバラツキがほとんど解消されない。
そこで、ボールバンプによる方法以外の方法も考えられている。特許第2631013号公報や特開平11−74299号公報には、キャピラリーに挿通された細線の先端に熱エネルギーを加えないで細線の先端にボールを形成しないまま直接超音波で接合するウエッジボンディング方法が開示されている。しかしながら、ウエッジボンディングはボールボンディングよりも接合力が弱く信頼性に欠ける。
さらに、特開平9−97816号公報には、「半導体素子を回路基板に対して押圧して、バンプ電極のテイルを塑性変形させて実装用パッドの底面に圧接させる」半導体装置の製造方法が開示されているが、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが大きい場合には適用できない。そのため、特公平5−33820号公報(特許文献5)に開示されているように、「各ワイヤ部の上端部を、周知な機械的又は熱的手段で溶断して、各ワイヤ部の長さを同一にする」必要があるが、装置が複雑になり、バンプ1個当たりの形成時間が長くなってしまい、コスト高になってしまう。
特公平4−41519号公報 特開昭62−211937号公報 特公平7−70559号公報 特開昭64−12555号公報 特公平5−33820号公報
本発明の目的は、キャピラリーに挿通された細線の先端に熱エネルギーを加え、細線の先端を加熱溶融してボールを形成し、このボールをキャピラリーによってICチップの電極パッド上に加熱圧着した後、キャピラリーとともに細線を上方に引張って細線をボール頂上付近で引きちぎる作業において、引きちぎられてバンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを低くすることができるボールバンプ形成用リボンを提供することである。
また、本発明の目的は、従来の前記バンプ用材料が利用でき、従来の前記キャピラリーを使ってバンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを解消しようとした手段が利用でき、従来の前記平坦化手段や切断手段が利用できるボールバンプ形成用リボンを提供することである。
本発明によれば、下記(a)が提供できる。
(a)ボールバンプ形成用リボンであって、長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
あり、リボンの材質が、純度99.99質量%以上の高純度の金であって残りの0.01質量%以下の元素のなかにCa、Be、Y又は希土類元素のうち少なくとも1種を3〜50ppm含有することを特徴とするボールバンプ形成用リボン。
本発明のボールバンプ形成用リボンは、長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
であることから、該リボンを用いた本発明のボールバンプ形成方法において、リボン細線の場合は、引張り時の破壊現象が平板の脆性破壊によって斜めに切断されるため丸線の延性破壊よりもテイルが短くなり、かつ、形状効果によって丸線の場合よりも熱影響部のバラツキが抑えられるため、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを小さくすることができる。このバラツキの抑制効果は溶融ボールの硬い材料のほうが柔らかい材料よりも向上する。バラツキの抑制効果が高いものとして好ましいのは、該リボンの材質が、純度99.99質量%以上の高純度の金であって残りの0.01質量%未満のなかに特にCa、Be、Y又は希土類元素のうち少なくとも1種を3〜50ppm含有するものである。
本発明者らは鋭意攻究を重ねた結果、細線のボールバンプでは細線をリボン状にすることにより、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを小さくできることを見出した。すなわち、丸線を引張ると延性破壊によって切断されるのに対し、平板の場合は脆性破壊によって斜めに切断されることを利用し、かつ、熱影響部の長さを短くしてバンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキを小さくするものである。

本発明のボールバンプ形成用リボンは、長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
であることを特徴とする。ここで、(短辺の長さ)/(長辺の長さ)の比を0.09以上とするのは、この数値未満ではリボンが薄くなりすぎてキャピラリーから送り出すことができなくなるからである。また、(短辺の長さ)/(長辺の長さ)の比を0.8以下とするのは、この数値を越えると短辺と長辺との差がなくなり、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが大きくなるためである。ここで、該リボンの厚みは、リボンの取扱いやすさの観点から、4〜60μmが好ましいが、単位面積あたりのバンプ電極の密度をできるだけ増やしたいという多ピン化の要請から、4〜25μmがより好ましい。
本発明のボールバンプ形成用リボンの材質は、Au、Cu、Pt、Pd、Au合金又はAu被覆合金(Cu、Ni、Al、Pd若しくはこれら合金にAuが被覆されたものをいう。)が好ましい。これらの材質は冷間伸線加工がしやすいからである。
特に本発明のボールバンプ形成用リボンの材質は、純度99.99質量%以上の高純度の金であって残りの0.01質量%以下の元素のなかにCa、Be、Y又は希土類元素のうち少なくとも1種を3〜50ppm含有するものが好ましい。この金合金は、細線の強度を高くするうえ、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さを短くしてもバラツキが少ないためである。なお、希土類元素としては、La、Ce、EuおよびGdが好ましく、この中でも特にLaが最も良い。バンプとして短く切れやすいからである。
本発明のボールバンプ形成用リボンの製造方法は、冷間伸線した丸い細線を圧延ロールで、断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
の平角状に圧延することを特徴とする。両角がなだらかな平角リボンを簡単に製造できるようにするためである。この平角リボンは両角がないため、キャピラリーに引っかからずにスムーズにこの平角リボンを送り出すことができる。
本発明のボールバンプ形成用リボンの他の製造方法は、冷間伸線した丸い細線を、長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
の異形のダイヤモンドダイスにて伸線加工を行うことを特徴とする。圧延工程を増やさずに均一な形状のリボンを製造することができるためである。なお、必要に応じて約150〜600℃程度の温度で最終熱処理を施してもよい。この熱処理によってリボンの材質が均質化されるからである。
本発明のボールバンプ形成方法は、キャピラリーに挿通された細線の先端に熱エネルギーでボールを形成し、該キャピラリーを下降させて該ボールをICチップ電極又は外部配線上に押圧接合した後、前記細線を上方に引張って前記押圧されたボールと細線とを切り離すことにより、該ボール部をICチップ電極又は外部配線上へ供給し、同様な手段によって該ボール部を多数配設するボールバンプの形成方法において、前記細線として長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
のリボンを用いることを特徴とする。ここで、(短辺の長さ)/(長辺の長さ)の比を0.09以上とするのは、バンプの切断時に平板の脆性破壊と放熱面積の増大を利用するためで、この数値未満ではリボンが薄くなりすぎてキャピラリーから送り出すことができなくなるからである。また、(短辺の長さ)/(長辺の長さ)の比を0.8以下とするのは、この数値を越えると短辺と長辺との差がなくなり、切断時に丸線の延性破壊となる結果、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが大きくなるためである。
本発明のボールバンプ形成方法の例を図1(a)〜(d)に基づいて説明する。
例えば、ワイヤボンディングで用いられる高速自動ボンダーを使用して、窒素の不活性な雰囲気や大気中でボールボンディング法によってバンプを形成することができる。即ち、図1(a)に示すように、キャピラリー7に前記本発明のボールバンプ形成用リボン8を挿通し、電気トーチロッド(図示せず)によってリボン8との間に高電圧を印加し、この電気スパークによってキャピラリー7から突出しているリボン8の先端に溶融ボール9を形成する。次に図1(b)に示すように、クランパ(図示せず)を開いてキャピラリー7を半導体チップ上のAl電極3の所定の位置へ下降させ、溶融ボール9がAl電極3上にキャピラリー7の先端面によって押接され、溶融ボール9がAl電極3上でほぼ半球形状に形成される。その後、図1(c)に示すように、クランパ(図示せず)を閉じてリボン8を把持したままキャピラリー7をボールの上方へ上昇させる。このキャピラリー7の上昇とともにAl電極3へ固定されたボールに対してリボン8が引張られるため、リボン8は図1(d)に示すようにひきちぎられる。これにより、Al電極3に固定されて残ったボールによって尖状のバンプ10が形成された状態になる。また、このバンプ10の高さ(全高)はAl電極3の上面から尖状部の頂点までの範囲となる。また、このバンプ10のテイル長さはキャピラリー7との押接面から尖状部の頂点までの範囲となる。換言すれば、バンプ10の高さはテイル長さとバンプ厚さとの和である。線材のひきちぎりによる尖状バンプの形成方法は、最も簡単な方法であるものの線材にとって最も過酷なバンプの形成方法である。
本発明の半導体装置の製造方法は、前記したようにキャピラリーに挿通された細線の先端に熱エネルギーでボールを形成し、該キャピラリーを下降させて該ボールをICチップ電極又は外部配線上に押圧接合した後、前記細線を上方に引張って前記押圧されたボールと細線とを切り離すことにより、該ボール部をICチップ電極又は外部配線上へ供給し、同様な手段によって該ボール部を多数配設するボールバンプの形成し、その後前記バンプ群に対応する別の金属面を圧接させる半導体装置の製造方法において、前記細線として長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
のリボンを用いることを特徴とする。ここで、(短辺の長さ)/(長辺の長さ)の比を0.09以上で0.8以下のものを用いるのは、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さのバラツキが小さいため別の金属面を圧接する作業が容易になるからである。
本発明の半導体装置の製造方法の例を図2(a)〜(c)に基づいて説明する。
先ず、前記ボールバンプ形成方法により、複数のバンプ電極105をAl電極106上に形成させた半導体素子103を得る。該バンプ電極105は尖状のテイル104を有している。一方、バンプ電極が実装されるパッドの製造方法は、両面プリント配線基板を例にとると次のように製造される。ガラス・エポキシ樹脂からなるCu張積層板101の所望箇所をドリルで孔あけし、その孔を無電解・電解Cuめっきして表裏面のCu箔の導通をとる。次いでNiめっきしたあとAuめっきのパターンめっきを施し、実装用パッド109(底面108を有している。)を形成して回路基板が製造される。
図2(a)に示すように、回路基板101上に熱硬化性エポキシ樹脂からなる封止樹脂107を供給し、実装用パッド109にバンプ電極105を対向させるように半導体素子103を回路基板101に対して位置合わせする。次に図2(b)に示すように、前記半導体素子103を前記回路基板101に対して押しつけて、前記バンプ電極105の前記テイル104を封止樹脂107中に埋入させる。埋入させた該テイル104の先端は、実装用パッド109の底面108に当接させる。さらに、半導体素子103を回路基板101に対して押圧して、図2(c)に示すようにバンプ電極105のテイル104を前記実装用パッド109の底面108に圧接させ、封止樹脂107を半導体素子103のバンプ電極105が設置された面にも接着させた状態で270℃で30秒間ほど加熱硬化させてバンプ電極を補強することにより、半導体装置を製造することができる。
本発明の半導体装置の製造方法は、前記パッドを前記バンプと同種の金を用いることができる。この場合は、バンプの尖状テイルがパッドへくさびのように食い込むだけでなく、パッドのAuとバンプのAuとの金同士による相互拡散が期待できるためさらに強固な接合をすることができる。
特に発明の半導体装置の製造方法は、前記リボンの材質がAuにCa、Be、Y又は希土類元素のうち少なくとも1種を3〜50ppm含有する純度99.99質量%以上の高純度の金であることが好ましい。この金合金は、細線の強度を高くするうえ、バンプ電極の直上に残る細線の破断長さを短くしてもバラツキが少ないためである。なお、希土類元素としては、La、Ce、EuおよびGdが好ましく、この中でも特にLaが最も良い。バンプとして短く切れやすいからである。
本発明のリボンは、通常の異形線の製造方法と同じように製造できる利点がある。例えば丸い細線を圧延ロールで平坦にしたり、平角ダイスで伸線したり、圧延ロールの一方に溝を設けたりして製造できる。この場合、一方の圧延ロールと丸い細線との間にゴム状物質やプラスティック状物質を介在させて上下非対称の異形線を形成することもできる。このように形成したリボンは、必要に応じて最終の熱処理を行うことができる。また、付加的に、巻取りスプールを伸線方向に対して回転させることによってらせん状にねじりを加えることもでき、気相エッチング又は化学エッチングによってリボンの表面を粗面にすることもできる。その結果、断面形状が平角状のものだけでなく、楕円状のものや扁平な星形やH形状のものも得ることができる。このように平角状の断面形状が変形されたリボンであっても、断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
であれば、断面形状が平角状のものと同じように、引張ると平板の脆性破壊現象によって斜めに切断される。よって、バンプ電極の真上に残る細線の破断長さのバラツキを小さくすることができる。
[実施例1〜5]
高純度の金または高純度のPdに添加元素を所定量だけ添加し、真空溶解炉で溶解鋳造し、表1左欄に示す実施例1〜5の組成のインゴットを得た。ここで、高純度の金としては純度99.999質量%のものを用い、高純度のPdとしては純度99.99質量%のものを用いた。このインゴットを溝ロール加工し、次いで伸線機を用いて冷間加工および必要に応じ約500℃で中間熱処理を施し、最終線径が25μmのところで約300℃で最終熱処理によってカールをとった。この細線を圧延しないもの、並びに20m/分の速度で20、15、9および6μmの厚さになるようにリボン状に5種類を圧延した。
これらリボンの長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比[(短辺の長さ)/(長辺の長さ)]はそれぞれ、厚さ20μmのものは0.8、厚さ15μmのものは0.5、厚さ9μmのものは0.2、厚6μmのものは0.1であった。
これら厚さ20、15、9および6μmの表1に示す成分組成の5種類のリボン材料について、図1に示す方法でバンプを作成した。すなわち、それぞれのリボン材料から直径60μmの溶融ボールを形成した後、このボールを温度250℃および荷重50gの条件でバンプの直径が80μmの半球状になるまでICチップのAl電極上で圧潰し、バンプを100μmのピッチ間隔で各々20個ずつ作成した。次いで、これらのバンプ高さ(全高)を測定するとともにボールの潰れ具合の外観検査を行った。バンプ高さは測長顕微鏡を用いて求め、20個中の平均値および最大値と最小値の差を求めた。また、バンプ形成時のボールが潰れた外観を実体顕微鏡で観察した。これらの測定結果を表1中欄に示す。
表1の結果から明らかなとおり、本発明のバンプは満足のいくものである。
[実施例6〜10]
Auメッキ配線がされたガラスエポキシ樹脂のプリント基板を用意し、前記実施例1〜5のバンプに対応する位置に直径60μmの高純度のAuボール(純度99.99%以上)を接合した。このプリント基板にICチップのバンプを重ね合わせ、1バンプ当たり加圧力35g、超音波0.3W、温度250℃で押圧し、エポキシ樹脂を封入しない状態で半導体装置の接合の強弱を調べた。その測定結果を表1右欄に示す。接合の良好なものの断面構造は、ひきちぎられたバンプの尖状テイルがくさびのようになって、対向するAuボールに埋め込まれていることがわかった。
[比較例1〜12]
実施例1〜5で用いた、リボン状に圧延する前の丸い細線(ワイヤ)を用いて比較例1〜5とし、実施例1〜5と同様にしてバンプを各々50個ずつ作成し、バンプ長さとボールが潰れた外観の検査を行った。これらの測定結果を表1中欄に示す。また、実施例6〜10と同様にして半導体装置の接合の強弱を調べた。その測定結果を表1右欄に示す。さらに、比較例11及び12として、実施例1および実施例5の成分組成の材料を実施例1および実施例5と同一の条件でそれぞれ23μm([「(短辺の長さ)/(長辺の長さ)」は0.9]および2μm([「(短辺の長さ/長辺の長さ)」は0.08)の厚さになるように圧延した。これらの測定結果も表1中・右欄に示す。半導体装置の接合では、20個中に必ずテイル長さが極端に長いバンプがあるため、そのテイルが回路基板と押圧時に折れ曲がる。折れ曲がったテイルは隣接するバンプへ接触することがあり、その場合ショートし、半導体装置が不良品となる。
なお、極度に圧延した2μmの厚さのリボンは、キャピラリー中を送り出すことができず、かつ、所定のボール形状にすることができなかった。
表1から明らかなとおり、比較例(従来例)は不十分な結果であることがわかる。
なお、実施例1〜5で用いた、リボン状に圧延する前の丸い細線を用いて比較例1〜5とし、実施例1〜5と同様にしてバンプを各々10個ずつ作成し、実施例と比較例(従来例)について熱サイクルテスト(−50℃/150℃)を1,000サイクル繰り返したが、実施例と従来例とも抵抗値は変化しなかった。
Figure 0004318533
注)接合性の評価基準は、熱硬化性のエポキシ樹脂を封入する前の状態で、バンプの剪断荷重を測定し、以下のように判断した。
測定装置:DAGE社製の万能ボンドテスター(BT-2400)
○:35g以上
△:20g以上35g未満
×:20g未満
また、バンプ高さの判定は、最大値と最小値の差が50μm以下のものを良品として判定し、50μmを超えるものを不良品とした。
[実施例11及び比較例13]
実施例11及び比較例13として、実施例3の金線リボンと比較例3の金線パンプを各々20個作成したときにおける各バンプ高さの値を表2に、そのときのバラツキのグラフを図3に示す。ここで、横軸の「バンプNo.」はバンプ高さの低いものから高いものへ順に並べたときの番号を示し、グラフの黒丸(●)が実施例11のリボンバンプを、黒四角(■)が比較例13の丸線バンプをそれぞれ表す。
図3のグラフの対比から明らかなとおり、本発明の実施例11のリボンバンプは比較例13の丸線バンプに比べて、バンプ高さの最大値と最小値との差が小さく高密度実装可能な多ピン化に向いていることが明らかである。
Figure 0004318533
実施例11のリボンバンプ及び比較例13の丸線バンプの外観模式図を図4及び図5に示す。
図4及び図5の外観模式図から判読できるように、本発明の実施例11のリボンバンプは従来の比較例13の丸線バンプに比べてテイルが短いので、そのテイルが回路基板との押圧時に折れ曲がって隣接するバンプへ接触する危険性がないことが明らかである。
本発明によるボールバンプ形成方法の例の各工程図である。 本発明による半導体装置の製造方法の例の各工程図である。 本発明のボールバンプ形成用リボンを用いて形成したバンプと、従来のワイヤを用いて形成したバンプとの、高さのバラツキを比較するためのグラフである。 (a)は本発明のボールバンプ形成用リボンを用いて形成したボール、(b)は本発明のリボンバンプ電極を設けた半導体素子の外観模式図である。 (a)は従来の丸線を用いて形成したボール、(b)は従来の丸線バンプ電極を設けた半導体素子の外観模式図である。
符号の説明
1 半導体素子
2 Si層
3 Al電極パッド
4 保護層
7 キャピラリー
8 リボン
9 ボール
10 バンプ
101 Cu張積層板
102 内層回路
103 半導体素子
104 テイル
105 バンプ電極
106 電極
107 封止樹脂
108 底面
109 実装用パッド

Claims (1)

  1. ボールバンプ形成用リボンであって、長手方向と直交する方向の切断面における長辺の長さと短辺の長さとの比が
    0.09≦(短辺の長さ)/(長辺の長さ)≦0.8
    であり、リボンの材質が、純度99.99質量%以上の高純度の金であって、残りの0.01質量%以下の元素のなかにCa、Be、Y又は希土類元素のうち少なくとも1種を3〜50ppm含有することを特徴とするボールバンプ形成用リボン。
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