JP4318486B2 - 風力回転式視線誘導標 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力を受けて回転する構造の視線誘導標に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の視線誘導標の中で本発明に最も近いものとして登録実用新案公報第3016011号「回転式視線誘導標」が公知である。
図7は上記公知の回転式視線誘導標を示し、(A)は正面図、(B)は断面平面図、(C)は部分的に切断して描いた側面図である。
主として(B)図を、併せて(A),(B)図を参照して説明すると、外枠21に対して、回転軸22により、回転式視線誘導標23が回転自在に支承されている。
上記回転式視線誘導標23は、水平断面が異形の星形になっていて、風車として機能するようになっており、かつ、多数の反射面23a〜23hを有していて、回転したとき明滅するような外観を呈し、有効に視線を誘導する。
図示を省略するが、これに似たものとして実用新案公報昭55−51863号「回転式視線誘導標」も公知である。この公知例は、回転体が円盤であることが図7の公知例と異なっているが、該円盤の両面が反射面であること、および、該円盤が外枠(ただし、円盤の外枠、すなわち環)に対して回転自在に支承されている等の基本的構成は図7の公知例と同様である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記公知例の視線誘導標(図7)は、風を受けると回転するので視認性に優れているという長所は有るが、風を受けて回転力を発生する表面と、反射面として機能する表面とが同じであるから設計的自由度が少ない。
すなわち、風車として機能する構成部分は微風でも確実に回転するよう流体力学的に最良の形状となし、かつ、反射機能を有する構成部分を心理学・光学的に最良の形状とすることができない。その理由は、反射面イコール風車面だからである。
【0004】
さらに、回転部材の全面に反射面を形成しなければならないので生産性が悪く、製造コストが割高になる。
その上、外枠によって「回転する反射部材」を支承しているので、反射面への入射光および反射面からの出射光の一部分が外枠によって遮られる場合が有る。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みて為されたものであって、その目的とする処は、
流体力学的に優れた風車性能を有していて、微風によっても確実に回転し、
心理学的・光学的に優れていて視認性が良く、しかも生産性が高くて高品質の製品を低コストで製造し得る、風力回転式の視線誘導標を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために創作した本発明の基本的構成について、その実施形態に対応する図1を参照して略述すると次のとおりである。
風力回転式の視線誘導標を改良して、流体力学的にも心理学・光学的にも設計の自由度を高め、微風でも確実に回転し、視認性が良く、生産性も優れたものとするため、本発明は、透明な板状の複数枚の翼1a,1b,1cから成る透明板状風車羽根1を、流体力学的見地から構成するとともに、心理学的・光学的見地から構成したシート状の反射体2を前記の翼に貼着し、さらに、本願に係る3種類の発明(請求項1、同2、及び同3)は、それぞれ下記のように工夫して視認性を向上させる。
【0007】
請求項1の発明に係る風力回転式視線誘導標の構成は、反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されていて、
前記シート状の反射部材が半円形もしくはこれに類似する形状をなしていて、
該半円形の弦が、回転中心線に対してほぼ平行であることを特徴とする。
【0008】
以上に説明した請求項1の発明によると、設計の自由度が大きい。すなわち、独自に構成された風車羽根に対して、別途に構成されたシート状の反射部材を貼着する構造であるから、風車羽根を流体力学的見地から自由に設計し、かつ、反射部材を心理学的・光学的見地から自由に設計することができる。
その上、大量生産して市場に供給されている規格品の反射シートを利用できるので生産性に優れ、低コストで大量に製造することができ、しかも製品品質のバラツキが少ない。
さらに、本請求項1の発明によると、半円形状の反射部材が回転したときほぼ完全な円形の外観を呈し、優れた視線誘導機能を果たすことができる。
しかも、半円形状の反射部材が貼着されていない部分の風車羽根が透明であるから、前記反射部材に入射する光路や反射部材から出射する光路を妨げる虞れが無い。
また、前記反射部材の形状は風車としての機能に直接的な影響を与えないので流体力学的な考慮を煩わすことなく、心理学的・光学的に最も好適なように設計することができ、
さらに、意匠的考慮を加えるについても別段の制約を受けることが無い。
【0009】
請求項2の発明に係る風力回転式視線誘導標の構成は、反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されるとともに、
前記の透明な風車羽根が上下2段に分割されていて、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが相互に回転位相角度差θで連結されており、かつ、上記の角θが、
θ≒360度/上,下段の翼の枚数の合計
であることを特徴とする。
【0010】
以上に説明した請求項2の発明によると、上下2段に分割された風車羽根の回転に伴って、この風車羽根に貼着された反射部材が交互に点滅して見えるので、視認性が格別に優れている。
しかも、上記の交互点滅現象は、電力などのエネルギー供給も制御の手段も必要とせず、風力によって行われるので経済的である。
【0011】
請求項3の発明に係る風力回転式視線誘導標の構成は、反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されるとともに、
前記の透明な風車羽根が上下2段に分割されていて、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが相互に独立に回転可能な構造であり、
かつ、上,下2段の風車羽根は、相互に反対方向に回るような風受け部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
以上に説明した請求項3の発明によると、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが互いに反対方向に回転するので、運転者が気付き易く、視認性に優れている。
この作用により、風が弱くて風車羽根の回転速度が遅い場合にも充分な視認性を発揮し、その実用価値は多大である。
上述の動作は、電力などのエネルギー供給を必要とせず、別段の制御機構を設ける必要も無く行われるので経済的である。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の1実施形態を示す2面図である。
本例においては透明な板状の翼、すなわち第1翼1a,第2翼1b,第3翼1cによって透明な板状の風車羽根1が形成されている。本発明を実施する場合、翼の数は任意に設定することができる。
前記3枚の翼のそれぞれに、シート状の反射体2が貼着されている。本例においては、市販の再帰反射シートを用いた。また、これと異なる実施例として、蛍光色のシートを用いることもできる。
【0026】
符号3を付して示したのは垂直な支持軸で、その頂面は半球状になっている。
一方、前記透明な板状風車羽根の重心を通る垂直な線に沿って、有頂無底の筒状軸受部材である軸受筒4が一体に成形されている。
前記の垂直な支持軸3の頂部と、軸受筒4の頂壁とは、ほぼ点接触していて、透明板状風車羽根1の回転に対する摩擦抵抗は僅少である。
前記垂直な支持軸3の下端にはオネジ3aが形成されており、ナット5によって設置金具6が固定されている。この設置金具6は、後に図3を参照して説明するように、ガードレールに装着するための部材であって、取付片6aが設けられている。
この取付片6aは、水平と垂直との中間の傾斜した姿勢になっていて、その傾斜角はガードレール(後掲の図3において符号8の部材)の形状に応じて定められている。
【0027】
図2は、前掲の図1に表されている実施形態のイメージを描いた外観図である。取付片6aは傾斜した舌片状をなし、U字状切欠6bが設けられている。
それぞれの翼1a,1b,1cの外周側の縁には風受け1dが形成され、透明板状風車羽根1の全体としては、微風でも確実に回転する高効率の風車になっている。
本例の反射体2は半円形に打ち抜かれた再帰反射シートで形成されており、半円形の弦を垂直な支持軸3に対して平行に位置せしめてある。
透明板状風車羽根1が回転すると、3枚の翼1a,1b,1cそれぞれの両面に貼着されている(計6枚の)半円形の反射体2が回転し、車両のフロントライトの光束を反射して「明滅する球状の発光体」の外観を現出し、高い視認性を発揮する。
一方、反射体2を貼着されていない部分の翼1a,1b,1cは透明であるから、前記球状発光体の入,出射光路を妨げない。
【0028】
図3は本発明の実施例をガードレールに装着した状態を示す模式図である。
破線の円で囲んだ部分Iは前掲の図1,図2に描かれた構成部分である。
ガードレール支柱7にガードレール8が固着されており、該ガードレールの上縁部8aに対して、先に述べた設置金具6が、ボルト・ナット14によって取り付けられている。
図1,図2を参照して説明したように、取付片6aが適宜に傾斜し、かつU字状切欠6bが設けられているので、ガードレール8に対する着脱を迅速、容易に行うことができ、かつ、装着された支持軸3が自然に垂直姿勢になる。
【0029】
図4は、前掲の図1と異なる実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。次に、図1に比して異なる点について説明すると、
本例の反射体10は直角三角形をなし、直角を挟む2辺の内の1辺は翼の上縁に接して平行に位置し、直角を挟む2辺の内の他の1辺は垂直な支持軸3に対して平行に位置している。この反射体10は赤色の再帰反射シートで構成されている。
このような構成により、透明板状風車羽根1が回転したとき、注意喚起の表示とされる赤色逆三角形が、明滅する発光体として現出する。
なお、本例の設置金具9は公知の部材を用いたものである。
【0030】
図5(A)は、さらに前記と異なる実施形態を説明するために示した模式図であって、前記実施形態と異なる点は次のとおりである。
本例の垂直な支持軸3は、その上端が水平な面をなしていて、該垂直支持軸3の上端面と軸受筒4の頂壁との間にボール11が介装されている。
このように構成すると、図1の例に比して構成部品(ボール)が1個だけ増えるが、回転に対する摩擦抵抗は著しく減少する。
前掲の図1、図4、図5、いずれの実施形態においても、垂直な支持軸3を主要構成部材とする静止部材と、透明板状風車羽根1から成る回転部材とが容易に着脱交換できる。
従って、車両の衝突を受けるなどして部分的に破損した場合、破損部分だけを交換して、非破損部を継続使用することができるので経済的に保守し得る。
【0031】
図5(B)は、軸受筒4の下端部付近の断面図、図5(C)は該軸受筒4の下端部付近を部分的に破断して描いた斜視図である。
軸受筒4の下端から、平行な切込4a,同4aを設けてリーフバネ状の部分4bを形成してある。上記リーフバネ状部4bの下端にはフック4cが形成されて、垂直な支持軸3に設けたリング溝状の小径部3bに係合している。
このような構成であるから、正常な使用状態では垂直な支持軸3と軸受筒4とは抜け止めされているが、例えば風車羽根が汚損したときは軸受筒4と共に取り外して容易に洗浄することができ、かつ、容易に嵌め合わせて組み付けることができる。
また、透明板状風車羽根1が車両の衝突を受けて破損した場合、該透明板状風車羽根をアッセンブリにて新品と交換し、迅速容易かつ低コストで修復することができる。
【0032】
図6は、前掲の図1ないし図3に示した実施形態の応用例を描いた外観斜視図である。本例は、ほぼ同様な構造の2組の透明板状風車羽根を上下2段に配置して相互に一体的に連設してある。垂直な支持軸3および軸受筒4は、上,下各段に共通する構成部材である。
上段透明風車羽根12と下段透明風車羽根13とは、回転方向に角θの位相差を有している。上記の角θは翼の数に応じて次のように設定される。
θ≒360度/翼の数の合計
以上のように構成すると、緩速度で回転しているとき、上,下各段が交互に点滅しているような外観を呈し、視認性が一層優れている。
【0033】
図示を省略するが、上段透明風車羽根12と下段透明風車羽根13とを別体に構成し、垂直な回転軸に対してそれぞれ独立に回転できるように支承し、かつ、風を受けたとき上,下各段の透明風車羽根が反対方向に回転するように構成しても良い。このように構成すると、緩速回転時に上,下段の反射体が個別に点滅するような外観を呈する。
回転方向を反対方向ならしめることは、図1について説明した風受け1dの湾曲方向を変えることによって容易に達成することができる。
図示6では上下2段に分割した例を示したが、透明板状風車羽根を上下3段もしくはそれ以上に分割することも可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上に本発明の実施形態を挙げてその構成,作用を明らかならしめたように、
請求項1の発明によると、設計の自由度が大きい。すなわち、独自に構成された風車羽根に対して、別途に構成されたシート状の反射部材を貼着する構造であるから、風車羽根を流体力学的見地から自由に設計し、かつ、反射部材を心理学的・光学的見地から自由に設計することができる。
その上、大量生産して市場に供給されている規格品の反射シートを利用できるので生産性に優れ、低コストで大量に製造することができ、しかも製品品質のバラツキが少ない。
さらに、本請求項1の発明によると、半円形状の反射部材が回転したときほぼ完全な円形の外観を呈し、優れた視線誘導機能を果たすことができる。
しかも、半円形状の反射部材が貼着されていない部分の風車羽根が透明であるから、前記反射部材に入射する光路や反射部材から出射する光路を妨げる虞れが無い。
また、前記反射部材の形状は風車としての機能に直接的な影響を与えないので流体力学的な考慮を煩わすことなく、心理学的・光学的に最も好適なように設計することができ、
さらに、意匠的考慮を加えるについても別段の制約を受けることが無い。
【0035】
以上に説明した請求項2の発明によると、上下2段に分割された風車羽根の回転に伴って、この風車羽根に貼着された反射部材が交互に点滅して見えるので、視認性が格別に優れている。
しかも、上記の交互点滅現象は、電力などのエネルギー供給も制御の手段も必要とせず、風力によって行われるので経済的である。
【0036】
以上に説明した請求項3の発明によると、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが互いに反対方向に回転するので、運転者が気付き易く、視認性に優れている。
この作用により、風が弱くて風車羽根の回転速度が遅い場合にも充分な視認性を発揮し、その実用価値は多大である。
上述の動作は、電力などのエネルギー供給を必要とせず、別段の制御機構を設ける必要も無く行われるので経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】前掲の図1に示した実施形態の外観斜視図である。
【図3】前掲の図1、図示2に示した実施形態に係る視線誘導標をガードレールに装着した状態の正面図である。
【図4】前記と更に異なる実施形態を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図5】前記と更に異なる実施形態の要部を描いた模式図である。
【図6】前掲の図示1に示した実施形態の応用例を描いた外観斜視図である。
【図7】視線誘導標の公知例を示し、(A)は正面図、(B)は断面平面図、(C)は断面側面図である。
【符号の説明】
1…透明板状風車羽根、1a…第1翼、1b…第2翼、1c…第3翼、1d…風受け、2…反射体、3…垂直な支持軸、4…軸受筒、5…ナット、6…設置金具、6a…取付片、6b…U字状切欠,7…ガードレール支柱、8…ガードレール、9…設置金具、10…反射体、11…ボール、12…上段透明風車羽根、13…下段透明風車羽根、14…ボルト・ナット。
Claims (3)
- 反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されていて、
前記シート状の反射部材が半円形もしくはこれに類似する形状をなしていて、
該半円形の弦が、回転中心線に対してほぼ平行であることを特徴とする、風力回転式視線誘導標。 - 反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されるとともに、
前記の透明な風車羽根が上下2段に分割されていて、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが相互に回転位相角度差θで連結されており、かつ、上記の角θが、
θ≒360度/上,下段の翼の枚数の合計
であることを特徴とする、風力回転式視線誘導標。 - 反射面を有し、風力によって回転する方式の視線誘導標において、
回転軸に関して対称に配置された複数の透明な板状の翼から成る風車羽根を具備し、
上記透明な板状の風車羽根の翼面全部を覆うことなく、シート状の反射部材が貼着されるとともに、
前記の透明な風車羽根が上下2段に分割されていて、上段の風車羽根と下段の風車羽根とが相互に独立に回転可能な構造であり、
かつ、上,下2段の風車羽根は、相互に反対方向に回るような風受け部が形成されていることを特徴とする、風力回転式視線誘導標。
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