JP4318001B2 - 接着方法およびインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

接着方法およびインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の基材を接着する接着方法およびその接着方法を使用したインクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドの基本的な構成は、圧電素子等によってインクに機械的な圧力を加えたり、あるいは熱的に発生させた圧力をインクに加えるなどして、ノズル孔からインクを吐出させる。このインクジェットヘッドの一例を、図5,図6にもとづいて説明する。
【0003】
インクジェットヘッドは、図5に示すように、複数のインク溝21およびその両側にダミー溝22を有するアクチュエータ基板10と、各溝の上面を覆う蓋板30と、インク溝21にインクを分配するマニホールド31と、インク溝21に対応するノズル孔33を有するノズルプレート32とからなる。
【0004】
アクチュエータ基板10は、図4に示すように、相互に接着された2枚の剛性のあるチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT),チタン酸鉛系(PT)などの圧電セラミックス材料製の基材11,12からなり、その両基材は、板厚方向においてそれぞれ反対方向に分極されている。なお、基材11,12のいずれか一方のみを圧電材料で構成することも可能である。両基材11,12には、図4に示すように、インク溝21およびダミー溝22となる平行な多数の溝が、ダイヤモンドブレード40等によって両基材の厚さ方向にわたって切削加工されている。これにより、インク溝21およびダミー溝22間を隔てる隔壁24は、その高さ方向に、分極方向が反対の圧電材料を重ねた構成となる。
【0005】
インク溝21は、図5に示すようにその長手方向(すなわちインク吐出方向)の前後両端をアクチュエータ基板の前後両端に開放して形成され、ダミー溝22は、前端面10aに開放するが、後端面10bにおいて閉塞するように、立ち上げ部23を残して形成されている。インク溝21内の隔壁24側面には図6に示すように第1の電極26aが形成され、ダミー溝22内の隔壁24側面には第2の電極26bが形成される。アクチュエータ基板10の上面10cには、インク溝21およびダミー溝22の長手方向に沿った開放面を覆う蓋板30が接着固定される。
【0006】
アクチュエータ基板10の前端面10aおよび蓋板30の前端面には、インク溝21と対応するノズル孔33を有するノズルプレート32が接着固定され、またそれらの後端面には、マニホールド31が接着固定される。
【0007】
インクの供給源からマニホールド31に導入されたインクは、インク溝21に供給され、ダミー溝22には、立ち上がり部23によって供給されない。各インク溝内の第1の電極26aを共通の電位例えばアースに接続し、インクを吐出しようとするインク溝21をはさむ両隔壁24,24のダミー溝22側の第2の電極26b,26bに電圧を印加すると、、第1および第2電極26a,26b間に圧電材料の分極方向と直角方向の電界が発生し、図6に示すように、隔壁24の上下各部の圧電材料がそれぞれ反対方向に剪断変形して、インク溝21内の容積を拡大する。そして、電圧の印加を停止すると、隔壁24が復帰する際にインク溝内のインクに圧力を加え、インクをノズル孔33から吐出する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記アクチュエータ基板10を構成する各基材11,12に限らず、剛性を有する平板状の材料を相互に接着しようとするとき、全面をほぼ同時に対向させることになり、接着面に気泡をはさみ込むことが多い。このようなものを、切断して所定の大きさに加工するため気泡部分近傍を切断するとき、ダイヤモンドブレードによる切削抵抗によって基材が剥離してしまうことがある。接着剤の粘度を低くすれば、気泡をはさみ込むことが少なくなるが、基材11,12どおしの位置ずれが起きやすい。
【0009】
特に、上記のようなインクジェットヘッドにおいて、インク溝21とダミー溝22は、数十μmという微細なピッチで多数形成されるため、気泡が残留していると、図4に示したダイヤモンドブレード40による切削抵抗によって溝間の隔壁24が破壊してしまう。
【0010】
一方、接着剤中に気泡が存在しても、接着剤を厚くすることにより、その接着強度を高めることができるが、インク溝21とダミー溝22間の隔壁24の変形動作エネルギを接着剤層が吸収してしまうため、変形動作が十分に行われず、インク吐出に支障をきたすという別の問題を生じる。
【0011】
また、インク溝21とダミー溝22を連通する気泡が存在すると、両溝間の隔壁24にメッキなどによって電極を形成する際に、隔壁両側面の電極26a、26bがつながって形成されてしまい、隔壁に変形のための電圧を印加することができない。仮に両電極26a、26b間の絶縁を保てたとしてもインク溝21内のインクがこの気泡をとおってダミー溝22内に侵入し、電極26a、26b間がショートするという問題を生じる。
【0012】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、接着剤中に残留する気泡をほとんどなくし、かつできるだけ薄い接着剤厚さで基材を接着することができる接着方法を提案するものである。また、その接着方法を使用して信頼性の高いインクジェットヘッドの製造方法を提案する。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る発明は、接着されるべき第1の基材および第2の基材のうち第1の基材に熱硬化性の接着剤を塗布し、その後前記接着剤をその焼成温度よりも低い温度に加熱してBステージ化した後、前記第1の基材上に前記第2の基材を前記接着剤を介して重ね、前記第1および第2の基材に、前記接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかけ、その後、前記第1および第2の基材を加圧しながら前記接着剤を焼成温度に加熱して前記接着剤を硬化して前記第1および第2の基材を相互に一体化することを特徴とする接着方法にある。
【0014】
この発明によれば、接着剤をBステージ化、すなわちその表面が若干乾燥した状態にした後、第1の基材と第2の基材を相互に重ねることで、両基材を位置ずれをほとんど生じることなく一体化することができる。また、第1および第2の基材をたとえばローラ間で所定圧力をもってはさみながら送るなどして、両基材に接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかけ、その後、接着剤を硬化することで、気泡を含まず、かつ接着剤が薄くても十分な強度が得られ、位置ずれもない接着をすることができる。
【0015】
【0016】
また、温度を管理することにより接着剤のBステージ化、硬化を実行し、位置ずれの少ない強固な接着をすることができる。
【0017】
請求項に係る発明は、複数のインク溝を平行に有し、各インク溝の側面を形成する隔壁をその高さ方向に少なくとも2種類の材料で構成するとともにそのうち少なくとも1つの材料が圧電材料であり、該圧電材料の変形により各インク溝からインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、
前記少なくとも2種類の材料を構成する第1の基材および第2の基材のうち第1の基材に焼成温度が前記圧電材料のキューリ点よりも低い熱硬化性の接着剤を塗布する第1の工程と、前記第1の工程の後、前記接着剤を前記焼成温度よりも低い温度に加熱してBステージ化する第2の工程と、前記第2工程の後、前記第1の基材上に前記第2の基材を前記接着剤を介して重ね、前記第1および第2の基材に、前記接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかける第3の工程と、前記第3工程の後、前記第1および第2の基材を加圧しながら前記接着剤を焼成温度に加熱して前記接着剤を硬化して前記第1および第2の基材を相互に一体化する第4の工程と、前記第4の工程の後、前記第1および第2の基材にわたって前記複数のインク溝を加工する第5の工程とを有するインクジェットヘッドの製造方法にある。
【0018】
この発明によれば、接着剤をBステージ化、すなわちその表面が若干乾燥した状態にした後、第1の基材と第2の基材を相互に重ねることで、両基材を位置ずれをほとんど生じることなく一体化することができる。また、両基材に接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかけ、その後、接着剤を硬化することで、気泡を含まず、かつ接着剤が薄くても十分な強度が得られ、位置ずれもない接着をすることができる。その後、インク溝の加工とともに少なくとも2種類の材料を高さ方向に配した隔壁を容易に形成できる。その際、気泡の残留によって基材が剥離すなわち溝間の隔壁が破壊することが少ない。また、インクが気泡に侵入して、電極をショートさせたり、電極を作る際にメッキ液が侵入するなどの事故も少なくすることができ、信頼性の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
【0019】
【0020】
また、温度を管理することにより接着剤のBステージ化、硬化を実行し、圧電材料の分極を損なうことなく、位置ずれの少ない強固な接着をすることができる。
【0021】
請求項に係る発明は、請求項1またはにおいて、前記第1の基材に接着剤を塗布する前に、前記第1の基材の接着剤塗布面に濡れ性改善処理を施すことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、接着剤塗布面に濡れ性改善処理を施していることから、当該塗布面に塗布した際の接着剤の広がり方が速やかであり、しかも塗布面の全面に接着剤層を形成することができるので、前記両基材を相互に重ね合わせる際に、接着剤中に気泡が形成されるのを一層効果的に防止することができる。なお、相互に接着される基材の双方の接着面に濡れ性改善処理を施せば、接着剤層中に気泡が形成されるのをさらに効果的に防止することができる。また、接着剤の塗布面における広がり方が速やかであるので、接着剤層を極薄く形成することができ、これにより接着剤層が必要以上に厚くなるのを防止することができる。
【0023】
上記濡れ性改善処理としては、プラズマ処理またはオゾン処理が好ましい。濡れ性改善処理は、基材表面に付着した微細な汚れ、吸着ガスや水分を除去することを主眼とした処理であり、界面活性剤を添加した洗浄液などにより部材表面を洗浄することによっても達成し得るが、プラズマ処理またはオゾン処理によれば比較的簡単かつ確実に基材表面の濡れ性を飛躍的に向上させることができる。
【0024】
請求項に係る発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記第1および第2の基材に、前記一端から他端に向かって順次圧力をかける工程以降を、減圧状態において行うことを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第1および第2の基材間にはさみ込んだ気泡が、内外の圧力差によって排出され、気泡の残留を一層少なくすることができる。
【0026】
請求項に係る発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記接着剤は、前記第1基材に塗布する前に、脱泡処理してあることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、接着剤に含まれる気泡を、脱法処理たとえば遠心力などを用いて予め抜いておくことで、一層気泡をはさみ込まない接着をすることができる。特に、熱硬化性接着剤の場合、加熱によって起きる発泡を抑えることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。なお、本実施形態にかかるインクジェットヘッドが、アクチュエータ基板10、蓋板30、マニホールド31、ノズルプレート32などから構成されることは、従来のものと同様であり、従来の構成および製造方法と同じところについてはその詳しい説明を省略する。
【0029】
まず、アクチュエータ基板10を構成する下側の基材11をその接着面を上にして、図1に示したプラズマ洗浄装置100内のサンプルホルダ120上に載置し、基材11の接着面に濡れ性改善処理を施す。なお、上側の基材12の接着面にも、濡れ性の改善処理を施してもよい。
【0030】
図1に示したプラズマ洗浄装置100は、真空チャンバ110と、この真空チャンバ110内の上下にそれぞれ設けられた電極130及びサンプルホルダ120と、前記電極130の側方に設けられたガス供給管140と、前記サンプルホルダ120の側方に設けられた排気管150とからなる、いわゆる平行平板型のプラズマ洗浄装置である。
【0031】
前記電極130は接地されており、前記サンプルホルダ120には13.56MHz、500W〜2KWのRF電力が印加されている。また、前記排気管150は真空ポンプ(図示せず)に接続されており、この真空ポンプ(図示せず)により前記真空チャンバ110内が1×10-3〜1×10-2Torr程度に減圧されるようになっている。一方、ガス供給管140はArガスボンベ(図示せず)に接続されており、このArガスボンベ(図示せず)から前記真空チャンバ110内にArガスが供給されるようになっている。
【0032】
このプラズマ洗浄装置100によれば、前記サンプルホルダ120にRF電力を印加すると、真空チャンバ110内に供給されたArガスがイオン,電子を含むプラズマとなる。一方、前記サンプルホルダ120には自己バイアスが生じており、プラズマ中のイオンがこの自己バイアスによってサンプルホルダ120に引き寄せられ、加速される。
【0033】
そして、サンプルホルダ120上に載置された上記基材の接着面が、前記自己バイアスによりサンプルホルダ120に向けて加速されたイオンによって物理的にエッチングされ、上記基材の接着面に存在する微細な汚れ、吸着ガスや水分が物理的に除去される。本発明者の知見によると、接着剤に対する基材の濡れ性が悪いのは、表面に微細な汚れ、吸着ガスや水分が存在することに起因するものであるが、上述したように、エッチング処理により基材の接着面を浄化することができ、これによって接着剤に対する接着面の濡れ性を向上させることができる。
【0034】
なお、このプラズマ洗浄装置100を用いたプラズマ処理は、上述したArガスに代えて、O2 ガスにより行うようにしても良い。この場合、ガス供給管140に酸素ボンベを接続して、この酸素ボンベから高純度のO2 ガスを前記真空チャンバ110内に供給する。また、前記真空チャンバ110内のO2 ガス圧を1×10-3〜1×10-2Torr程度とし、前記サンプルホルダ120には13.56MHz、500W〜2KWのRF電力を印加する。
【0035】
このようにすると、真空チャンバ110内に供給されたO2 ガスがイオン,電子,酸素ラジカルなどを含むプラズマとなるとともに、前記サンプルホルダ120に生じた自己バイアスによってプラズマ中のイオンがサンプルホルダ120に引き寄せられ、加速される。そして、サンプルホルダ120上に載置された基材の接着面に付着した微細な汚れ、吸着ガスや水分が、プラズマ中の酸素ラジカルにより酸化されて除去されるとともに、前記自己バイアスによりサンプルホルダ120に向けて加速されたイオンにより物理的に除去されて基材の接着面が浄化され、接着剤に対する濡れ性が向上する。
【0036】
また、上述した接着面の濡れ性改善処理は、オゾン処理によりこれを行うことができる。具体的には、天井にUV(紫外線)ランプが並設されたチャンバ内に、基材を配置し、UV光でチャンバ内の酸素(O2 )をオゾン(O3 )に変換して基材の接着面をオゾンに曝すようにする。これにより、基材表面に付着した微細な汚れ、吸着ガスや水分が酸化などの化学作用によって分解、除去される。また、スパッタ装置の逆スパッタ機構を利用して汚れ、吸着ガスや水分などを除去しても良い。
【0037】
一方、接着剤は、上記基材の接着面に塗布する前に、脱泡処理する。接着剤は、好ましくは熱硬化性接着剤、たとえば日本エイブルスティク社製のエポキシ系84−3、エコボンド45など、インクと接触したとき、溶融しない、またインクを変質させないものを用いる。脱泡処理は、図2に示すように、所定量の接着剤を注射器状の形状をしたシリンジ501に入れ、シリンジ501をその抽出口501aが外側に向くようにして回転体500上に置き、回転体500を1000〜3000rpmで回転することで、遠心力により、シリンジ501内の接着剤を外方へ移動させるとともに接着剤内に含まれる気泡505を相対的に内側へ寄せ、接着剤内の気泡を抜く。なお、このとき抽出口501aにはキャップをしておく。このようにすることによって、接着剤内の気泡を単に抜くだけでなく、熱硬化性接着剤の場合、後述する加熱処理により、接着剤内の微細な気泡が膨張発泡するのを抑え、確実な接着を達成する。
【0038】
上記のようにして、脱泡された接着剤を、濡れ性が改善された上記基材の接着面に接着剤を塗布する。塗布する方法は、スキージ法、スクリーン印刷法などが用いられる。図3(a)はスクリーン印刷法を用いた例を示す。スクリーン印刷機200は、大略、基材11を載置するテーブル210と、その上面に開閉可能に設けられたスクリーン枠220とからなる。スクリーン枠220は公知のようにメッシュ版を有し、そのメッシュ版に、基材11の接着剤塗布面に対応した開口部を残したマスクを、乳剤(たとえばジアゾ樹脂)などで形成する。シリンジ501の抽出孔501aからメッシュ版上に抽出した接着剤50を、金属およびゴム板製の各ドクターブレード230によって延ばすとともに、マスクの開口部に対応するメッシュ版部分をとおして基材11上に接着剤層51をごく薄く(約15μm前後の厚さ)形成する。上記基材11の接着面が接着剤に対する濡れ性が改善されているから、接着剤の広がりが速やかであり、ごく薄く接着剤層51を形成しても、基材12を重ね合わせ際に気泡を残すことが少ない。
【0039】
次に、接着剤を塗布した基材11を、クリーンオーブン(図示せず)に入れ、前記エポキシ系84−3接着剤の場合、約100℃で約1時間ほど仮焼成をし、接着剤表面を若干乾燥した状態、すなわち準安定化(Bステージ化)させる。
【0040】
この後、基材11上に基材12を接着剤51を介して重ね合わせる。このとき、接着剤表面が若干乾燥した状態にあるから、基材11に対して基材12が位置ずれしやすくなることがなく、正確に位置決めされる。そして、両基材11,12に、接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかける。たとえば、図3(b)に示すように、ラミネーター300を使用し、上下のローラー310,320で両基材11,12をはさみ込みながら一方から他方へ送る。この場合、ローラーの温度を約100℃、ローラーの圧力を約1kgf/cm2 とする。このように、両基材11,12に一端から他端へ向け順次圧力をかけることによって、両基材11,12間にはさみ込んだ気泡を外部に排出することができる。
【0041】
さらに、ラミネーター300をとおして仮一体化した両基板11,12を、再びクリーンオーブン(図示せず)に入れ、図3(c)に示すように、加圧治具400ではさみ、圧力付与手段(たとえばボルト、カムなどが用いられる)410で上記ラミネーターよりもさらに大きな圧力をかけ、本焼成を行う。このときの、圧力はねじ式でトルクを約10kg・cm、焼成温度は圧電材料のキューリー点よりも低い約150℃で約1時間ほどである。
【0042】
両基板11,12をラミネーター300にとおす工程以降は、真空中などの減圧下において行うことが望ましい。これは、接着剤内の気泡を、接着剤内外の圧力差により一層効率よく排出するためである。
【0043】
その後、図4に示すように、両基板11,12にわたってインク溝21、ダミー溝22を、ダイヤモンドブレード40によって切削加工する。両基板11,12は、接着剤層に気泡が含まれておらず、かつごく薄い接着剤でありながらも十分な強度で接着されたものとなっているから、切削抵抗によっても両基板が剥離、すなわち溝間の隔壁24が破壊されることなく、上下2つの圧電材料からなる隔壁24を容易に形成することができる。しかも、接着剤が薄いことで、隔壁24の変形動作エネルギを接着剤層が吸収してしまうことがなく、インク吐出を効率よく行うことができる。
【0044】
また、接着剤に気泡がほとんど残留していないことから、インク溝21のインクが気泡をとおってダミー溝22内に侵入し、隔壁両側の電極26a、26b間がショートするということを防止でき、電極をメッキなどによって隔壁24に形成する際に、隔壁両側面の電極26a、26bがつながって形成されてしまうということもなくなる。したがって、信頼性の高いインクジェットヘッドを製造することができる。
【0045】
なお、上記実施の形態は、インクジェットヘッドについて説明したが、他の各種材料の接着にも本発明を適用することができることは、いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる濡れ性改善処理に用いるプラズマ洗浄装置を示す断面図である。
【図2】 接着剤を脱泡処理する工程を示す説明図である。
【図3】 1つの基材に接着剤を塗布し、他の基材と一体化する工程を示す説明図である。
【図4】 一体化した2つの基材に溝を切削加工する工程を示す説明図である。
【図5】 一例にかかるインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。
【図6】 インクジェットヘッドをインク溝に直角に切断した拡大断面図である。
【符号の説明】
11 基材
12 基材
21 インク溝
24 隔壁
30 蓋板
31 マニホールド
32 ノズルプレート
51 接着剤層
100 プラズマ洗浄装置
200 スクリーン印刷機
300 ラミネーター
400 加圧治具

Claims (5)

  1. 接着されるべき第1の基材および第2の基材のうち第1の基材に熱硬化性の接着剤を塗布し、その後前記接着剤をその焼成温度よりも低い温度に加熱してBステージ化した後、前記第1の基材上に前記第2の基材を前記接着剤を介して重ね、前記第1および第2の基材に、前記接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかけ、その後、前記第1および第2の基材を加圧しながら前記接着剤を焼成温度に加熱して前記接着剤を硬化して前記第1および第2の基材を相互に一体化することを特徴とする接着方法。
  2. 複数のインク溝を平行に有し、各インク溝の側面を形成する隔壁をその高さ方向に少なくとも2種類の材料で構成するとともにそのうち少なくとも1つの材料が圧電材料であり、該圧電材料の変形により各インク溝からインクを吐出するインクジェットヘッドの製造方法において、
    前記少なくとも2種類の材料を構成する第1の基材および第2の基材のうち第1の基材に焼成温度が前記圧電材料のキューリ点よりも低い熱硬化性の接着剤を塗布する第1の工程と、前記第1の工程の後、前記接着剤を前記焼成温度よりも低い温度に加熱してBステージ化する第2の工程と、前記第2工程の後、前記第1の基材上に前記第2の基材を前記接着剤を介して重ね、前記第1および第2の基材に、前記接着剤の面方向において一端から他端に向かって順次圧力をかける第3の工程と、前記第3工程の後、前記第1および第2の基材を加圧しながら前記接着剤を焼成温度に加熱して前記接着剤を硬化して前記第1および第2の基材を相互に一体化する第4の工程と、前記第4の工程の後、前記第1および第2の基材にわたって前記複数のインク溝を加工する第5の工程とを有するインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 請求項1またはにおいて、前記第1の基材に接着剤を塗布する前に、前記第1の基材の接着剤塗布面に濡れ性改善処理を施すことを特徴とする方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記第1および第2の基材に、前記一端から他端に向かって順次圧力をかける工程以降を、減圧状態において行うことを特徴とする方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記接着剤は、前記第1基材に塗布する前に、脱泡処理してあることを特徴とする方法。
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