JP4317727B2 - 2光子吸収材料、それによる非共鳴2光子吸収誘起方法及び発光発生方法、並びにそれを用いた光子吸収光記録材料、2光子吸収3次元ボリュームディスプレイ及び2光子吸収光造形組成物 - Google Patents
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Description
また、医療分野では、脳や耳のように3次元に複雑に入り組んだ部位により的確な治療を施すために、メガネなしで自然な立体を多人数で観察することができる3次元ディスプレイや3次元光造形が望まれており、そのための有力な手段として2光子吸収を用いた3次元ボリュームディスプレイや3次元光造形組成物が期待されている。
しかしながら、3次元光記録媒体、3次元ボリュームディスプレイ、光造形組成物共、実用化のためには高速記録技術が必要となり、記録速度は2光子吸収断面積に比例するため、2光子吸収効率が低い公知の2光子吸収化合物を用いる場合は実用的な材料、システムが提案できず、2光子吸収断面積の極めて大きい化合物の開発が強く望まれている。
He,G.S.et al.,Appl.Phys.Lett.1995年,67巻,3703頁 He,G.S.et al.,Appl.Phys.Lett.1995年,67巻,2433頁 He,G.S.et al.,Appl.Phys.Lett.1996年,68巻,3549頁 He,G.S.et al.,J.Appl.Phys.1997,81巻,2529頁 Prasad,P.N. et al.,Nonlinear Optics1999年,21巻,39頁 Ren,Y.et al.,J.Mater.Chem.2000年,10巻,2025頁 Zhou、G.et al.,Jpn.J.Appl.Phys.2001年,40巻,1250頁
よって、本発明の上記目的は、下記の手段により達成された。
(1)分子間会合状態にて非共鳴2光子吸収を行う下記一般式(3)により表される化合物を含む2光子吸収材料。
Ma1〜Ma7はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基としてアルキル基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1及びna2はそれぞれ0または1であり、ka1は0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
(2)一般式(3)で表されるシアニン色素にて、Za1またはZa2から形成される環の少なくとも一方がベンゾオキサゾール環またはベンゾイミダゾール環であることを特徴とする(1)記載の2光子吸収材料。
(3)一般式(3)で表されるシアニン色素にて、Za1またはZa2から形成される環の少なくとも一方がベンゾオキサゾール環であることを特徴とする(2)記載の2光子吸収材料。
(4)一般式(3)で表されるシアニン色素にて、Za1またはZa2から形成される環のどちらもベンゾオキサゾール環であることを特徴とする(3)記載の2光子吸収材料。
(5)一般式(3)で表される化合物が、分子間会合状態にて2光子吸収断面積δが1000GM以上であることを特徴とする(1)〜(4)記載の2光子吸収材料。
(6)分子間会合状態にて2光子吸収断面積δが5000GM以上であることを特徴とする(5)記載の2光子吸収材料。
(7)一般式(3)で表される化合物が、2光子発光する化合物であることを特徴とする(1)〜(6)記載の2光子吸収材料。
(8)(1)〜(6)記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よりも長波長のレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することを特徴とする非共鳴2光子吸収誘起方法。
(9)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ400〜1000nmのレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することを特徴とする非共鳴2光子吸収誘起方法。
(10)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ400〜800nmのレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することを特徴とする非共鳴2光子吸収誘起方法。
(11)(7)記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よりも長波長のレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起し、生成した励起状態から発光を発生させることを特徴とする非共鳴2光子発光発生方法。
(12)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を溶液状態にて使用する方法。
(13)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を膜状態にて使用する方法。
(14)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収光記録材料。
(15)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収3次元光記録材料。
(16)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収3次元ボリュームディスプレイ。
(17)(1)〜(7)記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収光造形組成物。
以下に、本発明の非共鳴2光子吸収を行う化合物について詳しく説明する。
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。本発明の化合物は分子間会合状態を取るので、分子間力によって固定されている状態である。
モノマーとは単量体を意味する。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼ぶ)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。
矢はず(Herringbone)会合体については、チャールズ・ライヒ(Charles Reich)著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第18巻、第3号、第335頁(1974年)に記載されている。矢はず会合体は、会合体に由来する2つの吸収極大を持つ。
本発明の化合物を溶液系及び膜系どちらで用いる場合であっても、希薄溶液のモノマー状態の吸収から変化した場合は分子間会合状態であると定義することができる。
本発明の化合物は会合により短波長化(H会合)しても長波長化(J会合)してもその両方でもいずれでも良いが、J会合体を形成することがより好ましい。
例えば溶液系では、ゼラチンのようなマトリックスを添加した水溶液(例えばゼラチン0.5wt%・化合物10-4M水溶液)、KClのような塩を添加した水溶液(例えばKCl5%・化合物2×10-3M水溶液)に化合物を溶かす方法、良溶媒に化合物を溶かしておいて後から貧溶媒を加える方法(例えばDMF−水系、クロロホルム−トルエン系等)等が挙げられる。
また膜系では、ポリマー分散系、アモルファス系、結晶系、LB膜系等の方法が挙げられる。
さらに、バルクまたは微粒子(μm〜nmサイズ)半導体(例えばハロゲン化銀、酸化チタン等)、バルクまたは微粒子金属(例えば金、銀、白金等)に吸着、化学結合、または自己組織化させることにより分子間会合状態を形成させることもできる。カラー銀塩写真における、ハロゲン化銀結晶上のシアニン色素J会合吸着による分光増感はこの技術を利用したものである。
分子間会合に関与する化合物数は2個であっても、非常に多くの化合物数であっても良い。
本発明における前記色素としてはいかなるものでも良いが、例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、スピロ化合物、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、インジゴ色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、または金属錯体色素が挙げられる。
Ra1及びRa2は各々、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C 数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、スルホアルキル基を表し、より好ましくはアルキル基またはスルホアルキル基を表す。
Ma1〜Ma7は各々メチン基を表わし、置換基を有していてもよく、置換基として好ましくは例えばC数1〜20のアルキル基(例えば、メチル、エチル、i-プロピル)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、ニトロ基、C数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、C数6〜26のアリール基(例えば、フェニル、2-ナフチル)、C数0〜20のヘテロ環基(例えば、2-ピリジル、3-ピリジル)、C数6〜20のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ、1-ナフトキシ、2-ナフトキシ)、C数1〜20のアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、C数1〜20のカルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル)、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、C数1〜20のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基などが挙げられる。また、他のメチン基と環を形成してもよく、もしくは助色団と環を形成することもできる。好ましくは無置換、エチル基置換、メチル基置換のメチン基である。
na1及びna2は0または1であり、好ましくは0である。ka1は0から3までの整数を表わす。好ましくは0から2までの整数であり、より好ましくは1又は2である。ka1が2以上の時、Ma3、Ma4は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
ka2が2以上の時、Ma10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
これらは置換されても良く、置換基として好ましくは例えばアルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル)、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素)、ニトロ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、アリール基(例えば、フェニル)、ヘテロ環基(例えば2-ピリジル、3-ピリジル、1-ピロリル、2-チエニル)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、カルバモイル基(例えばN,N−ジメチルカルバモイル)、スルホ基、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基などが挙げられる。
好ましくは、オキサゾール核、イミダゾール核、またはチアゾール核である。これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。縮環する環としてはベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環等が挙げられる。
一般式(3)のシアニン色素にてZa1またはZa2から形成される環の少なくとも一方がベンゾオキサゾール環またはベンゾイミダゾール環であることが好ましく、少なくとも一方がベンゾオキサゾール環であることがより好ましく、共にベンゾオキサゾール環であることがさらに好ましい。
その際、ベンゾオキサゾール環上の置換基として好ましくは、メチル基、塩素、臭素、フェニル基、1-ピロリル基、スルホ基などが挙げられる。
好ましくは、ヒダントイン、ローダニン、バルビツール酸、2−オキサゾリン−5−オン、または3−ジシアノメチリデニル−3−フェニルプロピオニトリルである。
R1 、R2 、R3 、R4 として好ましくは水素原子またはアルキル基である。R1 、R2 、R3 、R4 のうちのいくつか(好ましくは2つ)が互いに結合して環を形成してもよい。特に、R1 とR3 が結合して環を形成することが好ましく、その際カルボニル炭素原子と共に形成する環が6員環または5員環または4員環であることが好ましく、5員環または4員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。
nおよびmが2以上の場合、複数個のR1 、R2 、R3 およびR4 は同一でもそれぞれ異なってもよい。
R6 は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基(これらの置換基の好ましい例はR1 〜R4 と同じ)を表し、好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)である。
形成されるヘテロ環として好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、またはピリジン環であり、より好ましくはインドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、またはキノリン環であり、最も好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイミダゾール環である。
Z1 により形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く、置換基として好ましくは、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数1〜20、例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、またはアルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
その際、非共鳴2光子吸収断面積(効率)の絶対値においては一般式(1)で表される化合物の方がより好ましく、非共鳴2光子吸収断面積の分子間会合形成によるエンハンスメントにおいてはシアニン色素の方がより好ましい。
さらに、本発明の化合物に、該化合物の有する線形吸収帯よりも長波長のレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起することが好ましく、該化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ400〜1000nmのレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起することが、2光子吸収(3次元)光記録材料等に用いる際の記録密度の点等で好ましく、400〜800nmのレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起することが、さらに好ましい。
また、本発明の化合物は分子間会合状態にて2光子発光することが好ましく、該化合物の有する線形吸収帯よりも長波長のレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起し、生成した励起状態から発光することがより好ましい。
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明する。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお構造はNMRスペクトル、MSスペクトル、元素分析にて確認した。
なお構造はNMRスペクトル、MSスペクトル、元素分析にて確認した。
ただし、本発明の化合物の合成法はこれに限定されるわけではない。
A 5mlとB 5mlを試験管に入れて混合して、ゼラチン0.5wt%・D−110-4M 水溶液を作成し25℃にて3時間放置した後、吸収スペクトルを測定した。同様操作をD−7、D−72についても行った。
D−1、D−7、D−72それぞれのゼラチン0.5wt%・10-4M水溶液中の吸収λmax、ε及び、比較としてモノマー状態でのλmax、εを表1に記す。
表1より、ゼラチン水溶液系ではモノマー状態よりλmaxは長波長化した上、吸収は非常にシャープとなってεは増加しており、D−1、D−7及びD−72は明らかにゼラチン水溶液系にていわゆる分子間J会合状態を形成できていることがわかる。
本発明の化合物の2光子吸収断面積の評価は、M. A. Albota et al., Appl. Opt. 1998年,37巻,7352頁.記載の方法を参考に行った。2光子吸収断面積測定用の光源には、Ti:sapphireパルスレーザー(パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz、平均出力:1W、ピークパワー:100kW)を用い、700nmから1000nmの波長範囲で2光子吸収断面積を測定した。また、基準物質としてローダミンBおよびフルオレセインを測定し、得られた測定値をC. Xu et al., J. Opt. Soc. Am. B 1996年, 13巻, 481頁.に記載のローダミンBおよびフルオレセインの2光子吸収断面積の値を用いて補正することで、各化合物の2光子吸収断面積を得た。2光子吸収測定用の試料には、実施例3で作成したゼラチン0.5wt%・D−1、D−7、D-72、10-4M水溶液(分子間J会合状態、試料101、103、105)及びそれらの比較としてモノマー状態の溶液(試料102、104、106)を用いた。
また、特に、ベンゾオキサゾール環及びベンゾイミダゾール環を有する化合物にて2光子吸収断面積が顕著に大きいことも明らかである。
Claims (8)
- 分子間会合状態にて非共鳴2光子吸収を行う下記一般式(3)により表される化合物を含む2光子吸収材料。
Ma1〜Ma7はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基としてアルキル基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na1及びna2はそれぞれ0または1であり、ka1は0〜3の整数を表わす。ka1が2以上の時、複数のMa3、Ma4は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。 - 前記一般式(3)により表される化合物が、2光子発光する非共鳴2光子発光化合物であることを特徴とする請求項1記載の2光子吸収材料。
- 請求項1記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よりも長波長のレーザー光を照射して2光子吸収を誘起することを特徴とする非共鳴2光子吸収誘起方法。
- 前記の照射するレーザー光の波長が400〜1000nmであることを特徴とする請求項3記載の非共鳴2光子吸収誘起方法。
- 請求項2記載の2光子吸収材料に、該2光子吸収材料の有する線形吸収帯よも長波長のレーザー光を照射して非共鳴2光子吸収を誘起し、発光を発生させることを特徴とする発光発生方法。
- 請求項1記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収光記録材料。
- 請求項1記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収3次元ボリュームディスプレイ。
- 請求項1記載の2光子吸収材料を含む2光子吸収光造形組成物。
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